JP2013225641A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光電変換装置の光電変換効率を向上させる。
【解決手段】 光電変換装置の製造方法は、基板1上にモリブデンを含む電極層を形成する工程と、前記電極層の表面に酸化膜OLを形成する工程とを備えている。さらに、光電変換装置の製造方法は、硫黄、セレンおよびテルルのうち少なくとも1つの元素を含む原料溶液を酸化膜OL上に塗布して皮膜Mを形成する工程と、皮膜Mを加熱して半導体層を形成する工程とを備えている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
太陽光発電等に使用されるカルコパイライト系の光電変換装置は、比較的低コストで大面積化が容易なことから、研究開発が進められている。
このカルコパイライト系の光電変換装置は、通常、基板としてソーダライムガラスが用いられ、その上に下部電極(以下、電極層)としてモリブデン薄膜が形成されている。この電極層上には、二セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)等のカルコゲン化合物半導体層(カルコパイライト系の半導体層)を有する光吸収層が設けられている。そして、電極層とCIGS系の光吸収層との界面には、セレン化モリブデン(MoSe)層が生成している(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−319686号公報
しかしながら、このようなMoSe層は、電極層の表面に対してc軸が垂直な状態で複数層生成されると、MoSe層間の接着強度が低くなり、層間で剥離が生じやすい。これにより、光吸収層が電極層から剥離する場合があった。
本発明の一つの目的は、MoSe層の過剰な生成を低減し、信頼性の高い光電変換装置を提供することにある。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、基板上にモリブデンを含む電極層を形成する工程と、前記電極層の表面に酸化膜を形成する工程と、硫黄、セレンおよびテルルのうち少なくとも1つの元素を含む原料溶液を前記酸化膜上に塗布して皮膜を形成する工程と、前記皮膜を水または酸素を含む雰囲気で加熱することによって熱処理皮膜を形成する工程と、前記熱処理皮膜を加熱して半導体層を形成する工程とを備えている。
本発明の他の実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、基板上にモリブデンを含む電極層を形成する工程と、前記電極層の表面に酸化膜を形成する工程と、硫黄、セレンおよびテルルのうち少なくとも1つの元素および水を含む原料溶液を前記酸化膜上に塗布して皮膜を形成する工程と、前記皮膜を加熱して半導体層を形成する工程とを備えている。
本発明によれば、電極層の表面におけるMoSe層の生成が低減されるため、光吸収層が電極層から剥離しにくくなる。これにより、光電変換装置の信頼性が向上する。
光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。 図1の光電変換装置の上面透視図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。
以下に本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本実施形態に係る製造方法で製造される光電変換装置の構成について説明する。
<光電変換装置の構成>
本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された光電変換装置11は、図1〜図3に示すように、基板1上に複数の光電変換セル10が並べられて互いに電気的に接続されている。なお、図1〜3においては図示の都合上、2つの光電変換セル10のみを示しているが、実際の光電変換装置11においては、図面左右方向、あるいはさらにこれに垂直な方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されていてもよい。
