JP2013229488A - 光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光電変換装置における短絡電流密度の向上を目的とする。
【解決手段】 光電変換装置11は、第1の半導体層3と第1の半導体層3上にヘテロ接合した第2の半導体層4とを具備しており、第2の半導体層4は膜厚の厚い部位4aと薄い部位4bとが並存した凹凸構造を有している。
また、第1の半導体層3および第2の半導体層4の膜厚方向の断面において、厚い部位4aの長さおよび薄い部位4bの長さは第2の半導体層4の平均膜厚よりも大きくてもよい。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ヘテロ接合した複数の半導体層を具備する光電変換装置に関する。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、ヘテロ接合した複数の半導体層を具備するものがある(例えば特許文献1参照)。このような光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、CIGSなどの光吸収層(第1の半導体層)と、この光吸収層にヘテロ接合した、イオウを含んだ亜鉛混晶化合物やZnSe等のバッファ層(第2の半導体層)と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
特開平08−330614号公報
従来の光電変換装置では、短絡電流密度が十分に高いとは言えず、短絡電流密度を高める必要がある。そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換装置における短絡電流密度の向上を目的とする。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、第1の半導体層と該第1の半導体層上にヘテロ接合した第2の半導体層とを具備しており、該第2の半導体層は膜厚の厚い部位と薄い部位とが並存した凹凸構造を有している。
本発明の上記実施形態によれば、短絡電流密度の高い光電変換装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。 図2の光電変換装置の断面図を拡大した図である。 (a)〜(c)は光電変換装置の異なる部位における断面のSEM観察の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の断面のSEM観察結果を示す図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。また、図3は、図2のXZ断面をさらに拡大した図である。なお、図1から図12には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、第1の半導体層3、第2の半導体層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。具体例として、例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
光吸収層としての第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、例えば、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3としては特に限定されず、例えば、II−VI族化合物、I−III−VI族化合物およびI−II−IV−VI族化合物等が挙げられる。
II−VI族化合物とは、II−B族(12族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体であり、例えば、CdTe等が挙げられる。
I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(13族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物であり、カルコパイライト系を有するものが好適に用いられ得る。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga)Se(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
I−II−IV−VI族化合物とは、I−B族元素とII−B族元素とIV−B族元素(14族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物である。I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、CuZnSnS(CZTSともいう)、CuZnSn(S,Se)(CZTSSeともいう)、およびCuZnSnSe(CZTSeともいう)が挙げられる。
第1の半導体層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層3の構成元素の錯体溶液を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3にヘテロ接合された半導体層であり、第1の半導体層3に対するバッファ層として用いられる。第2の半導体層4は、第1の半導体層3とは異なる第2の導電型(ここではn型の導電型)を有していてもよい。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層3の導電型がp型である場合、第2の半導体層4の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層3の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層4の導電型がp型である態様も有り得る。
第2の半導体層4は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(InSe)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等のII−VI族化合物やIII−VI族化合物を含む化合物半導体によって構成されている。そして、電流の損失が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。
