JP6098670B2 - 二酸化チタンの製造方法 - Google Patents
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Description
これら蓄電デバイスが使われる携帯用機器の小型高性能化に伴って、蓄電デバイスには高エネルギー密度化や高出力化が求められている。
負極活物質としては、ハードカーボン、ソフトカーボン、及び黒鉛などの炭素材料が広く用いられており、電解液にはLiPF6を環状及び鎖状カーボネートに溶解したものが用いられている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記正極電極又は負極電極として、前記<4>に記載のリチウムイオン電池用電極を備えるリチウムイオン電池。
前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末を塩酸水溶液に含浸した後、250℃〜400℃で焼成する工程と、
を有する前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の二酸化チタンの製造方法。
本発明のブロンズ型の結晶構造を有する二酸化チタン〔TiO2(B)〕は、一次粒子の長径Lと短径Sの比(S/L)で表される平均アスペクト比が、SEM写真像において0.37≦S/L≦1の範囲であって、BET比表面積が6〜100m2/gであって、且つX線回折パターンにおける(401)面のピーク強度に対する(002)面のピーク強度の比(I(002)/I(401))が0.7以上である。
このような本発明の目的物質であるTiO2(B)は、リチウムイオン電池用電極の活物質として使用したときに、優れた初期放電容量及び初期充放電効率を示す。なお、本発明のTiO2(B)は、リチウムイオン電池の正極活物質および負極活物質のいずれにも使用可能である。
本発明のTiO2(B)は、SEM写真像により測定される一次粒子の長径Lに対する短径Sの比(S/L)で表される平均アスペクト比が、0.37≦S/L≦1の範囲にあり、0.4≦S/L≦1の範囲にあることがより好ましく、0.5≦S/L≦1の範囲にあることが更に好ましい。平均アスペクト比が0.37未満の場合には、リチウムイオン電池用電極の活物質として使用したときに、初期放電容量及び初期充放電効率が低下してしまう。
また、平均アスペクト比は、300個以上の粒子のアスペクト比を上記方法により測定し、その個数平均として算出する。
本発明のTiO2(B)は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察される一次粒子の平均長径が1μm以下であることが好ましく、10nm〜0.8μmであることがより好ましい。一次粒子の平均長径が1μm以下の場合、放電容量に優れる傾向がある。
また、平均長径は、300個以上の粒子の長径を上記方法により測定し、その個数平均として算出する。
本発明のTiO2(B)のBET比表面積は、6m2/g〜100m2/gであり、10m2/g〜50m2/gであることが好ましい。BET比表面積が6m2/g以上では、充分な放電容量が得られ、BET比表面積が100m2/g以下では、電極作製の際のハンドリング性に優れる。
なお、BET比表面積は−196℃における窒素の吸着等温線から算出される。
TiO2(B)のBET比表面積を上記範囲内とする方法は、後述の製造方法において詳細に説明する。
本発明のTiO2(B)は、線源としてCu−Kαを用いた粉末X線回折(XRD)パターンにおける(401)面のピーク強度に対する(002)面のピーク強度の比(I(002)/I(401))が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。詳細な機構は不明であるが、ピーク強度の比(I(002)/I(401))が0.7以上であると、リチウムイオン電池用電極の活物質として使用したときに、初期放電容量および初期充放電効率に優れる。
TiO2(B)の粉末X線回折(XRD)パターンにおける(401)面のピーク強度に対する(002)面のピーク強度の比(I(002)/I(401))を上記範囲内とする方法は、後述の製造方法において詳細に説明する。
本発明のTiO2(B)の平均粒子径(メジアン粒子径)は、0.3μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜40μmであることがより好ましく、2μm〜20μmであることが更に好ましい。メジアン粒子径が50μm以下の場合、電極に薄膜塗工しやすく、低抵抗の電池を作製しやすい。また、0.3μm以上の場合には、電極作製の際のハンドリング性に優れる。
平均粒子径(メジアン粒子径)は、レーザー回折法により測定される。
本発明のブロンズ型の結晶構造を有する二酸化チタン〔TiO2(B)〕は、チタン酸ナトリウム(Na2Ti3O7)又はチタン酸カリウム(K2Ti4O9)の粉末を、酸性溶液によってプロトン交換反応してH2Ti3O7又はH2Ti4O9にしてから焼成する方法、或いは、エマルジョン法により水溶性チタン錯体のエマルジョンを調製してこれを熱処理する方法などにより得られる。
本発明のブロンズ型の結晶構造を有する二酸化チタン〔TiO2(B)〕の第一の方法は、以下の工程を含む。
