以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置を、4色フルカラー印刷及びモノクロ印刷が可能なプリンターに適用した場合の実施形態について説明する。
図1及び図2により、本実施形態に係るプリンター1の全体構造を説明する。図1は、本実施形態に係るプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、プリンター1の機能的な構成を示すブロック図である。図3は、プリンター1の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター1は、装置本体Mと、ベルト装置20と、画像形成部30と、給排紙部40と、を備える。また、図2に示すように、プリンター1は、上述した構成要素のほかに、操作部70と、記憶部75と、移動機構部90と、制御部100と、を備える。
図1に示すように、プリンター1の装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
図1に示すように、画像形成部30は、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する部位である。画像形成部30は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dと、転写部50と、定着部60と、を備える。なお、画像形成部30は、機構として従動ローラー16及び駆動ローラー17を含むが、これらについてはベルト装置20(後述)において説明する。
また、図1に示すように、給排紙部40は、用紙Tを画像形成部30に給紙すると共に、トナー画像が形成された用紙Tを排紙する部位である。給排紙部40は、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、複数のローラー又はローラー対(符号を省略)と、排紙部61と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻し搬送路Lbとの集合体である。
次に、画像形成部30、給排紙部40、ベルト装置20の順に、各構成について説明する。
まず、画像形成部30について説明する。
画像形成部30においては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って、上流側から下流側(図1の左側から右側)に向けて順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7(以下、符号を略して「ベルト」ともいう)及び1次転写ローラー13a、13b、13c、13dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部30においては、中間転写ベルト7、2次転写ローラー8及び駆動ローラー17による2次転写、並びに定着部60による定着が行われる。
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなる像担持体である。本実施形態において、感光体ドラム2aは、イエロー(Y)のトナー画像が形成される第2像担持体である。感光体ドラム2bは、シアン(C)のトナー画像が形成される第2像担持体である。感光体ドラム2cは、マゼンタ(M)のトナー画像が形成される第2像担持体である。また、感光体ドラム2dは、ブラック(B)のトナー画像が形成される第1像担持体である。
カラー画像を形成する際には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにおいて各色のトナー画像が形成される。また、モノクロ画像を形成する際には、感光体ドラム2dにおいて黒色のトナー画像が形成され、その他の感光体ドラム2a、2b、2cにおいてトナー画像は形成されない。
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の移動方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成される。
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能する。レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等(符号を省略)により構成される。
レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面では、走査露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラー、トナー攪拌用の攪拌ローラー等(符号を省略)により構成される。
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられている。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
一方、中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれが対向して配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれとの間には、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、4色フルカラーのトナー画像が形成される。
なお、後述するように、1次転写ローラー13a、13b、13c、従動ローラー16、及びテンションローラー19は、図1において不図示の移動機構部90(図8参照)により、図中の上下方向に移動可能に配置される。
プリンター1において、4色フルカラーのトナー画像を形成する際には、移動機構部90により、1次転写ローラー13a、13b、13c、従動ローラー16、及びテンションローラー19が図中の下方向に移動する。これにより、上述したように、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれとの間に、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。
また、プリンター1において、モノクロのトナー画像を形成する際には、移動機構部90により、1次転写ローラー13a、13b、13c、従動ローラー16、及びテンションローラー19が図中の上方向に移動する。これにより、感光体ドラム2dと、1次転写ローラー13dとの間には、1次転写ニップN1dのみが形成される。
図1において、1次転写ローラー13a、13b、13cは、中間転写ベルト(ベルト)7を間に挟んで複数の感光体ドラム(第2像担持体)2a、2b、2cに対向して配置され、中間転写ベルト7を複数の感光体ドラム2a、2b、2cに当接させる当接位置(後述)、及び中間転写ベルト7を複数の感光体ドラム2a、2b、2cから離間させる離間位置(後述)のいずれかの位置に移動可能な複数の第2対向部をそれぞれ構成する。
また、図1において、1次転写ローラー13dは、中間転写ベルト7を間に挟んで感光体ドラム(第1像担持体)2dに対向して配置され、中間転写ベルト7を感光体ドラム2dに当接させる第1対向部を構成する。なお、移動機構部90の構成については、後述する。
1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
転写部50は、中間転写ベルト7の表面に転写されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写部50は、2次転写ローラー8と、駆動ローラー17と、を備える。
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に1次転写された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させるためのローラーである。2次転写ローラー8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写された4色フルカラー又はモノクロのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
中間転写ベルト7を間に挟んで2次転写ローラー8とは反対側には、駆動ローラー17が配置される。
中間転写ベルト7の所定部分は、2次転写ローラー8と駆動ローラー17とによって挟み込まれる。中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間には、2次転写ニップN2が形成される。用紙Tは、2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7に1次転写された4色フルカラーのトナー画像は、2次転写ニップN2において、用紙Tに2次転写される。
