JP5684620B2 - 非水系二次電池用バインダー樹脂組成物、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池には、正極の活物質として主にリチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が用いられ、負極の活物質としてはリチウムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)及び層間からのリチウムイオンの放出が可能な多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。正、負極の極板は、これらの活物質とバインダーとを溶剤に分散させてスラリーとしたものを集電体である金属箔上に両面塗布し、溶剤を乾燥除去して合剤層を形成後、これをロールプレス機で圧縮成形して作製される。
この際のバインダーとしては、両極ともポリフッ化ビニリデン(以下「PVdF」と略す)が多用されている。このバインダーはフッ素系の樹脂のため、集電体との密着性が劣り、活物質の脱落がおこる可能性がある。
しかしながら、ポリアミド酸ワニスに対するポリアクリル酸の相溶性が良好であることから、活物質であるSiを電子伝導性物質ではないポリアクリル酸もしくはポリイミドで覆うこととなり、サイクル特性改善効果は小さい。
[1]ポリイミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマーおよびポリフェニレンエーテルからなる群から選ばれる樹脂(A)と、平均粒子径が100μm以下のポリオレフィン粒子(B)とを混合して得られ、耐熱性樹脂(A)の連続相と、前記ポリオレフィン粒子(B)から得られる分散相とを有する樹脂組成物からなる非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[2]前記樹脂(A)が、ポリイミドである、[1]に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[3]前記ポリオレフィン粒子(B)が、エチレン、プロピレン、1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のモノマーから導かれる構成単位を含む重合体である、[1]または[2]に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[4]前記ポリオレフィン粒子(B)が、極性基を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[5]前記極性基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イミド基、エーテル基、ウレタン基、尿素基、リン酸基、スルホン酸基およびカルボン酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の官能基である、[4]に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[6]前記ポリオレフィン粒子(B)が、コロナ処理、プラズマ処理、電子線照射またはUVオゾン処理が施されている、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[7]前記樹脂組成物は、100重量部の前記樹脂(A)に対して、5重量部以上200重量部以下の前記ポリオレフィン粒子(B)を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[8]前記樹脂組成物は、難燃剤をさらに含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
[9]バインダーとSiを含む負極活物質とを含有する活物質層を集電体上に形成した負極であって、該バインダーが、[1]〜[8]のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物であることを特徴とする非水系二次電池用負極。
[10]前記活物質が、シリコン酸化物(SiO、SiOx、0<x<2)、シリコン及び、炭素材料との組み合わせからなる群より選択されるものであることを特徴とする[9]に記載の非水系二次電池用負極。
[11]リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、電解質並びに電解液を備えた電池において、該負極が、[9]または[10]に記載の負極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
樹脂(A)の連続相と、ポリオレフィン粒子(B)から得られる分散相とを含む樹脂組成物から形成される。樹脂組成物における、ポリオレフィン粒子(B)から得られる分散相は、例えば添加されたポリオレフィン粒子(B)の凝集物または溶融物等でありうる。
樹脂(A)について
樹脂(A)は、樹脂組成物の弾性率を高くし、熱膨張係数を低くする観点から、ガラス転移温度が150℃以上の樹脂が好ましい。
中でも、弾性率や寸法安定性が特に優れる等の観点から、ポリイミドがより好ましい。ポリイミドは、一般式(1)で表される構成単位を有するポリイミドであることが好ましい。mは1以上の整数である。このように、分子内に比較的多くの芳香環を含み、剛直な分子構造を有するポリイミドは、弾性率が高く、熱膨張係数が低い。
一般式(1)におけるAは、下記式で表される2価の基から選ばれる。下記式におけるX1〜X6は、それぞれ単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−または−NHCO−である。複数のAに含まれるX1〜X6は、相互に同一であっても異なっていてもよい。下記式におけるR1、R2、R3およびR4は、相互に同一であっても異なってもよく、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
