JP2012114250A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換装置における変換効率の向上を図る。
【解決手段】 光電変換装置21の製造方法は、電極層2上に金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜を形成する第1工程と、皮膜をカルコゲン元素含有雰囲気下で加熱して皮膜を光電変換体としての金属カルコゲナイド層31に変化させる第2工程とを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】 光電変換装置21の製造方法は、電極層2上に金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜を形成する第1工程と、皮膜をカルコゲン元素含有雰囲気下で加熱して皮膜を光電変換体としての金属カルコゲナイド層31に変化させる第2工程とを具備する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、金属カルコゲナイドを含む光電変換装置に関するものである。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CISやCIGS等のカルコパイライト系のI−III−VI族化合物半導体、あるいは、CdTe等のII−VI族化合物半導体等の金属カルコゲナイドによって光吸収層が形成されたものがある(例えば、特許文献1)。
このような金属カルコゲナイドを含む光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、光吸収層やバッファ層等を含む半導体層からなる光電変換層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
そして、上記光吸収層は、下部電極上に形成された金属元素を含む酸化物皮膜が、カルコゲン元素を含む雰囲気で熱処理されることにより形成されている。
金属カルコゲナイドを含む光電変換装置には、変換効率の向上が常に要求される。この変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、例えば、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換装置における変換効率の向上を図ることを目的とする。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、電極層上に金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜を形成する第1工程と、該皮膜をカルコゲン元素含有雰囲気下で加熱して前記皮膜を光電変換体としての金属カルコゲナイド層に変化させる第2工程とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、光電変換効率の高い光電変換装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、光電変換装置21の構成を示す上面図である。図2は、図1の切断面線II−IIにおける光電変換装置21の断面図、つまり図1で一点鎖線にて示された位置における光電変換装置21のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、光電変換装置21の構成を示す上面図である。図2は、図1の切断面線II−IIにおける光電変換装置21の断面図、つまり図1で一点鎖線にて示された位置における光電変換装置21のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置21は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置21には、図面の左右方向、或いは更にこれに垂直な図面の上下方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、光電変換層3、上部電極層4、およびグリッド電極5を主に備えている。光電変換装置21では、上部電極層4およびグリッド電極5が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置21には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。ここでは、基板1が、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)で構成されているものとする。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタ法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
光電変換層3は、光吸収層としての第1の半導体層31とバッファ層としての第2の半導体層32とが積層された構成を有している。
第1の半導体層31は、下部電極層2の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層31は、薄層化によって少ない材料で安価に変換効率を高める観点から、金属カルコゲナイドを含む半導体によって主として構成されている。金属カルコゲナイドとは、金属元素とカルコゲン元素との化合物である。なお、カルコゲン元素とは、VI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう。金属カルコゲナイドとしては、例えば、I−III−VI族化合物やII−VI族化合物等が挙げられる。
ここで、I−III−VI族化合物は、I−B族元素(本明細書において、族の名称は旧IUPAC方式で記載している。なお、I−B族元素は、新IUPAC方式では11族元素とも言う)とIII−B族元素(13族元素とも言う)とVI−B族元素(16族元素とも言
う)との化合物である。そして、I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISとも言う)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSとも言う)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSとも言う)等が挙げられる。なお、第1の半導体層31は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体の薄膜によって構成されていても良い。
う)との化合物である。そして、I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISとも言う)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSとも言う)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSとも言う)等が挙げられる。なお、第1の半導体層31は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体の薄膜によって構成されていても良い。
