JP5579158B2 - C16〜c20の芳香族テトラヒドロプロスタグランジンを使用した脱毛症治療用組成物及びその治療方法 - Google Patents
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Description
頭皮における発毛は連続して起こるものではなく、むしろ発育と休止の期間を交互に繰り返す活性サイクルにより起こるものである。このサイクルは主に、成長期、退行期、及び休止期という3つの段階に分けられる。成長期はサイクルの発育段階であり、毛嚢が真皮に深く浸透し、細胞が分化して急速に増殖し、毛髪を形成することを特徴とする。次の段階は退行期であり、これは細胞分裂が停止し、この間に毛嚢が真皮において退行し、発毛が停止することを特徴とする推移段階である。次の段階の休止期は休止段階として特徴づけられ、この間に退行した毛嚢は真皮乳頭細胞を固く包み込んだ毛根を有する。休止期には、毛根中で急速に細胞が増殖し、真皮乳頭が膨張し、基底膜成分が同化して、新たな成長期が始まる。発毛が停止すると、休止期及び成長期の毛嚢はほとんどが使用されないため、全体的又は部分的な脱毛症が生じる。
別のアプローチでは、プロスタグランジンによって発毛を促進することを提唱している。それは、プロスタグランジンは、毛髪を伸ばし、毛髪の色を変えるという甲状腺ホルモンと類似の利点を有する可能性があるためである。自然に生成するプロスタグランジン(例えば、PGA2、PGB2、PGE1、PGF2α、及びPGI2)は、C−20の不飽和脂肪酸である。人体で自然に生成するプロスタグランジンF類縁体のPGF2αは、脂環式環のC9及びC11位にヒドロキシル基、C5及びC6間にシス二重結合、及びC13及びC14間にトランス二重結合を有することを特徴とする。PGF2αは下記式を有する。
しかし、プロスタグランジンを使用して、発毛を促進するというこれまでの試みは成功していない。種類の異なるプロスタグランジン類縁体では、二相性効果を有する様々な濃度で多種多様な受容体と結合することができる。更に、自然に生成するプロスタグランジンを投与すると、炎症、表皮刺激、平滑筋収縮、痛み、及び気管支収縮などの副作用を引き起こすことがある。従って、本発明の目的は、毛髪を育成するためにプロスタグランジン類縁体を使用する方法を提供し、ヒト及び動物において発毛を促進する組成物を提供することである。本発明の更なる目的は、発毛を促進し、望ましくない重大な副作用を引き起こさない適切なプロスタグランジン類縁体を選択することである。
本発明に好適なプロスタグランジンF類縁体(「PGF」)は、下記一般式を有する。
本開示全般にわたり、出版物及び特許を参照する。本明細書において引用した米国特許は、すべて参照として本明細書に組み込まれている。
本明細書において用いられる全ての比率は、特に明記しない限り重量に基づく。
以下に本明細書において使用する用語の定義を記載する。
「活性化」とは、受容体との結合及び受容体の信号導入を意味する。
「アシル基」とは、窒素原子をアシル化してアミド又はカルバミン酸塩を形成したり、アルコールをアシル化して炭酸塩を形成したり、あるいは酸素原子をアシル化してエステル基を形成するのに好適な一価の基を意味する。好ましいアシル基には、ベンゾイル、アセチル、第三級ブチルアセチル、パラフェニルベンゾイル、及びトリフルオロアセチルが含まれる。更に好ましいアシル基には、アセチル及びベンゾイルが含まれる。最も好ましいアシル基はアセチルである。
「炭素環式基」とは、一価の飽和又は不飽和炭化水素環を意味する。炭素環式基は、単環式であるか、又は縮合、スピロ、若しくは架橋した二環式環構造である。単環式炭素環式基は、環に4〜10個、好ましくは4〜7個、更に好ましくは5〜6個の炭素原子を有する。二環式炭素環式基は、環に8〜12個、好ましくは9又は10個の炭素原子を有する。炭素環式基は非置換型である。好ましい炭素環式基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。更に好ましい炭素環式基には、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。最も好ましい炭素環式基はシクロヘプチルである。炭素環式基は芳香族ではない。
「FP作用物質」とは、FP受容体を活性化する化合物を意味する。
「FP受容体」とは、既知のヒトFP受容体、その接合変異型、及び既知のヒトFP受容体と類似の結合特性及び活性特性を有する表示されていない受容体を意味する。「FP」とは、受容体が、自然に生成するすべてのプロスタグランジンのPGF2αに最も高い親和性を有する種類に属することを意味する。FPは既知のタンパク質を表す。
「ハロゲン原子」とは、F、Cl、Br、又はIを意味する。ハロゲン原子は好ましくはF、Cl、又はBrであり、更に好ましくは、Cl又はFであり、最も好ましくはFである。
「ハロゲン化複素基」とは、少なくとも1つの置換基がハロゲン原子である置換型複素基又は置換型複素環式基を意味する。ハロゲン化複素基は、直鎖状、分枝状、又は環状構造を有することができる。好ましいハロゲン化複素基は、1〜12個、更に好ましくは1〜6個、最も好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。好ましいハロゲン原子置換基はCl及びFである。
