JP6330404B2 - ボイラシステム - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気消費量に応じたボイラの燃焼量を、PI(比例積分制御)又はPID(比例積分微分制御)アルゴリズムにより制御するボイラシステムに関する。
従来、ボイラと、蒸気使用設備の蒸気消費量(要求負荷)に応じてボイラの燃焼量を制御する制御部と、を備えたボイラシステムが知られている。このようなボイラシステムでは、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力値」ともいう)が蒸気消費量の変動に係わらず一定の目標蒸気圧力値となるように、蒸気消費量の変動に応じてボイラの燃焼量が制御される。従来、蒸気消費量の変動に対して蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つため、ボイラで発生すべき蒸気量(以下、「必要蒸気量」ともいう)をPIDアルゴリズムにより制御する手法を用いたボイラシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−73105号公報 特許第3805611号公報
ところで、PIDアルゴリズムによる蒸気量の制御では、圧力安定性を重要視する観点から、ヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない制御圧力上限を予め設けておき、例えば、蒸気使用設備の蒸気消費量(要求負荷)が急激に減少することで、ヘッダ圧力値が制御圧力上限を超えた場合に、全てのボイラを停止(以下、「全缶停止」ともいう)とする台数制御を行うことがある。
全缶停止となった場合、ヘッダ圧力値は急激に下降し、PID演算により算出される必要蒸気量が過剰に確保される。このため、ボイラが燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、ヘッダ圧力値は下降から上昇に転じる。そして、ヘッダ圧力値が上昇に転じた時点から必要蒸気量は減少し続けるが、その時点で必要蒸気量が過剰に確保されている。そして、出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないため、出力蒸気量は増加し続け、ヘッダ圧力値が増加し続ける。
この場合、ヘッダ圧力値の上昇を抑えきれずに再度、制御圧力上限を超えることにより全缶停止となり、ヘッダ圧力値が急降下する、ということを繰り返すおそれがある。
この繰り返しが発生した場合、ヘッダ圧力値が目標蒸気圧力値に収束せずに上下に変動する、いわゆるハンチング現象が発生し、継続する。
このようなハンチング現象は、出力蒸気量が大幅に不足することにより、ヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない下限圧力を下回った場合においても発生し得る。
本発明は、ヘッダ圧力値が、ハンチングの起因となる可能性のある圧力変動を検出するボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラからなり、負荷機器に蒸気を供給するボイラ群と、該ボイラ群において生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、負荷機器からの要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、必要蒸気量をPI制御方式又はPID制御方式により算出する蒸気量算出部と、前記蒸気量算出部により算出された必要蒸気量を発生させるように、前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、ハンチングの起因となる可能性のある前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値の変動を擬似ハンチングとして検出するハンチング検出部と、を備えるボイラシステムに関する。
前記制御部は、前記ハンチング検出部により、前記擬似ハンチングを検出した場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を長くする補正を行う補正部を備えることができる。
前記補正部は、積分時間を長くする補正を行った後、前記ハンチング検出部が、予め設定された所定の時間の間、前記擬似ハンチングを検出しなかった場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を補正前の値に戻す補正を行うことができる。
また、前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、前記制御部により前記複数のボイラが全缶停止される閾値として予め設定された制御圧力上限値と前記目標蒸気圧力値との間に予め設定された第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、前記第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出することができる。
また、前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、制御帯下限値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御帯下限値を下回る又は前記第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出することができる。
また、前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、前記目標蒸気圧力値を超える値から前記目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出することができる。
また、前記制御部は、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間に関する複数のパラメータを記憶する記憶部を備え、前記蒸気量算出部は、前記複数のパラメータのうち1つのパラメータにより設定される積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、前記補正部は、前記複数のパラメータのうち1つのパラメータを用いて積分時間を補正することができる。
また、前記制御部は、前記ハンチング検出部により擬似ハンチングを検出した場合、当該擬似ハンチングに関する情報(例えば、擬似ハンチングを検出した日時、ヘッダ圧力値、擬似ハンチングを検出した時の積分時間、補正した日時、補正時の積分時間、補正前の積分時間に戻した日時等の情報)を記録する変動情報記録部を備えることができる。
本発明によれば、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が目標圧力値と一致するように、制御対象のボイラの燃焼量を制御する台数制御手段を備えるボイラシステムにおいて、全缶停止又はハンチングの起因となる可能性のある前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値の変動を擬似ハンチングとして検出するボイラシステムを提供することができる。
