JP5617937B2 - 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5617937B2
JP5617937B2 JP2012556938A JP2012556938A JP5617937B2 JP 5617937 B2 JP5617937 B2 JP 5617937B2 JP 2012556938 A JP2012556938 A JP 2012556938A JP 2012556938 A JP2012556938 A JP 2012556938A JP 5617937 B2 JP5617937 B2 JP 5617937B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
torque
sensor
assist
control amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012556938A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012108525A1 (ja
Inventor
英則 板本
英則 板本
伊藤 彰
彰 伊藤
益 啓純
啓純 益
中曽根源平
源平 中曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2012556938A priority Critical patent/JP5617937B2/ja
Publication of JPWO2012108525A1 publication Critical patent/JPWO2012108525A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5617937B2 publication Critical patent/JP5617937B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/0481Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such monitoring the steering system, e.g. failures
    • B62D5/049Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such monitoring the steering system, e.g. failures detecting sensor failures
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/0481Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such monitoring the steering system, e.g. failures
    • B62D5/0484Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such monitoring the steering system, e.g. failures for reaction to failures, e.g. limp home

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置に関する。
通常、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)は、モータの回転角を検出するモータ回転角センサや操舵トルクを検出するトルクセンサを備えている。トルクセンサは、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づきセンサ信号を出力する回転センサにより構成されている。EPSの制御装置は、センサ信号に基づきアシスト力を操舵系に付与すべくモータを制御する。このため、EPSにおける重要な課題の一つとして、モータ回転角や操舵トルクを安定的にかつ精度良く検出することが挙げられる。
特許文献1には、非接触式の磁気検出素子をセンサ素子に用いることにより、トルクセンサから電気的な接触部を無くして、トルクセンサの信頼性を向上させるための構成が開示されている。この構成により、トルクセンサの大型化を招くことなく、容易にセンサ素子数を増やすことができる。また、センサ信号の多重化により、操舵トルクの検出精度も向上する。また、一方のセンサ素子が故障した場合、残りのセンサ素子において生成されるセンサ信号に基づき操舵トルクを検出してアシスト力の付与を継続すること(アシスト継続制御)もできる。
特許文献2には、複数系統のセンサ信号のうちいずれかのセンサ信号が異常となった場合、より高精度に、故障したセンサ素子を特定する方法が開示されている。故障したセンサ素子を特定することにより、EPSのアシスト継続制御が可能な状況を拡張することができる。
しかしながら、センサ信号の多重化による利益を享受するためには、当然ながら、少なくとも二つのセンサ信号が必要である。また、特に、磁気式のセンサ素子には、温度特性にばらつきがあることから、高精度の検出には、複数のセンサ信号を用いた補正処理が不可欠である。このため、従来、特許文献2に記載されるように、残るセンサ信号が一つになった後のアシスト継続制御は、速やかにアシスト力の付与を停止すべく、残りのセンサ信号を用いてアシスト力を漸減(漸次低減)するしかなかった。
特開2003−149062号公報 特開2000−185657号公報
本発明の目的は、残るセンサ信号が一つになった場合においても、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、電動パワーステアリング装置が提供される。電動パワーステアリング装置は、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、モータ又は操舵系の一部を構成し、モータの回転に伴い回転する回転体と、回転体の回転に基づきセンサ信号を出力する回転センサと、センサ信号に基づきアシスト力を発生させるべく操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、センサ信号の異常を検出する異常検出手段とを備え、制御手段は、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべく操舵力補助装置の作動を制御し、異常検出手段は、瞬発的なモータトルクの印加がセンサ信号に反映されない場合、センサ信号の異常を検出する。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの印加により、操舵系を構成する回転体に回転を生じさせることで、センサ信号が変化するタイミング及び変化方向を当然に予想し得る状況を作り出すことができる。そして、このような状況下において、センサ信号の変化を監視することにより、センサ信号が明らかに異常な値を示す以前の段階で、早期に、異常を検出することができる。その結果、一方のセンサ信号を使用して操舵力補助装置の作動を制御する場合、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。特に、このような瞬発的なモータトルクの印加及びその反映に基づくセンサ信号の異常検出は、センサ信号を出力する複数の出力要素のうち故障の検出されていない残りの出力要素が出力する残存センサ信号を用いてアシスト力の付与を継続する構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。また、一方のセンサ信号に基づくアシスト力の付与を実行する構成に適用した場合、信頼性が更に向上する。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、瞬発的なモータトルクを操舵系に対して正負交互に印加することが好ましい。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクを操舵系に正負交互に印加することにより、大きな操舵トルクを要することなく、回転体に捩れを生じさせることができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、回転センサは、ステアリングシャフトの途中に設けられた回転体としてのトーションバーの捩れに基づきセンサ信号を出力するトルクセンサであり、電動パワーステアリング装置は、センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段を備え、制御手段は、トルク検出手段により検出される操舵トルクの絶対値が所定値以下の場合、アシスト力の付与とは関係なく、瞬発的なモータトルクを操舵系に正負交互に印加し、トルク検出手段により検出される操舵トルクの絶対値が所定値より大きい場合、アシスト力の付与方向に、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべく操舵力補助装置の作動を制御することが好ましい。
この構成によれば、操舵トルクの絶対値が所定値以下の場合、アシスト力の付与とは関係なく、瞬発的なモータトルクを操舵系に正負交互に印加する。これにより、大きな操舵トルクを要することなく、ステアリングシャフトに設けられたトーションバーに捩れを生じさせることができる。一方、操舵トルクの絶対値が所定値より大きい場合、アシスト力の付与方向に、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する。これにより、大きくなりすぎた操舵トルクを早めに下げるため、操舵トルクのレンジオーバーによる誤検出を防ぐことができると共に、操舵フィーリングが向上する。これにより、センサ信号が変化するタイミング及び変化方向を当然に予想し得る状況を作り出し、このような状況下にてトルクセンサのセンサ信号の変化を監視することによって、早期に、異常を検出することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、瞬発的なモータトルクの印加がセンサ信号に反映される前後においてセンサ信号に基づく値の変化量を演算するとともに、変化量の大きさに基づき瞬発的なモータトルクの大きさを変更することが好ましい。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの印加が反映される前のセンサ信号に基づく値と、反映された後のセンサ信号に基づく値との変化量を演算する。そして、演算されたセンサ信号の値の変化量の大きさに基づき、瞬発的なモータトルクを変更する。これにより、適切な大きさの瞬発的なモータトルクを印加することができ、安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、変化量の絶対値が大きくなるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸減することが好ましい。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの印加が反映される前後におけるセンサ信号の変化量を略一定にできるため、回転センサが正常にもかかわらず異常と判断する誤検出や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、変化量の絶対値が第1の基準値以内のとき、次回印加する瞬発的なモータトルクの大きさを所定量大きくし、変化量の絶対値が第1の基準値よりも大きな第2の基準値以上のとき、次回印加する瞬発的なモータトルクの大きさを所定量小さくすることが好ましい。
この構成によれば、変化量の絶対値と第1および第2の基準値との比較に基づき変化量の大きさを判定し、変化量の大きさに基づき瞬発的なモータトルク値を変更する。これにより、変化量の絶対値が第1の基準値と第2の基準値との間の大きさに維持されるよう最適な瞬発的なモータトルク値を印加できる。したがって、誤判定の発生を抑えて、より安定的に、アシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、回転センサは、センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、制御手段は、異常検出手段により故障の検出されていない出力要素が残り一つになった場合、アシスト力を低減することが好ましい。
この構成によれば、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力を継続して操舵系に付与する際、付与するアシスト力を低減させる。これにより、運転者にとって通常よりも大きな操舵トルクがステアリングの操舵に必要となるため、運転者は、回転センサの故障を早期に知ることができる。また、残存出力要素が一つになった後、操舵系に付与するアシスト力を低減させるため、更に残存出力要素が故障した場合のアシストトルクの変化を小さく抑えることができる。その結果、急激な操舵フィーリングの劣化を防止することができる。したがって、残存出力要素が一つになった後、操舵系に付与するアシスト力を低減することにより、好適な操舵性能を提供することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、車速を検出する車速センサを備え、回転センサは、センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、制御手段は、車速が小さいほど大きなアシスト力を発生させるべく操舵力補助装置の作動を制御し、制御手段は、異常検出手段により故障の検出されていない出力要素が残り一つになった場合、車速を、車速センサによって検出される車速ではなく予め記憶された高車速相当値に固定することが好ましい。
この構成によれば、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力を継続して操舵系に付与する際、付与するアシスト力を高車速相当値に応じた値に固定する。これにより、操舵系に付与されるアシスト力が低く抑えられるため、運転者にとって通常よりも大きな操舵トルクがステアリングの操舵に必要となる。したがって、運転者は、回転センサの故障を早期に知ることができる。また、残存出力要素が一つになった後、操舵系に付与するアシスト力を高車速相当値に応じた値に固定するため、更に残存出力要素が故障した場合のアシストトルクの変化を小さく抑えることができる。その結果、急激な操舵フィーリングの劣化を防止することができる。したがって、残存出力要素が一つになった後、操舵系に付与されるアシスト力を高車速相当値に固定することにより、好適な操舵性能を提供することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、ステアリングに生じた操舵角を検出するステアリングセンサと、操舵角を微分することにより操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段とを有し、制御手段は、操舵角と操舵角速度の符号が異なる場合、アシスト力の大きさを零とすることが好ましい。
この構成によれば、ステアリングセンサにより検出される操舵角と、操舵角を微分して得られる操舵角速度に基づき、操舵角と操舵角速度の符号が異なっている場合、アシスト力が操舵系に付与されない。これにより、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続しつつ、セルフステアや逆アシストを防止することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、回転センサは、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づきセンサ信号を出力するトルクセンサであり、電動パワーステアリング装置は、センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段を備え、トルクセンサは、センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、制御手段は、操舵トルクに対応したアシスト力を発生させるための電流指令値とモータに流れる実電流との偏差に基づきモータのフィードバック制御を行い、制御手段は、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続する場合、故障の検出されていない出力要素が二つ以上残存する場合に比較して、フィードバック制御において用いるフィードバックゲインを大きくすることが好ましい。
この構成によれば、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続する場合、故障の検出されていない出力要素が残り二つ以上残存する場合に比較して、フィードバック制御手段のフィードバックゲインを大きくする。これにより、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続し、残存するトルクセンサの信頼性を向上させるために瞬発的なモータトルクの印加が生じた場合、残る出力要素からセンサ信号を応答良く出力することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、車速を検出する車速センサを備え、制御手段は、車速センサによって検出された車速に基づき瞬発的なモータトルクの大きさを変更することが好ましい。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの大きさは、車速に基づき変更される。ここで、同じ操舵トルクを与えた場合、車速によって操舵系に付与されるアシスト力が変化する。大きなアシスト力が作用している状態において瞬発的なモータトルクを印加した時の回転体の回転は、小さなアシスト力が作用している状態において同じ大きさの瞬発的なモータトルクを印加した時の回転体の回転と比較して小さくなる。回転体の回転が小さくなると、回転センサが正常であった場合でも、回転センサ異常と誤検出される可能性が大きくなる。一方、小さなアシスト力が作用している状態において必要以上に大きな瞬発的なモータトルクを印加すると回転体の回転が大きくなりすぎ、操舵フィーリングが悪化する。この点、本構成によれば、車速を変数として、車速に対応するように瞬発的なモータトルクの大きさを増加減することにより、回転体の回転を一定値にすることが可能となる。このため、回転センサが正常にもかかわらず回転センサ異常と判断する誤検出や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、車速が高速になるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸減することが好ましい。
この構成によれば、車速が高速になるほどアシスト力は小さくなる。それに応じて印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸減させるため、回転体の回転が一定値になる。このため、回転センサが正常にもかかわらず異常と判断する誤検出や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、車両に作用する横方向加速度を検出する横Gセンサを備え、制御手段は、横Gセンサによって検出された横方向加速度に基づき瞬発的なモータトルクの大きさを変更することが好ましい。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの大きさは、横方向加速度に基づき変更される。一般に、車両に作用する横方向加速度が大きくなるほど、路面から操舵系に入力される反力トルクは大きくなる。そのため、運転者は、横方向加速度が大きくなるほど、より大きな操舵トルクをステアリングに付与して操舵し、操舵系には、より大きなアシスト力が付与される。したがって、車両に作用する横方向加速度が大きい状態において瞬発的なモータトルクを印加した時の回転体の回転は、車両に作用する横方向加速度が小さい状態において同じ大きさの瞬発的なモータトルクを印加した時の回転体の回転と比較して小さくなる。回転体の回転が小さくなると、回転センサが正常であった場合でも、回転センサ異常と誤検出される可能性が大きくなる。一方、車両に作用する横方向加速度が小さい状態において必要以上に大きな瞬発的なモータトルクを印加すると、回転体の回転が大きくなりすぎて、操舵フィーリングが悪化する。この点、本構成によれば、横方向加速度を変数として、横方向加速度に対応するように瞬発的なモータトルクの大きさを増加減することにより、回転体の回転を一定値にすることが可能となる。このため、回転センサが正常にもかかわらず回転センサ異常と判断する誤検出や、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記の電動パワーステアリング装置において、制御手段は、横方向加速度が大きくなるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸増することが好ましい。
この構成によれば、横方向加速度が大きくなるほど、アシスト力は大きくなる。それに応じて瞬発的なモータトルクの大きさを漸増するため、回転体の回転が一定値になる。このため、回転センサが正常にもかかわらず異常と判断する誤検出や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第二の態様によれば、センサ異常検出装置が提供される。センサ異常検出装置は、駆動源の駆動に応じて変位する検出対象の変位に応じた信号を生成するセンサと、センサにおいて生成される信号に基づき駆動源を制御する制御装置とを備え、制御装置は、センサにおいて生成される信号の異常を検出する異常検出手段を備え、異常検出手段は、制御装置により通常の制御量に加えて瞬発的な制御量が駆動源に供給された場合に瞬発的な制御量がセンサ信号に反映されないとき、センサ信号は異常である旨判定する。
この構成によれば、本発明の第一の態様の効果に準じた効果を得ることができる。
本発明によれば、残るセンサ信号が一つになった場合においても、より安定的にアシスト力の付与を継続することが可能な電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置を提供することができる。
第1の実施の形態の電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 トルクセンサの異常発生モードに応じたパワーアシスト制御の処理手順を示すフローチャート。 残存センサ信号の異常検出の処理手順を示すフローチャート。 アシスト継続制御時における瞬発的なモータトルクの印加態様を示す説明図。 残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定の処理手順を示すフローチャート。 瞬発的なモータトルクの印加周期の変更に関する処理手順を示すフローチャート。 第2の実施の形態における残存センサ信号の異常検出に基づくアシスト力の変更の処理手順を示すフローチャート。 残存センサ信号の異常検出に基づくアシスト力の変更の態様を示す説明図。 第3の実施の形態のアシスト力に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 車速に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 第3の実施の形態の変形例における操舵角に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 操舵速度に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 車両のヨーレートに応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 車両の横方向加速度(横G)に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 第1〜第7の実施の形態の変形例における残存センサ信号の異常検出回数に応じた印加周期の変更の態様を示すグラフ。 残存センサ信号の異常検出に基づく印加周期の変更の処理手順を示すフローチャート。 第4の実施の形態におけるEPSの制御ブロック図。 車両の第1の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 車両の第2の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 車両の第3の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 基本アシスト制御量の状態判定の処理手順を示すフローチャート。 試験トルク制御量算出の処理手順を示すフローチャート。 車両の第1の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 車両の第2の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 車両の第3の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 瞬発的なモータトルクの印加時のトルクセンサの説明図。 車両の第1の仮想操舵状態における瞬発的なモータトルクの印加時のトルクセンサの説明図。 アシスト継続制御時における瞬発的なモータトルクの印加様態を示す説明図。 第5の実施の形態における車両の第1の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 車両の第2の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 車両の第3の仮想操舵状態における基本アシスト制御量及び操舵角の説明図。 基本アシスト制御量の状態判定の処理手順を示すフローチャート。 基本アシスト制御量の状態判定の処理手順を示すフローチャート。 基本アシスト制御量の状態判定の処理手順を示すフローチャート。 試験トルク制御量算出の処理手順を示すフローチャート。 車両の第1の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 車両の第2の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 車両の第3の仮想操舵状態における電流指令値及び操舵角の説明図。 第6の実施の形態のEPSの制御ブロック図。 EPSのモータ制御信号出力部の制御ブロック図。 残存センサ信号の異常検出の処理手順を示すフローチャート。 (a),(b)は、ゲインマップの概略構成図。 第7の実施の形態のEPSの制御ブロック図。 トルクセンサの異常発生モードに応じたパワーアシスト制御の処理手順を示すフローチャート。 第8の実施の形態のEPSの制御ブロック図。 車両の第1の仮想操舵状態における電流指令値、基本アシスト制御量、試験トルク制御量及び操舵トルクの説明図。 車両の第2の仮想操舵状態における電流指令値、基本アシスト制御量、試験トルク制御量及び操舵トルクの説明図。 試験トルク制御量算出の処理手順を示すフローチャート。 第9の実施の形態におけるアシスト制御部を詳細に示す制御ブロック図。 第10の実施の形態におけるアシスト制御部を詳細に示す制御ブロック図。 第11の実施の形態におけるトルク偏差の演算の処理手順を示すフローチャート。 瞬発的なモータトルクを出力する可変機能の処理手順を示すフローチャート。 第12の実施の形態のEPSの制御ブロック図。 試験トルク制御量生成部の試験トルク制御量のゲインを決定するためのマップ。 (a)は、車両のある仮想操舵状態における電流指令値、基本アシスト制御量、試験トルク制御量および操舵トルクの説明図、(b)は、車両のある仮想操舵状態における車速、および試験トルク制御量のゲインの経時的な変化を示す説明図。 第12の実施の形態の変形例における試験トルク制御量生成部の試験トルク制御量を決定するマップ。 試験トルク制御量生成部の試験トルク制御量を決定するマップ。 試験トルク制御量生成部の試験トルク制御量を決定するマップ。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
