JP6520497B2 - リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
近年、ビデオカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池の開発が進められている。
特に、充放電反応にリチウムイオンの吸蔵および放出を利用するリチウムイオン二次電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも大きなエネルギー密度が得られるため、大きな期待が寄せられている。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極と負極とを絶縁するためのセパレーター、および正極と負極との間でリチウムイオンの移動を可能にするための電解液、によって主に構成され、前述の正極および前述の負極は、金属箔からなる集電体の両面または片面に各種の活物質層が塗布されてなるものである。正極は、正極用集電体の上に正極活物質層を有し、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなどの正極活物質が含まれている。一方、負極は、負極用集電体の上に負極活物質層を有し、例えば天然黒鉛、人造黒鉛などを含む負極活物質が含まれている。
ところが最近では、電子機器の高性能化、多機能化に伴って、電池容量のさらなる高容量化が求められており、これを受けて、黒鉛(理論容量372mAh/g)に代わる新規負極活物質が検討されている。
黒鉛に代わる高容量の負極活物質としては、リチウム金属、およびリチウムと合金化が可能なシリコン(Si)、シリコンの酸化物(例えばSiO)、スズ(Sn)などの合金系負極材料が挙げられるが、特にシリコン(4199mAh/g)、シリコン酸化物(2000mAh/g)では高い理論容量を示すことから、電池容量の大幅な向上が期待される。
ところが負極活物質としてシリコンを用いると、充放電時に負極活物質層が激しく膨張および収縮するため、負極に多大な応力が加わる。その結果、集電体上に形成された負極活物質層にクラックが発生したり、負極活物質層と集電体との間で剥離を生じたり、負極活物質層の見かけの厚さが増加するといった問題がある。
これにより、電池容量の高容量化が図られる一方で、このような体積膨張(以下、膨張収縮と記することがある)によるクラックや剥離によって、負極活物質と負極活物質、および負極活物質と集電体の間での導電パスが遮断され、その結果、リチウムイオン二次電池の重要な特性であるサイクル特性が低下すると共に、その厚さが意図せずに増加するといった課題があった。
前述した課題に対して、特許文献1では、ポリイミドまたはポリアクリル酸と、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体とが混合されたポリマーを負極活物質に被覆している。特許文献2では、負極活物質の体積膨張による充放電サイクルの低下に対して、特定の伸縮率を有する種々のポリマーを負極活物質表面に被覆することが提案されており、例えばポリアミドイミドが例示されている。
しかしながら、昨今における市場の要求は留まらず、更なる充放電サイクル特性の改善が求められている。
国際公開第2012/001856号 特開2013−235685号公報
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、充放電に伴う負極活物質の体積変化を抑制し、かつ、充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することにある。
前述した課題を解決するため、本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は(以下、「負極活物質」と記すことがある)、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能なリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、下記の式(1)または、下記の式(1)と式(2)の繰り返し構造単位を有するポリアミドイミド樹脂層によって、負極活物質の粒子表面の少なくとも一部が被覆されていることを特徴とする。ただし、式中のaおよびbの値は、各構造単位の共重合割合であり、モル比率で表される。

Figure 0006520497
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ただし、式(2)中のArは、芳香環を有するアリール基を示し、式(3)、式(4)、式(5)のいずれかを示す。R〜R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、メチル基、ハロゲン、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、またはハロゲン化メチル基などからなる群より選択される置換基を示す。また、式(4)中のRは、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−(CH−、−C(CH−を示す。なお、−(CH−のnは、0以上5以下の整数である。)
Figure 0006520497
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本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質によれば、リチウムイオンの挿入脱離における負極活物質の体積膨張が抑制され、ひいては充放電サイクル特性が大きく向上する。その理由として詳細な原因は明確になっていないが、我々の鋭意なる検討からその理由の1つとして、以下のように考えている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質において、負極活物質の表面に被覆されたポリアミドイミド樹脂層が、充放電過程において極めて微少な分解反応および/または溶解反応が進むことで、ポリアミドイミド構造内のフッ素が電解液中に溶出し、このフッ素が負極活物質表面にフッ素を含んだ固体電解質膜(SEI膜)として形成される。このSEI膜の形成によって、負極活物質とリチウムイオンとの挿入脱離反応に作用し、負極活物質の膨張が抑制され、結果的に充放電サイクルが向上する。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質において、前述の負極活物質粒子表面の少なくとも一部を被覆しているポリアミドイミド樹脂層は、前述の式(1)のaのモル比率が、1〜100モル%、式(2)のbのモル比率が、0〜99モル%であることが好ましい。ただし、aとbは共重合の割合を示し、aとbのモル比率を足し合わせた場合、100モル%の関係を満たすものとする。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質において、前述の負極活物質の粒子表面の少なくとも一部を被覆しているポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)は、4,000〜100,000が好ましい。このような重量平均分子量(Mw)のポリアミドイミド樹脂層では、負極活物質との結着性が強く保持され、さらにフッ素を含むSEI膜の形成をするのに良好である。さらに重量平均分子量が小さすぎないように、または大きすぎないようにすることで、被覆されたポリアミドイミドによって負極活物質の体積膨張を物理的に抑制でき、さらに被覆されたポリアミドイミドは、充放電過程での酸化還元反応によって微少の分解および/または溶解が起こり、これによりフッ素を含むSEI膜を負極活物質表面に形成することができ、電池特性としての充放電サイクル特性が良好と成り得る。
特に前述のポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)は、6,000〜100,000であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲となる場合、充放電サイクル特性がより優れる。
