<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1(a),(b)に例示した駐車設備は、第1立体駐車部10、第2立体駐車部20、車両待機部30、車両移送部40、及び、管理装置50を有している。そして、パレットPTに載せられた車両を、車両移送部40によって、各立体駐車部10,20と車両待機部30との間で移送する。
図1(a)に示すように、第1立体駐車部10及び第2立体駐車部20は、車両を駐車するための駐車スペース11,21を複数階に亘って有している。各立体駐車部10,20において、車両の入出庫部12,22は建物の最下階に設けられており、建物内部における入出庫部12,22の上方は空間となっている。本実施形態の各立体駐車部10,20において、入出庫部12,22は地下1階に設けられている。そして、各立体駐車部10,20には、入出庫部12,22の上方空間を昇降する駐車用リフト13,23(図3を参照)が設けられている。
駐車スペース11,21は各立体駐車部10,20の各階に設けられている。入庫時において入出庫部12,22の車両は、駐車用リフト13,23によってパレットPTに載せられた状態で上方の階まで移送され、その階に設けられたローラー(図示せず)によって水平方向へ移送される。そして、空いている駐車スペース11,21にパレットPTごと格納される。一方、出庫時において、駐車スペース11,21に格納されている車両は、ローラーによってパレットPTごと入出庫部12,22上の空間まで移送される。そして、この空間で駐車用リフト13,23に移された車両は、パレットPTごと入出庫部12,22に戻される。
これらの第1立体駐車部10及び第2立体駐車部20は、いずれも同じ構造を有している。そして、入出庫部12,22と駐車スペース11,21との間で車両が移送可能なように、同一階において入出庫部12,22同士が互いに連通されている。なお、図示の例では、各立体駐車部10,20の最下階において、入出庫部12,22同士が連通されているが、途中階で連通されていてもよく、最上階で連通されていてもよい。
車両待機部30は、車両を待機させるための待機スペース31,32を複数有する部分であり、本実施形態では入出庫部12,22よりも1階分高い建物外の地上面(建物の1階相当の高さ)に設けられている。待機スペース31,32は、入庫車両が待機する入庫待機スペース31と出庫車両が待機する出庫待機スペース32とを有している。入庫待機スペース31は入庫車両が通る入庫車路33の終点に設けられ、出庫待機スペース32は出庫車両が通る出庫車路34の出発点に設けられている。
すなわち、図1(a)における中央下部に3台分の入庫待機スペース31(31L,31C,31R)が設けられ、この入庫待機スペース31から後述の利用者通路35を挟んで対面の位置に、3台分の出庫待機スペース32(32L,32C,32R)が設けられている。なお、これらの待機スペース31,32には、それぞれパレットPTが配置されている。従って、運転者は、入庫時において入庫待機スペース31のパレットPT上に車両を停車させ、出庫時において出庫待機スペース32のパレットPTから車両を発進させる。
入庫待機スペース31と出庫待機スペース32との間のスペースには、これらの待機スペース31,32に隣接して利用者通路35が設けられている。利用者通路35は、入庫待機スペース31に停められた入庫車両から降りた利用者や、出庫待機スペース32に停められた出庫車両に乗り込む利用者が通るための通路である。この利用者通路35は、入庫待機スペース31よりも入庫方向の前方であって、出庫待機スペース32よりも出庫方向の後方に設けられている。すなわち、利用者通路35は、入庫車両や出庫車両の動線とは重ならない位置に設けられている。
後述するように、入庫待機スペース31に停められた入庫車両は、車両移送部40が有する入庫リフト機構43によって下方へ移送される。また、出庫待機スペース32に停められる出庫車両は、車両移送部40が有する出庫リフト機構45によって下側から持ち上げられる。