まず、EPS(電動パワーステアリング装置)の概要を説明する。
図1に示すように、EPS1において、ステアリングホイール2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4により、ラック軸5の往復直線運動に変換される。ラック軸5の直線運動は、ラック軸5の両端にそれぞれ連結されたタイロッド6,6を介して、図示しないナックルに伝達される。これにより、転舵輪7,7の舵角が変更されて、車両の進行方向が変更される。ステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、およびピニオンシャフト3cを連結して構成されている。
また、EPS1は、操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、ECU(電子制御装置)11とを備えている。EPSアクチュエータ10は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する。EPSアクチュエータ10は、いわゆるコラム型のEPSアクチュエータである。即ち、EPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12および減速機構13を備えている。モータ12は、減速機構13を介してコラムシャフト3aと連結されている。モータ12には、ブラシ付の直流モータが採用されている。EPSアクチュエータ10は、モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、モータトルク(回転力)をアシスト力として操舵系に付与する。
ECU11は、EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段として機能する。ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15、ステアリングセンサ17、および横Gセンサ20が接続されている。トルクセンサ14は、2つのセンサ素子14a,14bを備えている。コラムシャフト3aにおいて、減速機構13とステアリングホイール2との間には、トーションバー16が設けられている。2つのセンサ素子14a,14bは、トーションバー16の捩れに基づいてそれぞれセンサ信号Sa,Sbを生成する。ECU11は、トルク検出手段としても機能する。ECU11は、2つのセンサ信号Sa,Sbに基づき、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出する。
2つのセンサ素子14a,14bは、磁気検出素子である。本例では、磁気検出素子としてホールICが採用される。2つのセンサ素子14a,14bは、トーションバー16の捩れに基づき磁束変化を生ずるセンサコア(図示略)の外周に設けられる。回転軸であるステアリングシャフト3へのトルク入力によりトーションバー16が捩れると、両センサ素子14a,14bを通過する磁束が変化する。各センサ素子14a,14bは、磁束変化に応じた電圧をそれぞれ生成し、生成された電圧をセンサ信号Sa,SbとしてECU11にそれぞれ出力する。
ECU11は、トルクセンサ14、即ち、出力要素としての両センサ素子14a,14bが出力する両センサ信号Sa,Sbに基づいて、操舵トルクτを検出する。
ステアリングセンサ17は、コラムシャフト3aにおけるトルクセンサ14とステアリングホイール2との間に設けられている。ステアリングセンサ17は、コラムシャフト3aに固定された回転子18と、該回転子18の回転に伴う磁束変化を検出するセンサ素子(ホールIC)19とを備えた磁気式の回転センサである。ステアリングセンサ17は、磁束変化に伴い変動するセンサ素子19の出力電圧をセンサ信号(θs)としてECU11に出力する。ECU11は、ステアリングセンサ17からのセンサ信号に基づいて、操舵角θsを検出する。
横Gセンサ20は、車両に作用する横方向加速度(横G)を検出する。ECU11は、横Gセンサ20の出力信号に基づいて横方向加速度gを検出する。そして、ECU11は、操舵トルクτ、および車速センサ15により検出される車速Vに基づき目標アシスト力を演算し、目標アシスト力を発生させるべくモータ12の給電制御を行う。ECU11は、モータ12の給電制御により、操舵系に付与するアシスト力を制御する。
次に、ECU11の構成を説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、モータ制御信号に基づいてモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えている。また、マイコン21は、電流指令値演算部23、モータ制御信号出力部24、および操舵トルク検出部25を備えている。
操舵トルク検出部25は、トルクセンサ14にて生成される2つのセンサ信号Sa,Sbに基づいて、操舵トルクτを検出する。前述したように、トルクセンサ14は、そのセンサ素子に磁気検出素子を用いた磁気式のトルクセンサである。このため、操舵トルク検出部25は、二系統のセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理(温度特性等)を行なうことにより、高精度に操舵トルクτを検出する。
電流指令値演算部23は、EPSアクチュエータ10に発生させるべき目標アシスト力に対応した電流指令値Iを演算する。電流指令値演算部23は、操舵トルク検出部25により検出された操舵トルクτおよび車速センサ15により検出される車速Vに基づいて、目標アシスト力の基礎成分を演算する。詳述すると、電流指令値演算部23は、アシスト制御部26を備えている。アシスト制御部26は、車速感応型の三次元マップを使用して、操舵トルクτに対応したアシスト力を発生させる基礎成分として基本アシスト制御量Ias*を演算する。具体的には、アシスト制御部26は、操舵トルクτ(絶対値)が大きいほど、より大きなアシスト力が操舵系に付与されるように、より大きな値(絶対値)を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する。また、アシスト制御部26は、車速Vが小さいほど、より大きな値(絶対値)を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する。アシスト制御部26は、基本アシスト制御量Ias*をパワーアシスト制御における目標アシスト力の基礎成分として、モータ12に供給する電流指令値I*を演算する。
モータ制御信号出力部24は、電流指令値演算部23により算出された電流指令値Iに基づいて、モータ制御信号を生成する。モータ制御信号出力部24は、電流指令値演算部23により演算される電流指令値Iおよび、電流センサ27により検出されるモータ12の実電流値Iをそれぞれ取り込む。そしてモータ制御信号出力部24は、電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべく、電流フィードバック制御の実行によりモータ制御信号を生成する。
マイコン21(モータ制御信号出力部24)は、モータ制御信号を駆動回路22に出力する。駆動回路22は、モータ制御信号に基づく駆動電力をモータ12に供給する。マイコン21は、駆動回路22を介してEPSアクチュエータ10の作動を制御することにより、パワーアシスト制御を実行する。
また、マイコン21は、トルクセンサ14の異常を検出する異常検出手段としても機能する。即ち、図2に示すように、マイコン21は、異常検出部30を備えている。異常検出部30は、トルクセンサ14により生成される両センサ信号Sa,Sb、ひいてはトルクセンサ14の異常の有無を検出する。異常検出部30は、検出結果に基づき、異常検出信号Strを生成する。異常検出信号Strは、両センサ信号Sa,Sbの異常の有無、ひいては両センサ信号Sa,Sbにそれぞれ対応する両センサ素子14a,14bの故障の有無を示す情報を含む。
マイコン21は、、異常検出部30により検出されるトルクセンサ14の異常の有無、あるいは異常発生モードに応じてパワーアシスト制御を実行する。、パワーアシスト制御には、通常のパワーアシスト制御(通常制御)、アシスト停止制御、およびアシスト継続制御の3つがある。
マイコン21は、トルクセンサ14が正常、即ち、両センサ素子14a,14bのいずれも正常である場合、通常制御を実行する。マイコン21は、両センサ素子14a,14bのいずれも異常である場合、アシスト停止制御を実行する。即ち、マイコン21の電流指令値演算部23は、異常検出信号Strに基づき両センサ素子14a,14bがともに故障した旨判断される場合、電流指令値I*の出力を停止する。
マイコン21は、両センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが異常である場合、アシスト継続制御を実行する。即ち、操舵トルク検出部25は、異常検出信号Strに基づき両センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが故障した旨判断される場合、故障が発生していない他方のセンサ素子において生成されるセンサ信号(以下、「残存センサ信号」という。)を使用することにより、操舵トルクτの検出を続行する。電流指令値演算部23は、残存センサ信号を用いて検出される操舵トルクτに基づいて、電流指令値I*を演算する。そして、その電流指令値I*に基づき、パワーアシスト制御が継続して実行される。また、異常検出部30は、アシスト継続制御中である場合、フラグASFLGに0を、アシスト継続制御中でない場合、フラグASFLG(状態量を示すフラグ:メモリ)に1をそれぞれ書き込む。この場合、上記のような2つのセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理は実行されない。
ここで、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、EPS本来の機能であるアシスト力の付与とは無関係に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。そして、ECU11は、瞬発的なモータトルクの印加がアシスト継続制御の基礎となる残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常を検出する。
即ち、両センサ素子14a,14bの一方が故障した場合、残り一つとなった残存センサ信号については、他のセンサ信号との比較に基づく異常判定(検出)はできなくなる。この点を踏まえ、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加してトーションバー16に捩れを生じさせる。これにより、ECU11は、残存センサ信号が変化するタイミングおよび変化方向を当然に予想し得る状況を作り出す。そして、このような状況下において、ECU11は、残存センサ信号の変化を監視することにより、残存センサ信号が明らかに異常な値を示す以前の段階で早期に、異常を検出することができる。
電流指令値演算部23は、試験トルク制御部31を備えている。試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクを印加するための制御成分として試験トルク制御量Itt*を生成する。試験トルク制御量Itt*は、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクの印加時、その慣性によりステアリングホイール2がほとんど動かない程度に、一回当たりの出力時間が設定されている。電流指令値演算部23(加算器33)は、アシスト制御部26により生成される基本アシスト制御量Ias*に、試験トルク制御量Itt*を加算することにより、電流指令値I*を生成する。
また、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を生成する毎に、印加信号Simを生成する。印加信号Simは、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクが印加される旨を示す。異常検出部30は、印加信号Simの有無に基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出を実行する。
また、マイコン21は、タイマ32を備えている。異常検出部30は、残存センサ信号の異常を検出した場合、タイマ32を利用して最初の異常検出からの経過時間Tを計測する。また、異常検出部30は、図示しないカウンタを備え、カウンタにより、残存センサ信号の異常を検出した回数(異常検出回数n)を計測する。異常検出部30は、経過時間Tが閾値時間T0を超える前に、閾値回数n0の異常検出があった場合、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障した旨判定する。
次に、アシスト継続制御の実行時における瞬発的なモータトルクの印加状態を説明する。
図5に示すように、試験トルク制御部31は、アシスト継続制御の実行が開始されたとき(時刻t1)、実行の開始以降、試験トルク制御量Itt*を周期的にかつ符号(+または−)を交互に反転しつつ生成する。即ち、操舵系に対する瞬発的なモータトルクが周期的に印加されると共に、印加方向が交互に変更される。
また、アシスト継続制御の実行中に異常検出部30を介して残存センサ信号の異常が検出されたとき(時刻t2)、試験トルク制御部31は、異常が検出された以降、試験トルク制御量Itt*の出力周期を短縮する。即ち、異常検出後の出力周期f2は、異常検出前の出力周期f1よりも短くなる(f1>f2)。その結果、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクを印加する周期も短くなる。試験トルク制御部31は、残存センサ信号の異常を最初に検出したときから、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障が確定するまでの間、またはセンサ素子が正常である旨が確定するまでの間のみ、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くする。
次に、前述のように構成したECU11(マイコン21)によるパワーアシスト制御の処理手順を説明する。
図3に示すように、マイコン21は、その異常検出部30においてセンサ信号Sa,Sbの異常の有無を判断する(ステップ2001)。センサ信号Sa,Sbの異常検出は、センサ信号Sa,Sbの値が正常時に取り得る値から逸脱しているか否かの判定、ならびに各センサ信号Sa,Sbの値および単位時間の変化量などの比較判定に基づいて行なわれる。
マイコン21は、異常検出部30において両センサ信号Sa,Sbの少なくとも一方に異常を検出すると(ステップ2001:YES)、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに0を書き込む(ステップ2002)。
次に、マイコン21は、ステップ2001で検出した異常検出の結果に基づいて、両センサ信号Sa,Sbの出力要素である各センサ素子14a,14bの故障判定(検出)を実行する(ステップ2003)。そして、両センサ素子14a,14bの両方がともに故障したと判定される場合(ステップ2004:YES)、マイコン21は、速やかにパワーアシスト制御を停止して、フェールセーフのため、アシスト力を漸次低減するアシスト停止制御を実行する(ステップ2005)。また、試験トルク制御部31は、異常検出部30から入力される異常検出信号Strに基づき、試験トルク制御量Itt*の出力を停止する。
これに対して、ステップ2004において、両センサ信号Sa,Sbにそれぞれ対応する両センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが故障したと判定される場合(ステップ2004:NO)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに1を書き込み(ステップ2006)、アシスト継続制御を実行する(ステップ2007)。即ち、マイコン21は、故障判定されていない残りのセンサ素子により生成されるセンサ信号(残存センサ信号)に基づいて操舵トルクτを検出する。そして、マイコン21は、残存センサ信号を用いたパワーアシスト制御を継続する。
ステップ2001において、両センサ信号Sa,Sbに異常がない、即ち、両センサ信号Sa,Sbがいずれも正常である旨検出された場合(ステップ2001:NO)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに0を書き込み(ステップ2008)、通常のパワーアシスト制御を実行する(ステップ2009)。
次に、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出の処理手順を説明する。
図4に示すように、異常検出部30は、アシスト継続制御の実行を待つ(ステップ201:NO)。異常検出部30は、アシスト継続制御の実行中である旨判断したとき(ステップ201:YES)、印加信号Simの入力の有無を判断する(ステップ202)。
印加信号Simの入力がない場合(ステップ202:NO)、異常検出部30は、処理を終了する。印加信号Simの入力があった場合(ステップ202:YES)、異常検出部30は、印加信号Simに示す瞬発的なモータトルクの印加が、入力される残存センサ信号に反映されるか否かを判定する(ステップ203)。判定は、瞬発的なモータトルクの印加に対応した適当なタイミング(所定時間内)で残存センサ信号が変化するか否か、ならびに残存センサ信号の変化の方向および大きさがそれぞれ適当な値であるか否かに基づき行なわれる。
異常検出部30は、残存センサ信号に瞬発的なモータトルクの印加が反映される旨判断した場合(ステップ203:YES)、残存センサ信号は正常であると判定する(ステップ204)。残存センサ信号に瞬発的なモータトルクの印加が反映されない場合(ステップ203:NO)、異常検出部30は、残存センサ信号は異常であると判定する(ステップ205)。
ステップ205の処理において、残存センサ信号が異常である旨判定されるとき、異常検出部30は、センサ信号に対応するセンサ素子が本当に故障しているかどうかの判定処理を実行する。
次に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定の処理手順を説明する。
図6に示すように、異常検出部30は、図4のフローチャートにおけるステップ205の処理において、残存センサ信号の異常を検出すると(ステップ301:YES)、すでにその残存センサ信号に対応するセンサ素子についての故障判定中であるか否かを判定する(ステップ302)。判定は、センサ素子の故障判定中であるか否かを示す故障判定フラグがセットされているか否かに基づいて行われる。センサ素子の故障判定中である場合、故障判定フラグがセットされ、センサ素子の故障判定が行われていない場合、故障判定フラグはリセットされる。
未だ故障判定が行われていない場合(ステップ302:NO)、即ち、ステップ301における異常検出が故障判定の開始点となる最初の異常検出である場合、異常検出部30は、故障判定フラグをセットする(ステップ303)。
異常検出部30は、故障判定フラグをセットした後、タイマ32にリセット信号Sreを出力し(ステップ304)、最初の異常検出からの経過時間Tの計測を開始する。これにより、異常検出部30は、異常が検出された残存センサ信号に対応するセンサ素子についての故障判定処理を実行する。
即ち、ステップ303及びステップ304の実行により故障判定処理を開始する場合、またはステップ302において既に故障判定中であると判定された場合(ステップ302:YES)、異常検出部30は、異常検出回数nをカウントする自身のカウンタをインクリメントする(n=n+1、ステップ305)。
異常検出部30は、異常検出回数nが閾値回数n0以上であるか否かを判定する(ステップ306)。閾値回数n0以上であると判定した場合(n≧n0、ステップ306:YES)、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障したものと判定する(ステップ307)。
ステップ306において、異常検出回数nが閾値回数n0に満たないと判定した場合(n<n0、ステップ306:NO)、または、ステップ301において異常が検出されなかった場合(ステップ301:NO)、異常検出部30は、タイマ32から経過時間Tを取得する(ステップ308)。異常検出部30は、取得される経過時間Tが閾値時間T0以上であるか否かを判定する(ステップ309)。閾値時間T0以上であると判定した場合(T≧T0、ステップ309:YES)、異常検出部30は、閾値時間T0の超過(タイムオーバー)をもって、その残存センサ信号に対応するセンサ素子は正常であると判定する(ステップ310)。
異常検出部30は、故障判定フラグをリセットし(ステップ311)、次いで自身のカウンタをリセットして(n=0、ステップ312)、一連の故障判定処理を終了する。ステップ309において、経過時間Tが閾値時間T0に満たないと判定した場合(T<T0、ステップ309:NO)、異常検出部30は、ステップ310〜ステップ312の処理を実行することなく、一連の故障判定処理を終了する。
ここで、前述したようにアシスト継続制御の実行中に残存センサ信号の異常が検出された以降、試験トルク制御量Itt*の出力周期は短縮される。このため、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定中は、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクを印加する周期も短くなる。
迅速かつ高精度に故障判定を行う観点から、瞬発的なモータトルクの印加周期は、より短い方が好ましい。しかしながら、印加周期の短縮化は、操舵フィーリングを悪化させる方向に作用する。そこで、本例では、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定の実行中、即ち、最初の異常検出(図6のフローチャートにおける一回目のステップ301でYES)から、センサ素子の故障が確定(ステップ307)するまでの間、またはセンサ素子が正常である旨が確定(ステップ310)するまでの間のみ、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くする。これにより、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、迅速かつ高精度に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を行うことが可能になる。
次に、試験トルク制御部31による瞬発的なモータトルクの印加周期の変更処理手順を説明する。
図7に示すように、試験トルク制御部31は、アシスト継続制御の実行中であるかどうかを判断する(ステップ401)。アシスト継続制御の実行中である旨判断される場合(ステップ401:YES)、試験トルク制御部31は、異常検出部30によるセンサ素子の故障判定が実行されているか否かを判定する(ステップ402)。試験トルク制御部31は、異常検出部30により生成される異常検出信号Strに基づいて、異常検出部30が実行する故障判定の結果を取得する。
故障判定の実行中ではないと判定した場合(ステップ402:NO)、試験トルク制御部31は、基本周期、即ち、図5に示す出力周期f1で試験トルク制御量Itt*を出力する(ステップ403)。一方、故障判定の実行中であると判定した場合(ステップ402:YES)、試験トルク制御部31は、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障が確定したか否かを判定する(ステップ404)。故障が確定していない旨判定される場合(ステップ404:NO)、試験トルク制御部31は、センサ素子が正常であることが確定したか否かを判定する(ステップ405)。センサ素子が正常であることが確定していない場合(ステップ405:NO)、試験トルク制御部31は、基本周期である出力周期f1よりも短い出力周期f2で試験トルク制御量Itt*を出力する(ステップ406)。
試験トルク制御部31は、ステップ405において、センサ素子が正常であることが確定した場合(ステップ405:YES)には、ステップ403へ処理を移行して、基本周期(f1)で試験トルク制御量Itt*を出力する。
アシスト継続制御が実行されていない場合(ステップ401:NO)、およびセンサ素子の故障が確定した場合(ステップ404:YES)、試験トルク制御量Itt*は、出力されない。
以上、第1の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ECU11は、トルクセンサ14を構成する両センサ素子14a,14bのいずれか一方の故障が検出された場合、他方の故障が検出されていないセンサ素子が出力するセンサ信号(残存センサ信号)を用いて操舵トルクτを検出することにより、パワーアシスト制御を継続する(アシスト継続制御)。また、ECU11は、アシスト継続制御の実行時には、アシスト力の付与とは無関係に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。そして、ECU11は、瞬発的なモータトルクの印加が、アシスト継続制御の基礎となる残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常を検出する。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクの印加により、操舵系を構成するステアリングシャフト3に設けられたトーションバー16に捩れを生じさせる。これにより、残存センサ信号が変化するタイミングおよび変化方向を当然に予想し得る状況を作り出すことができる。そして、このような状況下において、残存センサ信号の変化を監視することにより、残存センサ信号が明らかに異常な値を示す以前の段階で、早期に、異常を検出することができる。その結果、残存センサ信号を用いたアシスト制御の実行時においても、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
