JP5838886B2 - ボイラシステム - Google Patents

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Description

本発明は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムに関する。
従来、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群と、要求される負荷に応じてボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムが提案されている。
例えば、特許文献1には、複数のボイラを高効率燃焼位置に移行させた後に、いずれかのボイラを高効率燃焼位置よりも高い燃焼位置に移行させるボイラシステムが提案されている。
特開2010−48533号公報
ところで、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラでは、燃焼位置に応じて、ボイラ内に保持される水(缶水)の設定水位は異なる。即ち、缶水が穏やかに沸騰して蒸発する低い燃焼位置では、缶水の水位は高く設定される。一方、缶水が激しく沸騰して蒸発する高い燃焼位置では、缶水の水位は低く設定される。
ここで、ボイラは、蒸気を生成する缶体と、この缶体で生成された蒸気中の水分を分離するセパレータと、を備えて構成される。そのため、例えば、要求負荷の変動により、低い燃焼位置から高い燃焼位置に移行した場合に、缶水の水位が高い状態で蒸発量が増加することにより、缶水の一部がセパレータに持ち出されてしまったとしても、セパレータにより蒸気中の水分は分離され、ボイラから供給される蒸気の乾き度の低下は防げる。
しかしながら、燃焼位置の変更を伴う範囲での要求負荷の変動が繰り返された場合等には、低い燃焼位置から高い燃焼位置への燃焼位置の移行の回数も増加する。すると、缶体からセパレータに持ち出される缶水の量が多くなることで、セパレータにおいて蒸気中の水分を十分に分離できなくなり、その結果、ボイラから供給される蒸気の乾き度が低下してしまう。
従って、本発明は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、所定の範囲において要求負荷が繰り返し変動した場合等であっても、ボイラから供給される蒸気の乾き度が低下しにくいボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、ベース燃焼位置、及び該ベース燃焼位置よりも高い燃焼位置である高位燃焼位置を含む複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数備え、複数の前記ボイラに優先順位が設定されたボイラ群と、該ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記制御部は、前記ボイラ群のうちのいずれかのボイラにおいて、前記ベース燃焼位置と前記高位燃焼位置との間で燃焼位置の変更が所定時間に所定回数行われた場合、該燃焼位置の変更が行われた対象ボイラの優先順位を変更するボイラシステムに関する。
また、前記制御部は、複数の前記ボイラの優先順位を一つずつ繰り上げて、又は繰り下げて前記対象ボイラの優先順位を変更することが好ましい。
また、前記制御部は、前記対象ボイラと、該対象ボイラの次に優先順位の高いボイラとの間で優先順位を入れ替えて前記対象ボイラの優先順位を変更することが好ましい。
また、前記制御部は、前記対象ボイラの優先順位が最下位であった場合には、該対象ボイラよりも優先順位の高いいずれかのボイラとの間で優先順位を入れ替えて前記対象ボイラの優先順位を変更することが好ましい。
本発明のボイラシステムによれば、所定の範囲において要求負荷が繰り返し変動した場合等であっても、ボイラから供給される蒸気の乾き度が低下しにくい。
本発明の一実施形態に係るボイラシステムの概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラ群の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係る各ボイラの燃焼パターン及び優先順位と、蒸気圧制御範囲における蒸気圧帯との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作の概略を示す図である。 本発明の一実施形態に係るボイラシステムの動作を示すフロー図である。
以下、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(4台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20と電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態を制御する。台数制御装置3の詳細については、後述する。
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、供給蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が減少することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、供給蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が増加することになる。従って、ボイラシステム1は、蒸気圧センサ7により測定された蒸気圧の変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。そして、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧に基づいて蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じた目標蒸発量を算出する。
