以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを適用したMFP(Multi Function Peripheral)の実施の一形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるMFPの全体構成を示すブロック図である。読取り装置101は、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)からなるラインセンサと、A/Dコンバータと、それらの駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで得る原稿の濃淡情報からRGB各8ビットのデジタル画像データを生成し、生成したデジタル画像データを出力する。なお、本実施の形態では、読取り装置101は、CCDを具備しているが、CIS(Contact Image Sensor)やCMOSなどのイメージセンサを具備しても、同様の構成をとることができる。また、近年、読み取りのビット数が拡大する傾向にあることから、RGB各10ビットや12ビットのデジタル画像データを生成することもできる。
画像データ処理装置1(102)は、読取り装置101から出力されたデジタル画像データを、予め定めた特性に統一する画像処理を施すものである。スキャナで原稿を読取り、入力される画像データは、スキャナの機器特性に依存しているので、この処理によって機器に依存する信号成分を抑制或いは除き、画像データを正規化する処理を行い、各種の出力に利用可能な汎用データに変換した後、後述するHDD105に蓄積する。つまり、蓄積画像を再利用する出力先の要求に適した特性のデータとして処理される。なお、画像データ処理装置1(102)における画像処理の詳細については、後述する。
バス制御装置103は、MFP100内で必要なデジタル画像データや制御コマンド等の各種データのやり取りを行うデータバスであり、複数種のバス規格間におけるブリッジ機能も有している。本実施の形態では、バス制御装置103は、画像データ処理装置1(102)と画像データ処理装置2(104)とCPU106とはPCI-Expressで接続され、HDD105とはATAバスで接続されてASIC(Application Specific Integrated Circuit)化されている。
画像データ処理装置2(104)は、画像データ処理装置1(102)で予め定めた特性に統一されたデジタル画像データ、および回線I/F装置111や外部I/F装置112を介して入力されたデジタル画像データ(入力側の画像データ)に対し、画像の調整・編集加工やユーザから指定された出力先に適した画像処理を施すものである。例えば、画像データ処理装置2(104)は、デジタル画像データを紙に出力(印刷)する場合、画像データ処理装置1(102)において予め定めた特性に統一されたデジタル画像データを、出力先のデバイス(プリンタなど)に依存するCMYKのデジタル画像データ(出力側の画像データ)に変換する。なお、画像データ処理装置2(104)における画像処理の詳細については、後述する。
HDD(Hard Disk Drive)105は、デスクトップパソコンなどにも使用されている電子データ(例えば、デジタル画像データなど)を保存するための大容量の記憶装置であって、MFP100内では、主にデジタル画像データおよび当該デジタル画像データの付帯情報を保存する。また、本実施の形態では、HDD105は、IDE(Integrated Drive Electronics)を拡張して規格化されたATAバスを介してバス制御装置103に接続されている。
なお、本実施の形態では、大容量の記憶装置としてHDD105を用いているが、近年容量が大きくなってきたフラッシュメモリを用いたシリコンディスクなど、別のデバイスを大容量の記憶装置として適用することもできる。大容量の記憶装置としてシリコンディスクを用いた場合、大容量の記憶装置における消費電力の低減およびアクセス速度の向上を期待できる。
CPU(Central Processing Unit)106は、MFP100の制御全体を司るマイクロプロセッサである。本実施の形態では、CPU106には、汎用規格I/Fとの接続機能やクロスバースイッチを使ったバス接続機能がインテグレートされたPMC社のRM11100など、近年普及してきたCPUコア単体に+αの機能を追加したIntegrated CPUを使用する。
メモリ107は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や互いに接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータの記憶やCPU106がMFP100の制御を行う際にプログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。なお、CPU106は、高速処理が求められるため、通常起動時にROM114に記憶されたブートプログラムにてMFP100を起動し、その後、高速にアクセス可能なメモリ107に展開されたプログラムに従って処理を実行する。本実施の形態では、メモリ107には、規格化され、パーソナルコンピュータに使用されているDIMM(Dual Line Memory Module)を使用する。
プロッタI/F装置108は、CPU106にインテグレートされた汎用規格I/F経由で送られてくるCMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、プロッタ装置109の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行う。本実施の形態では、汎用規格I/Fには、PCI-Expressバスを使用している。
プロッタ装置109は、CMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、レーザビームを用いた電子写真プロセスを用いて、受け取ったデジタル画像データを転写紙に出力する。なお、モノクロ出力を行う場合には、プロッタ装置109は、Kのデジタル画像データだけを受け取り、受け取ったKのデジタル画像データを転写紙に出力するように構成することもできるが、ここでは、説明を容易にするために、プロッタ装置109は、常に、CMYKのデジタル画像データを受け取るものとする。
なお、本実施の形態では、プロッタ装置109は、電子写真プロセスを用いてデジタル画像データを転写紙に出力しているが、デジタル画像データの出力に用いるプロセスは任意に選択可能であり、例えば、近年、パーソナルユースで使われることが多いインクジェットエンジンによりデジタル画像データを転写紙に出力しても良い。インクジェットによりデジタル画像データを転写紙に転写する場合、6色や7色といった多色インクに対応したインクジェットエンジンをプロッタ装置109に用いることができる。また、電子写真プロセスにおいても特色トナーや透明トナーを用いた多色版による作像エンジンも提案されており、同様にプロッタ装置109に用いることができる。
S.B.113は、パーソナルコンピュータに使用されるチップセットの一つで、South Bridgeと呼ばれる汎用の電子デバイスである。S.B.113は、主にPCI-ExpressとISAブリッジを含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機構を汎用回路化したものである。本実施の形態では、S.B.113は、ROM114との間をブリッジしている。
ROM(Read Only Memory)114は、CPU106がMFP100の制御を行う際のプログラム(ブートプログラムを含む)が格納されるメモリであり、MFP100の電源をOFFしても格納されたプログラムが消えない不揮発性のメモリである。
操作表示装置110は、MFP100とユーザのインターフェースを行う部分であり、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)とキースイッチから構成され、装置の各種状態や操作方法を表示し、ユーザからのキースイッチ入力を検知する。本実施の形態では、操作表示装置110は、PCI-Expressバスを介して、CPU106と接続されている。
回線I/F装置111は、PCI-Expressバスと電話回線などの公衆回線を接続する装置である。MFP100は、回線I/F装置111を用いて、公衆回線を介して各種データのやり取りを行うことが可能となる。
FAX装置115は、通常のファクシミリであり、公衆回線を介して、MFP100と画像データの授受を行うものである。
外部I/F装置112は、PCI-Expressバスと外部装置(PC116、外部メディア117など)とを接続する装置である。MFP100は、外部I/F装置112を用いて、外部装置と各種データのやり取りを行うことが可能となる。本実施の形態では、外部I/F装置112と外部装置との接続I/Fには、ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標))およびUSB(Universal Serial Bus)を使用する。すなわち、MFP100は、外部I/F装置112を介して、ネットワークやSDカード等の外部メディアに接続されている。ネットワークには、有線LAN(Local Area Network)や無線LANなどがあるが、どちらでも良い。
PC116は、いわゆるパーソナルコンピュータであり、当該パーソナルコンピュータにインストールされたアプリケーションやドライバを介して、ユーザはMFP100に対して各種制御や画像データの入出力を行うことができる。
外部メディア117は、いわゆるコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやSDカード等のメモリデバイスであり、画像データを含む各種の電子データを記録しており、ユーザはMFP100に対して画像データの入出力を行うものである。
ここで、図1〜5を用いて、MFP100に入力された各種画像データがどのように処理されて蓄積・出力されるのかを様々なユースケースに分けて説明する。
(スキャナ入力→プロッタ出力動作)
ユーザは、原稿を読取り装置101にセットし、所望する画像処理モード等の設定とコピー開始の入力を操作表示装置110に行う。操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、コピー開始の制御コマンドデータに従って、コピー動作プロセスのプログラムを実行し、コピー動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に記す。
読取り装置101で原稿をスキャンして得られたRGB各8ビットのデジタル画像データは、画像データ処理装置1(102)で予め定めた特性に統一され、バス制御装置103に送られる。また、画像データ処理装置1(102)は、必要に応じて原稿から情報を抽出する。
図2は、画像データ処理装置1の詳細な構成を示すブロック図である。図3および図4は、画像データ処理装置1で使用する基準チャートの一例を示す図である。γ変換部102aは、読取り装置101からデジタル画像データが入力され、入力されたデジタル画像データにγ変換を施して当該デジタル画像データのγ特性を、反射率を基にした特性から予め定められた特性(例えば、γ=2.2)に変換する。本実施の形態では、γ変換部102aは、図3に示すような基準チャートをスキャンしたときに、所定のγ特性になるようにデジタル画像データのγ特性を変換する。
フィルタ処理部102bは、デジタル画像データに対してフィルタ処理を施し、読取り装置101の持つMTF特性などの特性を予め定められた特性に補正する。本実施の形態では、フィルタ処理部102bは、図4に示すような基準チャートのパターンをスキャンしたときに、線数毎に予め定めたMTF特性になるように変換する。
色変換部102cは、読取り装置101で生成したデジタル画像データの色空間を予め定められた色空間へと変換する。ここで、予め定められた色空間は、入力されたデジタル画像データに対して、クリップや圧縮がかからないようになるべく大きい方が良いが、余り大きすぎると階調段差が問題になる。そこで、本実施の形態では、色変換部102cは、図3に示すような基準チャートをスキャンしたときに、規格化された色空間の一つであるAdobeRGBになるように変換する。
解像度変換部102dは、読取り装置101から入力されたデジタル画像データの解像度を、予め定められた解像度へと変換する。本実施の形態では、解像度変換部102dは、入力されたデジタル画像データの解像度を、常に600dpiへと変換する。もちろん、解像度変換部102dは、他の解像度にも変換することができる。
画像データ処理装置1(102)で特性が統一されたRGB各8ビットのデジタル画像データはバス制御装置103に送られる。バス制御装置103は、画像データ処理装置1(102)からのRGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。さらに、バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信などに対応するために、編集加工前の画像データとして必要に応じてHDD105へと蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常にHDD105に蓄積するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるHDD105に蓄積したRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、後述する画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度が72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に展開されたRGB各8ビットの画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをプロッタ出力用のCMYK各8ビットのデジタル画像データに変換し出力する。なお、バス制御装置103やATAバスなどのデータバスを介したデジタル画像データの転送時やHDD105への蓄積時などに、CPU106が、必要に応じてデジタル画像データの圧縮伸張処理を行うことによってデジタル画像データを効率的に扱うことも可能である。
図5は、画像データ処理装置2の詳細な構成を示すブロック図である。フィルタ処理部104aは、RGB各8ビットの画像データの鮮鋭性やS/Nを、プロッタ装置109に出力する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部104aは、所望する画像処理モード(例えば、文字モードや写真モードなど)に従って、RGB各8ビットのデジタル画像データに対して鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、フィルタ処理部104aは、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するため平滑化処理を施す。
色変換部104bは、RGB各8ビットのデジタル画像データ(入力側の画像データ)を受け取ると、プロッタ装置109用の色空間であるCMYK各8ビットのデジタル画像データ(出力側の画像データ)に変換する。具体的には、色変換部104bは、カラーモードがカラー出力モードの時には、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データを、CMYK各8ビットのデジタル画像データに変換し、カラーモードがモノクロ出力モードの時には、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データを、K単色のデジタル画像データに変換する。
解像度変換部104cは、色変換部104bによりCMYK各8ビットのデジタル画像データの解像度を、プロッタ装置109の性能に従って変換する。本実施の形態では、解像度変換部104cは、プロッタ装置109の性能が600dpi出力であるため、特に変換は行われない。
γ変換部104dは、CMYK各8ビットのデジタル画像データのγ特性を、プロッタ装置109のプロセス特性に補正する。
中間調処理部104eは、CMYK各8ビットのデジタル画像データに、プロッタ装置109の階調処理能力に従った中間調処理を施す。本実施の形態では、中間調処理部104eは、疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて、CMYK各8ビットのデジタル画像データを、CMYK各2ビットのデジタル画像データにする。そして、中間調処理部104e(画像データ処理装置2(104))は、中間調処理を施したCMYK各2ビットのデジタル画像データを、バス制御装置103へと送る。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)からのCMYK各2ビットのデジタル画像データを受け取ると、受け取ったCMYK各2ビットのデジタル画像データを、CPU106を介してメモリ107に展開する。そして、メモリ107に展開されたCMYK各2ビットの画像データは、CPU106およびプロッタI/F装置108を介して、プロッタ装置109に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、CMYK各2ビットのデジタル画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして、必要に応じてHDD105へも蓄積する。さらに、バス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと同じように、編集加工済みの画像データの解像度を下げたサムネイルを、編集加工済みの画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、CMYK各2ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成するものとする。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。ここで、デバイス(プロッタ装置109)に依存して画像処理を行ったCMYK各2ビットのデジタル画像データをsRGB色空間へと変換すると、画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成しても良い。
プロッタ装置109は、プロッタI/F装置108から受け取ったCMYK各2ビットのデジタル画像データを転写紙に出力し、原稿のコピーを生成する。
(スキャナ入力→ファックス送信動作)
ユーザが、原稿を読取り装置101にセットし、所望する画像処理モード等の設定とファックス開始の入力を操作表示装置110に行う。操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、ファックス送信開始の制御コマンドデータに従って、ファックス送信動作プロセスのプログラムを実行し、ファックス送信動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に記す。
読取り装置101で原稿をスキャンして得られたRGB各8ビットのデジタル画像データは、画像データ処理装置1(102)で予め定めた特性に統一され、バス制御装置103に送られる。また、画像データ処理装置1(102)は、必要に応じて原稿から情報を抽出する。なお、画像データ処理装置1(102)における処理の詳細については、上述した(スキャナ入力→プロッタ出力動作)と同等なため割愛する。
画像データ処理装置1(102)で特性が統一されたRGB各8ビットのデジタル画像データはバス制御装置103に送られる。バス制御装置103は、画像データ処理装置1(102)からRGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。さらに、バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信などに対応するために、編集加工前の画像データとして必要に応じてHDD105へと蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常にHDD105に蓄積するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるHDD105に蓄積したRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、後述する画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度が72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に蓄積されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをファックス送信用のモノクロ2値のデジタル画像データに変換し出力する。なお、バス制御装置103やATAバスなどのデータバスを介したデジタル画像データの転送時やHDD105への蓄積などに、CPU106が、必要に応じてデジタル画像データの圧縮伸張処理を行うことによってデジタル画像データを効率的に扱うことも可能である。
ここで、再度、図5を用いて、ファックス送信に必要な画像処理を順に説明する。フィルタ処理部104aは、RGB各8ビットの画像データの鮮鋭性を、FAX送信する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部104aは、所望する画像処理モード(例えば、文字モードや写真モードなど)に従って、RGB各8ビットのデジタル画像データに対して鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、フィルタ処理部104aは、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するため平滑化処理を施す。
色変換部104bは、RGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、FAX装置115で一般的な単色(モノクロ)8ビットのデジタル画像データに変換する。ただし、送信先のFAX装置115がカラーFAXに対応している場合には、色変換部104bは、プロッタ装置109に出力する場合と同様の色変換を行うことも可能である。具体的には、色変換部104bは、カラーモードがカラー出力モードの時には、RGBでの再現が行われるようにRGB各8ビットのデジタル画像データを変換し、カラーモードがモノクロ出力モードの時には、グレースケールでの再現が行われるようにRGB各8ビットのデジタル画像データを変換する。
解像度変換部104cは、モノクロ8ビットのデジタル画像データの解像度を、FAX装置115で送受信される解像度に変換する。本実施の形態では、解像度変換部104cは、モノクロ8ビットのデジタル画像データの解像度を、主走査:200dpi×副走査:100dpiに変換する。
γ変換部104dは、モノクロ8ビットのデジタル画像データのγ特性を、FAX送信する場合の再現性が良くなるように補正する。例えば、γ変換部104dは、画像処理モードが文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリさせるためにコントラストが高くなるように補正し、画像処理モードが写真モードでは、滑らかに階調が表現できるようにやや寝かせ気味に補正する。
中間調処理部104eは、モノクロ8ビットのデジタル画像データを受け取ると、受け取ったモノクロ8ビットのデジタル画像データに、FAX装置115で送受信される中間調処理能力に従った中間調処理を行う。本実施の形態では、中間調処理部104eは、疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて、モノクロ8ビットのデジタル画像データを2値のデジタル画像データとする。なお、中間調処理部104eは、カラー出力が可能なFAX装置115に出力する場合には、モノクロ8ビットのデジタル画像データに中間調処理は施さずに出力する。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)から2値のデジタル画像データを受け取ると、受け取った2値のデジタル画像データを、CPU106を介してメモリ107に展開する。メモリ107に展開された2値のデジタル画像データは、CPU106を介して、回線I/F装置111に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、2値のデジタル画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして、必要に応じてHDD105へも蓄積する。なお、バス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと同じように、編集加工済みの画像データの解像度を下げたサムネイルを、編集加工済みの画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、2値のデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成するものとする。本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。ここで、解像度の低い2値のデジタル画像データをsRGB色空間に変換すると画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成しても良い。
回線I/F装置111は、バス制御装置103から受け取った2値のデジタル画像データを送信プロトコルに則って回線を介して接続したFAX装置115に送信する。
(スキャナ入力→スキャナ配信動作)
ユーザは、原稿を読取り装置101にセットし、所望する画像処理モード等の設定とスキャナ配信開始の入力を操作表示装置110に行う。操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、スキャナ配信開始の制御コマンドデータに従って、スキャナ配信動作プロセスのプログラムを実行し、スキャナ配信動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に記す。
読取り装置101で原稿をスキャンして得られたRGB各8ビットのデジタル画像データは、画像データ処理装置1(102)で予め定めた特性に統一され、バス制御装置103に送られる。また、画像データ処理装置1(102)は、必要に応じて原稿から情報を抽出する。なお、画像データ処理装置1(102)における処理の詳細については、上述した(スキャナ入力→プロッタ出力動作)と同等なため割愛する。
画像データ処理装置1(102)で特性が統一されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、バス制御装置103に送られる。バス制御装置103は、画像データ処理装置1(102)からRGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。さらに、バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信などに対応するために、編集加工前の画像データとして必要に応じてHDD105へも蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常にHDD105に蓄積するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるHDD105に蓄積したRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、後述する画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度は72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に蓄積されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをスキャナ配信用のデジタル画像データ(例えば、RGB多値、グレースケール、モノクロ2値等)に変換し出力する。
ここで、再度、図5を用いて、スキャナ配信に必要な画像処理を順に説明する。フィルタ処理部104aは、RGB各8ビットのデジタル画像データの鮮鋭性を、スキャナ配信する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部104aは、所望する画像処理モード(例えば、文字モードや写真モードなど)に従って、RGB各8ビットのデジタル画像データに対して鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、フィルタ処理部104aは、文字モードでは、文字をハッキリ/クッキリとするために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは、滑らかに階調性を表現するため平滑化処理を施す。
色変換部104bは、RGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、予め指定された色空間に変換する。本実施の形態では、色変換部104bは、スキャナ配信で一般的なsRGB各8ビットのデジタル画像データに変換する。ただし、上述したプロッタ装置109やFAX装置115に出力する場合と同様に、色変換部104bは、sRGB色空間以外にも、グレースケールのデジタル画像データやモノクロ2値のデジタル画像データなど、様々な色空間への変換を行うことも可能である。具体的には、色変換部104bは、カラーモードがカラー出力モードの時には、sRGBでの再現が行われるようにRGB各8ビットのデジタル画像データを変換し、モノクロ出力モードの時には、グレースケールでの再現が行われるようにRGB各8ビットのデジタル画像データを変換する。
解像度変換部104cは、sRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を、予め指定されたスキャナ配信で送受信される解像度に変換する。本実施の形態では解像度変換部104cは、sRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を、主走査:200dpi×副走査:200dpiに変換する。
γ変換部104dは、sRGB各8ビットのデジタル画像データのγ特性を、スキャナ配信する場合の再現性が良くなるように補正する。なお、本実施の形態では、sRGB色空間に既にカラーマッチングされているため、γ変換部104dにおける補正は行われない。
中間調処理部104eは、sRGB各8ビットのデジタル画像データに、予め指定されたスキャナ配信で送受信される中間調処理能力に従った中間調処理を行う。本実施の形態では、中間調処理部104eは、RGB各8ビットの16万色が指定されたものとして、階調処理を特に実施しないものとする。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)からsRGB各8ビットのデジタル画像データを受け取ると、受け取ったsRGB各8ビットのデジタル画像データを、CPU106を介してメモリ107に展開する。メモリ107に展開されたsRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106を介して外部I/F装置112に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、sRGB各8ビットのデジタル画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして、必要に応じてHDD105へも蓄積する。さらに、バス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データと同じように、編集加工済みの画像データの解像度を下げたサムネイルを、編集加工済みの画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、sRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成するものとする。本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。また、本実施の形態では、編集加工済みの画像データの色空間はsRGB色空間のため、CPU106は、sRGB色空間への変換を行う必要はない。ここで、解像度の低いsRGB各8ビットのデジタル画像データからサムネイルを作成すると画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成しても良い。
外部I/F装置112は、バス制御装置103から受け取ったsRGB各8ビットのデジタル画像データを、ネットワークを介して接続したPC116に送信する。
(外部I/F入力→プロッタ出力動作)
ユーザは、RGB各8ビットのデジタル画像データが記録された外部メディア117を外部I/F装置112を介して接続し、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力を操作表示装置110に行う。なお、PC116からのプリント出力の場合、ユーザは、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力をPC116から行う。
操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、プリント開始の制御コマンドデータに従って、プリント動作プロセスのプログラムを実行し、プリント動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に記す。
