JP6485187B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
このようなボイラシステムにおいては、その圧力位置によって必要蒸気量が一意的に定まる、いわゆる比例分配制御方式を採用している(例えば、特許文献1参照)。
従来、採用されている比例分配制御方式では、一度ハンチングが発生すると、台数制御装置自身でハンチングを収束させる機能がないため、その後負荷が変化(主に増加側に変化)するまでハンチングが延々継続するケースが見られる。
例えば、蒸気の供給を行っているボイラが何らかの原因で異常停止して、燃焼ボイラ不足が発生した場合、また想定を上回る急激な負荷増加が発生して、蒸気の供給が間に合わない事態が発生した場合等において、ヘッダ圧力値が所定圧力を下回り、ヘッダ圧力値が上下に変動する、ハンチング現象が発生する可能性がある。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るボイラシステム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るボイラシステム1の概略を示す図である。
図1に示すように、ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気集合部としての蒸気ヘッダ6と、蒸気圧測定手段としての蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御時においては、この蒸気消費量に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定するヘッダ圧力値(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
第1実施形態のボイラ20は、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能な段階値制御ボイラからなる。
段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整すること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。図2に示すように、ボイラ20は、4位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置)制御ボイラとしている。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧力信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、制御部4と、記憶部5と、を備える。
また、記憶部5は、後述する補正必要蒸気量算出に係る設定条件として、第1補正時間(T)又は補正回数最大値(N)を記憶することができる。
次に、制御部4の詳細な構成について説明する。図3に示すように、制御部4は、必要蒸気量算出部41と、第1検出部42と、最初の補正必要量算出部43と、補正必要量算出部44と、出力制御部45と、を含んで構成される。
必要蒸気量算出部41は、制御周期毎に、ヘッダ圧力値と設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、必要蒸気量MVnを算出する。ここで、添字nは、制御周期毎に行われる繰り返し演算の演算回数(n回目:n=1,2,…の正の整数値)を示す。
より具体的には、必要蒸気量算出部41は、制御周期毎に、ヘッダ圧力値PVの圧力偏差PD1(設定圧力範囲の上限圧力値Pmaxとヘッダ圧力値PVとの差分)を、設定圧力範囲の上限圧力値と下限圧力値との差分である制御幅P1で除算した比率PR1に基づいて、要求負荷に応じたボイラで発生すべき蒸気量(以下、「必要蒸気量MVn」ともいう)を式1により算出する。
必要蒸気量MVn=最大蒸気量JG×PR1 ・・・(式1)
ここで、最大蒸気量JGとは、ボイラ群2を構成するボイラ20それぞれに予め設定された最大燃焼状態(高燃焼位置)における蒸気量(最大蒸気量)の合計である。
第1検出部42は、蒸気の供給を行っているボイラ(以下、「給蒸中のボイラ」ともいう)全ての最大出力蒸気量の合計値が必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態で、ヘッダ圧力値PVが予め設定された第1圧力値を下回り、その後ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた状態(以下、検出された状態を「第1状態」ともいう)を検出する。
ボイラ20の最大蒸気量を7000kg/h(すなわち、ボイラ20は7tボイラ)、及び必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを8t/hと仮定する。
このように、給蒸中のボイラ20のうち1台が異常停止した場合に、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態が発生する可能性がある。
例えば、給蒸中のボイラ20が2台とし、要求負荷が急激に増加して、必要蒸気量MVnが、例えば、15t/hになったと仮定した場合、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値は、7t/h×2=14t/hとなる。給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値14t/hは、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVn(15t/h)を下回る状態に該当する。
このように、想定を上回る急激な負荷増加が発生した場合に、給蒸中のすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部41により算出される現時点の必要蒸気量MVnを下回る状態が発生する可能性がある。
その後、出力蒸気量JTが増加することにより、ヘッダ圧力値PVは、下降から上昇に転じる。ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点から、比例分配制御方式により算出される必要蒸気量MVは減少し続けるが、その時点で既に必要蒸気量MVが過剰に確保されている。一方、ボイラシステム1は、ボイラ群2の実際の出力蒸気量JTは必要蒸気量MVに追いついていないことから、出力蒸気量JTは増加し続けることとなる。
その結果、ボイラシステム1は、ヘッダ圧力値PVの上昇を抑えきれなくなり、オーバーシュートすることとなる。
