JP2015211107A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 I−III−VI族化合物を用いた光電変換装置の光電変換効率を高める。
【解決手段】 光電変換装置11の製造方法は、電極層2を用意する工程と、電極層2上に層状に設けられた、銅元素よりも13族元素を多く含む第1領域M1と、第1領域M1の電極層2とは反対側の主面上に点在するように設けられた、13族元素よりも銅族元素を多く含む第2領域M2とを有する前駆体層Mを形成する工程と、前駆体層Mをセレン元素を含む雰囲気中で加熱して前駆体層MをI−III−VI族化合物を主として含む半導体層
3にする工程とを具備する。
【選択図】 図4
【解決手段】 光電変換装置11の製造方法は、電極層2を用意する工程と、電極層2上に層状に設けられた、銅元素よりも13族元素を多く含む第1領域M1と、第1領域M1の電極層2とは反対側の主面上に点在するように設けられた、13族元素よりも銅族元素を多く含む第2領域M2とを有する前駆体層Mを形成する工程と、前駆体層Mをセレン元素を含む雰囲気中で加熱して前駆体層MをI−III−VI族化合物を主として含む半導体層
3にする工程とを具備する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、I−III−VI族化合物を用いた光電変換装置の製造方法に関するものである
。
。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CISやCIGS等といったカルコパイライト構造のI−III−VI族化合物を主として含む半導体層を、光電変換機能を有する
光吸収層として用いたものがある。カルコパイライト構造のI−III−VI族化合物は、光
吸収係数が高く、光電変換装置の薄型化と大面積化と製造コストの抑制とに適しており、カルコパイライト構造のI−III−VI族化合物を用いた次世代太陽電池の研究開発が進め
られている。
光吸収層として用いたものがある。カルコパイライト構造のI−III−VI族化合物は、光
吸収係数が高く、光電変換装置の薄型化と大面積化と製造コストの抑制とに適しており、カルコパイライト構造のI−III−VI族化合物を用いた次世代太陽電池の研究開発が進め
られている。
このようなI−III−VI族化合物を主として含む半導体層の作製方法としては、特許文
献1や特許文献2のような方法が提案されている。特許文献1では、Mo等の下部電極層上に、CuおよびGaを含む前駆体層と、Inを含む前駆体層とを積層し、この前駆体層の積層体を、Seを含む雰囲気中で加熱してセレン化することで、I−III−VI族化合物
としてのCIGSを含む半導体層を形成している。
献1や特許文献2のような方法が提案されている。特許文献1では、Mo等の下部電極層上に、CuおよびGaを含む前駆体層と、Inを含む前駆体層とを積層し、この前駆体層の積層体を、Seを含む雰囲気中で加熱してセレン化することで、I−III−VI族化合物
としてのCIGSを含む半導体層を形成している。
また、特許文献2では、11族元素の有機金属塩と13族元素の有機金属塩とを有機溶媒に溶解した溶液を塗布して皮膜を形成し、この皮膜を16族元素が存在する非酸化性雰囲気で加熱することによってI−III−VI族化合物を含む半導体層を形成している。
光電変換装置には、光電変換効率の向上が常に要求される。特許文献1や特許文献2の方法では、光電変換効率のさらなる向上には限界がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、I−III−VI族化合物を用いた光電
変換装置の光電変換効率を高めることを目的とする。
変換装置の光電変換効率を高めることを目的とする。
本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法は、電極層を用意する工程と、該電極層上に層状に設けられた、銅元素よりも13族元素を多く含む第1領域と、該第1領域の前記電極層とは反対側の主面上に点在するように設けられた、13族元素よりも銅族元素を多く含む第2領域とを有する前駆体層を形成する工程と、該前駆体層をセレン元素を含む雰囲気中で加熱して前記前駆体層をI−III−VI族化合物を主として含む半導体層にする
工程とを具備する。
工程とを具備する。
本発明によれば、I−III−VI族化合物を用いた光電変換装置の光電変換効率を高める
ことができる。
ことができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は光電変換装置11の一例を示す斜視図である。図2は、図1の光電変換装置11のXZ断面図である。なお、図1から図8には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、第1の半導体層3、第2の半導体層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっている。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられてもよい。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有し、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。
第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面の上に設けられた、第1の導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体層であり、1〜3μm程度の厚さを有している。第1の半導体層3はカルコパイライト構造を有するI−III−VI族化合物を主として含んでいる。なお、第1の半導体層3がI−III−VI族化合物を主として含むというのは、第1の半導体層3中にI−III−VI族化合物が70mol%以上含まれることをいう。
I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と、13族元素(III−B族元素ともいう)と、16族元素(VI−B族元素ともいう)とを含んだ化合物であるが、本実施形態では、11族元素として銅(Cu)元素を含み、16族元素としてセレン
(Se)元素を含むものをいう。第1の半導体層3がp型の導電型を有する半導体層である場合、第1の半導体層3に主として含まれるI−III−VI族化合物は、13族元素をMIIIとしたときにCuMIII XSeY(Xは0.9〜1.8、Yは1.7〜3.3)と表わ