ここで、本実施形態のボイラシステム1を構成する複数のボイラ20について説明する。図2は、本実施形態に係るボイラ群2の概略を示す図である。
本実施形態のボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラからなる。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。
ボイラ20の各燃焼位置における燃焼量は、制御対象とされる蒸気ヘッダ6における蒸気圧の圧力差に対応する量の蒸気を発生するように設定されている。段階値制御ボイラからなる4台のボイラ20においては、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力は、等しく設定されていてもよく、あるいは、異なって設定されていてもよい。
本実施形態におけるボイラ20は、図2に示すように、燃焼停止位置(0%)、低燃焼位置(20%)、ベース燃焼位置としての中燃焼位置(60%)、及び高位燃焼位置としての高燃焼位置(100%)の4段階の燃焼位置で燃焼可能とされるいわゆる4位置制御のボイラ20により構成される。この場合、例えば、一台のボイラ20の高燃焼位置における燃料状態(高燃焼状態)の燃焼量が3000kg/hであった場合、中燃焼位置における燃焼量は1800kg/hとなり、低燃焼位置における燃焼量は600kg/hとなる。
尚、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。燃焼位置の個数は、3位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、及び高燃焼位置)、又は5位置以上でもよい。
以上のボイラ群2には、各ボイラ20とその各燃焼位置との組み合わせからなる複数の燃焼パターンが設定されている。図3は、本実施形態に係る各ボイラ20の燃焼パターン及び優先順位と、蒸気圧制御範囲における蒸気圧帯との関係を示す図である。
本実施形態においては、図3に示すように、燃焼パターンは、ボイラを高燃焼位置で燃焼させる状態(高燃焼状態)にする場合を「H」、中燃焼位置で燃焼させる状態(中燃焼状態)にする場合を「M」、低燃焼位置で燃焼させる状態(低燃焼状態)にする場合を「L」、燃焼停止状態にする場合を「−」として示す。
燃焼パターンは、要求負荷が小さくなるほど、つまり蒸気圧センサ7にて検出される蒸気圧が高くなるほど燃焼量が小さいパターンが選択される。また、要求負荷が大きくなるほど、つまり蒸気圧が低下するほど燃焼量が大きいパターンが選択される。図3に示すように、本実施形態では、蒸気圧制御範囲は、a〜mの13の蒸気圧帯に区分される。そして、ボイラシステム1は、蒸気圧帯ごとに、対応する燃焼パターン、即ち、燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、蒸気圧がどの圧力帯に対応するかによって燃焼量を決定する。燃焼パターンは、13の蒸気圧帯に対応して、13パターン設定される。
より具体的には、図3に示すように、最上位の蒸気圧帯a(要求負荷が小さい場合)においては、すべてのボイラ20が燃焼停止位置(−)に位置し、最下位の蒸気圧帯m(要求負荷が大きい場合)においては、すべてのボイラ20が高燃焼位置(H)に位置する。
複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラを選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2及び図3に示すように、ボイラ20の1号機〜4号機のそれぞれに「1」〜「4」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、4号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、通常の場合、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
本実施形態では、図3に示すように、最上位の蒸気圧帯aから最下位の蒸気圧帯mに向けて蒸気圧が低下していく場合、通常の制御においては、最も優先順位が高いボイラ(ここでは1号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更された後に、次に順位が高いボイラ(ここでは2号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更される。そして、すべてのボイラ20が低燃焼状態(L)に変更された後、最も優先順位が高いボイラ20(ここでは1号ボイラ)から順に中燃焼状態(M)に変更される。また、すべてのボイラ20が中燃焼位置(M)に変更された後に、最も優先順位の高いボイラから順に高燃焼位置(H)に変更される。