最初の補正必要蒸気量設定部43は、第1検出部42により第1状態が検出された場合、今回必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、当該検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量の合計値となる最初の補正必要蒸気量MVn´を今回必要蒸気量MVnとして設定する。
補正必要蒸気量算出部44は、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された初回(n=1)の制御周期における補正必要蒸気量MVn´を起点として、第1補正時間Tの経過前まで、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて(例えば、前回補正必要蒸気量MVn−1´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVn´を加算して)、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、今回の必要蒸気量MVnとして設定する。
そして、補正必要蒸気量算出部44は、第1補正時間Tの経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出される今回必要蒸気量MVnに収束するように、今回補正必要蒸気量MVn´を算出する。
第1補正時間Tの経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出される今回必要蒸気量MVnに収束するように、例えば、補正必要蒸気量算出部44は、次のように次回以降(n≧2)の制御周期毎に、今回補正必要蒸気量MVn´を算出することができる。
Nmax = T/Δt (式2)
ΔMVn´=(MVn−MVn−1´)/(Nmax−N+1) (式3)
(式3)において、MVn:現時点の必要蒸気量(今回必要蒸気量)、MVn−1´:前回の制御周期時点の補正必要蒸気量、ΔMVn´:今回補正必要蒸気量変化分である。ここで、添字nは、繰り返し演算の演算回数(n回目:n=1,2,…,Nの正の整数値)を示す。また、補正回数Nは、補正実施毎に1を加算する。
MVn´=MVn−1´+ΔMVn´ (式4)
なお、(式3)、(式4)は一例であって、補正必要蒸気量算出部44の補正必要蒸気量の算出方法については、これに限定されない。
例えば、予め、補正回数最大値となる整数Nmaxを設定して、制御周期時間Δtに整数Nmaxを乗算することで、第1補正時間Tを算出してもよい。
補正必要蒸気量算出部44は、さらに、第1補正時間Tの経過前の制御周期において算出した今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了するようにしてもよい。
より具体的には、補正回数Nが補正回数最大値Nmax未満であっても、次回以降(n≧2)の制御周期において、補正必要蒸気量算出部44により算出した今回補正必要蒸気量MVn´が、必要蒸気量算出部41により算出した今回必要蒸気量MVn以上となった場合、すなわち、次の(条件1)を満足した場合に、補正必要蒸気量算出部44は、補正を終了してもよい。
今回補正必要蒸気量MVn´ ≧ 今回必要蒸気量MVn (条件1)
変形例2として、予め第1補正時間Tを設定しないように構成してもよい。
すなわち、補正必要蒸気量算出部44は、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を起点として、制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´に予め設定された第1の必要蒸気量変化分ΔMVを加算して算出された値が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVnより小さい場合に、算出された値を今回補正必要蒸気量MVn´として設定し、算出された値が必要蒸気量算出部41により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了するように構成してもよい。
MVn´=MVn−1´+ΔMV (式5)
なお、上記実施例においては、必要蒸気量変化分ΔMVを固定値としたが、固定値ではなく、例えば、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、ΔMVnの値が小さくなるようにしてもよい。
最初に、出力制御部45の通常時の制御機能(以下、「通常制御」ともいう)について説明する。
<通常制御>
通常時において、出力制御部45は、制御周期毎に必要蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量MVnと、制御周期毎に算出した、ボイラ群2の燃焼しているすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量の合計値である出力蒸気量JTとの偏差量(今回必要蒸気量MVn−出力蒸気量JT)及びヘッダ圧力値PVの変動状態に基づいて、それぞれのボイラ20の燃焼位置を選択することで、燃焼状態を制御する。
具体的には、例えば、次のように行うことができる。
今回制御周期のヘッダ圧力が前回制御周期に測定したヘッダ圧力値と比較して下降している場合であって、
今回必要蒸気量MVn>出力蒸気量JT
を満たす場合、出力制御部45は、燃焼量不足と判断して、差分蒸気量(今回必要蒸気量MVn−出力蒸気量JT)の蒸気量に該当する燃焼量を増加させるように、燃焼位置を変更する。
出力制御部45は、差分蒸気量に最も近い燃焼位置を優先的に選択するものとし、該当する燃焼位置が複数ある場合には、予め設定された優先順位に基づいて選択することができる。
なお、今回制御周期のヘッダ圧力が前回制御周期に測定したヘッダ圧力値と比較して下降している場合であって、
今回必要蒸気量MVn≦出力蒸気量JT
を満たす場合は、出力制御部45は、現状の燃焼状態を維持することができる。
今回制御周期のヘッダ圧力が前回制御周期に測定したヘッダ圧力値と比較して上昇している場合であって、
今回必要蒸気量MVn<出力蒸気量JT
を満たす場合、出力制御部45は、燃焼量過剰と判断して、(出力蒸気量JT−今回必要蒸気量MVn)の蒸気量に該当する燃焼量を減少させるように、燃焼位置を変更する。
この際、出力制御部45は、差分蒸気量に最も近い燃焼位置を優先的に選択するものとし、該当する燃焼位置が複数ある場合には、予め設定された優先順位に基づいて選択することができる。