すことができる。なお、MIIIは複数種の13族元素が含まれていてもよい。
(Se)元素を含むものをいう。第1の半導体層3がp型の導電型を有する半導体層である場合、第1の半導体層3に主として含まれるI−III−VI族化合物は、13族元素をMIIIとしたときにCuMIII XSeY(Xは0.9〜1.8、Yは1.7〜3.3)と表わ
すことができる。なお、MIIIは複数種の13族元素が含まれていてもよい。
このようなI−III−VI族化合物の具体例としては、Cu(In,Ga)Se2(CI
GSともいう)、CuInSe2(CISともいう)、CuGaSe2(CGSともいう)等が挙げられる。
GSともいう)、CuInSe2(CISともいう)、CuGaSe2(CGSともいう)等が挙げられる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の上に設けられた半導体層である。この第2の半導体層4は、第1の半導体層3の導電型とは異なる導電型(ここではn型の導電型)を有している。第1の半導体層3と第2の半導体層4との接合によって、第1の半導体層3で光電変換されて生じた正負キャリアが良好に電荷分離される。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。また、上記のように第1の半導体層3の導電型がp型である場合、第2の半導体層4の導電型は、n型でなく、i型であっても良い。更に、第1の半導体層3の導電型がn型またはi型であり、第2の半導体層4の導電型がp型である態様も有り得る。
第2の半導体層4は、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In2S3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等の化合物半導体によって構成されている。そして、電流の損失が低減される観点から言えば、第2の半導体層4は、1Ω・cm以上の抵抗率を有するものとすることができる。なお、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。
また、第2の半導体層4は、第1の半導体層3の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば10〜200nmに設定される。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3において生じた電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い抵抗率を有する物質によって構成されている。上部電極層5には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、この窓層に加えて更に透明導電膜が設けられる場合には、これらが一体の上部電極層5とみなされても良い。
上部電極層5は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が採用され得る。これらの金属酸化物半導体には、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびフッ素(F)等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって、0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここで、第1の半導体層3から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
第2の半導体層4および上部電極層5は、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して光を透過させ易い性質(光透過性ともいう)を有する素材によって構成され得る。
これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
これにより、第2の半導体層4と上部電極層5とが設けられることで生じる、第1の半導体層3における光の吸収効率の低下が低減される。
また、光透過性が高められると同時に、光反射のロスが防止される効果と光散乱効果とが高められ、更に光電変換によって生じた電流が良好に伝送される観点から言えば、上部電極層5は、0.05〜0.5μmの厚さとなるようにすることができる。更に、上部電極層5と第2の半導体層4との界面で光反射のロスが低減される観点から言えば、上部電極層5と第2の半導体層4との間で絶対屈折率が略同一となるようにすることができる。
集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属からなる。
集電電極7は、第1の半導体層3において発生して上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。これにより、光電変換装置11においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の集電電極7とが、第2溝部P2に設けられた接続導体6を介して電気的に直列に接続されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、第1の半導体層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)光電変換装置の製造方法>
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
図3から図8は、光電変換装置11の製造途中の様子をそれぞれ模式的に示す断面図である。なお、図3から図8で示される各断面図は、図2で示された断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、レーザースクライブ加工によって形成することができる。図3は、第1溝部P1を形成した後の状態を示す図である。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に、第1の半導体層3となる前駆体層Mを形成する。前駆体層Mは、Cu元素よりも13族元素を多く含む第1領域M1と、この第1領域M1の下部電極層2とは反対側の主面(+Z側主面)上に点在するように設けられた、13族元素よりもCu元素を多く含む第2領域M2とを有している。図4は、前駆体層Mを形成した後の状態を示す図である。
