特開2012−251721号公報にあるように、複数台のボイラと、ボイラの燃焼台数を制御する台数制御装置からなる多缶設置ボイラが広く使用されている。台数制御装置は、ボイラが供給している蒸気の圧力値を圧力調節範囲内に維持するように、ボイラ全体での燃焼量を制御するものであり、蒸気圧力値が低くなるとボイラ全体での燃焼量を大きくし、蒸気圧力値が高くなるとボイラ全体での燃焼量を小さくする。そして台数制御装置では、ボイラ全体での燃焼量から個々のボイラでの燃焼値を決定し、各ボイラに対して決定した燃焼値の燃焼指令を出力する。特開2012−251721号公報に記載しているボイラでの燃焼値の調節は、各ボイラでは、高燃焼・中燃焼・低燃焼・燃焼待機の四位置燃焼制御を行うようにしており、台数制御装置は各ボイラに対してどの燃焼値とするかを決定してその燃焼指令を出力することで行っている。
図8は、高燃焼・中燃焼・低燃焼・燃焼待機の4位置で燃焼制御するボイラ4台で台数制御を行う場合の台数制御パターンを示している。図ではボイラの燃焼状態は、高燃焼の場合を「H」、中燃焼の場合を「M」、低燃焼の場合を「L」、燃焼待機の場合を「−」で示している。図ではある蒸気圧力値における各ボイラの燃焼値を表した燃焼パターンと、その燃焼パターンを変更していく状態を表した台数制御パターンを示している。
ボイラの燃焼量は、全てのボイラで燃焼待機となっている「――――」の状態から、全てのボイラで高燃焼となる「HHHH」まであり、ここでは13段階の燃焼パターンを設定している。この燃焼量は、ボイラから供給している蒸気の圧力値に対応させて設定しており、蒸気圧力値が高いほどボイラの燃焼量は小さくなるようにし、蒸気圧力値が低いほどボイラの燃焼量が大きくなっていくようにしておく。なお、実際の台数制御パターンでは、図4から図7に記載しているように燃焼量を減少する場合も設定する。しかし、燃焼量減少時の台数制御パターンを記載すると図は複雑となり、設定を変えた台数制御パターン同士の比較を行いにくくなる。そのためここでは、全ボイラを燃焼待機としている状態からから全ボイラを高燃焼としている状態まで一方向へ変化していった場合での台数制御パターンを記載している。
図8では、3つの台数制御パターンを設定している。3つの台数制御パターンは、即時燃焼量増加可能ボイラである低燃焼または中燃焼で燃焼するボイラの維持目標台数が異なるもので、維持目標台数の設定値が2台の場合、3台の場合、4台の場合を並べて記載している。この維持目標台数設定値は、蒸気使用側での蒸気使用量の変動状況に基づき設定するものである。
蒸気使用量の変動が急である場合、ボイラでは蒸気使用量の変化にあわせて短時間で蒸気供給量を増加することが必要となる。ボイラで燃焼値の変更を行う場合、燃焼値を減少する方向の変更は、燃料及び燃焼用空気の供給量を減少又は停止を行うだけであるために短時間で行える。そして燃焼値を増加する方向の変更でも、低燃焼から中燃焼への変更や中燃焼から高燃焼への変更の場合には、燃料及び燃焼用空気の供給量を増加するだけであるために短時間で変更することができる。しかし、燃焼を停止している状態から燃焼を開始する場合は、炉内換気などの準備工程を行う必要がある。さらにボイラが冷えている場合、蒸気発生温度に上昇するまでは蒸気を供給することができない。そのため、燃焼指令の出力から蒸気供給を開始するまでには比較的長い時間が必要となる。
そこで、蒸気使用量が急激に増加することのある場合には、燃焼値の増加によって蒸気供給量をすぐに増加することのできるボイラを一定台数確保するようにしておき、蒸気使用量の急増に備えることを行っている。つまり、即時燃焼量増加可能ボイラである低燃焼又は中燃焼を行うボイラを一定台数確保しておくと、低燃焼から中燃焼への増加及び中燃焼から高燃焼への増加はそれぞれ短時間で行えるため、蒸気使用量が急激に増加した場合でもすぐに蒸気供給量を増加することができる。この即時燃焼量増加可能ボイラである低燃焼又は中燃焼のボイラを、多く維持しておくほど負荷に対する追従性が向上する。
燃焼値の増加によって蒸気供給量をすぐに増加することができるボイラの台数は、蒸気使用量の変化が急激(急負荷)であるほど多く必要となるため、急負荷時の台数制御パターンでは即時燃焼量増加可能ボイラの維持目標台数を多い値に設定し、蒸気使用量の変化が緩やか(緩負荷)であれば低燃焼又は中燃焼の台数は少なくて良いため、即時燃焼量増加可能ボイラの維持目標台数は少ない台数に設定する。図8で記載している3つの台数制御パターンの中では、維持目標台数2台の場合が最も蒸気使用量の変化が緩やかな場合に設定するもの、維持目標台数4台の場合が最も蒸気使用量の変化が急な場合に設定するもの、その中間である維持目標台数3台は、蒸気使用量の変化がその中間の場合に設定するものである。維持目標台数の設定値は、最小1台最大は台数制御対象となっているボイラの台数であり、その間で任意に設定することができる。