なお、ヘッダ圧力が前回制御周期に測定したヘッダ圧力値と比較して上昇している場合であって、
今回必要蒸気量MVn≧出力蒸気量JT
を満たす場合は、出力制御部45は、現状の燃焼状態を継続することができる。
次に、第1検出部42により、第1状態を検出した場合の出力制御部45の処理について説明する。
出力制御部45は、第1検出部42により第1状態が検出された場合、今回必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された初回(n=1)の制御周期における補正必要蒸気量MVn´を発生させるように複数のボイラ20の燃焼状態を制御する。
その後、第1補正時間Tの経過前まで(すなわち、N≦Nmaxまで)、出力制御部45は、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、補正必要蒸気量算出部44により算出された今回補正必要蒸気量MVn´を発生させるように複数のボイラ20の燃焼状態を制御する。
そして、出力制御部45は、第1補正時間Tの経過後は、必要蒸気量算出部41により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように複数のボイラ20の燃焼状態を制御する。
具体的には、例えば、次のように行われる。
こうすることで、第1検出部42により第1状態が検出された後の初回(n=1)の制御周期において、
今回必要蒸気量MVn´ = 出力蒸気量JT
を満たし、出力制御部45は、現状の燃焼状態を継続する。
こうすることで、第1検出部42により第1状態が検出された場合、指示蒸気量とボイラ20の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内に収束させることで、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができる。
なお、図4に示す、ボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートは、補正必要蒸気量算出部44が、補正回数Nが補正回数最大値Nmaxとなるまで、すなわち第1補正時間まで、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、今回必要蒸気量MVnとして設定する場合のフローチャートである。
ステップST1において、制御部4は、補正回数Nの初期設定、第1検出フラグデータのリセット、第1補正時間T及び補正回数最大値Nmax等の初期設定をする。ここで、第1検出フラグデータは、レジスタ、ビットメモリ等を適宜用い、第1検出部42が、第1状態を判定した場合に、セットされる。
ステップST2において、必要蒸気量算出部41は、制御周期毎において、蒸気圧センサ7から送信された蒸気圧信号に基づいて、ヘッダ圧力値PVを取得する。
補正回数Nが補正回数最大値Nmax未満の場合(Yes)、ステップST9に移る。補正回数Nが補正回数最大値Nmax以上の場合(No)、ステップST10に移る。
その後、ステップS11に移る。
その後、ステップST2に戻る。
前述した補正必要蒸気量算出部44の変形例1の場合(すなわち、補正必要蒸気量算出部44は、第1補正時間Tの経過前の制御周期において算出した今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了する場合)における、ボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートを図5に示す。
図5記載のフローチャートは、図4に記載したフローチャートのST8において、「制御部4は、補正回数Nが補正回数最大値Nmax未満か否かをチェックする」替わりに、「制御部4は、今回補正必要蒸気量MVn´が今回必要蒸気量MVn以上となるか、又は補正回数Nが補正最大回数Nmaxに等しくなるか、いずれかを満たすか否かを判定する」ように変更したものである。その他の各ステップにおける処理は、図4記載のフローチャートの対応する各ステップにおける処理と同じである。
前述した補正必要蒸気量算出部44の変形例2の場合(すなわち、補正必要蒸気量算出部44は、予め第1補正時間Tを設定せず、前回補正必要蒸気量MVn−1´に予め設定された第1の必要蒸気量変化分ΔMVを加算する場合)における、ボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートを図6に示す。
図6記載のフローチャートは、図4に記載したフローチャートのST8において、「制御部4は、今回補正必要蒸気量MVn´が今回必要蒸気量MVn以上となるか、又は補正回数Nが補正最大回数Nmaxに等しくなるか、いずれかを満たすか否かを判定する」替わりに、「制御部4は、今回補正必要蒸気量MVn´が今回必要蒸気量MVn以上となるか否かをチェックする」ように変更したものである。そして、それに合わせて、図4に示したフローチャートのST11(補正回数Nに1を加算するステップ)を削除したものである。その他の各ステップにおける処理は、図4記載のフローチャートの対応する各ステップにおける処理と同じである。
第1検出部42による第1状態の検出に対応して、最初の補正必要蒸気量算出部43は、今回必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、第1状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量の合計値となる最初の補正必要蒸気量MVn´を今回必要蒸気量MVnとして設定する。
第1補正時間Tの経過後(時刻TN)に、補正必要蒸気量算出部44により算出される今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出される今回必要蒸気量MVnに合致することで、補正必要蒸気量算出部44は、補正を終了する。
こうすることで、ボイラシステム1は、図6に示すように、t2以降において、ヘッダ圧力値PVがオーバーシュートすることなく、実際の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することになる。そして、ヘッダ圧力値PVは、設定圧力範囲に収まる。
これにより、第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点以降で、補正された必要蒸気量MVn´とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値PVを速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができ、圧力安定性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