車両移送部40は、複数の待機スペース31(31L,31C,31R),32(32L,32C,32R)のうちの任意の待機スペース31,32と各入出庫部12,22との間で車両を移送するように構成されている。この車両移送部40は、入庫時において入庫待機スペース31で待機している車両を各入出庫部12,22へ移送し、出庫時において各入出庫部12,22に戻された車両を空いている出庫待機スペース32へ移送する。
図2及び図3に示すように、車両移送部40は、共用移送機構41と、入庫移送機構42と、入庫リフト機構43と、出庫移送機構44と、出庫リフト機構45とを有する。
共用移送機構41は、直線状の共用移送経路に沿って入出庫部12,22に対する車両の移送を行う機構であり、パレットPTごと車両を移送するローラーによって構成されている。本実施形態では、第1立体駐車部10と第2立体駐車部20とが隣接した状態に設けられているので、共用移送経路は、第1立体駐車部10の第1入出庫部12と第2立体駐車部20の第2入出庫部22とを結ぶ方向に形成される。
入庫移送機構42は、入庫用移送経路に沿って入庫車両の移送を行う機構であり、共用移送機構41と同様に、パレットPTごと車両を移送するローラーによって構成されている。本実施形態の入庫移送機構42は、入庫待機スペース31の下方から共用移送機構41まで、倒L字状の移送経路に沿って入庫車両を移送する。
入庫リフト機構43は、入庫待機スペース31と入庫移送機構42との間で、パレットPTを昇降させる機構である。本実施形態の入庫リフト機構43は、伸縮可能なジャッキ機構によって構成されている。このジャッキ機構は、パレットPTを支える支持部43aと、この支持部43aが上端に取り付けられ、上下方向に伸縮する支柱部分43bとを有している。支持部43aは、パレットPTを裏面から支える板状部材である。支柱部分43bは、油圧によって上下方向に伸縮するように構成されている。そして、この入庫リフト機構43は、入庫待機スペース31に設けられたパレットPT毎に設けられている。
支柱部分43bの伸長時において支持部43aに支えられたパレットPTは、地上面と同じ高さに位置付けられる。このため、入庫車路33を走行してきた入庫車両は、パレットPTの上に車両を停車させることができる。一方、収縮時において支柱部分43bは、支持部43aが入庫移送機構42よりも下方に位置するまで収縮している。これにより、支持部43aがパレットPTから離れた状態になっている。このため、パレットPTは、入庫待機スペース31の真下に定められた、入庫移送機構42に載せられる。従って、待機スペース31のパレットPTの上に入庫車両を載せた状態で入庫リフト機構43を動作させることにより、入庫車両をパレットPTごと入庫移送機構42に受け渡すことができる。
出庫移送機構44は、出庫用移送経路に沿って出庫車両の移送を行う機構であり、共用移送機構41と同様に、パレットPTごと車両を移送するローラーによって構成されている。本実施形態の出庫移送機構44は、出庫待機スペース32の下方から共用移送機構41まで、倒L字状の移送経路に沿って出庫車両を移送する。
出庫リフト機構45は、出庫待機スペース32と出庫移送機構44との間で、パレットPTを昇降させる機構である。本実施形態の出庫リフト機構45は、前述した入庫リフト機構43と同様に、パレットPTを支える支持部45aと上下方向に伸縮する支柱部分45bとを有するジャッキ機構によって構成されている。この出庫リフト機構45は、出庫移送機構44によって移送されてきた出庫車両をパレットPTごと上昇させ、出庫待機スペース32に配置する。このため、出庫待機スペース32の出庫車両は、パレットPTの上から出庫車路34へと発進することができる。
管理装置50は、駐車設備における制御部に相当する部分であり、図1(b)に示すように、プログラムの実行によって制御動作を行うCPU51やプログラム等を記憶するメモリ52を有している。この管理装置50は、例えば、管理室53(図1(a)参照)に設置されている。そして、第1立体駐車部10、第2立体駐車部20、及び、車両移送部40と電気的に接続されており、各部の動作を制御する。
