JP2016122742A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換効率の高い光電変換装置を提供する。【解決手段】 光電変換装置11の製造方法は、電極層2上に、11族元素および13族元素を含む皮膜Mを形成し、皮膜Mをカルコゲン元素を含む雰囲気で加熱することによってI−III−VI族化合物半導体層3にする光電変換装置11の製造方法であって、皮膜Mの厚みの中央よりも電極層2側に位置する部位を第1部位M1とし、残部を第2部位M2としたときに、第1部位M1および第2部位M2にそれぞれアルカリ金属元素を含ませるとともに、13族元素の平均原子濃度CIIIに対するアルカリ金属元素の平均原子濃度CAの比率CA/CIIIを第1部位M1よりも第2部位M2の方で大きくなるようにする。【選択図】 図4
Description
本発明は、I−III−VI族化合物半導体層を用いた光電変換装置の製造方法に関するも
のである。
のである。
太陽光発電などに使用される光電変換装置として、ガラス基板の上に複数の光電変換素子が設けられたものがある。該各光電変換素子においては、下部電極層と半導体層と上部電極層とがこの順に積層されている。そして、該各光電変換素子では、上部電極層を透過する光が半導体層に照射されることで、該半導体層における光電変換によって発生する電荷が下部電極層と上部電極層とによって取り出される。このような半導体層には、カルコパイライト系のI−III−VI族化合物半導体が用いられる。
このとき、半導体層の成膜過程でナトリウム等のアルカリ金属を半導体層の中に導入することで、結晶成長の促進およびキャリア濃度の向上等に影響を与え、光電変換効率が向上することができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、半導体層中に導入されたナトリウムは、加熱処理によるCIGSの上部電極側のCIGS粒の成長過程で下部電極層側に拡散しやすくなるため、半導体層の上部電極層側の表面部にナトリウムを十分に導入することが困難であった。半導体層の上部電極層側の表面部にナトリウムを十分に導入するために層全体のナトリウム量を多くすると、半導体層の下部電極層との界面部におけるナトリウム量が過度になり、半導体層と下部電極層との密着性が低下しやすくなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、I−III−VI族化合物半導体層の厚
み全体において適度にアルカリ金属を導入し、光電変換効率の高い光電変換装置を提供することを目的とする。
み全体において適度にアルカリ金属を導入し、光電変換効率の高い光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法は、電極層上に、11族元素および13族元素を含む皮膜を形成し、該皮膜をカルコゲン元素を含む雰囲気で加熱することによってI−III−VI族化合物半導体層にする光電変換装置の製造方法であって、前記皮膜の厚
みの中央よりも前記電極層側に位置する部位を第1部位とし、残部を第2部位としたときに、前記第1部位および前記第2部位にそれぞれアルカリ金属元素を含ませるとともに、13族元素の平均原子濃度CIIIに対するアルカリ金属元素の平均原子濃度CAの比率C
A/CIIIを前記第1部位よりも第2部位の方で大きくなるようにする光電変換装置の製
造方法。
みの中央よりも前記電極層側に位置する部位を第1部位とし、残部を第2部位としたときに、前記第1部位および前記第2部位にそれぞれアルカリ金属元素を含ませるとともに、13族元素の平均原子濃度CIIIに対するアルカリ金属元素の平均原子濃度CAの比率C
A/CIIIを前記第1部位よりも第2部位の方で大きくなるようにする光電変換装置の製
造方法。
本発明によれば、光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、I−III−VI族化合物半導体層3(以下では、
I−III−VI族化合物半導体層のことを第1の半導体層ともいう)、第2の半導体層4、
上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
I−III−VI族化合物半導体層のことを第1の半導体層ともいう)、第2の半導体層4、
上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
光吸収層としてのI−III−VI族化合物半導体層3(第1の半導体層3)は、下部電極
層2の+Z側の主面(一主面ともいう)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はカルコパイライト構造を有するI−III−VI族化合物を含む半導体層である。I−III−VI族化合物とは、11族(I−B族元素ともいう)と、13族元素(III−B族元素
ともいう)と、16族元素(VI−B族元素ともいう)とを含んだ化合物である。第1の半導体層3がp型の導電型を有する半導体層である場合、第1の半導体層3に主として含ま
れるI−III−VI族化合物は、11族元素をMI、13族元素をMIII、16族元素をMVIとしたときにMIMIII XMVI Y(Xは0.9〜1.8、Yは1.7〜3.3)と表わすことができる。なお、MIは複数種の11族元素が含まれていてもよい。MIIIも複数種の
13族元素が含まれていてもよい。MVIも複数種の16族元素が含まれていてもよい。