維持目標台数の設定台数が2台の場合での台数制御パターンを図に沿って説明する。維持目標台数の設定台数が2台とは、燃焼量を短時間で増加できるようにするために低燃焼又は中燃焼で維持しておくボイラの維持目標台数を2台とすることである。この場合、既に低燃焼又は中燃焼のボイラである即時燃焼量増加可能ボイラが2台以上ある状態で燃焼量を増加する場合には、燃焼台数の変更は行わずに既に燃焼しているボイラで燃焼値を増加することで燃焼量を増加する。そして、即時燃焼量増加可能ボイラが2台未満である状態で燃焼量を増加する場合には、燃焼台数の増加が可能であるならば燃焼台数を増加する。全てのボイラが燃焼を停止している「――――」から燃焼量を増加していく場合、まず1台目のボイラを燃焼待機から低燃焼に変更することで「L−――」となる。次の燃焼量を増加する場合、即時燃焼量増加可能ボイラの台数は、目標値である2台に達していないため、燃焼台数の増加を行う。2台目のボイラを燃焼待機から低燃焼に変更することでボイラの燃焼値は「LL――」となる。次に燃焼量を増加する場合には、この時点で即時燃焼量増加可能ボイラの台数は、設定値である2台に達しているため、今度は燃焼台数を増加せずに1台目ボイラの燃焼値を増加する。1台目ボイラの燃焼値を低燃焼から中燃焼に変更することで燃焼量の増加を行うと、燃焼状態は「ML――」となる。次に燃焼量を増加する場合も、即時燃焼量増加可能ボイラの台数は、設定値である2台に達しているため、今度も燃焼台数は増加せずに1台目ボイラの燃焼値を更に増加する。1台目ボイラの燃焼値を中燃焼から高燃焼に変更することで燃焼量の増加を行うと、燃焼状態は「HL――」となる。
次に燃焼量を増加する場合には、即時燃焼量増加可能ボイラの台数は、設定値である2台より少なくなっているため、即時燃焼量増加可能ボイラを増加することで燃焼量増加を行う。つまり燃焼待機としている3台目のボイラで燃焼を開始し、低燃焼とすることで燃焼量を増加して「HLL−」とする。その後も同様であり、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が2台以上ある状態で燃焼値の増加を行う場合は、燃焼台数を増加せずに即時燃焼量増加可能ボイラで燃焼値を一段階高くし、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が2台未満である状態で燃焼量の増加を行う場合は、燃焼台数を増加することで燃焼量を増加していく。
なお、燃焼状態が「HHHL」まで来た場合には、すでに台数制御対象のボイラは全て燃焼しており、燃焼台数を増加することはできない。そのため、この状態からの燃焼量増加は、4台目ボイラの燃焼値を増加することで行う。燃焼量の増加は、燃焼状態が「HHHH」である最大の燃焼量となるまで行うことができる。
維持目標台数の設定台数が3台の場合には、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が3台になることを目指す。この場合も、既に即時燃焼量増加可能ボイラが設定台数以上ある状態で燃焼量を増加する場合には、燃焼台数を増加することなく燃焼値を増加することで燃焼量を増加し、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が設定台数未満である状態で燃焼量を増加する場合には、燃焼台数の増加が可能であれば燃焼台数の増加を行う。設定台数が3台になると、即時燃焼量増加可能ボイラが3台になるまで増加するところでのみ変わってくる。全てのボイラが燃焼を停止している「――――」から燃焼量を増加していく場合、「L―――」「LL――」となるところまでは維持目標台数2台の場合と同じである。
維持目標台数2台の場合は、次の増加では「ML――」としていたが、維持目標台数3台の場合には、この段階では即時燃焼量増加可能ボイラの台数が設定の3台に達していないため「LLL−」として即時燃焼量増加可能ボイラの台数を3台とする。ここで即時燃焼量増加可能ボイラの台数が設定の3台に達したため、次の燃焼量増加では燃焼台数の増加は行わず、1台目ボイラの燃焼値を低燃焼から中燃焼に変更して「MLL―」となる。次に燃焼量を増加する場合も、即時燃焼量増加可能ボイラの台数は、設定値である3台以上であるため、今度も燃焼台数を増加せずに1台目ボイラの燃焼値を増加する。1台目ボイラの燃焼値を中燃焼から高燃焼に変更することで燃焼量の増加を行うと、燃焼状態は「HLL―」となる。この増加により、即時燃焼量増加可能ボイラの台数は目標の3台よりも少なくなったため、次の増加では燃焼台数を増加する。以降も同様に、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が設定台数未満である場合には燃焼台数を増加し、即時燃焼量増加可能ボイラの台数が設定台数以上であれば燃焼しているボイラの燃焼値を増加する。
