JP5655714B2 - Bi系はんだを用いた半導体装置 - Google Patents

Bi系はんだを用いた半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5655714B2
JP5655714B2 JP2011129012A JP2011129012A JP5655714B2 JP 5655714 B2 JP5655714 B2 JP 5655714B2 JP 2011129012 A JP2011129012 A JP 2011129012A JP 2011129012 A JP2011129012 A JP 2011129012A JP 5655714 B2 JP5655714 B2 JP 5655714B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solder
layer
substrate
mass
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011129012A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012254470A (ja
Inventor
井関 隆士
隆士 井関
雅人 高森
雅人 高森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2011129012A priority Critical patent/JP5655714B2/ja
Publication of JP2012254470A publication Critical patent/JP2012254470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5655714B2 publication Critical patent/JP5655714B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、Biを主成分とするPdフリーはんだを用いた半導体装置に関する。
近年、環境に有害な化学物質に関する規制がますます厳しくなってきており、この規制は半導体素子を基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に関しても例外ではない。はんだ材料には古くから主成分としてPb(鉛)が使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで規制対象物質になっている。このため、Pbを含まないはんだ(以降、Pbフリーはんだとも称する)の開発が盛んに行われている。
半導体素子を基板に接合するために用いるはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)に大別される。それらのうち、中低温用はんだに関してはSnを主成分とするものでPbフリーが実用化されている。例えば、特許文献1には、Agが1.0〜4.0質量%、Cuが2.0質量%以下、Niが0.5質量%以下、Pが0.2質量%以下、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだ合金が記載されている。また、特許文献2には、Agが0.5〜3.5質量%、Cuが0.5〜2.0質量%、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだが記載されている。
一方、高温用のPbフリーはんだ材料に関しても、さまざまな機関で開発が行われている。例えば、特許文献3には、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃のBi/Agろう材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共晶合金に2元共晶合金を加え、さらに添加元素を加えたはんだ合金が開示されている。そして、このはんだ合金は、4元系以上の多元系はんだではあるものの、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能となることが示されている。
さらに特許文献5には、BiにCu−Al−Mn、Cu、またはNiを添加したはんだ合金が開示されている。そして、このはんだ合金は、Cu層を表面に備えたパワー半導体モジュールや絶縁体基板に使用した場合、はんだとの接合界面において不要な反応生成物が形成されにくくなるため、クラックなどの不具合の発生を抑制できると記載されている。
特開平11−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2006−167790号公報 特開2007−281412号公報
高温用のPbフリーはんだ材料に関しては、上記のようにさまざまな機関で開発されてはいるものの、未だ実用化の面で十分に満足できる特性を有するはんだ材料は見つかっていないのが実情である。
