JP2016157806A - 光電変換装置 - Google Patents

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Akio Yamamoto
晃生 山本
笹森 理一
Riichi Sasamori
理一 笹森
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Abstract

【課題】 光電変換装置の光電変換効率を高める。
【解決手段】 光電変換装置11は、モリブデンを主として含む電極層2と、電極層2上のセレン化モリブデンを主として含む中間層3と、中間層3上のセレンを含む第1の半導体層4と、第1の半導体層4上の第2の半導体層5とを具備する光電変換装置11であって、中間層3は、X線回折法で測定したときのセレン化モリブデンの(110)面のピーク強度I(110)に対するセレン化モリブデンの(003)面のピーク強度I(003)の比I(003)/I(110)が0.22以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モリブデンを含む電極層上にセレンを含む半導体層が積層された光電変換装置に関するものである。
太陽電池等の光電変換装置として、CIGS等のI−III−VI族化合物を光吸収層とし
て用いたものがある。この光電変換装置は、例えば、ソーダライムガラスからなる基板上にモリブデンからなる電極層が形成され、この電極層上に光吸収層が形成されている。さらに、その光吸収層上には、ZnS、CdS、Inなどを含むバッファ層を介して、ZnO、ITOなどからなる透明の透明導電膜が形成されている。
特開平08−330614号公報
光電変換装置は光電変換効率のさらなる向上が望まれている。よって、本発明の目的は、光電変換装置の光電変換効率を高めることである。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、モリブデンを主として含む電極層と、該電極層上のセレン化モリブデンを主として含む中間層と、該中間層上のセレンを含む第1の半導体層と、該第1の半導体層上の該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層とを具備する光電変換装置であって、前記中間層は、X線回折法で測定したときのセレン化モリブデンの(110)面のピーク強度I(110)に対するセレン化モリブデンの(003)面のピーク強度I(003)の比I(003)/I(110)が0.22以下である。
本発明によれば、光電変換装置の光電変換効率を高めることができる。
光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。 中間層の配向性と直列抵抗Rsとの関係を示すグラフである。 下部電極層の配向性と中間層の配向性との関係を示すグラフである。 下部電極層の結晶子径と中間層の配向性との関係を示すグラフである。
<光電変換装置の構成>
図1は、光電変換装置の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。なお、図1〜図2には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系を付している。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の
光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、中間層3、第1の半導体層4、第2の半導体層5、上部電極層6、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層6および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。具体例として、例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、モリブデン(Mo)を主として含んでいる。Moを主として含むというのは、下部電極層2におけるMoの濃度が70〜100mol%であることをいう。また、下部電極層2は、0.1〜1μm程度の厚さを有する。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成することができる。
第1の半導体層4は、光を吸収して光電変換を行なう半導体層であり、光吸収層として機能する。第1の半導体層4は、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有しており、下部電極層2の+Z側の主面の上に、例えば、1〜3μm程度の厚さで設けられている。第1の半導体層4はセレン(Se)を含む化合物半導体が採用され得る。
Seを含む半導体としては、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III
−B族元素ともいう)とSeとの化合物であるI−III−VI族化合物、11族元素と12
族元素(II−B族元素ともいう)と14族元素(IV−B族元素ともいう)とSeとの化合物であるI−II−IV−VI族化合物および12族元素とSeとの化合物であるII−VI族化合物等が採用され得る。
I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe(二セレン化銅インジウム、
CISともいう)、Cu(In,Ga)Se(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。
I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、CuZnSn(S,Se)(CZTSSeともいう)、CuZnSnSe(CZTSeともいう)等が挙げられる。また、II−VI族化合物としては、例えば、CdTe等が挙げられる。
第1の半導体層4は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層4の構成元素の錯体溶液等を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
