JP5924070B2 - ボイラシステム - Google Patents

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Description

本発明は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムに関する。
従来、複数の燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群と、このボイラ群を制御する制御部と、を備えるボイラシステムでは、複数のボイラに優先順位を設定することで、要求される負荷が変動した場合におけるボイラ群の燃焼状態を制御している。
また、ボイラ群において、要求される負荷が増加したことに伴って燃焼停止位置にあるボイラを起動する場合に、この燃焼停止位置にあるボイラが給蒸を開始するまでの間、既に給蒸を行っているボイラの燃焼位置を一時的に上位の燃焼位置に移行させてバックアップすることで、要求される負荷に対する追従性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1−256704号公報
ところで、ボイラシステムにおいて、ボイラ群を構成する複数のボイラの燃焼状態は、複数のボイラで生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダにおいて測定される蒸気の圧力により制御される。即ち、要求される負荷が増加した場合には、蒸気の使用量が増加するので、蒸気ヘッダにおいて測定される圧力は低下する。すると、ボイラシステムは、低下した蒸気の圧力に対応して起動するように設定された所定のボイラを起動させ、又は所定のボイラの燃焼位置を上位の燃焼位置に移行させて蒸気の生成量を増加させる。そして、蒸気の生成量が増加して、蒸気ヘッダにおいて測定される蒸気の圧力が上昇した場合には、ボイラシステムは、起動させたボイラを停止させ、又は上位の燃焼位置に移行させたボイラの燃焼位置を下位の燃焼位置に移行させて蒸気の生成量を減少させる。
そのため、特許文献1で提案された技術では、燃焼停止位置にあったボイラが給蒸を開始する前に、バックアップを行うボイラが供給する蒸気により蒸気ヘッダにおいて測定される蒸気の圧力が所定の値まで上昇した場合には、給蒸を開始するために起動されたボイラが停止されてしまう。このように、燃焼停止位置にあるボイラが給蒸を開始する前に停止することが繰り返されると、この燃焼停止位置にあるボイラは、給蒸状態に達することなく起動及び停止が繰り返されることとなり、ボイラシステムにおける熱エネルギのロスが生じてしまう。
従って、本発明は、燃焼停止位置にあるボイラが給蒸状態に達することなく起動及び停止を繰り返すことによる熱エネルギのロスを低減できるボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、第1燃焼位置及び該第1燃焼位置よりも高い燃焼位置である第2燃焼位置を含む複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数備え、複数の前記ボイラに優先順位が設定されたボイラ群と、該ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記制御部は、前記ボイラ群のうちのいずれかのボイラが前記第1燃焼位置に位置し、いずれかのボイラが給蒸を行っていない状態において、前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が所定の閾値を下回った場合に、給蒸を行っていない前記ボイラのうち前記優先順位の最も高いボイラに給蒸開始指示を出し、前記給蒸開始指示を受けたボイラが給蒸を開始する前に前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が前記閾値を上回った場合に、前記給蒸開始指示が出されたボイラを給蒸準備状態に保持させるボイラシステムに関する。
また、前記制御部は、前記給蒸開始指示を出した場合に、前記第1燃焼位置に位置しているボイラを前記第2燃焼位置に移行させ、前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が前記閾値を上回った場合、又は前記給蒸開始指示を受けたボイラからの給蒸が開始された場合に、前記第1燃焼位置に位置しているボイラを前記第1燃焼位置に移行させることが好ましい。
本発明のボイラシステムによれば、燃焼停止位置にあるボイラが起動及び停止を繰り返すことによる熱エネルギのロスを低減できる。
本発明の一実施形態に係るボイラシステムの概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラ群の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係る各ボイラの燃焼パターン及び優先順位と、蒸気圧制御範囲における蒸気圧帯との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作を示すフロー図である。
以下、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(3台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20と電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態を制御する。台数制御装置3の詳細については、後述する。
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、供給蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が減少することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、供給蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が増加することになる。従って、ボイラシステム1は、蒸気圧センサ7により測定された蒸気圧の変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。そして、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧に基づいて蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じた目標蒸発量を算出する。
ここで、本実施形態のボイラシステム1を構成する複数のボイラ20の詳細について説明する。図2は、本実施形態に係るボイラ群2の概略を示す図である。
本実施形態のボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラからなる。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。
ボイラ20の各燃焼位置における燃焼量は、制御対象とされる蒸気ヘッダ6における蒸気圧の圧力差に対応する量の蒸気を発生するように設定されている。段階値制御ボイラからなる3台のボイラ20においては、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力は、等しく設定されていてもよく、あるいは、異なって設定されていてもよい。
本実施形態におけるボイラ20は、図2に示すように、燃焼停止位置(0%)、第1燃焼位置としての低燃焼位置(50%)、及び第2燃焼位置としての高燃焼位置(100%)の3段階の燃焼位置で燃焼可能とされるいわゆる3位置制御のボイラ20により構成される。この場合、高燃焼位置における燃料状態(高燃焼状態)の燃焼量を1.0と捉えれば、各ボイラ20の燃焼量は0.5刻みで変更することができることになる。
尚、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。燃焼位置の個数は、2位置(つまり、オン/オフのみ)、4位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置)、又は5位置以上でもよい。
また、本実施形態においては、各ボイラ20において、燃焼停止位置から低燃焼位置に移行して蒸気の供給(給蒸)が開始されるまでの状態を、給蒸準備状態という。この給蒸準備状態は、以下の(1)〜(3)の状態を含む。
(1)連続パイロット燃焼状態:燃料としてガスを用い、パイロットバーナ及びメインバーナを有して構成されるガス焚きボイラにおいて、パイロットバーナを燃焼させることでボイラ20の内部における未燃ガスの滞留を防ぎ、燃焼指示を受けた場合に速やかにメインバーナに着火可能とされた状態。尚、連続パイロット燃焼状態は、少なくともメインバーナの燃焼が停止されている場合にパイロットバーナを燃焼させる状態をいう。即ち、連続パイロット燃焼状態は、メインバーナが燃焼しているときには、パイロットバーナの燃焼を停止させる場合を含む。
(2)微風パージ状態:燃料として油を用いる油焚きボイラにおいて、送風機を連続して駆動させてボイラ20(缶体)の内部への空気の供給を維持することで、ボイラ20の内部における気化した油成分の滞留を防ぎ、燃焼指示を受けた場合に速やかにバーナに着火可能とされた状態。尚、微風パージ状態には、バーナの燃焼時よりも弱い状態で送風機を運転する場合、及びバーナの燃焼時と同状態で送風機を運転する場合が含まれる。
(3)圧力保持状態:給蒸は行っていないがボイラ20の内部の圧力を保持し、燃焼指示を受けた場合に、速やかに給蒸を開始可能とされた状態。
尚、給蒸準備状態は、上記(1)〜(3)単独の状態だけではなく、(1)かつ(2)の状態(圧力を保持した状態で連続パイロット燃焼を行っている状態)、及び(1)かつ(3)の状態(圧力を保持した状態で微風パージを行っている状態)を含む。
以上のボイラ群2には、各ボイラ20とその各燃焼位置との組み合わせからなる複数の燃焼パターンが設定されている。図3は、本実施形態に係る各ボイラ20の燃焼パターン及び優先順位と、蒸気圧制御範囲における蒸気圧帯との関係を示す図である。
本実施形態においては、図3に示すように、燃焼パターンは、ボイラを高燃焼位置で燃焼させる状態(高燃焼状態)にする場合を「H」、低燃焼位置で燃焼させる状態(低燃焼状態)にする場合を「L」、燃焼停止状態にする場合を「−」として示す。
燃焼パターンは、蒸気圧センサ7にて検出される蒸気圧が高くなるほど燃焼量が小さいパターンが選択され、蒸気圧が低下するほど燃焼量が大きいパターンが選択される。図3に示すように、本実施形態では、蒸気圧制御範囲は、A〜Gの7つの蒸気圧帯に区分される。そして、ボイラシステム1は、蒸気圧帯ごとに、対応する燃焼パターン、即ち、燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、蒸気圧がどの圧力帯に対応するかによって燃焼量を決定する。燃焼パターンは、7つの蒸気圧帯に対応して、7つ設定される。