定着部60は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部60は、ヒーター(不図示)により加熱される加熱回転体60aと、加熱回転体60aに圧接される加圧回転体60bと、を備える。加熱回転体60aと加圧回転体60bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、用紙Tを下流側に搬送する。用紙Tは、加熱回転体60aと加圧回転体60bとの間に挟まれた状態で搬送される際に、転写されたトナーが溶融及び加圧される。これにより、用紙Tに転写されたトナーは、用紙Tの表面に定着する。
次に、給排紙部40について説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板54が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板54の上に積層された状態で収容される。載置板54に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により第1搬送路L1に送り出される。カセット給紙部51は、載置板54上の用紙Tを取り出すための前送りコロ55と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対81とからなる重送防止機構を備える。
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、用紙Tを収容する手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端において給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部60までの第2搬送路L2と、定着部60から排紙部61までの第3搬送路L3と、給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbと、を備える。
第1搬送路L1は、給紙カセット52に収容される用紙Tを画像形成部30に向けて搬送する。手差し搬送路Laは、手差し給紙部64に収容される用紙Tを後述するレジストローラー対80に向けて搬送する。
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられる。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられる。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサー(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部30におけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラー対80とが配置される。前記用紙検出センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、前記用紙検出センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、第1搬送ローラー対82が配置される。第1搬送ローラー対82は、給紙ローラー対81の下流側に配置され、給紙ローラー対81により搬送される用紙Tを挟持して、レジストローラー対80へ搬送する。
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbには、用紙Tを第2合流部P2に向けて搬送する複数の第2搬送ローラー対83が所定の間隔毎に配置される。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部61側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられる。整流部材58は、定着部60から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部61に向かう方向に整流すると共に、排紙部61から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
第3搬送路L3における端部には、排紙部61が形成される。排紙部61は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部61は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口する。排紙部61は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部61は、排出ローラー対53を有する。排出ローラー対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部61において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
排紙部61における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成するトップカバー部材M2により形成される。排紙集積部M1を形成するトップカバー部材M2の上面には、所定のトナー画像が形成され排紙部61から排紙された用紙Tが積層して集積される。なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサー(不図示)が配置される。
次に、ベルト装置20について説明する。
ベルト装置20は、中間転写ベルト7を回動させると共に、ベルトの蛇行を補正する装置である。ベルト装置20は、中間転写ベルト7と、従動ローラー16と、駆動ローラー17と、第1駆動モーター18と、テンションローラー19と、位置情報取得手段としてのベルトセンサー21と、ローラー位置調整機構22と、支持ローラー23(図8参照)と、を備える。
中間転写ベルト7は、従動ローラー16、駆動ローラー17、テンションローラー19等の複数のローラーに掛け渡される無端状のベルトである。中間転写ベルト7には、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれから、各色のトナー画像が1次転写される。また、中間転写ベルト7に1次転写された各色のトナー画像は、2次転写ローラー8の位置において、用紙Tに2次転写される。
従動ローラー16は、中間転写ベルト7を回転自在に支持するローラーである。従動ローラー16は、ローラー位置調整機構22(後述)に支持されている。
駆動ローラー17は、中間転写ベルト7を回転自在に支持すると共に、中間転写ベルト7を回動させるローラーである。駆動ローラー17は、第1駆動モーター18から付与される回転力により所定方向に回転する。
第1駆動モーター18は、駆動ローラー17に回転力を付与する装置である。第1駆動モーター18は、制御部100(後述)と電気的に接続されている。第1駆動モーター18の回転速度は、制御部100から出力される駆動信号により制御される。
テンションローラー19は、中間転写ベルト7を内側から外側に向けて付勢するローラーである。テンションローラー19の付勢力により、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
従動ローラー16及び駆動ローラー17は、それぞれの回転軸(符号略)が互いに平行となるように設定されると共に、中間転写ベルト7の長手方向において対向する位置に配置されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラー17の回転に伴い、従動ローラー16、駆動ローラー17、テンションローラー19等の複数のローラー間を回動する。
次に、ベルトセンサー21及びローラー位置調整機構22を含む周辺部分について説明する。図4は、ベルト装置20のベルトセンサー及び従動ローラー16を示す斜視図である。図5は、ベルト装置20のベルトセンサーの構成を示す斜視図である。図6は、受光部25における受光範囲を示す模式図である。図7は、ベルト装置20の従動ローラー16及びその周辺部分を示す斜視図である。
ベルトセンサー21は、図4(又は図1)に示すように、中間転写ベルト7の周回軌道上において、従動ローラー16の近傍に配置されている。ベルトセンサー21は、図5に示すように、発光部24と、受光部25と、遮光板26と、を備える。発光部24は、光を所定の方向(図4及び図5では下方)に照射する。受光部25の受光素子r1〜r20(後述)は、発光部24から照射された光を受光すると、その受光量に応じた電圧値を、それぞれ光量検出信号(位置情報)として制御部100に出力する。受光部25は、発光部24と対向する位置に配置されている。遮光板26は、発光部24と受光部25との間を移動自在に配置された部材である。