維持目標台数の設定台数が4台となっても考え方は同じであり、この場合も、即時燃焼量増加可能ボイラが4台未満である状態で燃焼量を増加する場合には、燃焼台数の増加が可能であれば燃焼台数を増加し、既に即時燃焼量増加可能ボイラが4台以上ある状態で燃焼値を増加する場合には、燃焼台数を増加することなく燃焼値を増加することで燃焼量を増加する。
以上のように、即時燃焼量増加可能ボイラを設定台数まで維持するようにしておくと、蒸気供給量の急増が必要になった場合には、低燃焼で燃焼しているボイラを中燃焼へ、あるいは中燃焼で燃焼しているボイラは高燃焼へ短時間で燃焼値を増加することができるために、急な蒸気使用量の増加時にも対応することができる。そして蒸気使用量の増加量が大きくなる場合には、維持目標台数を多く設定しておくことで、大きな変動にも対応することができるというものである。
ところでこのような台数制御では、ボイラの燃焼台数がある程度増加した後であれば即時燃焼量増加可能ボイラがあることで負荷追従性を高くすることができるが、燃焼台数が少ない場合にはうまくいかないことがあった。即時燃焼量増加可能ボイラの数が揃っていない場合、燃焼量増加が必要になると即時燃焼量増加可能ボイラの台数を増加することを優先し、燃焼を停止していたボイラで燃焼を開始させる。早めに即時燃焼量増加可能ボイラの台数を増やしておけば、その後は蒸気の使用量が急増しても蒸気供給量をすぐに増加させることができる。しかし、即時燃焼量増加可能ボイラの準備を行っている間に蒸気圧力値が低下した場合、燃焼を行っているボイラの台数が少ないため、燃焼しているボイラで燃焼値を増加するとしても蒸気供給量の増加量は限られたものとなり、ボイラでの蒸気供給が足りなくなるということがあった。
また、特開2013−88106号公報では、初起動時には運転するボイラの台数を制限する発明が記載されている。この発明では、台数を制限している期間内は最大の燃焼量になるまで燃焼台数を増加しないものであるため、低負荷のボイラを多数にすると総合的なエネルギ消費量が多くなる場合、運転台数を少なくすることでエネルギ消費量を抑えることができる。しかし、台数を制限している期間内は最大の燃焼量になるまでボイラの燃焼値を増加しておくものであるため、運転を行っているボイラでの燃焼量の増加余地は小さなものとなり、この場合にもボイラでの蒸気供給が足りなくなるということがあった。
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を行っている多缶設置ボイラのフロー図、図2は本発明の一実施例での台数制御パターン作成フローチャート、図3は本発明の一実施例での低燃焼ボイラ維持目標台数1台時から3台時における燃焼量増加時の台数制御パターン説明図である。そして、図4は本発明の一実施例での低燃焼維持目標台数1台時における台数制御パターン説明図、図5は本発明の一実施例での低燃焼維持目標台数数2台時における台数制御パターン説明図、図6は本発明の一実施例での低燃焼維持目標台数3台時における台数制御パターン説明図である。
図1では1号缶から4号缶のボイラ1を並列に設置しており、各ボイラ1で発生させた蒸気を集合させるスチームヘッダ4を設けている。各ボイラ1とスチームヘッダ4の間を蒸気配管5で結んでおき、各ボイラ1で発生させた蒸気はスチームヘッダ4に集合させた後で蒸気使用部(図示せず)へ送る。スチームヘッダ4には、蒸気圧力値を検出する圧力検出装置6を設け、圧力検出装置6で検出した蒸気圧力値は台数制御装置3へ送る。台数制御装置3には、蒸気圧力値に応じてボイラの燃焼台数を定めている台数制御パターンを設定しておき、台数制御装置3が各ボイラにおける燃焼の有無及び燃焼値を決定する。各ボイラには、それぞれに運転制御装置2を設けており、運転制御装置2は台数制御装置3からの燃焼要求信号を受けてボイラの燃焼を行う。
各ボイラは、高燃焼、中燃焼、低燃焼、燃焼待機の四位置燃焼制御を行う。各ボイラでの燃焼値は、高燃焼を100%の燃焼値とした場合、中燃焼での燃焼値は50%、低燃焼での燃焼値は20%というように、高燃焼と中燃焼の間での燃焼値差は、中燃焼と低燃焼間での燃焼値の差及び低燃焼と燃焼待機での燃焼値の差よりも大きくしておく。
