JP2012195553A - 半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供する。
【解決手段】半導体層の製造方法は、金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストを作製する工程と、該ペーストを層状に成形して皮膜を作製する工程と、該皮膜を、還元性ガスを含む雰囲気で加熱して、金属カルコゲナイドを含む半導体層3を作製する工程とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】半導体層の製造方法は、金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストを作製する工程と、該ペーストを層状に成形して皮膜を作製する工程と、該皮膜を、還元性ガスを含む雰囲気で加熱して、金属カルコゲナイドを含む半導体層3を作製する工程とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属カルコゲナイドを含む半導体層の製造方法およびそれを用いた光電変換装置の製造方法に関するものである。
太陽電池として、金属カルコゲナイドから成る光吸収層を具備する光電変換装置を用いたものがある。金属カルコゲナイドとしては、CISやCIGSのようなI−III−VI族化合物、CZTSのようなI−II−IV−VI族化合物、あるいは、CdTeのようなII−VI族化合物等がある。このような光吸収層を用いた光電変換装置としては、例えば、ソーダ石灰ガラスからなる基板上にMoからなる電極層が形成され、この電極層上に光吸収層が形成されたものがある。
このような光吸収層の作製方法としては、以下のようなものがある(例えば、特許文献1参照)。まず、Moから成る電極層を表面に有する基板が準備される。そして、I−B族元素およびIII−B族元素を含む金属酸化物よりなる粉体が分散されたインクが調整され、このインクが上記電極層上に塗布されて、金属酸化物膜が形成される。そして、この金属酸化物膜が還元されて非酸化物膜が形成された後、この非酸化物膜がセレン雰囲気下で加熱されることによってセレン化され、I−III−VI族化合物が形成される。
しかしながら、特許文献1のような方法では、非酸化物膜のセレン化が十分に行なわれ難く、金属カルコゲナイドを含む半導体層およびそれを用いた光電変換装置の光電変換効率を高めるのが困難である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することである。
本発明の実施形態に係る半導体層の製造方法は、金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストを作製する工程と、該ペーストを層状に成形して皮膜を作製する工程と、該皮膜を、還元性ガスを含む雰囲気で加熱して、前記金属カルコゲナイドを含む半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、上記半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明によれば、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置を示す断面図である。光電変換装置11は、基板1と、第1の電極層2と、金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを含んでいる。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置を示す断面図である。光電変換装置11は、基板1と、第1の電極層2と、金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを含んでいる。
第1の半導体層3と第2の半導体層4は導電型が異なっており、第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光照射により生じた正負のキャリアの電荷分離を良好に行うことができる。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。あるいは、第2の半導体層4が、バッファ層と第1の半導体層3とは異なる導電型の半導体層とを含む複数層であってもよい。本実施形態では、第1の半導体層3が一方導電型の光吸収層であり、第2の半導体層4がバッファ層と他方導電型半導体層とを兼ねている例を示している。
また、本実施形態における光電変換装置11は第2の電極層5側から光が入射されるものを示しているが、これに限定されず、基板1側から光が入射されるものであってもよい。
図1において、光電変換装置11は複数個の光電変換セル10が並べられて形成されている。光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。図1においては、この第3の電極層6は、隣接する光電変換セル10の第1の電極層2が延伸されたものである。この構成により、隣接する光電変換セル10同士が直列接続されている。また、一つの光電変換セル10内において、接続導体7は第1の半導体層3および第2の半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光電変換が行なわれる。
基板1は、第1の半導体層3および第2の半導体層4を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiおよびAu等から選ばれる導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法および蒸着法等から選ばれる方法で形成される。