また、第2の半導体層4は、図3に示すように、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有しており、膜厚の厚い部位4aと薄い部位4bとが並存した凹凸構造を有している。
このような構成により、光電変換装置11の短絡電流密度(JSC)を向上することができる。この理由としては、厚い部位4aで第1の半導体層3と上部電極層5との間のリーク電流の発生を低減するとともに、薄い部位4bで電流値を大きくすることができ、それらの相乗効果によって光電変換効率を高く維持できるとともに短絡電流密度を高めることができるのではないかと考えられる。
第1の半導体層3および第2の半導体層4の膜厚方向の断面において、第2の半導体層4の厚い部位4aの長さL4a(第1の半導体層3の主面に平行な方向の長さ、すなわち図3におけるX軸方向の長さ)および薄い部位4bの長さL4b(第1の半導体層3の主面に平行な方向の長さ、すなわち図3におけるX軸方向の長さ)は、第2の半導体層4の平均膜厚よりも大きくなっていてもよい。
このような厚い部位4aの長さL4a、薄い部位4bの長さL4b、および第2の半導体層4の平均膜厚は、以下のようにして評価することができる。まず、光電変換装置11において偏りなく選択した任意の10箇所以上の部位において、第1の半導体層3および第2の半導体層4の膜厚方向の断面をSEMで観察する。このSEM観察における倍率は
、第2の半導体層4の厚みの違いを観察できる程度であるとともに、第2の半導体層4の長さ(X軸方向)がその厚みの10倍以上となる範囲をも観察できるように設定する。具体的な例としては、第2の半導体層4の厚みが10〜200nmであれば、30,000倍〜100,000倍の倍率にする。
上記の任意に選択した部位の各SEM画像においては、第2の半導体層4の厚み対して厚い部位4aおよび薄い部位4bの長さが長いため、図4(a)に示すような厚い部位4aのみが観察される場合もあり、図4(b)に示すような厚い部位4aの一部および薄い部位4bの一部が観察される場合もあり、図4(c)に示すような薄い部位4bのみが観察される場合もある。よって、厚い部位4aのX軸方向の長さおよび薄い部位4bのX軸方向の長さを測定することは困難であるが、各SEM画像の比較から厚い部位4aおよび薄い部位4bの存在を確認することができ、また、各SEM画像から得られる第2の半導体層4平均厚みに対して厚い部位4aのX軸方向の長さおよび薄い部位4bのX軸方向の長さが十分に長いことを確認することができる。なお、図4(a)〜(c)は光電変換装置の異なる部位における断面のSEM観察の様子を模式的に示す断面図である。また、実際のSEM観察画像を図5に示す。図5は、第1の半導体層3としてCIGSを用い、第2の半導体層4として硫化インジウムを含むものを用いたものである。図5において、第2の半導体層4は厚い部位4aの一部と薄い部位4bの一部とが観察できる(各部位の厚みを対向させた一対の矢印で示している)。
第2の半導体層4の厚さが、例えば、10〜200nmである場合、厚い部位4aの厚さは50〜200nmであり、薄い部位4bの厚さは、厚い部位4aの厚さの半分以下であり、かつ、10〜100nmである。
また、厚い部位4aのX軸方向の長さL4aおよび薄い部位4bのX軸方向の長さL4bは、第1の半導体層3の第2の半導体層4側の表面部における結晶粒子3aの平均粒径よりも大きくてもよい。このような構成により、厚い部位4aと薄い部位4bとの相乗効果がより高くなって短絡電流密度がより向上する。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた、n型の導電型を有する透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、InおよびSnO等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、スパッタ法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
第2の半導体層4および上部電極層5は、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光を透過させ易い性質(光透過性とも言う)を有する素材によって構成され得る。
これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
図6から図12は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図6から図12で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、図6で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタ法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。図7は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、第1の半導体層3を形成する。第1の半導体層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層3の構成元素の錯体溶液等を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。図8は、第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に第2の半導体層4を形成する。第2の半導体層4は、第2の半導体層4を構成する化合物の原料を含む原料溶液を、第1の半導体層3上にスプレーで吹き付けて原料を化学反応させることによって形成することができる。このとき、原料溶液中の原料の濃度、原料の種類、原料溶液を吹き付ける際の第1の半導体層3の温度、スプレーで吹き付ける際の液敵の間隔、液敵の大きさ、スプレーの走査速度等を調整することによって第2の半導体層4の厚みに違いを生じさせることができる。つまり、原料溶液の液滴が第1の半導体層3上にある程度間隔をあけて吹き付けられ、この液滴が第1の半導体層3上を濡れ広がって均一な厚みになる前に化学反応が生じることによって厚みのばらつきが維持されるような条件とすればよい。例えば、原料溶液を吹き付ける際の第1の半導体層3の温度を、原料溶液に含まれる原料の熱分解が容易に生じる温度に設定することで、第1の半導体層3上に原料溶液が被着する際に化学反応が急速に生じるようにすることができる。