一般式(1)におけるAは、芳香族ジアミンから誘導される2価の基でありうる。芳香族ジアミンの例には、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、3,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホキシド、1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、3,3'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−1−メチルフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−2−メチルフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−3−メチルフルオレンおよび9,9−ビス(4−アミノフェニル)−4−メチルフルオレンなどが含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)におけるBは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の基でありうる。芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物などが含まれ、好ましくはピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリアミド酸は、例えば下記一般式(2A)で表されるジアミンと、下記一般式(2B)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを重縮合反応させて得られる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの仕込み比を、M1:M2=0.900〜0.999:1.00(M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数)を満たすようにすることが好ましい。M1:M2は、0.92〜0.995:1.00であることが好ましく、0.95〜0.995:1.00であることがより好ましく、0.97〜0.995:1.00であることがさらに好ましい。ポリアミド酸をアミン末端にするためである。
ポリオレフィン粒子(B)は、炭素数2〜20の炭化水素から選ばれるモノマーを含む単独重合体または共重合体からなる。炭素数2〜20の炭化水素のうち、炭素数2〜10の炭化水素が好ましい。
マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸アミノエチルおよび(メタ)アクリル酸アミノプロピル等が含まれる。これらのうち、好ましくは(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸アミノプロピルである。
マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)、およびアリルコハク酸等のジカルボン酸の、モノアルキルグリシジルエステルおよびジグリシジルエステル(モノアルキルグリシジルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は1〜12である);ブテントリカルボン酸等のトリカルボン酸のモノアルキルグリシジルエステルおよびジグリシジルエステル(モノアルキルグリシジルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は1〜12である);
p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセンおよびビニルシクロヘキセンモノオキシド等が含まれる。
N-ビニルジエチルアミンおよびN-アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類;
アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアリルアミン系誘導体;
アクリルアミドおよびN-メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体;
p-アミノスチレン等のアミノスチレン類;
6-アミノヘキシルコハク酸イミドおよび2-アミノエチルコハク酸イミド等が含まれる。
PO−f−R−(X)n−h …(3)
式(3)におけるfは、13族元素が結合したポリオレフィンにおける、13族元素とfとをつなぐリンカーの残基である。fは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合などでありうる。式(3)におけるRは、環状モノマーの連鎖重合反応で得られたセグメントである。hは、前述の極性基を示し;(X)nは、セグメントRと極性基hとをつなぐリンカーである。リンカーを構成するXは、特に限定されないが、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、シリルエーテル結合、カルボニル結合などを含む。
樹脂組成物には、必要に応じて、無機フィラー等が含まれてもよい。無機フィラーの例には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイトおよび硫化モリブデン等が含まれ、好ましくはシリカである。無機フィラーの平均粒径は、好ましくは0.1〜60μmであり、より好ましくは0.5〜30μmである。
レゾルシノールジフェニルホスフェートおよびハイドロキノンジフェニルホスフェート等の水酸基含有リン酸エステル;
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Sビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシリルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジトリルホスフェート)、ビフェノール−Aビス(ジキシリルホスフェート)およびビスフェノール−Sビス(ジキシリルホスフェート)等の縮合リン酸エステル化合物等が含まれる。
1)におけるポリアミド酸ワニスは、ポリアミド酸と、好ましくは溶媒とを含む。ポリアミド酸ワニスにおける樹脂固形分濃度は1〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。後述の撹拌の条件を適切に制御するためである。
ポリイミドワニス
4)におけるポリイミドワニスは、ポリイミドと、好ましくは溶媒とを含む。ポリイミドワニスにおける樹脂固形分濃度は1〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。後述の撹拌の条件を適切に制御するためである。