また、管理装置50は、入出庫スイッチ53及び車両検出センサ54と電気的に接続されている。入出庫スイッチ53は、車両の入庫時や出庫時にて利用者が操作するスイッチである。そして、入庫時の操作により、入庫動作の開始を指示する情報を管理装置50へ出力する。また、出庫時の動作により、出庫動作の開始を指示する情報、及び、出庫対象の車両を特定する情報を管理装置50へ出力する。この入出庫スイッチ53は、例えば利用者通路35を区画する壁面に設けられている。
車両検出センサ54は、入庫待機スペース31L〜31R及び出庫待機スペース32L〜32Rのそれぞれについて、車両が停車しているか否かを検出するセンサである。車両検出センサ54による検出信号は、車両停車情報として管理装置50に出力される。従って、車両検出センサ54からの車両停車情報によって管理装置50は、入庫対象の車両が停車している入庫待機スペース31L〜31Rを認識できる。また、この車両停車情報によって管理装置50は、出庫対象の車両を移動させる際に、空いている出庫待機スペース32L〜32Rを認識できる。
さらに、管理装置50は、外部の通信回線61を通じて駐車設備の利用者が使用する端末装置(パーソナルコンピュータ62、携帯電話63、情報盤64)と通信可能に構成される。この管理装置50は、予約情報を受け付けた場合、端末装置62〜64からの操作に応じて、入庫予約情報や出庫予約情報を取得する。
次に、駐車設備の動作について説明する。まず、入庫時の動作について説明する。
入庫を希望する利用者は、空いている入庫待機スペース31L,31C,31Rに車両を停車させる。そして、利用者通路35に移動して入出庫スイッチ53を操作し、管理装置50に対して入庫の指示を与える。このとき、入庫待機スペース31L〜31Rに車両を停車させた利用者は、利用者通路35に設置された入出庫スイッチ53まで移動する(図4(a)の黒矢印を参照)。前述したように、利用者通路35が入庫車両の動線に重ならない位置に設けられているので、利用者通路35を移動中の利用者は、他の車両を何ら気にすることなく、入出庫スイッチ53まで移動でき、駐車設備の外へ出ることができる。
管理装置50は、入出庫スイッチ53からの入庫指示情報及び車両検出センサ54からの車両停車情報によって、入庫車両が停車している入庫待機スペース31L〜31Rを特定する。そして、特定した入庫待機スペース31L〜31Rに停車されている車両の移動を開始する。
また、入庫を希望する利用者は、端末装置62〜64を操作して管理装置50と通信をし、入庫予約をしてもよい。端末装置62〜64による入庫予約操作により、管理装置50は入庫予約情報を取得する。この入庫予約情報には、入庫時刻と入庫待機スペース31L〜31Rとを指定する情報が含まれてもよい。入庫の予約をしたならば、利用者は、入庫予約情報で指定された時刻よりも前に、入庫予約情報で指定した或いは管理装置50が指示した入庫待機スペース31(パレットPT上)へ車両を停車させる。そして、車両の利用者は利用者通路35を通って移動する。
入庫予約情報で指定された時刻になると、管理装置50は、車両検出センサ54からの車両停車情報に基づき、入庫予約情報で指定した或いは管理装置50が指示した入庫待機スペース31L〜31Rに入庫車両が停車していることを確認した上で、その入庫待機スペース31L〜31Rに停車されている車両の移動を開始する。
車両の入庫時において、管理装置50は、入庫の制御信号を車両移送部40へ出力する。この制御信号を受信した車両移送部40は、入庫待機スペース31に停まっている車両を入出庫部12,22へ移送する。そして、入出庫部12,22まで移送された車両は、立体駐車部10,20の空いている駐車スペース11,21に格納される。
図4の例では、入庫待機スペース31Lの車両Xを第2入出庫部22へ移送するように定められている。このため、車両移送部40は、図中左側の入庫待機スペース31Lに停まっている車両Xを第2入出庫部22へ移送する。すなわち、車両移送部40の入庫リフト機構43は、入庫待機スペース31Lに停まっている車両XをパレットPTごと下降させ、入庫移送機構42の上に載せる。その後、入庫移送機構42は、車両XをパレットPTごと共用移送機構41まで移動させる。共用移送機構41は、車両XをパレットPTごと第2入出庫部22まで移送する。