「複素芳香族基」とは、環に炭素原子及び1〜4個のへテロ原子を有する芳香族環を意味する。複素芳香族基は、単環式環又は縮合二環式環である。単環式複素芳香族基は、環に5〜10個、好ましくは5〜7個、更に好ましくは5〜6個の構成原子(つまり、炭素原子及びへテロ原子)を有する。二環式複素芳香族基は、環に8〜12個、好ましくは9又は10個の構成原子を有する。複素芳香族基は非置換型である。好ましい複素芳香族基には、チエニル、チアゾリル、プリニル、ピリミジル、ピリジル、及びフラニルが含まれる。更に好ましい複素芳香族基には、チエニル、フラニル、及びピリジルが含まれる。最も好ましい複素芳香族基はチエニルである。
「複素環式基」とは、環に炭素原子及び1〜4個のへテロ原子を有する飽和又は不飽和環状構造を意味する。へテロ原子同士は環において隣接しない。複素環式基は芳香族ではない。複素環式基は、単環式であるか、又は縮合若しくは架橋した二環式環構造である。単環式複素環式基は、環に4〜10個、好ましくは4〜7個、更に好ましくは5〜6個の構成原子(つまり、炭素原子及び少なくとも1個のへテロ原子の両方を含む)を有する。二環式複素環式基は、環に8〜12個、好ましくは9又は10個の構成原子を有する。複素環式基は非置換型である。好ましい複素環式基には、ピペラジル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、及びピペリジルが含まれる。
「PGF」は、プロスタグランジンF類縁体を意味する。
「プロスタグランジン」とは、ホルモン的性質又は調節的性質の多様で強力な生物活性を有する脂肪酸誘導体を意味する。
「保護基」とは、ヒドロキシル部分の活性水素を置換することにより、ヒドロキシル部分における望ましくない副反応を防ぐ基である。有機合成において保護基を使用することは、当該技術分野において周知である。保護基の例は、「Protecting Groups in Organic Synthesis」(Greene, T. W. 及び Wuts, P. G. M.、第2版、Wiley & Sons, Inc.、1991年)の第2章[非特許文献8]に記載されている。好ましい保護基には、シリルエーテル、アルコキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、エステル、及び置換型又は非置換型ベンジルエーテルが含まれる。
「選択的」とは、特定の受容体をその他の受容体より優先して結合又は活性化することを意味し、受容体は結合試験又は活性試験に基づいて評価することができる。
「被験者」とは、毛髪又は体毛を有する生きた脊椎動物を意味し、例えば、治療を必要とする哺乳動物(ヒトが好ましい)が挙げられる。
「置換型炭素環式基」とは、環上の炭素原子に結合した1〜4個の水素原子が別の置換基で置換された炭素環式基を意味する。好ましい置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、一価の炭化水素基、一価の複素基、一価の置換型炭化水素基、芳香族基、置換型芳香族基、又はこれらのいずれかの組み合せが含まれる。更に好ましい置換基には、ハロゲン原子及び一価の置換型炭化水素基が含まれる。炭素環式基は芳香族環を含まない。
「置換型複素環式基」とは、環上の炭素原子に結合した1〜4個の水素原子が別の置換基で置換された複素環式基を意味する。好ましい置換基には、ハロゲン原子、シアノ基、一価の炭化水素基、一価の置換型炭化水素基、複素基、置換型複素基、ハロゲン化炭化水素基、ハロゲン化複素基、フェニル基、フェノキシ基、又はこれらのいずれかの組み合せが含まれる。更に好ましい置換基には、ハロゲン原子及びハロゲン化炭化水素基が含まれる。置換型複素環式基は芳香族ではない。
本発明は、脱毛症を治療するためにプロスタグランジンF類縁体(PGF)を使用することに関する。「脱毛症の治療」とは、脱毛を抑制するか、脱毛を改善するか、あるいはその両方を行って、発毛を促進することを意味する。本発明において使用するのに好適なPGFは、下記構造式を有するPGF、
R3及びR4はそれぞれ独立してH、CH3、C2H5、OR10、SR10、及びOHから成る群から選択されるが、R3及びR4は共にOHではないものとする。R10は一価の炭化水素基、一価の置換型炭化水素基、複素基、置換型複素基、炭素環式基、置換型炭素環式基、芳香族基、置換型芳香族基、複素芳香族基、及び置換型複素芳香族基から成る群から選択されるが、R10は1〜8個の構成原子を有するものとする。好ましくは、R3及びR4は共に水素原子である。
XはNR6R7、OR8、SR9、S(O)R9、及びS(O)2R9から成る群から選択される。好ましくは、XはNR6R7及びOR8から成る群から選択される。最も好ましくは、XはOHである。
R9は一価の炭化水素基、一価の置換型炭化水素基、複素基、置換型複素基、炭素環式基、置換型炭素環式基、複素環式基、置換型複素環式基、芳香族基、置換型芳香族基、複素芳香族基、及び置換型複素芳香族基から成る群から選択される。好ましくは、R9はCH3及びC2H5から成る群から選択される。
Yは酸素原子、二価の炭化水素基、イオウ含有部分、及び窒素含有基から成る群から選択される。二価の炭化水素基は(CH2)nの式を有し、nは0〜3の整数である。好ましくはnは0、1、又は2であり、更に好ましくはnは1である。
Yとしての窒素含有基は、NR11の式を有する。R11は、水素原子、アシル基、一価の炭化水素基、一価の置換型炭化水素基、複素基、置換型複素基、炭素環式基、置換型炭素環式基、複素環式基、置換型複素環式基、芳香族基、置換型芳香族基、複素芳香族基、及び置換型複素芳香族基から成る群から選択される。好ましくは、R11は、H又はCH3である。