台数制御装置3には、各ボイラ1に対して優先順位を設定しておき、優先順位の高いものから何番目のボイラをどの燃焼値とするかを決定する。台数制御装置に設定しておく台数制御パターンは、図4から図7に記載しているものとなる。台数制御装置3にて行うボイラの台数制御は、台数制御装置3に設定している台数制御パターンに基づいて行い、圧力検出装置6で検出した蒸気圧力値が低いほどボイラの燃焼量を多くし、蒸気圧力値が高いほど燃焼量を少なくする。蒸気の発生量が蒸気の使用量より大きい場合には蒸気圧力値は上昇し、蒸気の発生量が蒸気の使用量より小さい場合には蒸気圧力値は低下することとなる。そのため、台数制御装置3は蒸気圧力値を制御圧力幅内に保つように、蒸気圧力値が高くなればボイラの燃焼量を少なくし、蒸気圧力値が低くなればボイラの燃焼量を多くする台数制御を実施する。
台数制御装置では、図3で横にならべて記載しているように、低燃焼維持目標台数を設定しておき、設定した目標台数ごとに台数制御パターンを定めておく。この低燃焼維持目標台数の設定台数は、個々のユーザーにおける蒸気の使用状況に基づいて定めることになる。低燃焼維持目標台数の設定値は最小で0台、最大は台数制御対象ボイラ数−1台の間で任意の値に設定できるようにしておく。低燃焼維持目標台数の設定台数は、燃焼値を短時間で2段階増加させることのできる燃焼値である低燃焼のボイラをどれだけ維持することを目標にするかの台数であり、この台数を多く維持しておくほど蒸気使用量の急激な増加に対応することができる。維持目標台数の設定は、蒸気使用量の急激な増加が発生する場合には多い値に設定し、蒸気使用量の急激な増加は発生しないという場合には少ない値に設定する。
図ではボイラの燃焼状態は、高燃焼の場合を「H」、中燃焼の場合を「M」、低燃焼の場合を「L」、燃焼待機の場合を「−」で示している。本発明での台数制御パターン設定の考え方は、第一に中燃焼で燃焼するボイラの早期確保、第二に低燃焼ボイラの設定台数分の確保、第三に低燃焼から中燃焼を経由して高燃焼への変化が短時間で行われることを防止の3つの原則に基づいて設定する。第一の原則である中燃焼で燃焼するボイラの早期確保は、全缶停止状態からの燃焼開始時は、稼働優先順位が第1位のボイラに対して中燃焼の燃焼指令を出力するまでは、他のボイラに対する燃焼指令は行わず、中燃焼のボイラを確保した後に燃焼台数の増加を行うというものである。台数制御パターンでは「――――」から燃焼量を増加して「L―――」となった場合、次の燃焼量増加時には「LL――」とはせず、「M―――」とする。この設定は第二の原則である低燃焼維持目標台数の設定がどの台数であっても共通であって、必ず行うことになる。
燃焼を停止していたボイラで燃焼を開始する場合には一連の準備工程が必要であるため、蒸気供給をすぐに開始することはできない。しかし低燃焼又は中燃焼で燃焼しているボイラで燃焼値を増加する場合には、燃料供給量と燃焼用空気供給量を増加することで行えるため、短時間で燃焼値の増加を行える。そして低燃焼と中燃焼での燃焼値の差よりも中燃焼と高燃焼での燃焼値の差を大きくしている場合、低燃焼から中燃焼への変更よりも中燃焼から高燃焼へ変更する方が蒸気供給量をより大きく変更することができる。燃焼台数が多い状態であれば、蒸気必要量が急増した場合に低燃焼から中燃焼への変更を複数台分行うことで対応することができる。しかし、燃焼台数が少なく、低燃焼のボイラを十分に確保できていない状態で蒸気使用量が急増した場合、その時点で低燃焼台数を増加していたのでは蒸気必要量の増加に間に合わないということがあった。その場合のため、最初に燃焼を開始したボイラを中燃焼にするまでは燃焼台数の増加は行わないとすることで、早期に中燃焼のボイラを確保しておく。燃焼台数が少ない状態で蒸気供給量を増加しなければならなくなった場合、燃焼台数を増加するよりも燃焼しているボイラで燃焼値を増加する方がより早く蒸気供給量を増加することができる。また、中燃焼から高燃焼へ変更は低燃焼から中燃焼への変更とほぼ同じ時間で行うことができるものでありながら、変更幅はより大きくなるため蒸気供給量をより多く増やすことができるものであるので、中燃焼のボイラがあればそこからの蒸気供給量の増加は短時間で大きな量とすることができる。
第二の原則である低燃焼ボイラの確保は、稼働優先順位が第2位以降のボイラが対象となる。これは、低燃焼維持目標台数を設定しておき、現在の低燃焼ボイラ台数を低燃焼維持目標台数と比較し、適正数の低燃焼ボイラを維持するようにしていく。燃焼量を増加する際には、低燃焼ボイラの台数が低燃焼維持目標台数に対して足りない場合には、燃焼停止から低燃焼への変更を優先して行う。また、燃焼量の増加時点で低燃焼ボイラ台数が維持目標台数以上であれば、低燃焼ボイラの1台を中燃焼に変更する。低燃焼(20%)のボイラは短時間で中燃焼(50%)に燃焼値を増加することができ、さらに中燃焼から高燃焼(100%)へ増加することができるため、低燃焼のボイラがあれば急な蒸気使用量の増加に対応することができる。そして負荷変動が急な場合ほど、低燃焼維持台数を多くし、急激な負荷変動に備える。