次に、本実施形態のボイラシステム1による複数のボイラ20の燃焼状態の制御の詳細について説明する。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を算出し、各ボイラ20(後述のローカル制御部25)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
記憶部5は、台数制御装置3(制御部4)の制御により各ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各ボイラ20から受信した燃焼状態(燃焼位置)等の情報、複数のボイラ20の燃焼パターンの設定条件等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を記憶する。
制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20に各種の指示を行ったり、各ボイラ20から各種のデータを受信したりして、3台のボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)や優先順位を制御する。各ボイラ20は、台数制御装置3から燃焼位置の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
ボイラ20は、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定するローカル蒸気圧測定部27と、ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を制御するローカル制御部25と、を備える。
ローカル蒸気圧測定部27は、蒸気圧センサから構成され、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定する。
ローカル制御部25は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を変更させる。具体的には、ローカル制御部25は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、又はローカル蒸気圧測定部27により測定されたボイラ20の内部の蒸気圧に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部25は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の内部の蒸気圧、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
図4〜図6は、いずれも本実施形態のボイラシステム1の動作の具体例の概略を示す図である。
本実施形態では、ボイラ群2のうちのいずれかのボイラ20において、ベース燃焼位置としての中燃焼位置(M)と、高位燃焼位置としての高燃焼位置(H)と、の間で燃焼位置の変更が所定時間(例えば、10分間)に所定回数(例えば、5回)行われた場合、燃焼位置の変更が行われた対象ボイラの優先順位を変更する。
具体的には、例えば、図3に示すボイラ群2において、要求負荷が65%(7800kg/h)付近で安定している場合には、図3及び図4(a)に示すように、2号ボイラ、3号ボイラ及び4号ボイラが中燃焼位置(M)で燃焼し、1号ボイラが高燃焼位置(H)で燃焼する状態が継続することで、ボイラ群2により生成される蒸気量(8400kg/h)が蒸気使用設備18で使用される蒸気量(7800kg/h)を上回る。すると、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値は、徐々に上昇する。そして、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯jの上限値(iの下限値)を上回ると、制御部4は、1号ボイラを中燃焼位置(M)で燃焼させる指示を出す。
一方、要求負荷が65%付近で安定している場合に、図3及び図4(b)に示すように、1号ボイラが中燃焼位置(M)で燃焼する状態(つまり1号ボイラ〜4号ボイラがいずれも中燃焼位置(M)で燃焼する状態)が継続すると、ボイラ群2により生成される蒸気量(7200kg/h)が蒸気使用設備18で使用される蒸気量(7800kg/h)を下回る。すると、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値は、徐々に低下する。そして、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯jの上限値(iの下限値)を下回ると、制御部4は、中燃焼位置(M)で燃焼しているボイラ20のなかで最も優先順位の高い1号ボイラを高燃焼位置(H)で燃焼させる指示を出す。
このように、要求負荷がある特定の範囲(ここでは、65%)で安定している場合には、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が、所定のボイラ20である対象ボイラ(ここでは、1号ボイラ)の燃焼位置をベース燃焼位置である中燃焼位置(M)と、高位燃焼位置である高燃焼位置(H)との間で変更させる閾値(ここでは、蒸気圧帯jの上限値)をまたいで繰り返し上下することとなる。その結果、図4(a)及び図4(b)に示すように、対象ボイラである1号ボイラが中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなる。