第2入出庫部22へ車両Xが移送されたならば、車両移送部40は、その旨を示す通知信号を管理装置50へ出力する。管理装置50は、この通知信号の受信を契機にして第2立体駐車部20へ制御信号を出力する。第2立体駐車部20は、第2入出庫部22の車両XをパレットPTごと移送する。すなわち、駐車用リフト23を作動させて空いている駐車スペース21のある階まで車両を上昇させる。その後、ローラーを作動させてリフト上の車両を水平方向へ移送し、空いている駐車スペース21に格納させる。
次に出庫時の動作について説明する。
出庫を希望する利用者は、端末装置62〜64を操作して管理装置50と通信をし、出庫予約をする。端末装置62〜64による出庫予約操作により、管理装置50は出庫予約情報を取得する。この出庫予約情報には、出庫対象の車両を特定する情報と、出庫時刻を指定する情報が含まれている。そして、出庫予約情報で指定された時刻から車両の移送に必要な時間分だけ前の時刻において、管理装置50は、出庫の制御信号を対象の立体駐車部10,20へ出力する。この制御信号を受信した立体駐車部10,20は、出庫予約情報で特定された車両の移動を開始する。
車両の出庫時において、管理装置50は、出庫の制御信号を立体駐車部10,20へ出力する。この制御信号を受信した立体駐車部10,20は、駐車スペース11,21に格納されている車両を入出庫部12,22へ移送する。そして、車両移送部40は、入出庫部12,22まで移送された車両を、特定した出庫待機スペース32L〜32Rまで移送する。
図5の例では、第1立体駐車部10に駐車されている車両Xを出庫待機スペース32Rへ移送するように定められている。このため、第1立体駐車部10は、駐車スペース11に格納されている車両XをパレットPTごと第1入出庫部12へ移送する。そして、第1入出庫部12へ車両Xが移送されたならば、第1立体駐車部10は、その旨を示す通知信号を管理装置50へ出力する。管理装置50は、この通知信号に基づいて車両移送部40に制御信号を出力する。車両移送部40の出庫移送機構44(図示せず)は、第1入出庫部12へ移送された車両Xを、図中右側の出庫待機スペース32RまでパレットPTごと移送する。そして、出庫を予約した者は、出庫予約情報で指定された時刻に出庫待機スペース32Rへ行き、車両Xを受け取って出発する。
このとき、出庫車両Xの利用者は、利用者通路35を通って出庫待機スペース32Rに移動する。ここでも、利用者通路35が出庫車両の動線に重ならない位置に設けられているので、利用者通路35を移動中の利用者は、他の車両を何ら気にすることなく、出庫待機スペース32Rに停まっている自らの車両Xに乗り込むことができる。
また、出庫を希望する利用者は、入出庫スイッチ53を操作し、管理装置50に対して出庫の指示を与えてもよい。このとき利用者は、利用者通路35を通って入出庫スイッチ53まで移動する。ここでも、利用者通路35が出庫車両の動線に重ならない位置に設けられているので、利用者通路35を移動中の利用者は、他の車両を何ら気にすることなく、入出庫スイッチ53まで移動し、車両に乗り込むことができる。
出庫指示を受けた管理装置50は、車両検出センサ54からの車両停車情報によって、空いている出庫待機スペース32L〜32Rを認識し、空いている1つの出庫待機スペース32L〜32Rを出庫用のスペースとして認識し、次の出庫車両を配車する。そして、入出庫スイッチ53の操作で特定された車両の移動を開始する。
以上説明したように、本実施形態の駐車設備によれば、車両の動線と利用者の動線とを区別でき、車両の入出庫を円滑に行わせることができる。
また、1台の車両を待機させる待機スペース31L〜32Rを、車両待機部30に複数設けているので、入庫時にあっては、入庫待機スペース31に車両を停車させたら利用者は車両から離れることができる。また、出庫を予約した場合には、出庫の予定時刻にあわせて出庫待機スペース32に車両を配車することができる。このため、利用者の待ち時間を短縮することができ、利用者に対する利便性を向上させることができる。
さらに、本実施形態の駐車設備では、入庫車路33の終点に入庫待機スペース31を設け、出庫車路34の出発点に出庫待機スペース32を設け、かつ、入庫待機スペース31よりも入庫方向の前方であって出庫待機スペース32よりも出庫方向の後方に利用者通路35を設けている。このため、利用者通路35を、入庫車両の利用者と出庫車両の利用者とで共用できる。その結果、限られた大きさの領域を有効活用することができる。
