JP5644991B2 - α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。 - Google Patents

α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP5644991B2
JP5644991B2 JP2009131492A JP2009131492A JP5644991B2 JP 5644991 B2 JP5644991 B2 JP 5644991B2 JP 2009131492 A JP2009131492 A JP 2009131492A JP 2009131492 A JP2009131492 A JP 2009131492A JP 5644991 B2 JP5644991 B2 JP 5644991B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
leaves
dried
acid
plant
drying
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009131492A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010273650A (ja
Inventor
哲郎 小川
哲郎 小川
英稀 荒木
英稀 荒木
山崎 幸一
幸一 山崎
克幸 近重
克幸 近重
文人 石津
文人 石津
北川 優
優 北川
一 松崎
一 松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimane Prefecture
Original Assignee
Shimane Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimane Prefecture filed Critical Shimane Prefecture
Priority to JP2009131492A priority Critical patent/JP5644991B2/ja
Publication of JP2010273650A publication Critical patent/JP2010273650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5644991B2 publication Critical patent/JP5644991B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)

Description

本発明は、α−リノレン酸およびロスマリン酸を高い割合で含有する植物茎葉について、これらの成分を高度に保持した状態で乾燥するための方法、すなわちα−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に含有する植物茎葉乾燥物の製造方法に関する。さらに本発明はかかる方法によって得られる植物茎葉乾燥物に関する。
エゴマ(Perilla frutescens var. frutescens)およびシソ(P. frutescens var. crispa f. viridisP. frutescens var crispa f. purpurea)は中国原産のシソ科に属する一年生の草本である。これらは、種実や葉が食用になるだけでなく、種実に油分を蓄積することから油糧作物として栽培されている。例えば、エゴマの種子には約45%の油分が含まれており、その油脂の構成脂肪酸のうち約60%をα-リノレン酸が占めているという特徴がある。また、種子には及ばないものの、葉にもα-リノレン酸が含まれている。
脂肪酸は、オレイン酸に代表される「飽和・一価不飽和脂肪酸」、リノール酸に代表される「n-6系多価不飽和脂肪酸」、およびα-リノレン酸に代表される「n-3系多価不飽和脂肪酸」に分類される。リノール酸やα-リノレン酸をはじめとする多価不飽和脂肪酸は、人間の細胞膜を構成する成分の一つであるだけでなく、成長、妊娠、皮膚状態を正常に保つ上で必須であり、体内で合成できないことから食事によって摂取しなければならない。
ところで、近年の日本人の脂肪摂取量をみてみると、リノール酸系(n-6系)油脂の摂取が1960年以降急増しており、必要量の10倍前後の量を摂取しているといわれている。しかし、こうしたリノール酸の過剰摂取は、発ガン促進、アレルギー発症、動脈硬化促進などの悪影響を招くことが動物実験で確認されている。
一方、n-3系脂肪酸であるα-リノレン酸は、体内では、同じくn-3系脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されることが報告されている(非特許文献1)。これらは、脳神経機能や網膜機能維持だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞、アレルギーなどの多くの慢性疾患の予防に重要な役割を果たしているといわれている(非特許文献2〜5参照)。このため、生体の維持、疾病予防の観点からも、厚生労働省では、リノール酸(n-6系)とα-リノレン酸(n-3系)を4:1となるようなバランスで摂取することを推奨している。
前述するとおり、シソ科植物の中でも、エゴマには、その種子のみならず、葉にも比較的多くのα-リノレン酸が含まれている。またエゴマの葉には、抗酸化作用、抗アレルギー作用、炎症細胞浸潤抑制作用、および肝障害抑制作用が知られているポリフェノールの一種、ロスマリン酸も多く含まれている(特許文献1)。しかしながら、かかる葉は、食用としてはキムチといった一部の用途にしか利用されていない。
ところで、従来から、果物、野菜、および海藻の乾燥にマイクロ波照射が利用されている。例えば、特許文献2には、果物果汁と果物由来のタンパク質を、マイクロ波を利用して乾燥することによりカリカリとしたクリスピーな食感のフルーツ乾燥品が得られること;特許文献3には、果物の外果皮をマイクロ波を用いて乾燥することにより外果皮にシワ等を形成せずに内部がスポンジ状にふくらんだ状態で乾燥でき、外観良好であるとともに良好な歯触りを得ることができ、また温水や酒などで短時間に元の状態に復元することができること;特許文献4には、糖液処理と熱風乾燥したもやしに水を加え、これをさらに減圧下でマイクロ波を用いて乾燥することにより、水や湯での復元性に優れるとともに、シャキシャキとした食感を維持することができることが記載されている。また、特許文献5には、海藻の乾燥にマイクロ波照射を用いることが記載されているが、マイクロ波照射による乾燥だけでは、急激な乾燥により味や品質が劣化するため、マイクロ波照射による乾燥処理とマイクロ波照射しない熱風乾燥処理とを組み合わせることにより乾燥海苔の品質が向上できることが記載されている。
WO2002/062365 特開2004-329166号公報 特開2001-197861号公報 特開2003-304805号公報 特開2007-195519号公報