記憶部5は、第1実施形態の構成に加えて、後述する疑似ハンチング状態を検出するためのパラメータ値となる、制御上限圧力値PUと設定圧力範囲の上限圧力値Pmaxとの間に予め設定された第2制御上限圧力値P2、第1の時間、及び第1の回数を記憶することができる。
次に、制御部4Aの詳細な構成について説明する。図8に示すように、制御部4Aは、必要蒸気量算出部41と、第2検出部42Aと、最初の補正必要量算出部43と、補正必要量算出部44と、出力制御部45と、を含んで構成される。
ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えないが、ヘッダ圧力値PVが所定の圧力値以上となるような変動を所定時間(例えば、60秒)以内に所定回数(例えば、4回)以上繰り返す現象(以下、「擬似ハンチング」ともいう)が発生する場合がある。
擬似ハンチングの発生する1つの要因としては、ヘッダ圧力値PVと設定圧力範囲の上限圧力値Pmaxとの差分である圧力偏差値に対して、操作量が過剰に算出されることが挙げられる。操作量が過剰に算出されることにより、圧力変動が急激に上下動し、擬似ハンチング(又はハンチング)が発生すると考えられる。
疑似ハンチング現象が発生すると、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えて、全缶停止及びハンチングを起こす可能性がある。
第2実施形態においては、擬似ハンチングを検出することで、ヘッダ圧力値PVが制御上限圧力値PUを超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
このため、ヘッダ圧力値PVが、制御部4Aにより複数のボイラ20が全缶停止される閾値として予め設定された制御上限圧力値PUと設定圧力範囲の上限圧力値Pmaxとの間に第2制御上限圧力値P2を予め設定する。
制御上限圧力値PU > 第2制御上限圧力値P2 >上限圧力値Pmax
第2検出部42Aは、ヘッダ圧力値PVが、第2制御上限圧力値P2を超える又は第2制御上限圧力値P2以上となる回数が、第1の時間(例えば、60秒)の間に、第1の回数(例えば、4回)以上発生する状態(以下、「第1疑似ハンチング状態」という)を検出し、その後ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた状態(以下、「第2状態」という)を検出する。
なお、第1の時間及び第1の回数については、ボイラシステム1の特性に合わせて、適宜設定することができる。例えば、第1の回数を「1」に設定した場合、第2検出部42Aは、ヘッダ圧力値PVが、第2制御上限圧力値P2を超えるか、又は第2制御上限圧力値P2以上となることが発生した状態を検出する。
最初の補正必要量設定部43は、第2検出部42Aが第2状態を検出した場合、第1実施形態の場合と同様に、当該検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量の合計値となる最初の補正必要蒸気量MVn´を今回必要蒸気量MVnの初回(n=1)として設定する。
その後、補正必要量算出部44は、第1実施形態の場合と同様に、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された初回(n=1)の制御周期における補正必要蒸気量MVn´を起点として、第1補正時間Tの経過前まで、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて(例えば、前回補正必要蒸気量MVn−1´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVn´を加算して)、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、今回の必要蒸気量MVnとして設定する。
その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、擬似ハンチング段階においてヘッダ圧力値PVを速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができる。
次に、第2実施形態に係るボイラシステム1の動作について、図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態に係るボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートである。図9において、第2検出フラグデータは、レジスタ、ビットメモリ等を適宜用い、第2検出部42Aが、第2状態を判定した場合に、セットされる。
図9記載のフローチャートは、図4に記載したフローチャートのST5において、「第2検出部42Aは、第1状態が発生したか否かをチェックする」替わりに、「第2検出部42Aは、第2状態が発生したか否かをチェックする」ように変更したものである。また、それと平仄を合わせて、ST4、ST6、及びST12において、「第1判定フラグ」を「第2判定フラグ」に替えたものである。
図10Bには、第2実施形態に係る比例分配制御方式を用いて圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値PVと必要蒸気量MVnと実際の出力蒸気量JTとの時間的推移が示されている。
第2検出部43Aによる第2状態の検出に対応して、最初の補正必要蒸気量算出部43は、今回必要蒸気量MVnの初回(n=1)の算出処理において、第2状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラ20により出力されている出力蒸気量の合計値となる最初の補正必要蒸気量MVn´を今回必要蒸気量MVnとして設定する。
第1補正時間Tの経過後(時刻TN)に、補正必要蒸気量算出部44により算出される今回補正必要蒸気量MVn´が必要蒸気量算出部41により算出される今回必要蒸気量MVnに合致することで、補正必要蒸気量算出部44は、補正を終了する。
こうすることで、ボイラシステム1は、図10Bに示すように、t3以降において、ヘッダ圧力値PVがオーバーシュートすることなく、実際の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することになる。そして、ヘッダ圧力値PVは、設定圧力範囲に収まる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、主として、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第3実施形態において、特に説明しない点は、第2実施形態についての説明が適宜適用される。また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様な効果が奏される。
