複数台のボイラと、ボイラの燃焼台数を制御する台数制御装置からなる多缶設置ボイラが広く使用されている。台数制御装置は、ボイラから供給している蒸気の圧力値が圧力調節範囲内を維持するようにボイラの燃焼台数を制御するものであり、燃焼台数を増減することで蒸気供給量の調節を行う。 図1は、高燃焼・低燃焼・燃焼待機の3位置で燃焼制御し、低燃焼は高燃焼の半分の燃焼量であるボイラ4台を用いて台数制御を行うものであって、蒸気圧力調節範囲を0.600MPa〜0.900MPaとした場合の燃焼パターンを示している。3位置燃焼制御ボイラ4台での燃焼量は、全缶燃焼待機から高燃焼4台までの9段階になるため、0.600MPa〜0.900MPaの蒸気圧力調節範囲内とその上下で9つ燃焼量を割り振る。4台のボイラには燃焼の優先順位を定めておき、優先順位が上位のものから順に燃焼を行う。図ではボイラの燃焼状態は、高燃焼の場合を「H」、低燃焼の場合を「L」、燃焼待機の場合を「−」で示している。
蒸気圧力値が0.900MPaよりも高い圧力区分にあれば、すべてのボイラを燃焼待機とし、燃焼量の値は0とする。蒸気圧力値が0.900MPaよりも一つ下の圧力区分にある場合には、優先順位第1位のボイラのみ低燃焼でほかのボイラは燃焼待機となる。さらにもう一段階下の圧力区分にある場合には、優先順位が第1位と第2位のボイラを低燃焼とする。以下同様に蒸気圧力値が0.600MPa未満となり、すべてのボイラを高燃焼とするまでの燃焼状態を定めている。
この時、蒸気圧力値のわずかな変化によって短い周期で燃焼量の増減が行われることを防止するため、蒸気圧力上昇によって燃焼量を減少する圧力値と、蒸気圧力低下によって燃焼量を増加する圧力値をずらして設定する。つまり、図1にあるように蒸気圧力調節範囲内を15の圧力区分に分割し、高圧側から順に1〜15の番号を割り振っておく。蒸気圧力上昇時には蒸気圧力値が圧力区分の奇数番から偶数番に上昇した時に燃焼量を減少させ、蒸気圧力下降時には蒸気圧力値が圧力区分の奇数番から偶数番に下降した時に燃焼量を増加させる。
出力する燃焼指令の一例を図1に示し、図1に基づいて具体的に説明すると、0.600MPa〜0.620MPaである分割No.15内から、0.620〜0.640MPaである分割No.14内に蒸気圧力値が上昇した時、ボイラの燃焼量をHHHHからHHHLへ減少する。しかし、蒸気圧力値がさらに上昇して0.640〜0.660MPaである分割No.13内に入っても燃焼量は減少させず、蒸気圧力値が0.660〜0.680MPaの分割No.12内に入った段階で、ボイラの燃焼量をHHHLからHHLLへ減少する。逆に蒸気圧力値が下降し始めた場合、分割No.12から分割No.13に蒸気圧力値が低下してもこの時には燃焼量を増加せず、分割No.13から分割No.14に蒸気圧力値が低下した段階で燃焼量をHHLLからHHHLへ増加する。
また、低燃焼は高燃焼の半分であった場合、低燃焼2台での蒸気発生量と高燃焼1台での蒸気発生量は同じになる。例えば、高燃焼1台と低燃焼2台での蒸気発生量と、低燃焼4台での蒸気発生量では同じになるため、どちらのパターンにするかは任意に決定することができる。図1の場合、蒸気圧力上昇によって燃焼量を減少していく場合にはHLLLからLLLLとし、蒸気圧力低下によって燃焼量を増加していく場合にはLLL−からHLL−としている。これはHLLLからLLLL又はHLL−に変更した後にHLLLに戻すような蒸気圧力の変動が発生した場合、LLLLを選択していた場合には燃焼台数の増減を行わずに蒸気発生量を変更することができる。しかし、HLL−を選択していた場合には同じように蒸気圧力値が変化した場合でも燃焼台数の減少と増加を行わなければならない。逆にLLL−からLLLL又はHLL−に変更した後にLLL−に戻すような蒸気圧力の変動が発生した場合、HLL−を選択していた場合には燃焼台数の増減を行わずに蒸気発生量を変更することができる。しかし、LLLLを選択していた場合には、同じように蒸気圧力値が変化した場合でも燃焼台数の増加と減少を行わなければならない。図1のように設定しておくと、燃焼台数の増減を少なくすることができるため、圧力上昇時と圧力下降時でLLLLとHLL−を使い分けている。
