JP2014049493A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換効率の高い光電変換装置を提供する。
【解決手段】 光電変換装置11の製造方法は、電極層2上に、I−B族元素およびIII
−B族元素を含むとともに、電極層2とは反対側の表面部よりも残部にセレン元素を多く含む皮膜Mを作製する工程と、皮膜Mを硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導体層3
にする工程とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】 光電変換装置11の製造方法は、電極層2上に、I−B族元素およびIII
−B族元素を含むとともに、電極層2とは反対側の表面部よりも残部にセレン元素を多く含む皮膜Mを作製する工程と、皮膜Mを硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導体層3
にする工程とを具備する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、I−III−VI族化合物を含む半導体層を用いた光電変換装置の製造方法に関
するものである。
するものである。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CuInSe2(CIS)やCu(In,Ga)Se2(CIGS)等のI−III−VI族化合物を含む半導体層を光吸収層に用
い、この光吸収層上にII−VI族化合物等のバッファ層を形成したものがある。
い、この光吸収層上にII−VI族化合物等のバッファ層を形成したものがある。
このような光電変換装置は、光電変換効率の向上が要求されている。例えば特許文献1では、上記光吸収層の表面にCu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSS)からなる、厚さが150nm程度の表面層を設け、この表面層における硫黄元素濃度をバッファ層側の表面から光吸収層の内部に向かって減少する濃度勾配にして、光吸収層とバッファ層との界面接合性を改善するにより、光電変換効率を向上することが提案されている。
この特許文献1では、光吸収層の表面に硫黄元素を導入するため、CIGS層を形成した後、このCIGS層を、硫黄元素を含む雰囲気中で加熱することによって、CIGS層の表面のセレン元素を硫黄元素に置換する方法を用いている。
しかしながら、上記のような方法では、CIGS層を、硫黄元素を含む雰囲気中で加熱する際、CIGS層からセレン元素が抜け、VI族欠陥が生じやすくなる。そのため、光電変換効率をさらに高めることは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換効率の高い光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、電極層上に、I−B族元素およびIII−B族元素を含むとともに、前記電極層とは反対側の表面部よりも残部にセレン元
素を多く含む皮膜を作製する工程と、該皮膜を硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導
体層にする工程とを具備する。
素を多く含む皮膜を作製する工程と、該皮膜を硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導
体層にする工程とを具備する。
本発明によれば、光電変換効率の高い光電変換装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図9には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図9には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、I−III−VI族化合物半導体層3(以下では、
I−III−VI族化合物半導体層のことを第1の半導体層ともいう)、第2の半導体層4、
上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
I−III−VI族化合物半導体層のことを第1の半導体層ともいう)、第2の半導体層4、
上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
光吸収層としてのI−III−VI族化合物半導体層3(第1の半導体層3)は、下部電極
層2の+Z側の主面(一主面ともいう)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はI−III−VI族化合物を含む半導体層である。I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)と、III−B族元素(13族元素ともいう)と、VI−B族元
素(16族元素ともいう)とを含んだ化合物である。そして、第1の半導体層3は、VI−B族元素として硫黄元素(S)およびセレン元素(Se)を含んでいる。このようなI−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イ
オウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)、CuIn(Se,S)2(二セ
レン・イオウ化銅インジウム、CISSともいう)、CuGa(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅ガリウム、CGSSともいう)等が挙げられる。
層2の+Z側の主面(一主面ともいう)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はI−III−VI族化合物を含む半導体層である。I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)と、III−B族元素(13族元素ともいう)と、VI−B族元