第三の原則である低燃焼から中燃焼を経由して高燃焼への変化が短時間で行われることの防止は、各ボイラにおいて燃焼値を低燃焼から中燃焼に増加し、その直後にさらに高燃焼へ増加することがないようにするものである。そのため、低燃焼ボイラの中燃焼への増加を優先し、中燃焼から高燃焼への増加は低燃焼で燃焼しているボイラが全て中燃焼になってから行う。この仕組みを採用していなかった場合、図8にあるように「LL――」→「ML――」→「HL――」のような台数制御パターンをとることになっていた。この場合、左端の燃焼値を見ると、L→M→Hとなっている。低燃焼から中燃焼と中燃焼から高燃焼への変化は、先に記載したように短時間で行えるものであるため、短時間で低燃焼から高燃焼へ変化することがある。その場合、20%の燃焼値である低燃焼から短時間で100%の燃焼値である高燃焼に変更すると、燃焼量が大きく異なるものであるため、ボイラ内での圧力変化/水位変化が大きくなる問題が発生することがあった。そこで、「L―――」→「M―――」→「ML−−」→「MM−−」→「MML−」→「MMM−」→「HMM−」のようにしている。このようにすることで、短時間で低燃焼から高燃焼へ変化することを防止する。この仕組みを取り入れておけば、あるボイラで燃焼値を低燃焼から高燃焼まで短時間で変更することは防止される。
なお、台数制御のプログラムでは、低燃焼維持目標台数は0台に設定することも可能としておく。低燃焼維持目標台数を0台とした場合は、前記第二の原則と第三の原則を行わないということになる。低燃焼維持目標台数が0台であると、燃焼を停止しているボイラで燃焼を開始させるよりも、燃焼しているボイラで燃焼値を増加することを優先するため、この場合は上記の原則からは外れることになる。
具体的な判断手順は図2のフローチャートにあり、フローチャートに基づいて説明する。このフローチャートでは、燃焼量増加時にどの燃焼値を増加するかを算出するものである。まずフローチャートの最初のステップであるS1において、原則1の中燃焼確保が必要かを確認する。ステップS1で現時点における中燃焼もしくは高燃焼のボイラが1台以上存在しているかの検出を行う。ここで中燃焼もしくは高燃焼のボイラが1台以上存在するのであれば、燃焼台数が少ないことによる中燃焼確保の時期は過ぎていることになるが、中燃焼もしくは高燃焼のボイラが存在しないという場合には、中燃焼のボイラを確保することを優先しなければならないということになる。ステップS1で中燃焼もしくは高燃焼のボイラ台数が1台未満であって、中燃焼ボイラの確保を行うNO側のルートでは、次のステップであるS2で低燃焼ボイラの有無を確認する。ここで低燃焼のボイラがあるならば、ステップS3にて低燃焼ボイラを中燃焼に変更することにより、中燃焼ボイラを1台確保する。ここで燃焼値を低燃焼から中燃焼に変更したことで燃焼値増加の目的は達成されたためフローチャートはエンドとなる。そしてステップS2で低燃焼ボイラがなかった場合、ステップS4で燃焼停止のボイラを起動して低燃焼とする。燃焼停止からいきなり中燃焼とはできないため、ここでは一段階前の低燃焼とし、ここで燃焼値の増加を行ったため、この燃焼量増加はエンドとなる。
先のステップS1で、中燃焼もしくは高燃焼のボイラがあるとなった場合は、燃焼台数少数時の中燃焼ボイラ確保は終わっているということであるため、ステップS5へ移行する。こちらのルートに進んだ場合は、原則2の低燃焼が設定台数になることを目指した制御を行う。ステップS5ではこの時点の低燃焼ボイラ台数を確認し、低燃焼ボイラ台数が設定値未満のYES側であれば低燃焼ボイラ台数の増加を目指すステップS6のルート、低燃焼ボイラ台数が設定値以上のNO側であれば低燃焼ボイラ台数の増加は目指さないステップS12のルートへ分岐する。なお、低燃焼維持目標台数を0台と設定していた場合には、低燃焼が0台であっても設定値以上になるため、この場合もステップS12へ向かうことになる。
