以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は機械式駐車装置の実施形態を示す概略切断正面図である。図2は機械式駐車装置の建屋前面壁における出入口付近を示す概略正面図である。図3は制御装置の概要図である。図4は入庫時の制御を示すフローチャートである。図5は出庫時の制御を示すフローチャートである。
本実施形態は、本開示の機械式駐車装置を、図1に示すように、地上に建てられた建屋1内に、建屋1内の一端側と中央部と他端側に間隔を隔てて配置された3つの格納棚列2,3,4と、格納棚列2,3の間、および、格納棚列3,4の間に形成された2つの昇降路6,7とを備えた構成のエレベータ方式の機械式駐車装置に適用する場合の例を示すものである。また、本実施形態の機械式駐車装置は、一部を月極め契約の駐車場とし、残りを時間貸しの駐車場として運用する場合の例を示す。
説明の便宜上、本実施形態の機械式駐車装置は、建屋1における車両(図示せず)の出入口26,27が設けられている側を前といい、各格納棚列2,3,4が並ぶ方向を左右方向という。したがって、本実施形態の機械式駐車装置は、建屋1内に、左側から右側に向けて、順に、格納棚列2、昇降路6、格納棚列3、昇降路7、格納棚列4を備えている。
各格納棚列2,3,4は、それぞれ車両載置用のパレット(図示せず)を支持させる格納棚5を、上下方向に複数段配列してなる構成とされている。
各昇降路6,7には、個別の搬送装置8,9が設けられている。
搬送装置8は、パレット(図示せず)を搭載可能で、且つ昇降路6に上下方向に昇降可能に配置されたリフトケージ10と、リフトケージ10の駆動装置11と、横送り機構12とを備えた構成とされている。
昇降路6には、鉛直方向に延びる図示しない昇降ガイドが設けられている。リフトケージ10は、この昇降ガイドにより、昇降路6における昇降移動が案内される。
駆動装置11は、昇降路6の上端側となる建屋1の天井部に設置されている。駆動装置11は、チェン、ワイヤの如き索状物13が巻き取られている回転ドラム14と、回転ドラム14を回転駆動するモータ15とを備えた構成とされている。駆動装置11の回転ドラム14から繰り出された索状物13は、先端側がリフトケージ10の四隅部に接続されている。これにより、駆動装置11は、回転ドラム14を正転、逆転駆動させることにより、リフトケージ10を昇降路6にて昇降動作させることができる。
横送り機構12は、リフトケージ10と、昇降路6の左側の格納棚列2の各格納棚5との間、および、リフトケージ10と、昇降路6の右側の格納棚列3の各格納棚5との間で、パレットの受け渡しを行う機能を備えている。本実施形態では、横送り機構12は、リフトケージ10に装備されている。
搬送装置9は、パレット(図示せず)を搭載可能で、且つ昇降路7に上下方向に昇降可能に配置されたリフトケージ16と、リフトケージ16の駆動装置17と、横送り機構18とを備えた構成とされている。
昇降路7には、鉛直方向に延びる図示しない昇降ガイドが設けられている。リフトケージ16は、この昇降ガイドにより、昇降路7における昇降移動が案内される。
駆動装置17は、昇降路7の上端側となる建屋1の天井部に設置されている。駆動装置17は、駆動装置11と同様に、索状物19が巻き取られている回転ドラム20と、回転ドラム20を回転駆動するモータ21とを備えた構成とされている。駆動装置17の回転ドラム20から繰り出された索状物19は、先端側がリフトケージ16の四隅部に接続されている。これにより、駆動装置17は、回転ドラム20を正転、逆転駆動させることにより、リフトケージ16を昇降路7にて昇降動作させることができる。
横送り機構18は、リフトケージ16と、昇降路7の左側の格納棚列3の各格納棚5との間、および、リフトケージ16と、昇降路7の右側の格納棚列4の各格納棚5との間で、パレットの受け渡しを行う機能を備えている。本実施形態では、横送り機構18は、リフトケージ16に装備されている。
なお、横送り機構12は、リフトケージ10と、各格納棚列2,3の各格納棚5との間でパレットの受け渡しを行うことができれば、建屋1側に設置されていてもよい。同様に、横送り機構18は、リフトケージ16と、各格納棚列3,4の各格納棚5との間でパレットの受け渡しを行うことができれば、建屋1側に設置されていてもよい。
建屋1内には、昇降路6の下部と対応する位置に、入出庫部22が設けられ、昇降路7の下部と対応する位置に、入出庫部23が設けられている。各入出庫部22,23は、入出庫時にリフトケージ10,16を納めるピット24,25をそれぞれ備えている。
また、各入出庫部22,23は、それぞれのピット24,25内に、対応するリフトケージ10,16と相互にパレットの受け渡しが可能で、車両をパレットと共に180度旋回させる機能を備えた図示しないターンテーブルを備えることが好ましい。なお、パレットを旋回させるターンテーブルは、リフトケージ10,16に装備されていてもよい。
更に、各入出庫部22,23は、床に、図示しない可動式のプラットホームを備えていてもよい。
図1、図2に示すように、建屋1の前面壁には、各入出庫部22,23に個別に連通する出入口26,27が設けられている。各出入口26,27には、図2に示すように、それぞれ開閉動作する扉28,29が設けられている。
更に、建屋1の前面壁には、出入口26と出入口27との間の位置に、操作盤30が設置されている。
操作盤30は、図示しないが、本実施形態の機械式駐車装置を使用する利用者が、磁気カード、ICカードのような媒体に記録された認証情報や、暗証番号などの操作盤に入力される認証情報により認証を受ける認証操作、および、認証を受けた利用者が入庫呼び操作、出庫呼び操作などの各種操作を行うための操作部を備えている。
操作盤30の近傍位置には、表示部31が設けられている。この表示部31は、操作盤30にて入庫呼び操作、または、出庫呼び操作を行った利用者に対して、その利用者が入出庫時に出入口26と出入口27のいずれを使用するかという情報を、たとえば、文字により表示するものである。この表示部31における情報の表示は、制御装置32からの指令bに基づいて行われる。
表示部31に表示する情報は、一例としては、出入口26を使用する場合は、表示部31に「第1出入口」という文字の表示を行い、出入口27を使用する場合は、表示部31に「第2出入口」という文字の表示を行うようにすればよい。なお、この場合は、図示しないが、建屋1の前面壁における出入口26の付近と、出入口27の付近に、出入口26が「第1出入口」であること、および、出入口27が「第2出入口」であることを明示するための表示を備えることが好ましい。なお、表示部31に表示する情報は、操作盤30にて入庫呼び操作、または、出庫呼び操作を行った利用者に対して、その利用者が入出庫時に出入口26と出入口27のいずれを使用するかということを示すことができれば、いかなる文字であってもよいし、図形を含む情報であってもよいことは勿論である。