そこで、本実施形態では、制御部4は、記憶部5に記憶された対象ボイラ(ここでは1号ボイラ)を高燃焼位置(H)で燃焼させる指示の回数が所定時間内に所定回数に達すると、図4(c)に示すように、1号ボイラ20から4号ボイラ20の優先順位を一つずつ繰り上げて、対象ボイラである1号ボイラ20の優先順位を変更する。即ち、制御部4は、1号ボイラ20が高燃焼位置(H)に移行された回数が所定時間内に所定回数に達した場合、1号ボイラ20の優先順位を「4」、2号ボイラ20の優先順位を「1」、3号ボイラ20の優先順位を「3」、4号ボイラ20の優先順位を「4」に変更する。
すると、図4(c)に示すように、優先順位の変更後においては、優先順位の最も低い1号ボイラ20が高燃焼位置(H)で燃焼し、優先順位の高い2号ボイラ20から4号ボイラ20が中燃焼位置(M)で燃焼する状態となる。そのため、制御部4は、図4(d)に示すように、変更後の優先順位に基づいて、1号ボイラ20を中燃焼位置(M)に移行させ、最も優先順位の高い2号ボイラ20を高燃焼位置(H)に移行させる。
これにより、中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなっていた対象ボイラを、1号ボイラ20から2号ボイラ20に変更できるので、特定のボイラ20のみが燃焼位置の変更を頻繁に行うことを防げる。
尚、以上の制御部4による優先順位の変更は、上述の所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)での優先順位の変更のタイミングには影響を与えない。即ち、燃焼位置の変更の頻度に基づく優先順位の変更の有無にかかわらず、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で優先順位は変更される。
また、制御部4は、いずれかのボイラ20において、ベース燃焼位置としての中燃焼位置(M)と、高位燃焼位置としての高燃焼位置(H)と、の間で燃焼位置の変更が所定時間に所定回数行われた場合、対象ボイラと、対象ボイラの次に優先順位の高いボイラ20との間で優先順位を入れ替えて対象ボイラの優先順位を変更してもよい。
具体的には、例えば、図3に示すように、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯lの上限値(kの下限値)をまたいで上下を繰り返す場合、1号ボイラ20及び2号ボイラ20が高燃焼位置(H)で燃焼し、3号ボイラ20及び4号ボイラ20が中燃焼位置(M)で燃焼する状態と、1号ボイラ20から3号ボイラ20が高燃焼位置(H)で燃焼し、4号ボイラ20が中燃焼位置(M)で燃焼する状態とが繰り返される。つまり、この場合、図5(a)に示すように、対象ボイラとしての3号ボイラ20が燃焼位置の変更を繰り返すこととなる。
この場合、制御部4は、対象ボイラ(ここでは3号ボイラ20)を高燃焼位置(H)で燃焼させる指示の回数が所定時間内に所定回数に達した場合、図5(b)に示すように、3号ボイラ20(優先順位3位)と、この3号ボイラの次に優先順位が高い4号ボイラ20(優先順位4位)の優先順位を入れ替える。
すると、図5(b)に示すように、優先順位の変更後においては、優先順位の最も低くなった3号ボイラ20の燃焼位置は中燃焼位置(M)に移行され、中燃焼位置(M)で燃焼するボイラ20のうち最も優先順位の高い4号ボイラ20が高燃焼位置(H)で燃焼する状態となる。また、優先順位の変更後に、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯lの上限値(kの下限値)をまたいで上下を繰り返した場合には、中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなる対象ボイラは、3号ボイラ20から4号ボイラ20に変更となる。これにより、中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなっていた対象ボイラを、3号ボイラ20から4号ボイラ20に変更できるので、特定のボイラ20のみが燃焼位置の変更を頻繁に行うことを防げる。
また、この場合、優先順位の変更を行うボイラ20を2台にできるので、ボイラ群4全体の優先順位の変更を行うことなく特定のボイラ20のみが燃焼位置の変更を頻繁に行うことを防げる。
また、対象ボイラ(ここでは3号ボイラ20)を缶水の沸騰状態が相対的に穏やかなベース燃焼位置である中燃焼位置(M)に維持させられるので、セパレータの内部の水位を速やかに低下させられる。
また、制御部4は、いずれかのボイラ20において、ベース燃焼位置としての中燃焼位置(M)と、高位燃焼位置としての高燃焼位置(H)と、の間で燃焼位置の変更が所定時間に所定回数行われた場合において、対象ボイラの優先順位が最下位であったときには、対象ボイラよりも優先順位の高いいずれかのボイラ20との間で優先順位を入れ替えてもよい。
具体的には、例えば、図3に示すように、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯mの上限値(lの下限値)をまたいで上下を繰り返す場合、1号ボイラ20から3号ボイラ20が高燃焼位置(H)で燃焼し、4号ボイラ20が中燃焼位置(M)で燃焼する状態と、1号ボイラ20から4号ボイラ20がいずれも高燃焼位置(H)で燃焼する状態とが繰り返される。つまり、この場合、図6(a)に示すように、優先順位が最下位の4位である対象ボイラとしての4号ボイラ20が燃焼位置の変更を繰り返すこととなる。