第1実施形態に係るボイラシステム1の概略構成図である。 ボイラ群の概略を示す図である。 制御部の構成を示す機能ブロック図である。 第1実施形態に係るボイラシステム1のフィードバック制御の流れを示すフローチャートである。 図1に示すボイラシステム1をモデルとして、第1実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値の時間的推移を示す図である。 図1に示すボイラシステム1をモデルとして、第2実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値の時間的推移を示す図である。 図1に示すボイラシステム1をモデルとして、第3実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値の時間的推移を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係るボイラシステムの第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力(ヘッダ圧力)を測定し、測定結果としての蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20と電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態を制御する。台数制御装置3の詳細については、後述する。
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の変動に基づいて必要蒸気量を算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量(後述の出力蒸気量)が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が下降することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の下降により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が上昇することになる。従って、ボイラシステム1は、蒸気圧センサ7により測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。そして、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力に基づいて、蒸気使用設備18の蒸気消費量(要求負荷)に応じて必要とされる蒸気量である必要蒸気量を算出する。制御方式の詳細については、後述する。
ここで、ボイラシステム1を構成する複数のボイラ20について説明する。図2は、ボイラ群2の概略を示す図である。
ボイラ20は、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、燃焼率の20%の燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼率が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度を制御することにより、燃焼率を調整するようになっている。
また、燃焼率を連続的に制御するとは、後述のローカル制御部22における演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、ボイラ20の出力(燃焼率)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
ボイラ20の燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更は、ボイラ20(バーナ)の燃焼をオン/オフすることで制御される。そして、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、燃焼率が連続的に制御可能となっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
単位蒸気量Uは、ボイラ20の最大燃焼状態S2における蒸気量(最大蒸気量)に応じて適宜設定できるが、ボイラシステム1における出力蒸気量の必要蒸気量に対する追従性を向上させる観点から、ボイラ20の最大蒸気量の0.1%〜20%に設定されることが好ましく、1%〜10%に設定されることがより好ましい。
なお、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
また、複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2に示すように、ボイラ20の1号機〜5号機のそれぞれに「1」〜「5」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、5号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、通常の場合、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
以上のボイラ20は、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の燃焼状態を制御するローカル制御部22と、を備える。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
次に、台数制御装置3の詳細について説明する。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧力信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
記憶部5は、制御部4の制御により各ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各ボイラ20から受信した燃焼状態等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を記憶する。なお、後述するように、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間に関する少なくとも2つ以上の複数のパラメータを記憶部5に記憶することができる。また、後述するように、ハンチング検出部により検出した擬似ハンチングに関する情報、例えば、擬似ハンチングを検出した日時、当該擬似ハンチングの状況、擬似ハンチングを検出した時の積分時間の値、補正した日時、補正時の積分時間の値、補正前の積分時間に戻した日時等の情報を記憶することができる。
制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20に各種の指示を行ったり、各ボイラ20から各種のデータを受信したりして、5台のボイラ20の燃焼状態や優先順位を制御する。各ボイラ20は、台数制御装置3から燃焼状態の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
(制御部4の構成)
次に、制御部4の詳細な構成について説明する。図3に示すように、制御部4は、蒸気量算出部41と、出力制御部42と、ハンチング検出部43と、補正部44と、変動情報記録部45と、履歴情報解析部46と、を含んで構成される。
蒸気量算出部41は、予め設定された目標蒸気圧力値SV、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値PV等に基づいて、必要蒸気量を算出する。具体的には、蒸気量算出部41は、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値PVが、予め設定された目標蒸気圧力値SVとなるように、必要蒸気量を、例えば、速度型PIDアルゴリズムにより算出する。
蒸気量算出部41は、複数のボイラ20から発生させる今回必要蒸気量MVnを、下記の速度型演算式(1)に基づいて算出する。

MV = MVn−1 + ΔMV ・・・(1)
ここで、Δtを制御周期、nを正の整数値としたとき、
MVは制御周期n(起点t0+n*Δt)における複数のボイラ20から発生させる今回必要蒸気量、
MVn−1は制御周期(n−1)における前回必要蒸気量、
ΔMVは制御周期毎の必要蒸気量変化分を表す。

速度型演算は、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVのみを計算し、これに前回必要蒸気量MVn−1を加算して、今回必要蒸気量MVを計算する方法である。
これに対して、制御周期毎に今回必要蒸気量MVを直接計算するPID制御アルゴリズムは、位置型演算と言う。