なお、前述の重量平均分子量は、ポリアミック酸からイミド閉環によるポリアミドイミドへの転化おける合成時の乾燥温度および乾燥時間などを種々変更することで調整することができる。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質において、前述の負極活物質の粒子表面の少なくとも一部を被覆しているポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みは、負極活物質の粒径に対し、厚みの比率として0.002〜0.33であることが好ましい。このような被覆厚みのポリアミドイミドは、負極活物質との結着性が強く保持され、さらにフッ素を含むSEI膜の形成をするのに良好である。ポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みが、過度に薄くならないようにまたは過度に厚すぎないようにすることで、充放電過程での酸化還元反応によって微少の分解および/または溶解が起こり、負極活物質の表面に副反応を抑制するためのフッ素を含むSEI膜を形成することができ、さらに体積膨張を物理的に効果的に抑制できるため、充放電サイクル特性が良好となる。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質において、前述の負極活物質の粒子表面の少なくとも一部を被覆しているポリアミドイミド樹脂層の被覆率は、1〜100%であることが好ましい。ポリアミドイミド樹脂層の被覆率がこのような範囲となる場合、充放電サイクル特性が特に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質となる。被覆率が小さすぎると、負極活物質と電解液との接触が大きくなり、それに伴う副反応によって電解液の分解が生じやすくなり、充放電サイクル特性が低下しやすくなる。また、被覆率が大きくなりすぎると、負極活物質と電解液との接触が小さくなり過ぎるため、ポリアミドイミド樹脂層の被膜が抵抗体として作用してしまい、充放電サイクル特性が低下しやすくなるためである。特に前述のポリアミドイミド樹脂層の被覆率は、10〜90%である場合がより好ましい。被覆率が上記範囲となる場合、充放電サイクル特性がより優れる。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極は、集電体および前記集電体上に形成された負極活物質層を備えており、前記負極活物質層は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、前記負極活物質として、ケイ素(Si)、ケイ素化合物の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする。
さらに本発明に係るリチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極と正極との間に配置されるセパレーターと、電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、前記負極は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極であることを特徴とする。
本発明によれば、充放電に伴う負極活物質の体積膨張を抑制し、かつ、充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の構成を表す断面図である。 実施例2に係る負極において、ポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO活物質表面の充放電前のSEM−EDXスペクトル 実施例2に係る負極において、ポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO活物質表面の充放電10サイクル後のSEM−EDXスペクトル 比較例1に係る負極において、ポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO活物質表面の充放電前のSEM−EDXスペクトル 比較例1に係る負極において、ポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO活物質表面の充放電10サイクル後のSEM−EDXスペクトル
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<リチウムイオン二次電池>
図1に、リチウムイオン二次電池100の構成断面図を示す。図1のリチウムイオン二次電池100は、正極10および負極20と、正極10と負極20との間に配置されたセパレーター18と電解質を含む電解液から構成され、前述のセパレーター18は充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である前述の電解液を保持する。
前述の正極10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む正極活物質層14を正極集電体12の少なくとも一方の主面に備えて構成されており、前述の負極20は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む負極活物質層24を負極集電体22の少なくとも一方の主面に備えて構成されている。
リチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限はなく、例えば、円筒型、角型、コイン型、偏平型、ラミネートフィルム型など、いずれであってもよい。本実施形態では、ラミネートフィルムを外装体50として用い、下記実施例では、ラミネートフィルム型電池を作製し評価する。前述のラミネートフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されているものを用いることができる。
以下、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極20およびリチウムイオン二次電池100の好適な実施形態について、さらに詳細に説明する。
<負極活物質>
リチウムと合金化が可能な負極活物質としては、シリコン、スズおよびゲルマニウムが好ましく、特に高容量であるシリコンが望ましい。シリコンは単体で用いてもよく、合金で用いても、化合物で用いてもよく、それらの2種以上を併用してもよい。
また、シリコンの酸化物を含む化合物、すなわち、シリコンと酸素を構成元素に含む化合物も本実施形態内に用いられる高容量の負極活物質として挙げられる。(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、「SiO」と表記する)。
上記SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比率が1:1の化合物の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。
また、SiOやその他の酸化物(シリコン、スズまたはゲルマニウムの酸化物)を使用する場合、その表面を炭素で被覆していることが好ましい。これらの上記酸化物は、導電性が乏しいため、負極活物質として用いる際には、良好な電池特性の確保のために、導電助剤を使用し、負極活物質層内における前記酸化物と導電助剤との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。そこで、前記酸化物の表面を炭素で被覆すれば、例えば、単に前記酸化物と炭素材料からなる導電助剤とを混合して使用する場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
また、負極活物質として、前述に挙げた材料に限定することはなく、他にも、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出する材料であれば特に制限はされない。リチウムイオン二次電池用負極20に膨張収縮の大きな高容量を発現する負極活物質を用いた場合においても、本実施形態に係るポリアミドイミド樹脂層が被覆されたリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いることで、好適な電池特性を発揮することができる。
さらに前述したシリコン系の負極活物質に炭素系負極活物質を併用してもよく、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの組み合わせを使用してもよい。前述の結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状、球形、繊維状などの天然黒鉛または人造黒鉛が挙げられ、前述の非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成したコークスなどが挙げられる。
<リチウムイオン二次電池用負極活物質>
リチウムイオン二次電池用負極20に用いる負極活物質は、負極活物質の粒子表面の少なくとも一部を、下記の式(1)または、下記の式(1)と式(2)の繰り返し構造単位を有するポリアミドイミド樹脂層によって被覆されていることを特徴とする。ただし、式中のaおよびbの値は、各構造単位の共重合割合であり、モル比率で表される。
Figure 0006520497