低燃焼台数の増加が必要となった場合、低燃焼ボイラ台数の増加は燃焼停止ボイラを低燃焼とすることで行えるため、ステップS6のルートでは燃焼停止ボイラがあるかを確認する。燃焼停止ボイラがあれば、ステップS7で燃焼停止ボイラの低燃焼への変更を行うことで燃焼値の増加を行う。ステップS6で燃焼停止ボイラがなかった場合は、現時点では低燃焼台数の増加は行えないということであるため、別の手段で燃焼量の増加を行うことになる。次のステップS8では、原則3の低燃焼から中燃焼への増加を優先する制御を行うものであり、ここで低燃焼ボイラがあるかを確認する。低燃焼ボイラがあるならステップS9にて低燃焼ボイラを中燃焼に変更することで燃焼値の増加を行う。ステップ8で低燃焼ボイラがない場合には、燃焼値の増加は中燃焼ボイラを高燃焼に変更するしか手段はないということである。なお、すでに全ての運転対象ボイラで高燃焼になっている場合も、低燃焼ボイラはないためステップS8ではNOのルートとなる。ステップS10では、高燃焼ボイラの台数と運転対象ボイラの台数を比較する。これは高燃焼ボイラ台数が運転対象ボイラの台数と等しい場合は、すでに最大の燃焼量になっているのであるから燃焼量の増加は行えないということになり、YESであればそのままエンドとなる。高燃焼ボイラの台数と運転対象ボイラ台数が異なるということは、中燃焼ボイラが存在するということであるため、その場合にはステップS11で中燃焼から高燃焼への変更を行うことで燃焼量の増加を行う。
また、ステップS5にて低燃焼ボイラが設定台数以上であるためにNOのルートをとった場合、こちらは低燃焼ボイラを増加する必要がないということであるため、原則3の低燃焼ボイラの中燃焼への変更を優先することになる。次のステップS12では低燃焼ボイラの有無を確認し、低燃焼ボイラがあるならステップS13で低燃焼を中燃焼に変更することで燃焼量の増加を行う。S12で低燃焼ボイラがなかった場合は、ステップS14で中燃焼ボイラの有無を確認する。ここで中燃焼ボイラがあればステップS15で中燃焼を高燃焼に変更することで燃焼量の増加を行い、中燃焼ボイラがなければステップS16へ向かう。ステップS16は、運転対象ボイラの全てが高燃焼になっているかを確認するステップであり、運転対象ボイラの全てが高燃焼であれば燃焼量増加の余地はないため燃焼量の増加を行わないままでエンドとなる。ステップS16で高燃焼ボイラと台数制御対象ボイラ台数が異なっていれば、燃焼停止のボイラがあるということであるため、燃焼停止ボイラを低燃焼とすることで燃焼量の増加を行う。
この手順によって作成した台数制御パターンが図3から図7となる。図3では、低燃焼維持目標台数の設定を1台とした場合、2台とした場合、3台とした場合での全缶燃焼待機から全缶高燃焼になるまでの燃焼量増加ルートでの台数制御パターンを並べて記載している。図3では一方向で燃焼量を増加し続けた場合であり、図4から図6の抜粋となっている。まず維持目標台数の設定台数が1台である図左側の台数制御パターンを図2のフローチャートに対応させながら説明していく。全缶燃焼待機の「――――」から燃焼量を増加すると、中燃焼もしくは高燃焼であるボイラの台数は1台未満であるが低燃焼ボイラはないため、図2のステップS4で燃焼待機ボイラの1台を低燃焼に変更して「L―――」となる。次の燃料量増加でも、中燃焼もしくは高燃焼であるボイラの台数は1台未満であって低燃焼ボイラがあるため、ステップS3で低燃焼ボイラの1台を中燃焼に変更して「M―――」とする。ここまでの制御は、低燃焼維持目標台数が異なっても共通の操作を行うことになる。
この燃焼量増加以降は、燃焼量を減少しない限り中燃焼もしくは高燃焼のボイラが1台以上の条件を満たすので、図2のステップ5に向かう。「M―――」からの燃焼量増加では、低燃焼ボイラの台数は設定台数の1台未満であって燃焼待機ボイラは存在しているということなので、ステップS7にて燃焼待機ボイラの1台を低燃焼に変更して「ML――」とする。
この増加以前は低燃焼ボイラの台数が設定台数の1台未満であったため、低燃焼ボイラの台数を増加することを優先し、増加ができない場合に低燃焼ボイラを中燃焼に変更する操作を行うものであったが、ここで低燃焼ボイラの台数が設定台数の1台に達したため、次の燃焼量増加ではステップS5で低燃焼ボイラの台数増加を目指さない側であるNOのルートをとる。この段階では低燃焼ボイラがあるため、ステップS13で低燃焼ボイラを中燃焼とすることで燃焼量の増加を行い「MM――」とする。