Ezaki et al., J. Nutr. Sci. Vitamino. 45: 759-772 (1999) 奥山ら:プロスタグランジン,第36巻,第3号(1985) 奥山治美:油化学,37,774(1988) 奥山治美:油化学,39,196(1990) 奥山治美:油化学,vol.40,No.10(1991) 「第六次改訂 日本人の栄養所要量−食事摂取」、健康・栄養情報研究会、1999年6月発行、第一出版
本発明は、優れた生理活性作用を有するα-リノレン酸およびロスマリン酸を多く含む植物茎葉を、食品としてより有効に利用するための方法を提供することを目的とする。より詳細には、食用エゴマ葉などのα-リノレン酸およびロスマリン酸を多く含む植物茎葉乾燥粉末を工業的に調製するにあたり、これら含有量の低下を抑制し、これらの成分を多く含む植物茎葉乾燥粉末を製造する方法を提供することを目的とする。
α-リノレン酸含量およびロスマリン酸含量の低下を抑制し、これらの成分を多く含む植物茎葉乾燥物を製造する方法としては、通常、植物茎葉を凍結乾燥する方法を挙げることができる。しかし、当該凍結乾燥処理は、所望の乾燥物を取得するまでに1日から2日間要し、またランニングコストが高いことから、短時間で安価に大量処理できることが求められる工業的製造には適していない。
そこで本発明者らは、上記課題であるα-リノレン酸およびロスマリン酸を多く含む植物茎葉乾燥粉末の製造を目指して日夜研究を重ねていたところ、上記植物茎葉の生葉を、または冷凍物については一旦解凍した後に、減圧下でマイクロ波を照射して乾燥させることで、製造工程におけるα-リノレン酸含量およびロスマリン酸含量の低下が抑制でき、これらの成分を多く含む植物茎葉乾燥粉末が得られることを見出した。さらに、生葉を予めブランチング処理しておくことで、その後の処理(冷凍解凍処理および/または乾燥処理)による退色を予防し、新鮮な緑色を保持した植物茎葉乾燥粉末が得られること、またその後の処理(冷凍解凍処理および/または乾燥処理)によるロスマリン酸含量の低下が有意に抑制でき、ロスマリン酸を多く含む植物茎葉乾燥粉末が調製できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有することを特徴とする。
(I)α−リノレン酸/ロスマリン酸高含植物茎葉乾燥粉末の製造方法
(I-1)(1)植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および
(2)得られた乾燥物を粉砕する工程
を有する、植物茎葉乾燥粉末の製造方法。
(I-2)上記植物茎葉が、(a)生の植物茎葉であるか、または(b)生の植物茎葉を冷凍後解凍したものである、(I-1)に記載する製造方法。
なお、(b)の場合、植物茎葉乾燥粉末の製造方法を一連の流れで記載すると、(0)生の植物茎葉を冷凍後解凍処理する工程、(1)得られた植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および(2)得られた乾燥物を粉砕する工程を有する、植物茎葉乾燥粉末の製造方法ということができる。
(I-3)上記植物茎葉が、(c)生の植物茎葉をブランチング処理したものであるか、または(d)生の植物茎葉をブランチング処理した後に冷凍後解凍したものである、(I-1)に記載する製造方法。
なお、(c)の場合、植物茎葉乾燥粉末の製造方法を一連の流れで記載すると、(0’)生の植物茎葉をブランチング処理する工程、(1)得られた植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および(2)得られた乾燥物を粉砕する工程を有する、植物茎葉乾燥粉末の製造方法ということができる。また、(d)の場合は、(0’)生の植物茎葉をブランチング処理する工程、(0”)得られた植物茎葉を冷凍後解凍処理する工程、(1)得られた植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および(2)得られた乾燥物を粉砕する工程を有する、植物茎葉乾燥粉末の製造方法ということができる。
(I-4)上記植物が、エゴマ、アマ、チアおよびバジルから選択される少なくとも一種の植物である、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する製造方法。
(I-5)(1)の乾燥工程が、5〜150Torrの条件下で、植物茎葉1kgに対して、2,450±50 MHzのマイクロ波を30〜200 kW・min の割合で照射する工程である、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する方法。
(II)α−リノレン酸/ロスマリン酸高含植物茎葉乾燥粉末
(II-1)(I-1)乃至(I-5)のいずれかの方法によって得られる植物茎葉乾燥粉末。
(III)植物茎葉乾燥粉末中のα-リノレン酸およびロスマリン酸含量の低下抑制方法
(III-1)植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕して植物茎葉乾燥粉末を調製することを特徴とする、植物茎葉乾燥粉末中のα-リノレン酸およびロスマリン酸含量の低下を抑制する方法。
(III-2)生の植物茎葉をブランチング処理後、そのまままたは冷凍解凍した後に、減圧下でマイクロ波照射して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕して植物茎葉乾燥粉末を調製することを特徴とする、(III-1)に記載する方法。
(III-3)上記植物が、エゴマ、アマ、チアおよびバジルから選択される少なくとも一種の植物である、(III-1)または(III-2)に記載する方法。
(III-4)マイクロ波照射による乾燥を、5〜150Torrの条件下で、植物茎葉1kgに対して、2,450±50 MHzのマイクロ波を30〜200 kW・min の割合で照射して行う、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載する方法。
本発明の方法によれば、凍結乾燥方法で1〜2日間かかっていた乾燥処理が、長くても数時間以内、通常1時間もしくは30分以内といった短時間で行うことができ、しかもα-リノレン酸およびロスマリン酸含量の低下を有意に抑制して、これらの含有量を高く保持した状態で植物茎葉の乾燥粉末を取得することができる。また、生葉を予めブランチング処理することで、例えばエゴマ葉にあるような特有の臭いが除去でき、且つ退色が抑制されて新鮮な緑色を有する植物茎葉乾燥粉末が得られるとともに、特にロスマリン酸含量の低下を格段に抑制して、当該成分の含有量を極めて高く保持した状態で植物茎葉の乾燥粉末を取得することができる。
(I)植物茎葉の乾燥粉末の製造方法
本発明の製造方法は、植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および得られた乾燥物を粉砕する工程を有することを特徴とする。