(2)ECU11は、周期的に、操舵系に対する瞬発的なモータトルクを印加する。そして、閾値時間(T0)内に、閾値回数(n0)だけ残存センサ信号についての異常検出があった場合、ECU11は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障したと判定する。この構成によれば、より正確にセンサ素子の故障を判定することができる。その結果、誤判定の発生を抑えて、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
(3)ECU11は、残存センサ信号に対応するセンサ素子について故障判定を実行する間、瞬発的なモータトルクを印加する周期を短くする。即ち、迅速かつ高精度に故障判定を行う観点から、瞬発的なモータトルクの印加周期は、より短い方が好ましい。しかしながら、印加周期の短縮化は、操舵フィーリングを悪化させる方向に作用する。この点、上記構成によれば、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、迅速かつ高精度に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を行うことができる。その結果、より安定的に、そのアシスト力の付与を継続することができる。
(4)ECU11は、瞬発的なモータトルクの印加方向を交互に変更する。即ち、慣性によりステアリングホイール2がほとんど動かない極めて短時間の印加であっても、同一方向に繰り返し印加されれば、印加方向にステアリング(操舵角)が偏向してしまうおそれがある。この点、上記構成によれば、このような偏向の発生を抑制することができ、その結果、より安定的に、アシスト力の付与を継続することができる。
第1の実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第1の実施の形態において、瞬発的なモータトルクの印加周期の変更処理をより単純なものとしてもよい。即ち、図17に示すように、残存センサ信号の異常を検出した場合(ステップ601:YES)、試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクの印加周期を短縮する(ステップ602)。残存センサ信号の異常が検出されない場合(ステップ601:NO)、試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクの印加周期を回復させるべく、印加周期を長くする(ステップ603)。ステップ603において、印加周期が短縮されていない場合、試験トルク制御部31は、印加周期を現状に維持する。この場合、瞬発的なモータトルクの印加周期の短縮について、第1の実施の形態のように、基本周期(f1)と短周期(f2)との二つの状態を推移させてもよく、また、残存センサ信号の異常検出毎に、段階的に短縮あるいは延長してもよい。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第1の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本例では、ECU11(マイコン21)は、異常検出部30において残存センサ信号の異常を検出した後、操舵系に付与するアシスト力を漸減すべく、EPSアクチュエータ10の作動を制御する。
図8に示すように、アシスト制御部26は、異常検出部30において生成される異常検出信号Strに基づき残存センサ信号の異常が検出されたか否かを判定する(ステップ501)。残存センサ信号の異常が検出された場合(ステップ501:YES)、アシスト制御部26は、アシスト力漸減制御を実行する。即ち、アシスト制御部26は、出力する基本アシスト制御量Ias*を漸減する(ステップ502)。
また、ステップ501において、残存センサ信号は正常であると検出された場合(ステップ501:NO)、アシスト制御部26は、アシスト力回復制御を実行する。即ち、アシスト制御部26は、ステップ502の実行により漸減したアシスト力を回復させるべく、出力する基本アシスト制御量Ias*を漸増(漸次増大)する(ステップ503)。
図9に示す例では、時刻t3において、残存センサ信号に異常が検出されて、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定処理が開始されると、アシスト制御部26は、基本アシスト制御量Ias*を漸減する。基本アシスト制御量Ias*の漸減に伴い、操舵系に付与されるアシスト力は徐々に小さくなる。そして、時刻t4以降、再び、残存センサ信号は正常である旨の検出がされた後、アシスト制御部26は、基本アシスト制御量Ias*を漸増する。基本アシスト制御量Ias*の漸増に伴い、操舵系に付与されるアシスト力は徐々に回復する。
以上、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(4)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)正常なセンサ信号に基づく操舵トルクτの検出が不能となった場合、速やかにアシスト力の付与を停止することが望ましい。しかしながら、センサ素子の異常の有無についての高い判定精度を確保すべく、第1の実施の形態のようにセンサ信号(残存センサ信号)の複数回の異常検出をもって、センサ信号に対応するセンサ素子の故障を判定する場合、センサ素子の故障を確定するタイミングが遅れる。この点、本例のように、センサ素子の故障が確定する前からアシスト力を漸減することで、早期にかつ違和感の発生を招くことなく、アシスト力の付与を停止することが可能になる。
(6)更に、アシスト力の漸減後、残存センサ信号は正常である旨の検出がされた場合、漸減されたアシスト力を漸増させてアシスト力を回復させることにより、センサ素子の故障が確定する前にアシスト力の付与が停止されることが防止される。その結果、より安定的に、アシスト力の付与を継続することができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本例も、基本的には、第1の実施の形態と同様の構成を備えている。
本例では、ECU11(マイコン21)は、アシスト継続制御の実行時、操舵系に付与するアシスト力の大きさおよび車速Vに応じて、瞬発的なモータトルクの印加周期を変更する。
図10に示すように、アシスト制御部26が出力する基本アシスト制御量Ias*の絶対値が大きいほど、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の出力周期を短くする。また、図11のグラフに示すように、車速センサ15により検出される車速が高いほど、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の出力周期を短くする。図10および図11のグラフにおいて、縦軸に設定された「短縮係数」は、図5に示すアシスト継続制御実行時の基本的な出力周期f1を「1」とした場合の短縮化の程度を示す係数である。試験トルク制御部31は、これらの短縮係数を出力周期f1に乗算することにより、試験トルク制御量Itt*の出力周期を短くする。出力周期の短縮化には、予め下限が設定されている。
以上、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(4)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)操舵系に付与するアシスト力が大きいほど、また、車速が高いほど、操舵トルクτの検出不良が及ぼす影響は大きい。この点、本例によれば、アシスト力および車速に応じて、より適切に、瞬発的なモータトルクの印加周期を短縮化することができる。その結果、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、迅速かつ高精度に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を行うことができる。
(8)更に、出力周期の短縮化に下限を設けることで、連続的なモータトルクの印加による振動の発生を抑えて、良好な操舵フィーリングを確保することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
第3の実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第3の実施の形態では、操舵系に付与するアシスト力の大きさを示すパラメータとして基本アシスト制御量Ias*を用いたが、モータ12の実電流値Iを用いてもよい。
・第3の実施の形態では、アシスト継続制御の実行時、操舵系に付与するアシスト力(基本アシスト制御量Ias*)の大きさ、および車速Vに応じて、瞬発的なモータトルクの印加周期(試験トルク制御量Itt*の出力周期)を変更したが、ステアリング操作に基づく車両の旋回状態に基づいて、瞬発的なモータトルクの印加周期を変更してもよい。
図12に示すように、ステアリングホイール2の舵角(操舵角)が大きいほど、また、図13に示すように、操舵速度が速いほど、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くしてもよい。また、図14に示すように、車両のヨーレートが大きいほど、また、図15に示すように、車両の横方向加速度(横G)が大きいほど、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くしてもよい。
即ち、操舵トルクτの検出不良が及ぼす影響は、車両が旋回状態にある場合に顕著である。その影響は、車両が大きく旋回する場合ほど、また、急旋回である場合ほど、大きくなる。そして、車両の旋回状態を示すパラメータの一例として、操舵角、操舵速度、ヨーレートおよび横方向加速度を挙げることができる。したがって、上記構成によれば、より適切に、瞬発的なモータトルクの印加周期を短縮化することができる。その結果、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、迅速かつ高精度に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を行うことができる。
瞬発的なモータトルクの印加周期の変更は、アシスト力の大きさおよび車速Vを含め、各パラメータ単独、あるいは任意に組み合わせに基づき実行してもよい。
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。本例は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力と同一方向に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する点で、第1の実施の形態と主に異なる。したがって、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本例では、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力と同一方向に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべく、EPSアクチュエータ10の作動を制御する。
図18に示すように、ECU11の電流指令値演算部23は、アシスト制御部26および試験トルク制御部31に加え、アシスト制御量判定部28、アシスト電流切替部29およびタイマ34を備えている。アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*および操舵角θsに基づき車両の操舵状態を示すFLG信号(本例では、0、1、2のいずれか一つ)を生成する。タイマ34は、車両が直進状態に移行してからの経過時間Thを計測する。
試験トルク制御部31は、第1の実施の形態と同様に印加信号Simを生成する。また、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28において生成されるFLG信号に基づき瞬発的なモータトルクの基礎成分としての試験トルク制御量Itt*を生成し、試験トルク制御量Itt*を加算器33へ出力する。また、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28から入力されるFLG信号に基づいて、アシスト電流切替信号Sichを生成する。本例では、試験トルク制御量Itt*の一回当たりの出力時間が、1msに設定されている。
アシスト電流切替部29は、試験トルク制御部31において生成されるアシスト電流切替信号Sichに基づき接点Pを接点Qおよび接点Rのいずれかに切り替えることで、基本アシスト制御量Ias*を切り替える。即ち、アシスト電流切替信号Sichが「1」の場合、アシスト電流切替部29は、接点P,Qを接続し、アシスト制御部26により生成される基本アシスト制御量Ias*をそのまま加算器33へ出力する。また、アシスト電流切替信号Sichが「0」の場合、アシスト電流切替部29は、接点P,Rを接続し、アシスト制御部26において生成される基本アシスト制御量Ias*に代えて「0値」を基本アシスト制御量Ias*として加算器33へ出力する。
ECU11(マイコン21)は、第1の実施の形態と同様に、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じてパワーアシスト制御を実行する。即ち、ECU11は、図3のフローチャートにおけるステップ2001〜ステップ2009の各処理を実行する。ECU11は、両センサ信号Sa,Sbに異常がない場合に通常制御を、両センサ素子14a,14bの両方が故障した場合にアシスト停止制御を、両センサ素子14a,14bの一方のみが故障した場合にアシスト継続制御をそれぞれ実行する。
また、ECU11は、アシスト継続制御の実行時に、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。
例えば、図28に示すように、ECU11(試験トルク制御部31)は、瞬発的なモータトルクを印加するための制御成分として試験トルク制御量Itt*を時点t(l)から所定時間tr(本例では、1ms)だけ出力する。これにより、操舵系には、瞬発的なモータトルクが印加される。
操舵系に瞬発的なモータトルクが印加されると、試験トルク制御量Itt*が出力された時点t(l)から所定時間trr(本例では、10ms)後に、瞬発的なモータトルクに起因する捩れがトーションバー16に生じる。ECU11は、試験トルク制御量Itt*が出力された時点t(l)から所定時間trrにおける操舵トルクτの変化量Δτを測定する。そして、ECU11は、変化量Δτが所定値(本例では、0.5Nm)以下であることを条件として、残存センサ信号に対応するセンサ素子が異常であると判定する。
次に、瞬発的なモータトルクの印加方法について説明する。
本例では、車両の操舵状態に応じて、操舵系に印加する瞬発的なモータトルクの大きさ及び印加方向が変化する。このため、本例では、具体的な車両の操舵状態を仮想し、仮想的な操舵状態に基づき、瞬発的なモータトルクの印加方法を説明する。以下、仮想的な操舵状態、操舵状態を示すFLG信号の生成処理、およびFLG信号に基づく試験トルク制御量の算出方法の順に説明する。
まず、仮想の操舵状態について説明する。
図19〜図21は、車両のある操舵状態を仮想した場合における基本アシスト制御量Ias*および操舵角θsの説明図である。図19〜図21の左縦軸は基本アシスト制御量Ias*、右縦軸は操舵角θs、横軸は時間軸をそれぞれ表す。ここで図19〜図21の左縦軸には、+側の試験トルク制御量Itt*である第1所定電流値Ia1および−側の試験トルク制御量Itt*である第2所定電流値−Ia1が設定されている。第1所定電流値Ia1および第2所定電流値−Ia1は、瞬発的なモータトルクを発生させる基礎成分である試験トルク制御量Itt*の値であり、車両の系あるいは環境に応じて適宜設定される。また、第1所定電流値Ia1および第2所定電流値−Ia1は、トルクセンサ14の両センサ素子14a,14bのいずれか一方が故障したことに運転者が気付くとともに、瞬発的なモータトルクの慣性によってステアリングホイール2がほとんど動かない大きさ(本例では、60A)に設定されている。
図19〜図21の右縦軸には、+側の中立位置近傍の第1所定操舵角θsL、+側の最大操舵角である第2所定操舵角θsmax、−側の中立位置近傍の第3所定操舵角−θsLおよび−側の最大操舵角である第4所定操舵角−θsmaxがそれぞれ設定されている。第1所定操舵角θsLおよび第3所定操舵角−θsLは、車両の走行状態が直進走行状態か否かを判断する基準値である。第2所定操舵角θsmaxはステアリングホイール2の右エンド角であり、第4所定操舵角−θsmaxはステアリングホイール2の左エンド角である。
図19〜図21の横軸は、車両の操舵状態に応じて複数のゾーン(本例では、ゾーンA〜Fの6種類)に分割される。ゾーンAはステアリングホイール2を右に操舵した場合の切込み状態、ゾーンBはステアリングホイール2を右に操舵した場合の切戻し状態、ゾーンCはステアリングホイール2を中立に戻した直進走行状態にそれぞれ対応している。また、ゾーンDはステアリングホイール2を左に操舵した場合の切込み状態、ゾーンEはステアリングホイール2が左エンド一杯まで切込まれた、いわゆるエンド当て状態、ゾーンFはステアリングホイール2を左に操舵した場合の切戻し状態にそれぞれ対応している。
図19に示す第1の操舵状態は、4つのゾーン(ゾーンA、B、D、F)に分割される。第1の操舵状態では、全操舵領域において、操舵角θsが、第2所定操舵角θsmax以下、かつ、第4所定操舵角−θsmax以上である。また、全操舵領域において、基本アシスト制御量Ias*が第1所定電流値Ia1以下、かつ、第2所定電流値−Ia1以上である。
図20に示す第2の操舵状態は、5つのゾーン(ゾーンA、B、D、E,F)に分割される。第2の操舵状態では、ゾーンEの操舵領域で操舵角θsが第4所定操舵角−θsmaxまで達している。また、基本アシスト制御量Ias*は、ゾーンEの操舵領域で第2所定電流値−Ia1よりも小さい数値になっている。即ち、第2の操舵状態は、第1の操舵状態に比べ操舵角θsが大きく、エンド当て状態を有することを特徴とする。
図21に示す第3の操舵状態は、4つのゾーン(ゾーンA、B、C,D)に分割される。第3の操舵状態は、ゾーンCの操舵領域で操舵角θsが、第1所定操舵角θsL以下、かつ、第3所定操舵角−θsL以上である。また、基本アシスト制御量Ias*が全操舵領域で、第1所定電流値Ia1以下、かつ、第2所定電流値−Ia1以上である。即ち、第3の操舵状態は、直進走行状態を有することを特徴とする。
次に、図19〜図21の車両操舵状態に基づきアシスト制御量判定部28が車両の操舵状態を判定し、判定の結果に応じたFLG信号を生成する処理手順を、図22のフローチャートに従って説明する。
図22に示すように、アシスト制御量判定部28は、まず、操舵角θsが第2所定操舵角θsmax以下か否かを判定する(ステップ801)。操舵角θsが第2所定操舵角θsmax以下の場合(ステップ801:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第1所定操舵角θsL以上か否かを判定する(ステップ802)。操舵角θsが第1所定操舵角θsL以上の場合(ステップ802:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下か否かを判定する(ステップ803)。ここで、括弧内のnは、第n番目のサンプリング値であることを示す。
基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下の場合(ステップ803:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第1所定操舵角θsL以上であるためアシスト力の大きさが正領域(本例では、右切込み状態または右切戻し状態、即ち、車両がゾーンAまたはゾーンBの操舵状態)であると判定し、FLG(状態量を示すフラグ:メモリ)に1を書き込み(ステップ804)、この処理を終える。
ステップ803において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1より大きい場合(ステップ803:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*が既に上限値に達していると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ805)、この処理を終える。
ステップ802において、操舵角θsが第1所定操舵角θsL未満の場合(ステップ802:NO)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第3所定操舵角−θsL以下か否かを判定する(ステップ806)。操舵角θsが第3所定操舵角−θsL以下の場合(ステップ806:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax以上か否かを判定する(ステップ807)。操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax以上の場合(ステップ807:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上か否かを判定する(ステップ808)。
基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上の場合(ステップ808:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第3所定操舵角−θsL以下であることからアシスト力の大きさが負領域(本例では、左切込み状態または左切戻し状態、即ち、車両が、ゾーンDまたはゾーンFの操舵状態)であると判定し、FLGに2を書き込み(ステップ809)、この処理を終える。
ステップ808において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1未満の場合(ステップ808:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が既に下限値に達していると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ810)、この処理を終える。
更に、ステップ807において、操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax未満の場合(ステップ807:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がエンド当て若しくはその近傍の状態であると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ811)、この処理を終える。
ステップ806において、操舵角θsが第3所定操舵角−θsLより大きい場合(ステップ806:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両が直進状態にあると判定する。ここで、車両が直進状態に移行した場合、アシスト制御量判定部28は、電流指令値演算部23のタイマ34(図18参照)にリセット信号Skを出力し、車両が直進状態に移行してからの経過時間Thを計測する。
アシスト制御量判定部28は、経過時間Thが所定時間th(本例では、1s)以下か否かを判定する(ステップ812)。経過時間Thが所定時間th以下の場合(ステップ812:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が0以上か否かを判定する(ステップ813)。
基本アシスト制御量Ias*(n)が0以上の場合(ステップ813:YES)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさがゾーンCにおいて正領域にあると判定し、FLGに1を書き込み(ステップ814)、この処理を終える。また、ステップ813において、基本アシスト制御量Ias*(n)が0未満の場合(ステップ813:NO)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさがゾーンCにおいて負領域にあると判定し、FLGに2を書き込み(ステップ815)、この処理を終える。
ステップ812において、経過時間Thが所定時間thより大きい場合(ステップ812:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がゾーンCの直進走行状態に移行して所定時間経過したと判定し、FLGに0を書き込み(ステップ816)、この処理を終える。
ステップ801において、操舵角θsが第2所定操舵角θsmax以上の場合(ステップ801:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がエンド当て若しくはその近傍の状態であると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ817)、この処理を終える。
アシスト制御量判定部28は、FLGに操舵状態の判定結果(0,1,2)を書き込んだ際、判定結果を含むFLG信号を生成する。図24〜図26に示すように、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28から受取ったFLG信号に基づいて、時間軸上の時点t1〜t13のタイミングで試験トルク制御量Itt*を出力する(瞬発的なモータトルクの印加)。試験トルク制御量Itt*が出力される各時点t1、t2、t3・・・の各間隔は、試験トルク制御量Itt*が出力される試験トルク制御量出力時間trよりも長くなるように設定される。
次に、試験トルク制御部31による試験トルク制御量の算出処理手順を詳細に説明する。