(2)前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末を酸性溶液に含浸して、プロトン交換反応によりH2Ti3O7とする工程。
(3)前記H2Ti3O7を250℃〜800℃で焼成する工程。
チタン酸ナトリウム(Na2Ti3O7)は、ナトリウム化合物の少なくとも1種、及びチタン化合物の少なくとも1種を、Na2Ti3O7の化学組成となるように秤量・混合し、空気中などの酸素が存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。混合方法は乾式混合、湿式混合のいずれでもよく、このなかでも湿式混合が好ましい。混合する際に、粉砕を同時に行ってもよい。
更に、ナトリウム化合物の平均粒径は、0.01μm〜100μmであることが望ましい。100μm以上の平均粒径を有するナトリウム化合物を用いる場合には、予め粉砕して使用するか、酸化チタンと混合する際に、併せて粉砕工程を実行することが好ましい。
このときの焼成温度は、原料によって適宜設定することができるが、通常は600〜1200℃程度、好ましくは700℃〜1000℃、更に好ましくは750℃〜900℃である。焼成時間も原料によって適宜設定することができるが、通常は1時間〜30時間程度、好ましくは5時間〜20時間である。昇温速度は、0.5℃/分〜3.0℃/分であることが好ましく、1.0℃/分〜2.0℃/分であることが好ましい。
噴霧乾燥機の乾燥温度としては、入り口温度が200〜450℃、出口温度が80〜120℃が好ましい。
加熱焼成温度は造粒乾燥物の組成、焼成雰囲気などにより異なるが、上記噴霧乾燥工程により所望の粒子径にまでほぼ造粒されているので、チタン酸化合物とナトリウム化合物とが反応してチタン酸ナトリウムになる温度、概ね600℃以上でよく、二次粒子間の焼結を防ぐため、1100℃以下とすることが好ましい。より好ましい加熱焼成温度は600〜1000℃であり、600〜800℃であれば更に好ましい。焼成時間は700時間〜1000時間程度、好ましくは1時間〜20時間である。昇温速度は、0.5℃/分〜3.0℃/分であることが好ましく、1.0℃/分〜2.0℃/分であることが好ましい。
焼成後、焼成物であるチタン酸ナトリウム(Na2Ti3O7)を粉砕し、Na2Ti3O7粉末とすることが好ましい。焼成後に粉砕することで、最終的なTiO2(B)の粒子径を小さくすることができる。粉砕方法としては、アルミナ乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、振動ミル、又はミキサー等が採用できる。
また、前述の通り、チタン化合物及びナトリウム化合物を含むスラリー状の混合物を噴霧乾燥し造粒してからNa2Ti3O7粉末を得る方法では、この粉砕処理の工程を省略することも可能である。
小粒子径化したチタン酸ナトリウムの粒子成長をできる限り小さくする観点からは、最後に実施する焼成工程の焼成温度は、その前までに実行された焼成工程の焼成温度よりも下げることが好ましい。具体的には、最後の焼成工程の焼成温度を、300℃〜800℃とすることが好ましく、350℃〜700℃とすることがより好ましく、400℃〜600℃とすることが更に好ましい。300℃未満であると、粉砕によって生成した結晶の歪みを減らす効果が充分に得られにくく、電池特性が低下する傾向がある。
次いで、上記により得られたNa2Ti3O7は、酸性溶液を用いてプロトン交換反応を適用することにより、ナトリウムの一部又は全部がプロトンと交換したH2Ti3O7とする。
処理時間としては、室温(20℃〜25℃)において10時間〜10日間、好ましくは1日〜7日間である。また、処理時間を短縮するために、適宜、酸性溶液を新しいものと交換することが好ましい。交換処理の条件を最適化することにより、H2Ti3O7中の出発原料に由来して残存するナトリウム量を、湿式法による化学分析の検出限界以下にまで低減することが可能である。
上記により得られたH2Ti3O7は、空気中で熱処理することによって、TiO2(B)とする。
熱処理の温度は、280℃〜750℃の範囲であることが好ましく、280℃〜400℃の範囲であることがより好ましく、280℃〜380℃の範囲であることが更に好ましい。処理時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜30時間であり、処理温度が高い程、処理時間を短くすることができる。
純度の低い原料から合成したTiO2(B)を用いる場合には、イオン交換水又は蒸留水で洗浄してから、後述のリチウムイオン電池用電極の製造方法に用いてもよい。
更に、混合後に、噴霧乾燥などによって造粒してもよい。
水溶性チタン錯体を用い、エマルジョン法によりTiO2(B)ナノ粒子を合成することもできる。
具体的には、まず、金属チタンを過酸化水素水及びアンモニア水と反応させてペルオキソチタンチタン錯体とする。この錯体に錯形成剤としてグリコール酸を加えてグリコール酸チタン錯体溶液を作製する。
更に、エマルジョンに添加剤として硫酸を加え、強酸性条件下でオートクレーブを用いてTiO2(B)ナノ粒子を合成する。
上記得られた本発明のTiO2(B)は、リチウムイオン電池用電極に用いられる。本発明のTiO2(B)を含むリチウムイオン電池用電極は、優れた初期放電容量及び初期充放電効率を示す。