制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVは、下記の式(2)〜(6)に基づいて算出する。

ΔMV = ΔP+ΔI+ΔD ・・・(2)
ここで、ΔPはP制御出力(変化分)を、
ΔIはI制御出力(変化分)を、
ΔDはD制御出力(変化分)を表す。

ΔP = K*(e−en−1) ・・・(3)
ここで、Kは、比例ゲインを、
は、式(4)に示すように、今回の目標蒸気圧力値SVと、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の今回蒸気圧力値PVとの差(今回偏差量)を表す。

= SV−PV ・・・(4)

ΔI =K*(Δt/T)*e ・・・(5)
は積分時間を表す。

ΔD = K*(T/Δt)*(e−2en−1+en−2
・・・(6)
ここで、Tは微分時間を表す。
蒸気量算出部41は、式(3)、(5)、(6)で算出された各出力(変化分)を合計することにより、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVを算出する。
蒸気量算出部41は、式(1)のように、前回必要蒸気量MVn−1にΔMVを加算して、今回必要蒸気量MVを計算する。
なお、蒸気量算出部41は、必要蒸気量を算出するに際して、位置型演算によるPID制御アルゴリズムを適用してもよい。
(制御圧力上限値)
ところで、制御部4は、PIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムによる蒸気量の制御を行うに際して、圧力安定性を重要視する観点から、ヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない制御圧力上限を予め設けておき、例えば、蒸気使用設備の蒸気消費量(要求負荷)が急激に減少することで、ヘッダ圧力値が制限条件圧力を超えた場合に、全てのボイラを停止(以下、「全缶停止」ともいう)とする台数制御を行う。
全缶停止となった場合、ヘッダ圧力値は急激に下降し、PID演算により算出される必要蒸気量が過剰に確保される。このため、ボイラが燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、ヘッダ圧力値は下降から上昇に転じる。そして、ヘッダ圧力値が上昇に転じた時点から必要蒸気量は減少し続けるが、その時点で必要蒸気量が過剰に確保されている。そして、出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないため、出力蒸気量は増加し続け、ヘッダ圧力値が増加し続けるおそれがある。
これにより、ヘッダ圧力値の上昇を抑えきれずに再度、制限条件圧力を超えることにより全台待機となり、ヘッダ圧力値が急降下する、ということを繰り返す可能性が高い。
このような事象が発生すると、ヘッダ圧力値が目標蒸気圧力値に収束せずに上下に変動する、いわゆるハンチング現象が発生し、継続する。
(制御圧力上限2)
このため、ヘッダ圧力値が、制御部4により複数のボイラ20が全缶停止される閾値として予め設定された制御圧力上限値と目標蒸気圧力値との間に第2制御圧力上限値を予め設定する。
制御圧力上限値 > 第2制御圧力上限値 >目標蒸気圧力値
第1実施形態においては、ヘッダ圧力値が制御圧力上限値を超えないが、第2制御圧力上限値以上となるような変動を所定時間(例えば、60秒)以内に所定回数(例えば、4回)以上繰り返す場合、ハンチングの起因となる可能性のある、ヘッダ圧力値の変動とみなす(以下、当該変動を「擬似ハンチング」、当該所定時間を「第1の時間」、当該所定回数を「第1の回数」という)。
擬似ハンチングを検出することで、ヘッダ圧力値が制御圧力上限値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
(積分時間)
ところで、制御部4は、PIDアルゴリズムによる蒸気量の制御を行うに際して、圧力安定性を高めるために積分時間を適切に設定する必要がある。
積分時間を長く設定すると、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、小さな操作量が算出され、積分時間を短く設定すると、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、大きな操作量が算出されることとなる。(式(3)、式(5)、式(6)、式(8)〜(10)等参照。)
擬似ハンチングの発生する1つの要因としては、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、操作量が過剰に算出される結果、圧力変動が急激に上下動し、擬似ハンチング(又はハンチング)が発生することが考えられる。
このため、ハンチング検出部43が擬似ハンチングを検出した場合、後述するように、補正部44は、積分時間を長くなるように補正する。積分時間を長く補正することにより、結果として、操作量が過剰に算出されないように制御される。そうすることで、圧力変動の急激な上下動を抑制して、擬似ハンチング段階においてヘッダ圧力値を速やかに目標蒸気圧力値に収束させ、全缶停止又はハンチングの発生を回避する。
出力制御部42は、蒸気量算出部41が算出した今回必要蒸気量に基づいてボイラ20の燃焼状態(燃焼量)を制御する。出力制御部42は、ボイラ群2から必要蒸気量分の蒸気が発生するように各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
出力制御部42は、蒸気量算出部41において、蒸気消費量に応じて算出された必要蒸気量に基づいて、燃焼させるボイラ20の台数を設定する。出力制御部42は、記憶部5に記載されている優先順位に従って燃焼を開始又は停止するボイラ20を設定するとともに、それらボイラ20のローカル制御部22に対して、台数制御信号(運転の開始又は停止)を出力する。これにより、ボイラ群2から必要蒸気量分の蒸気が発生するように各ボイラ20の燃焼状態を制御することで、必要蒸気量に対応する蒸気量(以下、「出力蒸気量」ともいう)が蒸気ヘッダ6に供給される。
ハンチング検出部43は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、第1の時間(例えば、60秒)の間に、第1の回数(例えば、4回)以上発生したか否かを検出する。
なお、第1の時間及び第1の回数については、ボイラシステムの特性に合わせて、適宜設定することができる。例えば、第1の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御圧力上限値を超えるか、又は第2制御圧力上限値以上となることが発生したか否かを検出する。
補正部44は、ハンチング検出部43により、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、第1の時間(例えば、60秒)の間に、第1の回数(例えば、4回)以上発生したことを検出した場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を長くする補正を行う。
この補正を行うために、記憶部5に、予めPI制御方式又はPID制御方式における積分時間に関する少なくとも2つ以上の複数のパラメータを記憶する。
少なくとも2つ以上の複数のパラメータのうち、1つのパラメータは、通常時のパラメータとして、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間の値として用いる。すなわち、蒸気量算出部41は、複数のパラメータのうち通常時のパラメータにより設定される積分時間に基づいてPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42により、算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダに供給する。