本発明で対象とする植物としては、茎葉にα−リノレン酸やロスマリン酸を高い割合で含む植物を挙げることができる。かかる植物としては、エゴマ、アマ、チアおよびバジルを挙げることができる。好ましくはエゴマ、チアおよびバジル;より好ましくはエゴマおよびバジル;さらに好ましくはエゴマである。
以下、本発明の製造方法について説明する。なお、下記に説明する(1)前処理工程において、冷凍解凍処理工程、ブランチング工程およびその後の冷却工程は、本発明において必須の工程ではなく、いずれも任意工程であり、必要に応じて実施することができる。
(1)前処理工程
例えば、原料として使用するエゴマ(Perilla frutescens var. frutescens)等の植物茎葉は、一年中、いつ採取したものであってもよいが、好ましくは初夏もしくは初秋、より好ましくは7月に採取される健常の茎葉を用いることが好ましい。また、採取した植物茎葉は、必要に応じて水洗いして付着した泥などを洗い流すことが好ましい。なお、この洗浄工程は、冷水、例えば15℃以下の水で行うことが好ましい。
後述する減圧マイクロ波照射乾燥工程に供するに際して、植物茎葉は採取されたそのままの状態であってもよいが、必要に応じて、公知のカッター、スライサーなどを用いて、葉部および茎部を適当な大きさ(たとえば、5cm程度)に裁断してもよい。
なお、後述する(2)減圧マイクロ波照射乾燥工程は、前述する植物茎葉の生葉に対して行ってもよいし、また植物茎葉を一旦冷凍保存後、解凍処理したものに対して行ってもよい。
植物茎葉を冷凍する場合、冷凍条件として、制限されないが、好ましくは−20℃以下での冷凍、より好ましくは−30℃または−40℃以下で急速冷凍を行い、これを−20℃以下で保存することを挙げることができる。またこれを解凍する場合の条件として、制限されないが、好ましくは15℃以下、より好ましくは5℃以下の冷蔵庫中での解凍を挙げることができる。
また生の植物茎葉は、そのまま減圧マイクロ波照射乾燥工程に供する場合も、また冷凍保存する場合も、その前に予めブランチング処理を行うことができる。ブランチング処理は、植物茎葉に含まれ、植物茎葉の変質や変色に関与する酵素を失活させるために好適に行うことができ、斯くして変色が抑制された新鮮な緑色を有する植物茎葉乾燥粉末を調製することができる。また、実験例3に示すように、生の植物茎葉を予めブランチング処理することで、減圧マイクロ波照射乾燥処理および/または冷凍解凍処理による、特にロスマリン酸含量の低下を顕著に抑制することができ、ロスマリン酸を高い割合で保持してなる植物茎葉乾燥粉末を得ることができる。さらに実験例4に示すように、生の植物茎葉を予めブランチング処理することで、可溶性ポリフェノールを高い割合で保持し、高い抗酸化活性(DPPHラジカル捕捉活性)を有する植物茎葉乾燥粉末を得ることができる。
ブランチング処理としては、熱水処理や水蒸気処理等の当業界で通常使用される処理が採用される。熱水処理としては、制限されないが、例えば通常80〜100℃の熱水に1〜5分間、生の植物茎葉を浸漬する方法を、また水蒸気処理としては、制限されないが、例えば90〜100℃の水蒸気雰囲気中で、1〜5分間、生の植物茎葉を蒸煮する方法を挙げることができる。なお、このブランチング処理をするにあたり、アルカリ性のブランチング溶液あるいは食塩水を用いると、植物茎葉の緑色がより一層鮮やかになる。アルカリ性のブランチング溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化アンモニウム,炭酸カルシウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,リン酸ナトリウム,クエン酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、あるいは海藻灰抽出物や貝殻カルシウム,卵殻カルシウム,ドロマイトなどの天然ミネラル混合物を添加してpHをアルカリ性に調整した水溶液を挙げることができる。また、アルカリイオン水を用いることもできる。
上記ブランチング処理後、得られた植物茎葉は速やかに冷却することが好ましい。冷却処理は、植物茎葉に冷水をかけるか冷水に浸漬する方法、冷蔵する方法、冷風または温風を用いた気化冷却方法など、いずれの方法も採用することができる。
(2) 減圧マイクロ照射乾燥工程
生の植物茎葉または上記の前処理をした植物茎葉は、マイクロ波照射による減圧乾燥工程に供される。当該乾燥処理は、通常、市販のマイクロ波減圧乾燥装置を用いて行うことができる。
ここで減圧条件としては、大気圧(760Toor)以下の条件であればよいが、好ましくは250Torr以下、より好ましくは5〜150Torr程度、より好ましくは20〜50Torr程度の減圧条件を挙げることができる。
マイクロ波は、300MHz〜30GHzの電波の総称であるが、日本で割り当てられている周波数(ISMバンド)は2,450±50 MHzである(北米の場合は915±13 MHz)。ゆえに、本発明においても同様に当該周波数(2,450±50 MHz)を使用することができる。
マイクロ波照射は、乾燥する対象の植物茎葉の水分含量が10%程度以下になるまで照射することが好ましく、その限りにおいて乾燥時間、すなわちマイクロ波の照射時間は特に制限されない。実験例5に示すように、低出力のマイクロ波を用いて長時間処理するよりも、高出力のマイクロ波を用いて短時間で処理するほうが、α−リノレン酸およびロスマリン酸の含量の低下を抑制することができる。この観点から、処理時間としては、通常1時間以内、好ましくは30分以内、より好ましくは1〜20分以内に設定することが望ましく、またかかる時間内に処理できるように1回の処理量を調節することが好ましい。
マイクロ波の出力は、処理する対象物の量および処理時間に応じて適宜調整することができる。例えば、植物茎葉(生または前処理物)1kgを処理するために使用される、マイクロ波照射の条件〔出力(kW)×処理時間(min)〕としては、10〜300kW・min、好ましくは30〜200kW・min、より好ましくは70〜160kW・minを挙げることができる。すなわち、マイクロ波出力(kW)と処理時間(分)の積が上記の数値範囲になることを目安として、マイクロ波出力(kW)と処理時間(分)を設定することができる。なお、植物茎葉の重量が1kgを満たない場合(または1kgを超える場合)は、上記値(kW・min)に「実際に処理する植物茎葉の重量(kg)/1kg」を乗じて算出される値(kW・min)に基づいて、マイクロ波の出力を決定することができる。
通常、マイクロ波照射は、温度を制御することなく、常温環境下で行うことができる。但し、処理対象物の温度は、減圧条件に応じて、またマイクロ波照射によるエネルギー蓄積により温度が上昇し、50〜60℃になる場合もある。
斯くして、マイクロ波減圧乾燥処理により、水分含量が10%程度以下に乾燥された植物茎葉を取得することができる。なお、ここで植物茎葉の水分含量は、実験例1に示すように、乾燥物0.5gを105℃の乾燥器で恒量になるまで乾燥し、元の試料の重量と105℃での乾燥処理後の試料の重量の差から算出することができる。
