JP2015126005A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換装置における光電変換効率の向上を目的とする。【解決手段】 光電変換装置11は、金属カルコゲナイドを含む光吸収層3と、光吸収層3上に接合された、硫化インジウムを含むバッファ層4とを具備しており、バッファ層4はさらにカルシウム元素、ストロンチウム元素およびバリウム元素の少なくとも1種を含んでいる。【選択図】 図4
Description
本発明は、金属カルコゲナイドを含む光吸収層に金属硫化物を含むバッファ層が接合された光電変換層を具備する光電変換装置に関する。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、ヘテロ接合した複数の半導体層を具備するものがある(例えば特許文献1参照)。このような光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、CIGSなどの金属カルコゲナイドを含む光吸収層と、この光吸収層にヘテロ接合した、硫化インジウムなどの金属硫化物を含むバッファ層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
光電変換装置には、光電変換効率の向上が常に要求される。この光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、例えば、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換装置における光電変換効率の向上を目的とする。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、金属カルコゲナイドを含む光吸収層上に金属硫化物を含むバッファ層が接合された光電変換層を具備しており、該光電変換層は、前記光吸収層における前記バッファ層の近傍部から、前記バッファ層における厚みの中央よりも前記光吸収層側に位置する第1部位を経て、前記バッファ層における前記第1部位とは反対側の第2部位にかけてカルシウム元素、ストロンチウム元素およびバリウム元素の少なくとも1種から成る不純物元素を含んでいるとともに、該不純物元素の平均濃度が前記近傍部および前記第2部位よりも前記第1部位の方で高くなっている。
本発明の上記実施形態によれば、光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。図3は、図2の光電変換装置のXZ断面をさらに拡大した部分拡大断面図である。なお、図1〜図3には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。図3は、図2の光電変換装置のXZ断面をさらに拡大した部分拡大断面図である。なお、図1〜図3には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、光吸収層3、バッファ層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。ここでは光吸収層3とバッファ層4が接合したものを光電変換層20としている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。具体例として、例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有する。
光吸収層3は、光を吸収して光電変換を行なう半導体層である。光吸収層3は、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有しており、下部電極層2の+Z側の主面の上に、例えば、1〜3μm程度の厚さで設けられている。光吸収層3は金属カルコゲナイドを主として含んでいる。なお、金属カルコゲナイドを主として含むとは、金属カルコゲナイドを70mol%以上含んでいるものをいう。
金属カルコゲナイドとは、金属元素とカルコゲン元素との化合物である。また、カルコゲン元素とは16族元素(VI−B族元素ともいう)のうちの硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)をいう。金属カルコゲナイドとしては、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素との化合物であるI−III−VI族化合物、11族元素と12族元素(II−B族元素ともいう)と14族元素(IV−B族元素ともいう)と16族元素との化合物であるI−II−IV−VI族化合物および12族元素と16族元素との化合物であるII−VI族化合物等が採用され得る。
I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、
CISともいう)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、光吸収層3は、薄膜の二
セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
CISともいう)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、光吸収層3は、薄膜の二
セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、Cu2ZnSnS4(CZTSともいう)、Cu2ZnSn(S,Se)4(CZTSSeともいう)、およびCu2ZnSnSe4(CZTSeともいう)が挙げられる。また、II−VI族化合物としては、例えば、CdTe等が挙げられる。
バッファ層4は、光吸収層3にヘテロ接合した半導体層であり、金属硫化物を含んでいる。バッファ層4は金属硫化物に加えて金属酸化物や金属水酸化物等を含む混晶化合物であってもよい。バッファ層4に含まれる金属元素と硫黄元素との比率は、単位体積あたりの金属元素のモル数に対する硫黄元素のモル数が5〜20倍程度であればよい。
このような金属硫化物としては、例えば、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)または硫化カドミウム(CdS)等が挙げられる。