記憶部5は、第1実施形態の構成に加えて、疑似ハンチング状態を検出するためのパラメータ値となる、設定圧力範囲の下限圧力値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御下限圧力値、第2の時間、及び第2の回数を記憶することができる。
その後、補正必要量算出部44は、第2実施形態の場合と同様に、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された初回(n=1)の制御周期における補正必要蒸気量MVn´を起点として、第1補正時間Tの経過前まで、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて(例えば、前回補正必要蒸気量MVn−1´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVn´を加算して)、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、今回の必要蒸気量MVnとして設定する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態についても、主として、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第4実施形態において、特に説明しない点は、第2実施形態についての説明が適宜適用される。また、第4実施形態においても、第2実施形態と同様な効果が奏される。
なお、記憶部5は、第1実施形態の構成に加えて、疑似ハンチング状態を検出するためのパラメータ値となる、圧力降下幅値、第3の時間、第3の回数を記憶することができる。
ヘッダ圧力値PVが降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間(例えば、60秒)の間に、第3の回数(例えば、4回)以上発生するような、ヘッダ圧力値PVが目標蒸気圧の上下に急激に変動する場合を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第3の擬似ハンチング」ということもある)。
その後、補正必要量算出部44は、第2実施形態の場合と同様に、最初の補正必要蒸気量設定部43により設定された初回(n=1)の制御周期における補正必要蒸気量MVn´を起点として、第1補正時間Tの経過前まで、次回以降(n≧2)の制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて(例えば、前回補正必要蒸気量MVn−1´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVn´を加算して)、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、今回の必要蒸気量MVnとして設定する。
これにより、第2実施形態〜第4実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値PVが下降から上昇に転じた時点以降で、補正された必要蒸気量MVn´とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値PVを速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができ、圧力安定性を向上させることができる。
また、複数の実施形態を組み合わせることも可能である。例えば、第1実施形態から第4実施形態から任意の組み合わせをしてもよい。また、第1実施形態における補正必要蒸気量算出部44の変形例を第2実施形態〜第4実施形態に適用してもよい。
2 ボイラ群
3 台数制御装置
4 制御部
5 記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
18 蒸気使用設備
20 ボイラ
41 必要蒸気量算出部
42 第1検出部
42A 第2検出部
43 最初の補正必要量算出部
44 補正必要量算出部
45 出力制御部
Claims (11)
- 複数台のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め、設定圧力範囲と前記設定圧力範囲の上限圧力値と下限圧力値との差分である制御幅が設定され、要求負荷に応じて前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、今回必要蒸気量MVnを算出する必要蒸気量算出部と、
蒸気の供給を行っているすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が前記必要蒸気量算出部により算出される現時点の今回必要蒸気量MVnを下回る状態で、前記ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回り、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第1状態を検出する第1検出部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理において、前記第1状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値を最初の補正必要蒸気量MVn´として設定する、最初の補正必要蒸気量設定部と、
前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を起点として、制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、予め設定された第1補正時間の経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´が前記必要蒸気量算出部により算出される今回必要蒸気量MVnに収束するように、今回補正必要蒸気量MVn´を算出し、前記第1補正時間の経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了する補正必要蒸気量算出部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を発生させて、前記第1補正時間の経過前の前記制御周期毎に、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´を発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御し、
