JP5672314B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、燃焼している複数のボイラを均等な負荷率で運転させ、また、燃焼しているボイラの台数が増減した場合には、増減後に燃焼している全てのボイラを均等な負荷率で運転させる比例制御ボイラの制御方法が提案されている。
この点、図10を参照して具体的に説明する。なお、図10において増缶ラインL1は、燃焼しているボイラを増加する負荷率を示し、一例として80%に設定されているものとする。また、減缶ラインL2は、燃焼しているボイラを減少する負荷率を示し、一例として40%に設定されているものとする。また、均等ラインL3は、燃焼しているボイラを増減した後における、燃焼している全てのボイラにおいて均等な負荷率を示す。
具体的には、図10(B)では、負荷率160%(=80×2)を1号機ボイラ及び2号機ボイラの2台のボイラで対応していたものを、図10(C)において1号機ボイラから3号機ボイラの3台のボイラで対応することになると、1号機ボイラから3号機ボイラの負荷率は53.3%(=160/3)となる。その結果、3号機ボイラの53%の上昇に対し、1号機ボイラ及び2号機ボイラの2台のボイラの負荷率が同時に80%から53%に27%も低下することになり、圧力変動の要因となる。
具体的には、図10(E)では、負荷率120%(=40×3)を1号機ボイラから3号機ボイラの3台のボイラで対応していたものを、図10(F)において1号機ボイラ及び2号機ボイラの2台のボイラで対応することになると、1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率は60%(=120/2)となる。その結果、3号機ボイラの40%の低下に対し、1号機ボイラ及び2号機ボイラの2台のボイラの負荷率が同時に40%から60%に20%も上昇することになり、圧力変動の要因となる。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態(負荷率)を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
本実施形態のボイラ20は、燃焼量(負荷率)を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、最大燃焼量の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼量を調整するようになっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。なお、以下では、ボイラ20の最小燃焼状態S1における蒸気量を最小蒸気量と呼び、ボイラ20の最大燃焼状態S2における蒸気量を最大蒸気量と呼ぶ。
尚、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
増缶ラインL1及び減缶ラインL2は適宜設定することができるが、燃焼するボイラ20の台数増減を抑制可能な値に設定することが好ましい。本実施形態では、80%の負荷率に増缶ラインL1を設定し、40%の負荷率に減缶ラインL2を設定している。増缶ラインL1及び減缶ラインL2を適切に設定することで、台数増減を抑制でき(燃焼台数増加過多抑制)、結果、パージ損失、放熱損失及び立上損失等を低減することができる。
また、増缶ラインL1及び減缶ラインL2は、ボイラ20の運転効率に応じて設定することとしてもよく、このような観点から設定することで、燃焼しているボイラ20の負荷率が上昇しボイラ群2の運転効率が低下すると(増缶ライン)、新たなボイラ20の運転を開始し、ボイラ群2全体における運転効率を維持することができ、同様に、燃焼しているボイラ20の負荷率が減少しボイラ群2の運転効率が低下すると(減缶ライン)、1のボイラ20の負荷率を最小燃焼状態S1に対応する負荷率まで低下した後に当該1のボイラ20の運転を停止することでボイラ群2全体における運転効率を維持することができる。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(後述のローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼量を制御し負荷率を変動させることで、燃焼状態を変更する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
必要蒸気量算出部41は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧に基づいて、要求負荷に応じた必要蒸気量を算出する。
出力蒸気量算出部42は、ローカル制御部22から送信される各ボイラ20の燃焼状態に基づいて、ボイラ群2により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する。
また、偏差算出部43は、後述の出力制御部46により、選択されたボイラ20の蒸気量が変更された場合には、必要蒸気量と、蒸気量変更後のボイラ群2の出力蒸気量と、の偏差量を算出する。
