JP5671969B2 - リチウムチタン化合物粒子及びその製造方法、非水電解液二次電池用電極材、ならびに非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
一方、負極活物質としては、ハードカーボン、ソフトカーボン、及び黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。また、電解液にはLiPF6を環状及び鎖状カーボネートに溶解したものが用いられている。
かかる特定のリチウム吸蔵容量特性を示すことで、充放電容量および初回充放電効率に優れる。
また前記リチウムチタン化合物粒子はリチウムイオン電池の正極活物質および負極活物質のいずれにも使用可能である。
本発明において前記容量比A/Bは、0.25〜1.3であるが、0.3〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.3であることがより好ましい。溶量比A/Bが0.25未満であると、初回充放電効率が低下する場合がある。一方、1.3を超えると充放電容量の増加効果が十分に得られない場合がある。
本発明においては、電位が2.0Vから1.6Vになるまでの範囲における充電容量と、1.6Vから1.2Vになるまでの範囲における充電容量とをそれぞれ測定することで、1.6V以上2.0V以下の電位範囲におけるリチウム吸蔵容量Aと、1.2V以上1.6V未満の電位範囲におけるリチウム吸蔵容量Bとを評価することができる。
前記アナターゼ型酸化チタンに対応するメインピークのピーク強度が100以下であることで、高電流密度での充電特性及び放電特性、すなわち入出力特性がより向上する傾向にある。また前記半価幅が0.25以上であると、初回充放電効率及び入出力特性が向上する傾向にある。
1μm以上であることで、電極活物質として使用した際、電極活物質のハンドリング特性が向上する傾向にある。一方、30μm以下であることで電池の出力特性がより向上する傾向にある。
チタン酸リチウム粒子を酸性化合物と接触させることで、チタン酸リチウム粒子中のチタン酸リチウムの少なくとも一部をチタン酸水素リチウムに変換することができ、充電容量が増加する。また140℃以上で熱処理することでリチウムの吸蔵特性を所望の特性値に制御することができ、初回充電効率が向上する。
さらに本発明においては、熱処理前に水系溶媒(好ましくは、水)で洗浄することが好ましい。
添加後の酸性化合物の濃度は、酸性化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、0.1〜50質量%とすることができ、1〜30質量%であることが好ましい。
さらに酸性化合物と接触させるときの温度についても特に制限されない。例えば、0℃〜80℃とすることができ、0℃〜50℃であることが好ましい。80℃以下であることで不純物相の生成が抑制され、電池特性がより向上する傾向にある。
熱処理前に水系溶媒で洗浄を行なう場合、その洗浄条件、洗浄方法については特に制限されない。例えば、洗浄後の洗浄液のpHが5以上となるように洗浄することが好ましく、洗浄後の洗浄液のpHが5以上10以下となるように洗浄することがより好ましい。
また洗浄方法としては例えば、浸漬、掛け洗い等、通常行なわれる方法を適宜選択することができる。
熱処理の温度が140℃以上であることで、初回充放電効率をより効果的に向上させることができる。一方800℃以下であることで、得られるリチウムチタン化合物粒子に含まれるアナターゼ型酸化チタンの割合が多くなりすぎることを抑制し、入出力特性が効果的に向上する傾向にある。
また熱処理時間は、加熱温度に応じて適宜選択できる。例えば0.1〜10時間とすることができ、品質安定の観点から、1〜5時間であることが好ましい。
前記リチウムチタン化合物粒子の原料となるチタン酸リチウムおよびチタン酸リチウム粒子は、以下のようにして製造することができる。
チタン酸リチウムは、例えば、酸化チタン及びリチウム化合物を含む原料を溶媒中で均一に混合して混合物を得る工程、該混合物を乾燥する工程及び熱処理する工程により製造できる。前記溶媒としては水や有機溶媒を用いることができ、取り扱い性の簡便性から水およびアルコール系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、水分については十分除去したものが望ましく、その含有量は1質量%以下にすることが望ましい。さらに平均粒径は特に制限されないが、0.01μm〜100μmが望ましい。100μm以上の大きな平均粒径のリチウム化合物を原料として用いる場合、あらかじめ粉砕してから使用してもよく、また酸化チタンと混合する際に、粉砕処理を同時に行ってもよい。