第1の半導体層3は金属カルコゲナイドを主に含んだ半導体層である。金属カルコゲナイドとは、金属元素とカルコゲン元素との化合物である。また、カルコゲン元素とは、VI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう。金属カルコゲナイドとしては、例えば、II−VI族化合物、I−III−VI族化合物、I−II−IV−VI族化合物等が挙げられる。
II−VI族化合物とは、II−B族元素(12族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物であり、例えば、CdTe等が挙げられる。
I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(13族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物であり、例えば、Cu(In,Ga)Se2(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSSともいう)、およびCuInSe2(CISともいう)等が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Se2とは、CuとInとGaとSeとから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)2とは、CuとInとGaとSeとSとを主成分として含む化合物をいう。
I−II−IV−VI族化合物とは、I−B族元素とII−B族元素とIV−B族元素(14族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物であり、例えば、Cu2ZnSn(Se,S)4等が挙げられる。
第2の半導体層4は上記第1の半導体層3上に形成されている。本実施形態では、第1の半導体層3が一方導電型の光吸収層であり、第2の半導体層4がバッファ層と他方導電型半導体層とを兼ねている例を示している。リーク電流の低減という観点からは、第2の半導体層4は抵抗率が1Ω・cm以上であってもよい。第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、In2Se3、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとを主成分として含む化合物をいう。第2の半導体層4は、第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して高い光透過性を有するものであってもよい。
また、第2の半導体層4は、その厚みが10〜200nmである。第2の半導体層4上に第2の電極層5がスパッタリング等で製膜される際のダメージが抑制される観点から言えば、第2の半導体層4の厚みは100〜200nmとされ得る。
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3.0μmの厚みを有する透明導電膜である。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であってもよい。
第2の電極層5としては、第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3の吸収光に対して高い光透過性を有するものが用いられてもよい。光透過性を高めると同時に光反射ロス低減効果および光散乱効果を高め、さらに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から、第2の電極層5は0.05〜0.5μmの厚さであってもよい。また、第2の電極層5と第2の半導体層4との界面での光反射ロスを低減する観点からは、第2の電極層5と第2の半導体層4の屈折率は略等しくてもよい。
光電変換セル10は、複数個が並べられて電気的に接続され、光電変換装置11と成る。隣接する光電変換セル10同士を容易に直列接続するために、図1に示すように、光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第
3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
図1において、接続導体7は第2の電極層5が形成される際に、第2の電極層5と同じ工程で、第2の電極層5と一体化して形成されている例が示されているが、これに限定されない。例えば、導電性ペーストが充填されて形成されていてもよい。
<(2)第1の半導体層の製造方法>
上記第1の半導体層3は以下のようにして作製される。まず、金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストが作製される。つまり、金属元素が酸化物粒子および水酸化物粒子のうち、少なくとも一種の状態でペースト中に含まれているとともに、カルコゲン元素が、酸化物粒子およびオキソ酸粒子のうち、少なくとも一種の状態でペースト中に含まれている。第1の半導体層3を緻密にするという観点から、これらの酸化物粒子、水酸化物粒子またはオキソ酸粒子の平均粒径は1μm以下であってもよい。なお、ペーストに用いられる溶媒としては有機溶媒や水等が挙げられる。
上記第1の半導体層3は以下のようにして作製される。まず、金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストが作製される。つまり、金属元素が酸化物粒子および水酸化物粒子のうち、少なくとも一種の状態でペースト中に含まれているとともに、カルコゲン元素が、酸化物粒子およびオキソ酸粒子のうち、少なくとも一種の状態でペースト中に含まれている。第1の半導体層3を緻密にするという観点から、これらの酸化物粒子、水酸化物粒子またはオキソ酸粒子の平均粒径は1μm以下であってもよい。なお、ペーストに用いられる溶媒としては有機溶媒や水等が挙げられる。