この燃焼量増加により低燃焼ボイラの台数が低燃焼維持目標台数の1台未満となったため、次の燃焼量増加では、低燃焼ボイラを増加する操作を行うことになり、ステップS7で燃焼停止ボイラの1台を低燃焼とし「MML−」とする。その後も同様であり、低燃焼ボイラが1台以上存在する場合はステップS13で低燃焼ボイラを中燃焼に変更、低燃焼ボイラが1台未満の場合はステップS7で燃焼停止ボイラを低燃焼に変更することを可能な限り行う。この例では台数制御対象のボイラ台数は4台であり、「MMMM」まで行くとそれ以上燃焼台数を増加することはできない。そのため、「MMMM」からの燃焼量増加は、ステップS5で低燃焼ボイラ台数が設定台数未満であるためにステップS6に行くが、燃焼停止ボイラがないためにステップS8へ、低燃焼ボイラもないためステップS10へと進む。そしてこの時点では高燃焼ボイラ台数は台数制御対象ボイラ台数より少ないためステップS11へ向かい、中燃焼ボイラを高燃焼に変更する。その後も全てのボイラが高燃焼となるまで、ステップS11で1台ずつ中燃焼ボイラを高燃焼に変更する操作を行う。そのためこれ以降の燃焼パターンは「HMMM」「HHMM」「HHHM」「HHHH」となる。台数制御対象ボイラの全てが高燃焼になった場合は、それ以上に燃焼量を増加することは行えず、ここで燃焼量は最大となる。なお、「MMMM」となった以降の燃焼量増加操作は、低燃焼維持目標台数が変わっても共通の動きとなる。
維持目標台数の設定値が2台になると、燃焼量の増加は図3の真ん中に記載している台数制御パターンとなる。維持目標台数の設定値が2台の場合も、最初に中燃焼ボイラを確保するのは低燃焼維持目標台数が1台の場合と同じであり、「――――」「L―――」「M―――」「ML――」までは同じ台数制御パターンとなっている。この次の増加では、先に説明した低燃焼維持目標台数設定値が1台の場合には低燃焼維持ボイラの台数が設定の1台に達しているため、低燃焼ボイラの台数増加は必要ないということで「MM――」としていたが、低燃焼維持目標台数設定値が2台の場合は、この時点ではまだ低燃焼ボイラの台数は設定の2台には達していない。そのためここでは、燃焼待機ボイラの1台を低燃焼に変更して「MLL−」とする。その後、維持目標台数の設定値が2台の場合には、低燃焼ボイラの台数が2台に満たない間は低燃焼ボイラ台数の増加を優先し、低燃焼ボイラが2台に達している場合は低燃焼ボイラを中燃焼に変更する操作を可能な限り続ける。先の例とは低燃焼維持目標台数は異なるが、台数は異なっても考え方は同じとなっており、同様に燃焼パターンは「MML−」「MMLL」「MMML」となる。この次の燃焼量増加では、低燃焼ボイラの台数は設定値未満であるが、燃焼停止ボイラがなく低燃焼ボイラを増加することはできない。そして低燃焼ボイラはあるため、ステップS9で低燃焼ボイラを高燃焼に変更して「MMMM」となる。これ以降の増加は、低燃焼維持台数の設定値が異なっても共通であり、「HMMM」「HHMM」「HHHM」「HHHH」となる。
そして低燃焼維持目標台数設定値が3台になっても考え方は前記と同じであり、低燃焼維持ボイラの台数を何台まで増やすかについては変わるが、どのように増やしていくかは同じとなる。低燃焼維持目標台数の設定台数が多くなるほど、低燃焼ボイラの台数が多くなる。低燃焼ボイラでは燃焼値を短時間で増加し蒸気発生量をすぐに増加することが可能であるため、低燃焼ボイラの台数を多く保持していれば蒸気使用量の急増に対応することができる。低燃焼ボイラの台数を任意の台数に保持することにより、負荷の変動状況に応じた台数制御を行うことができる。
図4は低燃焼維持目標台数の設定台数が1台、図5は低燃焼維持目標台数が2台、図6は低燃焼維持目標台数が3台の場合における台数制御パターンの全体図であり、燃焼量増加時の動きと燃焼量減少の時の動きの両面を示している。図4から図6において、燃焼量を増加するルートと燃焼量を減少するルートを異ならせているのは、燃焼台数増減頻度の低減、つまり燃焼の発停回数を少なくするためである。
多缶設置ボイラの台数制御では、燃焼の発停回数が多くなると効率が低下し、負荷に対する追従性も低下する。そのため、すでに燃焼を行っているボイラは燃焼を停止しないようにしておいた方がよい。そこで、燃焼台数の変更が少なくなるように台数制御のパターンを決定する。例えば図5において「MML−」から燃焼量を1段階増加する場合には「MMLL」とするが、「MMLL」から燃焼量を1段階減少する場合には「MML−」には戻さずに「MLLL」とする。この場合、「MMLL」から「MML−」に戻したのでは、その後に燃焼量の増加することになると燃焼を停止したボイラ1台の燃焼を開始しなければならず、すぐには蒸気を供給できないために蒸気供給量の増加が遅れることになる。そして間に燃焼停止していた期間があり、燃焼を停止する際と燃焼を開始する際には炉内を換気するために熱の放出量が増加する。しかし「MLLL」としておいた場合、燃焼量の増加が必要になっても低燃焼の1台を中燃焼にすることで燃焼量を増加することができ、この場合には速やかに蒸気供給量を増加することができため、蒸気圧力値の低下を抑えることができる。そのため、燃焼量の変更は可能な限り同一の燃焼台数内での燃焼値変更のみで対応し、燃焼台数の変更が避けられない場合にのみ燃焼台数を変更するようにしている。