前記第1補正時間の経過後、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 前記補正必要蒸気量算出部は、さらに、
前記第1補正時間の経過前の制御周期において算出した今回補正必要蒸気量MVn´が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了し、
前記出力制御部は、さらに、
前記第1補正時間の経過前の制御周期において、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´が今回必要蒸気量MVn以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する、請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記補正必要蒸気量算出部は、
前記第1補正時間を制御周期で除算することにより、補正回数最大値Nmaxを算出し、
前記最初の補正必要蒸気量設定部による最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理を、補正回数1としてカウントし、
前記第1補正時間の経過前の制御周期毎に、前回の補正回数(N−1)に1を加算した今回の補正回数Nと、補正回数最大値Nmaxから前回の補正回数(N−1)を減算した残り補正回数(Nmax−N+1)と、を算出し、
前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVnと前記補正必要蒸気量算出部により算出した前回補正必要蒸気量MV(n−1)´との差分を、前記残り補正回数(Nmax−N+1)で除算して今回補正必要蒸気量変化分ΔMVnを算出し、
前回補正必要蒸気量MV(n−1)´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVnを加算して、今回補正必要蒸気量MVn´を算出する、
請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。 - 複数台のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め、設定圧力範囲と前記設定圧力範囲の上限圧力値と下限圧力値との差分である制御幅が設定され、要求負荷に応じて前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、今回必要蒸気量MVnを算出する必要蒸気量算出部と、
蒸気の供給を行っているすべてのボイラの最大出力蒸気量の合計値が前記必要蒸気量算出部により算出される現時点の今回必要蒸気量MVnを下回る状態で、前記ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回り、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第1状態を検出する第1検出部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理において、前記第1状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値を最初の補正必要蒸気量MVn´として設定する、最初の補正必要蒸気量設定部と、
前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を起点として、制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´に第1の必要蒸気量変化分を加算して算出された値が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVnより小さい場合に、前記算出された値を今回補正必要蒸気量MVn´として設定し、前記算出された値が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了する補正必要蒸気量算出部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´を発生させて、
その後、制御周期毎に、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´を発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御し、
前記補正必要蒸気量算出部により算出した今回補正必要蒸気量MVn´が、前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 複数台のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め、設定圧力範囲と前記設定圧力範囲の上限圧力値と下限圧力値との差分である制御幅が設定され、要求負荷に応じて前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、今回必要蒸気量MVnを算出する必要蒸気量算出部と、
ハンチングの起因となる可能性のある前記ヘッダ圧力値の変動を擬似ハンチング状態として検出し、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第2状態を検出する第2検出部と、
前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理において、前記第2状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値を最初の補正必要蒸気量MVn´として設定する、最初の補正必要蒸気量設定部と、
前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を起点として、制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´を増加させて、今回補正必要蒸気量MVn´を算出して、予め設定された第2補正時間の経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´が前記必要蒸気量算出部により算出される今回必要蒸気量MVnに収束するように、今回補正必要蒸気量MVn´を算出し、前記第2補正時間の経過後に、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了する補正必要蒸気量算出部と、