加えて、本実施形態の駐車設備では、車両移送部40が、車両を載せるパレットPTを待機スペース31,32から入庫移送機構42や出庫移送機構44(すなわち移送位置)まで降ろすリフト機構43,45を備えているので、パレットPTに載せた車両をリフト機構43,45で昇降させることができる。その結果、入出庫対象の車両と他の待機スペース31,32で待機している車両とが干渉し難くなり、車両の入出庫を円滑に行わせることができる。
<第1実施形態の変形例>
次に第1実施形態の駐車設備の変形例について説明する。図6及び図7に示すように、この駐車設備は、利用者通路35の下方まで共用移送機構41を延長している。そして、共用移送機構41で移送された車両を、個別移送機構46によってリフト機構43,45まで移送している点が、前述した第1実施形態の駐車設備と相違している。
個別移送機構46(46L〜46R)は、複数の入庫待機スペース31L〜31Rと複数の出庫待機スペース32L〜32Rのそれぞれに対応して設けられている。そして、対応する待機スペース31,32と共用移送部41との間で車両を移送する。この個別移送機構46もまた、パレットPTごと車両を移送するローラーによって構成されており、共用移送経路と直交する個別移送経路に沿って車両を移送する。
変形例の駐車設備では、個別移送機構46による個別移送経路が、各入庫リフト機構43や各出庫リフト機構45のそれぞれに対応して設けられているので、或るリフト機構43,45の動作と他のリフト機構43,45の動作が干渉しない。すなわち、各リフト機構43,45は、他のリフト機構43,45の動作状態にかかわらず、独立して動作することができる。このため、或るリフト機構43,45の動作が終了するまで、他のリフト機構43,45への車両の移送を待機させる必要がなく、入出庫の動作を効率よく行うことができる。
<第2実施形態>
次に第2実施形態の駐車設備について説明する。本実施形態の駐車設備は、主に入庫待機スペース31と出庫待機スペース32の階層が異なっている点が、前述した第1実施形態の駐車設備と相違している。以下、相違点を中心に本実施形態を説明する。
図8及び図9に示すように、本実施形態の駐車設備では、入庫待機スペース31が建物外の地上面(1F)に設けられており、出庫待機スペース32が地下1階(B1F)に設けられている。また、立体駐車部70に関し、第1実施形態の入出庫部12,22に代えて、入庫部71と出庫部72とが個別に設けられている。また、入庫部71や出庫部72よりも上の階層には複数の駐車スペース73が設けられている。
入庫部71は、入庫移送機構42´や入庫リフト機構43´とともに地下1階に設けられており、出庫部72は、出庫移送機構44´や出庫リフト機構45´とともに地下2階(B2F)に設けられている。そして、入庫部71に対応して入庫側駐車用リフト75が設けられ、出庫部72に対応して出庫側駐車用リフト76が設けられている。
入庫移送機構42´は、入庫待機スペース31の下方から入庫部71までL字状の移送経路に沿って入庫車両を移送する。入庫リフト機構43´は、各入庫待機スペース31L〜31Rと入庫移送機構42´との間で車両をパレットPTごと昇降させる機構である。なお、入庫リフト機構43´はエレベータタイプである点で、第1実施形態の入庫リフト機構43と相違している。出庫移送機構44´は、出庫部72から各出庫待機スペース32L〜32Rまで倒L字状の移送経路に沿って出庫車両を移送する。出庫リフト機構45´は、各出庫待機スペース32L〜32Rと出庫移送機構44´との間で車両をパレットPTごと昇降させる機構である。
また、入庫車路33には、入庫待機スペース31L〜31Rについての空き状態を示す入庫案内表示器56が設けられ、利用者通路35Bには、出庫待機スペース32L〜32Rについての空き状態を示す出庫案内表示器57が設けられている。これらの表示器56,57は管理装置50によって動作が制御される。例えば、待機スペース31,32が空いている場合には緑色や丸印で点灯され、待機スペース31,32が塞がっている赤色や×印で点灯される。これにより、利用者は、何れの待機スペース31,32を利用すればよいかを容易に認識することができる。その結果、利用者に対する利便性を高めることができる。