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ただし、式(2)中のArは、芳香環を有するアリール基を示し、式(3)、式(4)、式(5)のいずれかを示す。R〜R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、メチル基、ハロゲン、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、またはハロゲン化メチル基などからなる群より選択される置換基を示す。また、式(4)中のRは、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−(CH−、−C(CH−を示す。なお、−(CH−のnは、0以上5以下の整数である。)
Figure 0006520497
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負極20において、前述のポリアミドイミド樹脂層が被覆されたリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いることで、充放電時における負極活物質および負極活物質層24の膨張収縮を抑制することが可能となる。前述の負極活物質を被覆しているポリアミドイミド樹脂層は、式(1)の単位構造を少なくとも有しており、フッ素を構造内に有するポリアミドイミドとなる。
前述の負極活物質によって構成されたリチウムイオン二次電池用負極20では、充放電後において、負極活物質表面にフッ素を含んだ固体電解質膜(SEI膜)として形成され、優れた充放電サイクル特性が得られる。
詳細な原因は解明できていないが、充放電過程における酸化還元反応によって、上記負極活物質を覆っているポリアミドイミド樹脂層の一部が分解および/または溶解することで、ポリアミドイミド構造内のフッ素が電解液中に溶出し、このフッ素が、負極活物質表面にフッ素を含んだ固体電解質膜(SEI膜)を形成すると思われる。
このSEI膜の存在によってリチウムイオンの挿入脱離反応が緩和され、負極活物質および負極20の体積膨張が抑制され、その結果、本実施形態にかかる負極20を用いたリチウムイオン二次電池100においては、優れた充放電サイクル特性を示す。なお、前述に説明した負極活物質を被覆するポリアミドイミド樹脂層の一部の分解および/または溶解とは、極めて微少な程度を意味し、前述のポリアミドイミド樹脂層の分解および/または溶解によって負極活物質層の脱落や崩壊が生じない程度を意味する。
負極活物質の表面にポリアミドイミド樹脂層を被覆する方法としては、特に限定することはなく、例えば以下のような方法によって簡便に負極活物質表面にポリアミドイミド樹脂層を被覆することができる。
負極活物質とポリアミドイミド樹脂と溶媒とを所定量の割合で混錬し、負極活物質とポリアミドイミドが均一に分散されたスラッジを作製する。そしてスラッジを100℃〜400℃の温度で溶媒を乾燥させ、乾燥物を解砕および粉砕させ、所定の目開きの篩に通し、ポリアミドイミド樹脂層が表面に被覆されたリチウムイオン二次電池用負極活物質が得られる。
前述のリチウムイオン二次電池用負極活物質によれば、負極活物質を被覆しているポリアミドイミド樹脂層は、前述の式(1)または、前述の式(1)と式(2)の繰り返し構造単位から構成され、前述の式(1)のaのモル比率が、1〜100モル%、式(2)のbのモル比率が、0〜99モル%であることが好ましい。ただし、aとbは共重合の割合を意味する。
さらに、本実施形態に係る負極活物質によれば、前述の負極活物質を被覆しているポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)が、4,000〜100,000であることが好ましい。
重量平均分子量が上記は範囲である場合、被覆されたポリアミドイミド樹脂層と負極活物質との結着性が強く保持され、さらに過度に重量平均分子量が高すぎないため、負極活物質表面のポリアミドイミド樹脂層が、充放電過程において微少の分解および/または溶出が起こり、これによりフッ素を含むSEI膜を負極活物質表面に形成することができ、ひいては電池特性としての充放電サイクル特性が良好となる。
特に前述のポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)は、6,000〜100,000であることがより好ましく、上記範囲となる場合に充放電サイクル特性がより優れる。
なお、前述の負極活物質を被覆するポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量は、合成時の温度条件や合成時間、さらには負極活物質の被覆後においても、所定の温度で熱処理することで高めることが可能である。この場合、ポリアミドイミドを構成するポリアミドイミド分子とポリアミドイミド分子とが、熱処理によって新たに縮重合および/または架橋反応が進み、ポリアミドイミドとしての機械的強度を高めることができる。
前述の熱処理の温度の上限としては、本実施形態のポリアミドイミド樹脂層が分解しない程度の温度であることが望ましいが、リチウムイオン二次電池としたときに、電池特性を損なわない範囲であれば、ポリアミドイミド樹脂層の一部が分解しても構わない。
<ポリアミドイミド>
本実施形態に係る負極活物質表面に被覆されているポリアミドイミドは、負極活物質と電解液との接触面積の増加の抑制や、充電および放電におけるリチウムイオンの挿入脱離に伴って生じる負極活物質の体積膨張や、負極活物質のクラックや微粉化によって生成される新生面の抑制を目的として被覆されている。
本実施形態に係る負極活物質を被覆しているポリアミドイミドとしては、強度、伸張率、弾性率、耐電解液性のほかに、溶媒への溶解性や加工性、コストなどの点から芳香族ポリアミドイミドが好ましい。
ポリアミドイミドの製造方法としては、芳香族ジアミンと無水トリメリット酸モノクロリドを用いる酸クロリド法、芳香族ジアミンから誘導された芳香族ジイソシアネートとトリメリット酸無水物を反応させるイソシアネート法、芳香族ジアミンとトリメリト酸無水物を脱水触媒の存在下に高温に加熱して反応させる直接重合法などによって製造することができる。なお、本実施形態のポリアミドイミドは、酸クロリド法で製造することができ、酸成分モノマーとして、無水トリメリット酸モノクロリド(TMAC)とジアミン成分を重合させ得られるものである。なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、次の酸性分モノマーを共重合成分として用いたものであってもよい。
前述の酸成分モノマーとしては、トリメリット酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、ダイマー酸、スチルベンジカルボン酸、あるいはこれらの酸無水物やこれらの酸クロリドを使用することができる。
一方、ジアミン成分モノマーとしては、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を必須成分とし、さらに前述の式(2)の構造に対応するジアミン成分モノマーを必要成分とする。さらに、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン成分モノマーを共重合成分として用いることもできる。
ポリアミドイミドの合成に使用できるジアミン成分モノマーとしては、例えば2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DADPM)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’− ベンジジンジスルホン酸(BDSA)、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、イソホロンジアミン、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
本実施形態における負極活物質の被覆材として用いられるポリアミドイミドは、前述の酸成分とジアミン成分から製造され、前述の式(1)および式(2)で表される繰り返し構造単位を有する共重合体であり、前述の式(1)および前述の式(2)のaとbのモル比率率が、それぞれ1〜100モル%、0〜99モル%の範囲内とすることで、リチウムイオン二次電池として優れた特性を発現することができる。
<ポリアミドイミドの製造方法>
ポリアミドイミドの製造は、前述の酸成分モノマーとジアミン成分モノマーを用いて、従来から知られる酸クロリド方法(特公昭42−15637号公報)で合成を行うのが好ましい。無水トリメリット酸クロリドと前述の少なくとも2種類以上のジアミン成分モノマーを、例えば40℃以下の低温で反応させ、ポリアミック酸を得て、その後加熱閉環または化学的閉環を行うことによりポリアミドイミドを得ることができる。
なお、ポリアミドイミドを重合する際に使用する有機溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキサイド、クレゾール等の極性溶媒が挙げられるが、N,N−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