図23に示すように、まず、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28から入力されたFLG信号に基づきFLGが0か否かを判定する(ステップ901)。FLGが0の場合(ステップ901:YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*(m)の値として記憶部(メモリ)に0を書き込み(ステップ906)、この処理を終える。
ここで、括弧内のmは、今回値が第m番目のサンプリング値であることを示す。基本アシスト制御量Ias*のサンプリング番号をn、試験トルク制御量Itt*のサンプリング番号をmとした。これは、本例において、基本アシスト制御量Ias*および試験トルク制御量Itt*のサンプリング周期が異なっているためである。また、本例において、試験トルク制御量Itt*(m)の値としてメモリに0が書き込まれるケース、即ち、FLGが0のケースとしては、以下の3つのケースが想定される。
第1のケースは、基本アシスト制御量Ias*が、第1所定電流値Ia1(上限値)、又は第2所定電流値−Ia1(下限値)に達しており、基本アシスト制御量Ias*に対して試験トルク制御量Itt*を印加しても、トルク変化が小さくてトルクセンサ14の異常を検出し難いケースである(図22のステップ803:NO,ステップ808:NO)。そのため、試験トルク制御部31は、基本アシスト制御量Ias*が上限値より大きいか、または下限値より小さい場合、瞬発的なモータトルクの印加を停止する。
第2のケースは、図20のゾーンE、いわゆるエンド当てのケースである(図22のステップ801:NO,ステップ807:NO)。この場合、ステアリングホイール2がメカニカルエンドに当たっているため、基本アシスト制御量Ias*に対して試験トルク制御量Itt*を印加してもトルク変化は生じない。そのため、試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクの印加を停止する。
第3のケースは、車両が図21のゾーンC、いわゆる直進走行状態に移行して所定時間thが経過したケースである(図22のステップ812:NO)。直進走行状態は、操舵角θsが、第1所定操舵角θsLと第3所定操舵角−θsLとの間の極めて狭い範囲内にある状態であり、基本アシスト制御量Ias*もほとんど0に近い値である。そのため、試験トルク制御部31は、この場合も、瞬発的なモータトルクの印加を停止する。これによって、EPS1は、通電量を減らしモータ12及びECU11の発熱を抑えることができる。
話を戻して、図23のフローチャートのステップ901において、FLGが0でない場合(ステップ901:NO)、試験トルク制御部31は、FLGが1か否かを判定する(ステップ902)。FLGが1の場合(ステップ902:YES)、試験トルク制御部31は、基本アシスト制御量Ias*(n)の値としてメモリに0を書き込むと共に、試験トルク制御量Itt*(m)の値としてメモリに第1所定電流値Ia1を書き込み(ステップ905)、この処理を終える。
FLGが1ということは、基本アシスト制御量Ias*が正値で第1所定電流値Ia1以下の状態(車両が右切込み状態または右切戻し状態:ゾーンAまたはゾーンB)、または車両が直進走行状態(ゾーンC)に移行して所定時間th内であり、かつ基本アシスト制御量Ias*が正値の状態である。FLGが1の場合、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を第1所定電流値Ia1に設定する。
FLGが1でない場合(ステップ902:NO)、試験トルク制御部31は、FLGが2か否かを判定する(ステップ903)。FLGが2の場合(ステップ903:YES)、試験トルク制御部31は、基本アシスト制御量Ias*(n)の値としてメモリに0を書き込むと共に、試験トルク制御量Itt*(m)の値としてメモリに第2所定電流値−Ia1を書き込み(ステップ904)、この処理を終える。
FLGが2ということは、基本アシスト制御量Ias*が負値で第2所定電流値−Ia1以上の状態(車両が左切込み状態または左切戻し状態:ゾーンDまたはゾーンF)、または車両が直進走行状態(ゾーンC)に移行して所定時間th内であり、かつ基本アシスト制御量Ias*が負値の状態である。FLGが2の場合、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を第2所定電流値−Ia1に設定する。ステップ903においてFLGが2でない場合(ステップ903:NO)、試験トルク制御部31は、何もせずに、この処理を終える。
図24〜図26は、図19〜図21に示す第1〜第3の操舵状態にある車両に対して、図22および図23に示すアルゴリズムを適用し、基本アシスト制御量Ias*に試験トルク制御量Itt*を加算した電流指令値I*、および操舵角θsの波形を示すグラフである。本例のEPS1では、図24〜図26に示すように、瞬発的なモータトルクの印加によって操舵角θsがほとんど影響を受けないように試験トルク制御量Itt*の大きさが設定されている。
ここで、図25の波形の特徴は、時点t10、t11にある。図25の時点t10、t11では、車両のステアリングホイール2がメカニカルエンド当て状態(ゾーンE)にある。この場合、上記したように、試験トルク制御量Itt*を印加しても操舵トルクは変化しないため、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の印加を停止する。これによって、ECU11(駆動回路22、ひいてはモータ12)への通電量を抑制し、モータ12およびECU11の発熱を抑えることが可能である。
また、図26の波形の特徴は、時点t6〜t11の区間にある。時点t6〜t11の区間は、ステアリングホイール2の中立付近で操舵するいわゆる直進走行状態(ゾーンC)である。図26からわかるように、車両がゾーンCの操舵状態に移行して、経過時間Thが所定時間thに満たない区間では、試験トルク制御部31は、図22及び図23に示すアルゴリズムに従い試験トルク制御量Itt*を出力する。一方、経過時間Thが所定時間thを経過した区間(t9〜t11)では、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の出力を停止する。これによって、ECU11(駆動回路22、ひいてはモータ12)への通電量を抑制し、モータ12およびECU11の発熱を抑える。
次に、図27および図28を用いてトルクセンサ14の異常判定方法について具体的に説明する。
図27は、図19の操舵状態にある車両に対して、図22および図23のアルゴリズムを適用した場合における電流指令値I*および操舵トルクτを示すグラフである。図28は、図27の一部を拡大したグラフである。図27および図28には、瞬発的なモータトルクが操舵系に印加された場合に、トルクセンサによって検出される操舵トルクτが変動する様子が示されている。図27および図28において、左縦軸は、基本アシスト制御量Ias*に試験トルク制御量Itt*を加算した電流指令値I*を表す。右縦軸は、トルクセンサ14が検出する操舵トルクτを表し、横軸は時間軸を表す。
さて、図28における車両の操舵状態は、ステアリングホイール2を右に操舵した場合の切込み状態(例えば、図19のゾーンA)を表しており、基本アシスト制御量Ias*が増加している時点t(l)で、試験トルク制御量Itt*が所定時間tr(本例では、例えば1ms)出力されている。
これにより、操舵系には、瞬発的なモータトルクが印加され、試験トルク制御量Itt*が出力された時点t(l)から所定時間trr(本例では、例えば10ms)後に、トーションバーには、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが生じる。試験トルク制御量Itt*が出力された時点から所定時間trrにおける操舵トルクτの変化量Δτが所定値(本例では、例えば0.5Nm)以下の場合、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が異常と判定する。
詳述すると、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を出力する毎に、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクが印加される旨を示す印加信号Sim(図18参照)を、異常検出部30に対して出力する。異常検出部30は、印加信号Simに基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出を実行する。
即ち、異常検出部30は、図4に示すステップ201〜ステップ205の各処理を実行して、残存センサ信号の異常の有無を検出する。そして、ステップ205の処理において、残存センサ信号が異常である旨判定されるとき、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が本当に故障しているかどうかの判定処理を実行する。即ち、異常検出部30は、図6に示すステップ301〜ステップ312の各処理を実行して、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障の有無を判定する。第1の実施の形態と同様に、残存センサ信号の異常を検出した場合、異常検出部30は、図18に示すタイマ32を利用して、最初の異常検出からの経過時間Tを計測する。そして、経過時間Tが所定時間(閾値時間T0)を越える前に、所定回数(n0)の異常検出があった場合、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障したものと判定する。
次に、アシスト継続制御の実行時における瞬発的なモータトルクの印加状態を説明する。
図29に示すように、アシスト継続制御時において、残存センサ信号の異常が検出された時点(同図中、時点t21)以降は、試験トルク制御部31は、異常検出前の出力周期f1よりも異常検出後の出力周期f2が短くなるように試験トルク制御量Itt*の出力周期を短縮する(f1>f2)。これにより、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定が実行されている間は、瞬発的なモータトルクを印加する周期が短くなる。
また、残存センサ信号の異常が検出され、試験トルク制御量Itt*の出力周期が短縮された後、再び残存センサ信号が正常に復帰することがある(図29の時点t22以降)。この場合、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の出力周期を再び出力周期f2から出力周期f1に戻す。
このように、ECU11(試験トルク制御部31)は、第1の実施の形態と同様に、残存センサ信号の故障判定の実行中のみ、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くする。そして、残存センサ信号が正常値に戻った場合、ECU11は、瞬発的なモータトルクの印加周期を直ちに元の周期とする。試験トルク制御部31は、図7に示すステップ401〜ステップ407の各処理を実行して、瞬発的なモータトルクの印加周期を変更する。これにより、ECU11は、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を迅速かつ高精度に行うことができる。
以上、第4の実施の形態によれば、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力と同一方向に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。この場合、第1の実施の形態の(1)と同様の効果を得ることができる。また、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(3)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(9)ECU11は、ステアリングホイール2の中立付近で操舵するいわゆる直進走行状態に移行し、経過時間Thが所定時間thに満たない区間では、図22及び図23のアルゴリズムに従い試験トルク制御量Itt*を出力する。一方、ECU11は、経過時間Thが所定時間thを経過した区間では、試験トルク制御量Itt*の出力を停止する。これによって、ECU11(駆動回路22、ひいてはモータ12)への通電量を抑制し、モータ12およびECU11の発熱を抑えることができる。
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第4の実施の形態と同様の構成を備え、アシスト継続制御の実行時にはアシスト力の変化方向と逆向きに、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する点で、第4の実施の形態と主に異なる。したがって、第4の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本例においても、ECU11(マイコン21)は、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じてパワーアシスト制御を実行する。即ち、ECU11は、図3に示すステップ2001〜ステップ2009の各処理を実行する。ECU11は、両センサ信号Sa,Sbに異常がない場合に通常制御、両センサ素子14a,14bの両方が故障した場合にアシスト停止制御、両センサ素子14a,14bの一方のみが故障した場合にアシスト継続制御をそれぞれ実行する。
また、ECU11は、アシスト継続制御において、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する。そして、ECU11は、瞬発的なモータトルクに起因するトーションバー16の捩れが、図28に示すように、残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。即ち、本例のEPS1も、残存センサ信号の変化を監視することにより、残存センサ信号が明らかに異常な値を示す以前の段階で、早期に、異常を検出することが可能である。
次に、瞬発的なモータトルクの印加方法について説明する。
本例においても、車両の操舵状態に応じて、操舵系に印加する瞬発的なモータトルクの大きさや印加方向が変化する。また、第4の実施の形態と同様に、図30〜図32に示す車両の第1〜第3の操舵状態を仮想し、仮想的な操舵状態に基づき、瞬発的なモータトルクの印加方法を説明する。以下、仮想的な操舵状態、操舵状態を示すFLG信号の生成処理、およびFLG信号に基づく試験トルク制御量の算出方法の順に説明する。
まず、仮想の操舵状態について説明する。図30〜図32のグラフは、基本的には、図19〜図21のグラフと同様であり、次の点で異なる。即ち、図30〜図32の右縦軸には、+側中立位置近傍の第1所定操舵角θsL、+側最大操舵角である第2所定操舵角θsmax、−側中立位置近傍の第3所定操舵角−θsL、および−側最大操舵角である第4所定操舵角−θsmaxに加えて、+側最大操舵角近傍の第5所定操舵角θsh、および−側最大操舵角近傍の第6所定操舵角−θshが設定されている。第5所定操舵角θshおよび第6所定操舵角−θshは、第2所定操舵角θsmaxおよび第4所定操舵角−θsmaxのそれぞれの近傍に設定される基準値である。
図30に示す第1の操舵状態1は、4つのゾーン(ゾーンA、B、D、F)に分割される。第1の操舵状態では、全操舵領域において、操舵角θsが、第5所定操舵角θsh以下、かつ第6所定操舵角−θsh以上である。また、全操舵領域において、基本アシスト制御量Ias*が第1所定電流値Ia1以下、且つ、第2所定電流値−Ia1以上である。
図31に示す第2の操舵状態は、5つのゾーン(ゾーンA、B、D、E,F)に分割される。第2の操舵状態では、操舵角θsがゾーンA、Bの操舵領域で、一時、第5所定操舵角θsh以上の数値であり、ゾーンD〜Fの操舵領域で、一時、第6所定操舵角−θsh以下の数値である。特に、ゾーンAにおいて操舵角θsが第5所定操舵角θsh以上の領域、および、ゾーンDにおいて操舵角θsが第6所定操舵角−θsh以下の領域については、印加される瞬発的なモータトルクの向きが反転する反転領域となる。更に、第2の操舵状態では、ゾーンEの操舵領域で操舵角θsが第4所定操舵角−θsmaxまで達している。また、基本アシスト制御量Ias*は、ゾーンEの操舵領域で第2所定電流値−Ia1よりも小さい数値になっている。即ち、第2の操舵状態2は、第1の操舵状態に比べ操舵角θsが大きく、エンド当て状態を有することを特徴とする。
図32に示す第3の操舵状態は、4つのゾーン(ゾーンA、B、C,D)に分割される。第3の操舵状態は、ゾーンCの操舵領域で操舵角θsが、第1所定操舵角θsL以下、かつ、第3所定操舵角−θsL以上である。また、基本アシスト制御量Ias*が全操舵領域で、第1所定電流値Ia1以下、かつ、第2所定電流値−Ia1以上である。即ち、第3の操舵状態は、直進走行状態を有することを特徴とする。
次に、図30〜図32に示す第1〜第3の車両操舵状態に基づき、アシスト制御量判定部28が、車両の操舵状態を判定しFLG信号を生成する処理手順を、図33〜図35のフローチャートに従って説明する。
図33に示すように、アシスト制御量判定部28は、まず、操舵角θsが第2所定操舵角θsmax以下か否かを判定する(ステップ1001)。操舵角θsが第2所定操舵角θsmax以下の場合(ステップ1001:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第1所定操舵角θsL以上か否かを判定する(ステップ1002)。操舵角θsが第1所定操舵角θsL以上の場合(ステップ1002:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第5所定操舵角θsh以下か否かを判定する(ステップ1003)。
操舵角θsが第5所定操舵角θsh以下の場合(ステップ1003:YES)、アシスト制御量判定部28は、今回値である基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下か否かを判定する(ステップ1004)。基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下の場合(ステップ1004:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量の前回値Ias*(n-1)を記憶部(メモリ)から読み出す(ステップ1005)。そして、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)を前回値Ias*(n-1)と比較し、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以上か否かを判定する(ステップ1006)。
基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以上の場合(ステップ1006:YES)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさが正領域において増加傾向(本例では、右切込み状態)にあることから、車両がゾーンAの操舵状態であると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLG(状態量を示すフラグ:メモリ)に1を書き込み(ステップ1007)、この処理を終える。
また、ステップ1006において、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)未満の場合(ステップ1006:NO)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力が正領域において減少傾向(本例では、右切戻し状態)にあることから、車両がゾーンBの操舵状態であると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに2を書き込み(ステップ1008)、この処理を終える。
ステップ1004において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1より大きい場合(ステップ1004:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*が既に上限値に達していると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに0を書き込み(ステップ1009)、この処理を終える。
ステップ1003において、操舵角θsが第5所定操舵角θshより大きい場合(ステップ1003:NO)、アシスト制御量判定部28は、今回値である基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下か否かを判定する(ステップ1010)。基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1以下の場合(ステップ1010:YES)、アシスト制御量判定部28は、車両が図31に示すゾーンAの反転領域またはゾーンBの操舵領域にあり、基本アシスト制御量Ias*が未だ上限値に達していないと判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに2を書き込み(ステップ1011)、この処理を終える。
また、ステップ1010において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第1所定電流値Ia1より大きい場合(ステップ1010:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*が既に上限値に達していると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに0を書き込み(ステップ1012)、この処理を終える。ステップ1002において、操舵角θsが第1所定操舵角θsL未満の場合(ステップ1002:NO)、アシスト制御量判定部28は、図34のフローチャートに処理を移行する。
図34のフローチャートにおいて、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第3所定操舵角−θsL以下か否かを判定する(ステップ1013)。操舵角θsが第3所定操舵角−θsL以下の場合(ステップ1013:YES)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第6所定操舵角−θsh以上か否かを判定する(ステップ1014)。操舵角θsが第6所定操舵角−θsh以上の場合(ステップ1014:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上か否かを判定する(ステップ1015)。
基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上の場合(ステップ1015:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量の前回値Ias*(n-1)を記憶部(メモリ)から読み出す(ステップ816)。そして、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以下か否かを判定する(ステップ1017)。
基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以下の場合(ステップ1017:YES)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさが負領域において増加傾向(本例では、左切込み状態)にあることから、車両がゾーンDの操舵状態であると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに2を書き込み(ステップ1018)、この処理を終える。
また、ステップ1017において、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以上の場合(ステップ1017:NO)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさが負領域において減少傾向(本例では、左切戻し状態)にあることから、車両がゾーンFの操舵状態であると判定する。そしてアシスト制御量判定部28は、FLGに1を書き込み(ステップ1019)、この処理を終える。
ステップ1015において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1未満の場合(ステップ1015:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*が既に下限値に達していると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ1020)、この処理を終える。
ステップ1014において、操舵角θsが第6所定操舵角−θsh未満の場合(ステップ1014:NO)、アシスト制御量判定部28は、操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax以上か否かを判定する(ステップ1021)。操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax以上の場合(ステップ1021:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上か否かを判定する(ステップ1022)。
基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1以上の場合(ステップ1022:YES)、アシスト制御量判定部28は、車両が図31に示すゾーンDの反転領域またはゾーンFの操舵領域にあり、基本アシスト制御量Ias*が未だ下限値に達していないと判定して、FLGに1を書き込み(ステップ1023)、この処理を終える。
また、ステップ1022において、基本アシスト制御量Ias*(n)が第2所定電流値−Ia1未満の場合(ステップ1022:NO)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量Ias*が既に下限値に達していると判定する。そして、アシスト制御量判定部28は、FLGに0を書き込み(ステップ1024)、この処理を終える。
更に、ステップ1021において、操舵角θsが第4所定操舵角−θsmax未満の場合(ステップ1021:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がエンド当て、もしくはその近傍の状態であると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ1025)、この処理を終える。