金属元素の酸化物粒子としては、CuO、Cu2O、CdO、In2O3、Ga2O3、ZnO、SnO、SnO2等の粒子が挙げられる。また、金属元素の水酸化物粒子としては、Cu(OH)2、Cd(OH)2、In(OH)3、Ga(OH)3、Zn(OH)2、Sn(OH)2等の粒子が挙げられる。なお、これらの粒子は各金属元素の酸化物または水酸化物が混合された状態であってもよく、異なる金属元素の混晶体であってもよい。また、カルコゲン元素の酸化物粒子としては、SeO2、SeO3、TeO2、TeO3等の粒子が挙げられる。また、カルコゲン元素のオキソ酸粒子としては、H2SeO4、H2SeO3、H6TeO6、H2TeO3等の粒子が挙げられる。
また、反応性を高くして結晶性の高い第1の半導体層3を形成するという観点から、金属元素の酸化物粒子または水酸化物粒子、および、カルコゲン元素の酸化物粒子またはオキソ酸粒子は、平均粒径が100nm以下のナノ粒子であってもよい。このような金属元素を含むナノ粒子は、金属元素の硝酸塩やハロゲン化物等の金属化合物が水等の溶媒に溶解され、例えばpHが8以上のアルカリ性にされることで金属水酸化物粒子として析出される。そして、この析出した金属水酸化物粒子が取り出されて乾燥されることによって作製される。なお、この金属水酸化物粒子の乾燥時の加熱温度や雰囲気ガス等の条件により、生成するナノ粒子は、金属水酸化物粒子のみの場合、金属水酸化物粒子と金属酸化物粒子の混合体の場合、あるいは、金属酸化物粒子のみの場合があり得る。同様にカルコゲン元素を含むナノ粒子は、カルコゲン元素のハロゲン化物等のカルコゲン化合物が水等の溶媒に溶解されることでオキソ酸粒子として析出される。そして、この析出したオキソ酸粒子が取り出されて乾燥されることによって作製される。なお、このオキソ酸粒子の乾燥時の加熱温度や雰囲気ガス等の条件により、生成するナノ粒子は、オキソ酸粒子のみの場合、オキソ酸粒子と酸化物粒子の混合体の場合、あるいは、酸化物粒子のみの場合があり得る。
このようなナノ粒子を作製するための原料である金属化合物としては、Cu(NO3)2、Cd(NO3)2、In(NO3)2、Ga(NO3)2、Zn(NO3)2、CuCl、CuCl2、CdCl2、InCl3、GaCl3、ZnCl2、SnCl3等が挙げられる。また、ナノ粒子を作製するための原料であるカルコゲン化合物としては、SeCl4、SeBr4、TeCl4、TeBr4等が挙げられる。なお、これらの金属化合物やカルコゲン化合物の対イオンとしてはこれらに限定されず、他の対イオンであってもよい。
次に、第1の電極層2上に、上記ペーストが層状に成形されて皮膜が作製される。皮膜の形成は、例えば、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、またはダイコータ等によって上記ペーストが第1の電極層2上に膜状に被着され、乾燥されることにより行なわれてもよい。
そして、上記皮膜が、還元性ガスを含む雰囲気で加熱されることによって、皮膜中の金属元素とカルコゲン元素とが反応して金属カルコゲナイドが形成される。これにより、光電変換効率の高い第1の半導体層3と成る。つまり、皮膜中に酸化物、水酸化物またはオキソ酸として存在する金属元素およびカルコゲン元素が、還元性ガスによって一時的に金属(金属単体あるいは合金)およびカルコゲン単体に成るとともに、これらが互いに接近しているので非常に反応性が高くなる。よって、金属元素のカルコゲン化が良好に行なわれ、結晶性の高い第1の半導体層3が形成される。
具体例として、例えば、第1の半導体層3がI−III−VI族化合物としてのCuInGaSe2である場合、Cu2O粒子、In2O3粒子、Ga2O3粒子およびSeO2粒子を含む皮膜が加熱されることによって第1の半導体層3が作製される。このように作製された第1の半導体層3は、Cu2O粒子、In2O3粒子およびGa2O3粒子を含みSe元素を含まない皮膜がSe元素を含む雰囲気で加熱されて作製された第1の半導体層に比べて、Se化が良好に行なわれて高い光電変換効率を有するものと成る。
別の具体例として、例えば、第1の半導体層3がII−VI族化合物としてのCdTeである場合、CdO粒子およびTeO2粒子を含む皮膜が加熱されることによって第1の半導体層3が作製される。このように作製された第1の半導体層3は、CdO粒子を含みTe元素を含まない皮膜がTe元素を含む雰囲気で加熱されて作製された第1の半導体層に比べて、Te化が良好に行なわれて高い光電変換効率を有するものと成る。
別の具体例として、例えば、第1の半導体層3がI−II−IV−VI族化合物としてのCu2ZnSn(S,Se)4である場合、Cu2O粒子、ZnO粒子、SnO粒子およびSeO2粒子を含む皮膜が、S元素を含む雰囲気で加熱されることによって、SeとSとをともに含むCu2ZnSn(Se,S)4を有する第1の半導体層3が作製される。このようにして作製された第1の半導体層3は、Cu2O粒子、ZnO粒子およびSnO粒子を含み、S元素およびSe元素を含まない皮膜がSe元素およびS元素を含む雰囲気で加熱されて生成する第1の半導体層に比べて、カルコゲン化が良好に行なわれて高い光電変換効率を有するものと成る。