また、得られたポリアミック酸重合溶液は、高速攪拌中の水やアセトンなどの溶媒中に注ぐことで、ポリアミック酸のポリマーを単離することができる。
前述の酸クロリド法で得られたポリアミック酸は、その後、加熱閉環(あるいは化学的閉環)をさせることによって、ポリアミドイミドを製造することができる。
1段階目で合成し単離したポリアミック酸のポリマーは、2段目のイミド閉環のプロセスにおいては、150〜300℃の大気中雰囲気下での加熱、あるいは真空下での加熱、あるいは不活性ガス下での加熱、あるいは無水酢酸などを用いた化学閉環などによって、ポリアミドイミドを得ることができる。
<加熱イミド閉環>
本実施形態のポリアミドイミドを製造する際に、この2段目の加熱イミド閉環プロセスにおいて、特に真空下での乾燥あるいは不活性ガス下での加熱閉環させることが好ましい。すなわち、本実施形態のポリアミドイミドの製造では、ポリアミック酸の加熱閉環は、真空乾燥下において150℃以上300℃以下の温度で加熱閉環イミド化することにより製造するのが好ましい。
<ポリアミドイミドワニス>
本実施形態におけるポリアミドイミドは、沸点160℃以上の非プロトン性極性溶媒に溶解し、ポリアミドイミドワニスとすることができる。
前述のポリアミドイミドワニスに使用される沸点160℃以上の非プロトン性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒が、溶解性、溶媒乾燥性の面から好ましい。
また、ワニスとしての特性を損なわない範囲で、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のイオウ系溶剤、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶剤、ジグライム、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤、γ−ブチロラクトンやテトラメチルウレア等を、混合溶剤として使用することが可能である。
本実施形態におけるポリアミドイミドワニスの製造方法は特に制限されるものではないが、使用目的の粘度や濃度に合わせて攪拌機、デイゾルバー、ホモジナイザー、3本ロール、サンドミル、ボールミル等を適宜組み合わせて製造することができる。
また、ワニス中のポリアミドイミドの比率は、ポリアミドイミドの対数粘度にもよるが、ポリアミドイミドワニスを100wt%に対し、ポリアミドイミドが5〜30wt%、非プロトン性極性溶媒が95〜70wt%であることが好ましい。ペーストを作製するワニスとしてのハンドリング性からは更に好ましくは、ポリアミドイミドが10〜20wt%、非プロトン性極性溶媒が90〜80wt%である。
<正極活物質>
リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および離脱させることが可能な材料、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、あるいはリチウムを含む層間化合物等のリチウム含有化合物が好適であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LixMOで表されるリチウム複合酸化物、あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)、鉄、アルミニウム、バナジウム(V)、チタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にもスピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn)や、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)なども、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素が挙げられる)、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素、またはVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)などが挙げられる。また、これらの材料に限定することはなく、他にも、リチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離する正極活物質材料であれば、特に制限はされない。
<導電助剤>
負極活物質層24および正極活物質層14において、導電性を向上させることを目的として導電助剤を追加で添加してもよい。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、およびグラファイトなどの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
<集電体>
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に活物質層が配置される。本実施形態のリチウムイオン二次電池として、集電体を構成する材料は特に限定するものではないが、負極20に用いられる負極集電体22としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金などの金属箔を用いることができる。特に銅、銅合金、ステンレス鋼が好ましく、コストの面からは電解銅箔および圧延銅箔によって製造された銅箔を好適に用いることができる。強度の面からは、ステンレス鋼や銅合金の圧延箔が好適に用いることができる。正極10に用いられる正極集電体12としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などの金属箔を用いることができ、特に正極集電体12としては、アルミニウム箔が好ましい。
<セパレーター>
セパレーター18は、負極20と正極10との間に配置され、両極の接触による電流の短絡を防止し、さらに電解質塩を含んだ電解液が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレーター18は、例えば微少な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、前述のセパレーター18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔フィルム、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前述のポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレーター18は、例えばその厚みが5μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲であるものが好ましい。
<電解液(溶媒)>
電解液は、前述したようにセパレーター18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前述の電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのはいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、前述の列挙した溶媒に限定することはなく、電解質塩を溶解しリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
また、前述の溶媒には、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルや、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などのフッ素化環状カーボネート、1,3−プロパンスルトン(PS)などの硫黄含有化合物、フォスファゼン化合物などの難燃性液体を混合して溶媒として用いることができる。
<電解液(電解質塩)>
電解液中に含まれる電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、電解液中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiC(SOCF、LiN(CFSO(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(CSO(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl、LiSiF、LiCl、LiCBO(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、負極20は以下のようにして製造することができる。例えば、負極活物質とポリアミドイミドと溶媒とを所定量の割合で混錬し、負極活物質とポリアミドイミドが均一に分散されたスラッジを作製する。そしてスラッジを100〜400℃の乾燥温度で溶媒を乾燥させ、乾燥物を解砕および粉砕させ、所定の目開きの篩に通すことで、ポリアミドイミド樹脂層が表面に被覆されたリチウムイオン二次電池用負極活物質を作製する。