この立体駐車部70では、車両の入庫時において、入庫部71まで移送された車両を入庫側駐車用リフト75によってパレットPTごと上方へ移送する。入庫側駐車用リフト75によって空き駐車スペース73のある階まで移送された車両は、入庫側駐車用リフト75からスライダー74に移され、スライダー74を経由して空き駐車スペース73に格納される。また、車両の出庫時において、出庫車両が載せられたパレットPTをスライダー74まで移送し、このスライダー74を経由して出庫側駐車用リフト76に移す。そして、出庫側駐車用リフト76によって出庫部72まで下降させる。
利用者通路に関して本実施形態では、入庫待機スペース31よりも入庫方向の前方に隣接して、入庫側の利用者通路35Aが設けられている。同様に、出庫待機スペース32よりも出庫方向の後方に隣接して、出庫側の利用者通路35Bが設けられている。すなわち本実施形態の利用者通路35A,35Bは、車両の動線と重ならない位置に設けられている点において第1実施形態と同様であるが、利用者通路35が入庫側35Aと出庫側35Bとに分けられ、かつ、異なる階層に設けられている点で第1実施形態と相違している。
本実施形態では、入庫部71と出庫部72とに分かれたことから、入庫移送機構42´は入庫部71に直接車両を移送し、出庫移送機構44´は出庫部72から直接車両を受け取るように構成されている。
すなわち、車両の入庫時において、入庫待機スペース31の車両は、入庫リフト機構43によってパレットPTごと地下1階の入庫移送機構42´に載せられ、この入庫移送機構42´によって入庫部71まで移送される。そして、入庫部71まで移送された車両は、入庫側駐車用リフト75によって上方の階まで移送され、空いている駐車スペース73にパレットPTごと格納される。
図10の例において、車両移送部40は、中央の入庫待機スペース31Cに停まっている車両Xを入庫部71へ移送する。すなわち、車両移送部40の入庫リフト機構43´は、入庫待機スペース31Cに停まっている車両XをパレットPTごと下降させて入庫移送機構42´の上に載せる。そして、入庫移送機構42´は車両XをパレットPTごと入庫部71まで移送する。
入庫部71へ車両Xが移送されたならば、車両移送部40は、その旨を示す通知信号を管理装置50へ出力する。管理装置50は、この通知信号の受信を契機にして立体駐車部70へ制御信号を出力する。立体駐車部70は、入庫部71の車両をパレットPTごと移送する。すなわち、入庫側駐車用リフト75を作動させて空いている駐車スペース73のある階まで車両Xを上昇させる。その後、車両Xをスライダー74に移し、ローラーによってパレットPTごと空いている駐車スペース73に格納させる。
一方、車両の出庫時において、駐車スペース73に格納されている車両は、ローラーによってパレットPTごとスライダー74に移された後、出庫側駐車用リフト76に移される。出庫側駐車用リフト76に移された車両は、パレットPTごと地下2階の出庫部72に移送される。そして、出庫部72まで移送された車両は、出庫移送機構44´によって所定の出庫待機スペース32の下方まで移送され、出庫リフト機構45´によってパレットPTごと地下1階の出庫待機スペース32まで持ち上げられる。
図11の例において、出庫側駐車リフト76は、立体駐車部70に格納されていた車両Xを出庫部72まで下降させる。出庫部72に車両Xが到着したならば、立体駐車部70は、その旨を示す通知信号を管理装置50へ出力する。管理装置50は、この通知信号に基づいて車両移送部40に制御信号を出力する。車両移送部40は、出庫移送機構44´を制御して出庫部72へ移送された車両Xを、出庫待機スペース32LまでパレットPTごと移送する。そして、利用者は出庫待機スペース32Lにて車両Xを受け取って出発する。