また、ベルトセンサー21は、図4及び図5に示すように、当接板27と、連結棒28と、を備える。当接板27は、図4に示すように、中間転写ベルト7のベルト端面7aに当接する部材である。連結棒28は、当接板27と遮光板26とを連結する部材である。連結棒28は、発光部24及び受光部25に対して回転自在に支持されている。連結棒28の一端部には、ねじりコイルバネ29を介して当接板27が支持されている。また、連結棒28の略中間部には、遮光板26が発光部24と受光部25との間に位置するように固定されている。
ここで、受光部25における受光範囲について説明する。
ベルトセンサー21の受光部25は、図6に示すように、ベルトの幅方向(図中の左右方向)に沿って配列された複数の受光素子r1〜r20(一部、図示と符号を省略)により構成される。受光素子r1〜r20のうち、中心線aから右側に配置された受光素子r1〜r10は、ベルト端面7aのリア側における蛇行を検出する。また、中心線aから左側に配置された受光素子r11〜r20は、ベルト端面7aのフロント側における蛇行を検出する。なお、フロント側とは、図3において、装置本体Mの中心線aから手前側の範囲をいう。また、リア側とは、図3において、装置本体Mの中心線aから奥側の範囲をいう。
図6に示す中心線aは、ベルト端面7aの目標位置に対応する。ベルト端面7aの目標位置とは、中間転写ベルト7の幅方向の中心と、従動ローラー16の幅方向の中心とが一致した場合におけるベルト端面7aの位置である。ベルト端面7aの位置を目標位置と一致させることにより、中間転写ベルト7の幅方向の中心と、従動ローラー16の幅方向の中心とが一致する。
後述する制御部(第1制御部)100が、中間転写ベルト7の回動中において、ベルト端面7aの位置を目標位置と一致させるようにローラー位置調整機構22を制御することにより、中間転写ベルト7の蛇行を補正(以下、「蛇行補正」ともいう)することができる。この蛇行補正により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dから複数のトナー画像を中間転写ベルト7に1次転写する際に、トナー画像の位置ずれが抑制されるため、色ずれのない4色フルカラー画像を得ることができる。
受光素子r1〜r20は、発光部24から照射された光を受光すると、その受光量に応じた電圧値を、それぞれ光量検出信号として制御部100に出力する。発光部24から照射された光がベルト端面7aにより遮られると、その遮光量(遮光位置)に応じて受光素子r1〜r20から出力される電圧値も変動する。制御部100は、受光素子r1〜r20のそれぞれから出力される光量検出信号の電圧値に基づいて、ベルト端面7aの位置を特定する。
具体的には、例えば、図6において、受光素子r1〜r18から出力された光量検出信号の電圧値が、予め設定された閾値電圧未満であり、且つ受光素子r19から出力された光量検出信号の電圧値が閾値電圧以上であるとする。この場合、ベルト端面7aの位置は、受光素子r18とr19との間と特定できる。また、図6において、受光素子r1〜r10から出力された光量検出信号の電圧値が、予め設定された閾値電圧未満であり、且つ受光素子r11から出力された光量検出信号の電圧値が閾値電圧以上であるとする。この場合、ベルト端面7aの位置は、受光素子r10とr11との間(すなわち目標位置)と特定できる。
図6に示すように、リア側に配置された受光素子r3〜r10及びフロント側に配置された受光素子r11〜r18が光を受光する検出範囲A1(境界線b1〜b2の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる通常の蛇行を検出する範囲(以下、「補正範囲」又は「補正範囲内」ともいう)である。ベルト端面7aが検出範囲A1内にある場合に、制御部100は、後述する第1補正(通常時の蛇行補正)を実行する。
また、図6に示すように、リア側に配置された受光素子r1、r2及びフロント側に配置された受光素子r19、r20が光を受光する検出範囲A2(境界線b1〜c1及び境界線b2〜c2の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる異常な蛇行を検出する範囲(以下、「許容範囲」又は「許容範囲内」ともいう)である。なお、検出範囲A2は、検出範囲A1外の範囲でもある。ベルト端面7aが検出範囲A2内にある場合に、制御部100は、後述する第2補正(異常時の蛇行補正)を実行する。
更に、図6に示すように、リア側に配置された受光素子r1よりも外側及びフロント側に配置された受光素子r20よりも外側の検出範囲A3(境界線c1及びc2の外側の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる更に異常な蛇行を検出する範囲(以下、「許容範囲外」ともいう)である。ベルト端面7aが検出範囲A3内にある場合に、制御部100は、緊急時の処理を実行する。
図4において、中間転写ベルト7がベルトの幅方向に蛇行すると、ベルト端面7aに当接する当接板27が同じくベルトの幅方向に移動する。これに伴い、当接板27に連結された遮光板26が発光部24と受光部25との間で移動する(図5参照)。このとき、受光部25が受光する光の受光量は、発光部24から照射された光を遮光板26が遮る遮光量に応じて変化する。受光部25は、制御部100と電気的に接続されている。受光部25は、受光素子r1〜r20(図6参照)の受光量に応じた電圧値を、光量検出信号として制御部100に出力する。制御部100は、受光部25から出力された光量検出信号に基づいて、ベルト端面7aの位置を特定する。
ベルトセンサー21は、所定の時間間隔でベルト端面7aの位置を検出する。制御部100は、ベルトセンサー21(受光部25)から出力された光量検出信号に基づいて、ベルト端面7aの位置がベルトの幅方向における目標位置(図6参照)に近づくようにローラー位置調整機構22を制御する。これにより、中間転写ベルト7の蛇行を修正する。ここで、制御部100による制御についての説明に先立ち、ローラー位置調整機構22の構成について説明する。
図7に示すように、従動ローラー16は、回転軸32の一端部(不図示)を基点とし、その回転軸32の他端部32aが所定の正逆方向に傾斜可能に支持されている。回転軸32の他端部32aを、所定の正逆方向に傾斜させることにより、従動ローラー16に掛け渡されている中間転写ベルト7(ベルト端面7a)を、従動ローラー16の幅方向に移動させることができる。
従って、従動ローラー16の回転軸32の傾斜方向(上方/下方)を調整することにより、ベルト端面7aをベルトの幅方向におけるフロント側又はこれと反対側となるリア側に移動させることができる。
また、従動ローラー16の回転軸32の傾斜角度を調整することにより、ベルト端面7aをベルトの幅方向におけるフロント側又はこれと反対側となるリア側に移動させる速度を変更することができる。
ローラー位置調整機構22は、図7に示すように、支持フレーム33と、揺動支持軸35と、カム36と、ギア37と、第2駆動モーター38と、を主要部として備える。支持フレーム33は、従動ローラー16の回転軸32を回転自在に支持する軸受け34を有する部材である。揺動支持軸35は、支持フレーム33を揺動可能に支持する部材である。カム36は、支持フレーム33を、揺動支持軸35を基点として揺動させる部材である。ギア37は、カム36と同軸且つ一体に形成された部材である。ギア37及びカム36は、支持軸(符号を省略)により回転可能に支持されている。
第2駆動モーター38は、ギア37に回転力を付与する装置である。第2駆動モーター38は、パルスモーターにより構成される。第2駆動モーター38は、制御部100(図1参照)と電気的に接続されている。制御部100は、第2駆動モーター38に対して所定数の駆動パルス(駆動信号)を出力することにより、第2駆動モーター38を駆動する。第2駆動モーター38は、ギア37と噛み合う出力軸39を有する。
支持フレーム33は、従動ローラー16の幅方向に配置され、且つ中間転写ベルト7の長手方向に沿って延出する部材である。支持フレーム33の一端部33aには、軸受け34が設けられている。また、支持フレーム33の他端部33bには、揺動支持軸35が支持されている。カム36は、支持フレーム33の一端部33aに設けられた当接部(不図示)に当接している。
上記のように構成されたローラー位置調整機構22では、次のようにして中間転写ベルト7のベルト端面7aをベルトの幅方向に移動させる。まず、制御部100は、受光部25から出力された光量検出信号に基づいて、所定数の駆動パルスを出力する。これにより、第2駆動モーター38において駆動力が発生する。第2駆動モーター38で発生した駆動力(回転力)は、出力軸39を介してギア37に伝達され、これによりギア37が回転する。これに伴い、ギア37と一体に形成されたカム36は、支持フレーム33の一端部33aを、揺動支持軸35を基点として揺動させる。これにより、軸受け34に支持された従動ローラー16の回転軸32における他端部32aは、回転軸32の一端部を基点として上方又は下方に傾斜する。