前記の多缶設置ボイラの場合、4台の3位置燃焼制御ボイラで台数制御を行っているため、全缶燃焼待機から高燃焼4台までの9段階で燃焼量を割り振っているが、常に4台のボイラが必要なわけではなく、一部のボイラしか燃焼する必要がないという時間帯も多くある。そしてボイラ全体での燃焼可能量に対する現在の燃焼量が低い場合、ボイラが短時間で発停を繰り返すハンチングが発生しやすくなる。そのため、特開2007−120784号公報では、ボイラ全体での運転率に基づいて運転制御の対象となるボイラの台数を変更する制御台数増減制御を行うことが提案されている。
特開2007−120784号公報の発明では、制御台数分のボイラ全体での燃焼可能量に対する現在の燃焼量を運転率として算出し、運転率が半分よりも低い値に設定した運転率下位設定値より低い状態が制御台数減少時間以上継続すると、制御台数を減少する制御台数減少操作を行い、運転率が半分よりも高い値に設定した運転率上位設定値より高い状態が制御台数増加時間以上継続すると、制御台数を増加する制御台数増加操作を行うようにしている。
制御台数増減制御を行い、制御台数を適正な台数にすると、ハンチングの発生を抑えることができるが、制御台数増減制御を行う場合は、制御台数増加時間及び制御台数減少時間を適正な値に設定しておく必要がある。制御台数増加時間や制御台数減少時間の値が適正でないと、制御台数を変更すべき時に変更が行われなかったり、変更すべきでない時に変更が行われることになり、制御台数が不適切になると安定した台数制御が行えなくなる。また、当初はその設定値が適切であっても、使用負荷が変化することによって適正な値が変化することもある。しかし、運転状態を監視しておいて随時適切な設定値に変更するとしたのでは使用者の負担が重くなる。
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1から図3は、ボイラを5台設置した多缶設置ボイラでの燃焼パターン説明図である。ボイラは、高燃焼・低燃焼・燃焼待機の3位置で燃焼量を制御するものであり、低燃焼は高燃焼の半分の燃焼量であるとしている。図1は制御台数が4台の場合、図2は制御台数が3台の場合、図3は制御台数が2台の場合における燃焼のパターンを示している。図1から3ではボイラの燃焼状態は、高燃焼の場合を「H」、低燃焼の場合を「L」、燃焼待機の場合を「−」で示している。運転制御の対象から外しているボイラは「*」で示しており、図1では1台、図2では2台、図3では3台のボイラが運転制御の対象から外れている。「*」で示している制御対象から除外したボイラは、制御台数を増加しない限り運転させることはなく、それ以外のボイラでは蒸気圧力値から定まる燃焼状態に基づいて燃焼の制御を行う。蒸気圧力上昇によって燃焼量を減少する圧力値と、蒸気圧力低下によって燃焼量を増加する圧力値をずらして設定する点などは従来の台数制御と同じである。
図1は3位置燃焼制御ボイラ4台で台数制御を行うものであるため、全缶燃焼待機から高燃焼4台までの9段階で燃焼量を割り振っている。しかし、一般的な使用状況では、常に4台のボイラすべてが燃焼を行うものではない。実際に燃焼を行うボイラは少数であるのに、燃焼台数よりも多くのボイラを対象に台数制御を行っていた場合、わずかの圧力変動で燃焼量の変更が行われることになり、ボイラが短時間で発停を繰り返すハンチングも発生しやすくなる。そのため、ボイラ全体での運転率に基づいて運転制御の対象となるボイラの台数(制御台数)を変更する制御台数増減制御を行う。
制御台数の変更は、制御台数分のボイラ全体での燃焼可能量に対する現在のボイラ燃焼量を運転率として算出しておき、運転率が高い場合には制御台数を増加、運転率が低い場合には制御台数を減少することで行う。例えば、運転率が50±10%の範囲から所定時間以上外れると制御対象台数を変更する。運転率の算出は、((高燃焼台数×2+低燃焼台数)/(制御台数×2))×100にて算出することができる。