また酸化チタンの代わりに、オルトチタン酸、メタチタン酸などの含水酸化チタンを用いてもよい。さらに結晶相の異なる酸化チタンや含水酸化チタンを混合して使用しても良い。
混合する方法は均一な混合物が得られる限り特に制限されず、粉体のまま混合する方法であっても、溶媒を用いて混合する方法であってもよいが、溶媒を用いて混合物を得る方法であることが好ましい。
攪拌手段は特に制限されず、通常用いられる単純な攪拌手段であっても、ボールミル、ビーズミル等を用いた混合・粉砕手段であってもよい。
粉砕処理することで、所望の平均一次粒子径を有するチタン酸リチウム粒子を得ることができる。
具体的には、チタン酸リチウム粉砕物と溶媒を含むスラリーを調製し、これを噴霧乾燥して、所望の大粒子、すなわち0.5μm〜100μm程度の二次粒子に造粒することができる。
二次粒子径の制御は、例えば上記のディスク式ならディスクの回転数を、圧力ノズル式や二流体ノズル式などならば噴霧圧やノズル径を調整して、噴霧される液滴の大きさを制御することにより行うことができる。また用いるスラリーの濃度、粘度等の性状は、噴霧乾燥機の能力に応じて適宜設定できる。
熱処理温度が250℃以上であることで、結晶子の歪が効果的に緩和され、電池として使用したときに容量が低下することを抑制できる。また900℃以下であることで、粒子が成長して一次粒子径が大きくなることを抑制できる。
また、熱処理は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素雰囲気下、及び空気雰囲気下のいずれであってもよい。
熱処理温度が400℃以上であることで、炭素質物質の前駆体の炭素化が十分に行なわれ、導電性向上の効果がより効果的に得られる傾向がある。一方、熱処理温度が1000℃以下であることで、チタン酸リチウムの焼結を抑制でき、チタン酸リチウムの結晶サイズ及び一次粒子径が大きくなることを抑制できる。
リチウム原子と置換可能な原子として、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子およびセシウム原子などが挙げられる。
前記リチウム原子の一部が水素原子などで置換されたチタン酸リチウムは、例えば、イオン交換法によって得ることができる。
本発明の非水電解液二次電池用電極材は、前記リチウムチタン化合物粒子を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。その他の成分としては、電極を構成し得る成分であれば特に制限はなく、後述する導電助剤やバインダー等を挙げることができる。
非水電解液二次電池用電極材に含まれる前記リチウムチタン化合物粒子の含有率は特に制限されない。例えば70質量%以上とすることができ、80〜99質量%であることが好ましい
本発明の非水電解液二次電池は、上述したリチウムチタン化合物粒子を電極活物質として含む電極を備えて構成されたものである。
非水電解液二次電池の基本構造は、セパレーターを介して正極および負極を対向配置し、これに非水電解液を含浸させるものであり、本発明においては、この正極または負極に含まれる電極活物質として、上述したリチウムチタン化合物粒子を用いる。
また前記非水電解液二次電池が、上述のリチウムチタン化合物粒子を含む負極と、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極と、非水系電解液とを備えることもまた好ましく、さらにリチウムイオン二次電池であることがより好ましい。
また前記正極にはリチウム遷移金属複合酸化物に加えて、MnO2、V2O5などの遷移金属酸化物、MoS2、TiSなどの遷移金属硫化物、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物、ポリ(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)などのジスルフィド化合物などを併用してもよい。