素(16族元素ともいう)とを含んだ化合物である。そして、第1の半導体層3は、VI−B族元素として硫黄元素(S)およびセレン元素(Se)を含んでいる。このようなI−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イ
オウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)、CuIn(Se,S)2(二セ
レン・イオウ化銅インジウム、CISSともいう)、CuGa(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅ガリウム、CGSSともいう)等が挙げられる。
なお、第1の半導体層3は、厚み方向の全ての部位において硫黄元素およびセレン元素が含まれていなくてもよい。例えば、第1の半導体層3の下部電極層2側の部位等において、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、CuGaSe2(二セレン化銅ガリウム、CGSともいう)等となっている場合もあり得る。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の上に設けられた半導体層である。この第2の半導体層4は、第1の半導体層3の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有している。第1の半導体層3と第2の半導体層4との接合によって、第1の半導体層3で光電変換されて生じた正負キャリアが良好に電荷分離される。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層3の導電型がp型である場合、第2の半導体層4の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層3の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層4の導電型がp型である態様も有り得る。
第2の半導体層4は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等の化合物半導体によって構成されている。そして、電流の損失が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。なお、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。
また、第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば10〜200nmに設定される。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
第2の半導体層4および上部電極層5は、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光を透過させ易い性質(光透過性ともいう)を有する素材によって構成され得る。これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導
体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
また、光透過性が高められると同時に、光反射のロスが防止される効果と光散乱効果とが高められ、更に光電変換によって生じた電流が良好に伝送される観点から言えば、上部電極層5は、0.05〜0.5μmの厚さとなるようにすることができる。更に、上部電極層5と第2の半導体層4との界面で光反射のロスが低減される観点から言えば、上部電極層5と第2の半導体層4との間で絶対屈折率が略同一となるようにすることができる。
集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法の第1の例>
図3から図9は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図9で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
図3から図9は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図9で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、図3で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、レーザースクライブ加工によって形成することができる。図4は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、I−B族元素およびIII−B族元素
を含むとともに、下部電極層2とは反対側の表面部よりも残部(厚み方向の中央部および下部電極層2側の部位)にセレン元素を多く含む皮膜Mを作製する(以下、皮膜Mの下部電極層2とは反対側の表面部のことを、単に皮膜Mの表面部ともいう)。なお、皮膜Mの表面部にはセレン元素が含まれていなくてもよい。そして、この皮膜Mを、硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導体層(第1の半導体層3)にする。
を含むとともに、下部電極層2とは反対側の表面部よりも残部(厚み方向の中央部および下部電極層2側の部位)にセレン元素を多く含む皮膜Mを作製する(以下、皮膜Mの下部電極層2とは反対側の表面部のことを、単に皮膜Mの表面部ともいう)。なお、皮膜Mの表面部にはセレン元素が含まれていなくてもよい。そして、この皮膜Mを、硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導体層(第1の半導体層3)にする。
このように下部電極層2とは反対側の表面部よりも残部にセレン元素を多く含む皮膜Mを形成し、この皮膜Mを第1雰囲気で加熱することによって、所望の硫黄元素の濃度分布(下部電極層2とは反対側の表面部に硫黄元素を多く含む)を有する第1の半導体層3を
