JP2017136627A - PbフリーIn系はんだ合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】 濡れ広がり性、接合性、及び熱伝導性に優れると共にボイドが非常に発生しにくく、よって高い接合信頼性を有するIn系はんだ合金を提供する。【解決手段】 Inを主成分とする好適にはリボン形状、シート形状、又は打抜き品の形態を有するIn系はんだ合金であって、Sn及びAgのうちの少なくとも1種を含有し、必要に応じてCu、Zn及びPのうち少なくとも1種を含有し、Snを含有する場合その含有量が0.01質量%以上11.0質量%以下であり、Agを含有する場合その含有量が0.01質量%以上21.0質量%以下であって、残部がIn及び不可避的不純物からなり、表面に厚み0.05μm以上0.1μm以下のAuめっきが施されており、且つ該Auめっきの表面が封孔処理されている。【選択図】 なし

Description

本発明は、封孔処理されたAuめっき層が表面に施されたPbフリーのIn系はんだ合金に関する。
はんだ合金は、一般的にシートやワイヤなどのはんだ使用時の形状に加工する際の加工性のほか、伸び率、引張強度、及びシェア強度などの機械的強度、更には濡れ性、熱伝導性、信頼性など、種々の特性をバランスよく具えていることが望まれる。各特性に要求される具体的な条件は、はんだの接合条件やはんだが使われている製品の使用環境などによって大きく異なる。
例えば、コンピューターや通信機器等の電子機器に使用される半導体装置において、Siチップ等の半導体素子を基板に接合してなる電子部品の該接合用はんだには、高い熱伝導性や優れた応力緩和性が要求される。このように高い熱伝導性が求められる理由は、半導体装置に搭載される電子部品のSiチップには100mm程度以上の接合面積を持つような大きなSiチップが使用されており、はんだ合金の熱伝導性が低いとこのような大きな接合面積を持つチップのはんだ接合の際、該はんだ合金を介して良好に熱を逃がすことができなくなり、チップの温度が上がり過ぎてチップやその接合部分更にはその周辺部分が破損するおそれがあるからである。
また、優れた応力緩和性が求められる理由は、上記電子機器ではSiチップに流れる電流が頻繁に断続して加熱と冷却による熱応力が激しく加わることが多く、また、自動車や太陽電池のような加熱と冷却が頻繁に繰り返される苛酷な環境で使用される電子機器の場合では、はんだに加わる応力が非常に大きくなるからである。基板の材質にCuを使用する場合はSiチップとの熱膨張率に約5倍の開きがあるため、上記した加熱と冷却の繰り返しで生じる応力は非常に大きなものとなり、更にチップサイズが大きくなるほどこの応力は大きくなる。
このような非常に大きな応力を緩和して高い信頼性を確保するためには、応力緩和できる柔らかいはんだを選定することが好ましい。その代表例としてIn系はんだが挙げられる。Inは非常に柔らかい金属であり、応力緩和性は最も優れるため、様々な用途のはんだ若しくはろう材として使用されている。但し、Inの柔軟な性質を活かすためには良好に接合できることが必須条件となる。即ち、良好な濡れ性が得られなければ接合強度が低下し、また接合部にボイドが発生して放熱性も低下するため、Inの柔軟な性質を活かした高い信頼性を得ることはできない。しかし、Inだけでは十分な濡れ性は得られず、更にInは柔らかすぎてシート形状に加工できない等の問題もある。即ち、Inを薄いシート状に加工しようとすると、圧延ロールに貼り付いたり、均一な厚さにならないという問題がある。
そこで、Inは他の元素と合金化して使用されている。In系合金を用いたはんだ若しくはろう材の具体例として、例えば特許文献1には、Pbを含まず、Inを主成分とするPbフリーIn系はんだ合金であって、Sn及びAgの少なくとも1種を含有し、Snを含有する場合その含有量が0.01質量%以上11.00質量%以下であり、Agを含有する場合その含有量が0.01質量%以上21.00質量%以下であるPbフリーIn系はんだ合金が記載されている。