負極は、上述した正極の場合と同様、負極活物質及び本発明であるバインダー樹脂組成物を含有する負極活物質層を集電体上に形成したものである。
負極集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
集電体の厚さは、通常5μmから30μmであり、好ましくは9μmから20μmである。
負極活物質層は、負極活物質を含んで構成される。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に他に制限はないが、単位体積あたりのリチウムを吸蔵、放出量が炭素材料よりもより大きくできるシリコン酸化物(SiO、SiOx、0<x<2)、シリコン及び、炭素材料との組み合わせからなる群より選択されるものが好ましい。
化物、或いはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等であって、種々の表面処理を施したものが主として使用される。これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、上述の各種負極活物質のほかに、リチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料を負極活物質として用いることもできる。炭素材料以外の負極活物質の具体例としては、酸化錫などの金属酸化物、硫化物や窒化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料についても、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
負極活物質を結着するバインダーとしては、上述した本願発明のバインダー樹脂組成物の他、公知のものを任意に選択して用いることができる。このような例としては、シリケート、水ガラスなどの無機化合物やポリアルギン酸などの天然化合物が挙げられる。
本発明における負極の製造方法については特に制限はない。
例えば、負極活物質と樹脂組成物および導電助剤を分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布し乾燥させることにより、負極を製造する方法等が挙げられる。
負極活物質に対して、ポリイミド(A)とポリオレフィン粒子(B)を混合する割合について以下に述べる。
負極活物質に対して、ポリイミド(A)の含有割合は、下限が、通常0.01重量%、好ましくは0.05重量%、更に好ましくは0.1重量%であり、上限が、通常25重量%、好ましくは20重量%である。
多すぎるとサイクル特性が低下する傾向があり、少なすぎると、入出力特性が低下する傾向がある。
分散媒としては、NMPなどの有機溶媒を用いることができる。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、下限が、通常5μm、好ましくは20μm、更に好ましくは30μm、また、上限が、通常200μm、好ましくは100μm、更に好ましくは75μmである。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい場合がある。
本発明の非水系二次電池、特に好ましくはリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。上述した本願発明のバインダー樹脂組成物は、正極及び負極のいずれの活物質層用の結着剤として使用することができるが、いずれか一方のみに用いてもよい。
正極は、正極活物質及びバインダーを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、下限が、通常1μm、好ましくは3μm、より好ましくは5μm、上限が、通常100mm、好ましくは1mm、より好ましくは50μmの範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する虞がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる虞がある。
正極活物質層中の結着剤の割合は、下限が、通常0.1質量%、好ましくは1質量%、更に好ましくは5質量%であり、上限が通常80質量%、好ましくは60質量%、更に好ましくは40質量%、最も好ましくは10質量%である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう虞がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる虞がある。
なお、正極集電体へのスラリーの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、この用途に用い得ることが知られている公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物、LiClO4、LiBrO4、LiClO4などの過ハロゲン酸塩、LiPF6、LiBF4、LiAsF6などの無機フッ化物塩、リチウムビス(オキサラトホウ酸塩)LiBC4O8などの無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiC
4F9SO3などのパーフルオロアルカンスルホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CF3SO2)2NLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5M以上、2.0M以下の範囲である。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
本発明のリチウムイオン二次電池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池を組み立てる手順も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよいが、例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
ケイ化物を含むB相はA相との親和性が高く、特に充電時に体積膨張した場合でも結晶界面での割れが生じにくい。B相はSiを主体とするA相に比べて電子伝導性が高くかつ硬度も高い。そのため、活物質がB相を含むことにより、A相における低い電子伝導性が改善され、かつ膨張時の応力が緩和されて活物質粒子の割れが抑制される。