、欠陥の少ない良好な状態で作製することが可能となる。その結果、光電変換効率が向上する。つまり、残部(厚み方向の中央部および下部電極層2側の部位)に予めセレン元素を含めておいた皮膜Mを、硫黄元素を含む雰囲気で加熱することにより、皮膜Mの表面部に硫黄元素を容易に導入でき、それによって皮膜Mの加熱時間を短く、または加熱温度を低くすることができる結果、セレン元素の抜けが生じ難くなる。
、欠陥の少ない良好な状態で作製することが可能となる。その結果、光電変換効率が向上する。つまり、残部(厚み方向の中央部および下部電極層2側の部位)に予めセレン元素を含めておいた皮膜Mを、硫黄元素を含む雰囲気で加熱することにより、皮膜Mの表面部に硫黄元素を容易に導入でき、それによって皮膜Mの加熱時間を短く、または加熱温度を低くすることができる結果、セレン元素の抜けが生じ難くなる。
I−B族元素、III−B族元素およびセレン元素の各元素は、それぞれ皮膜M中に化合
物の状態、合金の状態、および単体の状態のいずれの状態で存在していてもよい。
物の状態、合金の状態、および単体の状態のいずれの状態で存在していてもよい。
皮膜Mにおけるセレン元素の濃度は、皮膜Mを厚み方向に3等分したときに、残部(下部電極層2側の部位および中央部を合わせた部位)におけるIII−B族元素の原子%(MIII)に対するセレン元素の原子%(MSe)の比(MSe/MIII)の平均値が1.5〜
2であり、下部電極層2とは反対側の表面部におけるMSe/MIIIの平均値が残部にお
けるMSe/MIIIの平均値の0〜0.9倍であればよい。これにより、表面部の硫黄元
素濃度の高い第1の半導体層3を良好に作製することができる。
2であり、下部電極層2とは反対側の表面部におけるMSe/MIIIの平均値が残部にお
けるMSe/MIIIの平均値の0〜0.9倍であればよい。これにより、表面部の硫黄元
素濃度の高い第1の半導体層3を良好に作製することができる。
皮膜Mは、I−B族元素、III−B族元素およびセレン元素のうち、いずれか1種また
は複数種を含む原料を用いて、これらを所望の組成比となるように組み合わせて作製することができる。具体的には、上記原料を含む原料溶液を塗布することによって、あるいは、スパッタリング法や蒸着法等によって、皮膜Mを形成することができる。皮膜Mは複数層から成る積層体であってもよい。
は複数種を含む原料を用いて、これらを所望の組成比となるように組み合わせて作製することができる。具体的には、上記原料を含む原料溶液を塗布することによって、あるいは、スパッタリング法や蒸着法等によって、皮膜Mを形成することができる。皮膜Mは複数層から成る積層体であってもよい。
皮膜Mを所望の組成で容易に作製できるという観点から、上記皮膜Mを、原料溶液を用いて作製してもよい。原料溶液は、I−B族元素、III−B族元素およびセレン元素が溶
媒中に溶解されている。反応性を高くして結晶性を高めるという観点からは、I−B族元素およびIII−B族元素の少なくとも1種に有機セレン化合物が配位した有機錯体を含む
原料溶液を用いてもよい。このような有機錯体であれば、金属元素とセレン元素とが接近した状態となるため、反応性が高くなる。
媒中に溶解されている。反応性を高くして結晶性を高めるという観点からは、I−B族元素およびIII−B族元素の少なくとも1種に有機セレン化合物が配位した有機錯体を含む
原料溶液を用いてもよい。このような有機錯体であれば、金属元素とセレン元素とが接近した状態となるため、反応性が高くなる。
なお、有機セレン化合物とは、セレン元素を含む有機化合物であり、炭素元素とセレン元素との共有結合を有する有機化合物である。有機セレン化合物としては、例えば、セレノールや、セレニド、ジセレニド等を用いることができる。有機セレン化合物が配位した有機錯体の具体例としては、銅元素や銀元素等のI−B族元素に有機セレン化合物が配位した有機錯体、インジウム元素に有機セレン化合物が配位した有機錯体、ガリウム元素に有機セレン化合物が配位した有機錯体、または、有機セレン化合物がI−B族元素およびIII−B族元素の両方に配位して1つの分子中にI−B族元素とIII−B族元素とセレン元素とを有する単一源有機錯体(米国特許第7341917号明細書参照)等を用いることができる。
例えば、原料溶液を塗布することによって皮膜Mを作製する場合、以下のようにすればよい。まず、上述した有機錯体等の原料を、ピリジンやアニリン等の有機溶媒に溶解して原料溶液を作製する。そして、この原料溶液を、例えば、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ダイコータ等によって下部電極層2上に膜状に被着し、溶媒を乾燥によって除去する。この工程を異なる組成の原料溶液を用いて繰り返して積層皮膜を形成することにより、I−B族元素およびIII−B族元素を含むとともに、厚み方向の中央部よりも下部電極層2とは反対側の表面部にセレン元素を多く含む皮膜Mを作製することができる。図5は、皮膜Mを形成した後の状態を示す図である。
なお、上記有機錯体を用いて作製した皮膜Mを後述する第1雰囲気(硫黄元素とを含む雰囲気)で加熱する前に、皮膜Mに含まれる有機成分を、セレン元素および硫黄元素を含
まない雰囲気中で、例えば50〜350℃で加熱して、皮膜M中の有機成分を熱分解しておいてもよい。これにより、第1の半導体層3中に有機成分が残存するのを低減でき、第1の半導体層3の光電変換効率をより高めることができる。
まない雰囲気中で、例えば50〜350℃で加熱して、皮膜M中の有機成分を熱分解しておいてもよい。これにより、第1の半導体層3中に有機成分が残存するのを低減でき、第1の半導体層3の光電変換効率をより高めることができる。
また、上記皮膜Mを第1雰囲気で加熱する前に、皮膜Mの表面の一部を酸化してもよい。皮膜Mを酸化する方法としては、窒素やアルゴン等の不活性ガス中に水蒸気や酸素等の酸化性ガスを、例えば分圧比で50〜300ppmv程度含有する雰囲気中で皮膜Mを加熱すればよい。これにより、皮膜Mの金属元素の一部が比較的安定な酸化物として存在することとなり、その後の第1雰囲気での加熱工程において、他の金属元素の液化速度や結晶化速度等の反応性に比べ、酸化物として存在する金属元素が異なる反応性を示す。その結果、I−III−VI族化合物の微結晶の生成とともにその周囲を、まだ液化状態の原料が取り囲んだ状態で反応が進行するため、緻密で結晶性の高い第1の半導体層3が得られやすくなる傾向がある。