図1、図2では、表示部31の設置位置は、操作盤30の上方位置として示してあるが、この位置に限られるものではない。しかし、表示部31は、操作盤30を操作する利用者にとって見易い個所にあることが好ましい。なお、表示部31は、操作盤30と一体に備えられていてもよいことは勿論である。
図3に示すように、本実施形態の機械式駐車装置は、制御装置32を備え、操作盤30と表示部31が、制御装置32に接続された構成を備えている。
更に、制御装置32は、記憶・判定部33と、昇降路6を用いた入庫機械動作および出庫機械動作を制御する第1の機械制御部34と、昇降路7を用いた入庫機械動作および出庫機械動作を制御する第2の機械制御部35と、第1の指令処理部36と、第2の指令処理部37と、を備えている。
ここで、先ず、前記した入庫と出庫の各機械動作について説明すると共に、第1の機械制御部34、第2の機械制御部35、第1の指令処理部36、第2の指令処理部37の機能について説明する。
昇降路6を用いた入庫機械動作は、後述する記憶・判定部33の処理により、入庫に出入口26の使用が決定され、昇降路6の両側の格納棚列2または格納棚列3のいずれかの空の格納棚5が入庫呼び対象に指定される場合に実施されるものである。昇降路6を用いた入庫機械動作は、入庫呼び対象に指定された格納棚5の空のパレットを、搬送装置8により入出庫部22に搬送して、入出庫部22で入庫準備を整える工程と、入出庫部22の出入口26の扉28を開く工程と、車両が入出庫部22でパレット上に乗り入れ、庫内の安全確認がなされた後に、出入口26の扉28を閉じる工程と、搬送装置8により車両をパレットごと搬送して、指定された格納棚5に格納する工程と、を備えている。また、昇降路6を用いた入庫機械動作は、必要に応じて、入出庫部22で、ターンテーブルにより空のパレット、または、車両が載置されたパレットを旋回させる工程や、可動式のプラットホームを動作させる工程を含んでいてよい。
よって、この昇降路6を用いた入庫機械動作は、搬送装置8におけるリフトケージ10の駆動装置11と、横送り機構12の制御、および、出入口26の扉28の開閉の制御、更には、ターンテーブルや、可動式のプラットホームの動作の制御など、いろいろな機械の動作を連係させて実施する必要がある。
なお、昇降路6を用いた入庫機械動作に関係する機械の種類や、各機械の具体的な動作は、昇降路の両側に格納棚列を備えた形式の既存のエレベータ方式の機械式駐車装置で、入庫呼び対象に指定された格納棚に車両を入庫させる場合と同様であるため、説明は省略する。
昇降路6を用いた出庫機械動作は、後述する記憶・判定部33の処理により、出庫に出入口26の使用が決定され、昇降路6の両側の格納棚列2または格納棚列3のいずれかの格納棚5に格納されている車両が出庫呼び対象に指定される場合に実施されるものである。昇降路6を用いた出庫機械動作は、出庫呼び対象に指定された車両を、格納棚5からパレットごと搬送装置8により入出庫部22へ搬送して、入出庫部22で出庫準備を整える工程と、入出庫部22の出入口26の扉28を開く工程と、車両が入出庫部22から乗り出され、庫内の安全確認がなされた後に、出入口26の扉28を閉じる工程と、空になったパレットを格納棚5に戻す工程と、を備えている。また、昇降路6を用いた出庫機械動作は、必要に応じて、入出庫部22で、ターンテーブルにより車両が載置されたパレット、または、空になったパレットを旋回させる工程や、可動式のプラットホームを動作させる工程を含んでもよい。
よって、この昇降路6を用いた出庫機械動作は、搬送装置8におけるリフトケージ10の駆動装置11と、横送り機構12の制御、および、出入口26の扉28の開閉の制御、更には、ターンテーブルや、可動式のプラットホームの動作の制御など、いろいろな機械の動作を連係させて実施する必要がある。
なお、昇降路6を用いた出庫機械動作に関係する機械の種類や、各機械の具体的な動作は、昇降路の両側に格納棚列を備えた形式の既存のエレベータ方式の機械式駐車装置で、出庫呼び対象に指定された車両を出庫させる場合と同様であるため、説明は省略する。
本実施形態では、昇降路6を用いた入庫機械動作と、昇降路6を用いた出庫機械動作の一方または双方に関連する複数の機械を、図3に示すように、まとめて、第1の駐車機械群G1という。
制御装置32に備えた第1の機械制御部34は、第1の駐車機械群G1に対して、昇降路6(図1参照)を用いた入庫機械動作を行わせる入庫動作指令cと、昇降路6を用いた出庫機械動作を行わせる出庫動作指令dを生成する機能を備えている。
制御装置32に備えた第1の指令処理部36は、第1の機械制御部34で生成される入庫動作指令cおよび出庫動作指令dを受け取る機能と、受け取った動作指令c,dを受け取った順序で一旦保存する機能と、先に保存した動作指令c,dから順に、第1の駐車機械群G1に対して出力する機能と、を備えている。その際、第1の指令処理部36は、第1の機械制御部34から動作指令c,dを受け取った時点で、昇降路6を用いた入庫または出庫の機械動作が進行中ではない場合は、受け取った動作指令c,dの出力を直ちに行うが、いずれかの機械動作が進行中の場合は、進行中の機械動作が完了するまで動作指令c,dを予約として保存し、その進行中の機械動作が完了した後に、保存した順序が先の動作指令c,dから順に第1の駐車機械群G1への出力を行うようにしてある。
昇降路7を用いた入庫機械動作は、後述する記憶・判定部33の処理により、入庫に出入口27の使用が決定され、昇降路7の両側の格納棚列3または格納棚列4のいずれかの空の格納棚5が入庫呼び対象に指定される場合に実施されるものである。昇降路7を用いた入庫機械動作は、入庫呼び対象に指定された格納棚5の空のパレットを、搬送装置9により入出庫部23に搬送して、入出庫部23で入庫準備を整える工程と、入出庫部23の出入口27の扉29を開く工程と、車両が入出庫部23でパレット上に乗り入れ、庫内の安全確認がなされた後に、出入口27の扉29を閉じる工程と、搬送装置9により車両をパレットごと搬送して、指定された格納棚5に格納する工程と、を備えている。また、昇降路7を用いた入庫機械動作は、必要に応じて、入出庫部23で、ターンテーブルにより空のパレット、または、車両が載置されたパレットを旋回させる工程や、可動式のプラットホームを動作させる工程を含んでいてよい。
よって、この昇降路7を用いた入庫機械動作は、搬送装置9におけるリフトケージ16の駆動装置17と、横送り機構18の制御、および、出入口27の扉29の開閉の制御、更には、ターンテーブルや、可動式のプラットホームの動作の制御など、いろいろな機械の動作を連係させて実施する必要がある。
なお、昇降路7を用いた入庫機械動作に関係する機械の種類や、各機械の具体的な動作は、前記した昇降路6を用いた入庫機械動作の場合と同様の理由により、説明は省略する。