中間層3は、セレン化モリブデン(MoSe:xは1.3以上2.2以下)を主として含んだ層であり、下部電極層2および第1の半導体層4の界面に位置している。そして、中間層3は、X線回折法で測定したときのMoSeの結晶系が菱面体系で示される(110)面のピーク強度I(110)に対するMoSeの(003)面のピーク強度I(003)の比I(003)/I(110)が0.22以下である。このような構成によって、下部電極層2と第1の半導体層4との界面での電気抵抗を低くすることができると
ともに下部電極層2と第1の半導体層4とを良好に接合させることができる。その結果、光電変換装置11の光電変換効率を高めることができる。なお、中間層3がMoSeを主として含むとは、中間層3中にMoSeを70mol%以上含むことをいう。
中間層3の配向性と直列抵抗Rsとの関係を示すグラフを図3に示す。これより、MoSeの(110)面のピーク強度I(110)に対する(003)面のピーク強度I(003)の比I(003)/I(110)が0.22以下であれば、直列抵抗Rsを低くすることができることがわかる。なお、図3は、第1の半導体層4としてCIGSを用い、第2の半導体層5としてInを用い、上部電極層6としてAZOを用いた光電変換装置11で測定した結果である。
下部電極層としてMoを用い、第1の半導体層としてCIGS等を用いた従来の光電変換装置においても、下部電極層と第1の半導体層との界面にMoSeを含む中間層が形成されていることは知られているが、このような従来の光電変換装置の中間層は、I(003)/I(110)が0.22を超えるものである。このような従来の光電変換装置の中間層では、第1の半導体層と下部電極層との接合性を高めるために中間層の厚みを厚くすると、直列抵抗Rsが高くなる傾向がある。また、逆に、直列抵抗Rsを低くするために中間層の厚みを薄くすると、第1の半導体層と下部電極層との接合性が低下して第1の半導体層の剥離が生じやすくなる。それに対し、I(003)/I(110)が0.22以下である上記中間層3とすることで、中間層3の厚みをある程度高くしても直列抵抗Rsの上昇が比較的小さいため、第1の半導体層4の剥離の低減と直列抵抗Rsの低減を両立することができる。
中間層3は、第1の半導体層4と下部電極層2との接合性をより良好にするという観点からは、150〜1000nmの厚みとしてもよい。
第2の半導体層5は、第1の導電型の第1の半導体層4とは異なる第2の導電型(ここではn型の導電型)を有する半導体層であり、第1の半導体層4と電気的に接合している。なお、第1の導電型および第2の導電型とは、p型およびn型の一方および他方をいう。第1の導電型がp型であれば第2の導電型はn型であり、第1の導電型がn型であれば第2の導電型はp型である。第1の半導体層4と第2の半導体層5とで光照射により生じた正負のキャリアの電荷分離を良好に行うことができる。
リーク電流を低減するという観点から言えば、第2の半導体層5は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものであってもよい。また、第2の半導体層5は、第1の半導体層4の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば5〜200nmに設定される。また、第2の半導体層5は複数層であってもよい。
第2の半導体層5としては、CdS、ZnS、ZnO、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。第2の半導体層5は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとを主成分として含む化合物をいう。第2の半導体層5は、第1の半導体層4の吸収効率を高めるため、第1の半導体層4が吸収する光の波長領域に対して高い光透過性を有するものであってもよい。第2の半導体層5の厚みは、例えば5〜200nmである。
上部電極層6は、第2の半導体層5の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層4において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層6は、第2の半導体層5より
も低い電気抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層6には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層6とみなされても良い。
上部電極層6は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、InおよびSnO等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、G
ZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層6は、例えば0.05〜3μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層4から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層6は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
上部電極層6は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等で形成することができる。
また、上部電極層6の上に集電電極7が設けられていてもよい。集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属を含む。