運転率が小さい(運転率下位設定値である40%を下回っている)状態が制御台数減少時間(a)より長く継続した場合は、必要量よりも多くのボイラを運転制御の対象にしていると判断し、制御台数を1台減少する。ボイラの制御台数を減少する基準となる制御台数減少時間(a)の値を40秒と設定していた場合、運転率が40%よりも低い状態が制御台数減少時間(a)の40秒間継続した場合には制御台数を1台減少する。
運転率が小さい状態とは、図1の圧力区分を参照すれば分かる通り、圧力調節範囲の上限に近い側となる。上限に近い圧力であると、少しの圧力上昇で全缶燃焼待機となる。燃焼を停止すると、次に燃焼を開始する際には燃焼準備に要する時間が必要であるため、その間に蒸気圧力値が急低下するということでハンチングが発生しやすくなる。この場合には図2へ、必要ならばさらに図3に記載しているように制御台数を削減することで、蒸気圧力値は圧力調節範囲の中央へ近付けることができ、少しの圧力変動では全缶燃焼待機になりにくくなり、ハンチングを発生し難くすることができる。
このことを具体的に説明する。ボイラを5台設置しており制御台数が4台である図1において、蒸気使用量が、1台のボイラを低燃焼とした場合と、2台のボイラを低燃焼とした場合の中間程度であったとすると、台数制御装置は「L−−−」と「LL−−」を交互に出力することになる。蒸気圧力値が分割No.2の範囲にある場合、蒸気圧力値から定まる燃焼量は「L−−−」であり、低燃焼1台での蒸気供給量では不足するため蒸気圧力値は低下する。蒸気圧力値が分割No.4の範囲まで低下すると、分割No.4の燃焼量は「LL−−」であり、燃焼待機ボイラの1台を低燃焼として蒸気供給量を増加すると蒸気圧力値は上昇する。蒸気圧力値の上昇によって分割No.2の範囲に入ると、燃焼量は「L−−−」であるために低燃焼ボイラの1台を燃焼待機とし、元の状態に戻る。その後も同様に燃焼台数の増減を繰り返すことになる。
この場合、蒸気圧力値は分割No.4〜分割No.2の0.820〜0.880MPa程度で増減することになり、LL→Lとなる0.860MPaから圧力調節範囲の上限値である0.900MPaまでの余裕は0.040MPaとなる。蒸気圧力値が圧力調節範囲の上限値に近い値で維持されている場合、蒸気使用量のわずかな変動でも蒸気圧力値が上限値より高くなる可能性があり、蒸気圧力値の上昇によってボイラがすべて燃焼待機にすると、すぐには燃焼を開始できないため蒸気圧力値が急降下することにつながる。
分割No.2の圧力区分にある時の運転率は((0×2+1)/(4×2))×100=12.5%、分割No.4の圧力区分にある時の運転率は((0×2+2)/(4×2))×100=25%となる。この状態では、運転率は40%よりも低い状態が続くことになり、制御台数減少時間(a)の40秒間以上継続した場合には制御台数を1台減少する制御台数減少操作を行う。
図2は、ボイラの設置台数は5台であるがそのうち2台のボイラを運転制御の対象から除外し、制御台数を3台とした場合での燃焼パターンを示している。2台のボイラを除外して制御台数を3台とした場合、燃焼量は「−−−」から「HHH」の7段階となる。この場合も図1と同じように、蒸気圧力値の上昇によって燃焼量を減少する圧力値と、蒸気圧力値の低下によって燃焼量を増加する圧力値をずらして設定するため、蒸気圧力調節範囲内を分割No.1から分割No.11の圧力区分に分割する。制御台数を4台から1台減少して3台にすると、圧力調節範囲内の分割数が減少するため、先に記載したものと同じ燃焼量になる分割No.4〜分割No.2の圧力値は、0.791〜0.873MPaとなる。LL→Lとなる0.845MPaから圧力調節範囲の上限値である0.900MPaまでの余裕値は0.055MPaであり、制御台数が4台の場合における余裕値の0.040MPaよりも大きくなる。
燃焼待機としていたボイラの燃焼を開始する場合、プレパージなどの準備に要する時間が必要であるため、燃焼開始指令から実際に蒸気を発生し始めるまでに比較的長い時間が必要となる。そのため、多缶設置ボイラでは全缶燃焼待機になると、蒸気圧力値の低下で蒸気供給量が必要になった際に蒸気の供給が遅れ、その間に蒸気圧力値がさらに低下して本来なら燃焼を行う必要のないボイラに対しても燃焼を開始させることがある。この場合、複数のボイラが連続して燃焼を開始することになり、蒸気供給が始まれば燃焼量が大きくなりすぎているために蒸気圧力が急上昇することになる。すると、燃焼開始直後に燃焼台数を減少する出力を行わなければならなくなる。このことでハンチングが発生するため、圧力調節範囲上限までの余裕値が大きくなると、蒸気使用量が多少変化してもボイラが全缶燃焼待機にはなりにくくなり、ハンチングの発生を抑えることができる。
また、運転制御対象としているボイラの台数が多いと、燃焼状態を定める圧力区分の幅が狭くなるため、わずかの圧力変動で燃焼状態の変更が発生する。逆に制御台数を少なくすると、圧力区分の幅は広くなるため、わずかの圧力変動では燃焼状態の変更が発生しなくなる。このことからもハンチングの発生を防止できる。
本実施例において、制御台数を3台にした場合での運転率は、分割No.2の圧力区分にある時には((0×2+1)/(3×2))×100=16.7%、分割No.4の圧力区分にある時の運転率は((0×2+2)/(3×2))×100=33.3%となる。この状態でも、運転率は40%よりも低い状態が続くことになり、制御台数減少操作を行った時から制御台数減少時間(a)の40秒間が経過すると、制御台数をさらに1台減少する。制御台数をもう1台減少して図3に記載のように制御台数2台にすると、分割No.4〜分割No.2の圧力値は0.729〜0.857MPaとなる。LL→Lとなる0.814MPaから圧力調節範囲の上限値である0.900MPaまでの余裕値は0.086MPaであり、圧力調節範囲上限までの余裕値はさらに増加することになる。
なお、制御台数が2台になった場合の運転率は、分割No.2の圧力区分にある時には((0×2+1)/(2×2))×100=25%、分割No.4の圧力区分にある時の運転率は((0×2+2)/(2×2))×100=50%となる。制御台数減少操作は、運転率が40%より低い状態が制御台数減少時間(a)の40秒継続した場合に行うものであるため、運転率が25%の状態での継続時間が制御台数減少時間(a)より長ければ制御台数減少操作を行うことになり、制御台数減少時間(a)が経過する前に運転率が50%になるならば制御台数減少操作は行わないことになる。この場合、制御台数減少時間(a)の設定値によって制御台数減少操作を行うか否かが変わることになる。
上記の通り、制御台数を少なくすればハンチングの発生を抑制できるが、蒸気の使用量に対して制御台数が少ないと、蒸気供給量が不足するおそれが生じる。そのため、運転率が大きくなった場合には、制御台数を増加し運転制御対象から除外していたボイラを制御対象に含めることで、蒸気供給量の増加に対応することができるようにする。運転率が大きい(運転率上位設定値である60%を上回っている)状態が制御台数増加時間(b)より長く継続した場合は、ボイラの燃焼量を増加する余裕が少なくなっていると判断し、制御対象ボイラの台数を増加する。ボイラの制御台数変更を判断する制御台数増加時間(b)の値を40秒と設定していた場合、運転率が60%よりも高い状態が制御台数増加時間(b)の40秒間継続した場合には制御台数を1台増加する。
なお、制御台数減少時間のカウントは、蒸気圧力値が低圧側の圧力区分へ変化した時には中止するように設定しておく。蒸気圧力値が低下している場合、現時点では運転率が低くても後に蒸気圧力低下によって燃焼量を増加することが必要になる可能性があるため、カウントを中止することで、制御対象台数の無駄な変更を防止する。同様に、制御台数増加時間のカウントは、蒸気圧力値が高圧側の圧力区分へ変化した時には中止するように設定しておく。この場合も、蒸気圧力値が上昇している場合、現時点では運転率が高くても後に蒸気圧力上昇によって燃焼量を減少することが必要になる可能性があるため、カウントを中止することで、制御台数の無駄な変更を防止する。
制御台数の変更は、設定値である制御台数減少時間(a)及び制御台数増加時間(b)を基準としているため、制御台数減少時間(a)及び制御台数増加時間(b)の値を変更することで制御台数の変更を調節することができる。制御台数減少時間(a)の値を大きくすると、制御台数が減少されにくくなり、制御台数減少時間(a)の値を小さくすると、制御台数が減少されやすくなる。制御台数の増加でも、制御台数増加時間(b)の値を大きくすると、制御台数が増加されにくくなり、制御台数増加時間(b)の値を小さくすると、制御台数が増加されやすくなる。
制御台数減少時間(a)及び制御台数増加時間(b)の値は、制御台数減少操作又は制御台数増加操作を行った時から次に制御台数減少操作又は制御台数増加操作を行うまでの時間である制御台数変更所要時間(c)を計測しておき、制御台数変更所要時間(c)が判定値(d)未満の場合に変更を行う。制御台数変更所要時間(c)は、制御台数増加操作を行った時から次に制御台数増加操作を行うまでの時間を制御台数変更所要時間(c1)、制御台数増加操作を行った時から次に制御台数減少操作を行うまでの時間を制御台数変更所要時間(c2)、制御台数減少操作を行った時から次に制御台数減少操作を行うまでの時間を制御台数変更所要時間(c3)、制御台数減少操作を行った時から次に制御台数増加操作を行うまでの時間を制御台数変更所要時間(c4)であるとして説明する。判定値(d)は、制御台数増加操作を行った時から次に制御台数増加操作又は制御台数減少操作を行うまでの時間と比較する場合には、制御台数増加時間(b)に設定倍率を掛けたものとし、制御台数減少操作を行った時から次に制御台数増加操作又は制御台数減少操作を行うまでの時間と比較する場合には、制御台数減少時間(a)に設定倍率を掛けたものとする。本実施例では設定倍率を2倍としておく。
制御台数増減制御は、4通りの組み合わせがあるため、4通りのそれぞれで設定しておく。制御台数増加操作後に再び制御台数増加操作を行う場合は、制御台数変更所要時間(c1)が制御台数増加時間(b)の2倍未満であれば、制御台数増加時間(b)を1秒減少する。制御台数増加操作後に逆に制御台数減少操作を行う場合は、制御台数変更所要時間(c2)が制御台数増加時間(b)の2倍未満であれば、制御台数増加時間(b)を1秒増加する。制御台数減少操作後に再び制御台数減少操作を行う場合は、制御台数変更所要時間(c3)が制御台数減少時間(a)の2倍未満であれば、制御台数減少時間(a)を1秒減少する。制御台数減少操作後に逆に制御台数増加操作を行う場合は、制御台数変更所要時間(c4)が制御台数減少時間(a)の2倍未満であれば、制御台数減少時間(a)を1秒増加する制御を行う。
先に記載したように、図1の状態で制御台数減少操作を行い、次に図2の状態で再度制御台数減少操作を行ったという場合には、制御台数を3台に変更した制御台数減少操作から次の制御台数を2台に変更した制御台数減少操作を行うまでの時間を測定することになる。ここで測定した時間である制御台数変更所要時間(c3)が、制御台数減少時間(a)の2倍である80秒よりも短かった場合、制御台数減少時間(a)を1秒減少して39秒とする。これ以降の制御では、制御台数減少時間(a)は39秒となり、運転率が40%よりも低い状態が39秒継続すると制御台数減少操作を行うことになるため、それまでよりも制御台数減少操作を行うタイミングが早くなる。制御台数の減少を短期間で連続して行うことになるのは、制御台数減少時間(a)の設定値が大きすぎる(制御台数減少操作が遅れる)ということであるため、制御台数減少時間(a)の設定値を小さくして早く制御台数減少操作が行われるようにする。制御台数減少時間(a)が39秒になると、制御台数減少時間(a)の2倍は78秒となり、制御台数減少時間(a)の設定値変更はされにくくなるが、制御台数減少時間(a)がまだ長いという場合には制御台数減少時間(a)の減少を繰り返す。
前記の実施例では制御台数減少操作が2回続けて行われたが、制御台数減少操作を行った後に制御台数増加操作を行う場合、制御台数増加操作が2回続けて行われる場合、制御台数増加操作を行った後に制御台数減少操作を行う場合がそれぞれ考えられる。例えば、先の実施例では「L−−−」と「LL−−」を交互に行う負荷であったため、制御台数減少操作が2回続けて行われたが、「LLL−」と「HLL−」を交互に行う負荷であった場合には、別の操作が行われることになる。「LLL−」と「HLL−」の場合、制御台数4台の図1での運転率は37.5%と50.0%であるために制御台数減少操作が行われる可能性があり、制御台数を3台に減少して図2になると運転率は50%と66.7%になるため、今度は逆に制御台数増加操作が行われる可能性がある。この場合も、制御台数減少操作を行った時から次に制御台数増加操作を行うまでの時間である制御台数変更所要時間(c4)を測定しておき、測定した制御台数変更所要時間(c4)が、制御台数減少時間(a)の2倍未満である場合には、制御台数減少時間(a)を1秒増加する。
また、制御台数増加操作を行った時から次に制御台数減少操作又は制御台数増加操作を行うまでの時間が制御台数増加時間(b)の2倍未満であった場合は、制御台数増加時間(b)の値を変更する。先の実施例の続きで、図2において運転率が66.7%の状態が制御台数増加時間(b)の40秒間持続した場合、制御台数増加操作を行って制御台数を4台とした時からの経過時間を測定しておく。制御台数が4台で「LLL−」なら運転率は37.5%であって40%より低くなるため、運転率の低い状態が制御台数減少時間(a)より長くなると、今度は逆に制御台数減少操作を行う。制御台数増加操作を行った時から次に制御台数減少操作を行うまでの時間である制御台数変更所要時間(c2)が、制御台数増加時間(b)の2倍未満であった場合は、制御台数増加時間(b)の値を1秒増加する。
同様に、制御台数増加操作を行った時から次に制御台数増加操作を行うまでの時間である制御台数変更所要時間(c1)が、制御台数増加時間(b)の2倍未満であった場合は、制御台数増加時間(b)の値を1秒減少する。
当初の設定値が負荷に合致していなくとも、運用時間が長くなり、制御台数減少時間(a)と制御台数増加時間(b)の値を増減することを繰り返すことで、負荷に合致した設定となり、負荷に対して適正な制御台数で台数制御を行えるようになる。適正な制御台数となることでハンチングを抑制でき、結果として省エネとなる。
また、制御台数減少操作又は制御台数増加操作を行った時から次に制御台数増加操作又は制御台数減少操作を行うまでの時間が、制御台数減少時間(a)又は制御台数増加時間(b)のそれぞれでの2倍より大きい場合は、設定している制御台数減少時間(a)及び制御台数増加時間(b)はそのままとする。これは使用負荷に対する制御台数減少時間(a)又は制御台数増加時間(b)の値が適切であると判断できるためである。
図4は、上記の制御を整理したものである。まず蒸気圧力値から燃焼量を決定し、燃焼量から運転率を算出する。運転率の低い状態が制御台数減少時間(a)以上継続した場合には制御台数減少操作、運転率の高い状態が制御台数増加時間(b)以上継続した場合には制御台数増加操作を行い、運転率が低い状態又は高い状態が長く続かなかった場合には制御台数の変更は行わない。
制御台数減少操作を行った場合は、前回は制御台数増加操作を行っていたのであれば、前回の制御台数増加操作から今回の制御台数減少操作までの時間が制御台数増加時間(b)の設定倍率未満であれば制御台数増加時間(b)を増加する。前回は制御台数減少操作で、今回も制御台数減少操作を行ったのであれば、前回の制御台数減少操作から今回の制御台数減少操作までの時間が制御台数減少時間(a)の設定倍率未満であれば制御台数減少時間(a)を減少する。同様に、制御台数増加操作を行った場合は、前回も制御台数増加操作を行っていたのであれば、前回の制御台数増加操作から今回の制御台数増加操作までの時間が制御台数増加時間(b)の設定倍率未満であれば制御台数増加時間(b)を減少する。前回は制御台数減少操作で、今回は制御台数増加操作を行ったのであれば、前回の制御台数減少操作から今回の制御台数増加操作までの時間が制御台数減少時間(a)の設定倍率未満であれば制御台数減少時間(a)を増加する。
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。