また、特許文献2には、「ガラスエポキシ基板接続用鉛レスはんだのはんだ組成において、該はんだ表面にSnめっき若しくはSnとの合金めっきを1〜10μm施したことを特徴とするガラスエポキシ基板接続用鉛レスはんだ及びそれを用いた実装品」が開示されている。この技術は、「ガラスエポキシ基板にLSI、部品等を接続するため、最高温度220〜230℃でのはんだ付けが可能で、かつ150℃の高温でも機械的強度面で十分な信頼性を有する鉛レスはんだ及びそれを用いた実装品」を提供することを目的とするものである。更に特許文献3には、金−錫はんだの表面に相互拡散しない金めっき層による酸化防止層を形成することにより、強固な接合方法を得る技術が記載されている。
特開平2013−233577号公報 特開平8−164495号公報 特開2000−293147号公報
上記したようにIn系はんだは優れた応力緩和性を有するが、近年の技術進歩に伴い、特にコンピューターや通信機器などの分野では、より信頼性の高いはんだに対する要求が高まる一方である。即ち、これら高い信頼性が要求される分野では少ない数のSiチップに機能を集約化したり、高機能化に伴ってチップサイズを大型化した結果、Siチップ等の接合で使われるIn系はんだにはより一層優れた信頼性、即ち濡れ性、熱伝導性、接合性、及び応力緩和性が求められている。
上記特許文献1に記載のPbフリーIn系はんだ合金は、はんだ表面の酸化を抑制し、はんだ付け性を大きく向上させることができるものの、はんだ接合部に大きな強度が要求される場合は必ずしも十分な効果が得られるとはいえない。また、上記特許文献2に記載のはんだ表面にSnめっき若しくはSn合金めっきを施して形成されためっき皮膜は、はんだ濡れ性に優れていることから電子部品等に広く利用されているが、Sn又はSn合金めっき皮膜が空気中で高温高湿度条件下(以下、高湿度条件下という)、又は高温乾燥条件下(以下、高温条件下という)に長期間曝されたとき、表面が酸化されてめっき皮膜の変色やはんだ濡れ性の劣化が起こる問題がある。
また、上記特許文献3に記載のように、最表層の金めっき皮膜は酸化皮膜を形成し難いため、その性質を利用して、ハンダ接合性、ワイヤーボンディング性等の経時劣化を防止することが行われている。しかしながら、近年、コストダウンを目的に金めっき厚さを減らすことが行われており、そのためしばしばハンダ接合不良が発生している。特に、金めっきは膜厚が1μm程度以下ではめっき皮膜のピンホールを完全に無くすことができず、下地金属がピンホールから徐々に拡散して金表面に酸化物を形成し、これがハンダ接合不良やワイヤーボンディング性低下等を生じさせる大きな要因となっている。
本発明は、上記した従来のIn系はんだ合金が有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、濡れ広がり性、接合性、及び熱伝導性に優れると共にボイドの発生が抑えられたIn系はんだ合金を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係るPbフリーIn系はんだ合金は、Inを主成分とするIn系はんだ合金であって、Sn及びAgのうちの少なくとも1種を含有し、Snを含有する場合その含有量が0.01質量%以上11.0質量%以下であり、Agを含有する場合その含有量が0.01質量%以上21.0質量%以下であって、残部がIn及び不可避的不純物からなり、表面に厚み0.05μm以上0.1μm以下のAuめっきが施されており且つ該Auめっきの表面が封孔処理されていることを特徴としている。
上記した本発明のPbフリーIn系はんだ合金は、更にCu、Zn及びPのうちの少なくとも1種を含有してもよく、Cuを含有する場合その含有量が0.01質量%以上0.90質量%以下であり、Znを含有する場合その含有量が0.01質量%以上3.0質量%以下であり、Pを含有する場合は0.500質量%以下である。
本発明によれば、濡れ広がり性、接合性、及び熱伝導性に優れると共にボイドの発生を抑えることが可能な接合信頼性の高いはんだ合金を提供することができる。
In−Sn系状態図である。 SiチップとCu基板をはんだ合金で接合した接合体の側面図である。
はんだ接合時に優れた濡れ広がり性を得るためにははんだの表面状態が重要であり、特にはんだ表面に酸化されにくい反応性の低い元素が存在していることが好ましい。また、はんだが高い熱伝導性を確保するために欠かせない要素としてボイドの低減がある。即ち、ボイドが発生するとその部分に空間ができるため熱伝導率が極端に悪くなってしまう。ボイドの発生を抑制するには上記の濡れ広がり性と同様にはんだ表面に酸化されにくく、反応性の低い元素を存在させることが重要である。