本実施形態においても、車両の利用者は、利用者通路35A,35Bを通って駐車設備の外へ出たり、出庫待機スペース32に停まっている車両に乗り込んだりすることができる。このため、車両の動線と利用者の動線とを区別でき、車両の入出庫を円滑に行わせることができる。さらに、入庫待機スペース31と出庫待機スペース32のそれぞれに利用者通路35A,35Bが設けられるので、入庫車両の利用者と出庫車両の利用者との間でも動線を分けることができ、各利用者の流れを円滑にできる。
<第2実施形態の第1変形例>
次に第2実施形態における第1変形例の駐車設備について説明する。図12及び図13に示すように、この第1変形例の駐車設備は、立体駐車部70に代えて、第1駐車部10と第2駐車部20とが設けられている点で、先に説明した第2実施形態と相違している。また、第1駐車部10の入出庫部12及び出庫側共用移送機構41Bが地下2階に設けられ、第2駐車部20の入出庫部22及び入庫側共用移送機構41Aが地下1階に設けられている点、及び、地下1階の第1入出庫部12´において、第1駐車用リフト13と入庫側共用移送機構41Aとの間で、車両及びパレットPTの受け渡しが可能である点で、第1実施形態と相違している。
図14(a),(b)に示すように、この第1変形例の駐車設備では、第1実施形態の各立体駐車部10,20と同様に、それぞれの立体駐車部10,20が独立して入出庫動作を行える。すなわち、入庫待機スペース31L〜31Rに格納されている車両を、立体駐車部10,20に適宜振り分けることができる。また、立体駐車部10,20に格納されている車両を出庫待機スペース32L〜32Rに移送することができる。
このため、立体駐車部10,20の一方が入庫動作を行っていても他方は出庫動作を行うことができる。また、入庫車両が多い場合には立体駐車部10,20の両方で車両を入庫させることもできる。このように、入出庫動作の組み合わせについて自由度が高いため、車両の入出庫を効率よく行わせることができる。
<第2実施形態の第2変形例>
次に第2実施形態における第2変形例の駐車設備について説明する。図15及び図16第1駐車部10の入出庫部12と共用移送機構41´が地下1階に設けられている点、及び、入出庫部12と出庫待機スペース32との間に、中間リフト機構45が設けられている点で、先に説明した第1変形例と相違している。また、地下1階において、共用移送機構41´が入庫待機スペース31と、各入出庫部12,22と、中間リフト機構45″の上側受渡部45cとの間で、車両及びパレットPTを移送する点でも第1変形例と相違している。
この第2変形例において、中間リフト機構45は、地下1階の上側受渡部45cと地下2階の下側受渡部45dとを有している。そして、共用移送機構41´から移送された車両及びパレットPTを上側受渡部45cで受け取り、出庫側共用移送機構41Bまで下降させている。この中間リフト機構45を設けていることから、各立体駐車部10,20は、出庫車両を共用移送機構41´に受け渡した後は、他の車両に対する入出庫動作を行える。このため、動作の自由度が第1変形例よりも高くなり、車両の入出庫を効率よく行わせることができる。
<第3実施形態>
次に第3実施形態の駐車設備について説明する。この駐車設備は、車両の昇降中において、車両を載せていないパレットPTを待機スペース31,32の開口に配置することを特徴とする。
図17に示すように、この第3実施形態では、空のパレットPTを一時的に退避させることができるパレット退避部80を設けている。このパレット退避部80は、第1実施形態で説明した利用者通路35の直下に設けられている。そして、エレベータタイプの入庫リフト機構43´や出庫リフト機構45´との間で、パレットPTの受け渡しを行うことができ、かつ、パレットPTを収容できるように構成されている。
以下、第3実施形態の動作について説明する。ここでは、パレット退避部80を用いた車両の入出庫動作について説明する。
