JP5676989B2 - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カルコゲン化合物半導体層を有する光電変換装置の製造方法に関するものである。
太陽電池として、CISやCIGSのようなI−III−VI族化合物半導体等のカルコゲン化合物半導体層から成る光吸収層を具備する光電変換装置を用いたものがある。この光電変換装置は、例えば、ソーダ石灰ガラスからなる基板上に裏面電極となる、例えば、Moからなる電極層が形成され、この電極層上にI−III−VI族化合物半導体からなる光吸収層が形成されている。
このような光吸収層の作製方法としては、以下のようなものがある。まず、I−B族元素の酸化物およびIII−B族元素の酸化物よりなる粉体と、水および有機材料からなる分散剤を含む液体と、を混合してなる水性インクをMoが形成された基板上に塗布した後、上記酸化物を還元して前駆体層を形成する。その後、この前駆体層をガス状のカルコゲン元素であるセレン雰囲気下で加熱することによって前駆体層をセレン化し、I−III−VI族化合物半導体を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−171880号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、分散剤が有機材料で構成されているため、比較的高温でセレン化した場合、隣り合う粉体間に位置する有機材料が揮発し、粉体間に隙間が生じやすかった。そのため、上記方法で作製された光吸収層は、該光吸収層内に多くのボイドが形成され、基板から光吸収層が剥がれやすくなっていた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光吸収層の剥がれを抑制し、信頼性に優れた光電変換装置を提供することである。
本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、I−B族元素およびIII−
B族元素を含む金属酸化物を有する平均粒径が0.03〜3μmの第1原料を準備する第1工程と、前記I−B族元素または前記III−B族元素と同一の元素を含む金属塩を有す
る第2原料および前記第1原料を前記金属塩が溶解する溶媒に混合してなる溶液を、基板上に塗布し、前記光吸収層の前駆体層を形成する第2工程と、前記前駆体層を熱処理し、前記金属酸化物を還元する第3工程と、を備えている。
また、本発明の第2の実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、I−B族元素を含む金属酸化物およびIII−B族元素を含む金属酸化物を有する平均粒径が0.03〜3μm
第1原料を準備する第1工程と、前記I−B族元素または前記III−B族元素と同一の
元素を含む金属塩を有する第2原料および前記第1原料を前記金属塩が溶解する溶媒に混合してなる溶液を、基板上に塗布し、前記光吸収層の前駆体層を形成する第2工程と、前記前駆体層を熱処理し、前記金属酸化物を還元する第3工程と、を備えている。
本発明の第1および第2の実施形態に係る光電変換装置の製造方法によれば、光吸収層を比較的緻密にすることができるため、光吸収層の基板等からの剥がれの発生を抑制し、信頼性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る光電変換装置の製造方法により作製した光電変換装置の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る光電変換装置の製造方法により作製した光電変換装置の他の例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る光電変換装置の製造方法について説明する。まず、本発明の実施形態に係る製造方法で作製される光電変換装置の実施形態について説明する。
光電変換装置10は、基板1と、第1の電極層2と、第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを含んで構成される。また、本実施形態においては、第1の半導体層3が光吸収層であり、第2の半導体層4が第1の半導体層3に接合されたバッファ層である例を示すがこれに限定されず、第2の半導体層4も含めて光吸収層としてもよい。また、光電変換装置10は第2の電極層5側から光が入射されるものであってもよいが、これに限定されず基板1および第1の電極層2が透光性であれば、基板1側から光が入射されるものであってもよい。あるいは基板1側および第2の電極層5側の両方から光が入射されるものであってもよい。
図1、図2において、光電変換装置10は、光電変換セル11が複数並べて形成されている。そして、光電変換セル11は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。なお、図1および図2に示した形態において、接続導体7は、主として第2の電極層5の一部で構成されている。第3の電極層6は、隣接する光電変換セル11の第1の電極層2と一体化されている。この構成により、隣接する光電変セル11同士が直列接続されている。なお、一つの光電変換セル11内において、接続導体7は第1の半導体層3および第2の半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光電変換が行なわれる。
基板1は、光電変換装置10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法または蒸着法等で形成される。
第1の半導体層3は、カルコゲン化合物半導体を含んでおり、例えば、厚みが1.0〜2.5μmの層状に形成されている。カルコゲン化合物半導体は、カルコゲン元素を含む半導体である。カルコゲン元素とは、VI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう。カルコゲン化合物半導体としては、例えば、I−III−VI化合物半導体等が挙げられる。
I−III−VI化合物半導体とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素