図1〜3において、基板1上に複数の電極層(以下、下部電極層2とする)が間隙P1を介して平面配置されている。隣接する下部電極層2のうち、一方の下部電極層2a(以下、第1の下部電極層2aともいう)上から他方の下部電極層2b(以下、第2の下部電極層2bともいう)上にかけて、第1の半導体層3および第1の半導体層3とは異なる導電型の第2の半導体層4が設けられている。そして、第2の下部電極層2b上において、接続導体7が第2の下部電極層2bと第2の半導体層4とを電気的に接続するように設けられている。これら、下部電極層2(第1の下部電極層2aおよび第2の下部電極層2b)、第1の半導体層3、第2の半導体層4および接続導体7を少なくとも含むことによって、1つの光電変換セル10が構成される。そして、隣接する光電変換セル10同士が第2の下部電極層2bによって電気的に接続されており、このような構成によって、隣接する光電変換セル10同士が直列接続された光電変換装置11となる。
なお、本実施形態における光電変換装置11は、第1の半導体層3に対して第2の半導体層4側から光が入射されるものを想定しているが、これに限定されず、基板1側から光が入射されるものであってもよい。
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。基板1としては、例えば、厚さ1〜3mm程度の青板ガラス(ソーダライムガラス)を用いることができる。
下部電極層2(第1の下部電極層2aおよび第2の下部電極層2b)は、基板1上に設けられている。この下部電極層2は、主成分としてモリブデンを含む導電体である。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法などの公知の薄膜形成手法を用いて、0.2μm〜1μm程度の厚みに形成される。第1の下部電極層2aと第2の下部電極層2bとの間に位置する間隙P1の大きさは、例えば、10〜200μmであればよい。
第1の半導体層3は第1導電型の半導体層である。本実施形態では、第1の半導体層3は、例えば、1μm〜3μm程度の厚みを有するp型半導体層を想定しているが、これに限定されない。第1の半導体層3の材料としては特に限定されず、金属カルコゲナイドや非晶質シリコン等が用いられ得る。比較的高い光電変換効率を有するという観点で、例えば、I−III−VI族化合物、I−II−IV−VI族化合物およびII−VI族化合物等の金属カル
コゲナイドが第1の半導体層3の材料として用いられてもよい。
I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(1
3族元素ともいう)とVI-B族元素(16族元素ともいう)との化合物である。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga)Se(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)等が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。I−III−VI族化合物は光吸収係数が比較的高く、第1の半導体層3が薄くても良好な光電変換効率が得られる。
I−II−IV−VI族化合物とは、I−B族元素とII−B族元素(12族元素ともいう)とIV−B族元素(14族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物半導体である。I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、CuZnSnS(CZTSともいう)、CuZnSnS4−xSe(CZTSSeともいう。なお、xは0より大きく4より小さい数である。)、およびCuZnSnSe(CZTSeともいう)等が挙げられる。
II−VI族化合物とは、II−B族元素とVI−B族元素との化合物半導体である。II−VI族化合物としてはCdTe等が挙げられる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3とは異なる導電型を呈する第2導電型を有する半導体層である。第1の半導体層3および第2の半導体層4が電気的に接続されることにより、電荷を良好に取り出すことが可能な光電変換層が形成される。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。第1の半導体層3がn型で、第2の半導体層4がp型であってもよい。なお、第1の半導体層3と第2の半導体層4との間に高抵抗のバッファ層が介在していてもよい。また、光吸収層としての第1の半導体層3と、第2の半導体層4とは逆の構成であってもよく、下部電極層2上に第2の半導体層4および第1の半導体層3が順に積層されていてもよい。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3とは異なる材料が第1の半導体層3上に積層されたものであってもよく、あるいは第1の半導体層3の表面部が他の元素のドーピングによって改質されたものであってもよい。