噴霧乾燥に用いる噴霧乾燥機はディスク式、圧力ノズル式、二流体ノズル式など、スラリーの性状や処理能力に応じて適宜選択することができる。
二次粒子径の制御は、例えば上記のディスク式ならディスクの回転数を、圧力ノズル式や二流体ノズル式などならば噴霧圧やノズル径を調整して、噴霧される液滴の大きさを制御することにより行える。
乾燥温度としては入り口温度が200℃〜450℃、出口温度が80℃〜120℃が好ましい。
なお、後の加熱焼成熱工程で分解、揮散することを考慮すると、これら添加剤は有機物系で金属成分を含有しないものであることが望ましい。
上記バインダーの中でも、メチルセルロース,ポリアクリル酸を用いることが好ましく、この場合、加熱焼成過程を省略することも可能である。詳細な機構は不明であるが、これらのバインダーを加熱焼成により、分解,揮発させないで、電池活物質として用いた場合に,高温下における電池特性が向上する傾向がある。
本発明のリチウムイオン電池は、正極電極と、負極電極と、電解質とを有し、前記正極電極又は負極電極として、前述の本発明のTiO2(B)を含む電極を備える。
有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上の混合溶媒として用いてもよい。
なお、導電助剤は、電極活物質に対して、通常1質量%〜20質量%程度配合され、5質量%〜10質量%配合することがより好ましい。
なお、バインダーは、電極活物質と導電助剤とバインダーの総量100質量部に対して、3質量部〜20質量部程度で配合されることが好ましく、5質量%〜10質量%配合することがより好ましい。3質量部以上では、バインダーの役割である結着性の付与が充分であり、20質量部以下では、電極当たりの電気量が大きくエネルギー密度が向上する。
(合成例1)
20.0gの酸化チタン(和光純薬工業(株)製、純度99.9質量%以上、BET比表面積8m2/g、ルチル型酸化チタン、酸化チタンの純度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の蛍光X線装置を用いて測定した。)と9.1gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、純度99質量%以上、特級)をボールミルに入れ、純水を25g加え、メノウ乳鉢にて10分間混合した後、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、るつぼへ移し、800℃で20時間焼成した。昇温は1.7℃/分の速度で行った。
焼成後、放冷してから取り出し、純水を25g加え、ボールミルに入れ、更に10mm及び5mmのジルコニアボールを加え、20時間粉砕した。次いで乾燥し、800℃での焼成工程をもう一度、同条件で行った。再度、ボールミルにて粉砕を行った後、乾燥し、500℃で2時間の焼成を行った。昇温は1.7℃/分の速度で行った。
得られたH2Ti3O7を空気中320℃で20時間焼成し、TiO2(B)を得た。なお、昇温は1.7℃/分の速度で行った。得られたTiO2(B)のSEM観察像を図2に示す。結晶相の同定は下記粉末X線回折パターンにより行った。
図1に、得られたTiO2(B)の粉末X線回折パターンを示す。TiO2(B)の単一相であることを確認した。また、2θ=29°の(002)面のピーク強度と2θ=30°の(401)面のピーク強度比(I(002)/I(401))は1.3であった。
平均粒子径(メジアン粒子径)は、(株)島津製作所製レーザー回折式粒度測定器「SALD3000J」を用いて測定した。上記で得られたTiO2(B)の平均粒子径(メジアン粒子径)は0.6μmであった。
BET比表面積は、QUANTACHROME INSTRUMENTS社製オートソーブ−1を用いて、−196℃における窒素の吸着等温線から算出した。上記で得られたTiO2(B)のBET比表面積を表1に示す。
平均アスペクト比は、SEM写真像を用いて、以下の方法により算出した。
球状粒子については、短径(最小直径)/長径(最大直径)の比率を、六角板状または円板状粒子については、それぞれ厚み方向から観察した粒子の投影像において、短径(最小直径または最小対角線長)/長径(最大直径または最大対角線長)の比率を測定した。そして、300個以上の粒子のアスペクト比を上記方法により測定し、その個数平均を算出した。上記で得られたTiO2(B)の平均アスペクト比を表1に示す。
上記平均アスペクト比と同様の方法で、TiO2(B)の一次粒子の300個について長径を測定し、個数平均を算出した。得られたTiO2(B)の平均アスペクト比を表1に示す。
電極活物質として前記TiO2(B)と、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業(株)製、商品名:HS−100)と、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液((株)クレハ製、商品名:KFポリマー#1120、ポリフッ化ビニリデンの含有量:12質量%)を、活物質:導電助剤:PVDF=85:5:10(質量比)の割合で混合してペースト状にし、電極組成物を調製した。
このペースト状の電極組成物を、アルミ集電箔(日本蓄電器工業(株)製「20CB」)に塗布し、80℃で4時間乾燥させて、電極合剤層を有する電極を得た。