ここで、第1領域M1は、少なくとも13族元素を含んでいればよく、Cu元素は含まれていなくてもよい。また、第2領域M2は、少なくともCu元素を含んでいればよく、13族元素は含まれていなくてもよい。後述するように、第1の半導体層3の光電変換効率を高めるという観点からは、第1領域M1におけるCu元素および13族元素(複数種
の13族元素が含まれている場合は、すべての13族元素)の合計の平均モル濃度に対するCu元素の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下であればよい。また、第2領域M2におけるCu元素および13族元素の合計の平均モル濃度に対する13族元素(複数種の13族元素が含まれている場合は、すべての13族元素)の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下であればよい。なお、第1領域M1および第2領域M2を合わせたときのCu元素と13族元素とのモル比は、第1の半導体層3を構成するI−III−VI族化合物
のCu元素と13族元素とのモル比となるようにすればよい。つまり、第1領域M1のCu比率が少なければ第2領域M2のCu比率を増やせばよい。
の13族元素が含まれている場合は、すべての13族元素)の合計の平均モル濃度に対するCu元素の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下であればよい。また、第2領域M2におけるCu元素および13族元素の合計の平均モル濃度に対する13族元素(複数種の13族元素が含まれている場合は、すべての13族元素)の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下であればよい。なお、第1領域M1および第2領域M2を合わせたときのCu元素と13族元素とのモル比は、第1の半導体層3を構成するI−III−VI族化合物
のCu元素と13族元素とのモル比となるようにすればよい。つまり、第1領域M1のCu比率が少なければ第2領域M2のCu比率を増やせばよい。
なお、第1領域M1および第2領域M2は、Cu元素以外の11族元素を含んでいてもよいが、第1領域M1および第2領域M2において含まれる11元素のうち、Cu元素が主として含まれている(11元素のうち、Cu元素が主として含まれているというのは、11元素の合計において、Cu元素が70モル%以上含まれていることをいう)。
第1領域M1および第2領域M2は、カルコパイライト構造のI−III−VI族化合物の
結晶生成を阻害しない程度に、Cu元素および13族元素以外の金属元素を含んでいてもよい。例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)またはアンチモン(Sb)等が含まれていてもよい。
結晶生成を阻害しない程度に、Cu元素および13族元素以外の金属元素を含んでいてもよい。例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)またはアンチモン(Sb)等が含まれていてもよい。
また、第1領域M1および第2領域M2は、Cu元素および13族元素以外に有機成分が含まれていてもよい。例えば、第1領域M1または第2領域M2の形成の際、Cu元素の有機錯体や13族元素の有機錯体を原料として用いてもよい。
また、第2領域M2は、Cu元素のセレン化反応をより良好にして、液相をより形成しやすくするという観点からは、Se元素が含まれていてもよい。
そして、この前駆体層Mを、Se元素を含む雰囲気中において450〜650℃で加熱することによって、I−III−VI族化合物を主として含む第1の半導体層3にする。例え
ば、前駆体層Mに含まれる13族元素がIn元素とGa元素であれば、第1の半導体層3はI−III−VI族化合物としてCIGSを含んだものとなる。図4は、第1の半導体層3
を形成した後の状態を示す図である。このような前駆体層Mを用いることによって、第1の半導体層3を光電変換効率の高いものとすることができる。これは以下の理由による。
ば、前駆体層Mに含まれる13族元素がIn元素とGa元素であれば、第1の半導体層3はI−III−VI族化合物としてCIGSを含んだものとなる。図4は、第1の半導体層3
を形成した後の状態を示す図である。このような前駆体層Mを用いることによって、第1の半導体層3を光電変換効率の高いものとすることができる。これは以下の理由による。
前駆体層Mを雰囲気中のSe元素と反応させながらI−III−VI族化合物の結晶を形成
する過程において、前駆体層Mは固相よりも液相の状態になっている方がよい。液相の状態であれば、結晶化反応が良好に進行して緻密で結晶性の高い半導体層とすることができる。しかしながら従来の特許文献1や特許文献2のように11族元素と13族元素とが混合した前駆体層では、全体が液相になり難い傾向がある。
する過程において、前駆体層Mは固相よりも液相の状態になっている方がよい。液相の状態であれば、結晶化反応が良好に進行して緻密で結晶性の高い半導体層とすることができる。しかしながら従来の特許文献1や特許文献2のように11族元素と13族元素とが混合した前駆体層では、全体が液相になり難い傾向がある。
そこで、上記のような構成の前駆体層Mを用いると、前駆体層Mの全体を良好に液相状態にしながら結晶化反応を進行させることができる。つまり、Cu元素が13族元素よりも多い第2領域M2は、雰囲気中のSe元素と接触しやすいため、セレン化が進行してCuSeが生成しやすくなる。そして、Cu元素は、単体(融点が1085℃)よりもCuSe(融点が550℃)の方が、融点が低いため、第1領域M1は液相状態になりやすくなる。
一方、13族元素がCu元素よりも多い第1領域M1は、表面の一部が第2領域M2に覆われており、第2領域M2に比べて雰囲気中のSe元素と接触しにくいため、セレン化が進行し難くなる。そして、インジウム(In)元素やガリウム(Ga)元素等の13族元素は、単体(In単体の融点が157℃、Ga単体の融点が30℃)の方がIn2Se
3(融点が890℃)やGa2Se3(融点が937℃)よりも融点が低いため、第1領域M1は液相状態を長く持続することができる。
3(融点が890℃)やGa2Se3(融点が937℃)よりも融点が低いため、第1領域M1は液相状態を長く持続することができる。
よって、第1領域M1および第2領域M2の両方が液相状態となることによって、結晶化反応をより良好に進行させることができる。さらに、第2領域M2が第1領域M1の主面上に点在するように設けられているので、雰囲気中から第1領域M1へのSe元素の供給も適度に行なわれるため、下部電極層2側の部位でSe元素が不足することも低減できる。以上の結果、緻密で結晶性の高い第1の半導体層3とすることができ、光電変換効率を高めることが可能となる。