前記リチウム合金としては、例えば、LixSi(0<x≦4.4)、LiySn(0<y≦4.4)等が挙げられる。またリチウムイオンをドープ・脱ドープし得る物質としては、例えば、LiCz(6≦z)等が挙げられる。
これらの中でも、少量の配合で所望の導電性を確保できるアセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
なお、導電助剤は、電極活物質に対して、通常1〜20質量%程度配合されるが、5〜10質量%配合することがより好ましい。
なお、バインダーは、電極活物質に対して、通常1〜20質量%程度配合されるが、5〜15質量%配合することがより好ましい。
有機溶媒は、単独で用いてもよく二種以上の混合溶媒として用いてもよい。
(リチウムチタン化合物粒子の調製)
BET比表面積11m2/g、体積平均粒子径(D50%)0.5μmの酸化チタン(堺化学工業株式会社製、「A120」)100gと38.1gの炭酸リチウム(和光純薬工業(株)製、純度99%以上)とをボールミルに入れ、純水を300g及び10mmのジルコニアボールを200g加え、5時間混合した後、ジルコニアボールを除去して、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、800℃で20時間、空気中で焼成した。このとき昇温は1.7℃/分の速度で行った。焼成後、放冷してから取り出し、ボールミルで同様にして再び混合した後、900℃で20時間焼成した。
また、BET比表面積は5.8m2/g、体積平均二次粒子径(D50%)は5.7μmであった。尚、BET比表面積はQUANTACHROME INSTRUMENTS社製オートソーブ−1を用いて、−196℃における窒素の吸着等温線から算出した。また体積平均粒子径はレーザー回折式粒度測定器「SALD3000J」((株)島津製作所製)を用いて測定した。さらに平均一次粒子径は0.2μmであった。
このようにして得られた粉末粒子を120℃にて2時間乾燥した後、300℃にて1時間、空気中で焼成して、目的とするリチウムチタン化合物粒子を得た。
電極活物質として上記で得られたリチウムチタン化合物粒子と、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業(株)製、商品名:HS−100)と、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)のNMP(N−メチルピロリドン)溶液((株)クレハ製、商品名:KFポリマー#1120、ポリフッ化ビニリデンの含有量:12%)を、活物質:導電助剤:PVDF=85:5:10(質量比)の割合で混合してペースト状にし、電極組成物を調製した。このペースト状の電極組成物を、電解銅箔の光沢面に塗布し、80℃で1時間乾燥させ、次いで120℃にて1時間、真空乾燥して、リチウムチタン化合物粒子を含む電極合剤層を有する電極を得た。
上記で得られた電極と、対極として金属リチウムと、電解液として1Mの濃度でLiPF6を溶解したEC(エチレンカーボネート)/PC(プロピレンカーボネート)/GBL(γ―ブチロラクトン)混合溶媒(1/1/1:体積比)とを用い、2016型コインセル(宝泉株式会社製)を用いてコイン型電池を作製した。
また、初回充電時において、図2に示すように、金属リチウムの電位を基準として1.6〜2.0Vでのリチウム吸蔵容量Aと、1.2〜1.6Vでのリチウム吸蔵容量Bとを測定したところ、それぞれ85mAh/g、93mAh/gであり、A/B=0.91であった。
次いで、0.1Cに相当する電流で1.2Vまで充電し、放電をリチウム極に対して2Cに相当する電流で2.5Vまで行い、2Cにおける放電容量を測定し、2Cにおける放電容量を0.1Cでの放電容量維持率として算出した。ここでいうxCとは1/x時間で充電または放電が完了する電流値をさす、つまり2Cの放電レートとは1/2時間=30分で放電が完了する電流値を意味する。
(リチウムチタン化合物粒子の調製)
酸化チタン(堺化学工業株式会社製「A120」)300gと132gの水酸化リチウム(和光純薬工業(株)製、純度99%以上)をボールミルに入れ、純水を568g、10mmのジルコニアボールを200g加え、5時間混合した後、ジルコニアボールを除去した。このスラリーにポリビニルアルコール(クラレ製「ポバール110s」)をチタン酸リチウムに対して0.5%添加した後、大川原化工機株式会社製スプレードライヤー「NL−5」を用い、入口温度200℃,出口温度90℃、噴霧圧力2.0MPa、試料供給速度3.0kg/hとして噴霧乾燥して、造粒粉末を得た。