2016型コインセル(宝泉株式会社製)に、電極として上記作製のTiO2(B)電極と、対極として金属リチウムとを用いた。電解液としては、1Mの濃度でLiPF6を溶解したEC(エチレンカーボネート)/PC(プロピレンカーボネート)/GBL(γ―ブチロラクトン)(1/1/1体積比)を用いた。
対極(リチウム極)に対し、0.1Cに相当する電流で1.2Vまで充電して、次いで1.2Vの定電圧にて電流が0.01Cに降下するまで充電した。ここで、1/xCとはx時間で充電/放電が完了する電流値で流すことを意味する。放電はリチウム極に対して0.1Cに相当する電流で2.5Vまで行い、初期(初回)放電容量を測定した。この時、容量は用いた酸化チタンの質量当たりに換算した。
初期放電容量を初期充電容量で割った値を初期充放電効率(%)として算出した。結果を表2に示す。
0.1Cに相当する電流で1.2Vまで充電して、次いで1.2Vの定電圧にて電流が0.01Cに降下するまで充電した後、30Cに相当する電流値で2.5Vまで放電を行ったときの放電容量を測定し、30Cでの放電容量を0.1Cでの放電容量で除した値に100をかけた値を容量維持率として算出した。
(合成例2)
実施例1で用いた酸化チタン(和光純薬工業(株)製、純度99.9質量%以上、BET比表面積8m2/g、ルチル型酸化チタン)の代わりに、酸化チタン(東邦チタニウム(株)製、純度99.99質量%、BET比表面積2m2/g、ルチル型酸化チタン)を用いた以外は、実施例1と同様にした。得られたNa2Ti3O7の平均粒子径は1.3μm、BET比表面積は6m2/gであった。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。
(合成例3)
20.0gの酸化チタン(和光純薬工業(株)製、純度99.9質量%以上、BET比表面積8m2/g、ルチル型酸化チタン)と9.1gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、純度99質量%以上、特級)をボールミルに入れ、純水を25g加え、メノウ乳鉢にて10分間混合した後、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、るつぼへ移し、800℃で20時間焼成した。昇温は1.7℃/分の速度で行った。
焼成後、放冷してから取り出した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、再度、800℃での焼成の工程をもう一度、同じ条件で行った。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、500℃での焼成を行った。
このようにして得た焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して、Na2Ti3O7を得た。得られたNa2Ti3O7の平均粒子径は10μm、BET比表面積は2m2/gであった。
次に得られたH2Ti3O7を空気中320℃で20時間焼成し、TiO2(B)を得た。昇温は1.7℃/分の速度で行った。これをボールミルポットに入れ、5mmと10mmのボールを用いて2時間粉砕処理を行った。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。電極、電池作製条件は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
電解液に1Mの濃度でLiPF6を含有するγ−ブチロラクトン(GBL)溶液を用いた以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
電解液に1Mの濃度でLiPF6を含有するプロピレンカーボネート(PC)/γ−ブチロラクトン(GBL)(1/1体積比)溶液を用いた以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
(合成例4)
20.0gの酸化チタン(和光純薬工業(株)製、純度99.9質量%以上、BET比表面積8m2/g、ルチル型酸化チタン)と9.1gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、純度99質量%以上、特級)をボールミルに入れ、純水を25g加え、メノウ乳鉢にて10分間混合した後、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、るつぼへ移し、800℃で20時間焼成した。昇温は1.7℃/分の速度で行った。
焼成後、放冷してから取り出した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、再度、800℃での焼成の工程をもう一度、同じ条件で行った。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、500℃での焼成を行った。
このようにして得た焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して、Na2Ti3O7を得た。得られたNa2Ti3O7の平均粒子径は10μm、BET比表面積は2m2/gであった。
得られたH2Ti3O7を空気中320℃で20時間焼成し、TiO2(B)を得た。なお、昇温は1.7℃/分の速度で行った。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。また、得られたTiO2(B)のSEM観察像を図3に示す。