より具体的には、図3に示すように、最上位の蒸気圧帯A(要求負荷が小さい場合)においては、すべてのボイラ20が燃焼停止位置(−)に位置し、最下位の蒸気圧帯G(要求負荷が大きい場合)においては、すべてのボイラ20が高燃焼位置(H)に位置する。
複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラを選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2及び図3に示すように、ボイラ20の1号機〜3号機のそれぞれに「1」〜「3」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、3号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
本実施形態では、図3に示すように、最上位の蒸気圧帯Aから最下位の蒸気圧帯Gに向けて蒸気圧が低下していく場合、通常の制御においては、最も優先順位が高いボイラ(ここでは1号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更された後に、次に順位が高いボイラ(ここでは2号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更される。そして、すべてのボイラ20が低燃焼状態(L)に変更された後に、最も優先順位が高いボイラ20(ここでは1号ボイラ)が低燃焼状態(L)から高燃焼状態(H)に変更される。
ボイラ20は、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定するローカル蒸気圧測定部27と、ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を制御するローカル制御部25と、を備える。
ローカル蒸気圧測定部27は、蒸気圧センサから構成され、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定する。
ローカル制御部25は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を変更させる。具体的には、ローカル制御部25は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、又はローカル蒸気圧測定部27により測定されたボイラ20の内部の蒸気圧に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部25は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の内部の蒸気圧、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータ等が挙げられる。
次に、台数制御装置3の詳細について説明する。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を算出し、各ボイラ20のローカル制御部25に台数制御信号を送信する。
この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
記憶部5は、台数制御装置3(制御部4)の制御により各ボイラ20に対して行われた指示や、各ボイラ20から受信した燃焼状態(燃焼位置)等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を記憶する。
制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20のローカル制御部25に各種の指示を行ったり、ローカル制御部25から各種のデータを受信したりして、3台のボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)や優先順位を制御する。各ボイラ20のローカル制御部25は、台数制御装置3から燃焼位置の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
本実施形態では、制御部4は、ボイラ群2のうちのいずれかのボイラ20が低燃焼位置に位置し、いずれかのボイラ20が燃焼停止位置に位置している(給蒸を行っていない)状態において、ボイラ群2から発生する蒸気の圧力が所定の閾値を下回った場合に、給蒸を行っていないボイラ20のうち優先順位の最も高いボイラ20(以下、対象ボイラともいう)に給蒸開始指示を出す。
より具体的には、制御部4は、いずれかのボイラ20が低燃焼位置に位置し、いずれかのボイラ20が燃焼停止位置に位置している燃焼パターンでボイラ群2が燃焼している状態において要求負荷が増加し、蒸気圧センサ7にて測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が、この燃焼パターンに対応して設定された蒸気圧の範囲の下限値である閾値を下回った場合に、対象ボイラ20のローカル制御部25に、この対象ボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す(台数制御信号を出力する)。
ローカル制御部25は、制御部3から送信された台数制御信号に基づいて、対象ボイラ20の燃焼を開始させる。これにより、対象ボイラ20は、給蒸準備状態となる。
尚、給蒸開始指示とは、燃焼停止位置に位置するボイラを、低燃焼位置で燃焼させて給蒸を行わせる指示をいい、燃焼停止状態のボイラを低燃焼位置で燃焼させる指示及び給蒸準備状態のボイラを低燃焼位置で燃焼させる指示を含む。
また、制御部4は、対象ボイラ20に給蒸開始指示を出した場合(燃焼停止位置にあるボイラ20に低燃焼位置に移行する指示を出した場合)、低燃焼位置に位置しているボイラ20のうちの優先順位の最も高いボイラ20であるバックアップボイラ20のローカル制御部25に、このバックアップボイラ20を高燃焼位置に移行させる指示を出す。これにより、バックアップボイラ20は、高燃焼位置に移行されて、対象ボイラ20が燃焼を開始して給蒸を開始するまでの間バックアップ燃焼を行う。
また、制御部4は、給蒸開始指示を受けた対象ボイラ20が給蒸を開始する前に、ボイラ群2から発生する蒸気の圧力が上述の閾値を上回った場合に、対象ボイラ20を給蒸準備状態に保持させる指示を出す。
即ち、制御部4は、バックアップボイラ20のバックアップ燃焼により蒸気が供給されることにより、対象ボイラ20が給蒸を開始する前(低燃焼位置に移行する前)に蒸気圧センサ7にて測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回った場合には、対象ボイラ20のローカル制御部25に、対象ボイラ20の燃焼を停止させる指示に代えて給蒸準備状態を保持させる指示を出す。これにより、対象ボイラ20は、燃焼停止状態とはならず、給蒸準備状態に維持される。
また、この場合、制御部4は、高燃焼位置に位置しているバックアップボイラ20のローカル制御部25に、バックアップボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。
ここで、給蒸準備状態を保持させる指示としては、ボイラ20としてパイロットバーナ及びメインバーナを有して構成されるガス焚きボイラが用いられている場合には、連続パイロット燃焼状態を維持させる指示、圧力保持状態を維持させる指示、及び圧力保持状態を保ちつつパイロット燃焼状態を維持させる指示が挙げられる。
制御部4により、対象ボイラ20のローカル制御部25に連続パイロット燃焼状態を維持させる指示が出された場合、ローカル制御部25は、対象ボイラ20のパイロットバーナを燃焼状態に維持させる。
制御部4により、対象ボイラ20のローカル制御部25に圧力保持状態を維持させる指示が出された場合、ローカル制御部25は、対象ボイラ20のローカル蒸気圧測定部27により測定される蒸気圧が所定の範囲の正圧に維持されるように、対象ボイラ20の燃焼状態を制御する。尚、対象ボイラ20を圧力保持状態とする場合には、対象ボイラ20の蒸気圧は、給蒸が可能となる蒸気圧に近い圧力に維持されることが好ましい。
また、ボイラ20として油焚きボイラが用いられている場合には、給蒸準備状態を保持させる指示としては、微風パージ状態を維持させる指示、圧力保持状態を維持させる指示、及び圧力保持状態を保ちつつ微風パージ状態を維持させる指示が挙げられる。
制御部4により、対象ボイラ20のローカル制御部25に微風パージ状態を維持させる指示が出された場合、ローカル制御部25は、対象ボイラ20の送風機を連続運転させる。
また、制御部4は、給蒸開始指示を受けた対象ボイラ20から給蒸が開始された場合、高燃焼位置に位置しているバックアップボイラ20のローカル制御部25に、バックアップボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。これにより、バックアップボイラ20は、低燃焼位置に移行され、バックアップ燃焼は終了する。
次に、本実施形態のボイラシステム1の動作につき、図3〜図6を参照しながら説明する。
ここでは、図4(A)に示すように、ボイラ20の1号機〜3号機のそれぞれに「1」〜「3」の優先順位が割り当てられている場合において、1号機のボイラ20が低燃焼位置で燃焼し、2号機及び3号機のボイラ20が燃焼停止位置に位置している状態から、図4(B)に示すように、1号機〜3号機それぞれの優先順位が「3」、「1」、「2」の順に変更された場合に、要求負荷が増加した場合のボイラシステム1の動作について説明する。この状態では、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧は、図3に示す蒸気圧帯Bの範囲に位置している。
この場合、図6に示すように、まず、ステップST1において、制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧を監視する。ここで、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が図3に示す蒸気圧帯Bの下限値である閾値を下回っていない場合、処理はステップST1に戻る。蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を下回った場合、処理はステップST2に進む。
ステップST2において、制御部4は、燃焼停止位置にあるボイラ20のなかで最も優先順位の高い2号ボイラ20のローカル制御部25に給蒸開始指示を出す。2号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20の燃焼を開始させ、2号ボイラ20は、給蒸準備状態となる(図4(C)参照)。そして、処理は、ステップST3に進む。
ステップST3において、制御部4は、低燃焼位置に位置しているボイラの中で最も優先順位の高い1号ボイラ20のローカル制御部25に、1号ボイラ20を高燃焼位置に移行させる指示を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20を高燃焼位置に移行させてバックアップ燃焼を開始させる(図5(A)参照)。そして、処理は、ステップST4に進む。
ステップST4において、制御部4は、2号ボイラ20が給蒸を開始したかを判定する(低燃焼状態に移行したかを判定する)。給蒸を開始したか否かは、2号ボイラ20の蒸気圧が所定の閾値を上回ったか否かにより判定される。制御部4により、2号ボイラ20が給蒸を開始したと判定された場合、処理はステップST8に進む。制御部4により、2号ボイラ20が給蒸を開始していないと判定された場合、処理は、ステップST5に進む。
ステップST5において、制御部4は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったかを判定する。制御部4により、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったと判定されなかった場合、処理は、ステップST4に戻る。制御部4により、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったと判定された場合、処理は、ステップST6に進む。
ステップST6において、制御部4は、2号ボイラ20のローカル制御部25に、2号ボイラ20を燃焼停止状態にせず、給蒸準備状態に保持させる指示を出す。2号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20を給蒸準備状態に保持させる(図5(A)参照)。そして、処理は、ステップST7に進む。
ステップST7において、制御部4は、1号ボイラ20のローカル制御部25に、1号ボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20を低燃焼位置に移行させてバックアップ燃焼を停止させる(図4(C)参照)。そして、処理は、ステップST1に戻る。
一方、ステップST4において、制御部4により、2号ボイラ20が給蒸を開始したと判定された場合、制御部4は、ステップST8において、1号ボイラ20のローカル制御部25に、1号ボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20を低燃焼位置に移行させてバックアップ燃焼を停止させる(図5(B)参照)。そして、処理は、ステップST9に進む。
ステップST9において、制御部4は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったかを判定する。制御部4により、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったと判定されなかった場合、処理は、ステップST9に戻る。制御部4により、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回ったと判定された場合、処理は、ステップST10に進む。
ステップST10において、制御部4は、低燃焼位置で燃焼しているボイラのうち優先順位の低い1号ボイラ20のローカル制御部25に、燃焼停止指示を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、1号ボイラ20の燃焼を停止させて、1号ボイラ20を燃焼停止状態とする(図5(C)参照)。そして、本フローの処理は終了する。
以上説明した本実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)制御部4に、いずれかのボイラ20が低燃焼位置に位置し、いずれかのボイラ20が給蒸を行っていない状態において、蒸気圧センサ7にて測定される蒸気圧が閾値を下回った場合に、給蒸を行っていないボイラ20のうち優先順位の最も高い対象ボイラ20に給蒸開始指示を出させ、この対象ボイラ20が給蒸を開始する前に蒸気圧センサ7にて測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が所定の閾値を上回った場合に、対象ボイラ20を給蒸準備状態に保持させた。これにより、燃料停止位置に位置する対象ボイラ20に給蒸開始指示が出された後、この対象ボイラ20が給蒸を開始する前に蒸気ヘッダ6の蒸気圧が上昇した場合に、対象ボイラ20を給蒸準備状態に保持させられる。よって、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が再度閾値を下回って対象ボイラ20に給蒸開始指示が出された場合に、この対象ボイラ20が給蒸を開始可能となるまでの時間を短縮できる。その結果、燃焼停止位置にあるボイラ20が給蒸状態に達することなく起動及び停止を繰り返すことを防げるので、ボイラシステム1による熱エネルギのロスを低減できる。
特に、ボイラ20において、高燃焼位置における燃焼量が低燃焼位置における燃焼量よりも大きく設定されている場合(ターンダウン比が大きい場合)、バックアップボイラ20によるバックアップ燃焼により短時間で蒸気ヘッダ6の蒸気圧が上昇するため、対象ボイラ20の起動及び停止の繰り返しが発生しやすい。そのため、ターンダウン比の大きいボイラ20によりボイラシステム1を構成した場合に、本実施形態の制御を適用することで、対象ボイラ20が給蒸状態に達することなく起動及び停止を繰り返すことを効果的に防げる。
(2)制御部4に、給蒸開始指示を出した場合に、低燃焼位置に位置しているボイラ20を高燃焼位置に移行させてバックアップ燃焼させ、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回った場合、又は対象ボイラ20からの給蒸が開始された場合に、高燃焼位置においてバックアップ燃焼しているボイラ20を低燃焼位置に移行させた。これにより、低燃焼位置に位置しているボイラ20をバックアップ燃焼させることで、負荷変動に対する追従性を向上させられると共に、蒸気ヘッダ6の蒸気圧が閾値を上回った場合又は対象ボイラ20が給蒸を開始した場合には、速やかにバックアップ燃焼を停止させられる。
(3)ボイラ群2における優先順位が変更された場合、優先順位変更後の優先順位に従って燃焼パターンを変更させる必要がある。ここで、燃焼パターンの変更は、優先順位変更後における優先順位の最も高いボイラ20が燃焼状態に移行することにより開始される。しかしながら、バックアップボイラ20による蒸気の供給により、優先順位が最も高いボイラ20が給蒸状態に達する前に起動及び停止を繰り返してしまうと、燃焼パターンの変更が進まず、優先順位の変更が円滑に進まない。そこで、本実施形態では、制御部4に上記(1)及び(2)の制御を行わせた。これにより、ボイラ群2の優先順位が変更された場合に、優先順位変更後における優先順位の最も高いボイラ20が給蒸状態に達する前に起動及び停止を繰り返すことを防げるので、優先順位の変更に伴うボイラ群2の燃焼パターンの変更を円滑に行える。
(4)制御部4に、対象ボイラ20を連続パイロット燃焼状態又は微風パージ状態に維持させた。これにより、対象ボイラ20に再度給蒸開始指示が出された場合、対象ボイラ20をパイロット燃焼させたり、プレパージしたりすることなく燃焼開始させられる。よって、対象ボイラ20に給蒸開始指示が出された場合における給蒸を開始するまでの時間を短縮できるので、燃焼停止位置にあるボイラ20が給蒸状態に達することなく起動及び停止を繰り返す回数を低減できる。
(5)制御部4に、対象ボイラ20を圧力保持状態に維持させた。これにより、対象ボイラ20に再度給蒸開始指示が出された場合、対象ボイラ20の蒸気圧を、給蒸が可能となる蒸気圧まで短時間で上昇させられる。よって、対象ボイラ20に給蒸開始指示が出された場合における給蒸を開始するまでの時間を短縮できるので、燃焼停止位置にあるボイラ20が給蒸状態に達することなく起動及び停止を繰り返す回数をより低減できる。
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明のボイラシステム1を、3位置制御のボイラ20に適用したが、これに限らない。即ち、本発明のボイラシステム1を、4位置制御のボイラに適用してもよい。この場合、第1燃焼位置は、低燃焼位置に対応し、第2燃焼位置は、中燃焼位置に対応する。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
4 制御部
20 ボイラ
L 低燃焼位置(第1燃焼位置)
H 高燃焼位置(第2燃焼位置)

Claims (2)

  1. 第1燃焼位置及び該第1燃焼位置よりも高い燃焼位置である第2燃焼位置を含む複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数備え、複数の前記ボイラに優先順位が設定されたボイラ群と、該ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記制御部は、
    前記ボイラ群のうちのいずれかのボイラが前記第1燃焼位置に位置し、いずれかのボイラが給蒸を行っていない状態において、前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が所定の閾値を下回った場合に、給蒸を行っていない前記ボイラのうち前記優先順位の最も高いボイラに給蒸開始指示を出し、
    前記給蒸開始指示を受けたボイラが給蒸を開始する前に前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が前記閾値を上回った場合に、前記給蒸開始指示が出されたボイラを、連続パイロット燃焼状態、微風パージ状態、圧力保持状態含む給蒸準備状態に保持させるボイラシステム。
  2. 前記制御部は、前記給蒸開始指示を出した場合に、前記第1燃焼位置に位置しているボイラを前記第2燃焼位置に移行させ、
    前記ボイラ群から発生する蒸気の圧力が前記閾値を上回った場合、又は前記給蒸開始指示を受けたボイラからの給蒸が開始された場合に、前記第2燃焼位置に位置しているボイラを前記第1燃焼位置に移行させる請求項1に記載のボイラシステム。
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