例えば、従動ローラー16の回転軸32における他端部32aをフロント側の下方に傾斜させると、従動ローラー16は、リア側からフロント側に向かって下り傾斜となる。このため、中間転写ベルト7は、回動に伴い徐々に下り方向となるフロント側へ移動する。一方、従動ローラー16の回転軸32における他端部32aをフロント側の上方に傾斜させると、従動ローラー16は、リア側からフロント側に向かって上がり傾斜となる。このため、中間転写ベルト7は、回動に伴い徐々に下り方向となるリア側へ移動する。
従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度は、制御部100から第2駆動モーター38に出力される駆動パルスの数により調整することができる。また、第2駆動モーター38の回転方向は、駆動パルスの極性(+/−)を変えることにより切り換えることができる。第2駆動モーター38の回転方向を切り換えることにより、従動ローラー16の回転軸32における傾斜方向を変更することができる。
従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度を大きくするほど、中間転写ベルト7の幅方向への移動は速くなる。また、傾斜角度を調整した際に、駆動ローラー17の回転速度を速くするほど、中間転写ベルト7の幅方向への移動は速くなる。なお、制御部100が中間転写ベルト7の蛇行を補正する場合の制御については後述する。
次に、操作部70、記憶部75、移動機構部90、制御部100(いずれも図2参照)の各構成について説明する。
操作部70は、複数のキー(不図示)を有する。これら複数のキーは、例えば、プリンター1の設定を変更する場合やジョブをリセットする場合等に操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されたときに、操作されたキーに対応する信号を制御部100に送信する。また、操作部70は、プリンター1の状態やメッセージ等を表示する表示パネルや、電源キー、リセットキー等の操作ボタン等(いずれも不図示)を備える。
なお、制御部100(後述)は、表示パネルにおいてメッセージ等を表示する場合には、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、表示パネル駆動部から表示パネルに駆動信号やタイミング信号等を供給させる。
記憶部75は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部75は、上述した外部機器から供給された画像データ等を記憶する。
次に、移動機構部90について説明する。
図8(A)、(B)は、移動機構部90の構成を示す模式図である。図8(A)、(B)においては、移動機構部90とその周辺の構成のみを示し、他の構成を省略する。また、図8(A)、(B)において、図1及び図2と同じ構成要素には、同一符号を付している。
移動機構部90は、フレーム91と、偏芯カム92と、第3駆動モーター93と、を備える。
フレーム91は、平面視において、略コ字形に形成された枠部材である。フレーム91は、各ローラーの幅方向の両端部において、1次転写ローラー13a、13b、13c、従動ローラー16、駆動ローラー17、及びテンションローラー19を回転自在に支持する。フレーム91は、支持ローラー23の回転軸23aを中心として、回動自在に支持されている。
また、フレーム91は、付勢部材としてのバネ14により、支持ローラー23の回転軸23aを中心として時計回りの方向に付勢されている。支持ローラー23は、回転軸23aにおいてフレーム91を支持する機能と、モノクロのトナー画像を形成する際に、1次転写ニップN1dを維持する機能と、を有する。
偏芯カム92は、フレーム91を、当接位置又は離間位置(後述)にそれぞれ移動させると共に、フレーム91を、当接位置又は離間位置で固定するための部材である。偏芯カム92は、図8に示すように、フレーム91の上端部95と当接するように配置されている。偏芯カム92は、カム回転軸94により回動自在に支持されている。また、偏芯カム92は、第3駆動モーター93から付与される回転力により、時計回り又は反時計回りに回動する。
第3駆動モーター93は、偏芯カム92に回転力を付与する装置である。第3駆動モーター93は、制御部100(後述)と電気的に接続されている。第3駆動モーター93の回転は、制御部100から出力される駆動信号により制御される。
プリンター1において、4色フルカラー印刷を行う場合には、第3駆動モーター93から偏芯カム92に回転力を付与して、偏芯カム92の長径方向が中間転写ベルト7と略直交する第1位置となるように、偏芯カム92を回転させる。偏芯カム92が第1位置まで回転すると、偏芯カム92に押圧されたフレーム91は、バネ14の付勢力に抗して、支持ローラー23の回転軸23aを中心として反時計回りに回動する。
これにより、図8(A)に示すように、中間転写ベルト7は、感光体ドラム2a、2b、2cに当接する。以下、1次転写ローラー13a、13b、13cの位置が変更されることにより、中間転写ベルト7が感光体ドラム2a、2b、2cに当接する位置を「当接位置」ともいう。なお、1次転写ローラー13dは、中間転写ベルト7を感光体ドラム2dに常時当接させている。このため、中間転写ベルト7を感光体ドラム2a、2b、2cに当接させる当接位置に移動させると、中間転写ベルト7は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにすべて当接する。従って、中間転写ベルト7を当接位置に移動することにより、プリンター1において、4色フルカラー印刷が可能となる。
一方、プリンター1において、モノクロ印刷を行う場合には、第3駆動モーター93から偏芯カム92に回転力を付与して、偏芯カム92の短径方向が中間転写ベルト7と略直交する第2位置となるように、偏芯カム92を回転させる。偏芯カム92が第2位置まで回転すると、フレーム91は、バネ14の付勢力により、支持ローラー23の回転軸23aを中心として時計回りに回動する。
これにより、図8(B)に示すように、中間転写ベルト7が複数の感光体ドラム2a、2b、2cから離間する。以下、1次転写ローラー13a、13b、13cの位置が変更されることにより、中間転写ベルト7が感光体ドラム2a、2b、2cから離間する位置を「離間位置」ともいう。なお、図8(B)に示す線Aは、当接位置における中間転写ベルト7の位置を示す。上述したように、1次転写ローラー13dは、中間転写ベルト7を感光体ドラム2dに常時当接させている。このため、中間転写ベルト7を感光体ドラム2a、2b、2cから離間させる離間位置に移動させると、中間転写ベルト7は、感光体ドラム2dにのみ当接する。従って、中間転写ベルト7を離間位置に移動することにより、プリンター1において、モノクロ印刷が可能となる。
次に、制御部100について説明する。
制御部100は、CPU、RAM及びROM(不図示)を備える。RAMは、各種データを一時的に記憶する機能や演算時の作業領域となる機能を有する記憶装置である。ROMは、各種プログラムを記憶するフラッシュメモリとしての機能を有する記憶装置である。CPUは、ROMからプログラムを読み出して実行する演算装置である。CPUとRAM及びROMとは、データバス(不図示)を介してデータの送受信を行う。CPUは、ROMから読み出したプログラムを実行することにより、そのプログラムの内容に応じた処理を実行する。また、制御部100は、時間を計時するタイマー機能(以下、「タイマー」ともいう)を有する。
制御部100は、ベルト装置20、画像形成部30、給排紙部40、及び移動機構部90を制御する。また、制御部100は、後述する第1制御部及び第2制御部としての機能を有する。以下、制御部100が第1制御部として機能する場合を「制御部(第1制御部)100」と記載し、制御部100が第2制御部として機能する場合を「制御部(第2制御部)100」と記載する。
制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された(位置情報取得手段で取得された)光量検出信号(転写ベルトの位置情報)に基づいて、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度を決定し、従動ローラー16の回転軸が前記傾斜方向及び前記傾斜角度となるようにローラー位置調整機構22を制御する。
具体的には、制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された光量検出信号により特定した中間転写ベルト7の位置が補正範囲内(検出範囲A1:図6参照)にある場合には、中間転写ベルト7を予め設定された目標位置(中心線aに対応:図6参照)に戻すためにローラー位置調整機構22を制御する。以下、中間転写ベルト7の位置が補正範囲内にある場合(通常時)の蛇行補正を「第1補正」ともいう。