そして、前述のリチウムイオン二次電池用負極活物質と、導電助剤と、バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。
ただし、前述の溶媒としてポリアミドイミド樹脂層に対して良溶媒を用いる場合、前述のスラッジの乾燥温度としては、200℃以上が望ましい。
200℃以上の温度で乾燥することで、負極活物質表面に被覆したポリアミドイミド樹脂層が、良溶媒に対しても溶解しにくくなり、負極活物質表面において被覆層として保持することができる。
また、前述のバインダーとしては、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレンブタジエンラバー(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの有機溶剤系のバインダーや水系バインダーが挙げられ、これらの1種類でもよく、複数種を用いることができる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
前述した溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機系溶媒であれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、クレゾールなどが挙げられ、水系溶媒であれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
次いで、この負極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する負極活物質層24を銅箔などの負極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させた。なお、前述の負極集電体22の両面に塗布された場合、負極活物質層24となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。前述の負極活物質が形成された負極20をロールプレス機などにより、負極活物質層24を負極集電体22の片面または両面に圧着させ、負極集電体22上の負極活物質層24と、負極集電体22との密着性を高めると同時に、所定の密度を有する負極シートとなる。
前述の負極シートは、金型を用いて所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極20とする。前述の負極20の面積は、正極10の面積よりも大きいサイズであることが好ましい。負極20の面積を、対向する正極10の面積よりも大きくして、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
前述の負極20は、真空中または不活性ガスの雰囲気中において前述のバインダーの熱分解する温度以下で熱処理することで、バインダーによる重合度の増加によって負極活物質層24と負極集電体22の界面、および負極活物質同士での密着性をさらに高めることができる。また、負極集電体22の表面に一定の表面粗さを有していれば、その表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体22の間にアンカー効果が作用し、さらに密着性が向上する。そのため、リチウムイオンの吸蔵・放出の際の活物質の体積の膨張・収縮による負極集電体22からの負極活物質層24の剥離を抑制することができる。
正極10は以下のようにして製造することができる。例えば、前述した正極活物質と、導電助剤と、バインダーと、溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製する。次いで、この正極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極活物質層14をアルミニウム箔などの正極集電体12の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、前述の正極集電体12の両面に塗布された場合、正極活物質層14となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。
前述の正極10に用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリウレタン、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、などの溶剤系バインダー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンーブタジエン共重合体などの水系バインダーが好適に用いることができる。
前述の正極活物質層14が形成された正極10をロールプレス機などにより、正極活物質層14を正極集電体12の片面または両面に圧着させ、正極活物質層14と正極集電体12との密着性を高めると同時に、所定の密度を有する正極シートとなる。
前述の正極シートは、金型を用いて所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極10とする。既に前述している通り、前述の正極10の面積は、負極20の面積よりも小さいサイズであることが好ましい。正極10の面積を、対向する負極20の面積よりも若干小さくすることで、簡易的にリチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
また前述の正極10においても負極20と同様に、使用するバインダーによって適宜熱処理を行っても良い。
続いて、負極20と正極10とをセパレーター18を介して積層することで電極体30を作製することができる。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて任意の積層数で構成された電極体を作製することができる。前述のセパレーター18は、負極20と正極10とが直接接触しないようにするために、金型を用いて両電極よりも電極サイズが大きく打ち抜いたものを好適に用いることができる。
次いで、前述の電極体30の負極20において、負極活物質層24を設けていない銅箔の突起端部に、ニッケル製の負極リード62を取り付け、一方、電極体30の正極10においては、正極活物質層14を設けていないアルミニウム箔の突起端部に、アルミニウム製の正極リード60を超音波溶接機によって取り付ける。そして、この電極体30を、アルミニウムのラミネートフィルムの外装体50内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、外装体50内に所定量の電解液を注入した後に、残りの1箇所を減圧しながらヒートシールすることにより密封し、リチウムイオン二次電池100を作製することができる。
このリチウムイオン二次電池100では、充電を行うと、例えば、正極活物質層14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層24に吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層24からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層14に吸蔵される。したがって、前述のリチウムイオン二次電池100は電気容量を貯蔵することができる。
以上、本発明に係る実施形態について詳細に説明したが、前述の実施形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、前述の実施の形態においては、ラミネートフィルム構造を有するリチウムイオン二次電池について説明したが、本実施形態では、正極および負極を折り畳んだり、あるいは積み重ねた構造を有するリチウムイオン二次電池についても同様に適用することができる。さらにコイン型、角型あるいは扁平型などのリチウムイオン二次電池についても好適に応用することができる。
以下、前述の実施形態に基づいて、さらに以下の実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下に記す実施例の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
<リチウムイオン二次電池用負極の作製>
a.ポリアミドイミドの合成