このような前駆体層Mは、例えば以下のようにして作製することができる。まず、下部電極層2上に第1領域M1を形成する。第1領域M1は、13族元素をスパッタリング法や蒸着法等の薄膜形成方法によって、あるいは13族元素の有機錯体等を含む原料溶液を塗布することによって作製可能である。
次に、第1領域M1の主面上に、第1領域M1の主面の一部が露出するように第2領域M2を形成して、第2領域を第1領域M1の主面上に点在させる。このような第2領域M2は、11族元素の有機錯体等を含む原料溶液を吐出させて第1領域M1の主面の一部に被着させることによって作製可能である。なお、第1領域M1の主面における第2領域M2の占有面積率は1〜50%とすればよい。
このようにして形成した前駆体層MをSe元素を含む雰囲気で加熱する際の雰囲気としては、Se元素が存在する非酸化性ガス雰囲気を用いることができる。非酸化性ガスとは、窒素やアルゴン等の不活性ガスまたは水素等の還元性ガスをいう。そして、Se元素は、この非酸化性ガス中に、セレン蒸気またはセレン化水素等の状態で含まれている。非酸化性ガス中に含まれるSe元素の量としては、非酸化性ガスを構成する分子のモル数をG1としたときに、Se元素が原子のモル数換算で、例えばG1の10−6倍〜5×10−2倍程度、より好ましくはG1の10−5倍〜5×10−3倍程度含まれていればよい。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5を順に形成する。
第2の半導体層4は、溶液成長法(CBD法ともいう)等によって形成することができる。例えば、塩化インジウムとチオアセトアミドとを塩酸で酸性にした水に溶解し、これに第1の半導体層3の形成まで行なった基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上に硫化インジウムを含む第2の半導体層4を形成することができる。
上部電極層5は、例えば、AZO等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。図6は、第2の半導体層4および上部電極層5を形成した後の状態を示す図である。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、スクライブ針を用いたメカニカルスクライビング加工によって形成することができる。図7は、第2溝部P2を形成した後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散した導電性を有するペースト(導電ペーストともいう)を、所望のパターンを描くように印刷し、こ
れを加熱することで形成できる。図8は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
れを加熱することで形成できる。図8は、集電電極7および接続導体6を形成した後の状態を示す図である。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度とすることができる。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビング加工によって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:前駆体層
M1:第1領域
M2:第2領域
2:下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
M:前駆体層
M1:第1領域
M2:第2領域
Claims (4)
- 電極層を用意する工程と、
該電極層上に層状に設けられた、銅元素よりも13族元素を多く含む第1領域と、該第1領域の前記電極層とは反対側の主面上に点在するように設けられた、13族元素よりも銅族元素を多く含む第2領域とを有する前駆体層を形成する工程と、
該前駆体層をセレン元素を含む雰囲気中で加熱して前記前駆体層をI−III−VI族化合物
を主として含む半導体層にする工程と
を具備する光電変換装置の製造方法。 - 前記第1領域として、銅元素および13族元素の合計の平均モル濃度に対する銅元素の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下のものを用い、前記第2領域として、銅元素および13族元素の合計の平均モル濃度に対する13族元素の平均モル濃度の比率が0%以上47%以下のものを用いる、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記第2領域にさらにセレン元素を含める、請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記前駆体層の13族元素としてInおよびGaを用い、前記I−III−VI族化合物と
してCIGSを生成させる、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014091285A JP2015211107A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 光電変換装置の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014091285A JP2015211107A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 光電変換装置の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2015211107A true JP2015211107A (ja) | 2015-11-24 |
Family
ID=54613103
Family Applications (1)
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JP2014091285A Pending JP2015211107A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 光電変換装置の製造方法 |
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-
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- 2014-04-25 JP JP2014091285A patent/JP2015211107A/ja active Pending
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