(3) 粉砕工程
次いで得られた植物茎葉乾燥物は、この工程で粉砕されて粉末状に調製される。
粉砕方法は特に制限されず、当業界で通常使用される方法、例えばクラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて粉砕する方法を制限なく用いることができる。なお、この際、乾燥物の温度が上昇しないように迅速に処理することが好ましい。
なお、粉砕後、得られた乾燥粉末を、必要に応じて篩にかけてもよい。篩としては、例えば、30〜250メッシュの篩を通過するものが用いられる。また、粉末の口溶けや口当たりをよくするために、150メッシュ篩下(粒径100μm以下)、好ましくは200メッシュ篩下(粒径75μm以下)になるように粉砕することが好ましい。
また、当該粉砕工程において、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の食品用乳化剤を配合することもできる。かかる成分を配合することによって、植物茎葉乾燥粉末の水への分散性または溶解性が向上し、口に入れたときにざらつくといった違和感を低減し、食感を向上することができる。
なお、本発明の方法で調製された、植物茎葉乾燥粉末は、そのまま粉末状の製品(食品組成物)として提供することもできるが、必要に応じて、乳糖、麦芽糖、ショ糖等の賦形剤やデキストリン、ゼラチン、デンプン、セルロースなどの結合剤を配合し、造粒して顆粒剤(食品組成物)として提供することもできる。造粒方法は、特に制限されず、定法に従って、攪拌造粒、流動層造粒、押出し造粒、および転動造粒などを用いることができる。また斯くして得られた造粒物を定法に従って打錠して錠剤タイプの製品(食品組成物)として提供することもできる。
本発明の方法で製造された植物茎葉乾燥粉末またはその加工物(造粒物)は、そのまま食してもよいし、また水、お湯、牛乳、ヨーグルト、果汁、または豆乳などに混ぜて飲料として食してもよい。さらに食品を製造する原料の一つとして使用することもでき、例えば、かかる食品としてはカレー、シチュー、スープ類、パン、ホットケーキ、クッキーや饅頭などの洋和菓子、麺類などを例示することができる。
(II)植物茎葉乾燥粉末中のα−リノレン酸およびロスマリン酸の含量低下抑制方法
本発明は、植物茎葉乾燥粉末中のα−リノレン酸およびロスマリン酸の含量の低下を抑制する方法、具体的には植物茎葉乾燥粉末の調製に於いて生じるα−リノレン酸およびロスマリン酸の含量の低下を抑制する方法を提供する。
当該方法は、植物茎葉乾燥粉末の調製に、植物茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕する方法を採用することによって実施することができる。
ここで対象とする植物は、(I)に記載するように、茎葉中に含まれるα−リノレン酸やロスマリン酸の量が多い植物であることが望ましく、かかる植物として、例えばエゴマ、アマ、チアおよびバジルを挙げることができる。好ましくはエゴマ、チアおよびバジル;よりエゴマおよびバジル;さらに好ましくはエゴマである。
当該植物茎葉は、生のまま減圧下でマイクロ波照射して乾燥してもよいが、マイクロ波照射乾燥処理前に予め(I)に記載する(1)前処理工程(例えば、洗浄、裁断、冷凍解凍処理工程、ブランチング工程およびその後の冷却工程など)を、必要に応じて実施することができる。好ましくは植物茎葉を、ブランチング処理後、そのまま減圧下でマイクロ波照射乾燥処理をするか、またはブランチング処理後、冷凍解凍処理を経て、減圧下でマイクロ波照射乾燥処理をする方法である。ここで採用する各種前処理の条件は、上記(I)に記載する条件を同様に用いることができる。実験例3に示すように、減圧マイクロ波照射乾燥処理を行う前に、事前にブランチング処理を行うと、特にロスマリン酸含量の低下を顕著に抑制することができ、ロスマリン酸を高い割合で保持してなる植物茎葉乾燥粉末を得ることができる。
マイクロ波照射乾燥処理も上記(I)に記載する方法および条件を同様に用いることができる。次いで得られる植物茎葉乾燥物の粉砕も、上記(I)に記載する方法および条件を同様に用いることができる。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、実験例および実施例を記載する。但し本発明は、これらの実験例等に何ら影響されるものではない。
実験例1 植物茎葉乾燥物の調製、およびそれに含まれる脂肪酸とロスマリン酸の含有量の評価(生葉使用)
(1)植物茎葉乾燥物の調製
乾燥に供する原料植物茎葉として、エゴマの生葉(葉身)を使用した。
エゴマの生葉(葉身)25gを洗浄後、水分を取り除き、これをそれぞれ下記(a)及び(b)の二通りの乾燥工程に供して、水分含量が10%以下になるまで乾燥処理をおこなった。
(a)温風乾燥:50℃で温風乾燥(所要時間:10時間)
(b)減圧マイクロ波照射乾燥:室温(20〜25℃)、減圧下(30Torr)でマイクロ波出力640Wでマイクロ波照射(所要時間:6分間)。
また対照実験1として、上記エゴマの生葉(葉身)25gを下記の条件で凍結乾燥に供した。生葉を凍結乾燥することにより、植物茎葉中の脂肪酸とロスマリン酸の含量はほとんど低下しないと考えられる。このことから、当該凍結乾燥処理によって得られる乾燥物(対照品1)中の脂肪酸とロスマリン酸の含量を原料含量相当量とした。
<凍結乾燥>
エゴマの生葉(葉身)を−30℃で一昼夜冷凍した後、0.05Torr前後の真空度で72時間凍結乾燥。
(2)水分含量、脂肪酸含量およびロスマリン酸含量の測定
得られた各乾燥物について、各種脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)の含量、ロスマリン酸含量および水分含量を下記の方法に従って、測定した。
(A)各脂肪酸含量の測定方法
乾燥物0.5gにクロロホルム:メタノール=2:1(v/v) 液20mL加え、ポリトロン式ホモジナイザーで1分間磨砕した後、2,000rpmで10分間遠心する。得られた上清100μLを共栓付き試験管に量り取り、100μg/mLのTCAを100μL、およびメタノール2mLを加えて冷却した後、塩化アセチル200μLを加えて100℃で1時間加熱する。冷却した後、オクタン400μLおよび10%(w/v)食塩水に溶解した0.5N 水酸化ナトリウム溶液5mL加え、10分間激しく振とうする。次いで2,500rpmで10分間遠心後、得られる上層(オクタン層)をガスクロマトグラフ(GC)用バイアル瓶に分注し、以下のGC分析に供して、脂肪酸含量を測定する。
<GC分析条件>
カラム:DB-WAX(0.25mm×30m,J&W Scientific製)
カラム温度:100℃(1分保持) → 20℃/分で昇温 → 180℃ → 2℃/分で昇温 → 240℃ → 4℃/分で昇温 → 260℃(5分保持)
検出器:FID
検出器温度:260℃
試料気化室温度:260℃
試料注入量:1μL。