前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を発生させて、前記第2補正時間の経過前の前記制御周期毎に、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´を発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御し、
前記第2補正時間の経過後、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 前記補正必要蒸気量算出部は、さらに、
前記第2補正時間の経過前の制御周期において算出した今回補正必要蒸気量MVn´が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了し、
前記出力制御部は、さらに、
前記第2補正時間の経過前の制御周期において、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´が今回必要蒸気量MVn以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する、請求項5に記載のボイラシステム。 - 前記補正必要蒸気量算出部は、
前記第2補正時間を制御周期で除算することにより、補正回数最大値Nmaxを算出し、
前記最初の補正必要蒸気量設定部による最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理を、補正回数1としてカウントし、
前記第2補正時間の経過前の制御周期毎に、前回の補正回数(N−1)に1を加算した今回の補正回数Nと、補正回数最大値Nmaxから前回の補正回数(N−1)を減算した残り補正回数(Nmax−N+1)と、を算出し、
前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVnと前記補正必要蒸気量算出部により算出した前回補正必要蒸気量MV(n−1)´との差分を、前記残り補正回数(Nmax−N+1)で除算して今回補正必要蒸気量変化分ΔMVnを算出し、
前回補正必要蒸気量MV(n−1)´に今回補正必要蒸気量変化分ΔMVnを加算して、今回補正必要蒸気量MVn´を算出する、
請求項5又は請求項6に記載のボイラシステム。 - 複数台のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め、設定圧力範囲と前記設定圧力範囲の上限圧力値と下限圧力値との差分である制御幅が設定され、要求負荷に応じて前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、今回必要蒸気量MVnを算出する必要蒸気量算出部と、
ハンチングの起因となる可能性のある前記ヘッダ圧力値の変動を擬似ハンチング状態として検出し、その後前記ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第2状態を検出する第2検出部と、
前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)の算出処理において、前記第2状態の検出時点又は初回の算出処理の実行時点に燃焼しているすべてのボイラにより出力されている出力蒸気量の合計値を最初の補正必要蒸気量MVn´として設定する、最初の補正必要蒸気量設定部と、
前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´(n=1)を起点として、制御周期毎に、前回補正必要蒸気量MVn−1´に第1の必要蒸気量変化分を加算して算出された値が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVnより小さい場合に、前記算出された値を今回補正必要蒸気量MVn´として設定し、前記算出された値が前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、今回補正必要蒸気量MVn´の算出を終了する補正必要蒸気量算出部と、
前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記最初の補正必要蒸気量設定部により設定された最初の補正必要蒸気量MVn´を発生させて、
その後、制御周期毎に、前記補正必要蒸気量算出部により算出された今回補正必要蒸気量MVn´を発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御し、
前記補正必要蒸気量算出部により算出した今回補正必要蒸気量MVn´が、前記必要蒸気量算出部により算出した今回必要蒸気量MVn以上となる場合、前記必要蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVnを発生させるように前記複数台のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 前記第2検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記制御部が前記複数台のボイラを全缶停止する閾値として予め設定された制御上限圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との間に予め設定された第2制御上限圧力値を超える又は第2制御上限圧力値以上となる回数が、第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のボイラシステム。
- 前記第2検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲の下限圧力値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御下限圧力値を下回る又は第2制御下限圧力値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載のボイラシステム。
- 前記第2検出部は、前記ヘッダ圧力値が降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載のボイラシステム。
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