具体的には、ボイラ選択部44は、必要蒸気量が出力蒸気量よりも大きい場合、複数のボイラ20のうち負荷率の低いボイラ20を選択し、必要蒸気量が出力蒸気量よりも小さい場合、複数のボイラ20のうち負荷率の高いボイラ20を選択する。また、ボイラ選択部44は、複数のボイラ20の負荷率が等しい場合、必要蒸気量が出力蒸気量よりも大きいと最も優先順位の高いボイラ20を選択し、必要蒸気量が出力蒸気量よりも小さいと最も優先順位の低いボイラ20を選択する。
出力制御部46は、判定部45により偏差量が単位蒸気量U以上であると判定された場合に、ボイラ選択部44により選択されたボイラ20の蒸気量を変更させる。具体的には、出力制御部46は、必要蒸気量が出力蒸気量よりも大きい場合、ボイラ選択部44により選択されたボイラの蒸気量を単位蒸気量U分増加させる。また、出力制御部46は、必要蒸気量が出力蒸気量よりも小さい場合、ボイラ選択部44により選択されたボイラの蒸気量を単位蒸気量U分減少させる。
このとき、出力制御部46は、運転開始ボイラを最小燃焼状態S1に対応する負荷率で燃焼させる。
図4は、ボイラ20を増加する(運転開始ボイラの運転を開始する)際の動作を示し、図5は、ボイラ20を減少する(停止ボイラの運転を停止する)際の動作を示す。なお、図4及び図5では、説明の便宜上、ボイラ群2を3台のボイラ20で構成しているが、4台又は5台以上のボイラ20で構成した場合であっても同様の動作によりボイラ20の台数を増減することができる。
図4(1)を参照して、1号機ボイラから3号機ボイラのうち、1号機ボイラのみが燃焼し、2号機ボイラ及び3号機ボイラが運転を停止している。このとき、蒸気使用設備18における蒸気使用により必要蒸気量が増加すると、台数制御装置3の制御部4は、1号機ボイラの負荷率を上昇させて、出力蒸気量を増加する。
このとき、運転開始に伴いこれまで蒸気量が0であった2号機ボイラから蒸気が生成されることになるため、必要蒸気量と出力蒸気量とを一致させるべく1号機ボイラの蒸気量を減少(負荷率を低下)させる必要がある。
この点、本実施形態のボイラシステム1では、図4(3)に示すように、運転開始ボイラ(2号機ボイラ)を最小燃焼状態S1に対応する負荷率(本実施形態では20%)にとどめることとしている。そのため、運転開始ボイラの運転開始に伴い、1号機ボイラ1台のみの負荷率を20%低下させればよいことになり、燃焼しているボイラ20の負荷率の変動を抑えることができる。
更に必要蒸気量が増加し図4(5)に示すように、1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率が増缶ラインL1に規定する負荷率まで上昇すると、台数制御装置3の制御部4は、1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率をこれ以上上昇させることなく、新たに3号機ボイラの運転を開始する。
図5(1)では、1号機ボイラから3号機ボイラの全てが燃焼している。このとき、蒸気使用設備18における蒸気使用が減り必要蒸気量が減少すると、台数制御装置3の制御部4は、1号機ボイラの負荷率を低下させて、出力蒸気量を減少する。
このとき、運転停止に伴いこれまで単位蒸気量Uに基づき連続的に負荷率が変動(低下)していた3号機ボイラの負荷率が0になり、3号機ボイラから蒸気が生成されないことになるため、必要蒸気量と出力蒸気量とを一致させるべく1号機ボイラ及び2の蒸気量を増加(負荷率を上昇)させる必要がある。
この点、本実施形態のボイラシステム1では、停止ボイラ(3号機ボイラ)を減缶ラインL2から最小燃焼状態S1に対応する負荷率まで低下させた後に、停止ボイラの運転を停止させることとしている。そのため、図5(4)に示すように、3号機ボイラの運転停止に伴う1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率の上昇は、最小燃焼状態S1に対応する負荷率分で足り、本実施形態では、1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率をそれぞれ10%(=最小燃焼状態S1(20%)/2台)上昇させればよいことになり、燃焼しているボイラ20の負荷率の変動を抑えることができる。
このとき、2号機ボイラの運転停止に伴い1号機ボイラの負荷率を上昇させる必要があるが、2号機ボイラを減缶ラインL2から最小燃焼状態S1に対応する負荷率まで低下させた後に停止しているため、図5(7)に示すように、1号機ボイラの1台のみ負荷率を20%上昇させればよいことになる。その結果、停止ボイラの運転停止に伴う燃焼しているボイラ20の負荷率の変動を抑えることができる。
続いて、ステップST6において、制御部4は、各ボイラ20へ燃焼指示を出力し、各ボイラ20から出力される蒸気量を制御する。即ち、判定部45が、ステップST5において選択されたボイラ20に対する蒸気量の変動が偏差量を超えないと判定すると、出力制御部48は、このボイラ20の蒸気量を単位蒸気量U等に基づき増加又は減少させる。
ステップST6の処理が終わると、制御部4は、ステップST3の処理に戻り、ステップST3〜ステップST6の処理を繰り返す。
初めに、ステップST11において、制御部4は、蒸気量を増加する必要があるか、蒸気量を減少する必要があるかを判定する。この判定は、偏差算出部43が算出した偏差量に基づいて行われ、制御部4は、必要蒸気量の方が大きい場合に蒸気量を増加する必要があると判定し、処理をステップST12に移す。一方、制御部4は、出力蒸気量の方が大きい場合に蒸気量を減少する必要があると判定し、処理をステップST20に移す。
また、ステップST21においてNOと判定されると、制御部4(ボイラ選択部44)は、運転しているボイラ20が均一な負荷率になるように負荷率を低下させるボイラ20を選択する(ステップST25)。この処理が終了すると、制御部4は、変動ボイラ選択処理を終了し、図6のステップST6に処理を移す。
ここで、図8を参照して、燃焼中のボイラ20の最大蒸気量と現在生成している蒸気量との差を「増加余力蒸気量」と呼び、燃焼中の複数のボイラ20における増加余力蒸気量の和を「合計増加余力蒸気量」と呼ぶ。なお、運転を停止しているボイラ20では、最大蒸気量分の余力を有することになるが、停止している状態であり急激な負荷変動に対して早急な追従ができないため、増加余力蒸気量は0となる。
ボイラシステム1では、このような合計増加余力蒸気量と急負荷変動蒸気量とに基づいて、停止しているボイラ20の運転を開始することとしてもよい。即ち、合計増加余力蒸気量が急負荷変動蒸気量よりも小さくなることを条件に、新たなボイラ20の運転を開始し、余力を確保することとしてもよい。
図9(1)を参照して、1号機ボイラから3号機ボイラのうち、1号機ボイラ及び2号機ボイラが燃焼し、3号機ボイラが運転を停止している。このとき、蒸気使用設備18における蒸気使用により必要蒸気量が増加すると、台数制御装置3の制御部4は、1号機ボイラ及び2号機ボイラの負荷率を上昇させて、出力蒸気量を増加する。
例えば、上記実施形態では、運転開始ボイラ及び停止ボイラ以外の他のボイラ20に対する詳細な説明を省略している。この点、運転開始ボイラ及び停止ボイラ以外の燃焼を継続するボイラ20の負荷率は、必要に応じて変更し、ボイラシステム1全体における圧力安定性を確保することとしてもよい。
2 ボイラ群
20 ボイラ
4 制御部
41 必要蒸気量算出部
42 出力蒸気量算出部
43 偏差算出部
44 ボイラ選択部
45 判定部
46 出力制御部
U 単位蒸気量
S1 最小燃焼状態
L1 増缶ライン
L2 減缶ライン
Claims (4)
- 負荷率を連続的に変更して燃焼可能な複数のボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
前記複数のボイラには、最も小さい燃焼状態における蒸気量である最小蒸気量が設定されており、
前記制御部は、既に燃焼しているボイラがある状態において、燃焼させるボイラの台数を増加させる場合、新たに燃焼を開始するボイラを最小蒸気量で燃焼させることに伴い、前記既に燃焼しているボイラの負荷率を低下させ、必要蒸気量が増加した場合、前記新たに燃焼を開始させたボイラから優先して負荷率を上昇させるボイラシステム。 - 前記ボイラ群には、燃焼させるボイラの台数を増加させる基準となる負荷率を示す増缶ラインが設定されており、
前記制御部は、
前記複数のボイラのうち燃焼状態にあるボイラの負荷率が、前記増缶ラインが規定する負荷率に到達すると、燃焼させるボイラの台数を増加させるボイラ選択部、を備える請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記ボイラ群には、燃焼させるボイラの台数を増加させる基準となる増加基準蒸気量が設定されており、
前記制御部は、
前記複数のボイラのうち燃焼状態にあるボイラについて、該ボイラそれぞれの最大蒸気量と出力蒸気量との差である増加余力蒸気量を算出すると共に、算出された前記増加余力蒸気量の和である合計増加余力蒸気量を算出する余力算出部と、
前記余力算出部により算出された前記合計増加余力蒸気量が前記増加基準蒸気量を下回った場合に、燃焼させるボイラの台数を増加させるボイラ選択部と、を備える請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記ボイラ群には、燃焼させるボイラの台数を減少させる基準となる負荷率を示す減缶ラインが設定されており、
前記制御部は、
前記複数のボイラのうち燃焼状態にあるボイラの負荷率が前記減缶ラインが規定する負荷率に到達すると、燃焼状態にあるボイラのうち1のボイラを停止ボイラとして選択するボイラ選択部と、
要求負荷に対して前記停止ボイラの負荷率を変更すると共に、前記停止ボイラの負荷率が前記最も小さい燃焼状態に対応する負荷率まで低下すると、該停止ボイラの燃焼を停止する出力制御部と、を備える請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
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