少なくとも2つ以上の複数のパラメータのうち、通常時のパラメータ以外のパラメータは、補正時のパラメータとして、擬似ハンチングを検出した場合に、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して操作量が過剰に算出されないように、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間の値として用いる。このため、補正時のパラメータにおける積分時間は、通常時のパラメータで設定された積分時間よりも長くしたものとする。
例えば、通常時のパラメータにおける積分時間を30秒とした場合、補正時のパラメータとして、例えば40秒を採用してもよい。
補正時のパラメータとして、複数個のパラメータを備えるようにしてもよい。この場合、補正時のパラメータには、例えば補正番号を付与することにより識別することとし、補正番号1の補正時のパラメータにおける積分時間として例えば40秒を、補正番号2の補正時のパラメータにおける積分時間として例えば50秒を設定するように、所定の割合で積分時間を長くしたパラメータとすることができる。なお、通常時のパラメータについては、パラメータ識別番号を、便宜上、補正番号0として識別してもよい。
補正部44は、ハンチング検出部43が擬似ハンチングを検出した場合、通常時のパラメータを補正時のパラメータに置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を一時的に長くする補正を行うことができる。
そうすることで、蒸気量算出部41は、補正時のパラメータにより設定される一時的に長くした積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、補正時のパラメータにより設定される積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式に基づいて算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダに供給することとなる。その結果、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、過剰な操作量を算出しないようにすることが可能となり、圧力変動の急激な上下動を抑制して、圧力変動を緩やかに収束することが可能となる。
補正部44が、積分時間を一時的に長くする補正を行った後、ハンチング検出部43は、予め設定した所定の時間(例えば、2分〜3分)の間、擬似ハンチングが発生するか否かを監視する。ハンチング検出部43が、予め設定した所定の時間(例えば、2分〜3分)の間、擬似ハンチングを検出しなかった場合、擬似ハンチングが収束傾向にあると判断して、補正部44は、補正時のパラメータを通常時のパラメータに置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を元の値に戻すことができる。
そうすることで、蒸気量算出部41は、再び、通常時のパラメータにより設定される積分時間を用いたPI制御方式又はPID制御方式に基づいて必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、通常時のパラメータにより設定される積分時間を用いたPI制御方式又はPID制御方式に基づいて算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダに供給することとなる。
なお、補正時のパラメータを複数個備える場合、補正部44が、補正時のパラメータ(補正番号1)により積分時間を長くする補正を行った後、当該パラメータにより設定される積分時間を用いたPI制御方式又はPID制御方式に基づいて蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を、出力制御部42により蒸気ヘッダに供給する場合に、依然としてハンチング検出部43により、擬似ハンチングを検出した場合、補正部44は、補正時のパラメータ(補正番号1)をさらに補正時のパラメータ(補正番号2)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間をさらに長くする補正を行うことができる。
そうすることで、出力制御部42は、補正時のパラメータ(補正番号2)により設定される一時的により長くした積分時間を用いるPI制御方式又はPID制御方式に基づいて蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダ6に供給することとなる。その結果、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、さらに、過剰な操作量を算出しないようにすることが可能となり、圧力変動を緩やかに収束することが可能となる。
ハンチング検出部が、予め設定した所定の時間(例えば、2分間)の間、擬似ハンチングを検出しなかった場合、補正部44は、補正時のパラメータ(補正番号2)を補正時のパラメータ(補正番号1)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を補正時のパラメータ(補正番号1)により設定された値に戻し、その後、補正時のパラメータ(補正番号1)により積分時間を長くする補正を行われた状態で、ハンチング検出部が、予め設定した所定の時間(例えば、2分間)の間、擬似ハンチングを検出しないことを確認したうえで、補正部44は、補正時のパラメータを通常時のパラメータに置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を元の値に戻すことが好ましい。
なお、ハンチング検出部が、予め設定した所定の時間(例えば、2分間)の間、擬似ハンチングを検出しなかった場合、補正部44は、補正時のパラメータ(補正番号2)を通常時のパラメータ(補正番号0)に戻すように構成することもできる。
通常時のパラメータにより設定される積分時間を用いたPI制御方式又はPID制御方式に基づいて蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を、出力制御部42により蒸気ヘッダに供給する場合に、毎回、擬似ハンチングが検出されるが、積分時間を長くする補正を行った後、補正時のパラメータにより設定される積分時間を用いたPI制御方式又はPID制御方式に基づいて蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を、出力制御部42により蒸気ヘッダ6に供給する場合に擬似ハンチングが検出されないことがあり得る。
このような場合には、通常時の積分時間を長くしておく方がよいという選択もあり得る。補正部44は、例えば、通常時のパラメータ使用時の擬似ハンチングの発生回数に基づいて、発生回数が所定の閾値を超える場合には、補正時のパラメータから通常時のパラメータに戻さないようにしてもよい。
また、そのような場合においても、当該補正は、あくまでもハンチングの予防措置、一時的にハンチング発生を防止するための一時的な補正であるとして、常に補正時のパラメータから通常時のパラメータに戻すようにしてもよい。
いずれの場合においても、後述するように、履歴情報解析部46により出力される解析情報に基づいて、管理者が補正状況を常時確認できるようにすることが好ましい。
変動情報記録部45は、ハンチング検出部43により検出した擬似ハンチングに関する情報、例えば、擬似ハンチングを検出した日時、当該擬似ハンチングの内容、擬似ハンチングを検出した時の積分時間の値を履歴情報として記憶部5に記憶する。
同様に、変動情報記録部45は、補正部44により、積分時間を長くする補正を行った日時分秒等の時刻情報、及び補正前の積分時間の値と補正後の積分時間の値を履歴情報として記憶部5に記憶する。なお、補正前の積分時間の値と補正後の積分時間の値の代わりに、補正番号を記憶してもよい。
また、変動情報記録部45は、補正部44により、補正時のパラメータを補正前のパラメータに置き換えた時の情報(例えば、補正前のパラメータに置き換えた時の時刻情報及び置き換え前の積分時間の値と置き換えた後の積分時間の値等を履歴情報として記憶部5に記憶する。なお、置き換え前の積分時間の値と置き換えた後の積分時間の値の代わりに、置き換え前のパラメータの補正番号及び置き換え後のパラメータの補正番号を記憶してもよい。
履歴情報解析部46は、変動情報記録部45により記憶された圧力値の変動情報に関する履歴情報を、管理者により指定された又は予め設定された所定の期間に発生した擬似ハンチングの発生回数、発生状況等の情報、及びアラーム情報(例えば、該期間に擬似ハンチングの発生状況が異常な場合)等を出力する。なお、解析情報は、表示部(図示せず)又は、管理者の使用する端末に出力することができる。
また、履歴情報解析部46は、変動情報記録部45により記憶された圧力値の変動情報に関する履歴情報を、その都度、表示部(図示せず)又は、管理者の使用する端末に出力してもよい。
そうすることで、管理者は、履歴情報解析部46の出力情報を、要求負荷に対するPIDパラメータ(積分時間の値)が適切であるか否かの判断材料として、PIDパラメータの最適化を図ることが可能となる。
(フローチャート)
次に、ボイラシステム1の動作について、図4を参照して説明する。図4は、ボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートである。
ボイラシステム1の制御の流れは、次のとおりである。
ステップST1において、制御部4(補正部44)は、積分時間の値として通常時のパラメータ(補正番号0)を用いるように初期設定する。
この際、例えば、レジスタ、ビットメモリ等を用いたフラグデータを用意して、制御部4(補正部44)は、フラグデータに補正番号0をセットする。
ステップST2において、蒸気量算出部41は、目標圧力値、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値、現在設定されているパラメータの積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を発生させるよう、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
ステップST3において、ハンチング検出部43は、擬似ハンチングが発生したか否か(すなわち、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、第1の時間(例えば、60秒)の間に、第1の回数(例えば、4回)以上発生したか否か)を検出する。擬似ハンチングの発生を検出した場合(Yes)には、ステップST4に移る。擬似ハンチングの発生を検出しない場合(No)には、ステップST2に戻る。
ステップST4において、補正部44は、補正番号に対応する補正時のパラメータが最大値に達しているか否かを判定する。最大値に達している場合(Yes)、ステップST8に移る。最大値に達していない場合、ステップST5に移る。
なお、最大値に達している場合(Yes)に、変動情報記録部45は、補正パラメータが最大値に達している旨の履歴情報を記憶するとともに、アラーム情報(補正パラメータが最大値に達している状態である旨の警報)等を出力する。なお、アラーム情報として、警報や表示画面上一目でわかるような表示をすることが望ましい。
ステップST5において、補正部44は、フラグデータにセットされた補正番号に1を加算することで新たな補正番号を算出する。
ステップST6において、補正部44は、現在のパラメータを新たな補正番号に対応する新たな補正時のパラメータ(新たな補正番号)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を一時的に長くする補正を行う。こうすることで、蒸気量算出部41は、目標圧力値、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値、新たな補正時のパラメータの積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量を発生させるよう、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
ステップST7において、変動情報記録部45は、ハンチング検出部43により検出した擬似ハンチングに関する情報、及び補正部44により、積分時間を一時的に長くする補正を行った時の時刻情報(時間分秒)、及び補正前の積分時間の値と補正後の積分時間の値を履歴情報として記憶部5に記憶する。なお、補正前の積分時間の値と補正後の積分時間の値の代わりに、補正番号を記憶してもよい。
ステップST8において、ハンチング検出部43は、予め設定した所定の時間(例えば、2分間)の間、擬似ハンチングが発生するか否かを検出する。
擬似ハンチングの発生を検出した場合(Yes)には、ステップST4に移る。擬似ハンチングの発生を検出しない場合(No)には、ステップST9に移る。
ステップST9において、補正部44は、フラグデータにセットされた補正番号から1を減算することで、補正前の補正番号を算出する。
ステップST10において、補正部44は、現在のパラメータを補正前の補正番号に対応する補正時のパラメータ(補正前の補正番号)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を補正前に戻す補正を行う。
ステップST11において、変動情報記録部45は、補正前の積分時間に戻す補正を行った日時の時刻情報、及び補正前の積分時間の値に戻す前の積分時間の値と補正前の積分時間の値を履歴情報として記憶部5に記憶する。なお、補正前の積分時間の値と補正後の積分時間の値の代わりに、補正番号を記憶してもよい。
ステップST12において、補正部44は、フラグデータにセットされた値が0か否かを判定する。フラグデータにセットされた値が0の場合(Yes)には、ステップST2に移る。フラグデータにセットされた値が0でない場合(No)には、ステップST8に移る。
(擬似ハンチングの収束)
次に、図5を参照して、第1実施形態に係るPIDアルゴリズムを用いて圧力制御を実施した場合における、擬似ハンチング発生及び擬似ハンチング発生以降の、ヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量の時間的変化について説明する。
図5には、第1実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量との時間的推移が示されている。
図5は、図1に示すように、5台のボイラ20からなるボイラ群を備え、各ボイラ20の最大発生蒸気量(最大出力)が7000kg/h、最高圧力が2MPa(メガパスカル)、目標蒸気圧力値が1.6MPa、制限上限圧力が1.7MPa、第2制御圧力上限値が1.65MPa、制御帯下限が1.5MPaと設定された、ボイラシステム1をモデルとしている。
また、通常時の積分時間を例えば30秒と設定している。そして、補正時の積分時間を40秒、第1の時間を60秒、第1の回数を4回、補正後に擬似ハンチングの発生を監視する所定の時間を2分と設定している。
なお、図5において、横軸は経過時間(秒)、左縦軸は蒸気圧力値(MPa)をそれぞれ示している。
ボイラシステム1において、ハンチング検出部43は、経過時間t1において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えたこと(1回目)を検出し、経過時間t2において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えたこと(2回目)を検出し、経過時間t3において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えたこと(3回目)を検出し、経過時間t4において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えたこと(4回目)を検出する。
経過時間t4において、ハンチング検出部43は、初めて蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えた経過時間t1から、4回目に蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が第2制御圧力上限値(1.65MPa)を超えた経過時間t4までの時間が第1の時間(60秒)以内であることを検出し、擬似ハンチングが発生したことを検出する。
経過時間t4において、ハンチング検出部43による擬似ハンチングの発生の検出に応じて、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間30秒)を補正番号1に対応する新たな補正時のパラメータ(積分時間40秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を30秒から40秒に一時的に長くする補正を行う。
その結果、蒸気量算出部41は、補正時のパラメータにより設定される一時的に長くした積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式に基づいて算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダ6に供給することとなる。
このため、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、過剰な操作量を算出されないようになり、圧力値の変動が小さくなる。
その結果、経過時間t4から予め設定した所定の時間(2分間)を経過するt5までの間、ハンチング検出部43は、擬似ハンチングの発生を検出しないこととなる。
経過時間t5において、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間40秒)を補正前の通常時のパラメータ(積分時間30秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を通常時の値(30秒)に戻す補正を行う。
t5以降、ヘッダ圧力値は目標圧力値の付近で収束している。そうすることで、全缶停止又はハンチングの発生を未然に防ぐことができた。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
第2実施形態に係るボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、予め設定された第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間(例えば、60秒)の間に、第2の回数(例えば、4回)以上発生するような蒸気圧力値が急激に低い方向に変動する場合を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第2の擬似ハンチング」ということもある)。
ここで、第2制御帯下限値は、制御帯下限値の近傍の値であって、例えば、第2制御帯下限値と制御帯下限値との偏差の絶対値が、第1閾値となるように設定することができる。
なお、第2の時間及び第2の回数については、ボイラシステムの特性に合わせて、適宜設定することができる。例えば、第2の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となることが発生したか否かを検出する。
第2実施形態に係るボイラシステム1の補正部44は、ハンチング検出部43により、第2の擬似ハンチング(すなわち、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間(例えば、60秒)の間に、第2の回数(例えば、4回)以上発生したこと)を検出した場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を一時的に長くする補正を行う。
また、第2実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートについては、第1実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートにおける「擬似ハンチング」、「第1の時間」、及び「第1の回数」をそれぞれ「第2の擬似ハンチング」、「第2の時間」、及び「第2の回数」に置き換えることで、第1実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートについての説明が適用される。
また、第2実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値の時間的推移については、図6に示す。
ボイラシステム1において、ハンチング検出部43は、経過時間t´1において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回ること(1回目)を検出し、経過時間t´2において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回ること(2回目)を検出し、経過時間t´3において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回ること(3回目)を検出し、経過時間t´4において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回ること(4回目)を検出する。
経過時間t´4において、ハンチング検出部43は、初めて蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回る経過時間t´1から、4回目に蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回る経過時間t´4までの時間が第2の時間(60秒)以内であることを検出し、擬似ハンチングが発生したことを検出する。
経過時間t´4において、ハンチング検出部43による第2の擬似ハンチングの発生の検出に応じて、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間30秒)を補正番号1に対応する新たな補正時のパラメータ(積分時間40秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を30秒から40秒に一時的に長くする補正を行う。
その結果、蒸気量算出部41は、補正時のパラメータにより設定される一時的に長くした積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式に基づいて算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダ6に供給することとなる。
このため、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、過剰な操作量を算出されないようになり、圧力値の変動が小さくなる。
その結果、経過時間t´4から予め設定した所定の時間(2分間)を経過するt´5までの間、ハンチング検出部43は、擬似ハンチングの発生を検出しないこととなる。
経過時間t´5において、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間40秒)を補正前の通常時のパラメータ(積分時間30秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を通常時の値(30秒)に戻す補正を行う。
t´5以降、ヘッダ圧力値は目標圧力値の付近で収束している。そうすることで、全缶停止又はハンチングの発生を未然に防ぐことができた。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第3実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
第3実施形態に係るボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間(例えば、60秒)の間に、第3の回数(例えば、4回)以上発生するような、蒸気圧力値が目標蒸気圧の上下に急激に変動する場合を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第3の擬似ハンチング」ということもある)。
なお、第3の時間及び第3の回数については、ボイラシステムの特性に合わせて、適宜設定することができる。例えば、第3の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となることが発生したか否かを検出する。
第3実施形態に係るボイラシステム1の補正部44は、ハンチング検出部43により、第3の擬似ハンチング(すなわち、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間(例えば、60秒)の間に、第3の回数(例えば、4回)以上発生したこと)を検出した場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を一時的に長くする補正を行う。
なお、第3実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートについては、第1実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートにおける「擬似ハンチング」、「第1の時間」、及び「第1の回数」をそれぞれ「第3の擬似ハンチング」、「第3の時間」、及び「第3の回数」に置き換えることで、第1実施形態のボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートについての説明が適用される。
また、第3実施形態に係るPIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値の時間的推移については、図7に示す。
ボイラシステム1において、ハンチング検出部43は、経過時間t´´1において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えること(1回目)を検出し、経過時間t´´2において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えること(2回目)を検出し、経過時間t´´3において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えること(3回目)を検出し、経過時間t´´4において蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えること(4回目)を検出する。
経過時間t´´4において、ハンチング検出部43は、初めて蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える経過時間t´´1から、4回目に蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える経過時間t´´4までの時間が第3の時間(60秒)以内であることを検出し、第3の擬似ハンチングが発生したことを検出する。
経過時間t´´4において、ハンチング検出部43による第3の擬似ハンチングの発生の検出に応じて、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間30秒)を補正番号1に対応する新たな補正時のパラメータ(積分時間40秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を30秒から40秒に一時的に長くする補正を行う。
その結果、蒸気量算出部41は、補正時のパラメータにより設定される一時的に長くした積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、出力制御部42は、積分時間(40秒)に基づくPI制御方式又はPID制御方式に基づいて算出された必要蒸気量を蒸気ヘッダ6に供給することとなる。
このため、目標蒸気圧力値とヘッダ圧力値との偏差に対して、過剰な操作量を算出されないようになり、圧力値の変動が小さくなる。
その結果、経過時間t´´4から予め設定した所定の時間(2分間)を経過するt´´5までの間、ハンチング検出部43は、擬似ハンチングの発生を検出しないこととなる。
経過時間t´´5において、補正部44は、現在のパラメータ(積分時間40秒)を補正前の通常時のパラメータ(積分時間30秒)に置き換えることで、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を通常時の値(30秒)に戻す補正を行う。
t´´5以降、ヘッダ圧力値は目標圧力値の付近で収束している。そうすることで、全缶停止又はハンチングの発生を未然に防ぐことができた。
(第4実施形態)
第1実施形態〜第3実施形態に加えて、擬似ハンチング、第2の擬似ハンチング、及び第3の擬似ハンチングのうち、任意の2つ以上の擬似ハンチングを検出するようにすることができる。
以上説明した第1実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)上述した第1実施形態に係るボイラシステム1においては、ハンチングの起因となる可能性のある擬似ハンチング(すなわち、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、前記制御部により前記複数のボイラが全缶停止される閾値として予め設定された制御圧力上限値と前記目標蒸気圧力値との間に予め設定された第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、前記第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動)を検出する。
これにより、第1実施形態に係るボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が制御圧力上限値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(2)上述した第2実施形態に係るボイラシステム1においては、ハンチングの起因となる可能性のある第2の擬似ハンチング(すなわち、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間(例えば、60秒)の間に、第2の回数(例えば、4回)以上発生したこと)を検出する。
これにより、第2実施形態に係るボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が急激に制御帯下限値を下回って、ハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(3)また、第3実施形態に係るボイラシステム1においては、ハンチングの起因となる可能性のある第3の擬似ハンチング(すなわち、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が、目標蒸気圧力値を超える値から目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間(例えば、60秒)の間に、第3の回数(例えば、4回)以上発生したこと)を検出する。
これにより、第3実施形態に係るボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が目標蒸気圧の上下に急激に変動して、ハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(4)また、第4実施形態に係るボイラシステム1においては、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と同様の動作を行うことができる。
これにより、第4実施形態に係るボイラシステム1においては、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と同様に、ハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
以上、本発明に係るボイラシステムの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、各実施形態では、制御部4における蒸気量の制御を行うに際して、その制御アルゴリズムとして、PID制御について主に説明し、PI制御についての詳細は省略したが、この点、制御部4が実行する蒸気量の制御は、PID制御に限らずPI制御であってもよい。
また、各実施形態では、制御部4における蒸気量の制御を行うに際して、必要蒸気量を、速度型PIDアルゴリズムにより算出したが、必要蒸気量を、位置型PIDアルゴリズムにより算出してもよい。
なお、位置型PIDアルゴリズムを用いる場合、制御周期毎の今回必要蒸気量MVは、下記の式(8)〜(11)に基づいて算出することができる。

今回必要蒸気量MV
=比例制御出力(P制御)+積分制御出力(I制御)+微分制御出力(D制御)
・・・(8)
また、今回必要蒸気量MVを構成する各成分は、下記の式(8)〜(10)により算出される。
比例制御出力(MV_P)=PID_K×(目標蒸気圧力値−現在の蒸気圧力値)
・・・(9)
ここで、PID_K(比例ゲイン)は、単位圧力偏差(1kgf/cm2又は1MPa)当たりのボイラ出力(蒸気量)である。
積分制御出力(MV_I)=PID_K×(目標蒸気圧力値−現在の蒸気圧力値の累計値)/積分時間(秒)
・・・(10)
微分制御出力(MV_D)=
PID_K×(1秒前の蒸気圧力値−現在の蒸気圧力値)×微分時間(秒)
・・・(11)
また、各実施形態では、補正部44は積分時間を補正するために、通常時のパラメータ及び補正時のパラメータを予め設定し、記憶部5に記憶していたが、補正時のパラメータに替えて、補正部44は、通常時の積分時間の値に対して、所定の増加値を加算するようにしてもよい。また、補正部44は、通常時の積分時間の値に対して、所定の増加率を掛けるようにしてもよい。
また、各実施形態では、本発明による圧力制御と複数のボイラの台数制御とを組み合わせた例について説明したが、本発明による圧力制御を単体のボイラの圧力制御に適用してもよい。その場合には、PIDアルゴリズム(又はPIアルゴリズム)により算出された必要蒸気量が、そのまま単体のボイラにおける必要蒸気量として設定される。
また、各実施形態では、複数のボイラ20を比例制御ボイラにより構成することとしているが、ボイラ20は比例制御ボイラに限らず、段階値制御ボイラにより構成することとしてもよい。なお、段階値制御ボイラとは、複数の段階的な燃焼位置を有し、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。一例として、複数のボイラ20を、燃焼停止位置、低燃焼位置及び高燃焼位置の3位置を有する3位置ボイラにより、構成することとしてもよい。もちろん、ボイラ20は、3位置に限らず、任意のN位置の燃焼位置を有することとしてもよい。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
3 ボイラ制御装置
4 制御部
5 記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
18 蒸気使用設備
20 ボイラ
41 蒸気量算出部
42 出力制御部
43 ハンチング検出部
44 補正部
45 変動情報記録部
46 履歴情報解析部

Claims (6)

  1. 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラからなり、負荷機器に蒸気を供給するボイラ群と、
    該ボイラ群において生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、
    負荷機器からの要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、必要蒸気量をPI制御方式又はPID制御方式により算出する蒸気量算出部と、
    前記蒸気量算出部により算出された必要蒸気量を発生させるように、前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
    ハンチングの起因となる可能性のある前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値の変動を擬似ハンチングとして検出するハンチング検出部と、
    前記ハンチング検出部により、前記擬似ハンチングを検出した場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を長くする補正を行う補正部と、
    PI制御方式又はPID制御方式における積分時間に関する複数のパラメータを記憶する記憶部と、を備え、
    前記複数のパラメータは、nを2以上の任意の自然数として、(n+1)個のパラメータであって、0≦i<nとした場合、(i+1)番目のパラメータP i+1 の積分時間の値がi番目のパラメータP の積分時間の値よりも大きくなるように設定され、
    前記蒸気量算出部は、前記複数のパラメータのうち1つのパラメータにより設定される積分時間に基づくPI制御方式又はPID制御方式により必要蒸気量を算出し、
    前記補正部は、前記蒸気量算出部において積分時間がi番目のパラメータP (0≦i<n)により設定されている場合、(i+1)番目のパラメータP i+1 に置き換えることで積分時間を長くする補正を行い、前記蒸気量算出部において設定されているパラメータがn番目のパラメータP の場合、補正パラメータが最大値に達している旨の履歴情報を記憶する、ボイラシステム。
  2. 前記補正部は、
    積分時間を長くする補正を行った後、前記ハンチング検出部が、予め設定された所定の時間の間、前記擬似ハンチングを検出しなかった場合、PI制御方式又はPID制御方式における積分時間を補正前の値に戻す補正を行う、請求項に記載のボイラシステム。
  3. 前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、前記制御部が前記複数のボイラを全缶停止する閾値として予め設定された制御圧力上限値と前記目標蒸気圧力値との間に予め設定された第2制御圧力上限値を超える又は第2制御圧力上限値以上となる回数が、第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項1又は請求項に記載のボイラシステム。
  4. 前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、制御帯下限値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のボイラシステム。
  5. 前記ハンチング検出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が、前記目標蒸気圧力値を超える値から前記目標蒸気圧力値を下回る値に降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチングとして検出する、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のボイラシステム。
  6. 前記制御部は、
    前記ハンチング検出部により擬似ハンチングを検出した場合、当該擬似ハンチングに関する情報を記録する変動情報記録部を備える、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のボイラシステム。
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