第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、In、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。この場合、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法やスパッタリング法等で10〜200nmの厚みで形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとを主に含む化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとを主に含む化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとを主に含む化合物をいう。
図1、図2のように、第2の半導体層4上にさらに上部電極層5が設けられていてもよい。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3および第2の半導体層4で生じた電荷を良好に取り出すことが可能となる。光電変換効率をより高めるという観点からは、上部電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であってもよい。
上部電極層5は、例えばITO、ZnO等の0.05〜3μmの透明導電膜である。透光性および導電性を高めるため、上部電極層5は第2の半導体層4と同じ導電型の半導体で構成されてもよい。上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成され得る。
また、図1〜3に示すように、上部電極層5上にさらに集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、第1の半導体層3および第2の半導体層4で生じた電荷をさらに良好に取り出すためのものである。集電電極8は、例えば、図1〜3に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3および第2の半導体層4で生じた電流が上部電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に導電される。
集電電極8は、第1の半導体層3への光透過率を高めるとともに良好な導電性を有するという観点から、50〜400μmの幅を有していてもよい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
図1、図2において、接続導体7は、第1の半導体層3、第2の半導体層4および上部電極層5を貫通する溝内に設けられた導体である。接続導体7は、金属や導電ペースト等が用いられ得る。図1、図2においては、集電電極8を延伸して接続導体7が形成されているが、これに限定されない。例えば、上部電極層5が延伸したものであってもよい。
光電変換装置11は、図1、図2で示されるように、下部電極層2と第1の半導体層3との間に、中間層MLが配置されている。この中間層MLは、硫黄、セレンまたはテルルのうち少なくとも1つの元素、いわゆるカルコゲン元素と、下部電極層2のモリブデンとを含んでいる。上記カルコゲン元素は、主として第1の半導体層3に含有されている。中間層MLは、複数層形成された場合、層間の接着強度が比較的弱いため、層間で剥離が生じやすくなる。また、中間層MLは、厚みが過剰に大きくなった場合、抵抗が高くなるため、光電変換効率が低下する場合がある。そのため、中間層MLは、できるだけ生成されないほうがよい。それゆえ、以下に示すように、本実施形態に係る製造方法では、中間層MLの過剰な生成を低減している。
<光電変換装置の製造方法の第1例>
次に、光電変換装置11の製造プロセスの一例(第1例)について説明する。図4(a)〜(d)および図5(e)〜(g)は、光電変換装置11の製造途中の様子を示す断面図である。なお、図4および図5で示される断面図は、図2で示される断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、図4(a)で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法などが用いられて、モリブデンを含む下部電極層2が成膜される。