また、バッファ層4は、光吸収層3の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有していてもよい。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。上記のように光吸収層3の導電型がp型である場合、バッファ層4の導電型は、n型またはi型であってもよい。また、光吸収層3の導電型がn型またはi型であり、バッファ層4の導電型がp型である態様も有り得る。
リーク電流が低減される観点から言えば、バッファ層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものであってもよい。また、バッファ層4は、光吸収層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば5〜200nmに設定される。
上記光吸収層3に上記バッファ層4が接合されて光電変換層20となる。この光電変換層20は、光吸収層3におけるバッファ層4の近傍部3aから、バッファ層4における厚みの中央よりも光吸収層3側に位置する第1部位4aを経て、バッファ層4における第1部位4aとは反対側の第2部位4bにかけて、カルシウム元素(Ca)、ストロンチウム元素(Sr)およびバリウム元素(Ba)の少なくとも1種から成る不純物元素を含んでいる。そして、この第1部位4aにおける不純物元素の平均濃度は、近傍部3aにおける不純物元素の平均濃度よりも高く、かつ、第2部位4bにおける不純物元素の平均濃度よりも高くなっている。
このような構成によって光電変換装置11の光電変換効率を高めることができる。これは以下の理由による。つまり、バッファ層4の第1領域4aで不純物元素の濃度を高くするとともに光吸収層3の表面まで不純物元素が浸入した状態にすることで、光吸収層3とバッファ層4との界面付近における欠陥を不純物元素によって良好に埋めることができ、欠陥によるキャリアの再結合を有効に低減できる。また、バッファ層4の第2領域4bにおいては第1領域4aよりも不純物元素の濃度を低くすることによって、第2領域4bの結晶性を高め、光吸収層3とバッファ層4とによるpn接合を良好にすることができる。
なお、不純物元素の平均濃度は、対象部位においてCa、SrおよびBaのうちの2種以上の元素が含まれている場合には、それらの元素の合計の平均濃度である。また、近傍部3aは、光吸収層3におけるバッファ層4との界面から100nmの領域をいう。
第1領域4aに含まれる不純物元素の平均濃度は、1cm3あたりの原子数が1017〜1019程度であればよい。また、第2領域4bに含まれる不純物元素の平均濃度は第1領域4aに含まれる不純物元素の平均含有率の1.5〜10倍程度であればよい。また
、近傍部3aに含まれる不純物元素の平均濃度は第1領域4aに含まれる不純物元素の平均濃度の1.5〜10倍程度であればよい。
、近傍部3aに含まれる不純物元素の平均濃度は第1領域4aに含まれる不純物元素の平均濃度の1.5〜10倍程度であればよい。
なお、不純物元素の平均濃度含有率の測定方法としては、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)を用いた方法が挙げられる。光電変換層20を厚み方向にエッチングしながら各元素の濃度分布を測定し、各領域において平均値をとればよい。
図4に光電変換層20における各元素の濃度分布のSIMS測定の結果の一例を示している。図4で用いた光電変換層20は、CIGSを含む光吸収層3と、硫化インジウムを含むバッファ層4とを接合しており、不純物元素としてCaを含んでいるものである。図4のグラフにおいて、SおよびGaは左軸のイオンカウントで表わされており、バッファ層4および光吸収層3の位置を特定するためのものである(つまり、左軸はSおよびGaの濃度を示すものではない)。また、Caは右軸の濃度(1cm3当たりの原子数)で表わされている。このグラフより、Caは近傍部3aから第1領域4aを経て第2領域4bに至る濃度分布を有しており、第1領域4aで極大値を示していることがわかる。
また、バッファ層4において、硫黄の濃度および不純物元素の濃度(複数の不純物元素がある場合はこれらの合計濃度)は、第1部位4aにそれぞれ極大値を有しており、不純物元素の濃度の極大値は、硫黄元素の濃度の極大値と同じ位置にあるか、あるいは硫黄元素の濃度の極大値よりも光吸収層3側に位置していてもよい。このような構成であれば、バッファ層の結晶性をさらに良好にするとともに、光吸収層3とバッファ層4との界面の欠陥による再結合をさらに低減する効果がみられ、より光電変換効率が向上する。
また、近傍部3aにおける不純物元素の平均濃度は第2部位4bにおける不純物元素の平均濃度よりも高くなっていてもよい。この場合、バッファ層4と光吸収層3との接合部近傍においてキャリアの再結合を低減しつつ、バッファ層4の第2部位4bでの結晶性をより高めることができ、バッファ層4と光吸収層3とのバンド整合がより良好となる。
上部電極層5は、バッファ層4の上に設けられた透明導電膜であり、光吸収層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、バッファ層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このようなb材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、
GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、例えば0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、光電変換層20から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
また、上部電極層5の上に集電電極7が設けられていてもよい。集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属を含む。
集電電極7は、光電変換層20において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10のうち一方の光電変換セル10の下部電極層2と、他方の光電変換セル10の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、光吸収層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
上記の光電変換装置11の製造方法の一例を以下に示す。まず、洗浄された基板1の略全面にMo等からなる下部電極層2を成膜する。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成することができる。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。