層2の+Z側の主面(一主面ともいう)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はカルコパイライト構造を有するI−III−VI族化合物を含む半導体層である。I−III−VI族化合物とは、11族(I−B族元素ともいう)と、13族元素(III−B族元素
ともいう)と、16族元素(VI−B族元素ともいう)とを含んだ化合物である。第1の半導体層3がp型の導電型を有する半導体層である場合、第1の半導体層3に主として含ま
れるI−III−VI族化合物は、11族元素をMI、13族元素をMIII、16族元素をMVIとしたときにMIMIII XMVI Y(Xは0.9〜1.8、Yは1.7〜3.3)と表わすことができる。なお、MIは複数種の11族元素が含まれていてもよい。MIIIも複数種の
13族元素が含まれていてもよい。MVIも複数種の16族元素が含まれていてもよい。
このようなI−III−VI族化合物の具体例としては、Cu(In,Ga)(Se,S)
2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)、CuIn(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム、CISSともいう)、CuGa(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅ガリウム、CGSSともいう)等が挙げられる。
2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)、CuIn(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム、CISSともいう)、CuGa(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅ガリウム、CGSSともいう)等が挙げられる。
また、第1の半導体層3は、ナトリウム(Na)やカリウム(K)等のアルカリ金属元素を含んでいる。第1の半導体3におけるアルカリ金属元素の合計の含有量は、第13族元素の平均原子濃度をCIIIとし、アルカリ金属元素の合計の平均原子濃度をCAとした
ときに、比率CA/CIIIが0.001〜0.1程度である。このような構成によって、
アルカリ金属元素が第1の半導体層3中の欠陥を良好に埋め、光電変換によって生じたキャリアの再結合を低減し、光電変換効率を高めることができる。
ときに、比率CA/CIIIが0.001〜0.1程度である。このような構成によって、
アルカリ金属元素が第1の半導体層3中の欠陥を良好に埋め、光電変換によって生じたキャリアの再結合を低減し、光電変換効率を高めることができる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の上に設けられた半導体層である。この第2の半導体層4は、第1の半導体層3の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有している。第1の半導体層3と第2の半導体層4との接合によって、第1の半導体層3で光電変換されて生じた正負キャリアが良好に電荷分離される。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層3の導電型がp型である場合、第2の半導体層4の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層3の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層4の導電型がp型である態様も有り得る。
第2の半導体層4は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等の化合物半導体によって構成されている。そして、電流の損失が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。なお、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。
また、第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば10〜200nmに設定される。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、G
ZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
ZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
第2の半導体層4および上部電極層5は、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光を透過させ易い性質(光透過性ともいう)を有する素材によって構成され得る。これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
また、光透過性が高められると同時に、光反射のロスが防止される効果と光散乱効果とが高められ、更に光電変換によって生じた電流が良好に伝送される観点から言えば、上部電極層5は、0.05〜0.5μmの厚さとなるようにすることができる。更に、上部電極層5と第2の半導体層4との界面で光反射のロスが低減される観点から言えば、上部電極層5と第2の半導体層4との間で絶対屈折率が略同一となるようにすることができる。