Zは、炭素環式基、置換型炭素環式基、複素環式基、置換型複素環式基、芳香族基、置換型芳香族基、複素芳香族基、及び置換型複素芳香族基から成る群から選択される。好ましくは、Zは、単環式炭素環式基、置換型単環式炭素環式基、単環式複素環式基、置換型単環式複素環式基、単環式芳香族基、置換型単環式芳香族基、単環式複素芳香族基、及び置換型単環式複素芳香族基から成る群から選択される。更に好ましくは、Zは、単環式芳香族基、置換型単環式芳香族基、単環式複素芳香族基、及び置換型単環式複素芳香族基から成る群から選択される。最も好ましくは、Zは、チエニル又はフェニルである。
13,14−ジヒドロ−16−(3−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(3−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(3−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(2,6−ジフルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(3,5−ジフルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(4−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(4−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(2−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(3−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(3−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(2−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(2−メチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−フルオロフェニルスルホニル)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−メチルフェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(3−メチルフェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2−メチルフェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(2−メチルフェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2−フルオロフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−(3−クロロフェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−トリフルオロメチルフェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−(フェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(フェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(フェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16−(フェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(フェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(フェニルアミノ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2−チエニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(2−チエニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(1−ナフチルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(1−ナフチルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、及び
13,14−ジヒドロ−15−ブトキシ−15−デヒドロキシ−16−(フェニルチオ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル。
13,14−ジヒドロ−17−(2,4−ジフルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(2,4−ジフルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(2−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(2−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(3−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(3−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(4−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(4−フルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