上記の光電変換装置11の製造方法の一例を以下に示す。まず、洗浄された基板1の略全面にMo等からなる下部電極層2を成膜する。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成することができる。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、光吸収層3を形成する。光吸収層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、光吸収層3の構成元素の錯体溶液等を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
光吸収層3を形成した後、光吸収層3の上にバッファ層4を形成する。バッファ層4は、例えば、化学溶液析出法(CBD法)で作製することができる。CBD法を用いる場合、バッファ層4を構成する化合物の原料を含むCBD溶液を用意する。具体的には、バッファ層4が硫化インジウムを含む場合、塩化インジウム等のインジウム化合物と、チオアセトアミドやチオ尿素等の硫黄化合物とを含む水溶液に、さらに不純物元素としてカルシウム元素、ストロンチウム元素およびバリウム元素の少なくとも1種を、例えば水酸化物等の化合物として溶解させることによってCBD溶液とすることができる。CBD溶液におけるインジウム元素と硫黄元素との比率は、単位体積あたりに含まれるインジウム元素のモル数に対して硫黄元素のモル数が0.5〜5倍程度であればよい。また、CBD溶液におけるインジウム元素と不純物元素との比率は、単位体積あたりに含まれるインジウム元素のモル数に対して不純物元素の合計モル数が0.0001〜1倍程度であればよい。
このようなCBD溶液に光吸収層3が形成された基板1を浸漬して30〜90℃で成膜を行なう。そして、成膜の途中で、不純物元素を含まないかあるいは不純物元素の濃度を低くしたCBD溶液を追加して不純物元素の濃度を薄めた状態にしながら成膜を続ける。このようにして光吸収層3上にバッファ層4を形成することによって、近傍部3aから第1部位4aを経て第2部位4bにかけて不純物元素を含んでいるとともに、この不純物元素の平均濃度が近傍部4aおよび第2部位4bよりも第1部位4aの方で高くなっている
光電変換層20を作製することができる。
光電変換層20を作製することができる。
また、金属硫化物の濃度もバッファ層4の厚み方向で変化させる場合は、上記と同様に、バッファ層4の成膜の途中において、硫黄元素の濃度またはインジウム元素の濃度を変えたCBD溶液を追加することによって、硫黄元素濃度またはインジウム元素濃度を変化させた状態で成膜を続ければよい。以上のようにバッファ層4の成膜途中でCBD溶液中の各元素の濃度を変えることによって、硫黄濃度分布や不純物濃度分布を変化させることができる。例えば、硫黄の濃度および不純物元素の濃度が第1部位4aにそれぞれ極大値を有し、かつ、不純物元素の濃度の極大値が、硫黄元素の濃度の極大値と同じ位置にあるか、あるいは硫黄元素の濃度の極大値よりも光吸収層3側に位置するようにすることもできる。また、近傍部3aにおける不純物元素の平均濃度が第2部位4bにおける不純物元素の平均濃度よりも高くなるようにすることもできる。
バッファ層4を形成した後、バッファ層4の上に、上部電極層5を形成する。上部電極層5は、例えば、Alが含まれた酸化亜鉛(AZO)やSnが含まれた酸化インジウム(ITO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等で形成することができる。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたメカニカルスクライビングによって形成できる。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉が樹脂バインダー等に分散している導電性を有するペースト(導電ペーストとも言う)を、所望のパターンを描くように印刷し、これを固化されることで形成できる。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
20:光電変換層
3:光吸収層
3a:近傍部
4:バッファ層
4a:第1部位
4b:第2部位
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
2:下部電極層
20:光電変換層
3:光吸収層
3a:近傍部
4:バッファ層
4a:第1部位
4b:第2部位
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
Claims (5)
- 金属カルコゲナイドを含む光吸収層上に金属硫化物を含むバッファ層が接合された光電変換層を具備しており、
該光電変換層は、前記光吸収層における前記バッファ層の近傍部から、前記バッファ層における厚みの中央よりも前記光吸収層側に位置する第1部位を経て、前記バッファ層における前記第1部位とは反対側の第2部位にかけてカルシウム元素、ストロンチウム元素およびバリウム元素の少なくとも1種から成る不純物元素を含んでいるとともに、該不純物元素の平均濃度が前記近傍部および前記第2部位よりも前記第1部位の方で高くなっている光電変換装置。 - 前記バッファ層において、硫黄の濃度および前記不純物元素の濃度は前記第1部位にそれぞれ極大値を有しており、前記不純物元素の濃度の極大値は、前記硫黄元素の濃度の極大値と同じ位置にあるか、あるいは前記硫黄元素の濃度の極大値よりも前記光吸収層側に位置している、請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記近傍部における前記不純物元素の平均濃度は前記第2部位における前記不純物元素の平均濃度よりも高い、請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 前記金属硫化物は硫化インジウムを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記金属カルコゲナイドはI−III−VI族化合物を含んでいる、請求項1乃至4のいず
れかに記載の光電変換装置。
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