昇降路7を用いた出庫機械動作は、後述する記憶・判定部33の処理により、出庫に出入口27の使用が決定され、昇降路7の両側の格納棚列3または格納棚列4のいずれかの格納棚5に格納されている車両が出庫呼び対象に指定される場合に実施されるものである。昇降路7を用いた出庫機械動作は、出庫呼び対象に指定された車両を、格納棚5からパレットごと搬送装置9により入出庫部23へ搬送して、入出庫部23で出庫準備を整える工程と、入出庫部23の出入口27の扉29を開く工程と、車両が入出庫部23から乗り出され、庫内の安全確認がなされた後に、出入口27の扉29を閉じる工程と、空になったパレットを格納棚5に戻す工程と、を備えている。また、昇降路7を用いた出庫機械動作は、必要に応じて、入出庫部23で、ターンテーブルにより車両が載置されたパレット、または、空になったパレットを旋回させる工程や、可動式のプラットホームを動作させる工程を含んでもよい。
よって、この昇降路7を用いた出庫機械動作は、搬送装置9におけるリフトケージ16の駆動装置17と、横送り機構18の制御、および、出入口27の扉29の開閉の制御、更には、ターンテーブルや、可動式のプラットホームの動作の制御など、いろいろな機械の動作を連係させて実施する必要がある。
なお、昇降路7を用いた出庫機械動作に関係する機械の種類や、各機械の具体的な動作は、前記した昇降路6を用いた出庫機械動作の場合と同様の理由により、説明は省略する。
本実施形態では、昇降路7を用いた入庫機械動作と、昇降路7を用いた出庫機械動作の一方または双方に関連する複数の機械を、図3に示すように、まとめて、第2の駐車機械群G2という。
制御装置32に備えた第2の機械制御部35は、第2の駐車機械群G2に対して、昇降路7(図1参照)を用いた入庫機械動作を行わせる入庫動作指令eと、昇降路7を用いた出庫機械動作を行わせる出庫動作指令fを生成する機能を備えている。
制御装置32に備えた第2の指令処理部37は、第2の機械制御部35で生成される入庫動作指令eおよび出庫動作指令fを受け取る機能と、受け取った動作指令e,fを受け取った順序で一旦保存する機能と、先に保存した動作指令e,fから順に、第2の駐車機械群G2に対して出力する機能と、を備えている。その際、第2の指令処理部37は、第2の機械制御部35から動作指令e,fを受け取った時点で、昇降路7を用いた入庫または出庫の機械動作が進行中ではない場合は、受け取った動作指令e,fの出力を直ちに行うが、いずれかの機械動作が進行中の場合は、進行中の機械動作が完了するまで動作指令e,fを予約として保存し、その進行中の機械動作が完了した後に、保存した順序が先の動作指令e,fから順に第2の駐車機械群G2への出力を行うようにしてある。
次に、記憶・判定部33を含む制御装置32の機能の説明を行うと共に、本実施形態の機械式駐車装置で行われる入出庫の処理について説明する。
本実施形態の機械式駐車装置は、車両の駐車を行う利用者を、優先グループの利用者と、非優先グループの利用者とに区別し、優先グループの利用者の車両を、2つの昇降路6,7に挟まれた配置となる格納棚列3(図1参照)に、格納棚列3の両側の昇降路6,7を用いて入出庫可能とする制御を行うことを特徴とする。
そのため、制御装置32は、操作盤30から、認証を受ける操作を行った利用者の認証情報と、その利用者が行った入庫呼び操作、出庫呼び操作などの各種操作に関する信号と、を含む情報aを受け取る機能を備えている。
制御装置32の記憶・判定部33は、操作盤30を操作して入出庫の呼び操作を行った利用者が、優先グループの利用者か、あるいは、非優先グループの利用者かを判断するための基準が、予め登録されると、その基準を記憶する機能を備えている。
本実施形態では、記憶・判定部33には、たとえば、予め利用者に個別に付与されている認証情報が、優先グループの利用者の認証情報と、非優先グループの利用者の認証情報とに区分された状態で登録されている。
本実施形態では、優先グループの利用者は、たとえば、月極め契約を行っている利用者とされている。また、非優先グループの利用者は、時間貸しの駐車場の利用を行う一時利用者とされている。なお、本実施形態の機械式駐車場は、時間貸しの駐車場として使用する部分については、管理者が、操作盤で一時利用者の車両の入出庫のための操作を行うようにしている。したがって、本実施形態では、記憶・判定部33に登録されて記憶される非優先グループの利用者の認証情報は、時間貸し駐車場の管理者に付与されている認証情報とすればよい。
なお、優先グループの利用者と、非優先グループの利用者との区分としては、月極め契約と一時利用を例示した。これに対し、本実施形態の機械式駐車装置は、全体を月極め契約の駐車場として運用する場合に、月極め契約の利用者のうちで、たとえば、契約の継続期間、入出庫の頻度、契約台数などに応じて、優先グループの利用者と、非優先グループの利用者とを設定してもよい。この場合は、記憶・判定部33には、予め各利用者に個別に付与されている認証情報について、優先グループの利用者の認証情報と、非優先グループの利用者の認証情報とを区分して登録するようにすればよい。また、優先グループの利用者と、非優先グループの利用者との区分は、本実施形態の機械式駐車装置を運用する運用者や運用会社が自在に設定してもよいことは勿論である。
また、操作盤30を操作して入出庫の呼び操作を行った利用者が、優先グループの利用者か、あるいは、非優先グループの利用者かを判断するための基準は、認証情報以外の情報であってもよいことは勿論である。
ところで、本実施形態の機械式駐車装置では、3列の格納棚列2,3,4のうち、格納棚列3のみが、2つの昇降路6,7に挟まれた配置となっている。そこで、制御装置32の記憶・判定部33には、更に、格納棚列3が、優先グループの利用者の車両の格納に専用に使用される優先棚列として設定され、残る2つの格納棚列2,4が、非優先グループの利用者の車両の格納に使用される通常棚列として設定されている。
なお、本実施形態の機械式駐車装置は、格納する車両について、車高を基準として、車高の低い方から順に普通車とハイルーフ車という2区分の車種、あるいは、普通車とハイルーフ車の中間の車高を有するミドルルーフ車を更に加えた3区分の車種を設定して、それぞれの車種の車高に対応する上下方向寸法の格納棚5を備えた車種混載型の機械式駐車装置とされていてもよい。この場合は、制御装置32は、記憶・判定部33に、優先グループの個々の利用者の認証情報と、各利用者が格納する車種の情報とを関連付けて記憶しておくようにすればよい。
制御装置32は、操作盤30で認証操作と共に入庫呼び操作が行われた場合は、図4にフローチャートで示す入庫処理を実施し、操作盤30で認証操作と出庫呼び操作が行われた場合は、図5にフローチャートで示す出庫処理を実施する機能を備えている。
先ず、図4に示す制御装置32による入庫処理について説明する。
制御装置32は、ステップSA1にて、操作盤30から、操作盤30で入庫呼び操作が行われたという信号と、認証操作に使用された利用者の認証情報とを含む情報aを受け取る。
制御装置32は、情報aを受け取ると、記憶・判定部33にて、入庫呼び操作を行った利用者が、優先グループの利用者であるか否かを判定する処理を行う(ステップSA2)。本実施形態では、記憶・判定部33は、受け取った情報aに含まれている認証情報を、登録されている優先グループの利用者の認証情報と対比し、一致する認証情報がある場合は、入庫呼び操作を行った利用者が、優先グループの利用者であると判定する。一方、記憶・判定部33は、受け取った情報aに含まれている認証情報について、登録されている優先グループの利用者の認証情報に一致するものがなく、登録されている非優先グループの利用者の認証情報に一致するものがある場合には、入庫呼び操作を行った利用者は、優先グループの利用者ではないと判定する。
制御装置32は、前記ステップSA2で、入庫呼び操作を行った利用者が優先グループの利用者であると判定されると、ステップSA3に進む。
制御装置32は、ステップSA3では、記憶・判定部33にて、第1の駐車機械群G1が使用可能であるか否かを判定する判定処理を行う。なお、第1の駐車機械群G1が使用可能とは、昇降路6を用いた入庫機械動作と、昇降路6を用いた出庫機械動作のいずれもが進行中ではない状態をいう。これに対し、第1の駐車機械群G1が使用可能ではない、すなわち、使用不可とは、昇降路6を用いた入庫機械動作と、昇降路6を用いた出庫機械動作のいずれかが進行中である状態である。
制御装置32は、前記ステップSA3で、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1が使用可能であると判定されると、ステップSA4に進む。
制御装置32は、ステップSA4では、入庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。これにより、本実施形態の機械式駐車装置は、表示部31に「第1出入口」と表示して、入庫呼び操作を行った優先グループの利用者に対し、その利用者の車両の入庫は、出入口26を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、利用者は、出入口26からの入庫に備えて、出入口26の前で車両を待機させるようにすればよい。
更に、制御装置32は、ステップSA4では、格納棚列3の各格納棚5のうち、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な空の格納棚5を指定すると共に、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する入庫動作指令cを生成し、生成された入庫動作指令cを、第1の指令処理部36へ与える。
なお、利用者の待ち時間の短縮化を図るという目的から考えると、制御装置32は、ステップSA4では、格納棚列3に、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な空の格納棚5が複数ある場合は、そのうちの入出庫部22に最も近い格納棚5を指定する機能を備えることが好ましい。
このとき、本実施形態の機械式駐車装置では、昇降路6を用いた入庫と出庫の機械動作がいずれも進行中ではなく、第1の駐車機械群G1が使用可能な状態であるため、制御装置32では、第1の指令処理部36が、入庫動作指令cを直ちに第1の駐車機械群G1へ与える。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、第1の駐車機械群G1の入庫機械動作が開始される。そのため、本実施形態の機械式駐車装置では、入庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、出入口26から入出庫部22へ車両の乗り入れを行うことができる。その後、入出庫部22に乗り入れられた車両は、第1の駐車機械群G1により、昇降路6を経て格納棚列3におけるステップSA4で指定された格納棚5に格納される。
一方、前記ステップSA3で、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1が使用可能ではないと判定、すなわち、使用不可であると判定されると、制御装置32は、ステップSA5に進む。
制御装置32は、ステップSA5では、記憶・判定部33にて、第2の駐車機械群G2が使用可能であるか否かを判定する判定処理を行う。なお、第2の駐車機械群G2が使用可能とは、昇降路7を用いた入庫機械動作と、昇降路7を用いた出庫機械動作のいずれもが進行中ではない状態をいう。これに対し、第2の駐車機械群G2が使用可能ではない、すなわち、使用不可とは、昇降路7を用いた入庫機械動作と、昇降路7を用いた出庫機械動作のいずれかが進行中である状態である。
制御装置32は、前記ステップSA5で、記憶・判定部33により、第2の駐車機械群G2が使用可能であると判定されると、ステップSA6に進む。
制御装置32は、ステップSA6では、入庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。これにより、本実施形態の機械式駐車装置は、表示部31に「第2出入口」と表示して、入庫呼び操作を行った優先グループの利用者に対し、その利用者の車両の入庫は、出入口27を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、利用者は、出入口27からの入庫に備えて、出入口27の前で車両を待機させるようにすればよい。
更に、制御装置32は、ステップSA6では、格納棚列3の各格納棚5のうち、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な空の格納棚5を指定すると共に、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する入庫動作指令eを生成し、生成された入庫動作指令eを、第2の指令処理部37へ与える。
なお、制御装置32は、ステップSA6では、格納棚列3に、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な空の格納棚5が複数ある場合は、そのうちの入出庫部23に最も近い格納棚5を指定する機能を備えることが好ましい点は、ステップSA4の場合と同様である。
このとき、本実施形態の機械式駐車装置では、昇降路7を用いた入庫と出庫の機械動作がいずれも進行中ではなく、第2の駐車機械群G2が使用可能な状態であるため、制御装置32では、第2の指令処理部37が、入庫動作指令eを直ちに第2の駐車機械群G2へ与える。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、第2の駐車機械群G2の入庫機械動作が開始される。そのため、本実施形態の機械式駐車装置では、入庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、出入口27から入出庫部23へ車両の乗り入れを行うことができる。その後、入出庫部23に乗り入れられた車両は、第2の駐車機械群G2により、昇降路7を経て格納棚列3におけるステップSA6で指定された格納棚5に格納される。
制御装置32は、前記ステップSA5で、記憶・判定部33により、第2の駐車機械群G2も使用可能ではないと判定、すなわち、使用不可であると判定されると、ステップSA7に進む。
制御装置32は、ステップSA7では、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1と、第2の駐車機械群G2のうち、入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1であるか否かを判定する処理を行う。この判定は、以下のようにして行えばよい。
制御装置32は、入庫の場合は指定された格納棚5の位置、出庫の場合は指定された車両が格納されている格納棚5の位置、搬送装置8や搬送装置9の動作状態、更には、利用者による入出庫部22,23への車両の乗り入れや、入出庫部22,23からの車両の乗り出しに要する平均的な所要時間などの情報を基に、第1の駐車機械群G1と第2の駐車機械群G2のそれぞれについて、入庫機械動作や出庫機械動作を開始してから完了するまでに要する時間、更には、現在進行中の入庫機械動作や出庫機械動作が完了するまでに要する時間を推定することは可能である。
そこで、制御装置32は、ステップSA7では、操作盤30から入庫呼び操作の信号を含む情報aを受け取った時点で、第1の駐車機械群G1で進行中の入庫または出庫の機械動作が完了するまでに要する時間を推定する。更に、制御装置32は、第1の指令処理部36に予約として保存されている入庫動作指令cや出庫動作指令dがある場合は、進行中の入庫または出庫の機械動作が終了した後、予約されている動作指令c,dに従う第1の駐車機械群G1の入庫や出庫の機械動作がすべて完了するまでに要する時間を推定する。この推定結果が、第1の駐車機械群G1が、操作盤30で入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作を開始可能となるまでに要する時間である。
また、制御装置32は、操作盤30から入庫呼び操作の信号を含む情報aを受け取った時点で、第2の駐車機械群G2で進行中の入庫または出庫の機械動作が完了するまでに要する時間を推定する。更に、制御装置32は、第2の指令処理部37に予約として保存されている入庫動作指令eや出庫動作指令fがある場合は、進行中の入庫または出庫の機械動作が終了した後、予約されている動作指令e,fに従う第2の駐車機械群G2の入庫や出庫の機械動作がすべて完了するまでに要する時間を推定する。この推定結果が、第2の駐車機械群G2が、操作盤30で入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作を開始可能となるまでに要する時間である。
よって、ステップSA7では、制御装置32は、記憶・判定部33にて、これらの推定結果を比較することにより、入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1であるか否かを判定することができる。
制御装置32は、前記ステップSA7にて、入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1であると判定される場合は、ステップSA8に進む。
ステップSA8では、制御装置32は、ステップSA4と同様に、入庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。また、制御装置32は、格納棚列3の各格納棚5のうち、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な格納棚5を指定すると共に、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する入庫動作指令cを生成し、生成された入庫動作指令cを、第1の指令処理部36へ与える。
この際、第1の駐車機械群G1は、入庫または出庫の機械動作が進行中であるため、第1の指令処理部36に与えられた入庫動作指令cは、第1の指令処理部36に新たな予約として保存される。
したがって、この予約として保存された入庫動作指令cが、予約された順序に従って第1の指令処理部36から第1の駐車機械群G1へ与えられると、本実施形態の機械式駐車装置では、前記入庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、出入口26から入出庫部22へ車両の乗り入れを行うことができるようになる。その後、入出庫部22に乗り入れられた車両は、第1の駐車機械群G1により、昇降路6を経て格納棚列3におけるステップSA8で指定された格納棚5に格納される。
制御装置32は、前記ステップSA7にて、入庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1ではなく、第2の駐車機械群G2であると判定される場合は、ステップSA9に進む。
ステップSA9では、制御装置32は、ステップSA6と同様に、入庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。また、制御装置32は、格納棚列3の各格納棚5のうち、入庫呼び操作を行った利用者の車両を格納可能な格納棚5を指定すると共に、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する入庫動作指令eを生成し、生成された入庫動作指令eを、第2の指令処理部37へ与える。
この際、第2の駐車機械群G2は、入庫または出庫の機械動作が進行中であるため、第2の指令処理部37に与えられた入庫動作指令eは、第2の指令処理部37に新たな予約として保存される。
したがって、この予約として保存された入庫動作指令eが、予約された順序に従って第2の指令処理部37から第2の駐車機械群G2へ与えられると、本実施形態の機械式駐車装置では、前記入庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、出入口27から入出庫部23へ車両の乗り入れを行うことができるようになる。その後、入出庫部23に乗り入れられた車両は、第2の駐車機械群G2により、昇降路7を経て格納棚列3におけるステップSA9で指定された格納棚5に格納される。
制御装置32は、前記ステップSA4、ステップSA6、ステップSA8またはステップSA9のいずれかの処理により格納棚列3の格納棚5に車両の格納を行った場合は、入庫呼び操作を行った優先グループの利用者の認証情報と、その利用者の車両が格納された格納棚5とを関連付けた状態で、記憶・判定部33に記憶する。
また、制御装置32は、前記ステップSA2において、入庫呼び操作を行った利用者が優先グループの利用者ではなく、非優先グループの利用者であると判定されると、ステップSA10に進み、非優先グループの利用者の車両の入庫処理を開始する。なお、本実施形態では、非優先グループの利用者を代表して認証操作を行うのは、時間貸し駐車場の管理者である。
ステップSA10における非優先グループの利用者の車両の入庫処理は、格納棚列2の格納棚5または格納棚列4の格納棚5に、非優先グループの利用者の車両を格納するものであり、具体的には、以下のようにすればよい。
本実施形態の機械式駐車装置では、たとえば、時間貸し駐車場の管理者が、格納棚列2における空の格納棚5の有無と、格納棚列4における空の格納棚5の有無を確認する。
この確認の結果、格納棚列2に空の格納棚5がある一方、格納棚列4のすべての格納棚5に車両が格納されている場合は、前記管理者が、格納棚列2の空の格納棚5を入庫呼び対象に選定する。
また、確認の結果、格納棚列2のすべての格納棚5に車両が格納されている一方、格納棚列4に空の格納棚5がある場合は、前記管理者が、格納棚列4の空の格納棚5を入庫呼び対象に選定する。
更に、確認の結果、格納棚列2と格納棚列4の双方に空の格納棚5がある場合は、前記管理者が、更に、第1の駐車機械群G1と第2の駐車機械群G2のうち、いずれが使用可能かという点、双方が使用不可の場合には使用可能になるのが早いのはいずれかという点、格納棚列2の空の格納棚5と格納棚列4の空の格納棚5のうち、対応する入出庫部22,23により近いのはいずれかという点、などを考慮して、非優先グループの車両の入庫処理をできるだけ早く完了できると推定される格納棚列2または格納棚列4の空の格納棚5を、入庫呼び対象に選定する。なお、格納棚列2と格納棚列4の双方に空の格納棚5がある場合に、このような選定を行うのは、非優先グループの車両の入庫処理をできるだけ早く完了することが、その後に同じ駐車機械群G1,G2を用いて優先グループの利用者の車両の入出庫を行う場合に、優先グループの利用者の待ち時間の短縮化に、より有利に働くと考えられるためである。
次いで、前記管理者は、操作盤30にて、選定した格納棚列2または格納棚列4の空の格納棚5を指定する入庫呼び操作を行うようにすればよい。
なお、前記非優先グループの利用者の車両を格納するための格納棚5の選定は、前記管理者が操作盤30で入庫呼び対象の格納棚5を指定せずに入庫呼び操作を行うと、制御装置32が、前記と同様の基準による選定処理を自動的に行うようにしてもよい。
制御装置32は、格納棚列2の格納棚5が入庫呼び対象に指定された場合は、前記ステップSA4と同様に、入庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。更に、制御装置32は、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する入庫動作指令cを生成し、生成された入庫動作指令cを、第1の指令処理部36へ与える処理を行う。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、非優先グループの利用者の車両の入庫は、出入口26を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、時間貸し駐車場を利用する一時利用者は、出入口26からの入庫に備えて、出入口26の前で車両を待機させるようにすればよい。
その後、制御装置32では、第1の指令処理部36が、入庫動作指令cを直ちに、あるいは予約として処理した後に第1の駐車機械群G1へ与えるので、一時利用者は、出入口26から入出庫部22へ車両の乗り入れを行うことができる。その後、入出庫部22に乗り入れられた車両は、第1の駐車機械群G1により、昇降路6を経て格納棚列2における指定された格納棚5に格納される。
また、制御装置32は、格納棚列4の格納棚5が入庫呼び対象に指定された場合は、前記ステップSA6と同様に、入庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。更に、制御装置32は、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する入庫動作指令eを生成し、生成された入庫動作指令eを、第2の指令処理部37へ与える処理を行う。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、非優先グループの利用者の車両の入庫は、出入口27を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、時間貸し駐車場を利用する一時利用者は、出入口27からの入庫に備えて、出入口27の前で車両を待機させるようにすればよい。
その後、制御装置32では、第2の指令処理部37が、入庫動作指令eを直ちに、あるいは予約として処理した後に第2の駐車機械群G2へ与えるので、一時利用者は、出入口27から入出庫部23へ車両の乗り入れを行うことができる。その後、入出庫部23に乗り入れられた車両は、第2の駐車機械群G2により、昇降路7を経て格納棚列4における指定された格納棚5に格納される。
このように、ステップSA10で、非優先グループの利用者としての一時利用者の車両を格納棚列2または格納棚列4の格納棚5に格納した場合は、管理者が、一時利用者に、その一時利用者の車両を格納した格納棚5に付された番号札を渡すなどの手法で、一時利用者と車両を格納した格納棚5との関連付けを行うようにすればよい。
次に、図5に示す制御装置32による出庫処理について説明する。
制御装置32は、ステップSB1にて、操作盤30から、操作盤30で出庫呼び操作が行われたという信号と、認証操作に使用された利用者の認証情報とを含む情報aを受け取る。
制御装置32は、情報aを受け取ると、記憶・判定部33にて、出庫呼び操作を行った利用者が、優先グループの利用者であるか否かを判定する処理を行う(ステップSB2)。
制御装置32は、前記ステップSB2で、出庫呼び操作を行った利用者が優先グループの利用者であると判定されると、ステップSB3に進む。
制御装置32は、ステップSB3では、記憶・判定部33にて、第1の駐車機械群G1が使用可能であるか否かを判定する判定処理を行う。制御装置32は、ステップSB3で、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1が使用可能であると判定されると、ステップSB4に進む。
制御装置32は、ステップSB4では、出庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。これにより、本実施形態の機械式駐車装置は、表示部31に「第1出入口」と表示して、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者に対し、その利用者の車両の出庫は、出入口26を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、利用者は、出入口26からの出庫に備えて、出入口27の前で待機すればよい。
更に、制御装置32は、ステップSB4では、記憶・判定部33に記憶されている優先グループの利用者の認証情報と、その利用者の車両が格納された格納棚5との関連付けを基に、出庫呼び操作を行った利用者の車両が格納されている格納棚列3の格納棚5を指定すると共に、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する出庫動作指令dを生成し、生成された出庫動作指令dを、第1の指令処理部36へ与える。
このとき、本実施形態の機械式駐車装置では、昇降路6を用いた入庫と出庫の機械動作がいずれも進行中ではなく、第1の駐車機械群G1が使用可能な状態であるため、制御装置32では、第1の指令処理部36が、出庫動作指令dを直ちに第1の駐車機械群G1へ与える。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、第1の駐車機械群G1の出庫機械動作が開始される。そのため、本実施形態の機械式駐車装置では、ステップSB4で指定された格納棚5に格納されていた車両が、昇降路6を経て入出庫部22へ搬送されて、出庫準備が整えられる。これにより、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、自身の車両を、入出庫部22から出入口26を通して外部へ乗り出すことができる。
一方、前記ステップSB3で、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1が使用可能ではないと判定、すなわち、使用不可であると判定されると、制御装置32は、ステップSB5に進む。
制御装置32は、ステップSB5では、記憶・判定部33にて、第2の駐車機械群G2が使用可能であるか否かを判定する判定処理を行う。制御装置32は、ステップSB5で、記憶・判定部33により、第2の駐車機械群G2が使用可能であると判定されると、ステップSB6に進む。
制御装置32は、ステップSB6では、出庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。これにより、本実施形態の機械式駐車装置は、表示部31に「第2出入口」と表示して、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者に対し、その利用者の車両の出庫は、出入口27を使用して行うことを案内することができる。よって、この案内に従って、利用者は、出入口27からの出庫に備えて、出入口27の前で待機すればよい。
更に、制御装置32は、ステップSB6では、前記ステップSB4の場合と同様に、記憶・判定部33に記憶されている関連付けの情報を基に、出庫呼び操作を行った利用者の車両が格納されている格納棚列3の格納棚5を指定すると共に、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する出庫動作指令fを生成し、生成された出庫動作指令fを、第2の指令処理部37へ与える。
このとき、本実施形態の機械式駐車装置では、昇降路7を用いた入庫と出庫の機械動作がいずれも進行中ではなく、第2の駐車機械群G2が使用可能な状態であるため、制御装置32では、第2の指令処理部37が、出庫動作指令fを直ちに第2の駐車機械群G2へ与える。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、第2の駐車機械群G2の出庫機械動作が開始される。そのため、本実施形態の機械式駐車装置では、ステップSB6で指定された格納棚5に格納されていた車両が、昇降路7を経て入出庫部22へ搬送されて、出庫準備が整えられる。したがって、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、自身の車両を、入出庫部23から出入口27を通して外部へ乗り出すことができる。
制御装置32は、前記ステップSB5で、記憶・判定部33により、第2の駐車機械群G2も使用可能ではないと判定、すなわち、使用不可であると判定されると、ステップSB7に進む。
制御装置32は、ステップSB7では、記憶・判定部33により、第1の駐車機械群G1と、第2の駐車機械群G2のうち、出庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする出庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1であるか否かを判定する処理を行う。この判定は、前記した入庫処理におけるステップSA7の場合と同様に行われる。
制御装置32は、前記ステップSB7にて、出庫呼び対象の車両の出庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1であると判定される場合は、ステップSB8に進む。
ステップSB8では、制御装置32は、ステップSB4と同様に、出庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。また、制御装置32は、記憶・判定部33に記憶されている関連付けを基に、出庫呼び操作を行った利用者の車両が格納されている格納棚列3の格納棚5を指定すると共に、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する出庫動作指令dを生成し、生成された出庫動作指令dを、第1の指令処理部36へ与える。
この際、第1の駐車機械群G1は、入庫または出庫の機械動作が進行中であるため、第1の指令処理部36に与えられた出庫動作指令dは、第1の指令処理部36に新たな予約として保存される。
したがって、この予約として保存された出庫動作指令dが、予約された順序に従って第1の指令処理部36から第1の駐車機械群G1へ与えられると、本実施形態の機械式駐車装置では、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者の車両が、昇降路6を経て入出庫部22へ搬送されて、出庫準備が整えられる。よって、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、自身の車両を、入出庫部22から出入口26を通して外部へ乗り出すことができる。
制御装置32は、前記ステップSB7にて、出庫呼び操作を行った利用者の車両を対象とする出庫機械動作により早く使用可能となるのが、第1の駐車機械群G1ではなく、第2の駐車機械群G2であると判定される場合は、ステップSB9に進む。
ステップSB9では、制御装置32は、ステップSB6と同様に、出庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。また、制御装置32は、記憶・判定部33に記憶されている関連付けの情報を基に、出庫呼び操作を行った利用者の車両が格納されている格納棚列3の格納棚5を指定すると共に、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する出庫動作指令fを生成し、生成された出庫動作指令fを、第2の指令処理部37へ与える。
この際、第2の駐車機械群G2は、入庫または出庫の機械動作が進行中であるため、第2の指令処理部37に与えられた出庫動作指令fは、第2の指令処理部37に新たな予約として保存される。
したがって、この予約として保存された出庫動作指令fが、予約された順序に従って第2の指令処理部37から第2の駐車機械群G2へ与えられると、本実施形態の機械式駐車装置では、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者の車両が、昇降路7を経て入出庫部23へ搬送されて、出庫準備が整えられる。よって、出庫呼び操作を行った優先グループの利用者は、自身の車両を、入出庫部23から出入口27を通して外部へ乗り出すことができる。
また、制御装置32は、前記ステップSB2において、出庫呼び操作を行った利用者が優先グループの利用者ではなく、非優先グループの利用者であると判定されると、ステップSB10に進み、非優先グループの利用者の車両の出庫処理を開始する。
ステップSB10における非優先グループの利用者の車両の出庫処理は、格納棚列2の格納棚5または格納棚列4の格納棚5に格納されている非優先グループの利用者の車両を、出庫するものであり、具体的には、以下のようにすればよい。
この場合は、時間貸し駐車場の管理者が、入庫時に行った一時利用者と車両を格納した格納棚5との関連付けを基に、操作盤30で、一時利用者の車両が格納されている格納棚列2または格納棚列4の格納棚5を指定する出庫呼び操作を行うようにすればよい。
制御装置32は、格納棚列2の格納棚5が出庫呼び対象に指定された場合は、前記ステップSB4と同様に、出庫に出入口26を使用する決定を行い、表示部31に「第1出入口」と表示する指令bを与える。更に、制御装置32は、第1の機械制御部34にて、第1の駐車機械群G1に対する出庫動作指令dを生成し、生成された出庫動作指令dを、第1の指令処理部36へ与える処理を行う。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、非優先グループの利用者の車両の出庫が、出入口26を使用することを案内することができる。よって、この案内に従って、一時利用者は、出入口26からの出庫に備えて、出入口26の前で待機すればよい。
その後、制御装置32では、第1の指令処理部36が、出庫動作指令dを直ちに、あるいは予約として処理した後に第1の駐車機械群G1へ与えるので、本実施形態の機械式駐車装置では、一時利用者の車両が、格納棚列2から昇降路6を経て入出庫部22へ搬送されて、出庫準備が整えられる。よって、一時利用者は、自身の車両を、入出庫部22から出入口26を通して外部へ乗り出すことができる。
また、制御装置32は、格納棚列4の格納棚5が出庫呼び対象に指定された場合は、前記ステップSB6と同様に、出庫に出入口27を使用する決定を行い、表示部31に「第2出入口」と表示する指令bを与える。更に、制御装置32は、第2の機械制御部35にて、第2の駐車機械群G2に対する出庫動作指令fを生成し、生成された出庫動作指令fを、第2の指令処理部37へ与える処理を行う。
これにより、本実施形態の機械式駐車装置では、非優先グループの利用者の車両の出庫が、出入口27を使用することを案内することができる。よって、この案内に従って、一時利用者は、出入口27からの出庫に備えて、出入口27の前で待機すればよい。
その後、制御装置32では、第2の指令処理部37が、出庫動作指令fを直ちに、あるいは予約として処理した後に第2の駐車機械群G2へ与えるので、本実施形態の機械式駐車装置では、一時利用者の車両が、格納棚列4から昇降路7を経て入出庫部23へ搬送されて、出庫準備が整えられる。よって、一時利用者は、自身の車両を、入出庫部23から出入口27を通して外部へ乗り出すことができる。
このように、本実施形態の機械式駐車装置によれば、建屋1内に設けられた各格納棚列2,3,4のうち、2つの昇降路6,7に挟まれた配置の格納棚列3を、優先グループの利用者の車両の格納に用いる格納棚列3に設定して、格納棚列3の格納棚5に対する優先グループの利用者の車両の入出庫を、昇降路6を用いて車両の搬送を行う第1の駐車機械群G1と、昇降路7を用いて車両の搬送を行う第2の駐車機械群G2の双方で実施可能とすることができる。
更に、本実施形態の機械式駐車装置は、優先グループの利用者の認証情報を用いた入庫または出庫の呼び操作が行われたときに、第1の駐車機械群G1と第2の駐車機械群G2のうちに使用可能なものがある場合は、その使用可能な第1の駐車機械群G1または第2の駐車機械群G2に対して、制御装置32から入庫または出庫の動作指令を直ちに与えて、格納棚列3の格納棚5に対する優先グループの利用者の車両の入出庫を行うことができる。
また、本実施形態の機械式駐車装置は、優先グループの利用者の認証情報を用いた入庫または出庫の呼び操作が行われたときに、第1の駐車機械群G1と第2の駐車機械群G2の双方が使用不可の場合は、第1の駐車機械群G1と第2の駐車機械群G2のうち、入庫または出庫の呼び操作を行った利用者の車両を対象とする入庫または出庫の機械動作により早く使用可能となる方を選択して、格納棚列3の格納棚5に対する優先グループの利用者の車両の入出庫を行うことができる。
よって、本実施形態の機械式駐車装置は、優先グループの利用者の車両の入出庫時について、待ち時間の短縮化を図ることができて、優先グループの利用者に対して、利便性の向上化を図ることができる。
なお、本開示の機械式駐車装置は、前記実施形態のもののみに限定されるものではない。
前記実施形態では、3つの格納棚列2,3,4は地上に設けられ、2つの昇降路6,7の各下部位置に入出庫部22,23を備えた構成の下部乗入れ方式のものを例示した。これに対し、本開示の機械式駐車装置は、たとえば、各格納棚列が地下にも延長されて設置されて、各昇降路の上下方向の途中位置に個別の入出庫部を備えた構成の中間乗入れ方式の機械式駐車装置、あるいは、各昇降路の各上部位置に個別の入出庫部を備えた構成の上部乗入れ方式の機械式駐車装置に適用してもよいことは勿論である。
また、前記実施形態の機械式駐車装置は、搬送装置8,9が、昇降路6,7にパレットを搭載可能なリフトケージ10,16を備えて、入出庫部22,23から、パレットとともに車両を搬送して格納棚5に格納する形式の例を示した。これに対し、本開示の機械式駐車装置は、搬送装置として、入出庫部に乗り入れた車両をくし歯形のリフトケージにより搬送し、格納棚に備えられたくし歯形のパレットに載せ替えてから格納棚に格納する形式の搬送装置を備えた、いわゆる、くし(フォーク)型エレベータ方式の機械式駐車装置にも適用できることは勿論である。
更に、前記実施形態の機械式駐車装置は、格納棚列2,3,4を3列として、2つの昇降路6,7に挟まれた配置となる格納棚列3を、1列のみ備える構成の例を示した。これに対し、本開示の機械式駐車装置は、格納棚列を4列以上として、2つの昇降路に挟まれた配置となる格納棚列を複数列備える構成としてもよいことは勿論である。この場合は、2つの昇降路に挟まれた配置となる複数列の格納棚列のうちの少なくとも1列を、優先グループの利用者の車両の格納に使用される優先棚列に設定すればよい。
なお、本開示の機械式駐車装置は、2つの昇降路に挟まれた配置となる複数列の格納棚列を、優先グループの利用者の車両の格納に使用される優先棚列に設定する場合に、2つの優先棚列が、1つの昇降路を挟んで隣接する構成となっていてもよい。この場合、制御装置は、隣接して配置された優先棚列のそれぞれについて、或る優先棚列の一側の昇降路に対応する駐車機械群と、他側の昇降路に対応する駐車機械群のうち、使用可能な方の駐車機械群、あるいは、より早く使用可能となる方の駐車機械群を用いて、前記或る優先棚列への入出庫を実施する制御を行うようにすればよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。