また、制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された光量検出信号により特定した中間転写ベルト7の位置が補正範囲外且つ許容範囲内(検出範囲A2:図6参照)にある場合には、中間転写ベルト7を予め設定された目標位置に戻すためにローラー位置調整機構22を制御すると共に、駆動ローラー17の回転速度が第1補正時よりも速くなるように第1駆動モーター18を制御する。以下、中間転写ベルト7の位置が補正範囲外且つ許容範囲内にある場合(異常時)の蛇行補正を「第2補正」ともいう。
なお、制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された光量検出信号(電圧値)と、中間転写ベルト7を予め設定された目標位置に戻すために必要な従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度とを対応付けたデータテーブル(ROM)を参照することにより、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度を決定する。
また、制御部(第1制御部)100は、第2補正において、中間転写ベルト7を予め設定された目標位置に戻すためにローラー位置調整機構22を制御する際に、従動ローラー16の回転軸の傾斜角度が第1補正時よりも大きい傾斜角度となるようにローラー位置調整機構22を制御する。
また、制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された光量検出信号により特定した中間転写ベルト7の位置が許容範囲外(検出範囲A3:図6参照)にある緊急時には、駆動ローラー17の回転を停止するように第1駆動モーター18を制御する。
更に、制御部(第2制御部)100は、第1制御部の機能によりローラー位置調整機構22を制御しても、時間t1(所定時間)内に中間転写ベルト7が目標位置を中心とする補正範囲内に戻らず且つ当該補正範囲外にある場合には、1次転写ローラー13a、13b、13c(複数の第2対向部)の位置が変更されるように移動機構部90を制御する。
具体的には、制御部(第2制御部)100は、1次転写ローラー13a、13b、13c(複数の第2対向部)が当接位置に位置した状態において、第1制御部の機能として、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度(補正情報)によりローラー位置調整機構22を制御しても、時間t1(所定時間)内に中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らず且つ補正範囲外にある場合、1次転写ローラー13a、13b、13cを離間位置に移動させるように移動機構部90を制御する。
また、制御部(第2制御部)100は、1次転写ローラー13a、13b、13c(複数の第2対向部)が離間位置に位置した状態において、第1制御部の機能として、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度(補正情報)によりローラー位置調整機構22を制御しても、時間t1(所定時間)内に中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らず且つ補正範囲外にある場合、1次転写ローラー13a、13b、13cを当接位置に移動させるように移動機構部90を制御する。
また、制御部(第2制御部)100は、1次転写ローラー13a、13b、13c(複数の第2対向部)の位置が変更されるように移動機構部90を制御することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻った場合には、1次転写ローラー13a、13b、13cの変更した位置が維持されるように移動機構部90を制御する。
上述した制御部100の第1制御部及び第2制御部としての機能については、後にフローチャートを参照して説明する。
次に、上記のように構成されたプリンター1の動作について説明する。
最初に、図1を参照して、プリンター1の基本的な動作について説明する。
(用紙Tに片面印刷を行う場合の動作)
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ55及び給紙ローラー対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、第1搬送ローラー対82により、レジストローラー対80に搬送される。
レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部30におけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部60における加熱回転体60aと加圧回転体60bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部61に搬送され、排出ローラー対53により排紙部61から排紙集積部M1に排出される。このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
一方、手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
(用紙Tに両面印刷を行う場合の動作)
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部61から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラー対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により排紙部61から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により保持されている状態において、排出ローラー対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラー対53を逆方向に回転させると、排出ローラー対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部61から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
更に、用紙Tは、レジストローラー対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
次に、制御部(第1制御部、第2制御部)100が中間転写ベルト7の蛇行補正を実行する場合の処理手順について説明する。図9、図10及び図11は、制御部(第1制御部、第2制御部)100において中間転写ベルト7の蛇行補正を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図9〜図11に示すフローチャートの処理は、プリンター1の運転中において、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
図9に示すステップST101において、制御部(第1制御部)100は、受光部25(ベルトセンサー21)から光量検出信号を取得する。
ステップST102において、制御部(第1制御部)100は、取得した光量検出信号に基づいて、中間転写ベルト7におけるベルト端面7aの位置(以下、「検出ベルト位置」ともいう)を特定する。
ステップST103において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)内か否かを判定する。このステップST103において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲内である(YES)と判定した場合に、処理をステップST104へ進める。また、ステップST103において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲外である(NO)と判定した場合に、処理をステップST105へ進める。
ステップST104(ステップST103:YES判定)において、制御部(第1制御部)100は、第1補正(通常時の蛇行補正)を実行する。これにより本フローチャートの処理は終了する。第1補正において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置に応じて、第2駆動モーター38の駆動方向及び駆動量を決定し、その駆動方向及び駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。また、制御部(第1制御部)100は、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が第1補正時の速さとなるように、第1駆動モーター18の回転速度を制御する。このため、中間転写ベルト7は、第1補正時の移動速度で回動する。