集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、レーザースクライブ加工によって形成することができる。図3は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、11族元素および13族元素を含む皮膜Mを形成する。図4は皮膜Mを形成した後の状態を示す図である。皮膜MはI−III
−VI族化合物半導体層の前駆体層であり、カルコゲン元素を含む雰囲気中で加熱すること
によって、多結晶体のI−III−VI族化合物半導体層が得られるものである。なお、カル
コゲン元素とは、16族元素のうち、酸素(O)を除く、硫黄(S)、セレン(Se)およびテルル(Te)をいう。
−VI族化合物半導体層の前駆体層であり、カルコゲン元素を含む雰囲気中で加熱すること
によって、多結晶体のI−III−VI族化合物半導体層が得られるものである。なお、カル
コゲン元素とは、16族元素のうち、酸素(O)を除く、硫黄(S)、セレン(Se)およびテルル(Te)をいう。
このような皮膜Mとしては、11族元素の錯体や塩、13族元素の錯体や塩を有機溶媒等に溶解または分散して成る原料液を塗布して形成した皮膜であってもよく、さらにこれに加熱処理を行なって有機成分や不要な成分を熱分解により除去した皮膜であってもよい。また、皮膜Mとしては、I−III−VI族化合物粒子を有機溶媒等に分散して成る原料液を塗布して形成した皮膜であってもよい。特に、I−III−VI族化合物半導体層の結晶性を高めるという観点からは、皮膜Mにカルコゲン元素も含ませておいてもよい。皮膜Mにカルコゲン元素を含ませる方法としては、チオール系化合物やセレノール系化合物等の有機カルコゲン化合物、またはNa2SやNa2Se等の無機化合物を上記原料液に添加する方法がある。あるいは、上記原料液に含まれる11族元素や13族元素の原料として、有機カルコゲン化合物が11族元素あるいは13族元素に配位した錯体を用いてもよい。あるいは、上記原料液に含まれる11族元素や13族元素の原料として、セレン化銅等のI-VI族化合物や、セレン化インジウム等のIII−VI族化合物、CIGS等のI−III−VI族化合物等の金属カルコゲナイドを用いてもよい。
また、皮膜Mは、その厚み(図4のZ方向厚み)の中央よりも下部電極層2側に位置する部位を第1部位M1とし、残部を第2部位M2としたときに、第1部位M1および第2部位M2にそれぞれアルカリ金属元素を含ませておく。そして、13族元素の平均原子濃度CIIIに対するアルカリ金属元素の平均原子濃度CAの比率CA/CIIIを、第1部位M1よりも第2部位M2の方で大きくなるようにする。
このように皮膜Mの厚み方向においてアルカリ金属元素の含有量を変えることで、皮膜Mを、カルコゲン元素を含む雰囲気で450〜650℃に加熱して第1の半導体層3にする際、第1の半導体層3の厚み全体において適度にアルカリ金属元素を導入することができる。つまり、第1の半導体層3の第2の半導体層4との接合部近傍にアルカリ金属元素を良好に導入することができ、キャリアの再結合サイトとなる欠陥をアルカリ金属元素で良好に埋めることができる。また、第1の半導体層3の下部電極層2との接合部近傍にアルカリ金属元素が過度に導入されるのを低減でき、第1の半導体層3と下部電極層2との密着性を高めることができる。以上の結果、光電変換効率の高い光電変換装置11とすることができる。
第2部位M2から第1部位M1への過度のアルカリ金属元素の拡散を低減するという観点からは、第1部位M1における比率CA/CIIIを0.005〜0.05程度とするの
がよい。このように第1部位M1にもあらかじめアルカリ金属元素をある程度含ませておくことによって、第2部位M2からのアルカリ金属元素の拡散を抑制でき、過度に第1部位M1にアルカリ金属元素が導入されるのを低減できる。
がよい。このように第1部位M1にもあらかじめアルカリ金属元素をある程度含ませておくことによって、第2部位M2からのアルカリ金属元素の拡散を抑制でき、過度に第1部位M1にアルカリ金属元素が導入されるのを低減できる。
また、第2部位M2における比率CA/CIIIを、第1部位M1における比率CA/CIIIの2〜10倍とするのがよい。これによって、第1の半導体層3の厚み方向全体により適度にアルカリ金属元素を導入することができる。
なお、第1部位M1および第2部位M2中のアルカリ金属元素の平均原子濃度CAおよび13族元素の平均原子濃度CIIIは、スパッタリングで皮膜Mを深さ方向に削りながら
、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)あるいはオージェ電子分
光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いることによって測定し、この結果から第1部位M1および第2部位M2の各平均値を求めればよい。
、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)あるいはオージェ電子分
光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いることによって測定し、この結果から第1部位M1および第2部位M2の各平均値を求めればよい。
