JP5534062B1 - ボイラシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のボイラ20を備えるボイラ群2と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4と、を備えるボイラシステム1であって、制御部4は、複数のボイラ20の中に放熱ボイラがあるか否かを判定する放熱判定部41と、放熱ボイラの燃焼を開始し燃焼中の他のボイラと共に均一の負荷率で燃焼させた場合に、当該負荷率が所定負荷率を上回るか否かを判定する増台判定部43と、所定負荷率を上回ると判定されることを条件に、放熱ボイラを燃焼させる出力制御部44と、を備える。
【選択図】図6
Description
例えば、特許文献1には、ボイラを、台数増加負荷ゾーン、最適運転負荷ゾーン及び台数減少負荷ゾーンの3つの負荷ゾーンに区分し、ボイラが最適運転負荷ゾーンから外れ台数増加負荷ゾーン又は台数減少負荷ゾーンで燃焼する状態になると、燃焼させるボイラの台数を増加又は減少させ、ボイラを最適運転負荷ゾーンで燃焼させる比例制御ボイラの制御方法が提案されている。
この点、特許文献1に示す制御方法のように、単にボイラの効率を見て燃焼させるボイラの台数の増減させたのでは、放熱による熱損失や冷却されたボイラの燃焼開始に伴う立上損失によりボイラシステム全体におけるシステム効率が悪化するおそれがある。
なお、以下において燃焼停止状態にあるボイラのうち、保有している熱を放出しているボイラを「放熱ボイラ」、冷却されたボイラを「冷態ボイラ」と呼ぶことがある。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ20は、信号線16を介して台数制御装置3と電気的に接続されている。このボイラ20は、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の燃焼状態を制御するローカル制御部22と、を備える。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
本実施形態のボイラ20は、負荷率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、最大燃焼量の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼量を調整するようになっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
尚、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
後述するように、ボイラ群2は、燃焼しているボイラ20の余力の和(後述の合計余力蒸気量)が変動蒸気量を超えるように制御される。即ち、後述の合計余力蒸気量が設定された変動蒸気量以下になると(又はより小さくなると)、停止していたボイラ20が燃焼を開始し、ボイラ20の台数が増加する。
なお、放熱ボイラの負荷率を用いた燃焼するボイラ20の台数を決定する方法については、後述する。
本実施形態の台数制御装置3は、基本的には燃焼させるボイラ20だけでは変動蒸気量分の余力を確保できなくなった場合に燃焼させるボイラ20の台数を増加することとしているが、変動蒸気量分の余力を確保できている場合であっても燃焼を停止しているボイラ20の中に未だ熱を保有しているボイラ20(放熱ボイラ)が存在する場合には、この放熱ボイラの燃焼を開始することがある。このとき、放熱ボイラの燃焼開始に伴い燃焼状態にあるボイラ20の負荷率が減少するため、減台負荷率との関係によっては放熱ボイラの発停が繰り返される可能性がある。
即ち、放熱判定部41は、燃焼を停止しているボイラ20のうち、(1)缶内圧力が所定圧力を上回るボイラ20、(2)缶内圧力が所定圧力を下回ってからの経過時間が第1時間を下回るボイラ20、(3)缶体温度又は缶水温度が所定温度を上回るボイラ20、(4)燃焼停止指示が指令されてからの経過時間が第2時間を下回るボイラ20を、放熱ボイラとして判定する。なお、缶体温度はボイラ20の水管の温度(表面温度)であり、缶水温度はボイラ20の水管内の水の温度であるものとする。また、缶内圧力、缶体温度、缶水温度又は経過時間は、ボイラ20のローカル制御部22から必要に応じて送信されるものとする。また、放熱判定部41は、(1)〜(4)のそれぞれを組み合わせて放熱ボイラの判定を行うこととしてもよく、単独で放熱ボイラの判定を行うこととしてもよい。
第1増台判定とは、燃焼状態にある複数のボイラ20の合計余力蒸気量とボイラ群2に設定された変動蒸気量とを比較することで、燃焼させるボイラ20の台数を増加させる判定方法である。この判定では、増台判定部43は、合計余力蒸気量が変動蒸気量未満になると、燃焼させるボイラ20の台数を増加させる必要があると判定する。なお、増台判定部43による第1増台判定の方法は、これに限られず任意の方法により行うこととしてよい。