(B)ロスマリン酸含量の測定方法
粉末状にした乾燥物0.4gに80容量%メタノール水溶液を50mL加え、80℃での還流抽出を1時間行った後、80容量%のメタノール水溶液により100mLに定容する。この抽出液を0.45μmのフィルタでろ過した後、下記条件の高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析に供する。
<HPLC分析条件>
カラム:Shim-pack XR-ODS(4.6×100mm,(株)島津製作所製)
カラム温度:40℃
溶離液:水/アセトニトリル=80/20〜20/80(0.2% ギ酸を含む)のグラジエント溶出
流速:1mL/分
検出器:UV280nm
試料注入量:10μL。
(C)水分含量の測定方法
あらかじめ恒量になった秤量皿に、乾燥物0.5gを採取して精秤する。105℃の乾燥器で乾燥した後、デシケーターに移して放冷し、重量を測定する。恒量になるまで乾燥(2〜4時間)し、放冷、重量測定を繰り返し、元の試料と乾燥後の試料の重量の差から元試料の水分含量を算出する。
結果を表1に示す。表中、( )内の記載は、対照品1(凍結乾燥品)の各種脂肪酸含量(原料含量相当量)およびロスマリン酸含量(原料含量相当量)を100とした場合の、(a)温風乾燥物および(b)減圧マイクロ波乾燥物中に含まれる対応成分の割合(相対比)を示す。
Figure 0005644991
この結果からわかるように、エゴマの生葉(原料)を温風乾燥すると、α−リノレン酸の収率が70%まで低下したが、減圧下でマイクロ波照射して乾燥することにより、エゴマの生葉(原料)に元来含まれるα−リノレン酸量をほぼ維持した状態で(高含量のままで)、乾燥物を調製することができた。
また、ロスマリン酸も同様に、エゴマの生葉(原料)を熱風乾燥すると、その量は36%まで低下したが、減圧下でマイクロ波照射して乾燥することにより、72%もの高い割合でロスマリン酸を含む乾燥物を調製することができた。
このことから、減圧マイクロ波照射による乾燥処理は、α−リノレン酸およびロスマリン酸を高い割合(高収率)で含む植物茎葉の乾燥物調製方法として有効であることが判明した。なお、茎葉中に、α−リノレン酸やロスマリン酸を高い割合で含む植物としては、上記エゴマのほか、アマ、チアおよびバジルを挙げることができる。
実験例2 植物茎葉乾燥物の調製、およびそれに含まれる脂肪酸とロスマリン酸の含有量の評価(冷凍解凍葉使用)
(1)植物茎葉乾燥物の調製
乾燥に供する原料植物茎葉として、エゴマの生葉(葉身)を使用した。
エゴマの生葉(葉身)25gを一旦、−30℃で一昼夜かけて冷凍した後、12時間かけて5℃の冷蔵庫中で解凍し、これをそれぞれ下記(a)および(b)の二通りの乾燥工程に供して、水分含量が10%以下になるまで乾燥処理をおこなった。
(a)温風乾燥:50℃で温風乾燥(所要時間:10時間)
(b)減圧マイクロ波照射乾燥:室温(20〜25℃)、減圧下(30Torr)でマイクロ波出力640Wでマイクロ波照射(所要時間:6分間)。
また対照実験2として、上記エゴマの生葉(葉身)25gを上記と同様にして冷凍解凍し、得られた冷凍解凍物を、実験例1に記載する対照実験1と同じ条件で凍結乾燥して乾燥物(対照品2)を調製した。
得られた各乾燥物について、各種の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)の含量、ロスマリン酸含量、および水分含量を、実験例1と同様の方法に従って、測定した。
結果を表2に示す。表中、( )内の記載は、上記実験例1で調製した対照品1の各種脂肪酸含量(原料含量相当量)およびロスマリン酸含量(原料含量相当量)を100とした場合の、対照品2(凍結乾燥物)、温風乾燥物および減圧マイクロ波乾燥物中に含まれる対応成分の割合(相対比)を示す。
Figure 0005644991
この結果からわかるように、エゴマ葉の冷凍解凍物を温風乾燥すると、α−リノレン酸の量は原料含量相当量(対照品1)の28%まで低下したが、減圧下でマイクロ波照射して乾燥することにより、凍結乾燥(対照品2)と同様に、エゴマの生葉(原料)に元来含まれるα−リノレン酸量(原料含量相当量:対照品1)を高い割合で維持した状態で(高含量のままで)、エゴマ葉の乾燥物を調製することができた。
ロスマリン酸については、エゴマ葉の冷凍解凍物を温風乾燥処理すると0.5%以下まで、また凍結乾燥処理すると8%以下まで、その含量は著しく低下したが、減圧下でマイクロ波照射して乾燥することにより、50%以上もの高い割合でロスマリン酸含量が維持でき、ロスマリン酸を高濃度含むエゴマ葉の乾燥物を調製することができた。
このことから、冷凍保存された植物茎葉を原料として使用する場合も、減圧マイクロ波照射による乾燥処理は、α−リノレン酸やロスマリン酸を高い割合(高量)で含む植物茎葉(エゴマのほか、例えばアマ、チアおよびバジルなど)の乾燥物調製方法として有効であることが判明した。
実験例3 乾燥前のブランチング処理の影響評価
(A)予備実験
(1)エゴマの生葉(葉身)100gを、洗浄後、95℃〜100℃の蒸気雰囲気中で2分間蒸煮し、次いでこれを風冷し品温を30〜35℃まで冷却した。得られたブランチング処理葉を、対照品1および2の調製に使用した条件と同じ条件で凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物(対照品3)に含まれる各種の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)の量およびロスマリン酸の量を、実験例1に記載する方法に従って測定した。
(2) エゴマの生の葉(葉身)100gを、洗浄後、95℃〜100℃の蒸気雰囲気中で2分間蒸煮し、次いでこれを風冷し品温を30〜35℃まで冷却した。得られたブランチング処理葉を、一旦、−30℃で一昼夜かけて冷凍した後、12時間かけて5℃の冷蔵庫中で解凍した。次いで得られた解凍物を、上記と同じ条件で凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物(対照品4)に含まれる各種の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)の量およびロスマリン酸の量を、実験例1に記載する方法に従って測定した。
(3)結果を表3に示す。表中、( )内の記載は、上記実験例1で調製した対照品1の各種脂肪酸含量(原料含量相当量)およびロスマリン酸含量(原料含量相当量)を100とした場合の、対照品3(ブランチング処理→凍結乾燥)および対照品4(ブランチング処理→冷凍解凍→凍結乾燥)に含まれる対応成分の割合(相対比)を示す。
Figure 0005644991
上記の結果からわかるように、生葉のブランチング処理は、α−リノレン酸含量およびロスマリン酸含量に影響しないことが確認された。