なお、還元性ガスとしては、酸素を除去することが可能なガスであればよく、例えば、水素ガスや、水素ガスと不活性ガスとの混合ガス等が挙げられる。皮膜のカルコゲン化をより良好に行なうという観点で、還元性ガスにはカルコゲン元素を含むガスが含まれていてもよい。還元性ガスに含まれるカルコゲン元素は、例えば、H2SガスやH2Seガス、H2Teガスとして還元性ガスに混合されてもよい。還元性ガスに含まれるカルコゲン元素を含むガスは雰囲気全体の気体の圧力に対するカルコゲン元素を含むガスの分圧の比率として、1000〜50000ppmvとすることができる。また、還元性ガスに含まれるカルコゲン元素は、皮膜中に含まれるカルコゲン元素と異なる元素であってもよい。これにより、より容易に組成の調整が可能となる。
<(3)光電変換装置の変形例>
次に本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の変形例を図2、図3に基づき説明する。図2は光電変換装置21の断面図であり、図3は光電変換装置21の斜視図である。図2、図3は、第2の電極層5上に集電電極8が形成されている点で図1の光電変換装置11と異なっている。図
2、図3において、図1と同じ構成のものには、同じ符号が付されている。図2、図3に示すように、光電変換装置21は、図1と同様、互いに接続された複数の光電変換セル20を具備している。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。第2の電極層5上に集電電極8が設けられることにより、第2の電極層5の厚さを薄くして光透過性を高めるとともに第1の半導体層3で発生した電流が効率よく取り出される。その結果、光電変換装置21の発電効率が高められる。
次に本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の変形例を図2、図3に基づき説明する。図2は光電変換装置21の断面図であり、図3は光電変換装置21の斜視図である。図2、図3は、第2の電極層5上に集電電極8が形成されている点で図1の光電変換装置11と異なっている。図
2、図3において、図1と同じ構成のものには、同じ符号が付されている。図2、図3に示すように、光電変換装置21は、図1と同様、互いに接続された複数の光電変換セル20を具備している。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。第2の電極層5上に集電電極8が設けられることにより、第2の電極層5の厚さを薄くして光透過性を高めるとともに第1の半導体層3で発生した電流が効率よく取り出される。その結果、光電変換装置21の発電効率が高められる。
集電電極8は、例えば、図3に示すように、光電変換セル20の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3の光電変換により生じた電荷が第2の電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル20に良好に伝達される。その結果、光電変換装置20の発電効率が高められる。
集電電極8の幅は、第1の半導体層3への光を遮るのを低減するとともに良好な導電性を有するという観点からは、50〜400μmとされ得る。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが熱処理されることによって形成される。
本発明の実施形態にかかる半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法について、以下のようにして評価した。本実施例においては半導体層に含まれる金属カルコゲナイドとしてCIGSが用いられた。
<ペーストの作製>
まず、以下のようにしてペーストが調整された。0.1molのCu(NO3)2と、0.07molのIn(NO3)2と、0.03molのGa(NO3)2と、0.4molのSeBr4とが、1500mlの水に溶解された。
まず、以下のようにしてペーストが調整された。0.1molのCu(NO3)2と、0.07molのIn(NO3)2と、0.03molのGa(NO3)2と、0.4molのSeBr4とが、1500mlの水に溶解された。
次に、この水溶液にNaOH水が添加されて、水溶液のpHが11に調整された。これにより、水溶液中に沈殿物が生じた。
この沈殿物が取り出され、水洗された後、窒素ガス雰囲気において、120℃で12時間、乾燥された。このように処理された沈殿物は、ICP発光分光分析法によって分析され、CuOが0.8mol%、Cu(OH)2が0.1mol%、In2O3が0.6mol%、In2(OH)3が0.07mol%、Ga2O3が0.31mol%、Ga2O3が0.02mol%、SeO2が2.5mol%含まれることが分かった。
そして、この沈殿物がボールミルを用いてエタノールに分散されることにより、皮膜を形成するためのペーストが作製された。
<第1の半導体層の作製>
次に、ガラスを含む基板1の表面に、Mo等を含む第1の電極層2が成膜されたものが複数枚用意された。そして、窒素ガス雰囲気下において第1の電極層2の上に上記ペーストがブレード法によって塗布され、皮膜が形成された。
次に、ガラスを含む基板1の表面に、Mo等を含む第1の電極層2が成膜されたものが複数枚用意された。そして、窒素ガス雰囲気下において第1の電極層2の上に上記ペーストがブレード法によって塗布され、皮膜が形成された。
次に、この皮膜が、水素ガス雰囲気下において、550℃で1時間加熱されることにより第1の半導体層3が作製された。
<光電変換装置の作製>
次に、上述のように作製された第1の半導体層3の上に、それぞれ、第2の半導体層4と第2の電極層5とが順に形成されて光電変換装置が作製された。
次に、上述のように作製された第1の半導体層3の上に、それぞれ、第2の半導体層4と第2の電極層5とが順に形成されて光電変換装置が作製された。