一方、ステップST105(ステップST103:NO判定)において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内か否かを判定する。このステップST105において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲外且つ許容範囲内である(YES)と判定した場合に、処理をステップST106へ進める。また、ステップST105において、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲外且つ許容範囲内でない(NO)と判定した場合に、処理をステップST108へ進める。
ステップST106(ステップST105:YES判定)において、制御部(第1制御部)100は、ベルト装置20を制御して、第1駆動モーター18への駆動信号の出力を停止させる。これにより、プリンター1は、印刷処理を中断する。また同時に、制御部(第1制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネル(不図示)に、ベルトの蛇行補正中であるために印刷処理が中断していることを知らせるメッセージを表示させる。
ステップST107において、制御部(第1制御部)100は、第2補正(異常時の蛇行補正)を実行する。具体的には、制御部(第1制御部)100は、検出ベルト位置に係わらず、第2駆動モーター38の駆動量を最大値に設定し、その最大値の駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。これにより、従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度は、第1補正時に設定される傾斜角度よりも大きくなる。
また、ステップST107において、制御部(第1制御部)100は、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が第1補正時よりも速くなるように、第1駆動モーター18の回転速度が最大値となるように制御する。これにより、第1駆動モーター18の回転速度は、第1補正時よりも速くなる。このため、中間転写ベルト7は、第1補正時の移動速度よりも速い速度(高速)で回動する。
一方、ステップST108(ステップST105:NO判定)において、制御部(第1制御部)100は、緊急時の処理を実行する。具体的には、制御部(第1制御部)100は、ベルト装置20を制御して、第1駆動モーター18への駆動信号の出力を停止させる。これにより、プリンター1は、印刷処理を中断する(緊急停止)。また同時に、制御部(第1制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネル(不図示)に、ベルトの蛇行異常により印刷処理が中断したことを知らせるメッセージを表示させる。これにより本フローチャートの処理は終了する。
なお、ステップST108において、制御部(第1制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネルに、印刷処理が中断したことを知らせるメッセージを表示させると共に、メンテナンススタッフによる点検が必要であることを知らせるメッセージを表示させてもよい。
図10に示すステップST109において、制御部(第2制御部)100は、タイマー(不図示)を起動して、時間t1の計時をスタートさせる。
ステップST110において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t1に達したか否かを判定する。このステップST110の判定において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t1に達した(YES)と判定した場合に、処理をステップST111へ進める。なお、タイマーによる計時が時間t1に達した時点において、タイマーによる計時はリセットされる。
また、ステップST110の判定において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t1に達していない(NO)と判定した場合に、処理をステップST110へ戻す。
ステップST111(ステップST110:YES判定)において、制御部(第2制御部)100は、受光部25(ベルトセンサー21)から光量検出信号を取得する。
ステップST112において、制御部(第2制御部)100は、取得した光量検出信号に基づいて、中間転写ベルト7の検出ベルト位置を特定する。
ステップST113において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)内か否かを判定する。このステップST113において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲内である(YES)と判定した場合に、処理をステップST104(図9参照)へ進める。また、ステップST113において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲外である(NO)と判定した場合に、処理をステップST114へ進める。
ステップST114(ステップST113:NO判定)において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が感光体ドラム2a、2b、2cに当接する当接位置にあるか否かを判定する。このステップST114において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が当接位置にある(YES)と判定した場合に、処理をステップST115へ進める。また、ステップST114において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が当接位置にない(NO)、すなわち離間位置にあると判定した場合に、処理をステップST116へ進める。
ステップST115(ステップST114:YES)において、制御部(第2制御部)100は、移動機構部90を制御して、中間転写ベルト7の位置を当接位置から離間位置に変更させる(1次転写ローラー13a〜13cを離間位置に移動させる)。
ステップST116(ステップST114:NO)において、制御部(第2制御部)100は、移動機構部90を制御して、中間転写ベルト7の位置を離間位置から当接位置に変更させる(1次転写ローラー13a〜13cを当接位置に移動させる)。
図11に示すステップST117において、制御部(第2制御部)100は、タイマー(不図示)を起動して、時間t2の計時をスタートさせる。
ステップST118において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t2に達したか否かを判定する。このステップST118の判定において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t2に達した(YES)と判定した場合に、処理をステップST119へ進める。なお、タイマーによる計時が時間t2に達した時点において、タイマーによる計時はリセットされる。
また、ステップST118の判定において、制御部(第2制御部)100は、タイマーによる計時が時間t2に達していない(NO)と判定した場合に、処理をステップST118へ戻す。
ステップST119(ステップST118:YES)において、制御部(第2制御部)100は、受光部25(ベルトセンサー21)から光量検出信号を取得する。
ステップST120において、制御部(第2制御部)100は、取得した光量検出信号に基づいて、中間転写ベルト7の検出ベルト位置を特定する。
ステップST121において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)外か否かを判定する。このステップST121において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲外である(YES)と判定した場合に、処理をステップST108(図9参照)へ進める。このように、中間転写ベルト7の位置を変更しても、中間転写ベルト7の検出ベルト位置が補正範囲内に戻らない場合には、処理をステップST108へ進めて、緊急停止の処理を実行する。
また、ステップST121において、制御部(第2制御部)100は、検出ベルト位置が補正範囲内である(NO)と判定した場合に、処理をステップST122へ進める。