前述する実験例2に示すように、生葉を、一旦冷凍解凍した後に、凍結乾燥処理すると、α−リノレン酸含量は87%まで、またロスマリン酸含量は8%まで低下した(表2参照)。これに対して、表3に示すように、生葉を一旦ブランチング処理すると、その後に冷凍処理および解凍処理しても、α−リノレン酸含量およびロスマリン酸含量は低下せず、当初の含有量が高いまま維持されることが確認された。このことから、乾燥処理前のブランチング処理は、α−リノレン酸含量およびロスマリン酸含量を高濃度に保持した乾燥物を得るうえで有効な方法であると考えられた。
(B)本実験
(1)(A)の予備実験において、エゴマ生葉を一旦ブランチング処理すると、その後に冷凍処理および解凍処理しても、α−リノレン酸含量およびロスマリン酸含量が低下しないことが確認された。このことから、エゴマ生葉を一旦ブランチング処理した後に、当該処理葉に対して、実験例2の実験を追試し(ブランチング処理→冷凍解凍処理→減圧マイクロ波乾燥処理)、ロスマリン酸含量を測定した。
具体的には、エゴマの生葉(葉身)25gを、洗浄後、95℃〜100℃の蒸気雰囲気中で2分間蒸煮(ブランチング処理)し、次いでこれを風冷し品温を30〜35℃まで冷却した。得られたブランチング処理葉を、一旦、−30℃で一昼夜かけて冷凍した後、12時間かけて5℃の冷蔵庫中で解凍した。次いで得られた解凍物に対して、水分含量が10%以下になるように、実験例2と同じ条件で減圧下でマイクロ波照射による乾燥処理をおこなった。
(2)得られた乾燥物について、ロスマリン酸含量、および水分含量を、実験例1と同様の方法に従って測定した。
結果を、上記実験例1で調製した対照品1および実験例3(A)予備実験で調製した対照品4の結果と併せて、表4に示す。表中、( )内の記載は、対照品1のロスマリン酸含量(原料含量相当量)を100とした場合の、対照品4(ブランチング処理→冷凍解凍→凍結乾燥)、および減圧マイクロ波照射乾燥物(ブランチング処理→冷凍解凍→減圧マイクロ波照射乾燥)中に含まれる対応成分の割合(相対比)を示す。
Figure 0005644991
この結果からわかるように、エゴマ葉(生葉)を、一旦ブランチング処理すると、その後に冷凍解凍した場合でも、減圧下でマイクロ波照射して乾燥することにより、凍結乾燥(対照品4)と同様に、エゴマの生葉(原料)に元来含まれるロスマリン酸量(原料含量相当量:対照品1)を高い割合で維持した状態で(高含量のままで)、エゴマ葉の乾燥物を調製することができた。エゴマ葉(生葉)を、そのまま減圧マイクロ波照射して乾燥した場合のロスマリン酸の残存量(72%)(実験例1参照)およびエゴマ葉(生葉)を一旦冷凍解凍した後に減圧マイクロ波照射して乾燥した場合のロスマリン酸の残存量(55%)(実験例2参照)に比して、生葉を一旦ブランチング処理すると、はるかに多くのロスマリン酸量が残存することが判明した。
このことから、植物茎葉を減圧マイクロ波照射して乾燥する場合、予め生葉をブランチング処理しておくことが、ロスマリン酸を高い割合で含む植物茎葉乾燥物の調製に有効であると考えられる。特に、減圧マイクロ波照射乾燥する原料として、冷凍保存した植物茎葉を使用する場合、冷凍前に予め生葉をブランチング処理することによって、冷凍解凍処理によるロスマリン酸含量の低下が有意に抑制でき、ロスマリン酸を高い割合で含む植物茎葉乾燥物を調製することができる。
実験例4 乾燥エゴマ葉の可溶性ポリフェノール含量とDPPHラジカル捕捉活性(抗酸化活性)
表5に示す各種の方法で調製したエゴマ葉乾燥物について、可溶性ポリフェノール含量と抗酸化活性の指標としてDPPHラジカル捕捉活性を測定した。
Figure 0005644991
なお、上記表に記載する各種の処理(凍結乾燥、温風乾燥、減圧マイクロ波乾燥、冷凍・解凍、およびブランチング)の条件は、いずれも実験例1〜3に記載の条件を採用した。
<可溶性ポリフェノール含量の測定>
エゴマ葉乾燥物の可溶性ポリフェノール含量は、Folin-Ciocalteu法で測定した。すなわち、エゴマ葉乾燥物抽出液(エゴマ葉乾燥物を70容量%含水エタノールで一晩抽出した後、遠心分離し、得られた上清)を段階希釈し、その80μLに、水で5倍希釈したフェノール試薬と10 %炭酸ナトリウム水溶液をそれぞれ80μL加え60分間放置した後、分光光度計で650 nmの吸光度を測定した。この測定値から、エゴマ葉乾燥物1gあたりの可溶性ポリフェノール量を没食子酸相当量として算出した。
<DPPHラジカル捕捉活性の測定>
抗酸化活性は、安定なラジカルであるDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)を用い、DPPHラジカルの捕捉活性を求めることにより評価した。DPPHラジカル捕捉活性は、DPPH溶液にエゴマ葉乾燥物抽出液(エゴマ葉乾燥物を70容量%含水エタノールで一晩抽出した後、遠心分離し、得られた上清)を加えた前後での520nmの吸光度の変化(DPPHの紫色の退色度合)を測定することにより求め、エゴマ葉乾燥物1gあたりのトロロックス(Trolox)相当量として算出した。
結果を表6に示す。表6において( )内の記載は、生葉を凍結乾燥して調製した(1)凍結乾燥物を対照品とし、この可溶性ポリフェノール含量およびDPPHラジカル捕捉活性をそれぞれ100とした場合の、各サンプル((2)〜(9))の相対値を示す。
Figure 0005644991
これからわかるように、エゴマの生葉を温風乾燥した場合((2))は、可溶性ポリフェノール残存量が対照品(1)の40%まで低下した。これに対して、減圧マイクロ波照射乾燥を行った場合は、可溶性ポリフェノール含量は比較的良好に保持されていた((3)、62%)。生葉を冷凍解凍処理することにより、可溶性ポリフェノール残存量は29%にまで減少した((4))。また冷凍解凍後、温風処理すると更に可溶性ポリフェノール残存量は19%まで減少した。これに対して、冷凍解凍後、減圧マイクロ波照射乾燥を行った場合は、可溶性ポリフェノール含量の低下は有意に抑制されていた((6)、48%)。
かかる冷凍解凍処理による可溶性ポリフェノール残存量の低下は、生葉を冷凍する前にブランチング処理することで解消するどころか、むしろ可溶性ポリフェノールの含有量が著しく増加することが確認された((7)〜(9))。また、DPPHラジカル捕捉活性は、可溶性ポリフェノール含量をよく反映していることが確認された。
実験例5 ペリラケトンへのブランチング処理の影響評価
エゴマの茎葉には、ペリラケトンが含まれている。当該ペリラケトンは大量に摂取すると肺気腫を起こすことが指摘されている。そこで、ここではブランチング処理によるペリラケトンの除去効果を調べた。
(1)試験方法
エゴマの生葉100gを、洗浄後、(a)95〜100℃の蒸気雰囲気中で2分蒸煮、あるいは(b)80〜100℃の熱水中に5分間浸漬したのち、これらを風冷し品温を30〜35℃まで冷却した。得られたブランチング処理葉を実験例3の条件に従って凍結乾燥し、得られた乾燥物に含まれるペリラケトンを下記の方法に従って測定した。(a)の処理品を「蒸気2分処理品」、(b)の処理品を「熱水5分処理品」とした。対照品としてブランチングを行なわず、エゴマ生葉を直接凍結乾燥した乾燥物を調製したものを用い、同様にペリラケトンの含量を測定した。