また、II−VI族化合物は、II−B族元素(12族元素とも言う)とVI−B族元素との化合物である。そして、II−VI族化合物としては、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS,CdSe、およびCdTe等が挙げられる。
ここでは、第1の半導体層31が、p型の導電型を有するCIGSによって構成されているものとする。
以上のような第1の半導体層31は、いわゆる塗布法または印刷法と称されるプロセスによって形成される。塗布法では、第1の半導体層31を構成する元素が含まれた半導体形成用溶液が下部電極層2の上に塗布され、その後、乾燥と熱処理とが順次に行われる。
第2の半導体層32は、第1の半導体層31の一主面の上に設けられた半導体層である。この第2の半導体層32は、第1の半導体層31の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有している。また、第2の半導体層32は、I−III−VI族化合物半導体によって主に構成されている第1の半導体層31とヘテロ接合する態様で設けられている。光電変換セル10では、ヘテロ接合を構成する第1の半導体層31と第2の半導体層32とにおいて光電変換が生じるため、第1の半導体層31と第2の半導体層32とが積層されて光電変換層3として機能している。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層31の導電型がp型である場合、第2の半導体層32の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層31の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層32の導電型がp型である態様も有り得る。
第2の半導体層32は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等の化合物半導体によって構成されている。そして、リーク電流が低減される観点から言えば、第2の半導体層32は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。なお、第2の半導体層32は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。
また、第2の半導体層32は、第1の半導体層31の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、10〜200nmに設定され、第2の半導体層32上に上部電極層4がスパッタリング等で製膜される際のダメージが抑制される観点から言えば、100〜200nmとすることができる。
上部電極層4は、第2の半導体層32の上に設けられた、n型の導電型を有する透明導電膜であり、光電変換層3において生じた電荷を取り出す電極(取出電極とも言う)である。上部電極層4は、第2の半導体層32よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層4には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層4とみなされても良い。
上部電極層4は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の物質、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛の化合物(Al、ボロン(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、およびフッ素(F)のうちの何れか一つの元素等が含まれたもの)、錫(Sn)が含まれた酸化インジウム(ITO)、および酸化錫(SnO2)のうちの少なくとも一つからなる金属酸化物半導体等によって構成されている。
上部電極層4は、スパッタ法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、光電変換層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層4は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
第2の半導体層32および上部電極層4は、第1の半導体層31が吸収する光の波長領域に対して光を透過させ易い性質(光透過性とも言う)を有する素材によって構成され得る。これにより、第2の半導体層32と上部電極層4とが設けられることで生じる、第1の半導体層31における光の吸収効率の低下が抑制される。
また、光透過性が高められると同時に、光反射のロスが防止される効果と光散乱効果とが高められ、更に光電変換によって生じた電流が良好に伝送される観点から言えば、上部電極層4は、0.05〜0.5μmの厚さとなるようにすることができる。更に、上部電極層4と第2の半導体層32との界面で光反射のロスが防止される観点から言えば、上部電極層4と第2の半導体層32との間で絶対屈折率が略同一となるようにすることができる。
グリッド電極5は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在する複数の集電部5aと、各集電部5aが接続されてなるとともにY軸方向に延在する連結部5bとを備える。グリッド電極5は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
集電部5aは、光電変換層3において発生して上部電極層4において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電部5aが設けられれば、上部電極層4の薄層化が可能となる。
グリッド電極5および上部電極層4によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続部45を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続部45は、上部電極層4の延在部分4aと、その上に形成された連結部5bからの垂下部分5cとによって構成されている。これにより、光電変換装置21においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の上部電極層4およびグリッド電極5とが、第2溝部P2に設けられた接続部45が接続導体とされて、電気的に直列に接続されている。
グリッド電極5は、良好な導電性が確保されつつ、光吸収層31への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
図4から図8は、光電変換装置21の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図4から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