ステップ1013において、操舵角θsが第3所定操舵角−θsLより大きい場合(ステップ1013:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両が直進状態にあると判定し、図35に示すフローチャートに処理を移行する。ここで、車両が直進状態に移行した場合、アシスト制御量判定部28は、電流指令値演算部23に設けられたタイマ34(図18参照)にリセット信号Skを出力し、車両が直進状態に移行してからの経過時間Thを計測する。
さて、図35のフローチャートにおいて、アシスト制御量判定部28は、経過時間Thが所定時間th(本例では、1s)以下か否かを判定する(ステップ1026)。経過時間Thが所定時間th以下の場合(ステップ1026:YES)、アシスト制御量判定部28は、基本アシスト制御量の前回値Ias*(n-1)を記憶部(メモリ)から読み出し(ステップ1027)、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以上か否かを判定する(ステップ1028)。
基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)以上の場合(ステップ1028:YES)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさがゾーンCにおいて増加傾向にあると判定し、FLGに1を書き込み(ステップ1029)、この処理を終える。また、ステップ1028において、基本アシスト制御量の今回値Ias*(n)が前回値Ias*(n-1)未満の場合(ステップ1028:NO)、アシスト制御量判定部28は、アシスト力の大きさがゾーンCにおいて減少傾向にあると判定し、FLGに2を書き込み(ステップ1030)、この処理を終える。
ステップ1026において、経過時間Thが所定時間thより大きい場合(ステップ1026:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がゾーンCの直進走行状態に移行して所定時間経過したと判定し、FLGに0を書き込み(ステップ1031)、この処理を終える。
更に、図33のフローチャートにおけるステップ1001において、操舵角θsが第2所定操舵角θsmaxより大きい場合(ステップ1001:NO)、アシスト制御量判定部28は、車両がエンド当て、もしくはその近傍の状態であると判定して、FLGに0を書き込み(ステップ1032)、この処理を終える。
なお、第4の実施の形態と同様に、アシスト制御量判定部28は、FLGに操舵状態の判定結果(0,1,2)を書き込んだ際、判定結果を含むFLG信号を生成する。図37〜図39に示すように、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28から受取ったFLG信号に基づいて、時間軸上の時点t1〜t13のタイミングで、試験トルク制御量Itt*を出力する(瞬発的なモータトルクの印加)。試験トルク制御量Itt*が出力される各時点t1、t2、t3・・・の各間隔は、試験トルク制御量Itt*が出力される試験トルク制御量出力時間trよりも長くなるように設定される。
次に、試験トルク制御部31による試験トルク制御量の算出処理手順を説明する。
図36に示すように、まず、試験トルク制御部31は、アシスト制御量判定部28から入力されたFLG信号に基づきFLGが0か否かを判定する(ステップ1041)。FLGが0の場合(ステップ1041:YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*(m)の値として記憶部(メモリ)に0を書き込み(ステップ1046)、この処理を終える。
ここで、試験トルク制御量Itt*(m)の値として記憶部に0が書き込まれるケース、即ち、FLGが0のケースとしては、第4の実施の形態と同様に、3つのケースが想定される。第1のケースは、基本アシスト制御量Ias*が第1所定電流値Ia1(上限値)、又は第2所定電流値−Ia1(下限値)に達しており、基本アシスト制御量Ias*に対して試験トルク制御量Itt*を印加しても、トルク変化が小さくてトルクセンサの異常を検出し難いケースである(図33のステップ1004:NO,ステップ1010:NO,図34のステップ1015:NO,ステップ1022:NO)。第2のケースは、図31のゾーンE、いわゆるエンド当てのケースである(図33のステップ1001:NO,図34のステップ1021:NO)。第3のケースは、車両が図32のゾーンC、いわゆる直進走行状態に移行して所定時間Thが経過したケースである(図35のステップ1026:NO)。
話を戻して、図36のステップ1041において、FLGが0でない場合(ステップ1041:NO)、試験トルク制御部31は、FLGが1か否かを判定する(ステップ1042)。FLGが1の場合(ステップ1042:YES)、試験トルク制御部31は、Ias*(n)の値として記憶部に0を書き込むと共に、試験トルク制御量Itt*(m)の値として記憶部に第2所定電流値−Ia1を書き込み(ステップ1045)、この処理を終える。
FLGが1ということは、次のA〜Dのいずれか一つの状態であることを示す。
A.基本アシスト制御量Ias*が正値で漸増しており、操舵角θsが第5所定操舵角θshよりも小さい状態(車両が右切込み状態:ゾーンA)
B.基本アシスト制御量Ias*が負値で漸増している状態(車両が左切戻し状態:ゾーンF)
C.基本アシスト制御量Ias*が負値で漸減しており操舵角θsが第6所定操舵角−θshよりも小さい状態(ゾーンDの反転領域)
D.車両が直進走行状態において、基本アシスト制御量Ias*が漸増している状態であり、かつ所定時間thが経過していない状態(ゾーンC)
前記したように、FLGが1の場合、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を第2所定電流値−Ia1に設定する。
FLGが1でない場合(ステップ1042:NO)、試験トルク制御部31は、FLGが2か否かを判定する(ステップ1043)。FLGが2の場合(ステップ1043:YES)、試験トルク制御部31は、Ias*(n)の値として記憶部に0を書き込むと共に、試験トルク制御量Itt*(m)の値として記憶部に第1所定電流値Ia1を書き込み(ステップ1044)、この処理を終える。
FLGが2ということは、次のE〜Hのいずれか一つの状態であることを示す。
E.基本アシスト制御量Ias*が正値で漸減している状態(車両が右切戻し状態:ゾーンB)
F.基本アシスト制御量Ias*が負値で漸減しており、操舵角θsが第6所定操舵角−θshよりも大きい状態(車両が左切込み状態:ゾーンD)
G.基本アシスト制御量Ias*が正値で漸増しており操舵角θsが第5所定操舵角θshよりも大きい状態(ゾーンAの反転領域)
H.車両が直進走行状態において、基本アシスト制御量Ias*が漸減している状態であり、かつ所定時間thが経過していない状態(ゾーンC)
前述したように、FLGが2の場合、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を第1所定電流値Ia1に設定する。ステップ1043でFLGが2でない場合(ステップ1043:NO)、試験トルク制御部31は、何もせずに、この処理を終える。
図37〜図39は、図30〜図32の各操舵状態にある車両に対し図33〜図36に示すアルゴリズムを適用し、基本アシスト制御量Ias*に試験トルク制御量Itt*を加算した電流指令値I*、および操舵角θsの波形を示すグラフである。本例のEPS1は、図37〜図39に示すように、瞬発的なモータトルクの印加によって操舵角θsがほとんど影響を受けないように試験トルク制御量Itt*の大きさが設定されている。
図38の波形の特徴は、時点t3、t10、t11にある。時点t3では、図36のフローチャートで示したアルゴリズムに従って、試験トルク制御量Itt*が第1所定電流値Ia1となっている。
図37に示すように、車両が右切り込み状態(ゾーンA)であって操舵角θsが第5所定操舵角θsh以下の場合、試験トルク制御量Itt*は、第2所定電流値−Ia1に設定される。しかしながら、図38の時点t3に示すように、ゾーンAにおいて操舵角θsが第5所定操舵角θshよりも大きい場合、試験トルク制御量Itt*は、第1所定電流値Ia1に設定される。
操舵角θsが第5所定操舵角θshよりも大きく第2所定操舵角θsmax近傍にある場合、トルクセンサ14が検出する操舵トルクτは、トルクセンサ14のセンサ素子が検出可能な臨界値近傍に達している。このような状況で、試験トルク制御量Itt*が第2所定電流値−Ia1に設定されると、アシスト力は正方向から負方向へと急減し、トーションバー16が大きく捩じられるため、トルクセンサ14が検出する操舵トルクτは増加する。しかしながら、センサ素子の臨界値近傍で操舵トルクτを増加させたとしても、操舵トルクτがセンサ素子の検出範囲を超えてしまい、トルクセンサ14が正常であるにもかかわらず異常であると誤検出されるおそれがある。
それに対して、本例のマイコン21(試験トルク制御部31)は、試験トルク制御量Itt*を第1所定電流値Ia1に設定し、アシスト力を増加させることで、トーションバー16の捩れを小さくする。その結果、トルクセンサ14が検出する操舵トルクτは、センサ素子の検出可能な範囲内で変化する。そのため、マイコン21は、センサ素子の異常を確実に検出し、誤検出を防止することが可能である。操舵角θsが第6所定操舵角−θshよりも小さい場合にも同様のことがいえる。
更に、図38の時点t10、t11では、車両のステアリングホイール2がメカニカルエンド当て状態(ゾーンE)にある。この場合、上記したように、試験トルク制御量Itt*を印加しても操舵トルクτは変化しないため、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の印加を停止する。これによって、誤検出を防止することができる。また、ECU11(駆動回路22、ひいてはモータ12)への通電量が抑制されるため、モータ12およびECU11の発熱を抑えることができる。
また、図39の波形の特徴は、時点t6〜t11の区間にある。時点t6〜t11の区間は、ステアリングホイール2の中立付近で操舵するいわゆる直進走行状態(ゾーンC)である。車両がゾーンCの操舵状態に移行して、経過時間Thが所定時間thに満たない区間では、試験トルク制御部31は、図35および図36のアルゴリズムに従い試験トルク制御量Itt*を出力し、トルクセンサ14の異常を判定する。
一方、経過時間Thが所定時間thを経過した区間(t9〜t11)では、トルクセンサ14は正常であると判断し、試験トルク制御量Itt*の出力を停止する。これによって、ECU11(駆動回路22、ひいてはモータ12)への通電量を抑制し、モータ12及びECU11の発熱を抑える。
また、本例においても、マイコン21(試験トルク制御部31)は、上記の実施の形態と同様に、図4および図6のフローチャートに従いトルクセンサ14の異常判定を行う。更にマイコン21は、図7に示すステップ401〜ステップ407の各処理を実行して、瞬発的なモータトルクの印加周期を変更する。
以上、第5の実施の形態によれば、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力の変化方向とは逆向きに、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。このようにしても、第1の実施の形態の(1)と同様の効果を得ることができる。また、第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(2),(3)、および第4の実施の形態の(9)と同様の効果を得ることもできる。
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第4の実施の形態と同様の構成を備えている。また、本例は、第4の実施の形態と同様に、アシスト継続制御の実行時、アシスト力と同一方向に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する。したがって、第4の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図40に示すように、本例の異常検出部30は、アシスト継続制御中である場合にフラグASFLGに0を、アシスト継続制御中でない場合にフラグASFLGに1を書き込む。また、異常検出部30は、アシスト継続制御中であるか否かを示すフラグASFLGの値をモータ制御信号出力部24に供給する。
次に、モータ制御信号出力部24について詳細に説明する。
図41に示すように、モータ制御信号出力部24は、減算器40、PI制御演算部41、PWM演算部42、PWM出力部43、およびフィードバックゲイン決定部44を有している。減算器40は、電流指令値I*と実電流値Iとの差分を演算する。PI制御演算部41は、減算器40の出力である電流偏差値ΔIを増幅することにより電圧指令値V*を生成する。PWM演算部42は、PI制御演算部41により生成された電圧指令値V*に基づきDuty比を演算する。PWM出力部43は、PWM演算部42により算出されたDuty比に基づきモータ制御信号を生成する。
フィードバックゲイン決定部44は、PI制御演算部41の比例ゲインKpおよび積分ゲインKiの値を決定する。また、フィードバックゲイン決定部44は、図43(a),(b)に示す2種類のゲインマップを有する。一つは通常制御中、即ち、ASFLG=0のときに使用される第1のゲインマップ(通常制御ゲインマップ)であり、もう一つはアシスト継続制御中、即ち、ASFLG=1のときに使用される第2のゲインマップ(アシスト継続制御ゲインマップ)である。また、図43(a)に示す第1のゲインマップは、比例ゲインKp1および積分ゲインKi1を規定する。図43(b)に示す第2のゲインマップは、比例ゲインKp2および積分ゲインKi2を規定する。ここで、第1および第2のマップでそれぞれ規定される比例ゲインKp1,Kp2および積分ゲインKi1,Ki2の大小関係は、次の通りである。
・Kp1<Kp2
・Ki1<Ki2
このように設定することにより、アシスト継続制御中に瞬発的なモータトルクの印加が生じた場合、残る出力要素からセンサ信号を応答良く出力することができる。本例においても、ECU11は、第1の実施の態様と同様に、図3のフローチャートに従い、トルクセンサ14の異常発生モードに応じたパワーアシスト制御を実行する。
また、本例のECU11も、第4の実施の形態と同様に、アシスト継続制御の実行時、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。
瞬発的なモータトルクの印加方法は、第4の実施の形態と同様である。本例においても、車両の操舵状態に応じて、操舵系に対する瞬発的なモータトルクの大きさおよびその印加方向が変化する。マイコン21(アシスト制御量判定部28)は、第4の実施の形態と同様に、図22に示すステップ801〜ステップ817の各処理により車両の操舵状態を判定し、操舵状態を示すFLG信号を生成する。そして、マイコン21(試験トルク制御部31)は、図23に示すステップ901〜ステップ906の各処理により試験トルク制御量Itt*を算出する。
本例の異常検出部30も、試験トルク制御部31において生成される印加信号Simに基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出を実行する。即ち、図42に示すように、異常検出部30は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGが1か否かを判定する(ステップ2011)。ASFLGが1の場合(ステップ2011:YES)、異常検出部30は、図43(b)に示すアシスト継続制御ゲインマップを選択する(ステップ2012)。そして、異常検出部30は、印加信号Simの入力の有無を判断し(ステップ2013)、印加信号Simの入力があった場合(ステップ2013:YES)、印加信号Simに示される瞬発的なモータトルクの印加が、入力される残存センサ信号に反映されるか否かを判定する(ステップ2014)。図28に示すように、本例においても、上記判定は、瞬発的なモータトルクの印加に対応した適当なタイミング(所定時間trr内)で残存センサ信号が変化するか否か、ならびに変化の方向および大きさが適当な値であるか否かに基づき行われる。
そして、残存センサ信号に瞬発的なモータトルクの印加が反映される場合(ステップ2014:YES)、異常検出部30は、残存センサ信号が正常であると判定する(ステップ2015)。残存センサ信号に映されない場合(ステップ2014:NO)、異常検出部30は、残存センサ信号が異常であると判定する(ステップ2016)。また、先のステップ2011において、ASFLGが1でない場合(ステップ2011:NO)、異常検出部30は、図43(a)に示す通常制御ゲインマップを選択し(ステップ2017)、この処理を終える。
そして、上記のように残存センサ信号が異常である旨判定されるとき(図42のステップ2016)、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が本当に故障しているかどうかの判定処理を実行する。即ち、異常検出部30は、図6に示すステップ301〜ステップ312の各処理を実行して、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障の有無を判定する。第4の実施の形態と同様に、残存センサ信号の異常を検出した場合、異常検出部30は、図40に示すタイマ32を利用して、最初の異常検出からの経過時間Tを計測する。そして、経過時間Tが所定時間(閾値時間T0)を越える前に、所定回数(n0)の異常検出があった場合、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障したものと判定する。
更に、本例においても、試験トルク制御部31は、図29に示すように、残存センサ信号の故障判定の実行中のみ瞬発的なモータトルクの印加周期を短くし、残存センサ信号が正常値に戻った場合、瞬発的なモータトルクの印加周期を直ちに元の周期とする。試験トルク制御部31による瞬発的なモータトルクの印加周期の変更は、第1の実施の形態と同様、図7のフローチャートに従って処理される。アシスト継続制御の実行中であるかどうかの判断(ステップ401)は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGが1か否かに基づき判定される。
以上、第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(3)の効果、および第4の実施の形態の(9)の効果に加え、次の効果を得ることができる。
(10)ECU11(マイコン21)は、モータ制御信号出力部24を有する。フィードバック制御手段として機能するモータ制御信号出力部24は、操舵トルクτに対応したアシスト力を発生させるための電流指令値I*とモータ12に流れる実電流Iとの偏差に基づき、モータ12のフィードバック制御を行う。
また、ECU11(モータ制御信号出力部24)は、フィードバックゲイン決定部44を備えている。フィードバックゲイン決定部44は、異常検出部30から出力されるアシスト継続制御中を示すフラグASFLGの値に基づき、モータ制御信号出力部24(PI制御演算部41)のフィードバックゲイン(比例ゲインKpおよび積分ゲインKi)を決定する。
即ち、故障の検出されていない出力要素(センサ素子)が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続する場合、フィードバックゲイン決定部44は、故障の検出されていない出力要素が残り二つ以上残存する場合に比較して、フィードバックゲインを大きくする。これにより、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続し、残存するトルクセンサの信頼性を向上させるために瞬発的なモータトルクの印加が生じた場合、残る出力要素からセンサ信号を応答良く出力することができる。
第6の実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第6の実施の形態では、両トルクセンサ正常時の通常制御時と、一方のトルクセンサ異常時のアシスト継続制御時とで、操舵トルクの演算周期を同一としたが、次のようにしてもよい。即ち、アシスト継続制御時には、瞬発的なモータトルクの印加をセンサ信号に反映させるため、アシスト継続制御時の操舵トルクの演算周期を、通常制御時の操舵トルクの演算周期よりも長くしてもよい。
・第6の実施の形態では、アシスト継続制御時に、瞬発的なモータトルクの印加をセンサ信号に反映させて、一方のトルクセンサの異常を判定したが、反映させたセンサ信号が急変した場合、アシスト継続制御を停止してもよい。
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。本例も、基本的には、第4の実施の形態と同様の構成を備えている。また、本例も、第4の実施の形態と同様に、アシスト継続制御の実行時、アシスト力と同一方向に、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する。したがって、第4の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図44に示すように、マイコン21は、操舵角速度検出手段としての微分器35を備えている。微分器35は、操舵角θsを取り込み、操舵角θsを微分することにより操舵角速度ωsを生成する。また、異常検出部30は、操舵角θsおよび操舵角速度ωsを取り込む。また、異常検出部30は、アシスト継続制御中でない場合にはフラグASFLGに0を、アシスト継続制御中である場合にはフラグASFLGに1または2をそれぞれ書き込む。異常検出部30は、アシスト継続制御中であるか否かを示すフラグASFLGの値をアシスト制御部26へ供給する。
本例においても、ECU11は、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じて、パワーアシスト制御を実行する。
図45に示すように、マイコン21は、まず、操舵角θsおよび操舵角速度ωsを読み込む(ステップ3001)。そして、マイコン21は、その異常検出部30において各センサ信号Sa,Sbの異常の有無を判断する(ステップ3002)。各センサ信号Sa,Sbの異常検出は、各センサ信号Sa,Sbの値が正常時に取り得る値から逸脱しているか否かの判定、ならびに各センサ信号Sa,Sbの各値および単位時間の変化量などの比較判定に基づいて行なわれる。
異常検出部30において各センサ信号Sa,Sbの異常を検出すると(ステップ3002:YES)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLG(状態量を示すフラグ:メモリ)に0を書き込む(ステップ3003)。次に、マイコン21は、ステップ3002で検出した異常検出の結果に基づいて、各センサ信号Sa,Sbの出力要素である各センサ素子14a,14bの故障判定(検出)を実行する(ステップ3004)。各センサ素子14a,14bの両方が故障したと判定される場合(ステップ3005:YES)、マイコン21は、速やかにパワーアシスト制御を停止してフェールセーフを実行すべく、アシスト停止制御を実行する(ステップ3006)。アシスト停止制御では、目標アシスト力が漸減される。また、試験トルク制御部31は、異常検出部30から入力される異常検出信号Strに基づき、試験トルク制御量Itt*の出力を停止する。
ステップ3001において、正常な各センサ信号Sa,Sbが検出された場合(ステップ3002:NO)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに0を書き込み(ステップ3012)通常のパワーアシスト制御を実行する(ステップ3013)。通常のパワーアシスト制御では、目標アシスト力が操舵系に付加される。
また、ステップ3005において、各センサ信号Sa,Sbに対応する各センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが故障したと判定される場合(ステップ3005:NO)、マイコン21は、残るセンサ素子が出力するセンサ信号(残存センサ信号)に基づいて、操舵トルクτを検出する。そして、マイコン21は、ステップ3001で読み込んだ操舵角θsおよび操舵角速度ωsが同一符号か否かを判定する(ステップ3007)。
操舵角θsおよび操舵角速度ωsが同一符号の場合(ステップ3007:YES)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに1を書き込み(ステップ3008)、残存センサ信号を用いたパワーアシスト制御を継続する(ステップ3009)。アシスト継続制御では、目標アシスト力に加えて、瞬発的なモータトルクが操舵系に印加される。
また、ステップ3007において、操舵角θsおよび操舵角速度ωsが同一符号でない場合(ステップ3007:NO)、マイコン21は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに2を書き込む(ステップ3010)。そして、マイコン21は、目標アシスト力を付与せず、残存センサ信号の正常/異常判定制御を継続する(ステップ3011)。正常/異常判定制御では、目標アシスト力が0に設定されると共に、瞬発的なモータトルクが操舵系に印加される。
また、本例のECU11も、第4の実施の形態と同様に、アシスト継続制御の実行時、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。
瞬発的なモータトルクの印加方法は、第4の実施の形態と同様である。本例においても、車両の操舵状態に応じて、操舵系に対する瞬発的なモータトルクの大きさ及び印加方向は変化する。マイコン21(アシスト制御量判定部28)は、第4の実施の形態と同様に、図22に示すステップ801〜ステップ817の各処理により車両の操舵状態を判定し、操舵状態を示すFLG信号を生成する。そして、マイコン21(試験トルク制御部31)は、図23に示すステップ901〜ステップ906の各処理により試験トルク制御量Itt*を算出する。
本例の異常検出部30も、試験トルク制御部31において生成される印加信号Simに基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出を実行する。具体的な処理手順は、第1の実施の形態と同様、図4のフローチャートに従う。アシスト継続制御中であるかどうかの判断(ステップ201)は、アシスト継続制御中を示すフラグ信号ASFLGに基づき判定する。
