JP6398762B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
他方、PIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムによる蒸気量の制御では、例えば、蒸気の供給を行っている給蒸中のボイラに何らかの異常が発生してヘッダ圧力値が所定圧力を下回る場合、ヘッダ圧力値は急激に下降し、PIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムにより算出される必要蒸気量が過剰に確保される。このため、ボイラが燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、ヘッダ圧力値は下降から上昇に転じる。そして、ヘッダ圧力値が上昇に転じた時点から必要蒸気量は減少し続けるが、その時点で必要蒸気量が過剰に確保されている。そして、出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないため、出力蒸気量は増加し続け、ヘッダ圧力値が増加し続ける。
これにより、ヘッダ圧力値の上昇を抑えきれずに再度、制限上限圧力値を超えることにより全台待機となり、ヘッダ圧力値が急降下する、ということを繰り返す可能性がある。
この繰り返しが発生すると、ヘッダ圧力値が目標圧力値に収束せずに上下に変動する、いわゆるハンチング現象が発生し、継続する。
例えば、蒸気の供給を行っているボイラが何らかの原因で異常停止して、燃焼ボイラ不足が発生した場合、また想定を上回る急激な負荷増加が発生して、蒸気の供給が間に合わない事態が発生した場合等において、ヘッダ圧力値が所定圧力を下回り、ヘッダ圧力値が目標圧力値に収束せずに上下に変動する、ハンチング現象が発生する可能性がある。
以下、本発明の一実施形態に係るボイラシステムの第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力値(ヘッダ圧力値)を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の変動に基づいて必要蒸気量を算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
第1実施形態のボイラ20は、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な連続制御ボイラからなる。
連続制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、燃焼率の20%の燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼率が連続的に制御可能とされているボイラである。連続制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度を制御することにより、燃焼率を調整するようになっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
なお、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧力信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
次に、制御部4の詳細な構成について説明する。図3に示すように、制御部4は、必要蒸気量算出部41と、出力制御部42と、を含んで構成される。
MVn=MVn−1+ΔMVn ・・・・・・・・・・(式1)
(式1)において、MVn:現時点の必要蒸気量(今回必要蒸気量)、MVn−1:前回の制御周期時点の必要蒸気量(前回必要蒸気量)、ΔMVn:前回から今回までの必要蒸気量変化分である。ここで、添字nは、繰り返し演算の演算回数(n回目:n=1,2,…,Nの正の整数値)を示す。
速度形演算は、制御周期毎に前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMVnのみを計算し、これに前回必要蒸気量MVn−1を加算して、今回必要蒸気量MVnを計算する方法である。
これに対して、制御周期毎に今回必要蒸気量MVnを直接計算するPID制御アルゴリズムは、位置形演算という。
ΔMVn=ΔPn+ΔIn+ΔDn ・・・・・・・(式2)
(式2)において、ΔPn:P制御出力(変化分)、ΔIn:I制御出力(変化分)、ΔDn:D制御出力(変化分)であり、それぞれ下記の(式3)〜(式5)により求められる。
ΔPn=KP×(en−en−1) ・・・・・・・・・(式3)
ΔIn=KP×(Δt/TI)×en ・・・・ (式4)
ΔDn=KP×(TD/Δt)×(en−2en−1+en−2) ・・(式5)
(式3)〜(式5)において、Δt:制御周期、KP:比例ゲイン、TI:積分時間、TD:微分時間、en:現時点の偏差量、en−1:前回の制御周期時点の偏差量、en−2:前々回の制御周期時点の偏差量である。
現時点の偏差量enは、目標圧力値SVと、蒸気圧センサ7で測定されたヘッダ圧力値PVとの差であって、下記の(式6)により求められる。
en=SV−PV ・・・・・・・・・・・・・・(式6)
必要蒸気量算出部41は、(式1)のように、前回必要蒸気量MVn−1に必要蒸気量変化分ΔMVnを加算して、今回必要蒸気量MVnを計算することができる。
こうすることで、必要蒸気量算出部41は、ヘッダ圧力値PVが目標圧力値SVとなるために必要な蒸気量を算出する。
ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点又は初回の算出処理の実行時点に、給蒸中のすべてのボイラ20による出力蒸気量の合計値JTを算出して、(i)現時点の必要蒸気量MVnとして、又は(ii)前回の必要蒸気量MVn−1として、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点又は初回の算出処理の実行時点に給蒸中のすべてのボイラ20による出力蒸気量の合計値JTを設定する。
例えば、ボイラ20の最大蒸気量を7000kg/h(即ち、ボイラ20は7tボイラ)、及び必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを8t/hと仮定する。
このように、給蒸中のボイラ20のうち1台が異常停止した場合に、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態が発生する可能性がある。
例えば、給蒸中のボイラ20が2台とし、要求負荷が急激に増加して、必要蒸気量MVnが、例えば、15t/hになったと仮定した場合、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値は、7t/h×2=14t/hとなる。給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値14t/hは、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVn(15t/h)を下回る状態に該当する。
このように、想定を上回る急激な負荷増加が発生した場合に、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態が発生する可能性がある。
ステップST1において、必要蒸気量算出部41は、制御周期毎において、蒸気圧センサ7から送信された蒸気圧信号に基づいて、ヘッダ圧力値PVを取得する。
この際、例えば、レジスタ、ビットメモリ等を用いたフラグデータを用意して、必要蒸気量算出部41は、第1状態が発生した場合にフラグデータをセットし、後述する置き換え処理を完了した場合にフラグデータをリセットすることにより、第1状態が発生している状態か否か、を判定してもよい。
第1状態が発生している状態の場合(Yes)には、ステップST4に移る。それ以外の場合(No)には、ステップST7へ移る。
ここで、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた場合とは、ヘッダ圧力値PVが上昇に転じた後の所定の時間範囲を含む。
ステップST5において、必要蒸気量算出部41は、記憶部5に記憶された給蒸中のすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量を取得する。
その後、ステップST7に移る。
ステップST7において、必要蒸気量算出部41は、式(1)に基づいて、前回必要蒸気量MVn−1に制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVnを加算して、今回必要蒸気量MVnを算出する。
その後、ステップST8に移る。
ステップST8において、必要蒸気量算出部41は、今回必要蒸気量MVnを出力制御部42に出力する。
その後、ステップST1に戻る。
必要蒸気量算出部41は、現時点の必要蒸気量MVnとして、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点又は初回の算出処理の実行時点に給蒸中のすべてのボイラ20による出力蒸気量の合計値JTを設定するように変形することも可能である。
この場合のボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートを図5に示す。なお、図4と図5とは、ステップST6及びステップST7の処理又は順序が異なるだけであり、説明は省略する。
そして、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点で、必要蒸気量算出部41は、速度形PID演算において、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnを出力蒸気量JTに置き換える処理を実行する。
具体的には、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じたt2において、必要蒸気量算出部41は、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値JTにより置き換え、今回必要蒸気量MVnを算出する。
これにより、第1実施形態に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点で、速度形PID制御により算出される必要蒸気量MVとボイラ20の実際の出力蒸気量JTとの遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量JTは、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
制御部4Aの詳細な構成について説明する。図8に示すように、制御部4Aは、必要蒸気量算出部41と、出力制御部42と、ハンチング検出部43と、を含んで構成される。
制御部4Aは、PIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムによる蒸気量の制御を行うに際して、圧力安定性を重要視する観点から、ヘッダ圧力値PVが通常制御であれば到達しない制御上限圧力値PUを予め設けることができる。
それにより、蒸気使用設備の蒸気消費量(要求負荷)が急激に減少することで、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値PUを超えた場合に、すべてのボイラを燃焼停止(以下、「全台待機」ともいう)とする台数制御を行う。
これにより、ヘッダ圧力値PVの上昇を抑えきれずに再度、制御上限圧力値PUを超えることにより全台待機となり、ヘッダ圧力値PVが急降下する、ということを繰り返す可能性が高い。
このような事象が発生すると、ヘッダ圧力値PVが目標圧力値SVに収束せずに上下に変動する、いわゆるハンチング現象が発生し、継続する。
また、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えないが、ヘッダ圧力値PVが目標圧力値SVに収束せずに、所定の圧力値以上となるような変動を所定時間(例えば、60秒)以内に所定回数(例えば、4回)以上繰り返す現象(以下、「擬似ハンチング」ともいう)が発生する場合がある。
擬似ハンチングの発生する1つの要因としては、目標圧力値SVとヘッダ圧力値PVとの偏差に対して、操作量が過剰に算出されることが挙げられる。操作量が過剰に算出されることにより、圧力変動が急激に上下動し、擬似ハンチング(又はハンチング)が発生すると考えられる。
疑似ハンチング現象が発生すると、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えて、全缶停止及びハンチングを起こす可能性がある。
第2実施形態においては、擬似ハンチングを検出することで、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
このため、ヘッダ圧力値PVが、制御部4Aにより複数のボイラ20が全缶停止される閾値として予め設定された制御上限圧力値PUと目標圧力値SVとの間に第2制御上限圧力値P2を予め設定する。
制御上限圧力値PU > 第2制御上限圧力値P2 >目標圧力値SV
ハンチング検出部43は、ヘッダ圧力値が、第2制御上限圧力値P2を超える又は第2制御上限圧力値P2以上となる回数が、第1の時間(例えば、60秒)の間に、第1の回数(例えば、4回)以上発生したか否かを検出する。
なお、第1の時間及び第1の回数については、ボイラシステム1の特性に合わせて、適宜設定することができる。例えば、第1の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43は、ヘッダ圧力値が、第2制御上限圧力値P2を超えるか、又は第2制御上限圧力値P2以上となることが発生したか否かを検出する。
必要蒸気量算出部41は、ハンチング検出部43が疑似ハンチング状態を検出した状態で、その後ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた場合、現時点の必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理を次のように行う。
ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点又は初回の算出処理の実行時点に、給蒸中のすべてのボイラ20による出力蒸気量の合計値JTを算出して、(i)現時点の必要蒸気量MVnとして、又は(ii)前回の必要蒸気量MVn−1として、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点又は初回の算出処理の実行時点に給蒸中のすべてのボイラ20による出力蒸気量の合計値JTを設定する。
このため、疑似ハンチング状態を検出した状態で、その後ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点で、必要蒸気量算出部41は、速度形PID演算において、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnを出力蒸気量JTに置き換える処理を実行する。そうすることで、それ以降、必要蒸気量算出部41により算出される必要蒸気量MVnとボイラ20の実際の出力蒸気量JTとの遅延をなくすることができる。
こうすることで、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、擬似ハンチング段階においてヘッダ圧力値PVを速やかに目標圧力値SVに収束させ、ハンチングの発生を回避することができる。
次に、第2実施形態に係るボイラシステム1の動作について、図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態に係るボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートである。
この際、例えば、レジスタ、ビットメモリ等を用いたフラグデータを用意して、必要蒸気量算出部41は、第2状態が発生した場合にフラグデータをセットし、後述する置き換え処理を完了した場合にフラグデータをリセットすることにより、第2状態が発生している状態か否か、を判定してもよい。
第2状態が発生している状態の場合(Yes)には、ステップST4´に移る。それ以外の場合(No)には、ステップST7´へ移る。
ここで、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた場合とは、ヘッダ圧力値PVが上昇に転じた後の所定の時間範囲を含む。
ステップST5´において、必要蒸気量算出部41は、記憶部5に記憶された給蒸中のすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量を取得する。
その後、ステップST7´に移る。
ステップST7´において、必要蒸気量算出部41は、式(1)に基づいて、前回必要蒸気量MVn−1に制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVnを加算して、今回必要蒸気量MVnを算出する。
その後、ステップST8´に移る。
ステップST8´において、必要蒸気量算出部41は、今回必要蒸気量MVnを出力制御部42に出力する。
その後、ステップST1´に戻る。
そして、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点で、必要蒸気量算出部41は、速度形PID演算において、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnを出力蒸気量JTに置き換える処理を実行する。
具体的には、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じたt2において、必要蒸気量算出部41は、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値JTにより置き換え、今回必要蒸気量MVnを算出する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、主として、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第3実施形態において、特に説明しない点は、第2実施形態についての説明が適宜適用される。また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様な効果が奏される。
ここで、第2制御帯下限値とは、制御帯下限値の近傍の値であって、例えば、第2制御帯下限値と制御帯下限値との偏差の絶対値が、第1閾値となるように設定することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態についても、主として、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第4実施形態において、特に説明しない点は、第2実施形態についての説明が適宜適用される。また、第4実施形態においても、第2実施形態と同様な効果が奏される。
これにより、第2実施形態〜第4実施形態に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、ハンチング検出部43により、それぞれ擬似ハンチング、第2の擬似ハンチング、及び第3の擬似ハンチングを検出した場合、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じたときに、速度形PID制御により算出される必要蒸気量MVとボイラ20の実際の出力蒸気量JTとの遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量JTは、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
第5実施形態として、ハンチング検出部43により、例えば、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えて全台待機となった場合、ヘッダ圧力値PVが予め設定された第1圧力値を下回り、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じたときに、必要蒸気量算出部41により、前回必要蒸気量MVn−1又は今回必要蒸気量MVnを出力蒸気量JTに置き換える処理を実行することで、ヘッダ圧力値PVの変動を縮小させて、ヘッダ圧力値PVを、目標圧力値SVの付近で収束させることができる。
2 ボイラ群
3 ボイラ制御装置
4 制御部
5 記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
18 蒸気使用設備
20 ボイラ
41 蒸気量算出部
42 出力制御部
43 ハンチング検出部
Claims (5)
- 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラからなり、負荷機器に蒸気を供給するボイラ群と、
前記ボイラ群により生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
前記蒸気圧測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が予め設定された目標圧力値と一致するように、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
前記ヘッダ圧力値を前記目標圧力値に保つように、現時点の必要蒸気量MVnを速度形PIアルゴリズム又は速度形PIDアルゴリズムにより算出する必要蒸気量算出部と、
前記必要蒸気量算出部により算出された現時点の必要蒸気量MVnを発生させるよう前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
を備え、
前記必要蒸気量算出部は、
蒸気の供給を行っているすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が前記必要蒸気量算出部により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態で、前記ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回り、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合、現時点の必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、(i)現時点の必要蒸気量MVnとして、又は(ii)前回の必要蒸気量MVn−1として、前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた時点又は前記初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべての前記ボイラによる出力蒸気量の合計値を設定するボイラシステム。 - 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラからなり、負荷機器に蒸気を供給するボイラ群と、
前記ボイラ群により生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
前記蒸気圧測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が予め設定された目標圧力値と一致するように、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
前記ヘッダ圧力値を前記目標圧力値に保つように、現時点の必要蒸気量MVnを速度形PIアルゴリズム又は速度形PIDアルゴリズムにより算出する必要蒸気量算出部と、
前記必要蒸気量算出部により算出された現時点の必要蒸気量MVnを発生させるよう前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
ハンチングの起因となる可能性のある前記ヘッダ圧力値の変動を擬似ハンチングとして検出するハンチング検出部と、
を備え、
前記必要蒸気量算出部は、
前記ハンチング検出部が前記疑似ハンチング状態を検出した状態で、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合、現時点の必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、(i)現時点の必要蒸気量MVnとして、又は(ii)前回の必要蒸気量MVn−1として、前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた時点又は前記初回の算出処理の実行時点に、蒸気の供給を行っているすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値を設定するボイラシステム。 - 前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記制御部が前記複数のボイラを全缶停止する閾値として予め設定された制御上限圧力値と前記目標圧力値との間に予め設定された第2制御上限圧力値を超える又は第2制御上限圧力値以上となる回数が、第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項2に記載のボイラシステム。
- 前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、予め設定された制御帯下限値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項2又は請求項3に記載のボイラシステム。
- 前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記目標圧力値を超える値から前記目標圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のボイラシステム。
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