本発明者はこのような観点から鋭意実験を重ねた結果、In系はんだ合金のはんだ表面に酸化されにくく且つ酸素との反応性の低い元素としてAuをめっきすることで上記した課題が解決し、前述したIn系はんだ合金が有する優れた応力緩和性等の特性を十分に発揮させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、かかる本発明のはんだ合金を構成する芯材としてのIn系はんだ合金、及びその外被材としてのAuめっきについて詳しく説明する。
<In>
Inは、本発明のIn系はんだ合金において主成分をなす必須の元素である。Inは実用的に使用できる元素のうちで最も柔らかく、その柔らかさに起因する非常に優れた応力緩和性のため、熱応力等を十分に吸収することができ、チップ接合体の信頼性を格段に向上させることができる。更に、Inは融点が156℃であり、比較的低い温度で溶融することもはんだ付けにおいて有利である。つまり、低い温度でチップを接合できるため設備費や電気代等を低く抑えることができる。
しかし、Inは濡れ性が良いとはいえず、Ag面やAu面にはある程度濡れて接合できるものの、Ni面などに対しては濡れ性が悪く、十分な強度の接合は期待できない。そのため、ボイドが発生しやすくなり、熱伝導性が低下するおそれがある。このような不十分なInの濡れ性を高めるため、更に融点や強度などを調整するため、Inは合金化する必要がある。Inの合金化のために添加する元素としては、以下に述べるようにSn又はAgが好ましい。
<Sn>
Snは、本発明のIn系はんだ合金において、Sn及びAgのうち少なくとも一方の含有が必須であるとの条件下で添加される元素である。SnとAgは同様の効果を奏するため、このようにSnとAgのうちのいずれか一方又は両方が含有されればよい。Snは一般的には柔らかい金属であるがInに比較すれば硬い。そのため、Inに適量のSnを含有させることによりはんだの硬さを調整することができ、加工性を改善することができる。更に、熱力学的にSnはInよりも酸化されにくく、基板の母材として一般的なCuとの反応性にも優れるため、Snを含有させることによって濡れ性を向上させることができる。
Snを含有する場合、その含有量は0.01質量%以上11.0質量%以下とする。Snの含有量が0.01質量%未満では含有量が少なすぎるため、その添加による効果が実質的に現われない。逆に11.0質量%を超えてしまうと、図1に示されているようにβ相が生成され、In固溶体との2相の領域に入ってしまう。また、この2相領域はSn含有量(又はIn含有量)に対して狭い領域であり、組織制御が非常に困難になってしまう。当然、β相は金属間化合物であって非常に硬くて脆いため、はんだ合金が硬くなりすぎて、必要とする応力緩和性が得られなくなる。尚、Snの具体的な含有量は、要求される特性に合わせて上記範囲内で適宜定めればよいが、0.2質量%以上6.0質量%以下の範囲ではSnの効果がより一層現われやすいため特に好ましい。
<Ag>
AgもSnと同様に本発明のIn系はんだ合金において、Ag及びSnのうち少なくとも一方の含有が必須であるとの条件下で添加される元素である。Agを含有させることによって得られる効果は大きく2つある。第一の効果は濡れ性の向上である。Agはチップや基板等の一番上のメタライズ層に用いられることからも分かるように濡れ性を向上させる効果が非常に大きい。つまり、濡れ性低下の主な要因はチップ等の最上層の接合面に酸化膜が形成されるためであるが、Agは非常に酸化されにくく、Inより酸化されにくい。従って濡れ性を低下させるような厚い酸化膜ができにくい。更に各種元素と合金化し易いため、濡れ性向上には最適な元素である。
第二の効果ははんだの加工性を調整できることである。すなわち、AgはInと共晶合金を作る(共晶点の組成:Ag=3.0wt%)ため、結晶が微細化してはんだが柔らかくなるが、In固溶体とAgIn金属間化合物の共晶合金であるため硬さを付与できる。従って、上記した濡れ性のほか、加工性、応力緩性等のバランスを考慮しながらAg含有量を調整すればよい。但し、本発明のIn系はんだ合金にAgを含有させる場合、その許容範囲は0.01質量%以上21.0質量%以下である。Au含有量が0.01質量%以下では少なすぎてその効果が実質的に現われない。逆に21.0質量%を超えると液相線温度が400℃を超える上、固相線温度と液相線温度の差が250℃とあまりにも大きくなりすぎるので溶け分かれ現象を起こすおそれがある。AgはSnよりも大きな効果を発揮するが、Agは高価な金属であるため、コストと効果のバランスを考慮し、Sn及びAgのうち1種以上を選定して含有量を決めればよい。
<Cu>
Cuは、本発明のIn系はんだ合金において、Cu、Zn及びPのうちの少なくとも1種の含有が好適であるとの条件下で添加される元素である。Cuを含有させることによって得られる効果は、SnやAgを含有させることで得られる効果と似ており、加工性と濡れ性の向上が得られる。また、Cuの添加で応力緩和性も向上する。従って、Cuは加工性、濡れ性、応力緩和性、更にはコスト等を考慮して必要に応じて添加される。Cuが濡れ性を向上させるメカニズムは、CuはInよりも酸化されにくいため、はんだ溶融時にはんだ表面付近にCuが存在することによってはんだの酸化を抑制することによるものである。
しかし、Cuの場合は、Inとの2元系状態図から分かるように含有させられる量が少ない。即ち、Cu含有量の上限値は0.90質量%であり、この値を超えると、Cuの増加に伴い液相線が急峻に立ち上がり、液相線温度が高くなりすぎると共に液相線温度と固相線温度の差が大きくなりすぎるため、はんだ溶融時に溶け別れ現象が起きるおそれがある。溶け別れが発生すると、接合強度が著しく低下してしまい、高い信頼性を得ることができなくなる。一方、Cu含有量の下限値は0.01質量%であり、この値未満では含有量が少なすぎるためCuを含有させた効果が得られない。
<Zn>
Znは、本発明のIn系はんだ合金において、Cu、Zn及びPのうちの少なくとも1種の含有が好適であるとの条件下で添加される元素である。Znを含有させることによって得られる効果は、前述したSn、Ag及びCuの場合と同様に濡れ性や加工性の向上である。しかし、そのメカニズムはそれらとは異なっている。
即ち、濡れ性の向上について、Sn、Ag及びCuは、それらの金属自体が熱力学的に酸化されにくいためはんだの表面酸化を抑制するが、Znはその逆でありInよりも酸化され易いため、Zn自体がInよりも優先的に酸化されて薄い酸化膜を形成することによりはんだの濡れ性を向上させるものである。つまり、Znが酸化されることによって、はんだ母相の酸化が抑制されるため、はんだ母相の酸化膜が厚くなるのを抑制することができる。
また、Znが加工性に効果を発揮するメカニズムは、ZnとInは共晶合金(共晶点の組成:Zn=2.2質量%)を作ることによるものである。一般的に、共晶合金が形成されると結晶が微細化して柔らかいInが更に柔らかくなるため、加工性を低下させかねない。しかし、Znは、それ自体がInよりも硬いため、はんだの柔らかさ(加工性)を微調整するには適した金属である。
Znの含有量は、上記したZnの作用により得られる加工性、濡れ性、及び応力緩和性のバランスを考えながら定めればよいが、具体的には0.01質量%以上3.0質量%以下が好ましい。Zn含有量が0.01質量%未満では、含有量が少なすぎるため、上記したZnの含有による効果が現われない。逆にZn含有量が3.0質量%を超えると、共晶点の組成を超えすぎてしまい、液相線温度と固相線温度の差が広がり、溶け別れが発生したり結晶粒が粗大化して加工性の制御が難しくなってしまう。
<P>
Pは、本発明のIn系はんだ合金において、Cu、Zn及びPのうちの少なくとも1種の含有が好適であるとの条件下で添加される元素である。Pの含有で得られる効果は濡れ性の向上であり、そのメカニズムは、Pは還元性が非常に強く、自ら酸化することによって、はんだ合金表面の酸化を抑制するというものである。従って十分な濡れ性が確保できない場合には、はんだにPを含有させることによって得られる濡れ性向上の効果は大きい。
また、Pの含有により、接合時にボイドの発生を低減させる効果も得られる。即ち、既に述べたようにPは自らが酸化しやすいため、接合時にはんだ合金の主成分であるInよりも優先的に酸化が進む。その結果、はんだ母相の酸化を防ぐ上、電子部品等の接合面を還元して濡れ性を確保することができる。このように接合の際にはんだや接合面表面の酸化物がなくなるため、酸化膜によって形成される隙間(ボイド)が発生し難くなり、接合性や信頼性等を向上させることができる。尚、Pは、はんだ合金や基板を還元して自らは酸化物になり、気化して雰囲気ガスに流されるため、はんだや基板等に殆ど残らない。このため、Pの残渣が信頼性等に悪影響を及ぼす可能性が低く、この点からも優れた元素といえる。
Pを含有する場合の含有量は、0.500質量%以下である。上記したようにPは非常に還元性が強いため、極めて微量でも濡れ性向上の効果が得られる。但し、0.500質量%を超えて含有しても、濡れ性向上の効果は殆ど変わらない上、過剰な含有によってPやP酸化物の気体が多量に発生してボイド発生率を上げてしまったり、Pが脆弱な相を形成して偏析し、はんだ接合部を脆化して信頼性を低下させたりする恐れがある。特にワイヤ形状などに加工する場合には、断線の原因になりやすいことが確認されている。尚、上記のPの効果を奏させるため、Pの含有量の下限は0.0005質量%が好ましい。
<Auめっき及びその方法>
上記したIn系はんだ合金の表面には厚さ0.05μm以上1.0μm以下のAuめっき層が形成されている。Auは反応性が低くて極めて酸化されにくいので、In系はんだ合金の酸化を防ぐことができ、上記した芯材としてのIn系はんだ合金との相乗効果により極めて優れた濡れ広がり性の効果とボイド発生の抑制の効果が得られる。このAuめっき層の厚みが0.05μm未満では薄すぎて上記の酸化防止の効果が得られにくくなり、逆に1.0μmを超えるとコスト削減の効果が得られにくくなる。
このAuめっき層は例えば湿式めっき又は乾式めっきで施すことができ、その方法についてはとくに限定はない。例えば湿式めっきの場合、シアンAu溶液を使用してAuめっきすることができる。その場合の溶液中のAu濃度は約5g/L、液温は50〜60℃、pHは6〜7が好ましい。この溶液中に例えばリボン状のIn系はんだ合金を搬送速度3〜4m/分程度で0.5〜3分間浸漬することで均一で斑のない、高品質のAuめっきを施すことができる。
<封孔処理>
金は高価な金属であるため、Auめっきのコストを下げる目的で様々な手段が採られている。その代表的な手段が金めっきの厚みを薄くすることであるが、金めっきの厚みが薄くなるに従って金めっき層のピンホールの数が指数関数的に増え、耐食性即ち上記の酸化防止効果が著しく低下し、濡れ広がり性が悪化したりボイドが発生したりしてはんだ材の接合性を低下させる。かかる耐食性の低下を防止するため、本発明ではピンホールの封孔処理を行っている。すなわち、各種の無機性あるいは有機性の薬品で金めっき層の表面を処理し、金めっき層を皮膜で塞ぐことで耐食性を向上させることができる。
封孔処理で得られる皮膜は大別して、有機アミンからの誘導体、メルカプタンと重金属との反応皮膜、又はワックス等に代表される有機皮膜と、クロム酸塩、重クロム酸塩、又は水酸化アルカリ金属の水溶液からの電解又は浸漬から得られる無機皮膜とに分類される。例えば、上記した方法でIn系はんだ合金をAuめっきした後、これを重クロム酸塩を主成分とする水溶液中で陰極的に電解処理することでAuめっきの表面に厚み30〜50オングストロームの無機皮膜を形成することができる。
以上説明したIn系はんだ合金を用いて半導体素子等を基板に接合することによって、ボイドが殆ど発生しなくなるので熱伝導性に優れた低熱抵抗のはんだ接合が可能になる。そして放熱性に優れるため大電流が流れる半導体素子の接合であっても熱応力を最小限に抑えることができ非常に高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のはんだ合金製造用として、In、Sn、Ag、Cu、Zn及びPを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら、切断及び粉砕などにより3mm以下の大きさに細かくした。次に、これら原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用のグラファイト製坩堝に入れた。
上記原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。原料が溶融しはじめたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかに坩堝を取り出し、坩堝内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。はんだ合金用の鋳型は、鋳造後に圧延、プレスを行うことを考慮し、幅50mm×厚さ5mm×長さ400mmものを用い、各試料の長さが320±5mmとなるように製造した。このようにして、上記原料の混合比率の異なる試料1〜30のIn系はんだ母合金を作製した。得られた試料1〜30のはんだ母合金の組成をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて組成分析を行った。
次に、上記試料1〜30のIn系はんだ母合金のうち試料1〜28について、下記のごとく圧延機でリボン状に加工し、更にAuめっきを施してから封孔処理を行った。試料29〜30については圧延を行ったが、上記Auめっき及び封孔処理は行わなかった。その後、これら試料1〜30のはんだリボンをプレス機で打抜いて、25.0mm×25.0mmの四角形状(以下、□25mm品とも称する)の打抜き品を製造した。更に□25mm品を用いて、基板とチップの接合体を作り接合性の評価1(ボイド率の測定)、接合性の評価2(シェア強度の測定)及び信頼性評価(ヒートサイクル試験)を行った。
<打抜き品の製造方法>
上記試料1〜30のはんだ母合金(厚さ5mmの板状インゴット)に対して、圧延機を用いて厚さ150μmになるまで圧延した。その際、In系はんだ合金は非常に柔らかいため、圧延には注意をはらった。すなわち、試料がロールに貼り付かないように潤滑油を適量かけながら圧延した。このようにロールとはんだリボン及びリボンとリボンの間に油膜を作ることによって、ロールとリボン又はリボン同士が貼り付くことを抑えることができた。試料の送り速度にも十分に配慮した。すなわち、送り速度が速すぎるとシート同士が貼り付きやすくなったり、張力がかかりすぎて切れてしまったりし、逆に送り速度が遅すぎると撓みが発生して巻きずれを起こしたり、均一な厚みのリボンが得られなかったりするので送り速度は0.5〜5m/分とした。
次に試料1〜28のはんだリボンに対して、Au濃度約5g/L、液温55℃、pH6.5のシアン金めっき液で、電流密度0.3A/dm、搬送速度3m/分、通電時間0.5分によりAuめっきを行った。その際、狙い通りの厚みになるようにめっきの電流値とめっき時間を調整した。このAuめっき後、封孔処理剤に1秒間浸漬して、表面処理を行なった。ここで、封孔処理剤としては、株式会社テトラ製「コンタクト表面処理剤C−2000」(基油:パラフィン系炭化水素、添加剤:エステル、複素環式化合物、フッ素化合物)を用いることで封孔処理を行った。得られたAuめっき済みIn系はんだ合金を有機溶剤で自動洗浄した後、乾燥した。Auめっきの有無とその厚さを上記の組成分析結果と共に下記表1に示す。尚、得られたAuめっき層の厚みはセイコーインスツル(株)製の蛍光X線膜厚測定装置により測定した。
Figure 2017136627
<接合性の評価1(ボイド率の測定)>
接合性を評価するため、Siチップと基板とを□25mm品のはんだ試料で接合した接合体を作製し、そのボイド率を測定した。具体的にはまずダイボンダー(ウェストボンド社製、MODEL:7327C)を起動し、加熱するヒーター部分にカバーをしてヒーター部の周囲から窒素を流しながら(窒素流量:合計8L/分)、ヒーター設定温度を融点より50℃高い温度にして加熱した。
ヒーターが設定温度で安定した後、上面にNiめっき(膜厚:3.0μm)を有するCu基板(板厚:0.3mm)をヒーター部にセッティングして25秒加熱し、次に□25mm品のはんだ合金試料をCu基板上に載せて25秒加熱し、更にSiチップを載せて3秒間スクラブした。スクラブ終了後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置いて十分に冷却させてから大気中に取り出した。
このようにして得た図2に示すような接合体の濡れ性を確認するため、接合体のボイド率をX線透過装置(株式会社東芝製 TOSMICRON−6125)を用いて測定した。具体的には、はんだ合金試料3でNiめっき層2を有するCu基板1とSiチップ4とが接合された接合体の接合面に対してSiチップ4側から垂直にX線を透過し、下記計算式1を用いてボイド率(%)を算出した。
[計算式1]
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだとCu基板の接合面積)×100
<接合性の評価2(シェア強度の測定)>
クラッド材の接合強度を評価するために、シェア強度測定器(Xyztec社製、Condor EZ ボンドテスタ)を用いてシェア強度の測定を行った。尚、この試験は、上記のボイド率の測定において作ったSiチップ接合体と同様のものを各3個ずつ作り、これを用いてシェア強度を測定し平均値をその試料のシェア強度とした。
具体的なシェア強度の測定方法は以下のとおりである。即ち、シェア強度測定器のワークホルダ(試料を固定する部分)にSiチップ面を上にして接合体試料を固定し、はんだにせん断応力を加えるためシェアツールをSiチップの側面に当てた。そして、自動測定によりシェアツールを接合体のSiチップの側面から荷重をかけていき、はんだ、又はSiチップが破壊するまで荷重をかけ、シェア強度を測定した。評価としては試料30の測定値を100%として各試料の測定値を相対評価した。
<信頼性の評価(ヒートサイクル試験)>
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。この試験は、上記した接合性の評価においてはんだ合金がCu基板に接合できた試料(濡れ性の評価が○又は△の試料)を各々2個ずつ用いて行った。それらのうち1方に対しては、−55℃の冷却と+100℃の加熱を1サイクルとするヒートサイクルを途中確認のため500サイクルまで繰り返し、残る1方に対しては、同様のヒートサイクルを1000サイクルまで繰り返した。
その後、500サイクル及び1000サイクルのヒートサイクルが施された試料を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。この観察の結果、接合面に剥がれが生じるか又ははんだにクラックが入った場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。これら信頼性の評価結果を上記の接合性の評価1〜2と共に下記表2に示す。
Figure 2017136627
上記表2から分かるように、本発明の実施例の試料1〜22のIn系はんだ合金は、接合性の評価1、2、及び信頼性の評価の全て項目において良好な特性を示している。即ち、接合性の評価1ではボイド率が0.1%以下であってボイドが殆ど発生しておらず、接合性の評価2では約110%以上の高いシェア強度を示した。更に、信頼性評価では1000サイクルまでに不良は一切発生しなかった。このように優れた結果が得られた理由は本発明のIn系はんだ合金ははんだ組成が適切な範囲にある上、その表面に封孔処理されたAuめっきが形成されていたためと考えられる。
一方、本発明の比較例の試料23〜30のIn系はんだ合金は、添加元素の含有量が適切でなかったか、若しくは封孔処理されたAuめっきが表面を覆っていなかったため、良好な接合ができず各種評価で好ましくない結果となった。すなわち、接合性の評価ではボイド率が5%以上であり、シェア強度は100%以下であった。そして、信頼性評価では試料29及び30を除いた全てにおいて500サイクルまでに不良が発生した。
1 Cu基板
2 Ni層
3 はんだ合金
4 Siチップ


Claims (5)

  1. Inを主成分とするIn系はんだ合金であって、Sn及びAgのうちの少なくとも1種を含有し、Snを含有する場合その含有量が0.01質量%以上11.0質量%以下であり、Agを含有する場合その含有量が0.01質量%以上21.0質量%以下であって、残部がIn及び不可避的不純物からなり、表面に厚み0.05μm以上0.1μm以下のAuめっきが施されており、且つ該Auめっきの表面が封孔処理されていることを特徴とするIn系はんだ合金。
  2. Cu、Zn及びPのうち少なくとも1種を更に含有しており、Cuを含有する場合その含有量が0.01質量%以上0.90質量%以下であり、Znを含有する場合その含有量が0.01質量%以上3.0質量%以下であり、Pを含有する場合その含有量が0.500質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のIn系はんだ合金。
  3. 形態がリボン形状、シート形状、又は打抜き品であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のIn系はんだ合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のIn系はんだ合金を用いて半導体素子が基板に接合されてなる電子部品。
  5. 請求項4に記載の電子部品を搭載した半導体装置。


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