図4から図8は、光電変換装置21の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図4から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、図3で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタ法等が用いられ
て、Mo等からなる下部電極層2が成膜される。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1が形成される。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光が走査されつつ形成対象位置に照射されることで溝加工が行われる、スクライブ加工によって形成され得る。図4は、第1溝部P1が形成された後の状態を示す図である。
て、Mo等からなる下部電極層2が成膜される。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1が形成される。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光が走査されつつ形成対象位置に照射されることで溝加工が行われる、スクライブ加工によって形成され得る。図4は、第1溝部P1が形成された後の状態を示す図である。
第1溝部P1が形成された後、下部電極層2の上に、第1の半導体層31と第2の半導体層32とが順次に形成される。図5は、第1の半導体層31および第2の半導体層32が形成された後の状態を示す図である。
第1の半導体層31が形成される際には、まず、第1の半導体層31を形成するための半導体形成用溶液が準備される。半導体形成用溶液は、I−III−VI族化合物を形成するための原料となるI−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素(以下、これらの原料となる元素を原料元素とも言う)が溶媒中に溶解または分散されたものである。
上記の半導体形成用溶液が下部電極層2の一主面の上に塗布され、乾燥によって前駆体としての皮膜(以下、前駆体層とも言う)が形成される。半導体形成用溶液の塗布は、例えば、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、またはダイコータ等が用いられて行われる。
前駆体層を形成するための乾燥は、不活性雰囲気または還元雰囲気において行われ、その乾燥時の温度は、例えば、50〜300℃であれば良い。この不活性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気等がある。また、還元雰囲気としては、フォーミングガス雰囲気や水素雰囲気等がある。この乾燥の際に有機成分の熱分解まで行なってもよい。
そして、この前駆体層は、金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜となっている。金属および金属カルコゲナイドが混合しているというのは、金属および金属カルコゲナイドがそれぞれ数nm〜数百nmの微細領域を形成して、これらが混在しながら前駆体層中に分散している状態をいう。
なお、前駆体層中の金属カルコゲナイドは、所望とする第1の半導体層31を構成する金属カルコゲナイドであってもよく(例えば、第1の半導体層31がI−III−VI族化合物の場合に、前駆体層にI−III−VI族化合物が存在する)、第1の半導体層31とは異なる金属カルコゲナイドであってもよい(例えば、第1の半導体層31がI−III−VI族化合物の場合に、前駆体層にI−VI族化合物およびIII−VI族化合物が存在する)。
このように前駆体層が、金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜になっていることで、前駆体層がカルコゲン元素含有雰囲気中で熱処理されて金属カルコゲナイドの多結晶層と成る際、結晶化が良好に進行して結晶粒径が大きくなり、その結果、光電変換効率の高いものとなる。これは以下の理由によるものと考えられる。つまり、前駆体層が金属のみで構成されていると、前駆体層の熱処理の際、雰囲気中のカルコゲン元素と前駆体層の金属との反応のしやすさが前駆体層の厚み方向で異なり、組成ばらつきが生じたり、粒径のばらつきが生じたりし、光電変換効率が向上しにくい。一方、前駆体層が金属カルコゲナイドのみで構成されていると、前駆体層の熱処理の際、前駆体層の全体で均一に金属カルコゲナイド同士の反応や焼結が生じるものの、結晶粒径が小さくなる傾向があり、光電変換効率が向上しにくい。これに対し、本実施形態のように、前駆体層に金属および金属カルコゲナイドが混合した状態であると、前駆体層の熱処理の際、金属領域が溶融して金属カルコゲナイド同士の間に浸透して、原料密度の高い状態となる。その結果、結晶化が良好に進行して結晶粒径が大きくなり、光電変換効率の高い第1の半導体層31となるためであると考えられる。
結晶化を良好に行なうという観点から、前駆体層における金属カルコゲナイドの合計モル数は、金属のモル数よりも大きくすることができる。具体的には、金属カルコゲナイドの合計モル数は、金属のモル数の20〜100倍とすることができる。
以上のような金属および金属カルコゲナイドが混合した前駆体層は、例えば、以下のような方法で作製される(第1の作製方法)。ここでは、第1の半導体層31がI−III−VI族化合物の場合を例にして説明する。まず、平均粒径が5〜1000nmの金属粒子(金属粒子としては、例えば、I−B族金属粒子、III−B族金属粒子およびI−III族合金粒子が挙げられる)と、平均粒径が5〜1000nmの金属カルコゲナイド粒子(金属カルコゲナイド粒子としては、例えば、I−III−VI族化合物粒子、I−VI族化合物粒子およびIII-VI族化合物粒子が挙げられる)が溶媒中に分散された半導体形成用溶液が作製される。そして、この半導体形成用溶液が下部電極層2上に塗布され、乾燥されることにより、前駆体層が作製される。
なお、上記金属カルコゲナイド粒子としての、I−III−VI族化合物粒子、I−VI族化合物粒子およびIII-VI族化合物粒子は、例えば以下のようにして作製される。まず、I−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素の原料(例えば、各元素を含む塩や錯体等の化合物)が溶媒に溶解され、原料溶液が作製される。そして、この原料溶液が加熱されることにより、I−B族元素とIII−B族元素とVI−B族元素とが反応して成るI−III−VI族化合物粒子、I−B族元素とVI−B族元素とが反応して成るI−VI族化合物粒子、または、III−B族元素とVI−B族元素とが反応して成るIII−VI族化合物粒子が作製される。
また、上記金属粒子としての、I−B族金属粒子、III−B族金属粒子およびI−III族合金粒子は、例えば以下のようにして作製される。まず、I−B族元素を含む塩または錯体、および、III−B族元素を含む塩または錯体が、アルコールに溶解され原料溶液が作製される。そして、この溶液が加熱されることにより、アルコールの還元作用によって、I−B族金属粒子、III−B族金属粒子またはI−III族合金粒子が作製される。