また、BET比表面積は3.8m2/g、体積平均二次粒子径(D50%)は11μmであった。
このようにして得た粉末粒子を120℃にて2時間乾燥した後、500℃にて1時間、空気中で焼成して、目的とするリチウムチタン化合物粒子を得た。
実施例2において、10%酢酸水溶液の代わりに1M塩酸水溶液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして目的とするリチウムチタン化合物粒子を得た。物性及び電池特性を表1及び表2に示す。また、X線回折パターンを図5に、初回充放電曲線を図6に示す。
実施例2において、粉末粒子に対する500℃での熱処理を省略したこと以外は、実施例2と同様にしてリチウムチタン化合物粒子を合成した。物性及び電池特性を表1及び表2に示す。また、X線回折パターンを図7に、初回充放電曲線を図8に示す。
実施例1において、粉末粒子に対する300℃での熱処理を500℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にした。物性及び電池特性を表1及び表2に示す。また、X線回折パターンを図9に、初回充放電曲線を図10に示す。
実施例1において、酢酸との接触以降の工程を省略して得られるチタン酸リチウム粒子を電極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電池を構成した。物性及び電池特性を表1及び表2に示す。また、チタン酸リチウム粒子のX線回折パターンを図11に、初回充放電曲線を図12に示す。
実施例1において、電極活物質として、比較例1で得られたリチウムチタン化合物粒子とアナターゼ型酸化チタン(堺化学工業製A120)とを50:50の質量比で物理混合した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、電池を構成した。
一方、比較例1のリチウムチタン化合物は初回充放電効率が低いことが分かる。
また比較例2のリチウムチタン化合物はアナターゼ型酸化チタンの割合が多く、初回充電効率が低く、2Cでの放電容量が著しく低いことが分かる。さらに比較例3の酸処理をしていないチタン酸リチウムは、初回放電容量が低いことが分かる。
Claims (6)
- リチウムを吸蔵するリチウムチタン化合物粒子であり、
前記リチウムチタン化合物を含む電極を作用極に、金属リチウムを対極に用いた電池としたときに、前記金属リチウムの電位を基準として、1.2V以上1.6V未満の電位範囲における作用極のリチウム吸蔵容量Bに対する、1.6V以上2.0V以下の電位範囲における作用極のリチウム吸蔵容量Aの容量比A/Bが、0.25〜1.3となり、
CuKα線によるX線回折法において、スピネル型チタン酸リチウムに対応するメインピーク強度を100とした場合に、アナターゼ型酸化チタンに対応するメインピーク強度が1〜100であって、前記アナターゼ型酸化チタンに対応するメインピークの半価幅が0.25以上であるリチウムチタン化合物粒子。 - 平均二次粒子径が1.0〜30.0μmである、請求項1に記載のリチウムチタン化合物粒子。
- スピネル型チタン酸リチウム粒子を、酸性化合物と接触させる酸処理工程と、
前記酸処理工程後に140℃以上で熱処理する熱処理工程と、
を含む、請求項1又は請求項2に記載のリチウムチタン化合物粒子の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のリチウムチタン化合物粒子を含む、非水電解液二次電池用電極材。
- 請求項1又は請求項2に記載のリチウムチタン化合物粒子を含む正極と、
金属リチウム、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープし得る物質を含む負極と、
非水系電解液と、
を備える非水電解液二次電池。 - 請求項1又は請求項2に記載のリチウムチタン化合物粒子を含む負極と、
リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極と、
非水系電解液と、
を備える非水電解液二次電池。
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