B相は複数の相で構成されてもよい。例えば、B相は、MSi2およびMSi(Mは遷移金属)のように、遷移金属Mとケイ素との組成比が異なる2相からなる。また、例えば、上記2相と、異なる遷移金属Mとのケイ化物の相と、を含む3相以上の相から構成されてもよい。遷移金属Mは、Ti、Zr、Ni、Cu、Fe、およびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。上記遷移金属Mのケイ化物は、高い電子伝導度を有し、かつ高い強度を有する。これらの中でも、遷移金属MはTiがより好ましい。B相はTiSi2を含むことが好ましい。
正極は、例えば、正極活物質、バインダー、および導電材を含む正極合剤からなる。
また、耐有機溶剤性と疎水性の観点から、セパレータの材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどが用いられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、通常は安価なポリプロピレンが用いられるが、電池に耐リフロー性を付与する場合には、この中でも熱変形温度が230℃以上のポリプロピレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどを用いることが好ましい。
セパレータの厚みは、例えば10〜300μmである。また、セパレータの空孔率は、電子やイオンの透過性、セパレータの素材などに応じて適宜決めればよいが、一般的に30〜80%であることが望ましい。
非水溶媒には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ブチルジグライム、メチルテトラグライムなどの非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
DMAc :N,N-ジメチルアセトアミド
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
(2)ポリイミド樹脂(A)の構成成分
ジアミン
PDA :p−フェニレンジアミン
ODA :4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
APB :1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
DABP :3,3’−ジアミノベンゾフェノン
m−BP :4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル酸二無水物
BPDA :3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA :ピロメリット酸二無水物
BTDA :3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
(3)ポリオレフィン粒子(B)
PO1 :ポリエチレン粒子(平均粒子径6μm、極性基の種類:マレイン酸から誘導される基、極性基の含有量:0.03mol/kg)
PO2 :エチレン−ブテン共重合体粒子(平均粒子径4μm、極性基の種類:マレイン酸から誘導される基、極性基の含有量:0.03mol/kg)
PO3 :ポリエチレン粒子(平均粒子径10μm、極性基なし)
負極活物質粒子中のA相であるSi相の割合が30重量%となるように、Ti粉末(高純度化学(株)製、純度99.99%、粒径20μm未満)およびSi粉末(関東化学(株)製、純度99.999%、粒径20μm未満)を重量比32.2:67.8の割合で混合した。
そして、混合粉を振動ミル容器に投入し、さらにステンレス製ボール(直径2cm)を、ミル容器の容量の70体積%を占めるように投入した。容器内部を真空に引いた後、容器内が1気圧になるまで容器内部をAr(日本酸素(株)製、純度99.999%)で置換した。その後、60Hzの振動を加えながら60時間メカニカルアロイングを行い、Ti―Si合金を得た。
(バインダー溶液の調製)
ポリアミド酸ワニスAの調製
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、20.55gのPDAと、溶媒として301gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してPDAが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、55.34gのBPDAを約30分かけて投入し、129gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌してポリアミド酸Aのワニスを得た。得られたワニスは、ポリアミド酸の固形分の含有率が15重量%であり、対数粘度は1.3dl/gであった。
プラスチック製の容器に、ポリアミド酸Aのワニスと、PO1/DMAc分散液を投入し、混練機を用いて混ぜ合わせることにより、バインダーA1−1−10を調製した。量比はポリアミド酸A/PO1=100/10(重量部)とした。
ポリエチレン粒子PO1の添加量を、表1に示されるように変更した以外は、製造例1と同様にして、バインダーA1−1−25、A−1−40、A−1−60、A−1−80、A−1−100、をそれぞれ得た。
製造例1のPO1/DMAc分散液を、PO2/DMAc分散液とした以外は製造例1と同様にしてバインダーA2−1−10を得た。
ポリエチレン粒子PO2の添加量を、表1に示されるように変更した以外は、製造例7と同様にして、バインダーA−1−25、A−1−40をそれぞれ得た。
ポリアミド酸Bの調製
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、24.03gのODAと、溶媒として139.5gのDMAcを装入し、ODAが溶解するまで撹拌した。次いで、この溶液に、25.78gのPMDAを約30分かけて投入し、さらに103.7gのDMAcを加えて、20時間攪拌してポリアミド酸Bのワニスを得た。得られたワニスは、ポリアミド酸Bの固形分の含有量が17重量%であり、対数粘度は1.2dl/gであった。
PO1の替わりにそれぞれPO2,PO3を用いた以外は製造例10と同様にしてバインダーB−2−40、B−3−40混合液を調製した。