上記のように残存センサ信号が異常である旨判定されるとき(図4のステップ205)、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が本当に故障しているかどうかの判定処理を実行する。即ち、異常検出部30は、図6に示すステップ301〜ステップ312の各処理を実行して、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障の有無を判定する。第4の実施の形態と同様に、残存センサ信号の異常を検出した場合、異常検出部30は、図44に示すタイマ32を利用して最初の異常検出からの経過時間Tを計測する。そして、経過時間Tが所定時間(閾値時間T0)を越える前に、所定回数(n0)の異常検出があった場合、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が故障したものと判定する。
更に、本例においても、試験トルク制御部31は、図29に示すように、残存センサ信号の故障判定の実行中のみ瞬発的なモータトルクの印加周期を短くし、残存センサ信号が正常値に戻った場合には瞬発的なモータトルクの印加周期を直ちに元の周期とする。具体的な処理手順は、第1の実施の形態と同様、図7のフローチャートに従って処理される。アシスト継続制御の実行中であるかどうかの判断(ステップ401)は、アシスト継続制御中を示すフラグASFLGに基づき判定される。
以上、第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(3)の効果、および第4の実施の形態の(9)の効果に加え、次の効果を得ることができる。
(11)ステアリングセンサ17により検出される操舵角θsと、操舵角θsを微分して得られる操舵角速度ωsに基づき、操舵角θsと操舵角速度ωsの符号が異なっている場合、アシスト力を出力しない。これにより、故障の検出されていない出力要素(センサ素子)が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続しつつ、セルフステアあるいは逆アシストを防止することができる。
<第8の実施の形態>
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第1の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図46に示すように、試験トルク制御部31は、操舵トルク検出部25により操舵トルクτを取り込む。
本例においても、ECU11は、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じて、パワーアシスト制御を実行する。即ち、ECU11は、図3に示すステップ2001〜ステップ2009の各処理を実行する。ECU11は、両センサ信号Sa,Sbに異常がない場合に通常制御、両センサ素子14a,14bの両方が故障した場合にアシスト停止制御、両センサ素子14a,14bの一方のみが故障した場合にアシスト継続制御をそれぞれ実行する。アシスト停止制御では、目標アシスト力が漸減される。アシスト継続制御では、目標アシスト力に加えて、瞬発的なモータトルクが操舵系に印加される。通常のパワーアシスト制御では、目標アシスト力が操舵系に付加される。
本例でも、異常検出部30は、試験トルク印加信号Simに基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ信号の異常検出を実行する。即ち、異常検出部30は、図4に示すステップ201〜ステップ205の各処理を実行して、残存センサ信号の異常の有無を検出する。そして、ステップ205の処理において、残存センサ信号が異常である旨判定されるとき、異常検出部30は、残存センサ信号に対応するセンサ素子が本当に故障しているかどうかの判定処理を実行する。即ち、異常検出部30は、図6に示すステップ301〜ステップ312の各処理を実行して、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障の有無を判定する。
また、本例では、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。本例の試験トルク制御部31も、アシスト継続制御時、試験トルク制御量Itt*を周期的に出力する。
まず、図47および図48に示す具体的な車両の操舵状態を仮想し、仮想的な操舵状態に基づき、瞬発的なモータトルク、即ち、試験トルク制御量がどのように出力されるのかについて説明する。図47および図48の左縦軸は、電流指令値(I*)、基本アシスト制御量(Ias*)および試験トルク制御量(Itt*)を、右縦軸は、操舵トルク(τ)をそれぞれ表している。横軸は時間軸である。
図47に示す第1の操舵状態は、左からステアリングホイール2の右切込み(ゾーンA1)、右切戻し(ゾーンB1)、直進走行(ゾーンC1)、左切込み(ゾーンD1)および左切戻し(ゾーンE1)の5つのゾーンに分割される。図47に示す第1の操舵状態は、細い実線で表される操舵トルクτの絶対値が所定値τ1(本例では、6Nm)以内(|τ|≦τ1)であることが特徴である。なお、所定値τ1は、トルクセンサ14のレンジ(検出可能範囲)に基づき設定される。
操舵トルクτの絶対値が所定値τ1以内(|τ|≦τ1)である場合、図47の破線で示すように、試験トルク制御量Itt*(図47中の時点t1〜t10)は、基本アシスト制御量Ias*の符号に関係なく、操舵系に正負交互に印加される。基本アシスト制御量Ias*および試験トルク制御量Itt*は加算されて、太い実線で表される電流指令値I*としてモータ制御信号出力部24に入力される。そして、電流指令値I*より少し遅れて操舵トルクτが発生する。
図48に示す第2の操舵状態は、左からステアリングホイール2の右切込み(ゾーンA2)、右切戻し(ゾーンB2)、左切込み(ゾーンD2)、および左切戻し(ゾーンE2)の4つのゾーンに分割される。図48に示す第2の操舵状態は、細い実線で表される操舵トルクτの絶対値が所定値τ1より大きい(|τ|>τ1)場合があることが特徴である。
操舵トルクτの絶対値が所定値τ1より大きい(|τ|>τ1)場合、試験トルク制御量Itt*(図48中の時点t3、t4およびt8、t9)は、基本アシスト制御量Ias*の符号の方向に、操舵系に印加される。基本アシスト制御量Ias*および試験トルク制御量Itt*は加算されて、太い実線で表される電流指令値I*としてモータ制御信号出力部24に入力される。そして、電流指令値I*より少し遅れて操舵トルクτが発生する。
なお、操舵トルクτの絶対値が所定値τ1より大きい(|τ|>τ1)状態から操舵トルクτの絶対値が所定値τ1以内(|τ|≦τ1)である状態に推移した場合、試験トルク制御量Itt*(図48中の時点t5及びt10)は、基本アシスト制御量Ias*の符号に関係なく、操舵系に正負交互に印加される。
次に、試験トルク制御量Itt*の出力方法を具体的に説明する。
図49に示すように、試験トルク制御部31は、トルク値τを取り込み(ステップ4001)、操舵トルクτの絶対値が所定値τ1以下であるか否かを判定する(ステップ4002)。操舵トルクτの絶対値が所定値τ1以下である場合(ステップ4002:YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の前回値Itt*(n−1)を取り込む(ステップ4003)。
次に、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*の前回値Itt*(n−1)が正側試験トルク制御量である第1所定電流値Ia1(本例では、30A)か否かを判定する(ステップステップ4004)。そして、試験トルク制御量Itt*の前回値Itt*(n−1)が第1所定電流値Ia1である場合(ステップ4004:YES)、試験トルク制御部31は、ステップ4005に処理を移行する。
ステップ4005において、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*として第2所定電流値−Ia1を出力して、この処理を終える。一方、ステップ4004において、試験トルク制御量Itt*の前回値Itt*(n−1)が第1所定電流値Ia1でない場合(ステップ4004:NO)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*として正側試験トルク制御量である第1所定電流値Ia1を出力して(ステップ4006)、この処理を終える。
ステップ4002において、操舵トルクτの絶対値が所定値τ1より大きい場合(ステップ4002:NO)、試験トルク制御部31は、操舵トルクτが所定値τ1より大きいか否かを判定する(ステップ4007)。そして、操舵トルクτが所定値τ1より大きい場合(τ>τ1、ステップ4007、YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*として第1所定電流値Ia1を出力して(ステップ4008)、この処理を終える。
ステップ4007において、操舵トルクτが所定値τ1より小さい場合(ステップ4007:NO)、試験トルク制御部31は、操舵トルクτが所定値−τ1より小さいか否かを判定する(ステップ4009)。そして、操舵トルクτが所定値−τ1より小さい場合(ステップ4009:YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*として第2所定電流値−Ia1を出力して(ステップ4010)、この処理を終える。更に、ステップ4009において、操舵トルクτが所定値−τ1以上の場合(ステップ4009:NO)、試験トルク制御部31は、この処理を終了する。
以上、第8の実施の形態によれば、次の効果を得ることができる。
(12)アシスト継続制御の実行時、操舵トルクτの絶対値が所定値以下の場合、マイコン21は、アシスト力の付与とは関係なく、瞬発的なモータトルクを操舵系に正負交互に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。これにより、大きな操舵トルクを要することなく、ステアリングシャフト3に設けられたトーションバー16に捩れを生じさせることができる。また、操舵トルクτの絶対値が所定値より大きい場合、マイコン21は、アシスト力の付与方向に、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。これにより、大きくなりすぎた操舵トルクを早めに下げるため、操舵トルクのレンジオーバーによる誤検出を防ぐことができ、操舵フィーリングが向上する。そして、瞬発的なモータトルクの印加が、アシスト継続制御の基礎となる残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、マイコン21は、残存センサ信号の異常を検出する。この構成によれば、第1の実施の形態の(1)と同様の効果を得ることができる。また、第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(2)と同様の効果を得ることもできる。
<第9の実施の形態>
次に、本発明の第9の実施の形態を説明する。本例は、アシスト制御部の構成の点で、第8の実施の形態と主に異なり、基本的には、第8の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第8の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図50に示すように、アシスト制御部26は、通常制御用の第1のアシストマップ50、アシスト継続制御用の第2のアシストマップ51、および基本アシスト制御量切替部52を有する。
第1および第2のアシストマップ50,51は、いずれも操舵トルクτおよび車速Vに基づき基本アシスト制御量Ias*を演算するための車速感応型の三次元マップである。第1および第2のアシストマップ50,51は、操舵トルクτ(絶対値)が大きいほど、または車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力が操舵系に付与されるように、より大きな値(絶対値)を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する。ただし、同じ操舵トルクτ(絶対値)、および同じ車速Vである場合、第1のアシストマップ50により得られる基本アシスト制御量Ias*は、第2のアシストマップ51により得られる基本アシスト制御量Ias*の約2倍以上の大きさになる。
基本アシスト制御量切替部52は、図46に示す異常検出部30において生成される異常検出信号Strに基づき、第1のアシストマップ50を使用して得られる基本アシスト制御量Ias*を加算器33へ供給するか、或いは、第2のアシストマップ51を使用して得られる基本アシスト制御量Ias*を加算器33へ供給する。詳述すると、異常検出信号Strに基づき、各センサ素子14a,14bの両方が正常判定(検出)である旨判断される場合、基本アシスト制御量切替部52は、接点52cと接点52aとを接続して、第1のアシストマップ50により得られる基本アシスト制御量Ias*を加算器33に出力する。また、異常検出信号Strに基づき、各センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが故障判定である旨判断される場合、基本アシスト制御量切替部52は、接点52cと接点52bとを接続して、第2のアシストマップ51により得られる基本アシスト制御量Ias*を加算器33に出力する。
なお、本例においても、ECU11は、第1の実施の態様と同様に図3のフローチャートに従い、トルクセンサ14の異常発生モードに応じたパワーアシスト制御を実行する。また、異常検出部30は、第1の実施の形態と同様に図4および図6のフローチャートに従い、センサ素子の故障の有無を判定する。また、本例でも、ECU11は、アシスト継続制御の実行時、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因する捩れが残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、残存センサ信号の異常検出を行う。試験トルク制御量の出力処理手順は、第8の実施の形態と同様である。
以上、第9の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1),(2)の効果に加え、次の効果を得ることができる。
(13)マイコン21は、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力を半分以下に低減して付与する。この構成によれば、アシスト継続制御時において、通常制御時に比べて大きな操舵トルクτをステアリングホイール2の操舵に要するため、運転者は、トルクセンサ14の故障を早期に知ることができる。また、残存トルクセンサが故障した場合のアシストトルクの変化を、小さく抑えることができる。その結果、運転者は、トルクセンサ14の故障を早期に知ることができ、また、急激な操舵フィーリングの劣化を防止できるため、安全な操舵性能を得ることができる。
<第10の実施の形態>
次に、本発明の第10の実施の形態を説明する。本例は、アシスト制御部の構成の点で、第8の実施の形態と主に異なり、基本的には、第8の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第8の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図51に示すように、アシスト制御部26は、アシストマップ60と車速量切替部62とを有する。アシストマップ60は、操舵トルクτおよび車速Vによって基本アシスト制御量Ias*を演算するための車速感応型の三次元マップである。アシストマップ60は、操舵トルクτ(絶対値)が大きいほど、または車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力が操舵系に付与されるように、より大きな値(絶対値)を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する。
また、車速量切替部62は、図46に示す異常検出部30において生成される異常検出信号Strに基づき、通常入力される車速量Vをアシストマップ60に供給するか、或いは、一時記憶EEPROM63に書き込まれている高車速量Vhをアシストマップ60に供給する。
詳述すると、異常検出信号Strに基づき、各センサ素子14a,14bの両方が正常判定(検出)である旨判断される場合、車速量切替部62は、接点62cと接点62aとを接続して、車速センサから出力される車速Vをアシストマップ60に供給する。また、異常検出信号Strに基づき、各センサ素子14a,14bのいずれか一方のみが故障判定である旨判断される場合、、車速量切替部62は、接点62cと接点62bとを接続して、一時記憶EEPROM63に書き込まれている高車速量Vhをアシストマップ60に供給する。
以上、第10の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1),(2)の効果に加え、次の効果を得ることができる。
(14)マイコン21は、故障の検出されていない出力要素が残り一つになった後、車速を大きな値に固定する。そして、マイコン21は、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いて、固定された車速に応じたアシスト力を付与する。この構成によれば、アシスト継続制御時において操舵系に付与されるアシスト力が、通常制御時に比べて低減される。そのため、アシスト継続制御時において、通常制御時に比べて大きな操舵トルクτがステアリングホイール2の操舵に要するため、運転者は、トルクセンサ14の故障を早期に知ることができる。また、残存トルクセンサが故障した場合のアシストトルクの変化を、小さく抑えることができる。その結果、運転者は、トルクセンサ14の故障を早期に知ることができる。また、急激な操舵フィーリングの劣化を防止できるため、安全な操舵性能を得ることができる。
<第11の実施の形態>
次に、本発明の第11の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第1の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本例においても、ECU11は、図3のフローチャートに従い、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じて、パワーアシスト制御を実行する。
本例においても、残るセンサ信号が一つになった後のアシスト継続制御を安全に行なうため、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加して、瞬発的なモータトルクに起因するトーションバー16の捩れが、図28に示すように、残存センサ信号に反映されるか否かに基づき、残存センサ信号の異常を検出する。
この場合、アシスト力と瞬発的なモータトルクとの向き及び大きさの関係は、車両状態や操舵状態に基づき逐次変化する。そのため、瞬発的なモータトルクによる操舵トルク変化量ΔTは、残存センサ素子が正常な場合に一定であることが望ましいにもかかわらず、車両状態や操舵状態によってばらつきが生じてしまう懸念がある。この場合、センサ信号の異常の検出にも影響が及ぶため、本例では次の構成を採用している。
試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクを印加するための制御成分として、試験トルク制御量Itt*を生成する。試験トルク制御量Itt*には、正方向に瞬発的なモータトルクを印加するための制御成分である正側(+側)の試験トルク制御量Ittp*と、負方向に瞬発的なモータトルクを印加するための制御成分である負側(−側)の試験トルク制御量Ittn*とが含まれる。また、試験トルク制御部31は、操舵トルクτの変化量ΔT(n+1)を測定するトルク偏差演算手段としても機能する。更に、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクの印加時、操舵トルク変化量測定時間trrにおける操舵トルクτの変化量ΔT(n+1)が一定値になるように、試験トルク制御量Itt*を変化させる可変機能手段としても機能する。操舵トルクτの変化量ΔT(n+1)を一定値にすることにより、運転者に違和感のない操舵フィーリングを与えることができる。そして、電流指令値演算部23は、アシスト制御部26により生成される基本アシスト制御量Ias*に、試験トルク制御量Itt*を加算することにより、電流指令値I*を生成する。
次に、操舵トルクτの変化量ΔT(n+1)の演算手順を説明する。
図52に示すように、試験トルク制御部31は、アシスト継続制御中か否かを判定する(ステップ6001)。そして、アシスト継続制御中の場合(ステップ6001:YES)、試験トルク制御部31は、今回の試験トルク印加指令が正側(+側)か否かを判定する(ステップ6002)。試験トルク印加指令が正側(+側)の場合(ステップ6002:YES)、試験トルク制御部31は、正側(+側)の試験トルク制御量Ittp*(n)を図2に示す加算器33に出力する(ステップ6003)。
そして、試験トルク制御部31は、ステップ6004へ処理を移行する。ステップ6004では、試験トルク制御部31は、正側(+側)の試験トルク制御量Ittp*(n)が出力された時点の操舵トルクτ(n)、即ち、瞬発的なモータトルクが残存センサ信号に反映される前の操舵トルクτ(n)を取り込み、取り込まれた操舵トルク(n)をラッチする(T(n)=τ(n))。
次に、試験トルク制御部31は、確認タイマ(図示せず)がタイムアップしたか否か、即ち、試験トルク制御量が出力された時点から操舵トルク変化量測定時間trrが経過したか否かを判定する(ステップ6005)。確認タイマは、試験トルク制御部31の一機能として設けられる。確認タイマは、試験トルク制御量を出力した時点で始動し、その時点から操舵トルク変化量測定時間trrが経過した時点でタイムアップする。
確認タイマがタイムアップした場合(ステップ6005:YES)、試験トルク制御部31は、ステップ6006に処理を移行する。ステップ6006では、試験トルク制御部31は、基本アシスト制御量Ias*に試験トルク制御量Ittp*(n)が加算された電流指令値I*により発生した操舵トルクτ(n+1)を取り込み、取り込まれた操舵トルクτ(n+1)をラッチする(T(n+1)=τ(n+1))。確認タイマがタイムアップしていない場合(ステップ6005:NO)、試験トルク制御部31は、タイムアップするまで待つ。
次に、試験トルク制御部31は、ステップ6007へと処理を移行させる。ステップ6007において、制御トルク制御部31は、操舵トルクT(n)と、操舵トルクT(n+1)との差分、即ち、次式に基づき操舵トルク変化量測定時間trrにおける操舵トルク変化量ΔT(n+1)を演算して、処理を終了する。
・ΔT(n+1)=T(n+1)-T(n)
試験トルク印加指令が負側(−側)の場合(ステップ6002:NO)、試験トルク制御部31は、負側(−側)の試験トルク制御量Ittn*(n)を加算器33に出力する(ステップ6008)。その後、試験トルク制御部31は、ステップ6004、ステップ6005、ステップ6006、ステップ6007と処理を進めて、処理を終了する。
次に、試験トルク制御量の変更処理の手順を説明する。
図53に示すように、試験トルク制御部31は、瞬発的なモータトルクが正側(+側)か否かを判定する(ステップ6011)。そして、瞬発的なモータトルクが正側(+側)の場合(ステップ6011:YES)、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Ittp*(n)を取り込む(ステップ6012)。
次に、試験トルク制御部31は、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下(0≦|ΔT(n+1)|≦T1)であるか否かを判定する(ステップ6013)。所定トルク値T1は、本例では0.5Nmに設定されている。
操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下の場合(ステップ6013:YES)、試験トルク制御部31は、次式に基づき次回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n+1)を演算する(ステップ6014)。本例では、補正電流値αを1Aとしている。
・Ittp*(n+1)=Ittp*(n)+α
試験トルク制御部31は、次回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n+1)を今回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n)として(ステップ6015)、処理を終了する。
また、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下でない場合(ステップ6013:NO)、試験トルク制御部31は、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上(|ΔT(n+1)|≧T2)か否かを判定する(ステップ6016)。本例では、所定トルク値T2は、1Nmに設定されている。
操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上の場合(ステップ6016:YES)、試験トルク制御部31は、次式に基づき次回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n+1)を演算する(ステップ6017)。
・Ittp*(n+1)=Ittp*(n)-α
そして、試験トルク制御部31は、ステップ6015に処理を移行し、次回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n+1)を今回出力用の試験トルク制御量Ittp*(n)として処理を終了する。また、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上でない場合(ステップ6016:NO)、試験トルク制御部31は、何もせずに、処理を終了する。また、ステップ6011において、瞬発的なモータトルクが正側(+側)でない場合(ステップ6011:NO)、試験トルク制御部31は、負側の試験トルク制御量Ittn*(n)を取り込む(ステップ6018)。
次に、試験トルク制御部31は、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下(0≦|ΔT(n+1)|≦T1)か否かを判定する(ステップ6019)。そして、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下の場合(ステップ6019:YES)、試験トルク制御部31は、次式に基づき次回出力用の試験トルク制御量Ittn*(n+1)を演算する(ステップ6020)。