下部電極層2が形成された後、図4(b)で示されるように、下部電極層2の表面に酸化膜OLが成膜される。酸化膜OLは、例えば、酸素を含有する雰囲気下で熱処理して成膜される。具体的に、酸化膜OLは、例えば、下部電極層2が成膜された基板1を酸素が含有された大気中で100〜500℃で1〜60分程度熱処理を施すことによって成膜され得る。この工程であれば、下部電極層2の表面に容易に酸化膜OLを形成できる。また、酸化膜OLは、スパッタリング法で下部電極層2を成膜する場合、下部電極層2の成膜工程の最後の方に酸素を注入することによって、下部電極層2の表面に形成され得る。なお、上記した方法で成膜された酸化膜OLは、主として酸化モリブデンを含んでいる。
酸化膜OLが形成された後、図4(c)で示されるように、下部電極層2の一部が除去されて間隙P1が形成される。間隙P1は、例えば、レーザースクライブ加工またはサンドブラスト加工等によって形成され得る。なお、レーザースクライブ加工は、YAGレー
ザー、その他のレーザー光が走査されつつ形成対象位置に照射されることで溝が形成される加工をいう。また、サンドブラスト加工は、無機粒子等の研磨材が吹き付けられることで溝が形成される加工をいう。これにより、第1の下部電極層2aおよび第2の下部電極層2bが形成されることとなる。なお、酸化膜OLは、間隙P1を形成した後、酸素を含有する雰囲気下で熱処理して下部電極層2の表面に成膜されてもよい。
間隙P1が形成された後、図4(d)で示されるように、酸化膜OL上および間隙P1内に原料溶液を塗布することによって皮膜Mが形成される。皮膜Mは第1の半導体層3を構成するI−III−VI族化合物の原料である、I−B族元素、III−B族元素およびカルコゲン元素を含んでいる。なお、カルコゲン元素とはVI−B族元素のうち、S、SeまたはTeをいう。
このような皮膜Mを形成するための原料溶液としては、例えば、有機溶媒中に、I−B族元素およびIII−B族元素が塩や錯体の状態で含まれており、カルコゲン元素がカルコ
ゲン元素含有有機化合物の状態で含まれているものが用いられてもよい。なお、カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素を有する有機化合物であり、炭素元素とカルコゲン元素との共有結合を有する有機化合物である。カルコゲン元素含有有機化合物は、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド、テルロール、テルリド、ジテルリド等が挙げられる。I−III−VI族化合物を良好に生成す
るという観点からは、原料溶液に含まれるI−B族元素はカルコゲン元素含有有機化合物が配位した錯体の状態で含まれていてもよい。
皮膜Mが形成された後、水または酸素を含む雰囲気で皮膜Mを加熱することによって、皮膜Mを熱処理皮膜にする。水または酸素を含む雰囲気は、窒素やアルゴン等の不活性ガスに中に水(気体の水)または酸素が、例えば、分圧比で10〜1000ppmv程度含まれている。また、皮膜Mの加熱温度は、100〜400℃であればよい。
水または酸素を含む雰囲気で皮膜Mを加熱することによって得られる熱処理皮膜は、皮膜M中の有機成分が除去され、皮膜M中の原料同士の反応がある程度進行した状態となっている。
なお、皮膜Mは、原料溶液を一回塗布する方法で形成してもよいが、複数回塗布することによって形成してもよい。複数回の塗布によって形成する場合は、塗布工程の間に上記のように水または酸素を含む雰囲気で加熱して熱分解皮膜にする工程を順次設ければよい。
熱処理皮膜が形成された後、図5(e)で示されるように、熱処理皮膜を加熱して半導体層(第1の半導体層3)が形成される。熱処理皮膜の加熱工程は、該熱処理皮膜を構成する物質が結晶化する条件下で行なわれればよい。このような熱処理皮膜の加熱工程は、例えば、400〜600℃で10〜300分程度の条件下で行なわれる。この熱処理皮膜の加熱工程は、S蒸気あるいはSe蒸気等のカルコゲン元素の単体蒸気、またはHSやHSe等のカルコゲン化水素等の雰囲気下で行なってもよい。この雰囲気には、水素ガス等の還元性ガスあるいは窒素ガス等の不活性ガスが混合されてもよい。
なお、熱処理皮膜の加熱工程は、皮膜Mの加熱工程と連続して行なわれてもよい。この場合、皮膜Mの加熱工程の雰囲気と熱処理皮膜の加熱工程の雰囲気とが同じであってもよく、加熱を行ないながら雰囲気が変えられてもよい。同様に、熱処理皮膜の加熱工程と皮膜Mの加熱工程とが連続して行なわれる場合、皮膜Mの加熱工程の温度と熱処理皮膜の加熱工程の温度とが同じであってもよく、加熱を行ないながら温度が変えられてもよい。
