JP6550999B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
このようなボイラシステムにおいて、例えば工場停止等によりボイラ全台が停止し、かつヘッダ圧力が無圧状態でボイラ群の燃焼状態を制御する台数制御を始動させた場合、始動時は暖気運転のため、数台の燃焼で十分な蒸気供給が賄える状態であったとしても、ヘッダ圧力が所定の設定圧力を大幅に下回っているため、台数制御装置から全ボイラに対して燃焼指示が行われることがある。
このため、必要以上のボイラが燃焼してしまうことで、ヘッダ圧力がオーバーシュートし、圧力安定性が悪化することがある。また、本来は、燃焼が不要なボイラが燃焼することにより、システム効率も悪化することがある。
例えば、特許文献1には、ボイラシステムの初起動時に運転するボイラの台数を制限するようにしておき、初起動時から設定時間が経過後、若しくは燃焼指令が減少した後に、運転ボイラの台数制限を解除する制御を行う多缶設置ボイラが記載されている。
また、特許文献1に記載されたボイラシステムでは、初起動時から設定時間が経過後、若しくは燃焼指令が減少した後に、運転ボイラの台数制限を解除することが記載されているに過ぎず、それ以外の具体的な条件については何ら言及されていない。
まず、本発明の一実施形態に係るボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(6台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する台数制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(「ヘッダ圧力」)の変動を、蒸気圧センサ7が測定するヘッダ圧力値(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
ボイラシステム1を構成する複数のボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ又は連続制御ボイラにより構成することができる。また、ボイラシステム1を構成する複数のボイラ20として、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在してもよい。
なお、燃焼量を連続的に制御するとは、後述のローカル制御部における演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、連続制御ボイラの出力(燃焼量)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
ここで、単位蒸気量Uは、連続制御ボイラの最大燃焼状態S2における蒸気量(最大蒸気量)に応じて適宜設定できるが、ボイラシステムにおける出力蒸気量の必要蒸気量に対する追従性を向上させる観点から、連続制御ボイラの最大蒸気量の0.1%〜20%に設定されることが好ましく、1%〜10%に設定されることがより好ましい。
ローカル制御部22は、蒸気消費量に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される制御信号又は運転者の手動操作により入力された制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータ等が挙げられる。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、台数制御部4と、を備える。
台数制御始動検出部41は、ヘッダ圧力値がゼロ又は予め設定された第1圧力値未満の状態において、台数制御を停止した状態又は全ボイラ20の運転スイッチがオフの状態である第1状態から、台数制御が停止しておらずかつ少なくとも1台のボイラ20の運転スイッチがオンの状態である第2状態に変化したことを検出する。
始動時台数制御部42は、台数制御始動検出部41により、ボイラシステムの状態が第1状態から第2状態に変化したことが検出された場合、予め設定された第1蒸気量を確保できる最小台数分のボイラ20又は予め設定された第1台数分のボイラ20を燃焼制御対象ボイラとする。
第1検出部43は、第1検出状態を検出する。
ここで、第1検出状態とは、始動時台数制御部42によるボイラ20の燃焼が開始された後、予め設定された第1時間が経過した状態をいう。
第2検出部44は、第2検出状態を検出する。
ここで、第2検出状態とは、始動時台数制御部42によるボイラ20の燃焼が開始された後、ヘッダ圧力値が台数制御圧力帯域に到達し、その後ヘッダ圧力値が台数制御圧力帯域の範囲内で予め設定された第2時間継続する状態をいう。
第3検出部45は、第3検出状態を検出する。
ここで、第3検出状態とは、始動時台数制御部42によるボイラ20の燃焼が開始された後、ボイラ20が100%燃焼かつ蒸気を給蒸可能な状態が予め設定された第3時間を経過しても、ヘッダ圧力値が台数制御圧力帯域に到達しない状態をいう。
始動時制御停止部46は、第1検出部43が第1検出状態を検出した場合、又は第2検出部44が第2検出状態を検出した場合、又は第3検出部45が第3検出状態を検出した場合、始動時台数制御部42による制御を終了させる。そうすることで、台数制御部40は、通常の台数制御に戻る。
以上のフローチャートにしたがって、ボイラシステム1による処理が実行される。
図6は、本発明非適用時の従来のボイラシステムの台数制御始動時の動作を表す。
図7に示すように、台数制御始動検出部41は、時間T1において、ヘッダ圧力値がゼロの状態において、台数制御が停止された状態である第1状態から、台数制御が停止しておらずかつ少なくとも1台のボイラ20の運転スイッチがオンの状態である第2状態に変化したことを検出する。
この段階で、蒸気使用量は3000kg/h(すなわち、1.5台相当)であることから、ヘッダ圧力値は上昇することとなる。
これにより、例えば、工場停止等によりボイラ全台が停止し、かつヘッダ圧力が無圧状態でボイラ群の燃焼状態を制御する台数制御を始動させた場合において、予め設定された第1蒸気量を確保できる最小台数分のボイラ又は予め設定された台数分のボイラを燃焼させることで、ヘッダ圧力がオーバーシュートし、圧力安定性が悪化することを防止できるとともに、本来は、燃焼が不要なボイラが燃焼することによるシステム効率の悪化についても抑止することができる。
また、ヘッダ圧力を安定したまま、通常運転に移行することが可能となる。
本実施形態では、優先順位について触れなかったが、複数のボイラ20に、それぞれ優先順位を設定するように構成することができる。ここで、優先順位は、台数制御装置3が、それぞれ、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。各ボイラに設定される優先順位は、記憶部5に記憶される。
優先順位が設定される場合、始動時台数制御部42は、優先順位にしたがって、予め設定された第1蒸気量を確保できる最小台数分のボイラ20又は予め設定された第1台数分のボイラ20を選択するように構成することができる。
本実施形態では、本発明を、6台のボイラ20からなるボイラ群2を備え、暖気運転に必要な最小限の台数を2台とするボイラシステム1に適用したが、これに限らない。すなわち、本発明を、2台〜5台、又は7台以上のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに適用してもよい。
2 ボイラ群
20 ボイラ
3 台数制御装置
4 台数制御部
41 台数制御始動検出部
42 始動時台数制御部
43 第1検出部
44 第2検出部
45 第3検出部
46 始動時制御停止部
5 記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
Claims (4)
- 複数のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
前記ヘッダ圧力値に基づいて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する台数制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記台数制御部は、
前記ヘッダ圧力値がゼロ又は予め設定された第1圧力値未満の状態において、台数制御を停止した状態又は全ボイラの運転スイッチがオフの状態である第1状態から台数制御が停止しておらずかつ少なくとも1台のボイラの運転スイッチがオンの状態である第2状態への変化を検出する台数制御始動検出部と、
前記台数制御始動検出部により前記変化が検出された場合、予め設定された第1蒸気量を確保できる最小台数分の前記ボイラ又は予め設定された第1台数分の前記ボイラをそれぞれ燃焼制御対象として、最大燃焼状態を含む、任意の燃焼状態を制御する始動時台数制御部と、
を備える、ボイラシステム。 - 前記台数制御部は、さらに、
前記始動時台数制御部による前記ボイラ群の燃焼状態の制御が開始された後、予め設定された第1時間が経過した第1検出状態を検出する第1検出部と、
前記第1検出部により前記第1検出状態が検出された場合に前記始動時台数制御部による制御を終了させる始動時制御停止部と、を備える請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記台数制御部は、さらに、
前記始動時台数制御部による前記ボイラ群の燃焼状態の制御が開始された後、前記ヘッダ圧力値が予め設定された台数制御圧力帯域に到達し、その後前記ヘッダ圧力値が前記台数制御圧力帯域の範囲内で予め設定された第2時間継続する第2検出状態を検出する第2検出部と、
前記第2検出部により前記第2検出状態が検出された場合に前記始動時台数制御部による制御を終了させる始動時制御停止部と、を備える請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記台数制御部は、さらに、
前記始動時台数制御部による前記ボイラ群の燃焼状態の制御が開始された後、前記ボイラが100%燃焼かつ蒸気を給蒸可能な状態が予め設定された第3時間を経過しても、前記ヘッダ圧力値が予め設定された台数制御圧力帯域に到達しない第3検出状態を検出する第3検出部と、
前記第3検出部により前記第3検出状態が検出された場合に前記始動時台数制御部による制御を終了させる始動時制御停止部と、を備える請求項1に記載のボイラシステム。
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