集電電極7は、第1の半導体層4において発生して上部電極層6において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層6の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層6によって集電された電荷は、第1の半導体層4、第2の半導体層5および上部電極層6を分断する溝部P2に設けられた接続導体8を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体8は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、溝部P2に設けられた接続導体8を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体8は、これに限定されず、上部電極層6の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極8は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層4への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<中間層の製造方法>
(003)/I(110)が0.22以下である上記中間層3は、例えば以下のような方法を用いることによって作製することができる。
第1の方法としては、まず、下部電極層2として、X線回折法で測定したときのMoの(211)面のピーク強度I(211)に対するMoの(110)面のピーク強度I(110)の比I(110)/I(211)が123以下のものを用意する。このような下部電極層は、スパッタリング等で成膜する際の成膜条件を調整することによって作製できる(例えば、成膜圧力を低くするほどI(110)/I(211)が低くなる傾向がある)。
次に、この下部電極層2の上に、第1の半導体層4に含まれる金属元素の原料を含む原料液を塗布して皮膜を形成する。上記原料としては、金属元素にセレノール系化合物が配位した錯体等を用いることができる(例えば、米国特許第6992202号明細書に開示された、11族元素と13族元素とSeとが1つの錯体分子中に存在する単一源前駆体等が挙げられる)。
そして、この皮膜をSe蒸気やセレン化水素(HSe)等のSeを含む雰囲気中で450〜600℃に加熱することによって、第1の半導体層4の生成とともに、I(003)/I(110)が0.22以下の中間層3を形成できる。
図4は、下部電極層2の配向性(I(110)/I(211))と、生成する中間層3の配向性(I(003)/I(110))との関係を示している。このグラフより、下部電極層2の配向性(I(110)/I(211))が123以下であれば、中間層3の配向性(I(003)/I(110))を0.22以下にすることができることがわかる。なお、図4は、下部電極層2上に、上記の原料液を用いて第1の半導体層3としてCIGSを作製したときの結果を示す。
また、中間層3の作製の第2の方法としては、下部電極層2として、平均の結晶子径が68nm以上であるものを用意する。下部電極層2の結晶子径は、X線回折を用いることによって測定して得たセレン化モリブデン(MoSe)のピークの半値幅を、例えばWPPD:Pawley法が入っている解析ソフト(例えば、EVAやTOPAS)などを用いて算出することができる。このような下部電極層は、スパッタリング等で成膜する際の成膜条件を調整することによって作製できる(例えば、成膜温度を120℃以上に高くす
るほど平均の結晶子径が大きくなる傾向がある)。
次に、この下部電極層2の上に、第1の半導体層4に含まれる金属元素の原料を含む原料液を塗布して皮膜を形成する。上記原料としては、金属元素にセレノール系化合物が配位した錯体等を用いることができる(例えば、米国特許第6992202号明細書に開示された、11族元素と13族元素とSeとが1つの錯体分子中に存在する単一源前駆体等が挙げられる)。
そして、この皮膜をSe蒸気やセレン化水素(HSe)等のSeを含む雰囲気中で450〜600℃に加熱することによって、第1の半導体層4の生成とともに、I(003)/I(110)が0.22以下の中間層3を形成できる。
図5は、下部電極層2の平均結晶子径と、生成する中間層3の配向性(I(003)/I(110))との関係を示している。このグラフより、下部電極層2の平均結晶子径68nm以上であれば、中間層3の配向性(I(003)/I(110))を0.22以下にすることができることがわかる。なお、図5は、下部電極層2上に、上記の原料液を用いて第1の半導体層3としてCIGSを作製したときの結果を示す。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
3:中間層
4:第1の半導体層
5:第2の半導体層
6:上部電極層
7:集電電極
8:接続導体
10:光電変換セル
11:光電変換装置

Claims (4)

  1. モリブデンを主として含む電極層と、
    該電極層上のセレン化モリブデンを主として含む中間層と、
    該中間層上のセレンを含む第1の半導体層と、
    該第1の半導体層上の該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層とを具備する光電変換装置であって、
    前記中間層は、X線回折法で測定したときのセレン化モリブデンの(110)面のピーク強度I(110)に対するセレン化モリブデンの(003)面のピーク強度I(003)の比I(003)/I(110)が0.22以下である、光電変換装置。
  2. 前記電極層は、X線回折法で測定したときのMoの(211)面のピーク強度I(211)に対するモリブデンの(110)面のピーク強度I(110)の比I(110)/I(211)が123以下である、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記電極層は、平均の結晶子径が68nm以上である、請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記第1の半導体層はI−III−VI族化合物を主として含む、請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の光電変換装置。
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