なお、所定負荷率は、放熱ボイラから放出される熱量と負荷率低下に伴い低下するボイラ効率との関係から任意に設定することができる。このとき、放熱ボイラの発停が繰り返されることを防止するため、所定負荷率は、減台負荷率よりも高く設定する。本実施形態では、所定負荷率として高効率ゾーンZに含まれ、かつ、減台負荷率に対して十分な余裕を持った負荷率(例えば、40%)を採用することとし、放熱ボイラを燃焼させた場合のボイラ効率の低下を抑制すると共に、放熱ボイラの発停が繰り返されることを防止している。
ステップST5の後、ステップST4において所定負荷率未満であると判定された場合、又はステップST4において所定負荷率を上回る状態が所定時間継続していないと判定された場合には、制御部4は、ボイラ台数増加処理を終了する。
なお、図5及び図6において、ボイラ20のそれぞれは容量が7000kgの7トンボイラであり、また、変動蒸気量として7000kg/hの蒸気量が設定されているものとする。
1号機ボイラ〜3号機ボイラが負荷率50%で燃焼しているため、合計余力蒸気量は10500kg/hであり、図5(1)では、変動蒸気量分の余力が確保できている。そのため、制御部4(増台判定部43)は、第1増台判定において余力が確保できており燃焼させるボイラ20の台数を増加させる必要はないと判定する(図4のステップST1においてYES)。
図6(1)においても、変動蒸気量分の余力が確保できているため、制御部4(増台判定部43)は、第1増台判定において余力が確保できており燃焼させるボイラ20の台数を増加させる必要はないと判定する(図4のステップST1においてYES)。
ここで、放熱ボイラの燃焼を開始した場合に燃焼状態にあるボイラ20の台数が増加することから、燃焼状態にあるボイラ20の1台当たりの負荷率が減少することになる。この点、制御部4は、放熱ボイラを他のボイラ20と共に均一の負荷率で燃焼させた場合の負荷率が減台負荷率に対して余裕を持った所定負荷率を上回るか否かにより第2増台判定を行う。このような第2増台判定により、減台負荷率に対して十分な余裕がある場合に限り放熱ボイラの燃焼を開始するため、放熱ボイラの発停が繰り返されることを防止できる。これにより、放熱ボイラの発停によるシステム効率の悪化を防止しつつ、放熱ボイラから放出される熱量を有効的に利用することができるため、ボイラシステム1全体におけるシステム効率を向上させることができる。
そこで、制御部4は、燃焼を停止しているボイラ20のうち缶体温度又は缶水温度が所定温度を上回るボイラ20や、燃焼を停止しているボイラのうち燃焼を停止してからの経過時間が第2時間を下回るボイラ20を放熱ボイラとして判定する構成としてもよい。このような構成により、より正確に放熱ボイラを特定することができ、結果、システム効率の向上が期待できる。
例えば、上記実施形態では、変動蒸気量分の余力が確保できているか否かにより第1増台判定を行うこととしているが、第1増台判定の方法はこれに限られるものではない。本発明は、第1増台判定により燃焼させるボイラ20の台数を増加する必要がないと判定された場合であっても、放熱ボイラについての増台判定を別に行うことを特徴とするものであり、第1増台判定の方法は適宜任意の方法を採用することとしてよい。
2 ボイラ群
20 ボイラ
4 制御部
41 放熱判定部
42 余力算出部
43 増台判定部
44 出力制御部
U 単位蒸発量
Claims (5)
- 負荷率を変更して燃焼可能な複数のボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
前記複数のボイラの中に放熱中のボイラがあるか否かを判定する放熱判定部と、
当該放熱中のボイラの燃焼を開始し、燃焼中の他のボイラと共に均一の負荷率で燃焼させた場合に、当該負荷率が所定負荷率を上回るか否かを判定する増台判定部と、
前記増台判定部により所定負荷率を上回ると判定されることを条件に、前記放熱中のボイラを燃焼させる出力制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 前記放熱判定部は、燃焼を停止しているボイラのうち缶内圧力が所定圧力を上回るボイラを、放熱中のボイラとして判定する、
請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記放熱判定部は、燃焼を停止しているボイラのうち缶内圧力が所定圧力を下回ってからの経過時間が第1時間を下回るボイラを、放熱中のボイラとして判定する、
請求項1又は2に記載のボイラシステム。 - 前記放熱判定部は、燃焼を停止しているボイラのうち缶体温度又は缶水温度が所定温度を上回るボイラを、放熱中のボイラとして判定する、
請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。 - 前記放熱判定部は、燃焼を停止しているボイラのうち燃焼を停止してからの経過時間が第2時間を下回るボイラを、放熱中のボイラとして判定する、
請求項1から4のいずれかに記載のボイラシステム。
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