すなわち、一般的な基板の材料には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、作業温度は400℃未満が望ましく、370℃以下がより望ましい。しかしながら、例えば特許文献3に開示されているBi/Agろう材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される基板の耐熱温度を超えてしまうことになる。
また、高温用はんだに一般的に求められる特性としては、高い固相線温度、適度な液相線温度、低温と高温のヒートサイクルに対する高耐久性、良好な熱応力緩和特性、良好な濡れ広がり性などが挙げられるが、Biを主成分とするはんだの場合は、これらの諸特性に加えて、Bi系はんだに特有の問題を解決する必要がある。
すなわち、はんだ接合面を有する基板には、はんだ接合時の熱膨張による応力緩和や接合性の向上のため、めっきによるNi層が設けられることがある。このNi層のNiとはんだに含まれるBiとが接合時に急激に反応し、NiとBiとが脆い合金を生成すると共に、Ni層に破壊や剥離が生じてBi中に拡散し、接合強度が著しく低下することがある。
しかしながら、特許文献4には、かかるBi系はんだ中へのNi拡散の問題について何ら解決の手段が示されていない。また、Bi系はんだは脆弱な機械的特性を有しているが、この問題に対して改善をはかることについても何ら示されていない。
特許文献5においても、はんだとの接合表面がCu層ではなくNi層である場合が比較例としてとりあげられており、BiにCu−Al−Mn、Cu、またはNiを添加したはんだ合金では接合界面に多量のBiNiが形成され、その周囲には多数の空隙が観察されると記載されている。また、このBiNiは非常に脆い性質を有し、過酷な条件のヒートサイクルに対して信頼性が得られにくいことが確認できたとも記載されている。
本発明はかかるBi系はんだが有する特有の問題に鑑みてなされたものであり、はんだ接合部の接合強度が高く、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する半導体装置は、Ni層の上に厚さ0.01μm以上4.0μm以下のAg層を備えたはんだ接合面における接合に、Znを3.1質量%以上13.5質量%以下含有し、Al若しくはSn又はそれら両方を合計して0.1質量%以上2.0質量%以下含有し(Alが1質量%以上を除く)、Pを0.500質量%を超えて含有しておらず、残部がBi及び不可避的不純物であるはんだが用いられていることを特徴としている。
本発明によれば、Bi系はんだに含まれるNi拡散を抑制する効果のあるZn等の元素と、はんだ接合面のAgとが過剰に反応することが抑制されるので、半導体素子と基板との接合強度を向上させることができ、よって信頼性の高い半導体装置を得ることが可能となる。
実施例の濡れ性試験において、最上面のAg膜と、その下のNi膜とを備えたCu基板上に各試料のはんだ合金をはんだ付けしたときの状態を示す模式図である。
半導体素子を基板に実装する際、いわゆる高温用のはんだのリフロー温度は約260℃以上である。従って、半導体装置の内部に使用される高温用はんだは、約260℃以上の固相線が求められる。この条件を満たすPbフリーはんだの例として、Biを主成分としたBi系はんだを挙げることができる。
しかし、Bi系はんだは、はんだに含まれるBiが電子部品や基板が有するNi層のNiと反応し、はんだ接合部分が脆くなり易いという問題を有している。その対策として、Bi系はんだにZn、Sn、Alなどの元素を添加することが考えられる。これにより、はんだ付けの際、電子部品や基板のNi層の上にZnなどで形成される合金層が形成され、その結果NiとBiの過剰反応やBi中へのNi拡散を抑制することが可能となる。
例えば、Bi−Zn−Sn系はんだでは、はんだに含まれるZnやSnがBiより早くNi層と反応し、Ni層の上にZnやSnを含む合金層を形成する。この合金層がNi拡散を抑制する役割を担う。しかし、このBi−Zn−Sn系のはんだは、基板にAgメタライズ層が設けられている場合、基板と半導体素子との接合において問題を生ずる場合がある。
例えば、Agメタライズ層が厚い場合、Ni拡散を抑制すべく添加されたZn、Sn、Alなどの元素がAgと過剰に反応し、前述したNi拡散を抑制するZn合金層が形成されなくなる。加えて、Ag−Zn合金やAg−Sn合金は金属間化合物であって脆い上、はんだに含まれるZnやSnがAgとの反応に取られる結果、はんだが純Biに近づいてはんだ自身が脆くなってしまう。
基板のメタライズ層にAgを用いる理由は、濡れ性や接合強度が向上するからである。これは、Agは自らが酸化しにくいため、はんだ表面が酸化しにくくなり、よって濡れ性が向上することによるものと考えられる。なお、Bi系はんだの脆さを改善したり、濡れ性を向上させるたりするために、Bi系はんだにAgを添加することもある。このようなBi−Ag系はんだの場合は、特にBiとNiの反応が顕著に起こる。
上記したように、高温用PbフリーのBi系はんだにおいて、基板等のAg層が厚い場合、Ni拡散に対する抑制効果のあるZnやSnなどがAgと反応して脆い金属間化合物を生成するとともに、これらZnやSnなどはAgとの該反応に消費されてしまう。その結果、はんだが脆化し、実用的な信頼性が得られなくなるおそれがある。
このAgとの反応を抑制するにはAg層を薄くすることが非常に有効である。具体的には、Agの厚みを4.0μm以下、より好ましくは1.0μm以下に薄くすることにより、濡れ性に好適な厚さを確保しつつ、Agとの反応に奪われてしまうZn、Sn、Alの量を最低限に抑えることができる。
電子部品や基板のはんだ接合面の最上面に形成するAgメタライズ層は、前述したようにはんだの濡れ性を向上させ、これにより所望の接合強度や信頼性を確保することを主目的としているが、このAg層の厚さは必要以上に厚くする必要はない。具体的には、10nm程度の厚みがあれば、十分に濡れ性を確保することができる。また、コスト面からも可能な限りAg層は薄い方が好ましい。
このように、本発明の半導体装置は、Ni拡散の抑制効果のある添加元素を含んだはんだの組成、及びこのはんだで接合されるはんだ接合面におけるAg層の厚さを、以下に具体的に説明するように所定の範囲内にすることによって、当該添加元素とAg層との反応を許容範囲内に抑えることが可能となる。その結果、信頼性のあるはんだ接合が可能となる。
すなわち、本発明の半導体装置に用いるはんだは、Biを84重量%以上含有し、Znを0.2質量%以上13.5質量%以下含有し、Al若しくはSn又はそれら両方を合計して2.0質量%を超えて含有しておらず、Pを0.500質量%を超えて含有していない。この本発明の半導体装置に用いるはんだは、Al及びSnの内の少なくとも一方を合計して0.1質量%以上2.0質量%以下含有してもよい。はんだ合金の組成を上記範囲内に抑えることによって、高温用(約260℃〜400℃)のBi系はんだ合金が得られる。
Zn、Sn、又はAlの含有量が、それぞれ上記した下限値未満の場合は、添加量が少なすぎるため、BiとNiとの過剰な反応やBi中へのNiの拡散を抑制することが難しくなる。なお、Ag層の厚みが後述する0.01μm以上4.0μm以下の範囲内にあり、ZnがNi拡散を抑制する効果を十分に発揮する程度に含まれる場合は、SnやAlを含有させなくてもよい。
一方、ZnやAlが上記の上限値を超えると、これらの元素の強い還元性によりZnやAlが強固な酸化膜を形成し、濡れ性を大きく低下させる。また、液相線温度が高くなりすぎて、400℃以下での良好な接合ができなくなる。Snが上限値を超えると、固相線温度が139℃と低いBi−Sn二元系合金の影響を受けて、リフロー時に液相が多く生成され、電子部品が位置ずれを起こすおそれがある。
本発明の半導体装置に用いるはんだは、さらに必要に応じてPを0.001質量%以上0.500質量%以下含有してもよい。Pをこの範囲で添加することによって、濡れ性及び接合性をより一層向上させることができ、接合時のボイド発生を抑えることも可能となる。これは、Pは還元性が強いため、Biよりも優先して自ら酸化し、はんだ表面の酸化を抑制することによる。なお、Pの含有量が0.500質量%を超えると、Pの酸化物がはんだ表面を覆って逆に濡れ性を落としたり、PはBiへの固溶量が非常に少ないため、脆いPの酸化物が偏析したりするおそれがある。一方、0.001質量%未満では、含有量が少なすぎて添加する意味がない。
本発明の半導体装置に使用する基板のはんだ接合面に設けられるAg層の厚みは、当該はんだ接合面で使用されるはんだ組成、はんだ厚み、半導体素子の接合面積や接合条件等により適宜調整するのが好ましいが、概ね0.01μm以上4.0μm以下であり、0.01μm以上1.0μm以下が特に好ましい。この値が0.01μm未満では、安定的に濡れ性を確保することが困難になる。
また、このAg層の厚みが4.0μmを超えると、はんだ厚みが例えば150μm程度の厚みであったとしても、はんだ中のZnやAlなどがAgと反応して合金化し、脆いAg−Zn層などが厚く形成される。また、はんだ自身も純Biに近づいて脆化し、必要な接合強度や信頼性が得られなくなる。Ag層の厚みが1.0μm以下の場合は金属間化合物の生成量が減るため、より一層信頼性等を向上させることができる。また、高価なAgの使用量が減るので原料コストや製造コストを低く抑えることができるのでメリットがより大きくなる。
次に、具体的な実施例を示して本発明をさらに説明する。まず、原料として、それぞれ純度99.95質量%以上のBi、Zn、Al、Sn及びPを準備し、所定量を秤量してグラファイト坩堝に入れた。この坩堝を高周波溶解炉のコイル中にセットした。そして、溶融金属の酸化防止のため、不活性ガスに還元性ガス(水素)を約10容量%混ぜた混合ガスを坩堝内に流した。混合ガスの流量は0.8L/(分・kg)とした。
合金投入量及び各金属の融点を考慮し、適切な温度になるようにコイルに電流を流して加熱した。金属が溶融したことを確認してからガラス棒で溶融金属を攪拌し、十分混ざったところで高周波電源を切った。そして、速やかにグラファイト坩堝を取り出して、溶融金属を鋳型に流し込んだ。十分に冷却して試料が固まったことを確認した後、鋳型からはんだ母合金を取り出した。
このようにして、原料の混合比率がそれぞれ異なる試料1〜15のBi系はんだ母合金を作製した。得られた試料1〜15の各はんだ母合金の組成を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて分析した。その分析結果を下記表1に示す。
Figure 0005655714
上記表1に示す様々な組成のはんだ合金を、各々図1に示すようにNi膜及びAg膜が形成されたCu基板にはんだ付けすることによって、濡れ性(接合性)、Ni拡散、及びヒートサイクルに関する試験を行った。試験に先立ち、まず下記の方法で各試料のはんだ母合金からワイヤ状のはんだを加工すると共に、これらワイヤ状のはんだがそれぞれはんだ付けされる15枚の基板を作製した。なお、はんだの濡れ性等の評価は、通常、はんだ形状に依存しないため、ワイヤに代えてボールやペーストなどの形状で評価してもよい。
<ワイヤ加工>
表1に示す試料1〜15のはんだ母合金を1つずつ押出機にセットし、外径0.80mmのワイヤに加工した。具体的には、あらかじめ押出機をはんだ組成に適した温度に加熱しておき、はんだ母合金をセットした。押出機出口から押し出されるワイヤ状のはんだはまだ熱く酸化が進行し易いため、押出機出口は密閉構造にし、その内部に不活性ガスを流して可能な限り酸素濃度の低い雰囲気にして酸化が進まないようにした。
この状態で油圧で押出圧力を上げていき、はんだ母合金をワイヤ形状に押し出していった。その際、ワイヤの押出速度はワイヤが切れたり変形したりしないように予め調整しておいた速度とし、同時に自動巻取機を用いて押し出されたワイヤと同じ速度で巻き取るようにした。
<Cu基板>
上記試料1〜15のはんだ母合金から加工したワイヤがそれぞれはんだ付けされる15枚のCu基板(8mm×8mm×厚さ0.7mm)を準備した。これら15枚のCu基板には、各々以下の方法でNi膜(Ni層)及び該Ni膜の上のAg膜(Ag層)を形成した。なお、作業中にCu基板や装置が汚染されないように、保護手袋、保護マスク等を着用し、Cu基板はピンセットで取り扱うようにした。
まず、各Cu基板にめっき法でNi層を形成した。Ni層の厚さは、Ni拡散の有無を確認できるように約10μmにした。次に、Ni層が形成された各Cu基板を蒸着の際の基板ホルダーとなるガラス板に貼り付けた。このガラス板を蒸着機内にセットし、以下の方法でNi層の上に金属(Ag)を蒸着した。なお、蒸着用金属を飛ばす方法としては、電子ビーム法または抵抗加熱法のどちらを行ってもよいが、以下の説明では電子ビーム法について説明する。
蒸着用金属を載せるアルミナ製の皿(ハースライナー)に蒸着用金属を載せ、所定の位置にセットした。蒸着機の釜を閉じてローターリーポンプで粗引きした。絶対圧力で10Pa以下まで真空引きした時点でターボ分子ポンプに切り替え、高真空まで真空引きした。なお、高真空が達成されないと、残存する大気によって金属が酸化し、高品位の金属膜が形成されなくなるため、少なくとも1.0×10−3Pa以下まで真空度を上げる必要がある。
この状態で膜厚計の電源を入れた。さらに、膜が均一に形成されるようにガラス板がセットされているステージを回転させた。そして、電子ビームのスイッチを入れ、ガラス窓から蒸着金属の加熱具合を観察するとともに膜厚計の膜厚形成速度を監視しながら電流を少しずつ上げていった。約20(Å/秒)の速度で金属膜を蒸着させて行き、所定の膜厚のAg層を形成した。
なお、15枚のCu基板の内、11枚には膜厚約0.5μmのAg層を形成し、残る4枚には0.5μm以外の様々な膜厚のAg層を形成した。所定の膜厚に達した時点で電子ビームの電源のスイッチを切った。さらにターボ分子ポンプを停止し、蒸着機内に不活性ガスを入れた。蒸着機内が大気圧に達したのを確認した後、Cu基板を取り出した。
<濡れ性(接合性)評価>
濡れ性(接合性)は、下記表2に示すように、試料1〜15のはんだ母合金から加工したワイヤ状のはんだを、様々な膜厚のAg層が形成された15枚のCu基板にそれぞれはんだ付けし、そのはんだ付け後の状態を見て評価した。具体的には、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を用意し、そのヒーターを備えたサンプル搭載部分に2重のカバーをして当該サンプル搭載部分の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。
次に、ヒーターの温度を350℃に設定し、温度が安定するまで待った。温度が安定したのを確認後、サンプル搭載部分にCu基板を搭載して25秒加熱し、続けてはんだ試料をCu基板の上に載せてさらに25秒加熱した。この加熱後、Cu基板をサンプル搭載部分から取り上げてその横の窒素フローが確保されている場所に移して冷却した。十分に冷却した後、Cu基板を大気中に取り出して接合部分を確認した。確認の結果、接合できなかった場合を「×」、接合できたが濡れ広がりが悪かった場合(はんだが盛り上がった状態)を「△」、接合できてはんだが薄く濡れ広がった場合を「○」と評価した。その結果を下記の表2に示す。
<Ni拡散確認評価(EPMAライン分析)>
Cu基板に設けたNi膜(メタライズ層)のNiがBi中に拡散する問題が生じているか否かを確認するため、Cu基板のメタライズ層の層厚測定を次のようにして行った。まず、上記濡れ性評価で使用した、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、研磨機を用い粗い研磨紙から順に細かいものを用いて研磨し、最後にバフ研磨を行った。
次に、EPMA(装置名:SHIMADZU EPMA−1600)を用いてライン分析を行い、層厚の測定を行った。層厚は任意の3箇所を測定し、平均値を採用した。さらにCu基板にはNiが均一にめっきされていると判断し、初期Niめっき層の層厚としてはんだが接合されていない部分のNiめっきの厚さを測定した。同様にNi膜の上にはAgが均一に蒸着されていると判断し、初期Ag蒸着層の層厚としてはんだが接合されていない部分のAg層の厚さを測定した。これら初期Niめっき層の層厚及び初期Ag蒸着層の層厚、並びに接合後のNiめっき層の層厚を下記の表2に示す。
<ヒートサイクル試験>
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。まず、上記濡れ性評価と同様にしてはんだ合金が接合された15枚のCu基板の内、良好にはんだ付けすることができなかった試料11のCu基板を除く14枚のCu基板に対して、各々−40℃の冷却と150℃の加熱を1サイクルとして、これを所定の回数繰り返した。
上記所定の回数の加熱冷却サイクルが完了した後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。接合面にはがれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」と評価した。この評価の結果を下記の表2に示す。
Figure 0005655714
上記表2から分かるように、試料1〜9のはんだ母合金を用いたはんだをAg層を備えた基板にはんだ接合した場合は、本発明の要件が満たされていたため、いずれも優れた評価結果となった。すなわち、Ag層の表面での濡れ性は良好であって薄く濡れ広がり、はんだ接合時のNi拡散も十分に抑えられていた。さらに、ヒートサイクル試験では500回経過しても不良は発生しなかった。これらの結果より、Agメタライズ層の厚みを所定の範囲内に抑え、かつNi拡散を抑制する効果のある添加元素として、Zn及び必要に応じてAlやSnを所定の範囲内でBi系はんだに含有させることにより信頼性の高い接合が得られることが分かった。
一方、試料10〜15のはんだ母合金を用いたはんだをAg層を備えた基板にはんだ接合した場合は、本発明の要件が満たされていなかったため、いずれかの評価において好ましくない結果となった。具体的には、試料10ではNi拡散が進行してNi層が5.1μmまで薄くなった。試料11ではAgが蒸着されたCu基板に接合できなかった。また、ヒートサイクル試験では200回までに試料10、12〜15において不良が発生した。
試料10においてはんだ接合によってNiメッキ層が薄くなった理由は、Ag層の厚みが本発明の範囲から外れて厚すぎたため、Ni拡散を抑制する効果のあるZnやAlを消費してしまい、脆い金属間化合物を生成した上、はんだ中のZnやAlが極端に減少してはんだ自身が脆化したことによると考えられる。試料11のはんだがCu基板に接合できなかった理由は、Znの含有量が本発明の範囲から外れて多すぎるため、強固な酸化膜がはんだ表面に形成されたことによると考えられる。試料12〜15においてヒートサイクル200回で不良が発生した理由は、はんだ組成が本発明の範囲からはずれているため、良好な接合ができていなかったことによると考えられる。

Claims (3)

  1. Ni層の上に厚さ0.01μm以上4.0μm以下のAg層を備えたはんだ接合面における接合に、Znを3.1質量%以上13.5質量%以下含有し、Al若しくはSn又はそれら両方を合計して0.1質量%以上2.0質量%以下含有し(Alが1質量%以上を除く)、Pを0.500質量%を超えて含有しておらず、残部がBi及び不可避的不純物であるはんだが用いられていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記はんだは、Pを0.001質量%以上0.500質量%以下含有していることを特徴とする、請求項に記載の半導体装置。
  3. 前記Ag層の厚さが、0.01μm以上1.0μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体装置。
JP2011129012A 2011-06-09 2011-06-09 Bi系はんだを用いた半導体装置 Expired - Fee Related JP5655714B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011129012A JP5655714B2 (ja) 2011-06-09 2011-06-09 Bi系はんだを用いた半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011129012A JP5655714B2 (ja) 2011-06-09 2011-06-09 Bi系はんだを用いた半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012254470A JP2012254470A (ja) 2012-12-27
JP5655714B2 true JP5655714B2 (ja) 2015-01-21

Family

ID=47526552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011129012A Expired - Fee Related JP5655714B2 (ja) 2011-06-09 2011-06-09 Bi系はんだを用いた半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5655714B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6493161B2 (ja) * 2015-11-05 2019-04-03 トヨタ自動車株式会社 半導体装置の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3671815B2 (ja) * 2000-06-12 2005-07-13 株式会社村田製作所 はんだ組成物およびはんだ付け物品
JP3446829B2 (ja) * 2000-08-07 2003-09-16 サンケン電気株式会社 半導体装置
JP4401754B2 (ja) * 2003-11-28 2010-01-20 清仁 石田 熱電変換モジュールの製造方法
JP2011009331A (ja) * 2009-06-24 2011-01-13 Panasonic Corp 層を有した半導体素子およびその半導体素子を用いた接合構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012254470A (ja) 2012-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI587316B (zh) High temperature lead free solder alloy
TW201418477A (zh) 焊料合金
JP5206779B2 (ja) Znを主成分とするPbフリーはんだ合金
JP5861559B2 (ja) PbフリーIn系はんだ合金
TWI401132B (zh) 無鉛焊料合金
JP2018079480A (ja) 低温用のBi−In−Sn系はんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置
JP5212573B2 (ja) Bi−Al−Zn系Pbフリーはんだ合金
JP5962461B2 (ja) Au−Ge−Sn系はんだ合金
JP5716332B2 (ja) Pbフリーはんだ合金
JP4959539B2 (ja) 積層はんだ材およびそれを用いたはんだ付方法ならびにはんだ接合部
US20160234945A1 (en) Bi-BASED SOLDER ALLOY, METHOD OF BONDING ELECTRONIC COMPONENT USING THE SAME, AND ELECTRONIC COMPONENT-MOUNTED BOARD
JP5861465B2 (ja) Mgを含有するPbフリーBi系はんだ合金
JP5655714B2 (ja) Bi系はんだを用いた半導体装置
JP5640915B2 (ja) 鉛フリーはんだ合金
JP5589642B2 (ja) 応力緩和性に優れるPbフリーはんだ合金
JP5526997B2 (ja) Bi系はんだ接合用の電子部品と基板及び電子部品実装基板
JP2014024109A (ja) Bi−Sb系Pbフリーはんだ合金
JP5979083B2 (ja) PbフリーAu−Ge−Sn系はんだ合金
JP2011161495A (ja) Pbフリーはんだ合金
JP5655641B2 (ja) Pbフリーはんだペースト
JP5589590B2 (ja) 応力緩和性に優れるPbフリーはんだ合金
JP2015139777A (ja) Au−Sb系はんだ合金
JP5861526B2 (ja) Pbを含まないGe−Al系はんだ合金
JP2017147285A (ja) PbフリーZn−Al系合金はんだと金属母材とのクラッド材によって接合された接合体
JP6128062B2 (ja) Au−Ge−Sn系はんだ合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140422

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141028

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5655714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees