JP5589590B2 - 応力緩和性に優れるPbフリーはんだ合金 - Google Patents
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Biは本発明の高温用Pbフリーはんだ合金の第1元素、すなわち主成分をなしている。BiはVa族元素(N、P、As、Sb、Bi)に属し、その結晶構造は、対称性の低い三方晶(菱面体晶)で非常に脆い金属であり、引張試験などを行うとその破面は脆性破面であることが容易に見て取れる。つまり純Biは延性的な性質に乏しく、実験結果ではBiの伸び率は、1.0%未満であった。また、Biは凝固時に膨張する金属であり、この凝固時の収縮率(−が膨張、+が収縮を意味する)は−3.2%〜−3.4%である。この膨張により残留応力が発生し、接合強度や信頼性が低下する。また、BiはNiと容易に反応し、脆い合金を生成し、接合性等が低下してしまうという問題も持っている。
Znは本発明の高温用Pbフリーはんだ合金の第2元素であり、必須の添加元素である。BiにZnを添加することによって、脆さや接合強度、信頼性等が格段に改善する。さらに、Znの添加により、BiとNiの反応の抑制や、はんだ合金中へのNiの拡散の抑制が可能となる。これは、ZnはNiとの反応においてBiよりも反応性が高く、Ni層の上面に薄いZn−Ni層を作り、これがバリアーとなってNiとBiの反応を抑えることによる。その結果、脆いBi−Ni合金が生成されず、さらにはNiがBi中に拡散することもなく、強固な接合性を実現することができる。さらにZnはBiとの2元系合金において、固相温度が約255℃であり、Zn含有量に左右されず、実質的に260℃以上のリフローに耐えることが可能であることも、本発明の高温用Pbフリーはんだの第2元素としての選定理由である。
Alは必要に応じて添加する元素であり、Alの添加によって、はんだ合金の濡れ性向上の効果と、加工性向上効果と、融点調整効果とを得ることができる。濡れ性が向上する理由は、AlはBiやZnより還元性が強いため、少量の添加であっても自らが酸化して濡れ性を改善することによる。
Snは本発明の高温用Pbフリーはんだ合金の特性をさらに向上させたい場合に添加する元素である。Snは、はんだ合金の濡れ性を向上させる役割を担っている。また、Snのもう一つ重要な役割に、Ni拡散の抑制効果がある。すなわち、SnはZnよりもイオン半径が小さく、3元共晶を引き起こし易いため、Niとの反応性に富んでいる。加えて、SnはZnより還元性が弱く酸化しにくいため、Znの一部と置換すべくZnに比べて少量のSnを添加することによって、Ni拡散の抑制効果を確保しながら濡れ性を向上させることができる。
Pは必要に応じて添加する元素であり、Pを添加することによって、Bi/Zn合金の濡れ性および接合性をさらに向上させることができる。この効果は、AlやSnが添加されている場合においても同様に発揮される。Pの添加により濡れ性向上の効果が大きくなる理由は、Pは還元性が強く、自ら酸化することによりはんだ合金表面の酸化を抑制することによる。
上記表1に示す試料1〜23のはんだ母合金を各々押出機にセットし、外径0.80mmのワイヤを加工した。具体的には、あらかじめ押出機をはんだ組成に適した温度に加熱しておき、各はんだ母合金をセットした。押出機出口から押し出されるワイヤ状のはんだは、まだ熱く酸化が進行し易いため、押出機出口は密閉構造とし、その内部に不活性ガスを流した。これにより、可能な限り酸素濃度を下げて酸化が進まないようにした。油圧で圧力を上げていき、はんだ母合金をワイヤ形状に押し出していった。ワイヤの押出速度はワイヤが切れたり変形したりしないように予め調整しておいた速度とし、同時に自動巻取機を用いて同じ速度で巻き取るようにした。
濡れ性(接合性)評価は、上記ワイヤ加工性の評価の際に得たワイヤ状のはんだ合金を用いて行った。まず、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。その後、ヒーター設定温度を340℃にして加熱した。
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、上記濡れ性評価と同様にして得たはんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。まず、はんだ合金が接合されたCu基板に対して、−40℃の冷却と150℃の加熱を1サイクルとして、これを300サイクルと500サイクル繰り返した。その後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。接合面に剥がれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。
はんだ接合の信頼性を評価するために大気中耐熱試験を行った。なお、この試験は、ヒートサイクル試験で用いた試料と同様のはんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。まず、150℃に加熱したオーブンに試料を入れ、1000時間経過後、取り出した。その後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。接合面に剥がれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。上記の評価および試験の結果を表2に示す。
Claims (2)
- はんだ接合面がNi層で構成される部材の接合に用いるPbフリーはんだ合金であって、Znを21.0質量%以上30.0質量%以下含有し、Alは1.0質量%以上含有しておらず、Snは10.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.5質量%を超えて含有しておらず、残部がBiからなることを特徴とするPbフリーはんだ合金。
- Al、SnおよびPのうちの1種以上が、Alの場合は0.02質量%以上、Snの場合は0.3質量%以上、Pの場合は0.001質量%以上含まれていることを特徴とする、請求項1に記載のPbフリーはんだ合金。
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