ステップST122(ステップST121:YES)において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が感光体ドラム2a、2b、2cに当接する当接位置にあるか否かを判定する。このステップST122において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が当接位置にある(YES)と判定した場合に、処理をステップST123へ進める。また、ステップST122において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が当接位置にない(NO)、すなわち離間位置にあると判定した場合に、処理をステップST125へ進める。
ステップST123(ステップST122:YES)において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7の位置を当接位置に固定する。具体的には、制御部(第2制御部)100は、RAMの所定領域に設定した、中間転写ベルト7を当接位置に移動したことを示すフラグのステータスを維持する。
ステップST124において、制御部(第2制御部)100は、印刷モードを4色フルカラー印刷に設定すると共に、ベルト装置20を制御して、第1駆動モーター18へ駆動信号を出力させる。これにより、プリンター1において、ベルト装置20が駆動され、4色フルカラー印刷が再開される。また同時に、制御部(第2制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネル(不図示)に、4色フルカラー印刷が可能であることを知らせるメッセージを表示させる。これにより本フローチャートの処理は終了する。
一方、ステップST125(ステップST122:NO)において、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7の位置を離間位置に固定する。具体的には、制御部(第2制御部)100は、RAMの所定領域に設定した、中間転写ベルト7を離間位置に移動したことを示すフラグのステータスを維持する。
ステップST126において、制御部(第2制御部)100は、印刷モードをモノクロ印刷に設定すると共に、ベルト装置20を制御して、第1駆動モーター18へ駆動信号を出力させる。これにより、プリンター1において、ベルト装置20が駆動され、モノクロ印刷が再開される。また同時に、制御部(第2制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネル(不図示)に、モノクロ印刷が可能であることを知らせるメッセージを表示させる。これにより本フローチャートの処理は終了する。
なお、ステップST124及びステップST126において、制御部(第2制御部)100は、表示パネル駆動部(不図示)を制御して、操作部70の表示パネルに、4色フルカラー又はモノクロ印刷が可能であることを知らせるメッセージを表示させると共に、メンテナンススタッフによる点検が必要であることを知らせるメッセージを表示させてもよい。
次に、上述した図9〜図11に示すフローチャートの処理に基づいて、制御部(第1制御部、第2制御部)100が中間転写ベルト7の蛇行補正を実施した場合の具体例について説明する。
まず、第2補正(異常時の蛇行補正)により中間転写ベルト7が補正範囲内に収束した場合について説明する。
図12は、ベルト移動速度を固定した従来の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図13は、本実施形態の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図12及び図13において、横軸は時間t、縦軸はベルト位置d(ベルト端面7aの位置)を表している。
なお、図12及び図13に示す「a」、「b1」及び「b2」の一点鎖線は、図6に示す中心線a、境界線b1、b2に対応する。従って、グラフの中心線aから下方への変移は、ベルト端面7aのフロント側への移動を表している。また、グラフの中心線aから上方への変移は、ベルト端面7aのリア側への移動を表している。図12及び図13では、区間S2において、中間転写ベルト7がリア側に大きく蛇行している状態を示している(後述する図14及び図15も同じ)。
図12及び図13に示すように、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内にある場合(区間S1)には、第1補正が実行される。この場合、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)は、図12及び図13のいずれも第1補正時の回転速度となる。
また、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内にある場合(区間S2)には、第2補正(異常時の蛇行補正)が実行される。ここで、従来の蛇行補正(図12参照)においては、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が第1補正時の回転速度のままとなる。このため、第2補正時の蛇行補正が終了して、第1補正の蛇行補正(区間S3)に達するまでに、時間T1が必要となる。
一方、本実施形態の蛇行補正(図13参照)においては、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が第1補正時の回転速度よりも速い回転速度(高速)となる。このため、第2補正が終了して、第1補正時の蛇行補正(区間S3)に達するまでに要する時間は、時間T2(<時間T1)となる。
このように、図13に示す本実施形態の蛇行補正によれば、第2補正(区間S2)において、蛇行した中間転写ベルト7を速やかに目標位置に戻すことができる。これによれば、トナー画像の色ずれが短時間で解消されるため、印刷物の生産性の低下を最小限に抑制することができる。また、第2補正においては、検出されたベルト端面7aの位置に係わらず、第2駆動モーター38が最大値の駆動量で駆動されるため、蛇行した中間転写ベルト7をより速やかに目標位置に戻すことができる。更に、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が許容範囲外にある緊急時には、駆動ローラー17の駆動が停止するため、中間転写ベルト7が従動ローラー16から外れる不具合を未然に抑制することができる。
次に、第2補正を所定時間実施しても、中間転写ベルト7が補正範囲内に収束しない場合について説明する。
図14は、4色フルカラー印刷中に蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図15は、モノクロ印刷中に蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図14及び図15の印刷モードにおいては、4色フルカラー印刷を「カラー印刷」と記載する。
図14に示すように、印刷モードがカラー印刷の場合に、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内にある場合(区間S2)には、制御部(第1制御部)100により、図13で説明した第2補正が実行される。
そして、制御部(第2制御部)100は、図14に示すように、区間S2において、第2補正を時間t1実施しても、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内に戻らない場合には、時間t1経過後、中間転写ベルト7の位置を当接位置から離間位置に変更させる。その後、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が離間位置にある状態で、更に第2補正を時間t2実施させる。
その後、制御部(第2制御部)100は、図14に示すように、中間転写ベルト7を離間位置に変更した状態において、第2補正を時間t2実施することにより、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内に戻った場合には、中間転写ベルト7の位置を離間位置に固定する。また同時に、制御部(第2制御部)100は、第1補正時の蛇行補正(区間S3)に移行した時点において、印刷モードをモノクロ印刷に設定して、印刷を再開させる。この場合、プリンター1において、4色フルカラー印刷はできないが、モノクロ印刷を実行することができる。
一方、図15に示すように、印刷モードがモノクロ印刷の場合に、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内にある場合(区間S2)には、制御部(第1制御部)100により、図13で説明した第2補正が実行される。
そして、制御部(第2制御部)100は、図15に示すように、区間S2において、第2補正を時間t1実施しても、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内に戻らない場合には、時間t1経過後、中間転写ベルト7の位置を離間位置から当接位置に変更させる。その後、制御部(第2制御部)100は、中間転写ベルト7が当接位置にある状態で、更に第2補正を時間t2実施させる。