冷却管と窒素ガス導入口のついた反応容器(2000mlのガラス4つ口フラスコ)に重合溶媒としてジメチルアセトアミド(以下、DMAc)を610mLと、ジアミン成分として2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMB:ジアミン成分における試薬1)0.1g(0.0003モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA:ジアミン成分における試薬2)60.01g(0.297モル)、脱塩酸剤としてトリエチルアミン30.36g(0.3モル)を仕込み、溶液を攪拌してこれらのジアミン成分を完全に溶解させた。次いで、重合反応液の温度が40℃を超えない様に酸性分として無水トリメリット酸モノクロリド(以下、TMAC)63.17g(0.30モル)を徐々に添加し、添加終了後に重合液を30℃で保持させながら3.0時間攪拌し反応させ、重合溶液を得た。
得られた重合溶液を蒸留水1.7L中に再沈殿させて濾過分別し、ポリアミック酸の粉末を得た。さらに得られたポリアミック酸の粉末は、真空乾燥機中で150℃で2時間乾燥させた後に、次いで260℃で2時間の乾燥によってイミド閉環させることで、ポリアミドイミドの粉末を得た。
前述のポリアミドイミド粉末は、N−メチル−2−ピロリドン溶媒に固形分濃度20wt%となる様に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。
前述のポリアミドイミドワニスは、真空乾燥下において150℃で1時間熱処理し、N−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させ、得られた生成物をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計、および核磁気共鳴法(NMR)を用いて上記ポリアミドイミドの化学構造を解析し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて上記ポリアミドイミドの標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を算出した。
なお、FT−IRによるポリアミドイミドの解析においては、イミド基の吸収スペクトルは、νC−N:1380cm−1、νC=O:1780cm−1、アミド基の吸収スペクトルは、νN−H:1525cm−1、νC=O:1660cm−1、ベンゼン環の吸収スペクトルは、νC=C:1510cm−1、νC=O:1590cm−1、を用いてポリアミドイミドが合成されていることを確認した。
b.負極活物質へのポリアミドイミド樹脂層の被覆
負極活物質としてあらかじめ減圧下において1000℃の熱処理で不均化反応させた平均粒子径3μmのSiO(以下、SiOと表記する)を30gと、上記実施例1で作製したポリアミドイミドワニスを5gと、所定量のNMPとを容器に入れ、2000rpmの回転速度であわとり錬太郎(株式会社シンキー社製)により混錬させ、均一に分散したスラッジを得た。このスラッジを150℃の乾燥機中で溶媒を乾燥させ、乾燥物を解砕および粉砕し、篩を通して所定の粒径に揃えた。さらに250℃の乾燥機中で乾燥させ、粒子表面にポリアミドイミド樹脂層が被覆されたSiO負極活物質、つまり本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。
ポリアミドイミド樹脂層の被覆前後の負極活物質粒子を、レーザー回折式粒子径分布測定装置、ガス吸着式比表面積測定装置、X線光電子分光法(XPS)、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)にて解析した結果、負極活物質の各粒子の表面には、樹脂層が形成されており、負極活物質粒子に被覆された各樹脂層の平均被覆厚みを測定した結果、平均の被覆厚みは約0.05μmであり、負極活物質の粒子径に対する樹脂層の厚みの比率を以下の式より算出した結果、0.02であった。
樹脂層の被覆厚みの比率=樹脂層の平均被覆厚み÷負極活物質の平均粒子径×100
さらに、上記観察された負極活物質粒子の断面写真から、10個の負極活物質粒子を任意で選択し、各樹脂層の被覆率を概算した結果、樹脂層の平均被覆率は90%であった。なお被覆率は、負極活物質粒子断面の外周距離と、負極活物質粒子断面の樹脂層が被覆されている外周距離とを測定することで、以下の式より簡易的に算出した。
樹脂層の被覆率(%)=負極活物質粒子断面の樹脂層が被覆されている外周距離÷負極活物質粒子断面の外周距離×100
例えば、負極活物質粒子断面の外周距離が10μmであり、そのうち、負極活物質粒子断面の樹脂層が被覆されている外周距離が9μmである場合、上記式で算出すると被覆率は90%となる。
c.負極の作製
前述のポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO負極活物質を80wt%と、導電助剤としてアセチレンブラックを5wt%とを添加し、さらにバインダーとしてフッ素を構造内に含んでいないポリアミドイミドのワニスを、ポリアミドイミドが固形分として15wt%になるように調整して添加し、これらを混合分散させた。最後にN−メチル−2−ピロリドンの溶媒を添加し、所定の粘度に調整させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に負極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて110℃の大気雰囲気下で前述の負極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。前述の負極活物質が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する負極シートを得た。
前述の負極シートは、電極金型を用いて21×31mmの電極サイズに打ち抜き、そして熱処理炉にて30℃/minの高速昇温で300℃まで昇温し、1時間保持した後に室温まで急冷させ、実施例1に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、前述の熱処理は真空中にて実施した。
(実施例2〜8、比較例1)
ジアミン成分の試薬およびモル比率を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の手順でポリアミック酸を重合して、加熱によりイミド閉環処理を行い、種々のポリアミドイミド粉末を得た。また、各得られたポリアミドイミド粉末は、N−メチル−2−ピロリドン溶媒に20wt%となる様に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製し、さらに負極活物質の粒子表面に各ポリアミドイミド樹脂層を被覆させ、実施例2〜8および比較例1に係る負極活物質およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(比較例2)
負極活物質の粒子表面の被覆材として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)に変更した以外は、実施例1と同様の手順で負極活物質の粒子表面にPVdF樹脂層を被覆させ、比較例2に係る負極活物質およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(実施例9〜14)
実施例3の合成条件にてポリアミック酸粉末を作製し、イミド閉環における乾燥温度および乾燥時間を種々変更することで、表2に示した重量平均分子量(Mw)に調整されたポリアミドイミド粉末をそれぞれ得た。なお、得られた各ポリアミドイミド粉末は、N−メチル−2−ピロリドン溶媒に20wt%となる様に溶解させ、ポリアミドイミドワニスを作製した。さらに前述の各ポリアミドイミドワニスは、真空乾燥下において150℃で熱処理し、得られた生成物をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって重量平均分子量(Mw)を解析した。さらに、実施例3と同様の手順で負極活物質の粒子表面に各ポリアミドイミド樹脂層を被覆させ、実施例9〜14に係る負極活物質およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(実施例15〜18)
実施例3で作製した負極活物質におけるポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みを表3に示す厚みにそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様の手順で、実施例11〜14に係る負極活物質およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、ポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みは、ポリアミドイミドワニスの固形分濃度、混錬回数にて調整した。
(比較例3)
比較例3では、負極活物質にポリアミドイミド樹脂層を被覆せずに、実施例1と同様の手順で、リチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(実施例19〜22)
実施例2で作製したポリアミドイミド樹脂層の被覆率を表4に示す値にそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様の手順で、実施例19〜22に係る負極活物質およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、ポリアミドイミド樹脂層の被覆率は、ポリアミドイミドワニスの固形分濃度、混錬回数にて調整した。
(実施例20〜23)
負極に含まれる負極活物質として、実施例1、3、5、7に係る各SiOと、黒鉛とを1:1の重量比でそれぞれ混合させたものを用いた以外は、実施例3と同様の手順にて、実施例20〜23に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(比較例4)
負極に含まれる負極活物質として、比較例3に係るSiOと、黒鉛とを1:1の重量比で混合させたものを用いた以外は、比較例3と同様の手順にて、比較例4に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(実施例24〜27)
実施例1、3、6、8に係るリチウムイオン二次電池の作製において、負極活物質層に含まれる活物質として、Siに変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例24〜27に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(比較例5)
比較例1に係るリチウムイオン二次電池の作製において、負極活物質層に含まれる活物質として、Siに変更した以外は、比較例1と同様の手順にて、比較例5に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
<リチウムイオン二次電池用正極の作製>
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を96wt%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2wt%と、バインダーとしてPVdFを2wt%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に正極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で前述の正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。なお、前述のアルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。前述の正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極シートを得た。
前述の正極シートは、電極金型を用いて20×30mmの電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用正極を作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
前述の作製した実施例1〜27および比較例1〜5の各負極は、前述の正極とを、厚さ16μmの22×33mmサイズのポリエチレン製のセパレーターを介して積層し、各電極体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて4層で構成された電極体を作製した。なお、前述の負極および正極は、両面に各活物質層を備えているため、負極3枚と正極2枚とセパレーター4枚とで構成されている。さらに、前述の電極体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、電極体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波融着機によって取り付けた。そしてこの電極体を、外装体用のアルミニウムのラミネートフィルムに融着させ、前述のラミネートフィルムを折り畳むことで前述の電極体を外装体内に挿入させた。外装体周囲の1辺を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、この開口部より、EC/DECが3:7の割合で配合された溶媒中に、リチウム塩として1モル濃度のLiPFが添加された電解液を注入した。そして、前述の外装体の開口部を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例および比較例に係るリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。
<評価>
実施例と比較例で作製したリチウムイオン二次電池は、以下の電池特性について評価した。
(充放電サイクル特性)
実施例1〜27および比較例1〜5で作製したリチウムイオン二次電池は、下記に示す充放電試験条件によって充放電を繰り返し、充放電サイクル特性を評価した。充放電サイクル試験条件は、25℃の温度下において、0.5Cの定電流で4.2Vになるまで定電流定電圧充電(CC−CV充電)を行い、その後、1.0Cの定電流で電池電圧が2.5Vとなるまで放電させた(CC放電)。上記の充電と放電を1サイクルとし、これを300サイクル繰り返した後の放電容量維持率によって、充放電サイクル特性を評価した。
なお、300サイクル後の放電容量維持率は、以下の計算式によって定義される。
300サイクル後の放電容量維持率(%)=(300サイクル後の放電容量÷1サイクル後の放電容量)×100
(電池セルの厚み膨張)
実施例および比較例で作製した各リチウムイオン二次電池の充放電前のセル厚みと300サイクル終了した時点のセルの厚みを測定することで、セル厚みの膨張率を評価した。なお、膨張率は以下の計算式によって定義した。
膨張率(%)=(300サイクル後のセル厚み(mm)−充放電前のセル厚み(mm))÷充放電前のセル厚み(mm)×100
(結果)
酸クロリド法によって合成した式(1)および式(1)と式(2)の単位構造の共重合モル比率が種々変更されたポリアミドイミド樹脂層をSiO負極活物質の粒子表面に被覆した実施例1〜8に係るリチウムイオン二次電池と、前述の式(1)を含まないポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO負極活物質を用いた比較例1に係るリチウムイオン二次電池と、PVdF樹脂層を被覆したSiO負極活物質を用いた比較例2に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表1に示す。なお、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性については、比較例1の測定結果をそれぞれ100%として、比較例1の測定結果に対する相対比として示す。
Figure 0006520497
フッ素を分子構造内に含んだポリアミドイミド樹脂層を被覆した負極活物質を使用した実施例1〜8に係るリチウムイオン二次電池では、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性が比較例よりも優れていた。また、樹脂層としてPVdFを被覆した比較例2に係るリチウムイオン二次電池では、PVdF分子構造内にフッ素を含んでいるものの、実施例よりも充放電サイクル特性は大きく劣っていた。
実施例3に係るリチウムイオン二次電池において、充放電サイクル前と充放電10サイクル後の電池をそれぞれドライルーム内で分解し、負極を取り出してDMC(ジメチルカーボネート)で洗浄後、上記負極のSiO負極活物質表面を20,000倍の倍率にてSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)装置にて点分析したときのEDXスペクトル結果を図2および図3に示す。
また、比較例1のリチウムイオン二次電池も同様に充放電サイクル前と、充放電10サイクル後の負極を取り出して、DMC(ジメチルカーボネート)で洗浄後、SiO負極活物質表面を20,000倍の倍率にてSEM−EDX装置にて点分析したときのEDXスペクトル結果を図4および図5に示す。
実施例3で作製したリチウムイオン二次電池の充放電前のSiO負極活物質表面のEDXスペクトル(図2)では、ケイ素(Si)、酸素(O)、炭素(C)が検出されたのに対し、10サイクル後のEDXスペクトル(図3)では、上記元素の他に、フッ素(F)が検出された。一方、比較例1における充放電前のSiO負極活物質表面のEDXスペクトル(図4)、および10サイクル後のSiO負極活物質表面のDEXスペクトル(図5)では、Si、O、Cの元素は検出されたが、Fは検出されなかった。したがって、本実施形態に係る負極活物質および負極では、充放電過程にSiO負極活物質表面にフッ素化合物が形成されることが確認された。