まず、図18を参照して入庫時の動作について説明する。図18(a)に示すように入庫待機スペース31に入庫車両Xが停まると、図18(b)に示すように入庫リフト機構43´は車両XをパレットPTごと下降させる。そして、車両Xが通過したならば、パレット退避部80は、収容していたパレットPTを入庫リフト機構43´側に繰り出す。図18(c),(d)に示すように、入庫リフト機構43´は、車両Xについては下降を継続する一方で、パレット退避部80から繰り出されたパレットPTについては上方に移動させる。これにより、車両Xが下降すると、入庫待機スペース31の開口が空のパレットPTで速やかに塞がれる。その結果、入庫待機スペース31が開放されている期間を極力短くすることができ、次の入庫車両を早期に受け入れることができる。また、開口を通じた物の落下を防止して車両Xを保護でき、風雨に曝される時間を短くすることもできる。
次に、図19,図20を参照して出庫時の動作について説明する。図19(a)に示すように出庫待機スペース32の下方まで出庫車両Xが移送されると、図19(b)に示すように、出庫待機スペース32のパレットPTが、出庫リフト機構45´によって一段低い取り込み位置まで移動される。その後、図19(c)に示すように、パレット退避部80が出庫リフト機構45´からパレットPTを取り込む。また、出庫リフト機構45´は車両XをパレットPTごと上昇させ、図19(d)に示すように車両Xを出庫待機スペース32に配置する。図20(a)に示すように、パレット退避部80は取り込んだパレットPTを繰り出し位置まで上昇させる。このパレットPTは、入庫車両Xの入庫時に用いられる。そして、図20(b)に示すように、利用者は、出庫待機スペース32から車両Xを発進させる。このように、車両Xが上昇すると、出庫待機スペース32のパレットPTがパレット退避部80に退避されるので、出庫待機スペース32が開放されている期間を極力短くすることができ、開口を通じた物の落下を防止して車両Xを保護できる。
<第3実施形態の変形例>
次に、第3実施形態の駐車設備の変形例について説明する。図21に示すように、この変形例は、第1実施形態の駐車設備の変形例(図6を参照)と同様に、利用者通路35の下方に共用移送機構41が設けられた駐車設備に対してパレット退避部80を設けたものである。構成については、第1実施形態の変形例と第3実施形態との組み合わせであるため、同じ符号を付して説明は省略する。
この変形例における入出庫動作は、前述した第3実施形態と同様である。簡単に説明すると、まず図22(a)に示すように入庫待機スペース31に入庫車両Xが停まると、図22(b)に示すように入庫リフト機構43´は車両XをパレットPTごと下降させる。そして、車両Xが通過したならば、パレット退避部80は、収容していたパレットPTを入庫リフト機構43´側に繰り出す。そして、図18(c)に示すように、入庫リフト機構43´はパレットPTを上昇させて開口を塞ぐ。また、車両Xが個別移送機構46に受け渡されると、個別移送機構46は共用移送機構41まで車両Xを移送する。
一方、出庫動作時においては、まず図23(a)に示すように、出庫待機スペース32のパレットPTが、出庫リフト機構45´によって一段低い取り込み位置まで移動され、図23(b)に示すようにこのパレットPTがパレット退避部80に取り込まれる。次に、図23(c)に示すように、個別移送機構46から出庫リフト機構45にパレットPTごと移送された車両Xが、出庫リフト機構45によって上昇される。そして、出庫待機スペース32で待機された後、図23(d)に示すように発進される。
ところで、以上の各実施形態に関する説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨、目的を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、次のように構成してもよい。
入庫待機スペース31及び出庫待機スペース32にて待機可能な車両の台数は、適宜設定することができる。前述の各実施形態では、入庫側と出庫側のそれぞれに3台の車両を待機させることができたが、入庫側と出庫側のそれぞれについて少なくとも1台の車両を待機させることができればよい。また、入庫側と出庫側とで待機可能な車両の数を異ならせてもよい。
第2実施形態で説明した入庫案内表示器56及び出庫案内表示器57に関し、他の実施形態の駐車設備に設けてもよい。
第3実施形態のパレット退避部に関し、このパレット退避部を第2実施形態の駐車設備に設けてもよい。また、パレット退避部を入庫車路33や出庫車路34の下方に設けてもよい。