この場合、制御部4は、優先順位が最下位である対象ボイラ(ここでは4号ボイラ20)を高燃焼位置(H)で燃焼させる指示の回数が所定時間内に所定回数に達した場合には、図6(b)に示すように、4号ボイラ20(優先順位4位)と、この4号ボイラ20よりも優先順位が高い3号ボイラ20(優先順位3位)の優先順位を入れ替える。
すると、図6(b)に示すように、優先順位の変更後においては、優先順位が3位に上がった4号ボイラ20の燃焼位置は高燃焼位置(H)に維持される。そして、この状態で蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯mの上限値(lの下限値)を上回った場合には、優先順位が4位に下がった3号ボイラ20が高燃焼位置(H)から中燃焼位置(M)に移行される。即ち、優先順位の変更後に、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯mの上限値(lの下限値)をまたいで上下を繰り返した場合には、中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなる対象ボイラは、4号ボイラ20から3号ボイラ20に変更となる。これにより、中燃焼位置(M)と高燃焼位置(H)との間で繰り返し燃焼位置の変更を行うこととなっていた対象ボイラを、4号ボイラ20から3号ボイラ20に変更できるので、特定のボイラ20のみが燃焼位置の変更を頻繁に行うことを防げる。
次に、本実施形態のボイラシステム1の動作の一例につき、図3、図4及び図7を参照しながら説明する。図7は、ボイラシステム1の動作を示すフロー図である。
ここでは、まず、図3及び図4(b)に示すように、ボイラ20の1号機から4号機のそれぞれに「1」〜「4」の優先順位が割り当てられている場合において、1号機のボイラ20から4号機のボイラ20がいずれもベース燃焼位置としての中燃焼位置(M)で燃焼している状態で、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が蒸気圧帯iの下限値(jの上限値)である第1閾値をまたいで上下を繰り返した場合のボイラシステム1の動作について説明する。この状態では、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧は、図3に示す蒸気圧帯jの範囲に位置している。
この場合、図7に示すように、まず、ステップST1において、制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧を監視する。ここで、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が図3に示す第1閾値を下回っていない場合、処理はステップST1に戻る。蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が第1閾値を下回った場合、処理はステップST2に進む。
ステップST2において、制御部4は、中燃焼位置(M)で燃焼しているボイラ20のうち最も優先順位の高い1号ボイラ20のローカル制御部25に、1号ボイラ20を高燃焼位置(H)に移行させる指示(高燃焼移行指示)を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、図4(a)に示すように、1号ボイラ20を高燃焼位置(H)で燃焼させる。そして、処理は、ステップST3に進む。
ステップST3において、制御部4は、1号ボイラ20に出した指示の内容及び指示を出した時間を記憶部5に記憶させる。そして、処理は、ステップST4に進む。
ステップST4において、制御部4は、1号ボイラ20を高燃焼位置(H)に移行させる指示を出した頻度が所定の頻度を上回っているかを判定する。具体的には、制御部4は、記憶部5に記憶された情報に基づいて、n回前(例えば、4回前)の高燃焼移行指示から今回の高燃焼移行指示までの時間がT1時間(例えば10分)未満であるかを判定する。制御部4により、n回前の高燃焼移行指示から今回の高燃焼移行指示までの時間がT1時間未満であると判定された場合、処理はステップST5に進む。制御部4により、n回前の高燃焼移行指示から今回の高燃焼移行指示までの時間がT1時間未満であると判定されなかった場合、本処理のフローを終了する。
ステップST5において、制御部4は、図4(c)に示すように、1号ボイラ20から4号ボイラ20の優先順位を一つずつ繰り上げて、対象ボイラの優先順位を変更する。そして、処理は、ステップST6に進む。
ステップST6において、制御部4は、図4(d)に示すように、変更後の優先順位に基づいて、優先順位が下がった1号ボイラ20のローカル制御部25に、1号ボイラ20を中燃焼位置(M)に移行させる指示を出す。また、最も優先順位の高い2号ボイラ20のローカル制御部25に、2号ボイラ20を高燃焼位置(H)に移行させる指示を出す。1号ボイラ20のローカル制御部25は、1号ボイラ20を中燃焼位置(M)で燃焼させる。また、2号ボイラ20のローカル制御部25は、2号ボイラ20を高燃焼位置(H)で燃焼させる。そして、本処理のフローを終了する。