(2)ペリラケトン測定方法
乾燥物0.4gに供栓試験管にはかり取り、10mlのジエチルエーテルを加え、振盪・混和した後、超音波処理による抽出を30分間行った。内部標準物質として各区にl-メントールを1.25mg加えた。抽出液を3000rpmで5分間遠心分離し、上清1μlをキャピラリーガスクロマトグラフィーによる分析に供試した。
<GC分析条件>
カラム:TC-1701(0.25mm×60m, GL Sciences製)
カラム温度:150℃(10分保持)→10℃/分で昇温→250℃(10分保持)
検出器:FID
検出器温度:250℃
試料気化室温度:220℃
試料注入量:1μl。
結果を表7に示す。内部標準物質として添加したl-メントールのピーク面積を元にペリラケトンのピーク面積を補正し、エゴマの生の葉に含まれるペリラケトン含量を100としたときの相対値を表す。
Figure 0005644991
この結果からわかるように、ブランチングとして蒸気による2分蒸煮あるいは熱水中への5分浸漬を行うことでエゴマの茎葉に含まれているペリラケトンを除去することができる。従って、肺気腫の危険性を有するペリラケトンを除去するうえでも、マイクロ波減圧乾燥処理前に、予め生の植物茎葉をブランチング処理することが好ましい。
実験例6 減圧マイクロ波乾燥の条件
エゴマの生葉(葉身)25gを洗浄後、水分を取り除き、これをそれぞれ下記(a)〜(c)の三通りの乾燥工程に供した。
(a) 室温(20〜25℃)、減圧(30Torr)条件下で、320Wのマイクロ波を11分間照射、
(b) 室温(20〜25℃)、減圧(30Torr)条件下で、640Wのマイクロ波を6分間照射、
(c) 室温(20〜25℃)、減圧(30Torr)条件下で、960Wのマイクロ波を4分間照射。
得られた乾燥物について、実験例1に記載する方法に従って各種の各脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)とロスマリン酸の含量を測定した。
また対照実験として、エゴマの生葉(葉身)25gを凍結乾燥し、その乾燥物(対照品)に含まれる各種の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びα−リノレン酸)の量およびロスマリン酸の量を、上記の方法に従って測定し、これらをそれぞれエゴマの生葉(原料)に元来含まれる各種脂肪酸含量(原料含量相当量)およびロスマリン酸含量(原料含量相当量)とした。なお、凍結乾燥は、実施例1に記載の条件を採用した。結果を表8に示す。
Figure 0005644991
この結果からわかるように、いずれの条件の減圧マイクロ波照射を用いてもほぼ同様に、高い割合でα−リノレン酸およびロスマリン含有量が維持されることが確認できた。なかでも、高い出力のマイクロ波を用いて短時間で処理するほうが、α−リノレン酸およびロスマリン含有量の維持に効果的であった。
実施例1
茎葉にα−リノレン酸およびロスマリン酸を多く含む植物として、エゴマを用いて、下記の方法により植物茎葉乾燥粉末を調製した。
エゴマの生葉約200kgを85℃の熱水に2分間浸漬(ブランチング処理)し、次いでこれに冷却水をかけて品温を30〜35℃まで冷却した。得られたブランチング処理葉を−20℃で一昼夜かけて冷凍し、冷凍状態(−20℃)で1ヶ月保存した。保存後、12時間かけて5℃の冷蔵庫で解凍した。
次いで、得られた解凍物のうち、6.24kgを、減圧(30Torr)下、マイクロ波出力26.65kWで17分間マイクロ波照射して水分含量が10%以下になるように乾燥した。残りの解凍物についても、同条件で減圧マイクロ照射を繰り返して乾燥し、18.75kgの乾燥物を得た。
次いで得られた乾燥物18.75kgを、カッターミル、次いでジェットミルで粉砕し、200メッシュの篩で選別した。回収した200メッシュ篩下(粒径75μm以下)の粉末をアルミパウチに分包し、エゴマ葉乾燥粉末製品を調製した。
実施例2〜4
α−リノレン酸やロスマリン酸を多く含む植物として、エゴマの生葉に代えてアマの生葉、チアの生葉およびバジルの生葉を用いて、実施例1と同様にしてアマ葉乾燥粉末製品(実施例2)、チア葉乾燥粉末製品(実施例3)およびバジル葉乾燥粉末製品(実施例4)を調製する。

Claims (4)

  1. (1)エゴマの茎葉を減圧下でマイクロ波照射して乾燥する工程、および
    (2)得られた乾燥物を粉砕する工程を有する、
    エゴマ茎葉乾燥粉末の製造方法であって、
    上記エゴマの茎葉が、生の茎葉をブランチング処理後に冷凍後解凍したものであることを特徴とするエゴマ茎葉乾燥粉末の製造方法。
  2. ブランチング処理を、アルカリ性のブランチング溶液又は食塩水を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載する製造方法。
  3. (1)の乾燥工程が、5〜150Torrの条件下で、エゴマ茎葉1kgに対して、2,450±50MHzのマイクロ波を30〜200kW・min の割合で照射する工程である、請求項1又は2に記載する製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載する方法によって得られるエゴマの茎葉乾燥粉末。
JP2009131492A 2009-05-29 2009-05-29 α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。 Expired - Fee Related JP5644991B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009131492A JP5644991B2 (ja) 2009-05-29 2009-05-29 α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009131492A JP5644991B2 (ja) 2009-05-29 2009-05-29 α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010273650A JP2010273650A (ja) 2010-12-09
JP5644991B2 true JP5644991B2 (ja) 2014-12-24

Family

ID=43421204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009131492A Expired - Fee Related JP5644991B2 (ja) 2009-05-29 2009-05-29 α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5644991B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101805259B1 (ko) * 2015-08-26 2017-12-06 성민규 들깨껍질을 이용한 오메가-3 지방산이 함유된 추출물

