JP2015095591A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換装置における光電変換効率の向上を目的とする。【解決手段】 光電変換装置11は、下部電極層2上に、金属カルコゲナイドを含むp型の第1の半導体層3と、スズがドープされた硫化インジウムを含むn型の第2の半導体層4層とが順に積層されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、金属カルコゲナイドを含むp型の第1の半導体層に硫化インジウムを含むn型の第2の半導体層が接合された光電変換装置に関する。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、ヘテロ接合した複数の半導体層を具備するものがある(例えば特許文献1参照)。このような光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、CIGSなどの金属カルコゲナイドを含むp型の半導体層と、この光吸収層にヘテロ接合した、硫化インジウムを含むn型の半導体層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
光電変換装置には、光電変換効率の向上が常に要求される。この光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、例えば、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換装置における光電変換効率の向上を目的とする。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、下部電極層上に、金属カルコゲナイドを含むp型の第1の半導体層と、スズがドープされた硫化インジウムを含むn型の第2の半導体層層とが順に積層されている。
本発明の上記態様によれば、光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、第1の半導体層3、第2の半導体層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。具体例として、例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有する。
第1の半導体層3は、p型の導電型を有しており、光を吸収して光電変換を行なう光吸収層として機能する。第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に、例えば、1〜3μm程度の厚さで設けられている。そして、第1の半導体層3は金属カルコゲナイドを主として含んでいる。なお、金属カルコゲナイドを主として含むとは、金属カルコゲナイドを70mol%以上含んでいるものをいう。
また、金属カルコゲナイドとは、金属元素とカルコゲン元素との化合物である。また、カルコゲン元素とは16族元素(VI−B族元素ともいう)のうちの硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)をいう。金属カルコゲナイドとしては、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素との化合物であるI−III−VI族化合物、11族元素と12族元素(II−B族元素ともいう)と14族元素(IV−B族元素ともいう)と16族元素との化合物であるI−II−IV−VI族化合物等が採用され得る。
I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、
CISともいう)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄
膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
CISともいう)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄
膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、Cu2ZnSnS4(CZTSともいう)、Cu2ZnSn(S,Se)4(CZTSSeともいう)、およびCu2ZnSnSe4(CZTSeともいう)が挙げられる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3にヘテロ接合したn型の半導体層である。リーク電流が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものであってもよい。また、第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば5〜200nmに設定される。
また、第2の半導体層4は、スズがドープされた硫化インジウム(In2S3)を含んでいる。第2の半導体層4は硫化インジウムに加えて酸化インジウム(In2O3)や水酸化インジウム(In(OH)3)等を含む混晶化合物であってもよい。
このように、第2の半導体層4は、スズがドープされた硫化インジウムを含むことによって、第2の半導体層4に含まれるスズが第1の半導体層3の表面における金属元素の欠損等による欠陥を良好に埋め、光電変換によって生じたキャリアの再結合を低減することができる。その結果、光電変換装置11の光電変換効率を高めることが可能となる。
第2の半導体層4に含まれるスズの平均含有量は、インジウムの原子濃度(MIn)に対するスズの原子濃度(MSn)の比率(MSn/MIn)が0.01〜0.12程度であればよい。なお、第2の半導体層4に含まれるスズの平均含有量は、第2の半導体層4を厚み方向にエッチングしながらX線光電子分光(XPS)で測定した光電子スペクトルのピーク面積から求めることができる。
また、第2の半導体層4は、厚み方向の中央よりも第1の半導体層3側に位置する部位(以下、第1部位という)におけるスズの原子濃度が、厚み方向の中央よりも上部電極層5側に位置する部位、すなわち第1部位とは反対側の部位(以下、第2部位という)におけるスズの原子濃度よりも高くなっていてもよい。このような第2の半導体層4の厚み方向におけるスズの濃度分布の一例を図9に示す。
このような構成であれば、第1の半導体層3と第2の半導体層4との接合および第2の半導体層4と上部電極層5との接合をともに良好にすることができる。つまり、第1部位はスズ濃度が高いことよって第1の半導体層3の表面の欠陥を良好に埋めることができる。一方、第2部位はスズの濃度が低いことによってスパッタダメージ等のプロセスダメージに強い膜となるため、第2の半導体層4の上に上部電極層5を成膜する際に第1の半導体層3に欠陥が生じるのを有効に低減できる。
この場合、第2の半導体層4の第1部位におけるインジウム濃度に対するスズ濃度の平均の比率(MSn/MIn)は、第2部における平均の比率(MSn/MIn)の1.1〜5倍程度であればよい。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、例えば0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
また、上部電極層5の上に集電電極7が設けられていてもよい。集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属を含む。
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、洗浄された基板1の略全面にMo等からなる下部電極層2を成膜する。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成することができる。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。図3は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、第1の半導体層3を形成する。第1の半導体層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層3の構成元素の
錯体溶液等を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。図4は、第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
錯体溶液等を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。図4は、第1の半導体層3を形成した後の状態を示す図である。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に第2の半導体層4を形成する。第2の半導体層4は、例えば、化学溶液析出法(CBD法)で作製することができる。CBD法を用いる場合、第2の半導体層4を構成する化合物の原料を含むCBD溶液を用意する。具体的には、塩化インジウム等のインジウム化合物と、チオアセトアミドやチオ尿素等の硫黄化合物とを含む水溶液に、さらにスズを、例えば塩化物等の化合物として溶解し、塩酸等でpHを2.15〜2.5に調製することによってCBD溶液とすることができる。この時、スズを4価のスズ化合物(例えば、SnCl4)として用いることが好ましい。このように4価のスズ化合物を用いると、第1の半導体層3の表面をn型化しやすくなり、pn接合がより良好となる。
CBD溶液におけるインジウムと硫黄との比率は、インジウムのモル濃度に対して硫黄のモル濃度が1〜10倍程度であればよい。また、CBD溶液におけるインジウムとスズとの比率は、インジウムのモル濃度に対してスズのモル濃度が0.001〜0.03倍(0.1%〜3%)程度であればよい。このようなCBD溶液に第1の半導体層3が形成された基板1を浸漬し、30〜90℃で成膜を行なうことによって、スズがドープされた硫化インジウムを含む第2の半導体層4を形成することができる。図5は、第2の半導体層4を形成した後の状態を示す図である。
また、上記のCBD溶液を用いて第2の半導体層4の成膜を行なう際、CBD溶液のpHを徐々に下げていきながら(成膜開始時:2.35〜2.5、成膜終了時:2.15〜2.35)成膜を行なうことによって、第2の半導体層中のスズ濃度を、第2部位よりも第1部位の方で高くなるようにすることができる。
また、光電変換装置11の光電変換効率をさらに高めるため、第2の半導体層4にさらにアルカリ金属元素を含有させてもよい。第2の半導体層4にアルカリ金属元素を含有させる方法としては、例えば、上記のように第2の半導体層4を形成した後、この第2の半導体層4を硫化ナトリウムや硫化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩の溶液に浸漬させる方法がある。
第2の半導体層4を形成した後、第2の半導体層4の上に、上部電極層5を形成する。上部電極層5は、例えば、Alが含まれた酸化亜鉛(AZO)やSnが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等で形成することができる。図6は、上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたメカニカルスクライビングによって形成できる。図7は、第2溝部P2を形成した後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉が樹脂バインダー等に分散している導電性を有するペースト(導電ペーストとも言う)を、所望のパターンを描くように印刷し、これを固化されることで形成できる。図8は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
Claims (3)
- 下部電極層上に、金属カルコゲナイドを含むp型の第1の半導体層と、スズがドープされた硫化インジウムを含むn型の第2の半導体層層とが順に積層されている光電変換装置。
- 前記第2の半導体層は、厚み方向の中央よりも前記第1の半導体層側の第1部位におけるスズの原子濃度が、前記第1部位とは反対側の第2部位におけるスズの原子濃度よりも高い、請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記第1の半導体層はI−III−VI族化合物およびI−II−IV−VI族化合物の少なくと
も一方を含んでいる、請求項1または2に記載の光電変換装置。
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