また、金属および金属カルコゲナイドが混合した前駆体層は、以下のような方法でも作製され得る(第2の作製方法)。まず、I−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素の原料(例えば、各元素を含む塩や錯体等の化合物)が溶媒に溶解され、原料溶液が作製される。そして、この原料溶液に、上記金属粒子が添加されることによって、半導体形成用溶液が作製される。そして、この半導体形成用溶液が下部電極層2上に塗布されて、各元素の原料と金属粒子とが混合した塗布膜が作製される。そして、この塗布膜が加熱処理されることにより、I−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素の原料同士が化学反応して、I−III−VI族化合物粒子、I−VI族化合物粒子、または、III−VI族化合物粒子として金属カルコゲナイド粒子が生成する。その結果、金属カルコゲナイド粒子と金属粒子とが混合した前駆体層が形成される。なお、このような塗布膜にした状態から、金属カルコゲナイド粒子を良好に作製するという観点では、I−III−VI族化合物を構成するI−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素が一つの分子中に含まれる単一源前駆体(米国特許第6992202号明細書を参照)がI−B族元素、III−B族元素およびVI−B族元素の原料として用いられ得る。
以上のような前駆体層が熱処理されることにより、金属カルコゲナイド層である第1の半導体層31が形成される。前駆体層の熱処理は、第1の半導体層31の金属カルコゲナイドを構成するカルコゲン元素を含む雰囲気(例えば、Se蒸気、S蒸気、H2Se、H2S等を含む雰囲気)で行なわれる。前駆体層は、例えば、5〜30℃/minの昇温速度で最高温度500〜600℃まで熱処理される。
第2の半導体層32は、溶液成長法(CBD法とも言う)によって形成される。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とがアンモニア水に溶解され、これに第1の半導体層31の形成までが行われた基板1が浸漬されることで、第1の半導体層31にCdSからなる第2の半導体層32が形成される。
第1の半導体層31および第2の半導体層32が形成された後、第2の半導体層32の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2が形成される。第2溝部P2は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたスクライビングが、ピッチがずらされながら連続して数回にわたって行われることで形成される。また、スクライブ針の先端形状が第2溝部P2の幅に近い程度にまで広げられたうえでスクライブされることによって第2溝部P2が形成されても良い。あるいは、2本または2本を超えるスクライブ針が相互に当接または近接した状態で固定され、1回から数回のスクライブが行われることによって第2溝部P2が形成されても良い。図6は、第2溝部P2が形成された後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成される。
第2溝部P2が形成された後、第2の半導体層32の上に、例えば、Snが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明の上部電極層4が形成される。上部電極層4は、スパッタ法、蒸着法、またはCVD法等で形成される。図7は、上部電極層4が形成された後の状態を示す図である。
上部電極層4が形成された後、グリッド電極5が形成される。グリッド電極5については、例えば、Ag等の金属粉が樹脂バインダー等に分散している導電性を有するペースト(導電ペーストとも言う)が、所望のパターンを描くように印刷され、これが乾燥されて固化されることで形成される。なお、固化された状態は、導電ペーストに用いられるバインダーが熱可塑性樹脂である場合の熔融後の固化状態、およびバインダーが熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂である場合の硬化後の状態の双方を含む。図8は、グリッド電極5が形成された後の状態を示す図である。
グリッド電極5が形成された後、上部電極層4の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3が形成される。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度であることが好適である。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成されることが好適である。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置21が製作されたことになる。
なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部は、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 基板
2 下部電極層
3 光電変換層
4 上部電極層
5 グリッド電極
10 光電変換セル
21 光電変換装置
31 第1の半導体層
32 第2の半導体層
45 接続部
2 下部電極層
3 光電変換層
4 上部電極層
5 グリッド電極
10 光電変換セル
21 光電変換装置
31 第1の半導体層
32 第2の半導体層
45 接続部
Claims (4)
- 電極層上に金属および金属カルコゲナイドが混合した皮膜を形成する第1工程と、
該皮膜をカルコゲン元素含有雰囲気下で加熱して前記皮膜を光電変換体としての金属カルコゲナイド層に変化させる第2工程と
を具備することを特徴とする光電変換装置の製造方法。 - 前記第2工程は前記皮膜を還元ガス雰囲気下で加熱した後に前記カルコゲン元素含有雰囲気下で加熱を行なう工程である請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記カルコゲン元素含有雰囲気に還元ガスを含ませる請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記皮膜にI族元素およびIII族元素を前記金属酸化物および金属カルコゲナイドの少なくとも一方の状態で含ませる請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
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JP2009528681A (ja) * | 2006-02-23 | 2009-08-06 | デューレン、イェルーン カー.イェー. ファン | カルコゲンと金属間物質の使用による高処理能力の半導体層形成 |
WO2010085553A1 (en) * | 2009-01-21 | 2010-07-29 | Purdue Research Foundation | Selenization of precursor layer containing culns2 nanoparticles |
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