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013051908A (ja) * 2011-09-02 2013-03-21 Fukui Prefecture シソ科植物の加熱処理方法
CN102987524B (zh) * 2012-12-06 2013-12-11 江南大学 一种用于颗粒状调理食品的脉冲喷动微波冻干装置及均匀化高效加工方法
JP6153219B2 (ja) * 2013-04-15 2017-06-28 島根県 エゴマの乳化・懸濁液の製造方法
WO2015030346A1 (ko) * 2013-08-29 2015-03-05 주식회사 이랩 신속 김치재료 숨죽임방법과 신속 저염김치 제조방법 및 제조시스템
KR101567415B1 (ko) 2013-12-03 2015-11-09 주식회사 이랩 김치 재료의 신속 숨죽임방법
CN103859411B (zh) * 2014-03-27 2015-11-04 上海韬鸿化工科技有限公司 减肥保健食品
KR101590588B1 (ko) 2015-03-02 2016-02-02 중앙대학교 산학협력단 들기름 내 리놀렌산의 분리정제방법
JP7370123B2 (ja) * 2018-02-27 2023-10-27 四国計測工業株式会社 生の植物の特有の機能性成分を増加させるマイクロ波照射方法およびそのための装置
JP6956966B2 (ja) * 2019-08-30 2021-11-02 マイクロ波化学株式会社 焙煎カカオ豆、および生カカオ豆の焙煎方法
WO2023176977A1 (ja) * 2022-03-18 2023-09-21 花王株式会社 シソ科植物熱水抽出物の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0269140A (ja) * 1988-09-01 1990-03-08 Hanamoto Kensetsu Kk 大根カブの茎葉を原料とした乾燥粉末食品の製造方法
JP2002360184A (ja) * 2001-06-06 2002-12-17 Harumi Okuyama アレルギー体質改善用動物性食品
WO2007007781A1 (ja) * 2005-07-12 2007-01-18 Japan Science And Technology Agency ブルーベリー葉の加工処理物の新規用途
JP2007252340A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Toyo Shinyaku:Kk 緑色植物の乾燥緑葉粉末の製造方法
JP5088817B2 (ja) * 2007-09-03 2012-12-05 ハウスウェルネスフーズ株式会社 乳酸菌とシソ科の植物とを含む組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101805259B1 (ko) * 2015-08-26 2017-12-06 성민규 들깨껍질을 이용한 오메가-3 지방산이 함유된 추출물

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010273650A (ja) 2010-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5644991B2 (ja) α−リノレン酸およびロスマリン酸を高度に保持した植物茎葉乾燥粉末の製造方法。
Magied et al. Hypoglycemic and hypocholesterolemia effects of intragastric administration of dried red chili pepper (Capsicum annum) in alloxan-induced diabetic male albino rats fed with high-fat-diet
KR101715320B1 (ko) 반건조 조미 전복육의 제조방법
KR101595903B1 (ko) 고구마말랭이 제조방법 및 이에 제조된 고구마말랭이
JP2006008665A (ja) 甘藷茎葉の抽出物
ALI Effect of food processing methods on the bioactive compound of cauliflower
CN108450825A (zh) 一种速溶真空冷冻干燥洋葱粉的加工工艺
JP2006306851A (ja) 健康食品
KR101430213B1 (ko) 방풍이 함유된 오징어 젓갈 및 이의 제조방법
KR101731193B1 (ko) 품질의 유지가 우수한 가자미 밥 식해 제조방법
JP2010162008A (ja) 豆類の皮を原料とする食品およびその食品材料の製造方法
KR101441323B1 (ko) 토란가공물 및 이를 이용한 토란건강식품
KR20170025299A (ko) 수용성 비트 분말의 제조방법
KR101727075B1 (ko) 조미 김의 제조방법
KR101764307B1 (ko) 연 성분이 함유된 기능성 소금 제조방법
KR101929338B1 (ko) 항산화 활성이 우수한 팝핑 화분의 제조방법
KR101793699B1 (ko) 개소겡 볶음 고추장의 제조방법
JPH06141813A (ja) にがうり茶等のにがうり加工食品及びその製造方法
JP2015047138A (ja) 酸性調味料用玉葱加工品の製造方法及び該製造方法により得られた酸性調味料用玉葱加工品を含有する酸性調味料
JP2008208030A (ja) 肝中脂質蓄積抑制剤
KR102077585B1 (ko) 아마씨를 이용한 떡갈비 및 이의 제조방법
JP2006306852A (ja) 抗肥満剤
KR101111288B1 (ko) 기능성 고추장 및 그 제조방법
KR101947889B1 (ko) 꽃송이버섯 추출물을 함유하는 쌀눈의 제조방법 및 이를 이용하여 제조한 꽃송이버섯 추출물을 함유하는 쌀눈
KR20160130111A (ko) 강황이 함유된 식용유 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130321

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130326

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140930

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5644991

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees