JP6330417B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
そして、このようなボイラシステムにおいては、給蒸中のボイラ(以下、「給蒸ボイラ」ともいう)の負荷が均一になるように、燃焼量を増加させる場合には各ボイラの燃焼率が最も低いボイラを優先的に燃焼量を増加させ、また燃焼量を減少させる場合には各ボイラの燃焼率が最も高いボイラを優先的に燃焼量を減少させる制御を行うことがなされている。そうすることで、最終的に給蒸中のボイラの燃焼率がそれぞれほぼ同じとなる。
ここで、給蒸していないボイラとして、燃焼停止状態のボイラ及び連続パイロット燃焼状態(種火の状態)のボイラが挙げられる。燃焼停止状態のボイラは、給蒸開始のための起蒸指示を受けた場合、プレパージを行ってボイラの内部に残存する燃料の未燃焼成分を除去し、プレパージが完了した後に、燃料を燃焼させて蒸気の生成を開始する。これに対して、連続パイロット燃焼状態(種火の状態)のボイラは、給蒸開始のための起蒸指示を受けた場合、プレパージすることなく、燃焼開始させて蒸気の生成を開始する。
いずれにしても、給蒸開始のための起蒸指示を受けたボイラ(以下「増缶ボイラ」ともいう)は通常、最少燃焼率、例えば20%で燃焼を開始する。このため、台数制御装置(制御部)は、燃焼量を増加させる場合に、給蒸中のボイラの負荷が均一になるように各ボイラの燃焼率が最も低いボイラの燃焼量を優先的に増加させるという従来の制御を実行すると、ボイラ群のなかに給蒸を開始したボイラが存在する場合には、当該ボイラのみ極端に燃焼率が低い状態となるため、当該ボイラに集中して燃焼量を増加させることになる。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
本実施形態のボイラ20は、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、燃焼率20%の燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼率が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼率を調整するようになっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
なお、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
最大変動蒸気量として、単位時間あたりに増加可能な蒸気量の上限値である最大増加蒸気量と、単位時間あたりに減少可能な蒸気量の上限値である最大減少蒸気量と、がそれぞれ設定される。
なお、最大変動蒸気量の設定として、単位蒸気量Uの整数倍(例えば、単位蒸気量×1)に対応する値に替えて、ボイラ20の最大蒸気量に対する割合(例えば、百分率による割合)を用いてもよい。また、ボイラ20の最大変動蒸気量を出力する燃焼率を設定してもよい。
また、必要蒸気量が予め設定された基準蒸気量に達する(以下になる又はより小さくなる)と給蒸ボイラ20のうちの1のボイラ20を燃焼停止状態又は連続パイロット燃焼状態にする。
これら所定の基準蒸気量は、任意に設定することができ、また、給蒸ボイラの台数を決定するための基準閾値として、基準蒸気量以外の任意の情報を用いることとしてもよい。
燃焼率を用いる場合、給蒸ボイラ20の燃焼率が所定の基準閾値(例えば、給蒸ボイラ20が1台の場合は50%、2台の場合は100%、3台の場合は150%等)に達すると、給蒸していないボイラ20が燃焼を開始し給蒸ボイラ20の台数を増加する。
逆に、給蒸ボイラ20の燃焼率が所定の基準閾値(例えば、燃焼状態にあるボイラ20が2台の場合は50%、3台の場合は100%、4台の場合は150%等)に達すると、給蒸ボイラ20を燃焼停止状態又は連続パイロット燃焼状態にし、給蒸ボイラ20の台数を減少する。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量、及び必要蒸気量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
ここで、燃焼停止状態S0にあるボイラ20に対する起蒸指示は、例えば、パイロットバーナを点火すると共に送風機を運転させてボイラ20の内部に滞留した可燃成分を除去するパイロット運転指示と、メインバーナによる燃焼指示を含む。また、連続パイロット燃焼状態にあるボイラ20に対する起蒸指示は、メインバーナによる燃焼指示を含む。
制御部4は、起蒸指示を受けたボイラ(増缶ボイラ)20に関して、起蒸指示が出された旨の情報を記憶部5に記憶する。
そして、制御部4は、増缶ボイラ20から発生する蒸気の圧力が上がり始めた後、第1判定部43により当該ボイラ20が給蒸を開始すると判定されるまで、最小燃焼率(20%)で、当該ボイラ20を燃焼させてもよい。
前述したように、第1増加量は例えば、増缶ボイラ20の単位蒸気量Uの整数倍(例えば、単位蒸気量U×2)としてもよい。第1増加量は例えば、増缶ボイラ20の単位蒸気量Uとしてもよい。また、第1増加量は増缶ボイラ20の最大蒸気量の1%以下としてもよい。また、第1増加量をゼロ、すなわち、出力制御部45は、増缶ボイラ20の出力蒸気量の増加量を、第2判定部44により第1時間を経過したと判定するまでの間、ゼロとしてもよい。
起蒸指示を行った3号機ボイラが給蒸を開始していない場合、出力制御部45は、3号機ボイラから発生させる予定の蒸気を既に燃焼状態にある1号機ボイラ及び2号機ボイラから代わりに発生させるよう、1号機ボイラ及び2号機ボイラの燃焼率を上昇させる。また、出力制御部45は、3号機ボイラが給蒸を開始するまでの間、蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)の変動に応じて1号機ボイラ及び2号機ボイラの燃焼率を連続的に変更する。
しかしながら、起蒸指示を受けたボイラ20は、給蒸開始直後は、出力蒸気量増加が安定しないことがあるため、例えば当該ボイラ20の単位時間あたりに増加可能な蒸気量の上限値である最大増加蒸気量が指示されたにも関わらず、当該ボイラ20の実際の出力蒸気量が指示蒸気量より過小となるおそれがある。
なお、第1判定部46により給蒸を開始したと判定された給蒸開始ボイラ20の出力蒸気量の増加量は、第2判定部44により第1時間を経過したと判定されるまでの間、予め設定される第1増加量以下としてもよい。
その際、第1増加量として、例えば給蒸開始ボイラ20の単位蒸気量、給蒸開始ボイラ20の最大蒸気量の1%以下、又はゼロとすることができる。
例えば、本実施形態では、本発明を、5台のボイラ20からなるボイラ群2を備えるボイラシステムに適用したが、これに限らない。すなわち、本発明を、6台以上のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに適用してもよく、また、4台以下のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに適用してもよい。
2 ボイラ群
4 制御部
20 ボイラ
41 蒸気量算出部
42 起蒸指示部
43 第1判定部
44 第2判定部
45 出力制御部
Claims (6)
- 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラからなり、負荷機器に蒸気を供給するボイラ群と、
負荷機器からの要求負荷に応じた目標蒸気量の蒸気を生成するために、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
要求負荷に応じて、複数の前記ボイラのうち、燃焼停止状態のボイラ及び連続パイロット燃焼状態のボイラである給蒸していないボイラに対して、燃料を燃焼させて蒸気を生成させて生成した蒸気の供給を開始させる給蒸開始のための起蒸指示を行う起蒸指示部と、
前記起蒸指示部により起蒸指示された前記ボイラが燃料を燃焼させて蒸気を生成させて生成した蒸気を供給する給蒸を開始したか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により、前記起蒸指示された前記ボイラが給蒸を開始したと判定されてから予め設定される第1時間が経過したか否かを判定する第2判定部と、
複数の前記ボイラのうち蒸気を供給しているボイラである給蒸ボイラの出力蒸気量を要求負荷に応じて変更することで、要求負荷に応じた目標蒸気量の蒸気を出力するための制御を行う出力制御部と、を備え、
前記出力制御部は、前記起蒸指示された前記ボイラが給蒸を開始したと判定されてから前記第1時間が経過するまでの間、前記ボイラの単位時間当たりの出力蒸気量増加を抑制する、ボイラシステム。 - 前記出力制御部は、前記第1判定部により給蒸を開始したと判定された給蒸開始ボイラの単位時間あたりの出力蒸気量の増加量を、前記第2判定部により前記第1時間を経過したと判定されるまでの間、当該ボイラの単位時間あたりに増加可能な蒸気量の上限値として予め設定される最大増加蒸気量未満に抑制する請求項1に記載のボイラシステム。
- 前記第2判定部により前記第1時間を経過したと判定されるまでの間、前記第1判定部により給蒸を開始したと判定された給蒸開始ボイラの単位時間あたりの出力蒸気量の増加量は、予め設定される第1増加量以下である請求項2に記載のボイラシステム。
- 前記第1増加量は前記給蒸開始ボイラの単位蒸気量である請求項3に記載のボイラシステム。
- 前記第1増加量は前記給蒸開始ボイラの最大蒸気量の1%以下である請求項3に記載のボイラシステム。
- 前記第1増加量はゼロである請求項5に記載のボイラシステム。
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