ポリアミド酸Cの調製
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、溶媒として261.0gのDMAcを加え、これに20.44gのODAと、16.12gのm−BPとをさらに加えて、20〜30℃で撹拌して溶解させた。次いで、30.84gのPMDAを加え、11.0gのDMAcでフラスコ内部に付着した原料を洗い落とし、50〜60℃に加熱し約1時間撹拌を行った。その後、0.44gのPMDAをさらに加えて、60℃に温度を保ちながら約4時間撹拌を行い、ポリアミド酸CYのワニスを得た。
プラスチック製の容器に、ポリアミド酸Cのワニスと、PO2/DMAc分散液とを投入し、混練機を用いて混ぜ合わせることにより、バインダーC−2−10を調製した。量比はポリアミド酸C/PO1=100/10(重量部)とした。
ポリエチレン粒子PO2の添加量を、表1に示されるように変更した以外は、製造例13と同様にして、バインダーC−2−25、C−2−100をそれぞれ得た。
ポリエチレン粒子PO1を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、ポリアミド酸A−0−0を得た。
ポリエチレン粒子PO2を添加しなかった以外は、製造例10と同様にして、ポリアミド酸B−0−0を得た。
ポリエチレン粒子PO2を添加しなかった以外は、製造例13と同様にして、ポリアミド酸C−0−0を得た。
各種特性を評価する目的で、上述の製造例で調製したバインダー混合液A−1−10を、ガラス上にキャストして硬化膜を作製した。得られたキャスト膜を用いて測定した、熱変形温度及び熱膨張係数、引張強度、弾性率を表1に示す。
熱変形温度は以下のように測定した。熱機械分析計(TMA−50、島津製作所製)を用いて、硬化膜(厚み約30μm、長さ20mm)の両端に一定荷重(フィルムの断面積1mm2に対し14g)をかけて、温度を30〜450℃に変化させた際の伸び(縮み)を測定する引っ張り法により熱変形温度を求めた。この際、硬化膜の伸びが大きく上昇する時の温度を、熱変形温度とした。
次に、上記で得られた負極活物質およびバインダー原料溶液A−1−10、ならびに導電材として黒鉛粉末(日本黒鉛(株)製、SP−5030)を混合した。この混合物を真空下において60℃で12時間乾燥させて負極合剤を得た。この時、負極合剤中のTi−Si合金、黒鉛粉末、バインダーの重量比は、100:20:10であった。
上記で得られた負極と、正極を用い、常法に従いコイン型電池を作製した。
上記で得られたコイン型電池の充放電サイクル試験を20℃に設定した恒温槽中で以下のように行った。
0.2Cの定電流で充放電を100サイクル行った。そして、2サイクル目の放電容量(以下、初期容量とする)に対する10サイクル目、50サイクル目および100サイクル目の放電容量の割合をサイクル容量維持率とした。このサイクル容量維持率が100に近いほどサイクル特性が優れていることを示す。結果を表1に示す。
上述の各製造例で調製したバインダー混合液を用い、実施例1と同様に評価を行った。製造例と実施例の関係は表中に記した。
Claims (10)
- ポリイミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマーおよびポリフェニレンエーテルからなる群から選ばれる樹脂(A)と、平均粒子径が100μm以下のポリオレフィン粒子(B)とを混合して得られ、樹脂(A)の連続相と、前記ポリオレフィン粒子(B)から得られる分散相とを有する樹脂組成物からなり、
前記樹脂組成物は、100重量部の前記樹脂(A)に対して、5重量部以上200重量部以下の前記ポリオレフィン粒子(B)を含む、非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。 - 前記樹脂(A)が、ポリイミドである、請求項1に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン粒子(B)が、エチレン、プロピレン、1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のモノマーから導かれる構成単位を含む重合体である、請求項1または2に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン粒子(B)が、極性基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- 前記極性基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イミド基、エーテル基、ウレタン基、尿素基、リン酸基、スルホン酸基およびカルボン酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の官能基である、請求項4に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン粒子(B)が、コロナ処理、プラズマ処理、電子線照射またはUVオゾン処理が施されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、難燃剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水系二次電池用バインダー樹脂組成物。
- バインダーとSiを含む負極活物質とを含有する活物質層を集電体上に形成した負極であって、該バインダーが、請求項1〜7のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物であることを特徴とする非水系二次電池用負極。
- 前記活物質が、シリコン酸化物(SiO、SiOx、0<x<2)、シリコン及び、炭素材料との組み合わせからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項8に記載の非水系二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、電解質並びに電解液を備えた電池において、該負極が、請求項8または9に記載の負極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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