具体例を以下に示す。第2の半導体層4が硫化インジウムのようなIII−VI族化合物を
含む場合、原料溶液として、塩化インジウムおよびチオアセトアミドを塩酸に溶解したものを用い、この原料溶液を、チオアセトアミドの分解が容易に生じる温度である200℃以上に設定した第1の半導体層3上にスプレーで吹き付ける。これにより、原料溶液が第1の半導体層3に被着する際に化学反応が急速に生じて、厚みばらつきを有しながら硫化インジウムが生成する。同様に、第2の半導体層4が硫化亜鉛のようなII−VI族化合物を含む場合、原料溶液として、塩化亜鉛およびチオアセトアミドをアンモニア水に溶解したものを用い、上記と同様に200℃以上に設定した第1の半導体層3上にスプレーで吹き付ける。図9は、第2の半導体層4および上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
第2の半導体層4を形成した後、第2の半導体層4の上に、上部電極層5を順に形成する。上部電極層5は、例えば、Snが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。図10は、上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
上部電極層5が形成された後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2が形成される。第2溝部P2は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたスクライビングが、ピッチがずらされながら連続して数回にわたって行われることで形成される。また、スクライブ針の先端形状が第2溝部P2の幅に近い程度にまで広げられたうえでスクライブされることによって第2溝部P2が形成されても良い。あるいは、2本または2本を超えるスクライブ針が相互に当接または近接した状態で固定され、1回から数回のスクライブが行われることによって第2溝部P2が形成されても良い。図11は、第2溝部P2が形成された後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成される。
第2溝部P2が形成された後、集電電極7および接続導体6が形成される。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉が樹脂バインダー等に分散している導電性を有するペースト(導電ペーストとも言う)が、所望のパターンを描くように印刷され、これが乾燥されて固化されることで形成される。なお、固化された状態は、導電ペーストに用いられるバインダーが熱可塑性樹脂である場合の熔融後の固化状態、およびバインダーが熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂である場合の硬化後の状態の双方を含む。図12は、集電電極7および接続導体6が形成された後の状態を示す図である。
集電電極7および接続導体6が形成された後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3が形成される。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度であることが好適である。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成されることが好適である。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11が製作されたことになる。
ここで実際に光電変換装置11の作製を行なった結果を示す。まず、第1の半導体層としてCIGSを用意し、この上に硫化インジウムを含む第2の半導体層を、従来の方法であるケミカルバスデポジション(CBD)法を用いて、均一な膜厚に形成することによっ
て比較例としての光電変換装置を作製した。この場合、光電変換効率は13%であり、短絡電流密度JSCは31.6mA・cm−2であった。一方、第1の半導体層3として同様のCIGSを用い、この上に、上述したスプレーを用いた方法によって、硫化インジウムを含むとともに厚い部位4aおよび薄い部位4bを有する第2の半導体層4を形成することによって、図5に示すような断面を有する光電変換装置11を作製した。この場合、光電変換効率は13%であり、短絡電流密度JSCは33.0mA・cm−2となり、比較例と同等の高い光電変換効率を有するとともに、比較例よりも高い短絡電流密度を有することがわかった。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
3a:結晶粒子
4:第2の半導体層
4a:厚い部位
4b:薄い部位
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置

Claims (4)

  1. 第1の半導体層と該第1の半導体層上にヘテロ接合した第2の半導体層とを具備しており、該第2の半導体層は膜厚の厚い部位と薄い部位とが並存した凹凸構造を有している光電変換装置。
  2. 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の膜厚方向の断面において、前記厚い部位の長さおよび前記薄い部位の長さは前記第2の半導体層の平均膜厚よりも大きい、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の膜厚方向の断面において、前記厚い部位の長さおよび前記薄い部位の長さは前記第1の半導体層の前記第2の半導体層側の表面部における結晶粒子の平均粒径よりも大きい、請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記第1の半導体層はI−III−VI族化合物を含み、前記第2の半導体層はII−VI族化
    合物およびIII−VI族化合物の少なくとも一方を含んでいる、請求項1乃至3のいずれか
    に記載の光電変換装置。
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