皮膜Mにアルカリ金属元素を含ませる方法としては、例えば、皮膜Mを作製するための上記原料液にアルカリ金属元素の錯体や塩を添加すればよい。そして、図4に示すように、皮膜Mを複数層の積層体(図4では第1皮膜M11、第2皮膜M12および第3皮膜M13の3層の積層体の例を示しているが2層あるいは4層以上であってもよい)で構成し、各層の作製に用いる原料溶液中のナトリウム濃度を変えればよい。
上記のようにして皮膜Mを作製した後、皮膜Mを、カルコゲン元素を含む雰囲気において450〜650℃で加熱することによって、第1の半導体層3を得ることができる。図5は第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
皮膜Mを加熱する際の雰囲気としては、カルコゲン元素がセレン蒸気、硫黄蒸気、セレン化水素あるいは硫化水素等として含まれる雰囲気である。これらのガスは非酸化性ガスと混合して用いられてもよい。非酸化性ガスとは、窒素やアルゴン等の不活性ガスまたは水素等の還元性ガスをいう。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5を順に形成する。
第2の半導体層4は、溶液成長法(CBD法ともいう)によって形成することができる。例えば、塩化インジウムとチオアセトアミドとを塩酸で酸性にした水に溶解し、これに第1の半導体層3の形成まで行なった基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上に硫化インジウムを含む第2の半導体層4を形成することができる。
上部電極層5は、例えば、AZOやBZO等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。図6は、第2の半導体層4および上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、スクライブ針を用いたメカニカルスクライビング加工によって形成することができる。図7は、第2溝部P2を形成した後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散した導電性を有するペースト(導電ペーストともいう)を、所望のパターンを描くように印刷し、これを加熱することで形成できる。図8は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度とすることができる。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビング加工によって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:皮膜
M1:第1部位
M2:第2部位
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:皮膜
M1:第1部位
M2:第2部位
Claims (3)
- 電極層上に、11族元素および13族元素を含む皮膜を形成し、該皮膜をカルコゲン元素を含む雰囲気で加熱することによってI−III−VI族化合物半導体層にする光電変換装
置の製造方法であって、
前記皮膜の厚みの中央よりも前記電極層側に位置する部位を第1部位とし、残部を第2部位としたときに、前記第1部位および前記第2部位にそれぞれアルカリ金属元素を含ませるとともに、13族元素の平均原子濃度CIIIに対するアルカリ金属元素の平均原子濃度
CAの比率CA/CIIIを前記第1部位よりも第2部位の方で大きくなるようにする光電
変換装置の製造方法。 - 前記第2部位における前記比率CA/CIIIを前記第1部位における前記比率CA/CIIIの2〜10倍とする、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記皮膜にさらにカルコゲン元素を含ませる、請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014262188A JP2016122742A (ja) | 2014-12-25 | 2014-12-25 | 光電変換装置の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014262188A JP2016122742A (ja) | 2014-12-25 | 2014-12-25 | 光電変換装置の製造方法 |
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JP2016122742A true JP2016122742A (ja) | 2016-07-07 |
Family
ID=56329216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014262188A Pending JP2016122742A (ja) | 2014-12-25 | 2014-12-25 | 光電変換装置の製造方法 |
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JP (1) | JP2016122742A (ja) |
-
2014
- 2014-12-25 JP JP2014262188A patent/JP2016122742A/ja active Pending
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