このように、本実施形態では、下部電極層2の表面に酸化膜OLを形成した後、下部電極層2上(酸化膜OL上)にカルコゲン元素を含む原料溶液を塗布して得られた皮膜Mを、水または酸素を含む雰囲気で加熱した後、さらに加熱して第1の半導体層3を形成している。これにより、上記加熱工程で発生しやすいカルコゲン元素とモリブデンとの結合(化合)によって生じ得る中間層MLの生成が低減される。これは、下部電極層2中のモリブデンと皮膜M中のカルコゲン元素との結合が酸化膜OLで阻害されるからである。
なお、上記加熱工程では、酸化膜OLの酸素が上記カルコゲン元素と置き換わり中間層MLが生成する。酸化膜OLが中間層MLとなった後は、下部電極層2中のモリブデンとカルコゲン元素との結合を阻害する効果が低減する傾向があるが、本実施形態では、水または酸素を含む雰囲気で皮膜Mが加熱されることにより、酸化膜OL中の酸素が皮膜M中のカルコゲン元素によって置換されるのを雰囲気中の水または酸素で有効に遅らせることができ、下部電極層2中のモリブデンとカルコゲン元素との結合を阻害する効果を長時間持続することができる。よって、中間層MLの過剰な生成をさらに低減することができる。
ここで酸化膜OLの厚みは、1〜50nmであれば、カルコゲン元素とモリブデンとの結合を低減するとともに、過度な中間層MLの生成が低減され得る。また、酸化膜OLを上記厚みの範囲にすれば、中間層MLの厚みが1〜10nm程度に低減される。
第1の半導体層3が形成された後、図5(f)で示されるように、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5が、CBD法やスパッタリング法等で順次形成される。
第2の半導体層4および上部電極層5が形成された後、第2の下部電極層2b上の間隙P1からずれた位置における第1の半導体層3、第2の半導体層4および上部電極層5が、例えば、メカニカルスクライブ加工等によって除去される。これにより、図5(g)で示されるように、第1の半導体層3中に第2の下部電極層2bが露出した間隙P2が形成される。なお、メカニカルスクライブ加工は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針やドリルを用いたスクライビングによって、第1の半導体層3、第2の半導体層4および上部電極層5が下部電極層2から除去される加工をいう。また、本実施形態では、間隙P2の位置における中間層MLを除去しているが、下部電極層2上に中間層MLを残存させてもよい。
間隙P2が形成された後、図5(h)で示されるように、上部電極層5上および間隙P2内に、例えば、Agなどの金属粉を樹脂バインダーなどに分散させた導電ペーストをパターン状に印刷し、これを加熱硬化することで、接続導体7および集電電極8が形成される。
最後に間隙P2からずれた位置に、第1の半導体層3、第2の半導体層4、上部電極層5、接続導体7および集電電極8を、例えば、メカニカルスクライブ加工により除去することによって、間隙P3が形成される。これにより、複数の光電変換セル10に分割され、図1および図2で示された光電変換装置11が得られる。また、本実施形態では、間隙P3の位置における中間層MLを除去しているが、下部電極層2上に中間層MLを残存させてもよい。
<光電変換装置の製造方法の第2例>
次に、光電変換装置11の製造プロセスの他の例(第2例)について、上記の光電変換装置の製造方法の第1例と同様に図4(a)〜(d)および図5(e)〜(g)を用いて説明する。
まず、光電変換装置の製造方法の第1例と同様にして、図4(a)で示されるように、基板1の略全面に下部電極層2が成膜され、図4(b)で示されるように、下部電極層2の表面に酸化膜OLが成膜され、図4(c)で示されるように、下部電極層2の一部が除去されて間隙P1が形成される。
間隙P1が形成された後、図4(d)で示されるように、酸化膜OL上および間隙P1内に原料溶液を塗布することによって皮膜Mが形成される。ここで光電変換装置の製造方法の第2例においては、上記第1例で用いた原料溶液に、さらに水が添加されたものが用いられる(以下、光電変換装置の製造方法の第2例で用いられる原料溶液を第2原料溶液ともいう)。第2原料溶液に含まれる水は、例えば、重量比で10〜1000ppm程度である。
なお、皮膜Mは、第2原料溶液を一回塗布する方法で形成されてもよいが、複数回塗布することによって形成されてもよい。
皮膜Mが形成された後、図5(e)で示されるように、皮膜Mを加熱して半導体層(第1の半導体層3)が形成される。皮膜Mの加熱工程は、該皮膜Mを構成する物質が結晶化する条件下で行なわれればよい。なお、皮膜Mの加熱工程は、2段階の加熱工程、すなわち熱分解工程と焼成工程とを有していてもよい。このとき、熱分解工程は、例えば、100〜400℃で1〜30分程度の条件下で行なわれる。また、焼成工程は、熱分解工程よりも高い温度で行なわれる。このような熱処理皮膜の焼成工程は、例えば、400〜600℃で10〜300分程度の条件下で行なわれる。この焼成工程は、S蒸気あるいはSe蒸気等のカルコゲン元素の単体蒸気、またはHSやHSe等のカルコゲン化水素等の雰囲気下で行なってもよい。この雰囲気には、水素ガス等の還元性ガスあるいは窒素ガス等の不活性ガスが混合されてもよい。
このように、本実施形態では、下部電極層2の表面に酸化膜OLを形成した後、下部電極層2上(酸化膜OL上)にカルコゲン元素および水を含む原料溶液を塗布して得られた皮膜Mを加熱して第1の半導体層3を形成している。これにより、上記加熱工程で発生しやすいカルコゲン元素とモリブデンとの結合(化合)によって生じ得る中間層MLの生成が低減される。これは、下部電極層2中のモリブデンと皮膜M中のカルコゲン元素との結合が酸化膜OLで阻害されるからである。
なお、上記加熱工程では、酸化膜OLの酸素が上記カルコゲン元素と置き換わり中間層MLが生成する。酸化膜OLが中間層MLとなった後は、下部電極層2中のモリブデンとカルコゲン元素との結合を阻害する効果が低減する傾向があるが、本実施形態では、水を含む第2原料溶液を用いて皮膜Mが形成されることにより、酸化膜OL中の酸素が皮膜M中のカルコゲン元素によって置換されるのを第2原料溶液中の水で有効に遅らせることができ、下部電極層2中のモリブデンとカルコゲン元素との結合を阻害する効果を長時間持続することができる。よって、中間層MLの過剰な生成をさらに低減することができる。
ここで酸化膜OLの厚みは、1〜50nmであれば、カルコゲン元素とモリブデンとの結合を低減するとともに、過度な中間層MLの生成が低減され得る。また、酸化膜OLを上記厚みの範囲にすれば、中間層MLの厚みが1〜10nm程度に低減される。
第1の半導体層3が形成された後、光電変換装置の製造方法の第1例と同様にして、図5(f)で示されるように、第1の半導体層3の上に第2の半導体層4および上部電極層5が順次形成され、図5(g)で示されるように、第1の半導体層3中に第2の下部電極層2bが露出した間隙P2が形成され、図5(h)で示されるように、上部電極層5上お
よび間隙P2内に、接続導体7および集電電極8が形成され、最後に間隙P3が形成されることにより、図1および図2で示された光電変換装置11が得られる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が施されることは何等差し支えない。
1:基板
2:下部電極層(電極層)
2a:第1の下部電極層
2b:第2の下部電極層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
P1〜P3:間隙
M:皮膜
ML:中間層
OL:酸化膜

Claims (5)

  1. 基板上にモリブデンを含む電極層を形成する工程と、
    前記電極層の表面に酸化膜を形成する工程と、
    硫黄、セレンおよびテルルのうち少なくとも1つの元素を含む原料溶液を前記酸化膜上に塗布して皮膜を形成する工程と、
    前記皮膜を水または酸素を含む雰囲気で加熱することによって熱処理皮膜を形成する工程と、
    前記熱処理皮膜を加熱して半導体層を形成する工程と
    を備えた、光電変換装置の製造方法。
  2. 基板上にモリブデンを含む電極層を形成する工程と、
    前記電極層の表面に酸化膜を形成する工程と、
    硫黄、セレンおよびテルルのうち少なくとも1つの元素および水を含む原料溶液を前記酸化膜上に塗布して皮膜を形成する工程と、
    前記皮膜を加熱して半導体層を形成する工程と
    を備えた、光電変換装置の製造方法。
  3. 前記酸化膜を、酸素を含有する雰囲気下で前記電極層を熱処理することによって形成する、請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
  4. 前記原料溶液として、ベンゼンセレノールを含むものを用いる、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
  5. 前記半導体層を形成する工程において、酸素を含有する雰囲気下で前記皮膜を加熱する、請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104223943A (zh) * 2014-08-30 2014-12-24 李高升 一种玻璃电热水壶电热膜的电极连接结构

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