その後、制御部(第2制御部)100は、図15に示すように、中間転写ベルト7を当接位置に変更した状態において、第2補正を時間t2実施することにより、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内に戻った場合には、中間転写ベルト7の位置を当接位置に固定する。また同時に、制御部(第2制御部)100は、第1補正時の蛇行補正(区間S3)に移行した時点において、印刷モードをカラー印刷に設定して、印刷を再開させる。この場合、プリンター1において、モノクロ印刷はできないが、4色フルカラー印刷を実行することができる。
上述した中間転写ベルト7の蛇行は、感光体ドラム2a〜2cに対して中間転写ベルト7が当接位置にある場合と離間位置にある場合とでは、その傾向が変化する。これは、感光体ドラム2a〜2cに対して中間転写ベルト7が当接又は離間することにより、中間転写ベルト7のねじれ具合や、張力の変化による搬送速度差が中間転写ベルト7のフロント又はリアで発生するためと考えられる。
そのため、第2補正を所定時間(時間t1)実施しても、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合に、感光体ドラム2a〜2cと中間転写ベルト7との位置関係(当接/離間)を変更することにより、中間転写ベルト7の蛇行の傾向を変化させることができる。従って、第2補正において、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合に、感光体ドラム2a〜2cと中間転写ベルト7との位置関係を変更することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻る可能性が高くなる。
そして、感光体ドラム2a〜2cと中間転写ベルト7との位置関係を変更することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻った場合には、その時点における感光体ドラム2a〜2cと中間転写ベルト7との位置関係を固定することにより、プリンター1をカラー印刷又はモノクロ印刷のいずれかの印刷モードで運転することが可能となる。
上述した実施形態に係るプリンター1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態に係るプリンター1において、制御部(第2制御部)100は、第1制御部の機能により中間転写ベルト7の蛇行が補正されるようにローラー位置調整機構22を制御しても、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合には、1次転写ローラー13a〜13c(複数の第2対向部)の位置が変更されるように移動機構部90を制御する。
このように、第2補正において、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合に、1次転写ローラー13a〜13cの位置を変更することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻る可能性が高くなる。そして、1次転写ローラー13a〜13cの位置を変更することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻った場合には、その時点における1次転写ローラー13a〜13cの位置に応じて、プリンター1をカラー印刷又はモノクロ印刷のいずれかの印刷モードで運転することができる。従って、本実施形態に係るプリンター1によれば、中間転写ベルト7の異常な蛇行が発生した場合において、カラー印刷及びモノクロ印刷のいずれもできない状態となるのを可能な限り回避することができる。
また、制御部(第2制御部)100は、1次転写ローラー13a〜13cの位置が変更されるように移動機構部90を制御した後、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻った場合には、1次転写ローラー13a〜13cの変更した位置を維持する。
このように、1次転写ローラー13a〜13cの位置を変更することにより、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻った場合には、その時点における1次転写ローラー13a〜13cの位置を維持することにより、プリンター1をカラー印刷又はモノクロ印刷のいずれかの印刷モードにより継続して運転することができる。
また、制御部(第2制御部)100は、第1制御部の機能により中間転写ベルト7の蛇行が補正されるようにローラー位置調整機構22を制御しても、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合において、1次転写ローラー13a〜13cの位置が当接位置であれば、1次転写ローラー13a〜13cの位置が離間位置となるように移動機構部90を制御する。
これによれば、1次転写ローラー13a〜13cの位置が当接位置(4色フルカラー印刷)である場合に、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らなければ、1次転写ローラー13a〜13cの位置が離間位置(モノクロ印刷)となる。このため、プリンター1において、モノクロ印刷を実行することができる。
また、制御部(第2制御部)100は、第1制御部の機能により中間転写ベルト7の蛇行が補正されるようにローラー位置調整機構22を制御しても、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らない場合において、1次転写ローラー13a〜13cの位置が離間位置であれば、1次転写ローラー13a〜13cの位置が当接位置となるように移動機構部90を制御する。
これによれば、1次転写ローラー13a〜13cの位置が離間位置(モノクロ印刷)である場合に、中間転写ベルト7が補正範囲内に戻らなければ、1次転写ローラー13a〜13cの位置が当接位置(4色フルカラー印刷)となる。このため、プリンター1において、4色フルカラー印刷を実行することができる。また、この場合には、4色フルカラー印刷だけでなく、モノクロ印刷を実行することもできる。
また、制御部(第1制御部)100は、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7の位置に応じて、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度を決定し、従動ローラー16の回転軸が前記傾斜方向及び傾斜角度となるようにローラー位置調整機構22を制御する。
このため、蛇行した中間転写ベルト7の位置に応じて、中間転写ベルト7を速やかに補正範囲内に戻すことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態の移動機構部90は、1次転写ローラー13a〜13cを支持したフレーム91を、感光体ドラム2a〜2cに対して当接位置又は離間位置に移動させる機構として、偏芯カム92及び第3駆動モーター93を備える。これに限らず、移動機構部90を、駆動モーター及び歯車機構により構成してもよい。この場合には、駆動モーターの回転力で歯車機構を回動させることにより、支持ローラー23の回転軸23aに支持されたフレーム91を当接位置又は離間位置に移動させることができる。
また、移動機構部90を、フレーム91に連結されたロッド及びアクチュエーターにより構成してもよい。この場合には、アクチュエーターにより発生した動力でロッドを駆動することにより、支持ローラー23の回転軸23aに支持されたフレーム91を当接位置又は離間位置に移動させることができる。
本実施形態の制御部(第2制御部)100は、ベルトセンサー21から出力された光量検出信号(電圧値)と、中間転写ベルト7を予め設定された目標位置に戻すために必要な従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度とを対応付けたデータテーブル(ROM)を参照することにより、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度を決定する。これに限らず、従動ローラー16の回転軸の傾斜方向及び傾斜角度を、光量検出信号(電圧値)をパラメータとする演算式により算出してもよい。
本実施形態においては、本発明に係る画像形成装置を、4色フルカラー印刷及びモノクロ印刷が可能なプリンターに適用した例について説明した。これに限らず、本発明は、感光体ドラムに対して無端状のベルトを当接位置及び離間位置に移動可能に構成された画像形成装置一般に適用することができる。例えば、上記のような構成を備えたコピー機、ファクシミリ装置等に適用することができる。