(2−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(2−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(3−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(3−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(4−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(4−メトキシフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(3,5−ジフルオロフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−18−(2−チエニル)−18−ジノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−18−(2−チエニル)−18−ジノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−((2−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−((2−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−((3−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−((3−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−((4−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−((4−トリフルオロメチル)フェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(2−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(2−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(3−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−17−(3−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−17−(4−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、及び
13,14−ジヒドロ−17−(4−メチルフェニル)−17−トリノルプロスタグランジンF1α。
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(2,5−ジフルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(4−クロロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−メチル−16−(3−クロロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−イソプロピル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−エチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−(ヒドロキシメチル)−16−フェノキシ−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−メチル−16−(4−エチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−16−メチル−16−(3−クロロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−16−メチル−16−(4−フェニルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(4−フェノキシフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−16,16−ジメチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−メチル−16−(3−クロロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−メトキシメチル−16−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−16−フェノキシ−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメタンスルホンアミド、
13,14−ジヒドロ−15−フルオロ−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−16,16−ジメチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−15−フルオロ−16−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−15−メチルチオ−15−デヒドロキシ−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α、
13,14−ジヒドロ−15−メチルチオ−15−デヒドロキシ−16−メチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−15−メトキシ−16,16−ジメチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−15−エトキシ−15−デヒドロキシ−16−フェノキシ−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−スルホニルメチル−15−デヒドロキシ−16−メチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−スルホキシルメチル−15−デヒドロキシ−16−メチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−15−メチルアミノ−15−デヒドロキシ−16,16−ジメチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αメチルエステル、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−15−メチルアミノ−15−デヒドロキシ−16−メチル−16−(2−メチルフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1α1−ヒドロキサム酸、
13,14−ジヒドロ−15−メチル−15−(N,N−ジメチルアミノ)−16−エチル−16−(2−フルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αイソプロピルエステル、及び
13,14−ジヒドロ−16−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−16−テトラノルプロスタグランジンF1αグリセリルエステル。
本発明は、更に脱毛症を治療するための組成物に関する。組成物は(A)前述したPGF及び(B)担体を含有する。組成物は更に、(C)1つ以上の任意の活性増強剤を含有することがある。組成物は、脱毛症を治療又は予防するために投与する医薬品又は化粧品組成物であることができる。これには、基本的な医薬品製剤の技術を使用する。この技術には、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン、1990年)[非特許文献9]に開示されているものがある。
組成物は更に、成分(B)担体を含有する。「担体」とは、哺乳動物に処方するのに好適な、1つ以上の適合性のある物質を意味する。担体には、固体又は液体の希釈物質、ハイドロトープ、表皮活性剤、及びカプセル封入物質が含まれる。「適合性のある」とは、通常の使用状態において、組成物の効果を実質的に減らすと考えられる相互作用を起こさず、組成物の成分がPGF及び他の成分と混じり合うことができることを意味する。担体は、治療する哺乳動物に処方するのに好適となるように、十分に純度の高いものであり、且つ十分に毒性の低いものでなくてはならない。担体は不活性であってもよく、あるいは医薬品としての有用性、化粧品としての有用性、又はその両方を有していてもよい。
組織吸収投与用の担体は、典型的に(a)希釈物質、(b)潤滑剤、(c)結合剤、(d)崩壊剤、(e)着色剤、(f)香料、(g)甘味剤、(h)酸化防止剤、(j)防腐剤、(k)流動促進剤、(m)溶媒、(n)懸濁剤、(o)界面活性剤、これらの組み合せ、及びその他の成分から成る群から選択される1つ以上の成分を含有する。
成分(b)は、潤滑剤である。好適な潤滑剤の例には、固体の潤滑剤(シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム塩及びカルシウム塩、硫酸カルシウムなど)及び液体の潤滑剤(ポリエチレングリコール、植物油など)が挙げられる。植物油には、ピーナッツオイル、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、及びカカオ油などがある。
成分(c)は、結合剤である。好適な結合剤には、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン(コーンスターチ、ポテトスターチなど)、ゼラチン、トラガカント、セルロース及びその誘導体(エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、カルボマー、プロビドン、アカシア、グアーゴム、キサンタンゴムが含まれる。
成分(e)は、FD&C色素のような着色剤である。
成分(f)は、メンソール、ペパーミント、及び果実フレーバのような香料である。
成分(g)は、アスパルテーム及びサッカリンのような甘味剤である。
成分(h)は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びビタミンEのような酸化防止剤である。
成分(k)は、シリコーンジオキシドのような流動促進剤である。
成分(n)は、懸濁剤である。好適な懸濁剤には、FMC Corporation(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から市販されている AVICEL(登録商標)RC−591、及びアルギン酸ナトリウムが含まれる。
成分(o)は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、ラノリンエステル、及びラノリンエーテル。好適な界面活性剤は当該技術分野において既知であり、例えば、Atlas Powder Company(デラウェア州ウィルミングトン)から TWEENS(登録商標)として市販されている。
経口投与用の組成物は、多様な剤形を有することができる。例えば、固体の形態には、錠剤、カプセル剤、粒剤、及び混合散剤が含まれる。これらの経口剤形は、(A)PGFの安全且つ有効な量を含有し、通常少なくとも5%、好ましくは25〜50%を含有する。経口剤組成物は、更に50〜95%、好ましくは50〜75%の(B)担体を含有する。
経口組成物の担体成分の選択は、第二に、味、費用、貯蔵性などを考慮するが、これらは本発明の目的にとって重要ではない。当該技術分野における技術者は、必要以上の実験を行わなくても、適切な成分を選択して最適化することができる。
固体の組成物は、従来の方法によりコーティングすることもできる。典型的には、組成物はpH又は時間依存性コーティングを有し、その結果、望ましい作用が拡大するように、(A)PGFを異なった時間で胃腸内に放出する。コーティングは、典型的に、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)コーティング(Rohm & Haas G.M.B.H.(ドイツ、ダルムシュタット)から市販されている)、ろう、及びセラックから成る群から選択される1つ以上の成分を含有する。
組成物は、更に、成分(C)任意の活性増強剤を含有することができる。成分(C)は、(i)発毛刺激剤(PGFとは異なるもの)及び(ii)浸透増強剤から成る群から選択されることが好ましい。
血管拡張剤(カリウムチャンネル作用物質など)は、任意の発毛刺激剤として組成物に使用することができる。このカリウムチャンネル作用物質には、ミノキシジル及びミノキシジル誘導体(アミンキシル、及び米国特許第3,382,247号[特許文献15]、米国特許第5,756,092号[特許文献16]、米国特許第5,772,990号[特許文献17]、米国特許第5,760,043号[特許文献18]、米国特許第5,466,694号[特許文献19]、米国特許第5,438,058号[特許文献20]、米国特許第4,973,474号[特許文献21]に記述されているものを含む)、クロマカリン、並びにジアゾキシドが含まれる。
好適な抗炎症剤の例には、糖質コルチコイド(ヒドロコルチゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プレドニゾロンなど)、非ステロイド系抗炎症剤(シクロオキシゲナーゼ又はリポキシゲナーゼ阻害物質(例えば、米国特許第5,756,092号[特許文献27]に記述されているもの)、及びベンジダミンなど)、サリチル酸、及び欧州特許第0,770,399号(1997年5月2日公開)[特許文献28]、WO94/06434号(1994年3月31日公開)[特許文献29]、及び仏国特許第2,268,523号(1975年11月21日公開)[特許文献30]に記述されている化合物が含まれる。
好適な非選択性プロスタグランジン作用物質及び拮抗物質の例には、WO98/33497号(Johnstone、1998年8月6日公開)[特許文献31]、WO95/11003号(Stjernschantz、1995年4月27日公開)[特許文献32]、日本特許第97−100091号(Ueno)[特許文献33]、及び日本特許第96−134242号(Nakamura)[特許文献34]に記述されている化合物が挙げられる。
好適なレチノイドには、イソトレチノイン、アシトレチン、及びタザロテンが含まれる。
局所適用組成物中の各成分の正確な量は、様々な要因によって決まる。成分(A)の量は、選択したPGFのIC50による。「IC50」とは、阻害濃度の第50百部位数を意味する。局所適用組成物に添加する成分(A)の量は下記式に従う。
式中、IC50はナノモルの単位で表す。例えば、PGFのIC50が1ナノモルの場合、成分(A)の量は0.001〜0.01%であると考えられる。PGFのIC50が10ナノモルの場合、成分(A)の量は0.01〜0.1%であると考えられる。PGFのIC50が100ナノモルの場合、成分(A)の量は0.1〜1.0%であると考えられる。PGFのIC50が1000ナノモルの場合、成分(A)の量は1.0〜10%、好ましくは1.0〜5%であると考えられる。成分(A)の量が前記に規定した範囲に入らない場合(つまり、前記の値より高いか低い場合)、治療効果が下がることがある。IC50は、以下の参照例1の方法に従って計算することができる。当該技術分野における技術者は、必要以上の実験を行わなくても、IC50を計算することができる。
局所用担体は、上記に示した好ましい局所用担体成分に加えて、あるいはこれらの成分の代わりに、(q)皮膚軟化剤、(r)噴射剤、(s)溶媒、(t)保湿剤、(u)増粘剤、(v)粉剤、及び(w)香料から成る群から選択される1つ以上の成分を含有してもよい。当該技術分野における技術者は、必要以上の実験を行わなくても、局所適用組成物の担体成分を最適化することができる。
成分(s)は、溶媒である。局所適用組成物中の成分(s)の量は、典型的に5〜95%である。好適な溶媒には、水、エチルアルコール、メチレンクロライド、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコール、モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、及びこれらの組み合せが含まれる。好ましい溶媒にはエチルアルコールが含まれる。
成分(t)は、保湿剤である。局所適用組成物中の成分(t)の量は、典型的に5〜95%である。好適な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン、及びこれらの組み合せが含まれる。好ましい保湿剤にはグリセリンが含まれる。
成分(v)は、粉剤である。局所適用組成物中の成分(v)の量は、典型的に0〜95%である。好適な粉剤には、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、歯肉、コロイド状シリコンジオキシド、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト(質)粘土、水和ケイ酸アルミニウム、燻蒸シリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコール、モノステアレート、及びこれらの組み合せが含まれる。
成分(C)任意の活性増強剤は、前述したとおりである。(i)発毛刺激剤及び(ii)浸透増強剤のいずれも、局所適用組成物に添加することができる。好ましくは、局所適用組成物は、0.01〜15%の成分(i)任意の発毛刺激剤を含有する。局所適用組成物は、更に好ましくは0.1〜10%、最も好ましくは0.5〜5%の成分(i)を含有する。好ましくは、局所適用組成物は、1〜5%の成分(ii)を含有する。
点眼投与用の局所適用医薬品組成物に使用するのに好適な(z)セルロース誘導体の例には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。好ましいのはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
(cc)pH調整添加物の例には、点眼投与用の局所適用医薬品組成物のpHを7.2〜7.5に調整するのに十分な量のHCl又はNaOHが含まれる。
本発明は更に、毛髪を黒化及び増量し、白髪を食い止めるための方法に関する。この方法には、毛髪、毛髪部位の皮膚、又はその両方に、脱毛症治療用の局所適用組成物を適用することが含まれる。例えば、局所適用組成物は、頭皮又は睫毛における育毛のために適用することができる。局所適用組成物は、例えば、前述したように調製した化粧品組成物であることができる。睫毛に適用することができる組成物の例には、マスカラが挙げられる。プロスタグランジンは、当該技術分野において既知のマスカラ組成物に添加することができる。これには例えば、米国特許第5,874,072号[特許文献71]に記述されているマスカラがあるが、この特許は参照として本明細書に組み込まれている。マスカラは、(dd)非水溶性物質、(ee)水溶性フィルム形成ポリマー、(ff)ろう、(o)界面活性剤、(gg)色素、及び(s)溶媒を含有する。
成分(ff)は、ろうである。「ろう」とは、低温で融解する高分子量の有機混合物又は化合物であり、室温では固体であって、グリセリドを含有しない以外は一般に油脂と類似である組成物を意味する。一部は炭化水素であり、その他は脂肪酸のエステル及びアルコールである。本発明において有用なろうは、動物ろう、植物ろう、地ろう、多様な天然ろうの分留物、合成ろう、石油ろう、エチレンポリマー、炭化水素類(Fischer−Tropsch ワックスなど)、シリコーンワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択されるが、このとき、ろうは55〜100℃の融点を有する。
本発明において有用な有機色素及びレーキには、D&C(医薬品及び化粧品用)赤色No.19(CI45,170)、D&C赤色No.9(CI15,585)、D&C赤色No.21(CI45,380)、D&C橙色No.4(CI15,510)、D&C橙色No.5(CI45,370)、D&C赤色No.27(CI45,410)、D&C赤色No.13(CI15,630)、D&C赤色No.7(CI15,850)、D&C赤色No.6(CI15,850)、D&C黄色No.5(CI19,140)、D&C赤色No.36(CI12,085)、D&C橙色No.10(CI45,425)、D&C黄色No.6(CI15,985)、D&C赤色No.30(CI73,360)、D&C赤色No.3(CI45,430)、及びコチニールカルミン(CI75,570)に基づく染料又はレーキ、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが含まれる。
成分(s)は、前記した溶媒であり、水が好ましい。
マスカラに添加する(A)PGFの量は、局所適用組成物で前述したとおりである。
前記組成物のすべてにおいて、また投与経路のすべてにおいて、1種類のみのPGFを使用しても、複数のPGFを組み合せて使用してもよい。組成物は、症状に合わせて、更に追加の薬剤又は賦形剤を含有することができる。
本発明は、更に哺乳動物における脱毛症の治療方法に関する。この方法には、脱毛症の哺乳動物(ヒトが好ましい)に前述したPGFを投与することが含まれる。例えば、男性型脱毛症及び女性型脱毛症を含め、脱毛症であると診断された哺乳動物は、本発明の方法により治療することができる。好ましくは、(A)PGF及び(B)担体を含有する組織吸収組成物又は局所適用組成物を哺乳動物に投与する。更に好ましくは、組成物は(A)PGF、(B)担体、及び(C)任意の活性増強剤を含有する局所適用組成物である。
本発明品は、意外にも、脱毛症治療の利点に加えて、組成物中のPGF及び本発明の方法が毛髪を黒化及び増量し、白髪を食い止めることもできるということが、見出された。
PGFのIC50は、放射リガンド結合測定法を使用して、PGF2αに関して測定することができる。対照として、PGF2αのIC50自体が、1.0ナノモル以上、5.0ナノモル以下でなければならない。
休止期移行測定法を使用して、PGFの育毛潜在能力について試験する。休止期移行測定法は、発毛サイクルの休止段階(「休止期」)にあるマウスを、発毛サイクルの発育段階(「成長期」)に移行させるPGFの潜在能力を測定するものである。
理論で限定するつもりはないが、発毛サイクルには主に成長期、退行期、及び休止期という3つの段階がある。約40〜約75日齢のC3Hマウス(Harlan Sprague Dawley, Inc.、インディアナ州インディアナポリス)において、発毛を同期させると、休止期間が長くなると考えられている。75日齢以降、発毛は、もはや同時に進行しない。この中で、毛の色が濃い(茶色又は黒色の)約40日齢のマウスを発毛実験に使用する。体毛(毛)の成長と同時にメラニンが形成されるため、発毛誘発物質の局所適用が評価できる。本明細書において休止期移行測定法を使用して、メラニン形成を測定することにより、PGFの発毛潜在能力を選別する。
**溶媒は60%のエタノール、20%のプロピレングリコール、及び20%のジメチルイソソルビド(米国ミズーリ州セントルイスのSigma Chemical Co.から市販)である。
マウスの背中下部(尾基部から肋骨下部まで)を、月曜から金曜まで局所処置する。ピペッター及びチップを用いて、各マウスの背中に400μLを適用する。400μLを適用する際には、皮膚まで到達するように、マウスの体毛を動かしながらゆっくり適用する。
下記構造式を有するPGFを、
下記構造式を有するPGFを、
下記成分を含有する局所投与用組成物を調製する。
局所投与用組成物は、Dowton らの「Influence of Liposomal Composition on Topical Delivery of Encapsulated Cyclosporin A: I. An in vitro Study Using Hairless Mouse Skin」(S.T.P. Pharma Sciences、3巻、404〜407頁、1993年)[非特許文献32]の方法に従って、シクロスポリンAの代わりにPGFを使用し、非イオン性リポソーム製剤用の NOVASOME(登録商標)1(Micro−Pak, Inc.(デラウェア州ウィルミントン)から市販されている)を使用して調製する。
男性型脱毛症のヒト男性被験者を前記組成物により毎日治療する。具体的には、6週間、前記の組成物を局所的に被験者に投与する。
下記成分を含有するシャンプーを調製する。
マスカラ組成物を調製する。この組成物は下記成分を含有する。
ヒト女性被験者が毎日組成物を適用する。具体的には、前記組成物を6週間被験者に局所適用し、睫毛を黒化及び増量する。
錠剤の形態の医薬品組成物を、従来の方法(例えば、混合及び直接圧縮)により、以下の処方で調製する。
前記組成物を被験者に1日1回、6〜12週間経口投与し、発毛を促進する。
液体形態の薬学的組成物は、以下に処方されるような従来の方法によって調製される。
前記組成物の1.0mlを1日1回、6〜12週間、脱毛部分に皮下投与し、発毛を促進する。
局所用医薬品組成物を、従来の方法により調製し、以下のように処方する。
前記組成物を被験者に1日1回、6〜12週間、点眼投与し、睫毛の発毛を促進する。
本明細書における組成物及び方法は、発毛及び外観に関する美容上の利点を、治療を希望する被験者に提供する。
Claims (5)
- 脱毛症治療用の経皮投与用組成物であって、
(A)下記構造式を有するプロスタグランジンF類縁体、
並びにプロスタグランジンF類縁体の製薬上許容できる塩及び水和物;プロスタグランジンF類縁体の光学異性体、ジアステレオマー、及びエナンチオマー;並びにこれらの組み合せから成る群から選択される有効成分、
[式中、
R1は、CO2H、及びCO2R5から成る群から選択され、
R2は水素原子及び一価の1〜6個の炭素原子を有する低級炭化水素基から成る群から選択され、
R3及びR4は、Hであり、
R5は、一価の1〜6個の炭素原子を有する低級炭化水素基であり、
Xは、OR8 であり、
R8は、水素原子であり、
Yは、イオウ原子であり、
Zは、フェニル及びハロゲン置換フェニルから成る群から選択される]、および、
(B)担体、
を含むことを特徴とする組成物。 - R1がCO2H、CO2CH3、CO2C2H5、CO2C3H7、及びCO2C4H9から成る群から選択され、R2が水素原子及びメチル基から成る群から選択され、R3及びR4が共に水素原子であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物が、更に(C)脱毛症治療活性増強剤を含有し、該脱毛症治療活性増強剤が(i)発毛刺激剤、(ii)浸透増強剤、及びこれらの組み合せから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
- 成分(C)を1〜20%の量で前記組成物に添加し、成分(A)、(B)、及び(C)が合わせて100%となるように成分(B)の量を添加することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
- 成分(B)が、水、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、ポリプロピレングリコール−2ミリスチルプロピオネート、(q)皮膚軟化剤、(r)噴射剤、(s)溶媒、(t)保湿剤、(u)増粘剤、(v)粉剤、(w)香料、及びこれらの組み合せから成る群から選択される成分を含有することを特徴とする、請求項1、2、3、又は4に記載の組成物。
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