本発明では、低燃焼維持目標台数を設定しておき、低燃焼ボイラの台数を目標値に維持するようにボイラの運転状態を定めている。蒸気の必要量は蒸気使用側の条件によって様々であり、蒸気使用量が急激に増加することがある環境では、それに合わせて蒸気供給量を変更する必要がある。この場合、低燃焼維持目標台数を任意の値に設定することができるようにしておき、低燃焼のボイラが所定台数分存在するようにしておくことで負荷の変動に対応することができる。そしてその低燃焼維持目標台数は蒸気供給量の増加幅が大きな場合ほど、大きな台数に設定するようにしておく。低燃焼で維持されているボイラの台数が多くあると、燃焼量を短時間で増加することのできるボイラが多くあるということになるため、負荷に対する追従性が高くなるということになり、蒸気必要量が急増した場合に蒸気供給量を大きく増加することができる。
高燃焼・中燃焼・低燃焼・燃焼停止の四位置燃焼制御を行っているボイラであれば、中燃焼から高燃焼へ燃焼値を変更する場合も、低燃焼から中燃焼へ変更する場合と同様に短時間で燃焼量を増加することができる。それならば中燃焼ボイラを一定台数確保するということも考えられるが、低燃焼であれば低燃焼から中燃焼への増加と中燃焼から高燃焼への増加の2段階分増加する余地があるのに対し、中燃焼では1段階分の増加しか行えない。ある程度の台数が燃焼している条件であれば、2段階分の増加余地を持った低燃焼を一定台数確保するようにしておくことで、より多くの蒸気供給量増加を行える。
また、蒸気使用量が少なく、設置している台数制御対象ボイラ全てで高燃焼運転することはほとんどないというユーザーにおいて、例えば「L−――」での蒸気発生量(20%分)から「MM――」での蒸気発生量(50%×2=100%分)の間で蒸気を使用しているという場合、燃焼台数は1台と2台の間で発停を繰り返すことになる。ボイラでは燃焼の発停時には炉内を換気するため、発停回数が増加するにつれて放熱量が増加し、総合的な効率が低下することになる。燃焼台数が少なくなるようにしておき、「L−−−」(20%分)と「H−−−」(100%分)を繰り返すものであれば、発停による効率の低下を防止できる。
このようなことがあるため、低燃焼維持目標台数は無闇に多くしたのでは逆効果になることもあり、状況に応じた適切な値に設定する。
低燃焼維持目標台数を0台、つまり低燃焼維持を行わない制御とした場合は、図7に記載しているような台数制御パターンとなる。この場合、低燃焼ボイラの台数を一定数維持することは行わないので低燃焼のボイラがある状態で燃焼量を増加する場合は、低燃焼のボイラを中燃焼に変更することになる。低燃焼から中燃焼への変更を優先する操作については、全ての状態で行うことになる。
本発明での台数制御パターンで注目する点は、図3の点線の四角で囲んだところである。本発明では、低燃焼維持目標台数を設定しておき、低燃焼ボイラの台数が低燃焼維持目標台数になるように制御するものである。そのため、台数制御の全体において、低燃焼台数が設定台数に達していない場合は燃焼停止ボイラがあれば燃焼停止ボイラを起動して低燃焼とすることを基本としている。しかし、中燃焼もしくは高燃焼が1台もない状態では、稼働優先順位が第1位であるボイラは、低燃焼台数が維持目標台数に達していない場合でも低燃焼を中燃焼に変更するようにしている。これは、燃焼台数が少ない状態における蒸気発生量の即時増加を狙ったものである。ある程度燃焼台数が揃っている場合には、低燃焼のボイラを準備しておくことで蒸気発生量の即時増加を行うことができる。しかし燃焼ボイラの台数が少ない状態であれば、低燃焼のボイラの準備をする余裕がなく、その状態での緊急的な蒸気供給量の増加に対応できないということがある。
本発明では、稼働優先順位が第1位であるボイラは、低燃焼台数が維持目標台数に達していない場合でも低燃焼を中燃焼に変更するようにすることで、燃焼台数が少ない場合での負荷追従性を向上することができる。そして中燃焼のボイラがあれば、蒸気必要量が減少して燃焼量を削減する場合、中燃焼から低燃焼への変更であれば燃焼の発停は伴わずに行える。複数台の低燃焼ボイラしかない状態で燃焼量を減少する場合には、燃焼しているボイラを停止するしかないため、この部分で燃焼の発停回数が増加して放熱量が増加するということがあった。しかし、中燃焼と低燃焼の間で燃焼量を変更するのであれば、この部分での燃焼の発停回数が増加することを防止することもできる。
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。