以上説明した本実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ボイラシステム1においては、低い燃焼位置から高い燃焼位置への燃焼位置の変更が短時間の間に繰り返されると、缶体からセパレータに持ち出される缶水の量が多くなることで、セパレータにおいて蒸気中の水分を十分に分離できなくなる。その結果、ボイラ20から供給される蒸気の乾き度が低下してしまう。そこで、制御部4に、ベース燃焼位置としての中燃焼位置(M)と、高位燃焼位置としての高燃焼位置(H)と、の間で燃焼位置の変更が所定時間に所定回数行われた場合に、対象ボイラの優先順位を変更させた。これにより、燃焼位置の変更が頻繁に行われるボイラ20が生じた場合に、この対象ボイラの優先順位を変更することで、対象ボイラの燃焼位置を高位燃焼位置又はベース燃焼位置のいずれかに維持させられる。よって、特定のボイラ20において燃焼位置の変更が頻繁に行われることを防げるので、燃焼位置の変更が頻繁に行われることに起因して、ボイラ20から供給される蒸気の乾き度が低下することを防げる。
(2)対象ボイラの優先順位の変更を行う場合に、制御部4に、対象ボイラの優先順位を下位の順位に変更させた。これにより、対象ボイラを低い燃焼位置であるベース燃焼位置に維持させられる。よって、対象ボイラを、缶水の沸騰状態が相対的に穏やかなベース燃焼位置に維持させられるので、セパレータの内部の水位を速やかに低下させられる。その結果、対象ボイラから供給される蒸気の乾き度が低下することをより効果的に防げる。
(3)対象ボイラの優先順位の変更を行う場合に、制御部4に、複数のボイラ20の優先順位を一つずつ繰り上げさせた。これにより、複数のボイラ20の初期設定時の優先順位の順序を変更することなく、燃焼位置の変更が頻繁に行われることに起因して、ボイラから供給される蒸気の乾き度が低下することを防げる。
(4)優先順位の変更を行う場合に、制御部4に、対象ボイラと、この対象ボイラの次に優先順位の高いボイラ20との間で優先順位を入れ替えさせた。これにより、複数のボイラ20のうちの2つのボイラ20の優先順位を変更することで、対象ボイラの燃焼位置が頻繁に変更されることを防げる。よって、複数のボイラ20のうちの2つのボイラ20以外のボイラ20の優先順位は変わらないので、ボイラ群2全体の燃焼状態に与える影響を低減しつつ、ボイラ20から供給される蒸気の乾き度の低下を防げる。特に、ボイラ群2を構成するボイラ20の数が多い場合には、ボイラ群2全体の燃焼状態に与える影響の低減効果を向上させられる。
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明のボイラシステム1を、4位置制御のボイラ20に適用したが、これに限らない。即ち、本発明のボイラシステム1を、3位置制御のボイラに適用してもよく、複数の中燃焼位置を有する5位置制御以上のボイラに適用してもよい。
また、本実施形態では、制御部4に、ベース燃焼位置である中燃焼位置(M)から高位燃焼位置である高燃焼位置(H)への燃焼位置の変更の頻度に基づいてボイラ群2の優先順位を変更させたが、これに限らない。即ち、制御部に、高位燃焼位置からベース燃焼位置への燃焼位置の変更の頻度に基づいてボイラ群の優先順位を変更させてもよい。
また、本実施形態では、ベース燃焼位置を中燃焼位置(M)とし、高位燃焼位置を高燃焼位置(H)として本発明のボイラシステム1に適用したが、これに限らない。即ち、ベース燃焼位置を低燃焼位置とし、高位燃焼位置を中燃焼位置として本発明のボイラシステムに適用してもよい。
また、本実施形態では、対象ボイラの優先順位の変更を行う場合に、制御部4に複数のボイラ20の優先順位を一つずつ繰り上げさせたが、これに限らない。即ち、対象ボイラの優先順位の変更を行う場合に、制御部に複数のボイラの優先順位を一つずつ繰下げさせてもよい。
また、本実施形態では、本発明を、4台のボイラ20からなるボイラ群2を備えるボイラシステムに適用したが、これに限らない。即ち、本発明を、5台以上のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに適用してもよく、また、2台のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに適用してもよい。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
4 制御部
20 ボイラ
M 中燃焼位置(ベース燃焼位置)
H 高燃焼位置(高位燃焼位置)

Claims (4)

  1. ベース燃焼位置、及び該ベース燃焼位置よりも高い燃焼位置である高位燃焼位置を含む複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能なボイラを複数備え、複数の前記ボイラに優先順位が設定されたボイラ群と、該ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記制御部は、前記ボイラ群のうちのいずれかのボイラにおいて、前記ベース燃焼位置と前記高位燃焼位置との間で燃焼位置の変更が所定時間に所定回数行われた場合、該燃焼位置の変更が行われた対象ボイラの優先順位を変更するボイラシステム。
  2. 前記制御部は、複数の前記ボイラの優先順位を一つずつ繰り上げて、又は繰り下げて前記対象ボイラの優先順位を変更する請求項1に記載のボイラシステム。
  3. 前記制御部は、前記対象ボイラと、該対象ボイラの次に優先順位の高いボイラとの間で優先順位を入れ替えて前記対象ボイラの優先順位を変更する請求項1に記載のボイラシステム。
  4. 前記制御部は、前記対象ボイラの優先順位が最下位であった場合には、該対象ボイラよりも優先順位の高いいずれかのボイラとの間で優先順位を入れ替えて前記対象ボイラの優先順位を変更する請求項3に記載のボイラシステム。
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