具体的には、アンモニア水に酢酸カドミウムおよびチオ尿素が溶解された溶液に、主にCIGSから成る第1の半導体層3が形成された基板1が浸漬されることで、第1の半導体層3の上に厚さが50nmのCdSを含む第2の半導体層4が形成された。更に、この第2の半導体層4の上に、スパッタリング法によってAlがドープされた酸化亜鉛を含む透明の導電膜が形成された。
<光電変換装置における光電変換効率の測定>
作製された光電変換装置の光電変換効率が、定常光ソーラーシミュレーターを用いて測定された。ここでは、光電変換装置の受光面に対する光の照射強度が100mW/cm2であり且つエアマス(AM)が1.5である条件下で光電変換効率が測定された。なお、光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、ここでは、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出された。
作製された光電変換装置の光電変換効率が、定常光ソーラーシミュレーターを用いて測定された。ここでは、光電変換装置の受光面に対する光の照射強度が100mW/cm2であり且つエアマス(AM)が1.5である条件下で光電変換効率が測定された。なお、光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、ここでは、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出された。
その結果、沈殿物1〜3を用いて作製された第1の半導体層3を有する光電変換装置のいずれも、光電変換効率が11.0%と高い値を示した。
以下のようにして比較例用のペーストが調整された。0.1molのCu(NO3)2と、0.07molのIn(NO3)2と、0.03molのGa(NO3)2とが、1500mlの水に溶解された。
次にこの水溶液にNaOH水が添加されて、水溶液のpHが14に調整された。これにより、水溶液中に沈殿物が生じた。
この沈殿物が取り出され、水洗された後、窒素ガス雰囲気において、実施例1と同様の乾燥温度および乾燥時間で乾燥された。このように処理された比較用の沈殿物は、ICP発光分光分析法によって分析され、CuOが0.8mol%、Cu(OH)2が0.01mol%、In2O3が0.6mol%、In2(OH)3が0.07mol%、Ga2O3が0.3mol%、Ga2O3が0.02mol%含まれることが分かった。
そして、この比較用の沈殿物がボールミルを用いてエタノールに分散されることにより比較用のペーストが作製された。
この比較用のペーストを用いて、実施例1と同様にして第1の電極層2上に皮膜が形成された。そして、この皮膜が、H2Seガス雰囲気下において、550℃で1時間加熱されることにより比較用の第1の半導体層3が作製された。
次にこの比較用の第1の半導体層3を用いて、実施例1と同様にして比較用の光電変換装置が作製された。
この比較用の光電変換装置の光電変換効率が実施例1と同様にして測定された。その結果、比較用の光電変換装置の光電変換効率は10.7%であり、実施例1で作製した光電変換装置よりも劣っていた。つまり、本発明の製造方法で作製された半導体層および光電変換装置は、光電変換効率の高いものとなることが分かった。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が施されることは何等差し支えない。
1:基板
2:第1の電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換装置
2:第1の電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換装置
Claims (4)
- 金属−酸素結合を有する化合物およびカルコゲン−酸素結合を有する化合物が溶媒に分散されたペーストを作製する工程と、
該ペーストを層状に成形して皮膜を作製する工程と、
該皮膜を、還元性ガスを含む雰囲気で加熱して、前記金属カルコゲナイドを含む半導体層を作製する工程と
を具備することを特徴とする半導体層の製造方法。 - 前記雰囲気に前記カルコゲン元素を含ませる、請求項1に記載の半導体層の製造方法。
- 前記金属元素にI−B族元素およびIII−B族元素を含ませる、請求項1または2に記載の半導体層の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、
該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程と
を具備することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2011142959A JP2012195553A (ja) | 2011-02-28 | 2011-06-28 | 半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 |
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JP2019087680A (ja) * | 2017-11-08 | 2019-06-06 | 東京応化工業株式会社 | 均一系塗布液及びその製造方法、並びに塗布膜及びその形成方法 |
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2011
- 2011-06-28 JP JP2011142959A patent/JP2012195553A/ja not_active Withdrawn
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