外部メディア117から外部I/F装置112経由で得られたRGB各8ビットの規格化された色空間に基づいたデジタル画像データ、またはPC116からプリント出力されたレンダリング済みのRGB各8ビットの規格化された色空間に基づいたデジタル画像データは、その規格化された色空間のままCPU106を介してメモリ107に展開される。規格化された色空間には、いろいろな定義があるが、一般的にはsRGB色空間やAdobeRGB色空間を使うことが多い。もし、入力されたデジタル画像データの色空間が想定された規格化された色空間以外のものならば、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して、画像データ処理装置2(104)に送られ、ユーザの設定した規格化された色空間に変換して再度メモリ107に展開される。さらに、バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信など編集加工前の画像データとして必要に応じてHDD105へと蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前の画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常に保存するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるHDD105に蓄積したRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度が72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをプロッタ出力用のCMYK各2ビットのデジタル画像データに変換し出力する。なお、画像データ処理装置2(104)における処理の詳細については、上述した(スキャナ入力→プロッタ出力動作)と同様なため割愛する。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)からのCMYK各2ビットのデジタル画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。メモリ107に展開されたCMYK各2ビットのデジタル画像データは、CPU106およびプロッタI/F装置108を介して、プロッタ装置109に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、CMYK各2ビットのデジタル画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして、必要に応じてHDD105へも蓄積する。さらに、バス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前の画像データと同じように、サムネイルを、編集加工済みの画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、CMYK各2ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成される。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。ここで、デバイス(プロッタ装置109)に依存して画像処理を行ったCMYK各2ビットのデジタル画像データをsRGB色空間へと変換すると、画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成しても良い。
プロッタ装置109は、プロッタI/F装置108から受け取ったCMYK各2ビットのデジタル画像データを転写紙に出力し、外部メディア117に記録されたRGB各8ビットのデジタル画像データのプリントが生成される。
(外部I/F入力→ファックス送信動作)
ユーザは、RGB各8ビットのデジタル画像データが記録された外部メディア117を外部I/F装置112を介して接続し、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力を操作表示装置110に行う。なお、PC116からのプリント出力の場合、ユーザは、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力をPC116から行う。
操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、ファックス送信開始の制御コマンドデータに従って、ファックス送信動作プロセスのプログラムを実行し、ファックス送信動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に記す。
外部メディア117から外部I/F装置112経由で得られたRGB各8ビットのデジタル画像データのメモリ107およびHDD105への展開(蓄積)処理の詳細については、上述した(外部I/F入力→プロッタ出力動作)と同様なため割愛する。
バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信などの必要に応じて、編集加工前の画像データとしてHDD105へと蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前の画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常に保存するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度が72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをファックス送信用のモノクロ2値のデジタル画像データに変換し出力する。なお、画像データ処理装置2(104)における処理の詳細については、上述した(スキャナ入力→ファックス送信動作)と同様なため割愛する。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)からのモノクロ2値のデジタル画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。メモリ107に展開されたモノクロ2値のデジタル画像データは、CPU106を介して、回線I/F装置111に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、モノクロ2値のデジタル画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして、必要に応じてHDD105へも蓄積する。さらに、バス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前の画像データと同じように、サムネイルを、編集加工済み画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、モノクロ2値のデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成される。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiと144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。ここで、解像度の低いモノクロ2値のデジタル画像データをsRGB色空間の画像データに変換すると画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成するようにしても良い。
回線I/F装置111は、CPU106から受け取ったモノクロ2値のデジタル画像データを、回線を介して接続したFAX装置115に送信する。
(外部I/F入力→スキャナ配信動作)
ユーザは、RGB各8ビットのデジタル画像データが記録された外部メディア117を外部I/F装置112を介して接続し、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力を操作表示装置110に行う。なお、PC116からのプリント出力の場合、ユーザは、所望する画像処理モード等の設定とプリント開始の入力をPC116から行う。
操作表示装置110は、ユーザから入力された情報を、機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、PCI-Expressバスを介してCPU106に通知される。CPU106は、スキャナ配信開始の制御コマンドデータに従って、スキャナ配信動作プロセスのプログラムを実行し、スキャナ配信動作に必要な設定や動作を順に行っていく。
外部メディア117から外部I/F装置112経由で得られたRGB各8ビットのデジタル画像データのメモリ107およびHDD105への展開(蓄積)処理の詳細については、上述した(外部I/F入力→プロッタ出力動作)と同様なため割愛する。
バス制御装置103は、メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、今回の使用だけでなく後日の再利用に向けたユーザによる蓄積指示や複数の出力先への同報送信などの必要に応じて、編集加工前の画像データとしてHDD105へと蓄積する。
また、バス制御装置103は、RGB各8ビットのデジタル画像データをHDD105に蓄積するだけでなく、画像検索などに利用するために、RGB各8ビットのデジタル画像データの解像度を下げたサムネイルも、編集加工前の画像データと紐付けてHDD105へと蓄積する。なお、サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、RGB各8ビットのデジタル画像データの蓄積の要否に関わらず常に保存するようにしておいても良い。サムネイルの作成は、CPU106によるRGB各8ビットのデジタル画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換により行うが、画像データ処理装置2(104)の色変換部104bと解像度変換部104cを利用しても良い。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度が72dpiおよび144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。
メモリ107に展開されたRGB各8ビットのデジタル画像データは、CPU106およびバス制御装置103を介して画像データ処理装置2(104)に送られる。そして、画像データ処理装置2(104)は、受け取ったRGB各8ビットのデジタル画像データをスキャナ配信用の画像データ(RGB多値、グレースケール、モノクロ2値等)に変換し出力する。なお、画像データ処理装置2(104)における処理の詳細については、上述した(スキャナ入力→スキャナ配信動作)と同様なため割愛する。
バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)からのスキャナ配信用の画像データを受け取ると、CPU106を介してメモリ107に展開する。メモリ107に展開されたスキャナ配信用の画像データは、CPU106を介して、外部I/F装置112に送られる。加えて、バス制御装置103は、ユーザからの蓄積指示に応じて、スキャナ配信用の画像データを、後日の再出力用の編集加工済み画像データとして必要に応じてHDD105へも蓄積する。さらにバス制御装置103は、この編集加工済み画像データも、編集加工前の画像データと同じように、サムネイルを、この編集加工済み画像データと紐付けてHDD105に蓄積する。なお、サムネイルは、CPU106が、スキャナ配信用の画像データの解像度変換およびsRGB色空間への変換を行うことにより作成される。なお、本実施の形態では、CPU106は、解像度72dpiと144dpiの二種類のサムネイルを作成するものとする。また、本実施の形態では、スキャナ配信用の画像データの色空間がもともとsRGB色空間なので変換の必要はない。ここで、解像度の低いsRGB色空間の画像データからサムネイルを作成すると画質上劣化が生じるため、ユーザがサムネイルの画質に拘る場合には、画像データ処理装置2(104)が、編集加工前のRGB各8ビットのデジタル画像データに解像度変換およびsRGB色空間への変換を行って直接サムネイルを作成するようにしても良い。
外部I/F装置112は、CPU106から受け取ったsRGB色空間の画像データを、ネットワークを介して接続したPC116に送信する。
以上に説明してきた各ユースケースは、読取り装置101からの入力・外部I/F装置112からの入力といった画像データの入力デバイスからスタートしているが、再出力用にHDD105やメモリ107に退避した画像データから処理をスタートしても良い。
例えば、HDD105やメモリ107に退避した画像データから処理をスタートする例として、集約出力の動作を説明する。なお、複数の原稿の集約出力には、2枚の原稿を1枚にまとめるものから8枚のものを1枚にまとめるものなど非常に多くの種類が存在するが、ここでは、A4の2枚の原稿をA4の1枚の原稿にまとめる2in1出力の場合を用いて説明する。
まず、CPU106が、バス制御装置103を介して、HDD105に蓄積されたA4の2枚の原稿の画像データを読み出し、画像データ処理装置2(104)を用いて出力する画像データを生成する。画像データ処理装置2(104)は、A4の2枚の原稿をA4の1枚にまとめるために、解像度変換部104cにて600dpiの画像データを300dpiの画像データへと変換、すなわち50%の縮小変倍を行う。
次に、バス制御装置103は、画像データ処理装置2(104)において、集約に合せて解像度が変換された画像データを受け取ると、受け取った画像データを、CPU106を介してメモリ107に展開する。そして、原稿2枚分の画像データを並べて出力することにより、2in1出力を実行することができる。ここで、原稿2枚分の画像データを並べて出力するとは、実際にメモリ107上に原稿2枚分の画像データを並べて展開しても良いし、出力時のメモリ107からの画像データの読み出しを連続させても良い。
別の例として、A4の2枚の原稿をA3の1枚にまとめる2in1出力の場合には、解像度変換を行わずそのままA4の原稿を2枚並べることが出来るため、解像度600dpiのまま(等倍)出力する。
なお、集約出力の動作を分かりやすくするために、解像度変換以外の処理は、集約する原稿の枚数によって変えていないが、より画質を高めるために、集約による解像度変換に応じて、フィルタ処理部104aにおけるフィルタ処理や色変換部104bにおける色変換などの画像処理パラメータを調整しても良い。
さらに、MFP100の様々なユースケースについて説明してきたが、これに限定するものではなく、画像データをMFP100に入力するだけで目的が定まっていないユースケースもある。その場合には、入力された画像データのHDD105への蓄積のみを行うことも可能であり、後で必要に応じて再利用することができる。
次に、画像データ処理装置2(104)が有する色変換部104bの詳細な構成について説明する。図6は、色変換部の詳細な構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、色変換部104bの入力側の画像データが含む色の定義値(ベクトル)は、入力側の画像データが含む色のRGB色空間(入力色空間)における定量的な値である。一方、色変換部104bの出力側の画像データが含む色の定義値(ベクトル)は、プロッタ装置109により転写紙に出力する場合、出力側の画像データが含む色のCMYK色空間(出力色空間)における定量的な値であり、FAX装置115やPC116などに送信する場合、出力側の画像データが含む色のRGB色空間(出力色空間)における定量的な値である。
ここで、画像データが含む色の定義値には、色空間によって一意に決まり、画像データが含む色それぞれの色相境界を示すベクトルが用いられる。ただし、画像データが含む色の定義値は、画像データのデータ形式に合わせれば良く、例えば、LabやYccで定義される値とすることもできる。本実施の形態では、プロッタ装置109により転写紙に出力する場合(つまり、出力側の画像データが含む色の定義値に、CMYK色空間における定量的な値を適用した場合)について説明するが、FAX装置115やPC116に送信する場合には、CMYK色空間における定量的な値を、RGB色空間における定量的な値に置き換えれば良い。
有彩色ラベル設定部601および無彩色ラベル設定部602は、無彩色と少なくとも一色の有彩色とを含む画像データを出力する場合に(例えば、二色印刷を行う場合)、出力側の画像データに含める「赤」,「緑」,「青」,「黒」と言った色(無彩色および有彩色)が属するカテゴリを示す色票を設定するものである。即ち、有彩色ラベル設定部601および無彩色ラベル設定部602は、ユーザが指示する色の概念を共有するインターフェースとして機能するものである。なお、色票の設定は、入力されたモノクロ画像に対して赤字で「持ち出し禁止」などのスタンプを行う場合等にユーザが操作表示装置110等を介して行っても良いし、原稿や外部から入力されるプリンタ等のデータから直接検出しても良い。原稿やデータからの色票の検出方法については、公知の技術を用いるものとし、例えば、色票毎に色の定義値を登録しておき、登録した色票ごとの色の定義値と画像データに含まれる色の定義値とを照らし合わせて、色の定義値が一致した色の色票を検出する。
総量規制設定部603は、画像データを転写紙に出力する場合のトナーチリやインク滲みなどの問題の発生を防止するため、出力色空間における色の定義値の総量を規制する総量規制値を設定するものである。本実施の形態では、総量規制設定部603は、CMYK色空間における色の定義値の総量が「255」である場合の総量規制値:「100%」を基準として、出力色空間における色の定義値の総量規制値を設定するものとする。
また、総量規制設定部603は、画像データに含まれる絵柄・文字またはイメージ・グラフィック・文字など、画素や領域毎のオブジェクトの情報に応じて、総量規制値を切り替えても良い(通常は、絵柄系のオブジェクトより文字系のオブジェクトの総量規制値を厳しく設定する。すなわち、絵柄系のオブジェクトより文字系のオブジェクトの出力に用いる色材の量を少なくする)。
色材低減設定部604は、画像データの出力に用いる色材の量を低減するトナーセーブモードやインクセーブモード(セーブモード)、画像データ全体の色彩的なコントラストを上げるコントラスト向上モード、画像データ全体の色調を統一する統一感向上モードなどの出力モードを設定する。なお、本実施の形態では、出力モードが設定されて画像データに含まれる色の定義値を変化させる際に基準とする値が、予め設定されているものとする。例えば、赤(有彩色)と黒(無彩色)の二色印刷において、セーブモードが設定されて色材の量を50%低減する場合、画像データに含まれる無彩色の定義値として(0,0,0,127)を基準とする。
有彩色決定部605および無彩色決定部606は、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の色相に応じて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の色調を調整する。以下に、有彩色決定部605および無彩色決定部606において行われる詳細な処理について説明する。
有彩色決定部605は、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の出力色空間における定義値を決定するものである。また、有彩色決定部605は、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の入力色空間における定義値を決定するものとする。例えば、有彩色決定部605は、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色が「赤」の場合、入力色空間における「赤」の定義値として(0,255,255)を適用し、出力色空間における「赤」の定義値として(0,255,255,0)を適用する。
また、有彩色決定部605は、出力色空間における有彩色の定義値の総量が総量規制設定部603により設定された総量規制値を超えないように、決定した出力色空間における有彩色の定義値を減らすものとする。例えば、有彩色決定部605は、「赤」と「黒」とを含む出力側の画像データを印刷する二色印刷において、総量規制設定部603により設定された総量規制値が「180%」であった場合、「赤」の定義値(0,255,255,0)が表す「赤」を採用すると、「赤」の定義値の総量が「200%」となってしまい、総量規制値を超えてしまう。そのため、有彩色決定部605は、「赤」の定義値の総量が「180%」となるように、「赤」の定義値(0,255,255,0)に「0.9」をかけた「赤」の定義値(0,229,229,0)に減らす。なお、同じ着色度の色材を使っている限り、総量が減るということは、有彩色の彩度の低下に繋がるため、無彩色の色調もこれに合せて調整することになる。
無彩色決定部606は、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の出力色空間における定義値を決定するものである。また、無彩色決定部606は、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の入力色空間における定義値を決定する。
そして、無彩色決定部606は、有彩色決定部605により決定した有彩色の出力色空間における定義値から、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の出力色空間における色相を算出する。次いで、無彩色決定部606は、算出した色相に応じて、決定した無彩色の出力色空間における定義値を変化させて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の色調を調整する。色調は、色の明度と彩度によって分けられる色のトーンである。
本実施の形態では、無彩色決定部606は、有彩色決定部605により決定された有彩色の定義値から、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の出力色空間における色相を算出する。次いで、無彩色決定部606は、算出した色相に応じて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の彩度を高める色相の方向を決定する。より具体的には、無彩色決定部606は、統一感向上モードに設定されている場合には、算出した色相の方向を、無彩色の彩度を高める色相の方向に決定し、コントラスト向上モードに設定されている場合には、算出した色相の補色方向を、無彩色の彩度を高める色相の方向に決定する。そして、無彩色決定部606は、決定した色相の方向の彩度を高めて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の色調を調整する。つまり、無彩色決定部606は、設定されたモードに応じて、無彩色の色調の調整の仕方を変えている。なお、モードに応じた無彩色の色調の調整方法の詳細については、後述する。
例えば、有彩色決定部605により決定された有彩色の出力色空間における定義値が(0,255,255,0)である場合(つまり、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する色が「赤」である場合)、無彩色決定部606は、「赤」の補色である「シアン」(有彩色の定義値(255,0,0,0))の方向の彩度または「マゼンタ」と「イエロー」(有彩色の定義値(0,255,255,0))の方向の彩度を高めて、無彩色の色調を調整する。すなわち、無彩色決定部606により色調を調整した無彩色は、「シアン」が加えられて冷黒調化した色、または赤みを増すために「マゼンタ」と「イエロー」が加えられて温黒調化した色となる。これにより、有彩色と無彩色の色彩的な関係を調整できるので、画像データ全体に色彩的なコントラストをつけたり、統一感を持たせたりすることができる。また、有彩色と無彩色の色彩的な距離関係を調整できるので、画像データ全体の色彩的なコントラストの量の調整や統一感の調整が可能となる。
また、無彩色決定部606は、色材低減設定部604により画像データ全体の色調を統一する統一感向上モードが設定された場合、有彩色ラベル設定部601により設定した色票が示すカテゴリに属する有彩色(例えば、「赤」)の色相の方向に近づけるように、無彩色ラベル設定部602により設定した色票が示すカテゴリに属する無彩色(例えば、「黒」)の彩度を高めて画像データに含める無彩色の色調を調整する。具体的には、無彩色決定部606は、「黒」の定義値(0,0,0,255)を(0,ΔM,ΔY,255)に変化させる。これにより、画像データに含める「黒」の彩度が、画像データに含める「赤」の方向に高まるため、無彩色の色調の温黒調化が可能となる。つまり、無彩色決定部606は、有彩色ラベル設定部601により設定した色票が示すカテゴリに属する有彩色との輝度を除いた色差が小さくなるように画像データに含める無彩色の色調を調整する。
さらに、無彩色決定部606は、色材低減設定部604により画像データ全体のコントラストを上げるコントラスト向上モードが設定された場合、有彩色ラベル設定部601により設定した色票が示すカテゴリに属する有彩色(例えば、「赤」)の色相の補色(シアン)方向の彩度に近づけるように、無彩色ラベル設定部602により設定した色票が示すカテゴリに属する無彩色(例えば、「黒」)の彩度を高めて画像データに含める無彩色の色調を調整する。具体的には、無彩色決定部606は、「黒」の定義値(0,0,0,255)を(ΔC,0,0,255)に変化させる。これにより、画像データに含める「黒」の彩度が、画像データに含める「赤」の補色の方向に高まるため、無彩色の冷黒調化が可能となる。なお、無彩色の定義値を変化させる変化量ΔC,ΔM,ΔYは、有彩色決定部605により決定した入力色空間における有彩色の定義値と出力色空間における有彩色の定義値とから求めた色差ΔEに応じて決定される。
より具体的には、無彩色決定部606は、まず、上述したように、有彩色決定部605により決定した有彩色の出力色空間における定義値から、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色(出力側の画像データに含める有彩色)の色相を算出する。さらに、無彩色決定部606は、色材低減設定部604によりコントラスト向上モードが設定されたか統一感向上モードが設定されたかによって、画像データに含める無彩色の彩度を、どの色相の方向の彩度に高めれば良いかを決めることができるので、無彩色の定義値を変化させる変化量ΔC,ΔM、ΔYのうち、いずれの変化量を増加させれば良いかが分かることとなる。
そして、色材低減設定部604によりコントラスト向上モードが設定された場合、無彩色決定部606は、さらに、入力色空間における無彩色と有彩色との色差を維持するために、出力色空間における色の定義値からLab値を求める仕組みを用いて、出力色空間における無彩色のLab値が色差ΔEに近づくように、変化量ΔC,ΔM,ΔYを決定して、画像データに含める無彩色の色調を調整する。これにより、画像データの出力先のデバイスに依存しない色空間であるデバイス非依存色空間(入力色空間)における有彩色と無彩色との色差を維持しつつ、画像データに含める無彩色の色調を調整することができるので、出力先のデバイスに依存することなく有彩色と無彩色の色彩的な関係を表現することができる。なお、出力色空間(CMYK色空間)における色の定義値に対応するLab値は、予め実験的に求めておき、MFP100内部(メモリ107など)に格納しておいても良いし、補間演算やニューラルネットなどに、出力色空間における色の定義値に対応するLab値を学習させて、動的にLab値を求めても良い。また、入力色空間(RGB色空間)における色の定義値に対応するLab値も同様に求めておいて良いが、入力色空間に標準RGB色空間(例えば、sRGB)を採用している場合には、既知の変換式を用いてLab値を求めても良い。
ここで、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色が「赤」であり、かつ入力色空間における「赤(RGB色空間により表現される有彩色)」の定義値と入力色空間における「黒(RGB色空間により表現される無彩色)」の定義値とから求めた色差ΔEが「10」である場合の、出力色空間における無彩色の色調の調整方法について説明する。
無彩色決定部606は、色材低減設定部604によりコントラスト向上モードが設定された場合、「黒」の彩度が「赤」の補色の方向に高まるように無彩色の定義値(ΔC,0,0,255)の変化量ΔCを決定して、出力色空間における無彩色の定義値に対応するLab値を色差ΔEである「10」に近づける。ただし、変化量ΔC,ΔM,ΔYが一度で決定するとは限らないので、出力色空間における無彩色の定義値に対応するLab値と色差ΔEとの差が大きい場合には、ΔC,ΔM,ΔYの決定を繰り返し行う。これにより、入力色空間であるRGB色空間での有彩色と無彩色との色差が、出力色空間であるCMYK色空間での有彩色と無彩色との色差においても維持される。
一方、無彩色決定部606は、色材低減設定部604により統一感向上モードが設定された場合、無彩色の彩度が「赤」の方向に高まるように無彩色の定義値(0,ΔM,ΔC,255)の変化量ΔM,ΔCを決定して、出力色空間における無彩色の定義値に対応するLab値を、出力色空間における有彩色の定義値に対応するLab値に近づける。しかし、無彩色の定義値に対応するLab値が、有彩色の定義値に対応するLab値と同じになると、無彩色が有彩色そのものになってしまうため、ΔM,ΔCに適当な調整比率Rをかけて、ΔM,ΔCの値を下げるものとする。例えば、調整比率Rを「0.1」とする。
図7および図8を用いて、「赤」と「黒」の二色印刷を行う場合の色彩的なコントラストまたは統一感の改善例について説明する。図7は、「赤」と「黒」の二色印刷を行う場合の色彩的なコントラストまたは統一感の改善例を示す説明図である。図8は、「赤」と「黒」の二色印刷を行う場合に色彩的なコントラストまたは統一感を改善した出力側の画像データの色度図である。
二色印刷等において出力側の画像データに含める有彩色が「赤」に決定すると、無彩色決定部606は、無彩色である「黒」の色材に「黒」以外の色材(有彩色の色材)が混ざるように、出力側の画像データに含める無彩色の彩度を、「赤」の補色の方向(有彩色の色相と逆の色相)に高めて、「黒」の色調を冷黒調化することができる(図7に示す)。これにより、通常の出力側の画像データに含める無彩色と「赤」との色度の差(図8(a)に示す)と比較して、無彩色の色調を調整した出力側の画像データに含める無彩色と「赤」との色度の差(図8(b)に示す)が大きくなり、色彩的なコントラストを向上させることができる。
逆に、無彩色決定部606は、無彩色である「黒」の色材に「黒」以外の色材(有彩色の色材)が混ざるように、出力側の画像データに含める無彩色の彩度を、「赤」の方向に高めて、「黒」の色調を温黒調化することができる(図7に示す)。これにより、通常の出力側の画像データに含める無彩色と「赤」との色度の差(図8(a)に示す)と比較して、無彩色の色調を調整した出力側の画像データに含める無彩色と「赤」との色度の差(図8(c)に示す)が小さくなり、色彩的な統一感を向上させることができる。
「赤」と「黒」を用いた通常の二色印刷においては、有彩色である「赤」を再現する場合には、「マゼンタ」の色材と「イエロー」の色材のみを使用し、無彩色である「黒」を再現する場合には、「ブラック」の色材のみを使用する。
これに対し、本実施の形態にかかるMFP100においては、無彩色である「黒」を再現する場合に、無彩色である「黒」の色材に「赤」の補色である「シアン」の色材を追加した色材を使用することにより、「黒」の色調を冷黒調化する。この結果、有彩色である「赤」と無彩色である「黒」との間で色彩的な統一感が低下する一方で、色彩的なコントラストを向上する。また、本実施の形態にかかるMFP100においては、無彩色である「黒」を再現する場合に、無彩色である「黒」の色材に「マゼンタ」と「イエロー」の色材を追加した色材を使用することにより、「黒」の色調を温黒調化する。この結果、有彩色である「赤」と無彩色である「黒」との間で色彩的なコントラストが低下する一方で、色彩的な統一感が向上する。
図9および図10を用いて、「青」と「黒」の二色印刷を行う場合の色彩的なコントラストまたは統一感の改善例について説明する。図9は、「青」と「黒」の二色印刷を行う場合の色彩的なコントラストまたは統一感の改善例を示す説明図である。図10は、「青」と「黒」の二色印刷を行う場合に色彩的なコントラストまたは統一感を改善した出力側の画像データの色度図である。
二色印刷等において出力側の画像データに含める有彩色が「青」に決定すると、無彩色決定部606は、無彩色である「黒」の色材に「青」以外の色材(「イエロー」)が混ざるように、出力側の画像データに含める無彩色の彩度を、「青」の補色の方向に高めて、「黒」の色調を温黒調化することができる(図9で示す)。これにより、通常の出力側の画像データに含める無彩色と「青」との色度の差(図10(a)に示す)と比較して、無彩色の色調を調整した出力側の画像データに含める無彩色と「青」との色度の差(図10(b)に示す)が大きくなり、統一感が低下する一方で、色彩的なコントラストを向上させることができる。
逆に、無彩色決定部606は、無彩色である「黒」の色材に「黒」以外の色材(「マゼンタ」および「シアン」)が混ざるように、出力側の画像データに含める無彩色の彩度を、「青」の方向に高めて、「黒」の色調を冷黒調化することができる(図9に示す)。これにより、通常の出力側の画像データに含める無彩色と「青」との色度の差(図10(a)に示す)と比較して、無彩色の色調を調整した出力側の画像データに含める無彩色と「青」との色度の差(図10(c)に示す)が小さくなり、色彩的なコントラストが低下する一方で、色彩的な統一感を向上させることができる。
図6に戻り、無彩色決定部606は、同じ着色度の色材を使っている限り、出力側の画像データに含める有彩色の定義値の総量が減るということは当該有彩色の彩度の低下に繋がるため、有彩色決定部605と同様にして、出力色空間における無彩色の定義値の総量が総量規制設定部603により設定された総量規制値を超えないように、決定した出力色空間における無彩色の定義値を減らすものとする。通常は、有彩色の定義値の総量が規制されると有彩色の彩度が低下する方向に有彩色の色調が変化するので、無彩色決定部606は、統一感向上モードが設定された場合には、有彩色決定部605により調整した有彩色の色調に近づける度合いを低減し、コントラスト向上モードが設定された場合には、有彩色決定部605により調整した有彩色の色調の補色方向に離す度合いを増加させる。
具体的には、無彩色決定部606は、上述したように、有彩色決定部605により決定した有彩色の出力色空間における定義値から算出した色相に応じて、出力色空間における無彩色の色調を調整する際、決定した無彩色の出力色空間における定義値に変化量ΔC,ΔM,ΔYを混ぜて無彩色の色調を調整することになるが、色調を調整後の無彩色の定義値の総量が総量規制値を超えない範囲で、無彩色の定義値に変化量ΔC,ΔM,ΔYを混ぜて無彩色の色調を調整するものとする。仮に、総量規制値を超えて無彩色の色調を調整しなければならない場合には、無彩色決定部606は、決定した無彩色の出力色空間における定義値のうち、Kの値を減らして、無彩色の定義値の総量が総量規制値を超えないようにする。しかしながら、Kの値を減らした場合、総量規制値により無彩色である黒の色材そのものは減少するため、出力側の画像データの明度が上がって、出力側の画像データの無彩色の表現自体が明るめにずれることとなる。逆に、色材低減設定部604により設定された出力モードが無彩色(黒)の明度を上げたくないモードの場合には、無彩色決定部606は、無彩色の定義値に混ぜる変化量ΔC,ΔM,ΔYを減らさざるを得ないため、無彩色の色調の調整に制限が生じる。
例えば、無彩色決定部606は、総量規制値を超えるまでは、無彩色の色材の量を減らさないように、決定した無彩色の出力色空間における定義値を変化させて出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整し、総量規制値を超えた場合には、無彩色の色材の量が減るように、決定した無彩色の出力色空間における定義値を変化させて出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整する。これにより、総量規制値に違反することなく、できるだけ無彩色の明度を保ちながら、無彩色の色調を調整することができる。
さらに、色材低減設定部604によりトナーセーブモードやインクセーブモードが設定された場合、一般的に有彩色に使用できる色材の量が減るために彩度が低下するため、無彩色決定部606は、無彩色の出力に使用される色材の量が予め設定された量以下になるように、無彩色の出力色空間における定義値を変化させて出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整する。このように、トナーセーブモードやインクセーブモードに設定された場合、無彩色に使用する色材の量も減るため、無彩色決定部606は、その点を考慮して、無彩色の定義値も明度を上げた状態から変化させるものとする。さらに、トナーセーブモードやインクセーブモードが設定された場合には、無彩色決定部606は、追加した変化量ΔC,ΔM,ΔYに合せて、無彩色の定義値に含まれるKも変化させる必要が生じる。
例えば、赤黒の二色印刷において、色材低減設定部604によりトナーセーブモードやインクセーブモードが設定された場合、「黒」の定義値(0,0,0,255)で表す「黒」の出力に使用される色材の量に対して、使用する色材の量が50%減らした量以下になるように、「黒」の定義値(0,0,0,127)を基準にして、当該「黒」の定義値を変化させて出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整する。無彩色決定部606は、色調を統一する場合には、「黒」の定義値(0,16,16,112)で表す「黒」に色調を調整し、コントラストを上げる場合には、「黒」の定義値(32,0,0,112)で表す「黒」に色調を調整する。これにより、無彩色の色材以外の色材を加えることで無彩色の色調を変化させたとしても、無彩色の出力に用いる色材の量全体は変わらないため、色材の使用量を低減しつつ無彩色の色調を調整することができる。
図11および図12を用いて、トナーセーブモードや総量規制値などにより有彩色の再現に制限がある場合の色彩的なコントラストの改善例を説明する。図11は、有彩色の再現に制限がある場合の色彩的なコントラストの改善例を示す説明図である。図12は、有彩色の再現に制限がある場合に色彩的なコントラストを改善した出力側の画像データの色度図である。
二色印刷等において有彩色の再現に制限がある場合(例えば、トナーやインクなどの色材の着色度が低い場合、総量規制値やトナーセーブモードが設定された場合など)には、結果的に、有彩色の彩度が低下するため、有彩色と無彩色との色彩的なコントラストが想定したものよりも低下する(図11および図12(a)に示す)。
これに対し、本実施の形態にかかるMFP100では、有彩色の再現に制限がある場合、無彩色である「黒」の色材に「黒」以外の色材(「シアン」の色材)が混ざるように、無彩色決定部606が、有彩色である「赤」の補色の方向の彩度を高めて、出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整して「黒」を冷黒調化する(図11に示す)。これにより、有彩色の再現に制限がある場合でも、出力側の画像データに含める無彩色と「赤」との色度の差を維持することができるので(図12(b)に示す)、色彩的なコントラストの低下を防止することができる。
なお、有彩色の再現に制限が無い場合は、「赤」と無彩色との色彩的なコントラストが低下することはないので(図11および図12(c)に示す)、無彩色の色調を調整する必要は無い。
本実施の形態では、CMYK色空間における色の定義値を基に、出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整したが、直感的に分かり易いHSL色空間やLab色空間における色の定義値を基に、出力側の画像データの無彩色の彩度を高めて出力側の画像データの無彩色の色調を調整しても良い。
なお、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに複数の有彩色が属する場合(つまり、二色印刷ではなく、フルカラー印刷を行う場合)には、無彩色決定部606は、設定された複数の色票が示すカテゴリに属する複数の有彩色の補色方向の彩度の平均を算出し、算出した平均の分、彩度を高めて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の色調を調整する。すなわち、有彩色ラベル設定部601により設定された2つの有彩色ラベルが示す有彩色が補色の関係にありかつ有彩色の彩度が等しい場合、無彩色決定部606による無彩色の色調の調整は打ち消されることとなる。ただし、2つの有彩色ラベルの有彩色が出力側の画像データにおいて占める面積が異なる場合、面積の大小に応じて、無彩色決定部606により決定される無彩色の色調の調整量を変化させても良い。具体的には、出力側の画像データにおいて占める面積が大きい有彩色の方が無彩色の色調に対する影響度が大きいため、出力側の画像データにおいて有彩色が占める面積比率に応じて、無彩色の色調の調整に重み付けする。
色相判定部607は、入力側の画像データ(RGB各8ビットのデジタル画像データ)に含まれる色が、RGBCMYの6色相のいずれに属するのかを判定するものである。
色変換部608は、色相判定部607による色相の判定と並行して、入力側の画像データの色相毎に、入力側の画像データおよび出力側の画像データに含まれる色をベクトルで表し、マスキング演算を用いて、色空間の変換を行うものである。また、色変換部608は、無彩色と少なくとも一色の有彩色を含む画像データを出力する二色印刷を行う場合に、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色(または、有彩色決定部605により色調が調整された有彩色)および無彩色決定部606により色調が調整された無彩色を含む画像データを生成する。
図13〜15を用いて、マスキング演算により、入力側の画像データの色空間を変換する方法について詳細に説明する。図13および図14は、色相分割型色変換の概念図である。図15は、マスキング係数の演算式を示す図である。
色変換部608は、入力側の画像データを色相毎に分割し、分割した色相毎に、色相の境界を示す2つのベクトル(図13に示す)と、白と黒のベクトル(図14に示す)とで入力側の画像データおよび出力側の画像データに含まれる色を表現し、マスキング演算により、色空間の変換を行う。
例えば、R色相の入力側の画像データおよび出力側の画像データの色は、R色相の境界を示すベクトルRY,MRに、白と黒のベクトルを加えた合計4つのベクトルで表現する。なお、色相の境界を示すベクトルは、入力側の画像データの色空間によって変換するため、パラメータ等により変更可能とする。
ここで、白と黒の2つのベクトルである(R1,G1,B1)および(R2,G2,B2)と、色相の境界を示す2つのベクトルである(R3,G3,B3)および(R4,G4,B4)とを入力側の画像データが含む色の定義値とし、当該入力側の画像データに対応する出力側の画像データが含む色の定義値を(C1,M1,Y1,K1)、(C2,M2,Y2,K2)、(C3,M3,Y3,K3)、および(C4,M4,Y4,K4)とした場合、色変換部608は、図15に示す数式を用いて、色相毎にマスキング係数を算出する。なお、入力側の画像データが含む色の定義値を表す行列を正方行列とするために、入力側の画像データが含む色の定義値を構成する各ベクトルに「1」を追加している。そして、色変換部608は、色相毎のマスキング係数が算出されると、算出したマスキング係数を用いてマスキング演算を行って、色空間の変換を行う。なお、色変換部608による各色相の演算結果は、セレクタ609により選択される。
次に、図16を用いて、入力側の画像データを色相毎に分割する方法について詳細に説明する。図16は、広域色相信号の概念図である。
色変換部608は、まず、以下に示す式1および式2を用いて、入力側の画像データから色差信号X,Yを生成する。ただし、Xが0以上の時には、X=X/2とする。
X=G−R・・・・・(式1)
Y=B−G・・・・・(式2)
次いで、色変換部608は、色差信号X,Yから、広域色相信号HUEHを生成する。広域色相信号HUEHは、色差信号X,Yにより表されるX−Y平面を8分割する信号である(図16に示す)。広域色相信号HUEHは、以下に示す条件式1〜9を用いて、順次求める。
条件式1: !HT1かつHT0・・・HUEH=0
条件式2: !HT2かつHT1・・・HUEH=1
条件式3: !HT3かつHT2・・・HUEH=2
条件式4: !HT4かつHT3・・・HUEH=3
条件式5: !HT5かつHT4・・・HUEH=4
条件式6: !HT6かつHT5・・・HUEH=5
条件式7: !HT7かつHT6・・・HUEH=6
条件式8: !HT0かつHT7・・・HUEH=7
条件式9: 上記以外(Y=X=0)・HUEH=7
ただし、HT0からHT7は、色差信号X,Yから以下の通りに求めるものとする。
HT0=(Y≧0)
HT1=(Y≧X)
HT2=(X≦0)
HT3=(Y≦−X)
HT4=(Y≦0)
HT5=(Y≦X)
HT6=(X≧0)
HT7=(Y≧−X)
次に、色変換部608は、広域色相信号HUEHに応じて、色差信号XA,YAを生成する。色差信号XA,YAは、色差信号X,Yにより表されるX−Y平面を回転して、HUEH=0の領域に移動させた場合の座標である。
HUEH=0の場合、XA=X,YA=Y
HUEH=1の場合、XA=X+Y,YA=−X+Y
HUEH=2の場合、XA=Y,YA=−X
HUEH=3の場合、XA=−X+Y,YA=−X−Y
HUEH=4の場合、XA=−X,YA=−Y
HUEH=5の場合、XA=−X−Y,YA=X−Y
HUEH=6の場合、XA=−Y,YA=X
HUEH=7の場合、XA=X−Y,YA=X+Y
次に、色変換部608は、色差信号XA,YAから、狭域色相信号HUELを生成する。狭域色相信号HUELは、色差信号XA,YAにより表される座標平面における傾き(YA/XA)である。ここでは、分解能を32として構成する(YA/XA=HUEL/32)。
XAが0の場合、HUEL=0×1F
XAが0以外の場合、HUEL=(YA<<5)/XA
さらに、色変換部608は、広域色相信号HUEHおよび狭域色相信号HUELを組み合わせて色相角信号HUEHL([HUEH,HUEL])とする。この色相角信号HUEHLと予め設定しておいた色相の境界値(HUE_R,HUE_Y,HUE_G,HUE_C,HUE_B,HUE_M)とを比較して、色相HUEを決定する。
HUE_M<HUEHL≦HUE_R・・・HUE=R
HUE_R<HUEHL≦HUE_Y・・・HUE=Y
HUE_Y<HUEHL≦HUE_G・・・HUE=G
HUE_G<HUEHL≦HUE_C・・・HUE=C
HUE_C<HUEHL≦HUE_B・・・HUE=B
HUE_B<HUEHL≦HUE_M・・・HUE=M
なお、色変換部608は、入力側の画像データから、無彩色と少なくとも一色の有彩色を含む画像データを生成する場合(つまり、二色印刷を行う場合)、出力側の画像データに含める有彩色の色相の境界を示す2つのベクトルを、有彩色決定部605により決定した有彩色の定義値で置換し、黒のベクトルを、無彩色決定部606により変化させた無彩色の定義値で置換するものとする。これにより、色変換部608は、有彩色ラベル設定部601により設定した色票が示すカテゴリに属する有彩色および無彩色決定部606により色調を調整した無彩色を含む出力側の画像データを生成する。また、色変換部608は、トナーセーブモードやインクセーブモードや総量規制値が設定された場合、有彩色決定部605により色調が調整された有彩色および無彩色決定部606により色調を調整した無彩色を含む画像データを生成するものとする。
また、二色印刷時に有彩色で出力したい部分が入力側の画像データの有彩色全体である場合は、全ての色相の出力側の画像データについて、当該出力側の画像データに含める有彩色の色相の境界を示す2つのベクトルを、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の定義値または有彩色決定部605により色調を調整した有彩色の定義値で置換し、黒のベクトルを、無彩色決定部606により色調を調整した無彩色の定義値で置換する。二色印刷時に有彩色で出力したい部分が入力側の画像データの特定の色相の有彩色のみであるときには、該当する色相の出力側の画像データのみ、上述した対応を行い、該当しない色相の出力側の画像データの色空間を定義するベクトルについては、無彩色決定部606により色調を調整した無彩色の定義値で置換する。
次に、図17を用いて、出力側の画像データに含める無彩色および有彩色の色調の調整処理の流れについて説明する。図17は、出力側の画像データに含める無彩色および有彩色の色調の調整処理の流れを示すフローチャートである。
まず、有彩色ラベル設定部601および無彩色ラベル設定部602は、有彩色および無彩色の色票を設定する(ステップS1701)。有彩色決定部605が、入力色空間および出力色空間における、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の定義値を決定するとともに、無彩色決定部606が、入力色空間および出力色空間における、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の定義値を決定する(ステップS1702)。
次に、有彩色決定部605は、決定した出力色空間における有彩色の定義値の総量が、総量規制設定部603により設定された総量規制値を超えたか否かを判断する(ステップS1703)。決定した出力色空間における有彩色の定義値の総量が総量規制値を超えていた場合(ステップS1703:Yes)、有彩色決定部605は、決定した出力色空間における有彩色の定義値の総量が総量規制値を超えないように、決定した出力色空間における有彩色の定義値を減らす総量規制処理を実施する(ステップS1704)。
決定した出力色空間における有彩色の定義値が減らされると、無彩色決定部606は、色材低減設定部604によりコントラスト向上モードが設定されたか否かを判断する(ステップS1705)。コントラスト向上モードが設定された場合(ステップS1705:Yes)、無彩色決定部606は、入力色空間における有彩色の定義値と、入力色空間における無彩色の定義値とから、色差ΔEを求める(ステップS1707)。一方、コントラスト向上モードが設定されていなかった場合(ステップS1705:No)、無彩色決定部606は、統一感向上モードが設定されたか否かを判断する(ステップS1706)。統一感向上モードが設定されていなかった場合(ステップS1706:No)、出力側の画像データに含める無彩色の色調の調整を行わずに処理は終了する。一方、統一感向上モードが設定された場合(ステップS1706:Yes)、無彩色決定部606は、出力色空間における有彩色の定義値に対応するLab値を算出する(ステップS1708)。
次に、無彩色決定部606は、有彩色ラベル設定部601により設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の色相を算出する(ステップS1709)。さらに、無彩色決定部606は、コントラスト向上モードであるか、または統一感向上モードであるかに応じて、無彩色ラベル設定部602により設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の彩度を高める色相の方向を決定する(ステップS1710)。例えば、コントラスト向上モードである場合、無彩色決定部606は、算出した有彩色の色相の補色の方向を、無彩色の彩度を高める色相の方向に決定する。これにより、無彩色と少なくとも一色の有彩色を含む画像データの印刷における色彩的なコントラストの低下を相対的に防ぐことができるので、色数を限定した印刷物においてメリハリのある表現が可能となる。一方、統一感向上モードである場合、無彩色決定部606は、算出した有彩色の色相の方向を、無彩色の彩度を高める色相の方向に決定する。これにより、色彩的なコントラストを相対的に低下させることができるので、色数を限定した印刷物において統一感のある表現が可能となる。
そして、無彩色決定部606は、コントラスト向上モードである場合、変化量ΔC,ΔM,ΔYを決定して、出力色空間における無彩色の定義値に対応するLab値が色差ΔEに近づくように、出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整する(ステップS1711)。一方、無彩色決定部606は、統一感向上モードである場合、変化量ΔC,ΔM,ΔYを決定して、出力色空間における無彩色の定義値に対応するLab値が、出力色空間における有彩色の定義値に対応するLab値に近づくように、無彩色の色調を調整する(ステップS1711)。
最後に、無彩色決定部606は、出力色空間における無彩色の定義値の総量が、総量規制設定部603により設定された総量規制値を超えたか否かを判断する(ステップS1712)。出力色空間における無彩色の定義値の総量が総量規制値を超えていた場合(ステップS1712:Yes)、無彩色決定部606は、出力色空間における無彩色の定義値の総量が総量規制値を超えないように、出力色空間における無彩色の色調を調整する総量規制処理を実施する(ステップS1713)。一方、出力色空間における無彩色の定義値の総量が総量規制値を超えていなかった場合(ステップS1712:No)、出力側の画像データに含める無彩色および有彩色の色調の調整処理は終了する。
このように本実施の形態にかかるMFP100によれば、出力側の画像データに含める無彩色および少なくとも一色の有彩色が属するカテゴリを示す色票を設定し、設定された色票が示すカテゴリに属する有彩色の色相に応じて、設定された色票が示すカテゴリに属する無彩色の色調を調整し、設定された色票が示すカテゴリに属する少なくとも一色の有彩色および色調を調整した無彩色を含む画像データを生成することにより、無彩色と少なくとも一色の有彩色を含む画像データの印刷において、無彩色と有彩色との色彩的なコントラストの低下を防止することができるので、色数が限定された印刷物などにおける色彩的な表現力を向上させることができる。
(変形例1)
本変形例は、色空間を変換する役割を、色変換部から三次元ルックアップテーブル(SDLUT)に移譲して、色変換部の役割を、入力側の画像データに含まれる有彩色と無彩色を他の色で置換した出力側の画像データを生成する点に明確化した例である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所については説明を省略する。
図18は、色変換部の詳細な構成を示すブロック図である。色変換部1801は、第1の実施の形態と同様に、入力側の画像データの色相毎に、入力側の画像データおよび出力側の画像データに含まれる色をベクトルで定義するが、入力側の画像データに含まれる色のベクトルと出力側の画像データに含まれる色のベクトルが、出力側の画像データの出力先(例えば、印刷や配信など)に関わらず、同一の色空間(例えば、RGB色空間)で表現される値である点で異なる。そのため、色変換部1801では、マスキング演算により、入力側の画像データに含まれる有彩色および無彩色のベクトルを、有彩色ラベル設定部601により設定した色票が示すカテゴリに属する有彩色の定義値(または、有彩色決定部605により色調を調整した有彩色の定義値)および無彩色決定部606により色調を調整した無彩色の定義値で置換する処理のみを行い、色空間の変換は行わないものとする。
そして、3DLUT(1802)が、出力側の画像データの色空間を変換する。より具体的には、3DLUT(1802)は、印刷時においては、出力側の画像データの色空間をCMYK色空間へと変換し、配信時においては、出力側の画像データの色空間をRGB色空間へと変換する。
(変形例2)
本変形例は、出力側の画像データに含める無彩色の色調を、用紙の白色度に応じて調整する例である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所については説明を省略する。
図19は、用紙の白色度に応じた色彩的なコントラストの改善例を示す説明図である。図20は、用紙の白色度に応じて色彩的なコントラストを改善した出力側の画像データの色度図である。二色印刷等において用紙の白色度が低く、かつ出力側の画像データに含まれる「黒」の色調が「赤」の方向にずれている場合(図19に示す)、用紙の白色度が十分にある場合の出力側の画像データに含まれる「黒」と「赤」との色度の差に比べて(図20(c)、出力側の画像データに含まれる「黒」と「赤」との色度の差が小さくなり、出力側の画像データの色彩的なコントラストが低下する(図20(a)に示す)。
そこで、本変形例においては、無彩色決定部606は、用紙の白色度に応じて、出力側の画像データに含める無彩色の色調を調整する。より具体的には、用紙の白色度が低い場合(例えば、用紙が黄ばんでいる場合)、無彩色決定部606は、出力側の画像データに含める無彩色の彩度を、有彩色ラベル設定部601により設定したカテゴリに属する有彩色の色相の補色方向に高める。これにより、出力側の画像データに含める「黒」を冷黒調化して、出力側の画像データに含まれる有彩色と無彩色との色度の差(図20(b)に示す)を、用紙の白色度が十分にある場合の出力側の画像データに含まれる「黒」と「赤」との色度の差(図20(c)に示す)に近づけて、出力側の画像データの色彩的なコントラストを改善する(図19に示す)。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、入力側の画像データの無彩色領域のうち、有彩色領域近傍の無彩色領域の無彩色の色調のみを調整する例である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所については説明を省略する。
図21は、色変換部の詳細な構成を示すブロック図である。特定色近傍領域検出部2101は、入力側の画像データの無彩色領域のうち、有彩色領域近傍の特定色近傍領域を検出するものである。
無彩色決定部2102は、特定色近傍領域検出部2101により検出された特定色近傍領域の無彩色の色調のみを調整する。これにより、二色印刷等において、有彩色近傍のみに色調調整を絞ることができるので、色調調整により得られる、色彩的な表現力向上の効果を強めることができる。
なお、本実施の形態では、画像データ処理装置2(104)が有する色変換部104bをハードウェアにより実現しているが、CPU106がROM114に予め組み込まれているプログラムを実行することにより実現することもできる。
本実施の形態のMFP100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態のMFP100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のMFP100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
なお、上記実施の形態では、本発明の画像処理装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有するMFPに適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。