本実施形態に係るSiO負極活物質の粒子表面に被覆されたポリアミドイミド樹脂層において、重量平均分子量の異なるポリアミドイミドを用いた実施例3、および実施例9〜14に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表2に示す。なお、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性については、実施例9の測定結果をそれぞれ100%として、実施例9の測定結果に対する相対比として示す。
Figure 0006520497
表2より、実施例に係るSiO負極活物質の粒子表面に被覆されたポリアミドイミド樹脂層においては、重量平均分子量(Mw)が4,000〜150,000の範囲である場合、比較例よりも電池セルの膨張率、ならびに充放電サイクル特性が優れており、特にMwが6,000〜100,000の範囲である場合に、より充放電サイクル特性が優れることが確認された。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池において、SiO負極活物質の粒子表面に被覆したポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みを種々変更した比較例3ならびに実施例3〜18に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表3に示す。なお、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性については、比較例3の測定結果をそれぞれ100%として、比較例3の測定結果に対する相対比として示す。
Figure 0006520497
表3より、SiO粒子の表面にポリアミドイミド樹脂層が少なからず被覆された場合では、電池セルの膨張率、充放電サイクル特性が向上することが確認された。特に、SiOの粒径に対して上記樹脂層の被覆厚みの比率が、0.002〜0.33となる場合、特に充放電サイクル特性が優れた。
ポリアミドイミド樹脂層の被覆率を種々に変更した実施例3および実施例19〜22に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表4に示す。なお、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性については、比較例3の測定結果をそれぞれ100%として、比較例3の測定結果に対する相対比として示す。

Figure 0006520497
ポリアミドイミド樹脂層の被覆率として1〜100%の範囲にある場合、比較例よりも電池セルの膨張が抑制され、さらに充放電サイクル特性が優れた。特に10〜90%の範囲である場合、より特性が優れるのを確認した。
負極活物質として、ポリアミドイミド樹脂層を被覆した実施例1、3、5、7に係るSiOと黒鉛とを複合させた実施例20〜23に係るリチウムイオン二次電池と、ポリアミドイミド樹脂層を被覆していないSiOと黒鉛とを複合させた比較例4に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表5に示す。なお、電池セルの膨張率および充放電サイクル特性については、比較例4の測定結果をそれぞれ100%として、比較例4の測定結果に対する相対比として示す。
Figure 0006520497
本発明に係るポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiOx負極活物質は、黒鉛と複合させた場合においても、リチウムイオン二次電池として良好な電池セルの膨張抑制、ならびに良好な充放電サイクル特性を示すことを確認した。
本実施形態に係るポリアミドイミド樹脂層を被覆したSiO負極活物質では、その他負極活物質として黒鉛と複合させた場合においても、良好な充放電サイクル特性が確認された。
負極活物質として、Siを用いた場合の実施例24〜27と比較例5に係るリチウムイオン二次電池の電池特性の結果を表6に示す。なお、電池セルの厚み膨張率および充放電サイクル特性については、比較例5の測定結果をそれぞれ100%として、比較例5の測定結果に対する相対比として示す。
Figure 0006520497
負極活物質としてSiを用いた場合においても、本実施例のポリアミドイミドを被覆した負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池では、比較例のポリアミドイミドを被覆した場合よりも電池セルの膨張率の抑制、ならびに良好な充放電サイクル特性が得られることを確認した。
100・・・リチウムイオン二次電池、10・・・正極(同義:リチウムイオン二次電池用正極)、12・・・正極集電体、14・・・正極活物質層、60・・・正極リード、
20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極活物質層、62・・・負極リード、18・・・セパレーター、30・・・電極体、50・・・外装体

Claims (8)

  1. リチウムイオンの吸蔵および放出が可能なリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、前記負極活物質は、下記の式(1)または、下記の式(1)と式(2)の繰り返し構造単位を有するポリアミドイミド樹脂層によって、前記負極活物質の粒子表面の少なくとも一部が被覆されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。ただし、式中のaおよびbの値は、各構造単位の共重合割合であり、モル比率で表される。
    Figure 0006520497
    Figure 0006520497
    (ただし、式(2)中のArは、芳香環を有するアリール基を示し、式(3)、式(4)、式(5)のいずれかを示す。R1〜R4、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、メチル基、ハロゲン、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、またはハロゲン化メチル基からなる群より選択される置換基を示す。また、式(4)中のR5は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−(CH2)n−、−C(CH3)2−を示す。なお、−(CH2)n−のnは、0以上5以下の整数である。)
    Figure 0006520497
    Figure 0006520497
    Figure 0006520497
  2. 前記ポリアミドイミド樹脂層において、前記aのモル比率が、1〜100モル%であり、前記bのモル比率が、0〜99モル%であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 前記ポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)が、4,000〜100,000であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 前記ポリアミドイミド樹脂層の重量平均分子量(Mw)が、6,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. 前記ポリアミドイミド樹脂層の被覆厚みが、前記負極活物質の粒径に対し、厚みの比率として0.002〜0.33であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. 前記ポリアミドイミド樹脂層の被覆率が、1〜100%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  7. 集電体および前記集電体上に形成された負極活物質層を備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、前記負極活物質層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、前記負極活物質として、ケイ素(Si)、ケイ素化合物の少なくとも一方を含んでいることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 負極と、正極と、負極と正極との間に配置されるセパレーターと、電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、前記負極は、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用負極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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