(合成例5)
比較例1で用いた酸化チタン(和光純薬工業(株)製、純度99.9質量%以上、BET比表面積8m2/g、ルチル型酸化チタン)の代わりに、酸化チタン(テイカ(株)製「JR」、BET比表面積12m2/g、ルチル型酸化チタン)を用いた以外は、比較例1と同様にした。得られたNa2Ti3O7の平均粒子径は4μm、BET比表面積は1m2/gであった。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。
(合成例6)
20.0gの酸化チタン(堺化学(株)製「A120」、BET比表面積12m2/g、アナターゼ型酸化チタン)と9.1gの炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、純度99質量%以上、特級)をボールミルに入れ、純水を25g加え、メノウ乳鉢にて10分間混合した後、130℃で乾燥した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、るつぼへ移し、900℃で20時間焼成した。昇温は1.7℃/分の速度で行った。
焼成後、放冷してから取り出した。これをアルミナ乳鉢で解砕した後、再度、900℃での焼成の工程をもう一度、同じ条件で行った。
このようにして得た焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して、Na2Ti3O7を得た。得られたNa2Ti3O7の平均粒子径は15μm、BET比表面積は1m2/gであった。ついで1mol/Lの塩酸水溶液に分散し、室温条件下で5日間保持した。この際、12時間毎に塩酸水溶液を交換した。その後、繰り返し水洗し、120℃にて真空乾燥を一時間行い、H2Ti3O7を得た。
次に得られたH2Ti3O7を空気中320℃で20時間焼成し、TiO2(B)を得た。昇温は1.7℃/分の速度で行った。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。
(合成例7)
合成例2において、ボールミルでの粉砕の替わりにビーズミルで粉砕した以外は同様にした。ビーズには0.3mmのジルコニアビーズを用い、ビーズミルはアシザワファインテック製ビーズミルLMZ−015を用いた。ビーズの充填量は85質量%、液量は250mL/min、回転数は12m/secで2時間粉砕した。ビーズミルで粉砕後、500℃にて2時間熱処理した後のチタン酸ナトリウムの平均粒子径は1.0μm、BET比表面積は31m2/gであった。合成したTiO2(B)の特性を表1に示す。
これに対して、アスペクト比が低い合成例4のTiO2(B)を用いた比較例1は初期放電容量、初期充放電効率、及び30Cにおける容量維持率が低いことが分かる。また、合成例5のTiO2(B)はI(002)/I(401)の値が十分に高くないため、初期放電容量が低い。また、合成例6のTiO2(B)は、I(002)/I(401)が小さいために、初期放電容量が極めて低い。また、合成例7のTiO2(B)はアスペクト比が高く、一次粒子の平均長径が小さいものの、I(002)/I(401)が小さいため、初期放電容量が劣る。
Claims (4)
- チタン化合物とナトリウム化合物又はカリウム化合物の混合物を焼成してチタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末を調製する工程と、
前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末を粉砕又は解砕する工程と、
前記粉砕又は解砕する工程を経た後の前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末を塩酸水溶液に含浸した後、250℃〜400℃で焼成する工程と、
を有する、
BET比表面積が6〜100m 2 /gであり、一次粒子の長径Lと短径Sの比(S/L)で表される平均アスペクト比が、SEM写真像において0.37≦S/L≦1の範囲にあり、X線回折パターンにおける(401)面のピーク強度に対する(002)面のピーク強度の比(I (002) /I (401) )が0.7以上であり、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察される一次粒子の平均長径が10nm〜0.8μmであるブロンズ型の結晶構造を有する二酸化チタンの製造方法。 - 前記二酸化チタンの平均粒子径(メジアン粒子径)が、0.3μm〜50μmである請求項1に記載の二酸化チタンの製造方法。
- 前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末のBET比表面積が、3m2/g〜50m2/gである請求項1又は請求項2に記載の二酸化チタンの製造方法。
- 前記チタン酸ナトリウム粉末又はチタン酸カリウム粉末のBET比表面積が、5m2/g〜30m2/gである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二酸化チタンの製造方法。
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