そして、作製した皮膜Mを、硫黄元素を含む第1雰囲気において、450〜600℃で加熱する。これによって、皮膜Mの硫化およびセレン化を進行させ、I−III−VI族化合
物を主として含むとともに、厚み方向の中央部よりも下部電極層2とは反対側の表面部に硫黄元素を多く含む第1の半導体層3を作製することができる。
物を主として含むとともに、厚み方向の中央部よりも下部電極層2とは反対側の表面部に硫黄元素を多く含む第1の半導体層3を作製することができる。
上記第1雰囲気は、硫黄元素を例えば硫黄蒸気や硫化水素等として含んでいる。第1雰囲気には、窒素やアルゴン等の不活性ガスや、水素等の還元ガスが混合されていてもよい。
生成する第1の半導体層3をよりVI族欠陥の少ないものにするという観点からは、上記第1雰囲気中にセレン元素をさらに含めてもよい。この場合、セレン元素を例えばセレン蒸気やセレン化水素等として第1雰囲気中に含めることができる。この第1雰囲気におけるセレン元素のモル数MSeに対する硫黄元素のモル数MSの比MS/MSeは、例えば1以上5以下程度であればよい。このように第1雰囲気中に硫黄元素とセレン元素とを含むことによって、セレン元素の抜けをさらに低減しながら硫黄元素を皮膜M中に良好に導入することができ、第1の半導体層3内のVI族欠陥をより少なくすることができる。図6は、第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5を順に形成する。
第2の半導体層4は、溶液成長法(CBD法ともいう)によって形成することができる。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とをアンモニア水に溶解し、これに第1の半導体層3の形成まで行なった基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上にCdSを含む第2の半導体層4を形成することができる。
上部電極層5は、例えば、Snが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。図7は、第2の半導体層4および上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、スクライブ針を用いたメカニカルスクライビング加工によって形成することができる。図8は、第2溝部P2を形成した後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散した導電性を有するペースト(導電ペーストともいう)を、所望のパターンを描くように印刷し、これを加熱することで形成できる。図9は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度とすることができる。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビング加工によって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。例えば、上記の実施形態では、残部(厚み方向の中央部および下部電極層2側の部位)にセレン元素を多く含む皮膜Mを、セレン元素を含む原料を用いて作製したが、金属元素を含む層を形成した後、これを、セレン元素を含む雰囲気で加熱し、さらにその上に金属元素を含む層を形成することによって、残部にセレン元素を多く含む皮膜Mを形成してもよい。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:皮膜
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:皮膜
Claims (5)
- 電極層上に、I−B族元素およびIII−B族元素を含むとともに、前記電極層とは反対
側の表面部よりも残部にセレン元素を多く含む皮膜を作製する工程と、
該皮膜を硫黄元素を含む第1雰囲気で加熱することによってVI−B族元素としてセレン元素および硫黄元素を含むI−III−VI族化合物半導体層にする工程と
を具備する光電変換装置の製造方法。 - 前記第1雰囲気にさらにセレン元素を含める、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記皮膜を、I−B族元素およびIII−B族元素の少なくとも1種に有機セレン化合物
が配位した有機錯体を含む原料溶液を用いて作製する、請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。 - 前記皮膜を前記第1雰囲気で加熱する前に、前記皮膜に含まれる有機成分を熱分解させることによって除去する、請求項3に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記皮膜を前記第1雰囲気で加熱する前に、前記皮膜の表面を酸化する、請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012189008A JP2014049493A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | 光電変換装置の製造方法 |
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JP2014049493A true JP2014049493A (ja) | 2014-03-17 |
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-
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- 2012-08-29 JP JP2012189008A patent/JP2014049493A/ja active Pending
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