・Ittn*(n+1)=Ittn*(n)-α
そして、試験トルク制御部31は、次回出力用の試験トルク制御量Ittn*(n+1)を今回出力用試験トルク制御量Ittn*(n)として(ステップ6021)、処理を終了する。また、ステップ6019において、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が零以上かつ所定トルク値T1以下でない場合(ステップ6019:NO)、試験トルク制御部31は、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上(|ΔT(n+1)|≧T2)か否かを判定する(ステップ6022)。そして、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上の場合(ステップ6022:YES)、試験トルク制御部31は、次式に基づき次回出力用の試験トルク制御量Ittn*(n+1)を演算する(ステップ6023)。
・Ittn*(n+1)=Ittn*(n)+α
次に、試験トルク制御部31は、ステップ6021に処理を移行し、次回出力用の試験トルク制御量Ittn*(n+1)を今回出力用の試験トルク制御量Ittn*(n)として処理を終了する。また、ステップ6022において、操舵トルク変化量ΔT(n+1)の絶対値が所定トルク値T2以上でない場合(ステップ6022:NO)、試験トルク制御部31は、何もせずに、処理を終了する。
また、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量Itt*を出力する毎に、試験トルク制御量Itt*に基づく瞬発的なモータトルクが印加される旨を示す試験トルク印加信号Simを生成する。そして、異常検出部30は、試験トルク印加信号Simに基づいて、アシスト継続制御時における残存センサ素子の故障を判定する。即ち、異常検出部30は、図4および図6に示す各処理を実行して、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障の有無を判定する。
以上、第11の実施の形態によれば、次の効果を得ることができる。
(15)マイコン21は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力の付与とは関係なく、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加する。このとき、マイコン21は、瞬発的なモータトルクの印加がセンサ信号に反映される前の操舵トルクと、反映された後の操舵トルクとの偏差である操舵トルク変化量ΔTを演算する。そして、マイコン21は、演算された操舵トルク変化量ΔTの大きさにより、次回に出力する試験トルク制御量Itt*の大きさを変更する。具体的には、操舵トルク変化量ΔTの絶対値の大きさがT1以上かつT2以下(T1≦|ΔT(n+1)|≦T2)になるように、マイコン21は、試験トルク制御量Itt*の大きさを調整する。
この構成によれば、瞬発的なモータトルクによる操舵トルク変化量ΔTの大きさを、車両状態や操舵状態にかかわらず略一定に調整することができる。そのため、大きさ一定の瞬発的なモータトルクを印加した場合の懸念、即ち、アシスト力および瞬発的なモータトルクの向き及び大きさの関係が車両状態や操舵状態に基づき逐次変化して生じるセンサ信号の誤検出をなくすことができる。
(16)マイコン21は、瞬発的なモータトルクの印加方向と、瞬発的なモータトルクによる操舵トルク変化量の大きさとにより、瞬発的なモータトルクの大きさを変更する。この構成によれば、操舵トルク変化量の大きさを略一定に維持するのに最適な大きさの瞬発的なモータトルクを印加できる。その結果、誤判定の発生を抑えて、より安定的に、アシスト力の付与を継続することができる。
なお、第11の実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第11の実施の形態では、可変機能手段に用いた補正電流値α、所定トルク値T1および所定トルク値T2を固定値としたが、これらの値を車速、ヨーレートおよび横Gに応じて変更してもよい。
・第11の実施の形態では、試験トルク制御量Itt*が出力された時点の操舵トルクτ(n)を取り込みラッチしたが、次のようにしてもよい。即ち、操舵トルクτ(n)は1点のみのサンプリング値でなく、操舵トルクτ(n)の何点かをサンプリングし、その平均値をラッチしてもよい。また、操舵トルクτ(n)ではなく、モータ回転角を使用してもよい。
<第12の実施の形態>
次に、本発明の第12の実施の形態を説明する。本例は、基本的には、第1の実施の形態と同様の構成を備えている。したがって、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本例においても、ECU11は、図3のフローチャートに従い、異常検出部30によって検出されるトルクセンサ14の異常発生モードに応じて、そのパワーアシスト制御を実行する。
また、本例においても、残るセンサ信号が一つになった後のアシスト継続制御を安全に行なうため、EPS本来の機能であるアシスト力の付与に関連して、周期的に瞬発的なモータトルクを操舵系に印加し、瞬発的なモータトルクに起因するトーションバー16の捩れが、図28や図56(a)に示すように、残存センサ信号に反映されるか否かに基づき、残存センサ信号の異常を検出する。
ここで、トーションバー16は、捩れが大きくなるほど弾性率が増加する性質を有する。そのため、トーションバー16が大きく捩れている状態で瞬発的なモータトルクが印加されると、トーションバー16にあまり捩れが生じていない状態で瞬発的なモータトルクが印加された場合に比べ、トーションバー16に生じる捩れは小さくなる。第1の実施の形態では、周期的に印加する瞬発的なモータトルクの大きさを一定量としていた。しかしながら、操舵系に付与されるアシスト力が小さくトーションバー16にあまり捩れが生じていない状態、即ち、トーションバー16の弾性率が小さい状態で瞬発的なモータトルクが印加されると、瞬発的なモータトルクの印加による操舵トルクの変化量が過大になるおそれがあった。逆に、操舵系に付与されるアシスト力が大きくトーションバー16に大きな捩れが生じている状態、即ちトーションバー16の弾性率が大きい状態で瞬発的なモータトルクが印加されると、瞬発的なモータトルクの印加による操舵トルクの変化量が過小になるおそれがあった。そのため、残る出力要素(センサ素子)が出力するセンサ信号が正常であるにも関わらず、トルクセンサ14が異常であると誤検出されたり、誤検出により操舵フィーリングが悪化したりする懸念があった。このため、本例では、次の構成を採用している。
図54に示すように、本例の試験トルク制御部31には、第1の実施の形態と異なり車速Vが入力される。また、図55に示すように、試験トルク制御部31は、試験トルク制御量生成部80を有している。試験トルク制御量生成部80には、車速V、異常検出信号Str、および試験トルク制御量Itt*の向きを示す出力指令信号が入力される。
試験トルク制御量生成部80は、試験トルク制御量Itt*のゲイン決定マップ81、一時記憶EEPROM82、および第1、第2の乗算器84,86を有している。ゲイン決定マップ81は、車速VとゲインGとの関係を規定し、ゲインGは、車速Vが低速から高速になるほど漸減するように設定されている。第1の一時記憶EEPROM82には、試験トルク制御量Itt*の高さ(h)、即ち、試験トルク制御量Itt*の値の大きさ(規定値)を示す情報が記憶されている。
第1の乗算器84では、ゲイン決定マップ81により得られるゲインGと、一時記憶EEPROM82に記憶された試験トルク制御量Itt*の高さ(h)とが掛け合わされて出力される。第2の乗算器84では、第1の乗算器84の出力(G*h)、異常検出信号Str、および試験トルク制御量出力指令信号が掛け合わされ試験トルク制御量Itt*を生成する。試験トルク制御量Itt*は、図54に示す加算器33へ供給される。
このように、マイコン21は、アシスト継続制御時において、車両走行状態(車速V)を加味した試験トルク制御量Itt*を周期的に操舵系に印加する。本例の異常検出部30も、第1の実施の形態と同様に図4および図6のフローチャートに従い、センサ素子の故障の有無を判定する。
次に、図56(a),(b)に示す仮想的な車両の操舵状態に基づき、試験トルク制御量Itt*の出力方法を説明する。
図56(a)は、車両のある仮想操舵状態における電流指令値(I*)、基本アシスト制御量(Ias*)、試験トルク制御量(Itt*)、および操舵トルク(τ)を示す説明図である。図56(a)において、左縦軸は、電流指令値(I*)、基本アシスト制御量(Ias*)、および試験トルク制御量(Itt*)を表し、右縦軸は、操舵トルク(τ)を表している。横軸は時間軸である。
図56(a)において、4個のパルス状信号は、試験トルク制御量Itt*(1)〜Itt*(4)である。また、図56(a)の下側の曲線は基本アシスト制御量(Ias*)を表し、基本アシスト制御量(Ias*)と試験トルク制御量Itt*(1)〜Itt*(4)とを加算したものが電流指令値(I*)である。また、図56(a)の上側の曲線は操舵トルク(τ)を表し、Δτは試験トルク制御量(Itt*)を印加したときの操舵トルクτの変化量を表している。
図56(b)は、図56(a)の時間経過における車速Vの変化と、車速Vの変化に対応するゲインGの変化とを表している。図56(b)に示すように、本例において、時間tαまでは車速Vが一定の低車速に維持され(直線V1)、時間tα以降は車速Vが漸増する(直線V2)場合を想定する。一方、試験トルク制御量Itt*のゲインGは、時間tαまでは直線G1で示すように高ゲインに維持され、時間tα以降は曲線G2で示すように漸減する。
図56(a)に示すように、試験トルク制御量Itt*(1),Itt*(2)は、ほぼ同じ値である。これは、試験トルク制御量Itt*(1),Itt*(2)が出力される時間(時間tα以前)の車速Vが一定の低車速で維持され、ゲインGがほぼ同じ値になるためである。
これに対し、試験トルク制御量Itt*(3),Itt*(4)は、試験トルク制御量Itt*(1),Itt*(2)と比較して小さな値となる。これは、試験トルク制御量Itt*(3),Itt*(4)の出力時(時間tα以降)の車速Vが、試験トルク制御量Itt*(1),Itt*(2)の出力時(時間tα以前)の車速Vよりも増加していることに対応して、ゲインGが減少するためである。また、試験トルク制御量Itt*(4)の出力時の車速Vは、試験トルク制御量Itt*(3)の出力時の車速Vよりも大きいため、これに応じてゲインGが小さくなり、試験トルク制御量Itt*(4)は、試験トルク制御量Itt*(3)よりも小さくなっている。
ここで、パワーアシスト制御において、検出される操舵トルクτが同一の場合、車速が小さいときの方が、車速が大きいときよりも操舵系に付与されるアシスト力が大きい。より大きなアシスト力が操舵系に付与されるため、トーションバー16に生じる捩れも車速が小さいときの方が、車速が大きいときよりも大きくなる。また、トーションバー16に大きな捩れが生じている状態、即ち、トーションバー16の弾性率が大きい状態では、トーションバー16にあまり捩れが生じていない状態、即ち、トーションバー16の弾性率が小さい状態に比べ、瞬発的なモータトルクの印加による操舵トルクの変化量が小さくなる。即ち、車速が相違すると、瞬発的なモータトルクの印加による操舵トルクの変化量にばらつきが生じてしまう。
これに対し、本例の試験トルク制御量生成部80は、車速Vが低速から高速になるほど漸減するゲインGに基づき試験トルク制御量Itt*の大きさを変更し、瞬発的なモータトルクの印加時におけるトーションバー16の捩れがほぼ一定になるようにした。図56(a)に示すように、車速が大きいときの試験トルク制御量Itt*(4)は、車速が小さいときの試験トルク制御量Itt*(1),Itt*(2),Itt*(3)に比べ小さく設定されるが、瞬発的なモータトルクの印加による操舵トルクの変化量Δτ4は、他の操舵トルクの変化量Δτ1,Δτ2,Δτ3とほぼ同値となる。
以上、第12の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(2),(4)の効果に加えて、次の効果を得ることができる。
(17)マイコン21は、アシスト継続制御の実行時、アシスト力の付与とは関係なく、操舵系に正負交互に印加すべくEPSアクチュエータ10の作動を制御する。このとき、マイコン21は、車速が高速になるほど漸減するゲインを用いて瞬発的なモータトルクの印加量を変更する。そして、瞬発的なモータトルクの印加が、アシスト継続制御の基礎となる残存センサ信号に反映されるか否かに基づいて、マイコン21は、残存センサ信号の異常を検出する。
この構成によれば、車速の変化に応じて、瞬発的なモータトルク印加量を変化させることができる。車速が低速の場合、操舵系に付与されるアシスト力が大きいため、トーションバー16は、アシスト力により大きく捩られている。この状態では、トーションバー16の弾性率が比較的大きくなっているため、瞬発的なモータトルクの印加によってもトーションバー16は捩れにくい。そこで、マイコン21は、高速時よりも大きな瞬発的なモータトルクを印加することによりトーションバー16の捩れを大きくする。逆に、車速が高速の場合、操舵系に付与されるアシスト力が小さいため、アシスト力によるトーションバー16の捩れは小さい。この状態では、トーションバー16の弾性率が比較的小さいため、瞬発的なモータトルクの印加によってトーションバー16は捩れ易い。そこで、マイコン21は、低速時よりも小さな瞬発的なモータトルクを印加することによりトーションバー16の捩れを小さくする。これにより、瞬発的なモータトルクの印加によるトーションバー16の捩れを一定にすることができる。トーションバー16の捩れが一定になるため、トルクセンサ14が正常にもかかわらず、トルクセンサ異常と誤検出(誤判断)されたり、操舵フィーリングが悪化したりすることを防止することができる。その結果、より安定的にアシスト力の付与を継続することができる。
第12の実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第12の実施の形態において、試験トルク制御量生成部80は、車速Vに応じたゲインGをゲイン決定マップ81に基づいて決定し、決定したゲインGを試験トルク制御量Itt*の高さ(h)に乗算して、試験トルク制御量Itt*を生成したが、この態様に限定されない。図57に示すように、試験トルク制御量生成部80は、第12の実施の形態のゲイン決定マップ81、一時記憶EEPROM82、および第1の乗算器84に相当する試験トルク制御量Itt*の高さ決定マップ91を備えてもよい。高さ決定マップ91は、車速Vと試験トルク制御量Itt*の高さとの関係を規定し、車速Vが低速から高速になるほど試験トルク制御量Itt*の高さが漸減するように設定されている。これにより、第12の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
・第12の実施の形態において、試験トルク制御量生成部80は、瞬発的なモータトルクによる操舵トルクの変化量Δτが一定になるように、車速Vに応じて試験トルク制御量Itt*の大きさを変更したが、この態様に限定されない。図58に示すように、試験トルク制御量生成部80は、前回の演算周期における操舵トルクの変化量Δτ(n-1)に応じて、試験トルク制御量Itt*の大きさを変更してもよい。具体的には、試験トルク制御量生成部80は、前回の演算周期における操舵トルクの変化量の絶対値(|Δτ(n-1)|)が小さな値から大きな値になるほど、試験トルク制御量Itt*の高さhが漸減する高さ決定マップ95を有する。前回の演算周期における操舵トルクの変化量の絶対値|Δτ(n-1)|が大きい場合、試験トルク制御量生成部80は、高さ決定マップ95に基づき、今回印加される瞬発的なモータトルクが小さくなるように小さな試験トルク制御量Itt*の高さhを決定する。逆に、前回の演算周期における操舵トルクの変化量の絶対値|Δτ(n-1)|が小さい場合、試験トルク制御量生成部80は、今回印加される瞬発的なモータトルクが大きくなるように大きな試験トルク制御量Itt*の高さhを決定する。これにより、瞬発的なモータトルクによる操舵トルクの変化量Δτをほぼ一定に保つことができる。
・図59に示すように、試験トルク制御量生成部80は、車両に作用する横方向加速度(以下、横Gとも称する)に応じて、試験トルク制御量Itt*の大きさを変更してもよい。具体的には、試験トルク制御量生成部80は、車両に作用する横Gが小さな値から大きな値になるほど、試験トルク制御量Itt*の高さhが漸増する高さ決定マップ96を有する。一般に、車両に作用する横Gが大きくなるほど、路面から操舵系に入力される反力トルクは大きくなる。そのため、運転者は、横Gが大きくなるほど、より大きな操舵トルクをステアリングホイール2に付与して操舵する。ステアリングホイール2に付与される操舵トルクが大きくなると、トーションバー16には大きな捩れが生じる。
これらを考慮し、車両に作用する横Gが大きい場合、試験トルク制御量生成部80は、トーションバー16に既に大きな捩れが生じており、瞬発的なモータトルクによる更なる捩れが生じにくい状態にあると判断する。そして、試験トルク制御量生成部80は、比較的大きな試験トルク制御量Itt*の高さhを、高さ決定マップ96に基づき決定する。逆に、車両に作用する横Gが小さい場合、試験トルク制御量生成部80は、トーションバー16にあまり捩れが生じておらず、瞬発的なモータトルクの印加による更なる捩れが生じ易い状態にあると判断する。そして、試験トルク制御量生成部80は、比較的小さな試験トルク制御量Itt*の高さhを、高さ決定マップ96に基づき決定する。これにより、瞬発的なモータトルクによる操舵トルクの変化量Δτをほぼ一定に保つことができ、第12の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
・上記において、試験トルク制御量生成部80は、車速V、操舵トルクの変化量Δτ、および横方向加速度のいずれか一つの車両状態量に応じて試験トルク制御量Itt*の大きさを変更したが、この態様に限定されない。例えば、試験トルク制御量生成部80は、操舵速度やヨーレート等の他の車両状態量に応じて、試験トルク制御量Itt*の大きさを変更してもよい。また、一つの車両状態量だけではなく、複数の車両状態量に基づき試験トルク制御量Itt*の大きさを変更してもよい。
・上記において、試験トルク制御量生成部80は、車速V等の車両状態量の変化に応じて試験トルク制御量Itt*の高さhを変更したが、この態様に限定されない。例えば、試験トルク制御量生成部80は、車速V等の車両状態量の変化に応じて、試験トルク制御量Itt*の出力時間trを変更してもよい。また、試験トルク制御量生成部80は、車速V等の車両状態量の変化に応じて、試験トルク制御量Itt*の高さhおよび出力時間trの両方を変更してもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
更に、各実施の形態は、次のように変更してもよい。
・第1〜第3の実施の形態では、瞬発的なモータトルクの印加方向を交互に変更したが、印加方向を変更しなくてもよい。更に、瞬発的なモータトルクの印加周期も、必ずしも変更しなくてもよい。この場合も、残存センサ信号の変化を監視することにより、残存センサ信号の異常を早期に検出することができる。第1〜第3の実施の形態のように、瞬発的なモータトルクの印加方向および印加周期を適宜変更する構成を採用した方がより好ましい。
・第4〜第7の実施の形態では、ステアリングセンサ17の中立位置近傍に所定の操舵角範囲を設定し、車両が直進走行状態か否かを判断したが、この構成に限定されない。ステアリングセンサ17に代えて、電流センサ27を用いてもよい。また、電流センサ検出範囲に中立位置近傍の所定の電流値範囲を設定することで、車両が直進操行状態にあるか否かを判断してもよい。
・第4〜第7の実施の形態では、アシスト制御量判定部28で生成されるFLGが0のケースでは瞬発的なモータトルクの印加を停止したが、この構成に限定されない。例えば、アシスト制御量判定部28で生成されるFLGが0の場合、瞬発的なモータトルクを発生させる基礎成分である試験トルク制御量Itt*の値を、第1所定電流値Ia1又は第2所定電流値−Ia1より小さな電流値(例えば、1/3程度の大きさ)に変更し、瞬発的なモータトルクを印加してもよい。これにより、運転者に絶えずトルクセンサの故障診断を行っていることを認識させることができる。
・第1〜第7の実施の形態では、残存センサ信号に対応するセンサ素子について故障判定を実行する間は、瞬発的なモータトルクを印加する周期を短くしたが、これに限定されない。図16に示すように、残存センサ信号の異常検出回数nに応じて、瞬発的名モータトルクの印加周期を変更してもよい。この構成によれば、その出力要素に故障が発生している可能性の高さに応じて、より適切に、瞬発的なモータトルクの印加周期を短くすることができる。また、アシスト継続制御の実行時における良好な操舵フィーリングを確保しつつ、より迅速且つ高精度に、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障判定を行うことができる。
この場合、故障判定によりセンサ素子が正常であることが確定した後、印加周期を基本周期(図5や図29に示す出力周期f1)に回復させるか、短縮化したままとするかについては、良好な操舵フィーリングの確保を重視するか、或いは早期の故障検出を重視するかによって、選択すればよい。
・第1〜第12の実施の形態では、本発明を、二系統のセンサ信号Sa,Sbを出力するトルクセンサ14の異常検出に具体化したが、これに限定されない。本発明を、3以上のセンサ信号を出力するトルクセンサの異常検出に適用してもよい。即ち、センサ信号の出力要素を3以上備え、故障が検出されていない出力要素が残り一つになった後、残りの出力要素が出力するセンサ信号を用いてアシスト力の付与を継続する場合、本発明を適用してもよい。
・また、本発明は、一方のセンサ信号を用いて操舵トルクを検出するEPSのトルクセンサの異常検出に適用してもよい。即ち、第1〜第12の実施の形態における瞬発的なモータトルクの印加およびセンサ信号への反映に基づく異常検出は、必ずしもトルクセンサの異常が検出された後の暫定制御時(アシスト継続制御時)に限定されず、通常制御時に実行してもよい。これにより、より高い信頼性を確保することができる。
・第1〜第12の実施の形態では、センサ素子を構成する磁気検出素子としてホールICを採用したが、MRセンサを採用してもよく、また、磁気式のトルクセンサ以外の異常検出に、本発明を適用してもよい。
・第1〜第12の実施の形態では、操舵系に対する瞬発的なモータトルクの印加を、周期的に行なうようにしたが、これに限定されない。ランダムに瞬発的なモータトルクを印加してもよい。そして、ランダムに印加される瞬発的なモータトルクが残存センサ信号に反映されるかどうかに基づいて、残存センサ信号の異常を検出してもよい。
・第1〜第12の実施の形態では、閾値時間T0(故障検出所定時間)内に閾値回数n0以上の残存センサ信号の異常が検出された場合、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障を確定したが、閾値時間T0の超過でタイムオーバーとしなくてもよい。また、一回の異常検出で、残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障を確定してもよい。第1〜第12の実施の形態のように、残存センサ信号について複数回の異常検出により残存センサ信号に対応するセンサ素子の故障を確定し、かつセンサ素子の故障判定に制限時間を設定する構成の方がより好ましい。
・第1〜第12の実施の形態では、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12には、ブラシ付き直流モータを採用したが、ブラシレスモータ、あるいは誘導モータを採用してもよい。特に、第1〜第10の実施の形態のように操舵速度に応じて瞬発的なモータトルクの印加周期を変更する場合、操舵速度の検出にブラシレスモータの回転センサを利用することが好ましい。
・第1〜第12の実施の形態では、本発明をいわゆるコラム型のEPS1に具体化したが、ピニオン型あるいはラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
・第1〜第12の実施の形態、および上記他の実施の形態は、適宜組み合わせて実施してもよい。例えば、第8、第9または第10の実施の形態に、第11または第12の実施の形態を組み合わせてもよい。また、これら組み合わせに対して、更に第6または第7の実施の形態を組み合わせてもよい。
・第1〜第12の実施の形態では、電動パワーステアリング装置のトルクセンサ14の異常検出について説明したが、例えば、エンジントルクの検出装置、あるいは各種のFA(Factory Automation)機器などの他の装置に設けられるトルクセンサの異常検出に適用してもよい。FA機器として、産業用ロボットおよび自動組立機器などがある。この場合であっても、トルクセンサの検出対象に対して瞬発的なトルクを印加することにより、センサ信号が変化するタイミングおよび変化方向を当然に予想し得る状況を作り出すことができる。そして、このような状況下において、センサ信号の変化を監視することにより、センサ信号が明らかに異常な値を示す以前の段階で、早期に、異常を検出することができる。
・第1〜第12の実施の形態では、トルクセンサ14の異常検出について説明したが、各実施の形態と同様の技術的思想に基づき、シャフトなどの回転体の回転を検出する回転センサの異常検出を行うこともできる。ホールICなどの回転センサ(センサ素子)の個数は、単数でもよいし、2個以上であってもよい。例えば、第8の実施の形態を、モータ一般の回転角を検出する回転センサの異常検出に適用する場合、図49のフローチャートの各処理における操舵トルクτを、モータの回転角(θ)に置換する。この場合、モータの回転角に応じてパルス状の電流(試験トルク制御量Itt*に応じた電流)がモータに供給される。そして、一方の回転センサにおいて生成されるセンサ信号に基づき得られる回転角が、パルス状の電流の方向に応じて変化するかどうかによって、回転センサの異常の有無を判定することができる。
・第1〜第12の実施の形態において、トルクセンサ14の2つのセンサ素子14a,14bは、トーションバー16のねじれ角を検出する回転センサとして見ることもできる。即ち、センサ信号Sa,Sbは、トーションバー16のねじれ角を示す第1および第2の回転角信号として見ることができる。そして、パルス状の電流(試験トルク制御量Itt*に応じた電流)をモータ12に供給したとき、各回転角信号がパルス状の電流の方向に応じて変化するかどうかによって、各センサ素子の異常の有無を判定してもよい。
・また、各実施の形態と同様の技術的思想に基づき、直線的に変位する検出対象の位置を検出する位置検出装置(センサ素子)の異常検出を行うこともできる。即ち、位置検出装置の制御装置は、検出対象の駆動源(モータなど)に対して、パルス状の駆動信号(瞬発的な制御量)を供給し、一方のセンサ素子において生成されるセンサ信号が、パルス状の駆動信号の正負の方向に応じて変化するかどうかによって、センサ素子の異常の有無を判定する。この場合も、センサ素子の個数は、単数でもよいし、2個以上であってもよい。

Claims (15)

  1. モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、
    前記モータ又は操舵系の一部を構成し、前記モータの回転に伴い回転する回転体と、
    前記回転体の回転に基づきセンサ信号を出力する回転センサと、
    前記センサ信号に基づき前記アシスト力を発生させるべく前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、
    前記センサ信号の異常を検出する異常検出手段とを備え、
    前記制御手段は、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべく前記操舵力補助装置の作動を制御し、
    前記異常検出手段は、前記瞬発的なモータトルクの印加が前記センサ信号に反映されない場合、前記センサ信号の異常を検出する電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、瞬発的なモータトルクを前記操舵系に対して正負交互に印加する電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記回転センサは、ステアリングシャフトの途中に設けられた前記回転体としてのトーションバーの捩れに基づきセンサ信号を出力するトルクセンサであり、
    前記電動パワーステアリング装置は、前記センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記トルク検出手段により検出される操舵トルクの絶対値が所定値以下の場合、前記アシスト力の付与とは関係なく、瞬発的なモータトルクを操舵系に正負交互に印加し、
    前記トルク検出手段により検出される操舵トルクの絶対値が所定値より大きい場合、前記アシスト力の付与方向に、瞬発的なモータトルクを操舵系に印加すべく前記操舵力補助装置の作動を制御する電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記瞬発的なモータトルクの印加が前記センサ信号に反映される前後において前記センサ信号に基づく値の変化量を演算するとともに、
    前記変化量の大きさに基づき瞬発的なモータトルクの大きさを変更する電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記変化量の絶対値が大きくなるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸減する電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記変化量の絶対値が第1の基準値以内のとき、次回印加する瞬発的なモータトルクの大きさを所定量大きくし、前記変化量の絶対値が前記第1の基準値よりも大きな第2の基準値以上のとき、次回印加する瞬発的なモータトルクの大きさを所定量小さくする電動パワーステアリング装置。
  7. 請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記回転センサは、前記センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、
    前記制御手段は、前記異常検出手段により故障の検出されていない前記出力要素が残り一つになった場合、前記アシスト力を低減する電動パワーステアリング装置。
  8. 請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    車速を検出する車速センサを備え、
    前記回転センサは、前記センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、
    前記制御手段は、車速が小さいほど大きなアシスト力を発生させるべく前記操舵力補助装置の作動を制御し、
    前記制御手段は、前記異常検出手段により故障の検出されていない前記出力要素が残り一つになった場合、前記車速を、前記車速センサによって検出される車速ではなく予め記憶された高車速相当値に固定する電動パワーステアリング装置。
  9. 請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    ステアリングに生じた操舵角を検出するステアリングセンサと、
    前記操舵角を微分することにより操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段とを有し、
    前記制御手段は、前記操舵角と前記操舵角速度の符号が異なる場合、前記アシスト力の大きさを零とする電動パワーステアリング装置。
  10. 請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記回転センサは、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づきセンサ信号を出力するトルクセンサであり、
    前記電動パワーステアリング装置は、前記センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段を備え、
    前記トルクセンサは、前記センサ信号を出力する複数の出力要素を有し、
    前記制御手段は、前記操舵トルクに対応した前記アシスト力を発生させるための電流指令値と前記モータに流れる実電流との偏差に基づき前記モータのフィードバック制御を行い、
    前記制御手段は、故障の検出されていない前記出力要素が残り一つになった後、残る出力要素が出力するセンサ信号を用いて前記アシスト力の付与を継続する場合、故障の検出されていない前記出力要素が二つ以上残存する場合に比較して、前記フィードバック制御において用いるフィードバックゲインを大きくする電動パワーステアリング装置。
  11. 請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    車速を検出する車速センサを備え、
    前記制御手段は、前記車速センサによって検出された車速に基づき前記瞬発的なモータトルクの大きさを変更する電動パワーステアリング装置。
  12. 請求項11に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、車速が高速になるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸減する電動パワーステアリング装置。
  13. 請求項1〜請求項12のうちいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    車両に作用する横方向加速度を検出する横Gセンサを備え、
    前記制御手段は、前記横Gセンサによって検出された横方向加速度に基づき前記瞬発的なモータトルクの大きさを変更する電動パワーステアリング装置。
  14. 請求項13に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、横方向加速度が大きくなるほど、印加する瞬発的なモータトルクの大きさを漸増する電動パワーステアリング装置。
  15. センサ異常検出装置であって、
    駆動源の駆動に応じて変位する検出対象の変位に応じた信号を生成するセンサと、
    前記センサにおいて生成される信号に基づき前記駆動源を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記センサにおいて生成される信号の異常を検出する異常検出手段を備え、
    前記異常検出手段は、前記制御装置により通常の制御量に加えて瞬発的な制御量が前記駆動源に供給された場合に前記瞬発的な制御量がセンサ信号に反映されないとき、前記センサ信号は異常である旨判定するセンサ異常検出装置。
JP2012556938A 2011-02-10 2012-02-10 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置 Active JP5617937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012556938A JP5617937B2 (ja) 2011-02-10 2012-02-10 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置

Applications Claiming Priority (18)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011027388 2011-02-10
JP2011027388 2011-02-10
JP2011052443 2011-03-10
JP2011052443 2011-03-10
JP2011054028 2011-03-11
JP2011054028 2011-03-11
JP2011057822 2011-03-16
JP2011057821 2011-03-16
JP2011057822 2011-03-16
JP2011057821 2011-03-16
JP2011064297 2011-03-23
JP2011064297 2011-03-23
JP2011082632 2011-04-04
JP2011082632 2011-04-04
JP2011105388 2011-05-10
JP2011105388 2011-05-10
JP2012556938A JP5617937B2 (ja) 2011-02-10 2012-02-10 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置
PCT/JP2012/053094 WO2012108525A1 (ja) 2011-02-10 2012-02-10 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012108525A1 JPWO2012108525A1 (ja) 2014-07-03
JP5617937B2 true JP5617937B2 (ja) 2014-11-05

Family

ID=46638737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012556938A Active JP5617937B2 (ja) 2011-02-10 2012-02-10 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8989966B2 (ja)
EP (1) EP2674348B1 (ja)
JP (1) JP5617937B2 (ja)
CN (1) CN103298687B (ja)
WO (1) WO2012108525A1 (ja)

Families Citing this family (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2933364B1 (fr) * 2008-07-07 2010-07-30 Jtekt Europe Sas Systeme de direction assistee electrique de vehicule automobile
US9707996B2 (en) * 2011-08-31 2017-07-18 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle drive-control device
CN104246442B (zh) * 2012-04-12 2017-04-26 三菱电机株式会社 旋转变压器装置、电动机控制装置及电动机控制方法
JP6078444B2 (ja) * 2013-09-20 2017-02-08 日立オートモティブシステムズ株式会社 パワーステアリング装置および車両搭載機器の制御装置
WO2015071974A1 (ja) * 2013-11-13 2015-05-21 三菱電機株式会社 回転機の制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5939238B2 (ja) * 2013-11-29 2016-06-22 トヨタ自動車株式会社 車両用操舵制御装置
WO2015141254A1 (ja) * 2014-03-19 2015-09-24 日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 パワーステアリング装置およびパワーステアリング装置の制御装置
KR101639479B1 (ko) * 2014-10-13 2016-07-13 주식회사 만도 전동식 조향 제어 방법 및 그 장치
JP2016185786A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 株式会社ショーワ 電動パワーステアリング装置および故障検出装置
JP6327198B2 (ja) * 2015-04-30 2018-05-23 株式会社デンソー 電動パワーステアリング制御装置
JP6384401B2 (ja) * 2015-05-20 2018-09-05 株式会社デンソー センサ装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置
JP6418063B2 (ja) * 2015-05-20 2018-11-07 株式会社デンソー センサ装置、これを用いた電動パワーステアリング装置、および、制御装置
JP6530654B2 (ja) * 2015-07-03 2019-06-12 日立オートモティブシステムズ株式会社 電動パワーステアリング装置
GB201513200D0 (en) * 2015-07-27 2015-09-09 Trw Ltd Control for electric power steering
JP6406155B2 (ja) * 2015-07-31 2018-10-17 株式会社デンソー センサ装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置
JP2017103899A (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 日本精工株式会社 モータ制御装置及びそれを備えた電動パワーステアリング装置
JP2017149373A (ja) * 2016-02-26 2017-08-31 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置
DE102016009684A1 (de) 2016-08-10 2018-02-15 Thyssenkrupp Ag Regelung eines Steer-by-Wire-Lenksystems
JP6838236B2 (ja) * 2016-09-09 2021-03-03 日立Astemo株式会社 車両制御装置、車両制御方法および電動パワーステアリング装置
CN107031596B (zh) * 2016-12-15 2019-04-12 上海拓为汽车技术有限公司 一种电动助力制动位移传感器诊断方法
JP6490725B2 (ja) * 2017-01-19 2019-03-27 アイシン精機株式会社 アクチュエータの制御装置及びステアリング装置
JP6228341B1 (ja) * 2017-05-26 2017-11-08 株式会社ショーワ 故障検出装置、電動パワーステアリング装置
KR102033556B1 (ko) * 2017-09-11 2019-11-08 주식회사 만도 센서신호 처리 장치 및 방법, 조향 제어 장치
DE102018211764A1 (de) * 2018-07-16 2020-01-16 Robert Bosch Gmbh Verfahren zur Ermittlung und/oder zur Überwachung eines mechanischen Zustands einer Spurstangenvorrichtung
JP7514599B2 (ja) * 2018-12-21 2024-07-11 株式会社ジェイテクト 操舵システム
KR102637909B1 (ko) * 2019-01-23 2024-02-19 에이치엘만도 주식회사 전동식 파워 스티어링 시스템의 리던던시 회로
DE102019106568A1 (de) * 2019-03-14 2020-09-17 Zf Automotive Germany Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Bestimmen eines Sensoroffsets
US20210331740A1 (en) * 2020-04-22 2021-10-28 Steering Solutions Ip Holding Corporation Systems and method for electronic power steering redundant bus communication
CN112660236B (zh) * 2020-12-29 2022-03-25 东风汽车集团有限公司 一种车辆转向控制方法、装置以及车辆转向系统

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004276697A (ja) * 2003-03-14 2004-10-07 Mitsubishi Motors Corp 電動パワーステアリング装置
JP2005037334A (ja) * 2003-07-18 2005-02-10 Calsonic Kansei Corp トルクセンサの故障診断方法

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2633108B2 (ja) 1991-06-05 1997-07-23 株式会社クボタ 磁歪式トルクセンサの検査装置
JP2000185657A (ja) 1998-12-22 2000-07-04 Kayaba Ind Co Ltd 電動式パワーステアリング装置
JP3784248B2 (ja) 2000-10-02 2006-06-07 株式会社ジェイテクト 回転角度検出装置、トルクセンサ及び舵取装置
JP3874642B2 (ja) 2001-05-18 2007-01-31 株式会社デンソー トルクセンサ及びこのトルクセンサを具備する電動パワーステアリング装置
JP2003261046A (ja) 2002-03-11 2003-09-16 Koyo Seiko Co Ltd 操舵装置の検査装置
JP2006117181A (ja) * 2004-10-25 2006-05-11 Favess Co Ltd 操舵制御装置
JP4600653B2 (ja) * 2004-10-28 2010-12-15 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置
JP5073323B2 (ja) * 2007-03-12 2012-11-14 本田技研工業株式会社 ステアリング保持状態判定装置、ドライバ覚醒度推定装置および適正進路維持装置
DE102007039212B4 (de) * 2007-08-20 2022-10-13 Volkswagen Ag Verfahren und Vorrichtung zur Erkennung blockierter elektromechanischer Systeme
JP5627842B2 (ja) * 2008-04-23 2014-11-19 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置
JP2009269540A (ja) * 2008-05-09 2009-11-19 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置
WO2010007784A1 (ja) * 2008-07-15 2010-01-21 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置
JP2010048760A (ja) 2008-08-25 2010-03-04 Jtekt Corp レゾルバの異常検出装置および電気式動力舵取装置
JP2010132253A (ja) * 2008-11-10 2010-06-17 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置
JP5526630B2 (ja) * 2009-07-08 2014-06-18 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
WO2011007784A1 (ja) * 2009-07-15 2011-01-20 旭硝子株式会社 積層体の製造方法及び積層体
JP5671790B2 (ja) 2009-09-01 2015-02-18 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP5789911B2 (ja) * 2009-10-06 2015-10-07 株式会社ジェイテクト 回転角検出装置及び電動パワーステアリング装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004276697A (ja) * 2003-03-14 2004-10-07 Mitsubishi Motors Corp 電動パワーステアリング装置
JP2005037334A (ja) * 2003-07-18 2005-02-10 Calsonic Kansei Corp トルクセンサの故障診断方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2012108525A1 (ja) 2014-07-03
EP2674348A4 (en) 2016-06-01
EP2674348B1 (en) 2017-10-04
US8989966B2 (en) 2015-03-24
CN103298687A (zh) 2013-09-11
US20130253773A1 (en) 2013-09-26
CN103298687B (zh) 2016-04-27
EP2674348A1 (en) 2013-12-18
WO2012108525A1 (ja) 2012-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5617937B2 (ja) 電動パワーステアリング装置およびセンサ異常検出装置
JP6179098B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6024656B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4675886B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
US8766589B2 (en) Motor control unit and vehicle steering system
US9359006B2 (en) Electric power steering system
JP2017077830A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2010076637A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5174596B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5526721B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5671790B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2012050261A (ja) モータ制御装置およびこれを備える電動パワーステアリング装置
JP2013141863A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2013079003A (ja) 車両用操舵装置
JP2010274842A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2012025262A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5407802B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2012046094A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2012046095A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2007145040A (ja) 電動操舵装置
JP2012240440A (ja) 電動パワーステアリング装置
WO2017068896A1 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2012254649A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2010269763A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2013121778A (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140819

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5617937

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150