(13族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体であり、カルコパイライト構造を有し、カルコパイライト系化合物半導体と呼ばれる(CIS系
化合物半導体ともいう)。I−III−VI化合物半導体としては、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSSともいう)、およびCuInS(CISともいう)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、CuとInとGaとSeとから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、CuとInとGaとSeとSとから主に構成された化合物をいう。10μm以下の薄層でも光電変換効率を高めることができるという観点からは、第1の半導体層3はこのようなI−III−VI化合物半導体であることが好ましい。
次に、光電変換装置の製造方法の実施形態について説明する。
まず、I−B族元素およびIII−B族元素を含む金属酸化物を有する第1原料を調製する(第1工程)。I−B族元素およびIII−B族元素を含む金属酸化物(原料A)としては、例えば、CuInGa1−X2−Y(但し、0<X≦1、0<Y<2)のような複合酸化物が挙げられる。
一方で、第1原料は、I−B族元素を含む金属酸化物とIII−B族元素を含む金属酸化物との混合物(原料B)であってもよい。I−B族元素を含む金属酸化物としては、例えば、CuO、CuO等の酸化銅が挙げられる。また、III−B族元素を含む金属酸化物は、例えば、In、InO等の酸化インジウム、Ga、GaO等の酸化ガリウムなどが挙げられる。
このような第1原料は、平均粒径が0.03〜3μmの粒状を成している。また、第1原料は、原料Aと原料Bとの混合物であってもよい。
次に、第1原料のI−B族元素およびIII−B族元素と同一の元素(金属元素)を含む金属塩を有する第2原料を調製する。このような金属塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが挙げられる。具体的に、硫酸塩としては、硫酸銅、硫酸インジウム、硝酸ガリウム等である。また、硝酸塩としては、硝酸銅、硝酸インジウム、硝酸ガリウム等である。また、炭酸塩としては、炭酸銅、炭酸インジウム、炭酸ガリウム等である。上述した金属塩において、各種溶媒に溶解しやすく、単体の熱分解温度も低いという観点から、硝酸塩が好適である。また、金属塩の平均粒径は、例えば、0.03〜3μmの粒状を成している。また、金属塩は、水和物であってもよい。
次に、第1原料および第2原料と混合させる溶媒を準備する。この溶媒は、第1原料を還元する際の熱処理工程において揮発するとともに、上述した金属塩を溶解できるものであればよい。金属塩の溶解とは、主として金属塩が溶媒中で陽イオンと陰イオンに分かれることを指す。具体的に、硝酸銅であれば、銅イオン(陽イオン)と硝酸イオン(陰イオン)に分かれることである。このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
次に、第1原料、第2原料および溶媒を混合させてなる溶液を基板1および第2の電極層2上に塗布して光吸収層の前駆体層を作製する(第2工程)。このような塗布は、例えば、スリットコーターを用いて行なえばよい。また、この溶液の濃度は、第1原料が1〜30質量%、第2原料が1〜80mol/Lのモル濃度で調整されている。
このとき、第1原料を第2原料よりも多く配合して調整すれば、光が入射する受光面に、主として第1原料で構成される凹凸を形成することができる。これにより、このような形態では、入射する光が散乱して光路長が長くなるため、電流が増加して変換効率を向上させることができる。一方で、第2原料を第1原料よりも多く配合して調整すれば、第1原料由来の上述した凹凸の発生を低減し、より平滑な前駆体層を形成することができる。
これにより、このような形態では、より緻密な前駆体層を形成できるため、例えば、このような前駆体層を複数積層して光吸収層を作製する場合、最も基板1側に位置する前駆体層を緻密にすることで、リークの発生を低減できるという観点で好適である。また、上述のように、この塗布は、前駆体層の厚みに応じて複数回行なってもよい。このとき、1度塗布した後には、乾燥工程を加えるとよい。
次に、第2工程で作製された前駆体層を熱処理して第1原料を構成する金属酸化物を還元する(第3工程)。このような還元工程(第3工程)は、上記金属酸化物を還元して酸素を減少させて、I−B族元素またはIII−B族元素の金属単体を取り出すことにより、次のカルコゲン元素を前駆体層に導入しやすくするために行なうものである。また、第3工程は、例えば、水素のような還元ガスの雰囲気下において行なえばよい。このとき、還元以外の化学反応の発生を抑制すべく、上記還元ガスに加えて、窒素またはアルゴン等を混ぜてなる混合ガスを用いてもよい。また、第3工程における熱処理は、前駆体層の大きさに応じて設定すればよいが、例えば、厚みが1〜2μm、面積が1平方センチメートルの前駆体層であれば、300℃〜520℃の範囲で1時間以上行なえばよい。
上述のように、本実施形態では、金属塩が溶媒に溶解することにより、光吸収層の一部となる金属塩由来の金属粒子が、第1原料間に入り込みやすくなる。そして、第3工程によって熱処理されると、隣接する第1原料同士を、該第1原料と同じ金属で構成された上記金属粒子を介して結合させることができる。それゆえ、熱処理後の前駆体層は、第1原料間の隙間を上記金属粒子で埋めることができる。その結果、光吸収層が比較的緻密になり、基板1および第1の電極層2からの剥がれを抑制することができる。加えて、本実施形態では、重力の影響で上記金属粒子は基板1上および第1の電極層2上に堆積しやすくなるため、基板1および第1の電極層2と光吸収層との間におけるボイドの発生を低減でして密着性をより高めることができる。すなわち、本実施形態では、比較的取り扱いやすい金属塩の状態で維持されている金属を、溶媒と混合して溶液にすることによって第1原料の隙間に光吸収層の一部となる上記金属を位置させることで、当該隙間を埋めて光吸収層内のボイドの発生を抑制している。
次に、この前駆体層を、カルコゲン元素を含む雰囲気下で加熱し、当該前駆体層にカルコゲン元素を導入する(第4工程)。なお、カルコゲン元素を含む雰囲気下とは、Se(セレン)等のカルコゲン元素単体のガス雰囲気下やHSe等のカルコゲン化合物のガス雰囲気下でもよく、これらのガスと水素等の還元ガスとの混合ガス雰囲気下や、これらのガスと窒素やアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス雰囲気下であってもよい。そして、この第4工程は、銅、インジウムおよびガリウムを含むもの前駆体層である場合、Se蒸気を含む雰囲気下で5〜30℃/minの昇温速度で最高温度500℃まで加熱すればよい。このような工程を経て、第1の半導体層3が作製される。
また、第4工程は、第1原料および第2原料を含有した溶液にカルコゲン元素含有有機化合物を混合させてなる原料溶液を基板1上および第1の電極層2上に塗布してなる前駆体層を熱処理するものであってもよい。このような原料溶液においては、カルコゲン元素含有有機化合物が金属元素と良好に配位結合等で結合した状態で前駆体層を形成することから、カルコゲン化が良好に進行するという点で好適である。
ここで、上記カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素を含む有機化合物である。カルコゲン元素がSである場合、カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、スルホキシド、スルホン、チオケトン、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド等およびこれらの誘導体が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属と良好に錯体形成するという観点からは、チオール、スルフィド、ジスルフィドおよびこれらの誘導体が良い。特に塗布性を高めるという観
点からは、フェニル基を有するものが好ましい。このようなフェニル基を有するものとしては、例えば、チオフェノール、ジフェニルスルフィド等およびこれらの誘導体が挙げられる。
カルコゲン元素がSeである場合、カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、セレノール、セレニド、ジセレニド、セレノキシド、セレノン等およびこれらの誘導体が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属と良好に錯体形成するという観点からは、セレール、セレニド、ジセレニドおよびこれらの誘導体が良い。特に塗布性を高めるという観点からは、フェニル基を有するものが好ましい。このようなフェニル基を有するものとしては、例えば、フェニルセレノール、フェニルセレナイド、ジフェニルジセレナイド等およびこれらの誘導体が挙げられる。
カルコゲン元素がTeである場合、カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、テルロール、テルリド、ジテルリド等およびこれらの誘導体が挙げられる。
また、上記の原料溶液には、さらにルイス塩基性有機化合物を含むことが好ましい。これにより、カルコゲン元素含有有機化合物と金属元素との結合力をより高め、より高い濃度の原料溶液とすることができる。これにより、少ない塗布回数で所望の厚みの前駆体層を形成することができ、工程を簡略化できる。
なお、ルイス塩基性有機化合物とは、非共有電子対を有する官能基を具備する有機化合物である。このような官能基としては、非共有電子対を有するV−B族元素(15族元素ともいう)を具備した官能基や非共有電子対を有するVI−B族元素を具備した官能基が好ましく、例えば、アミノ基(1級アミン〜3級アミンのいずれでもよい)、カルボニル基、シアノ基等が挙げられる。ルイス塩基性有機化合物の具体例としては、ピリジン、アニリン、トリフェニルフォスフィン、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アセトニトリル、ベンジル、ベンゾイン等およびこれらの誘導体が挙げられる。特に塗布性を高めるという観点からは、沸点が100℃以上であるものが好ましい。
このようなカルコゲン元素含有有機化合物を用いた第4工程は、実質的に、第3工程の熱処理と同時に行なうことができる。また、カルコゲン元素雰囲気下で行なう第4工程も、実質的に、第3工程の熱処理と同時に行なってもよい。このように、第3工程と第4工程とを同時に行なえば、工程数削減の観点から好適である。
第1乃至第4工程を経て作製された第1の半導体層3は、例えば、2〜3μmの厚みで形成される。
光電変換装置10は、この第1の半導体層3上に第2の半導体層4が10〜200nmの厚みで形成され、この第2の半導体層4上に第2の電極層5が形成される。なお、第2の半導体層4を形成せず、第1の半導体層3上に第2の電極層5を形成してもよい。あるいは第2の電極層5を形成せず、第2の半導体層4を電極として機能させることもできる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3に対してヘテロ接合を行う半導体層をいう。第1の半導体層3と第2の半導体層4とは異なる導電型であることが好ましく、例えば、第1の半導体層3がp型半導体である場合、第2の半導体層4はi型またはn型半導体である。好ましくはリーク電流を低減するという観点からは、第2の半導体層は、抵抗率が1Ω・cm以上の層であるのがよい。第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,M
g)O等が挙げられ、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとから主に構成された化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとから主に構成された化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとから主に構成された化合物をいう。第2の半導体層4は第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光透過性を有するものが好ましい。
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3.0μmの透明導電膜である。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であるのがよい。なお、第2の電極層5は、第1の半導体層と異なる導電型の半導体層であってもよく、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれる。
第2の電極層5は第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3の吸収光に対して光透過性を有するものが好ましい。光透過性を高めると同時に光反射ロス防止効果および光散乱効果を高め、さらに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から、第2の電極層5は0.05〜0.5μmの厚さとするのが好ましい。また、第2の電極層5と第2の半導体層4との界面での光反射ロスを防止する観点からは、第2の電極層5と第2の半導体層4の屈折率は等しいのが好ましい。
光電変換装置10は、第1および第2の半導体層3,4を第1および第2の電極層1,5で挟んだ構成の光電変換セル11を、複数個並べてこれらを電気的に接続して成る。隣接する光電変換せる11同士を容易に直列接続するために、図1、図2に示すように、光電変換セル11は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
接続導体7は、第1および第2の半導体層3,4よりも電気抵抗率の低い材料で構成されている。このような接続導体7は、例えば、第1および第2の半導体層3,4を貫通する溝を形成し、この溝内に導体を形成することにより形成することができる。このような導体としては、例えば、第1および第2の半導体層3,4を貫通する溝を形成した後、上部電極層5をこの溝内にも形成することで接続導体7を形成してもよく(図1,2参照)、上記溝内に導電ペーストを充填することで接続導体7を形成してもよい(図3参照)。図3においては、集電電極8を導電ペーストで形成する際、第1および第2の半導体層3,4を貫通する溝内にも導電ペーストを充填して接続導体7を形成している。すなわち、図3に示した形態では、集電電極8の一部が接続導体7として機能している。あるいは、上記のような溝を形成せず、第1および第2の半導体層3,4の一部を改質して電気抵抗率を低くすることによっても形成することができる。
また、光電変換装置10は、図1〜3に示すように、第2の電極層5上に集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル11の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3の光電変換により生じた電流を第2の電極層5を介して集電電極8に集電し、これを接続導体7を介して隣接する光電変換セル11に良好に導電することができる。よって、集電電極8が設けられていることにより、第2電極層5を薄くしても第1の半導体層3で発生した電流を効率よく取り出すことができる。その結果、発電効率を高めることができる。
集電電極8は第1の半導体層3への光を遮るのを抑制するとともに良好な導電性を有するという観点からは、50〜400μmの幅を有するのが好ましい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストをパターン状に印刷し、これを硬化することによって形成することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
1:基板
2:第1の電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
10、20:光電変換装置
11、21:光電変換モジュール

Claims (5)

  1. 光吸収層を有する光電変換装置の製造方法であって、
    I−B族元素およびIII−B族元素を含む金属酸化物を有する平均粒径が0.03〜3μ
    mの第1原料を準備する第1工程と、
    前記I−B族元素または前記III−B族元素と同一の元素を含む金属塩を有する第2原料
    および前記第1原料を前記金属塩が溶解する溶媒に混合してなる溶液を、基板上に塗布し、前記光吸収層の前駆体層を形成する第2工程と、
    前記前駆体層を熱処理し、前記金属酸化物を還元する第3工程と
    を備えた光電変換装置の製造方法。
  2. 光吸収層を有する光電変換装置の製造方法であって、
    I−B族元素を含む金属酸化物およびIII−B族元素を含む金属酸化物を有する平均粒径
    が0.03〜3μmの第1原料を準備する第1工程と、
    前記I−B族元素または前記III−B族元素と同一の元素を含む金属塩を有する第2原料
    および前記第1原料を前記金属塩が溶解する溶媒に混合してなる溶液を、基板上に塗布し、前記光吸収層の前駆体層を形成する第2工程と、
    前記前駆体層を熱処理し、前記金属酸化物を還元する第3工程と
    を備えた光電変換装置の製造方法。
  3. 前記金属塩に、硝酸塩を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
  4. カルコゲン元素を含む雰囲気中に前記前駆体層を配置し、該前駆体層に前記カルコゲン元素を導入する第4工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
  5. 前記第3工程および前記第4工程を、同時に行なうことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置の製造方法。
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