JP5573934B2 - アンギュラ玉軸受、搬送装置、真空処理装置 - Google Patents
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Description
ところで、FPDは、製造工程で表面に微細な粒子(異物)が付着することで機能が損なわれる。よって、製品としての歩留まりを向上させるために、清浄度のより高い環境で製造することが求められている。この要求に応えるために、フッ素系グリースよりも放出ガス量が少ない固体潤滑剤を使用することが提案されている。
特許文献1には、玉を一つ一つ入れるリング状部品(玉のセパレータとして機能するスペーサ)の少なくとも一つを、自己潤滑性焼結合金で形成することが記載されている。
特許文献3には、円周方向で分割された分割形の保持器(セパレータ)を、自己潤滑性材料で形成することが記載されている。
これらの特許文献に記載された保持器は、ボール間隔が狭いアンギュラ玉軸受に適用することが難しかったり、機械的強度が不充分であったり、寸法が大きなものには適さなかったりといった問題がある。
0.60<B/((D−d)/2)<1.1‥‥(1)
0.39<((D−d)/2)/d<1.0‥‥(2)
(1) ボールと、前記ボールの軌道面を有する軌道輪と、保持器と、固体潤滑剤からなる潤滑部品とを備えたアンギュラ玉軸受である。
(2) 前記保持器は、前記ボールを入れるポケットとして、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器である。
(3) 前記潤滑部品が、前記保持器の前記ポケット間の柱部分の、前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれかに設けた凹部に、この軸受の回転時に前記ボールの表面および前記軌道面に対して摺動するように配置されている。
(4) 前記凹部は、前記軌道輪からボールへ伝えられる力の合力の作用線に沿った位置に形成されている。
前記態様のアンギュラ玉軸受は、下記の構成(5) または(6) を有することができる。
(5) 前記潤滑部品は円柱状であり、前記凹部は前記潤滑部品をなす円柱に対応させた円弧状に形成されている。
(6) 前記凹部は、前記作用線に沿った位置に対をなして形成されている。
本発明の別の態様は、下記の構成(7) 〜(11)を有することを特徴とするアンギュラ玉軸受を提供する。
(7) ボールと、前記ボールの軌道面を有する軌道輪と、保持器と、固体潤滑剤からなる潤滑部品とを備えたアンギュラ玉軸受である。
(8) 前記保持器は、前記ボールを入れるポケットとして、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器である。
(9) 前記潤滑部品が、前記保持器の前記ポケット間の柱部分の、前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれかに設けた凹部に、この軸受の回転時に前記ボールの表面および前記軌道面に対して摺動するように配置されている。
(10)前記潤滑部品は円柱状であり、前記保持器の凹部は前記円柱に対応させた円弧状に形成されている。
(11)前記円柱の径は、前記円弧状の凹部の径を100とした時に60〜95であり、前記円柱の軸方向寸法は、軸受の回転前の状態で両側のボールと接触する長さを100とした時に60〜95である。
前記態様のアンギュラ玉軸受は、下記の構成(12)を有することができる。
(12)前記円柱状の潤滑部品の直径が前記ボールの直径の1/2以上である。
本発明の一態様は、前記各態様のアンギュラ玉軸受を備えた搬送装置および真空処理装置を提供する。
本発明の第一態様は、ボールを入れるポケットが形成されている保持器を備えたアンギュラ玉軸受であって、固体潤滑剤からなる潤滑部品が、この軸受の回転時にボール表面と接触するように前記保持器に配置され、前記潤滑部品が、前記ポケット間の柱部分に設けた凹部に配置され、前記凹部は、軌道輪からボールへ伝えられる力の合力の作用線に沿った位置に形成されているアンギュラ玉軸受を提供する。
この態様のアンギュラ玉軸受としては、この軸受の回転時に、前記潤滑部品をなす円柱の周面が軌道輪に接触し、前記円柱の軸方向端面がボールに接触するように配置されているものが挙げられる。
この態様のアンギュラ玉軸受としては、前記凹部は、前記作用線に沿った位置に対をなして形成されているものが挙げられる。
この態様のアンギュラ玉軸受としては、前記円穴はテーパー部を有し、前記ポケットに前記ボールより小径の内輪側部分が形成されているものが挙げられる。
この態様のアンギュラ玉軸受としては、前記テーパー部は、前記円穴の径方向で対向する2カ所に形成されているものが挙げられる。
本発明の第七の態様は、ボールを入れるポケットとして円穴が形成されている保持器を備えた玉軸受であって、固体潤滑剤からなる潤滑部品が、保持器に対して、この軸受の回転時(転がり軸受の回転時)にボール表面と接触するように取り付けられている玉軸受を提供する。
本発明の第七の態様の玉軸受としては、前記潤滑部品が、前記ポケットに設けた凹部に取り付けられているものが挙げられる。
本発明の第七の態様の玉軸受としては、前記保持器が、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器であり、前記潤滑部品は内部に玉が入るリング状に形成され、このリング状潤滑部品が、保持器のポケットの内面に形成された凹部に配置されているものが挙げられる。
本発明の第七の態様の玉軸受としては、前記保持器は、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器であり、前記潤滑部品が、保持器の柱部分に、ポケット面から突出した状態に取り付けられているものが挙げられる。
本発明の第七の態様の玉軸受としては、前記保持器は、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器であり、保持器の柱部分に、前記リングの幅方向に沿って凹む円筒状の凹部が形成され、この凹部をなす円筒の周面はポケット面に開口部を有し、前記潤滑部品は、前記凹部内に配置され、前記凹部内で回転でき、回転時に一部が前記開口部から突出する形状および寸法に形成されているものが挙げられる。
[実施形態1−1]
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図1および図2に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、および円柱状の潤滑部品51、52で構成されている。
この玉軸受は、回転時に、潤滑部品51、52が力を受けて、潤滑部品51、52をなす円柱の周面が内輪軌道面11および外輪軌道面21に対して摺動する。また、潤滑部品51、52が凹部43に沿って移動して、潤滑部品51、52をなす円柱の軸方向端面がポケット41内のボール3に対して摺動する。
この玉軸受を真空環境で使用する場合には、保持器4をSUS304やSUS316等のステンレス鋼、PEEK樹脂やポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製の「ベスペル(登録商標)」)で形成する。潤滑部品51、52は、PTFE樹脂、グラファイト、MoS2 、WS2 、MoS2 合金、WS2 合金のいずれかで形成する。
潤滑部品51,52をなす円柱の軸方向寸法は、軸受の回転前の状態で両側のボールと接触する長さを100とした時に、60〜95であることが好ましい。これにより、固体潤滑剤による潤滑を確保しながら、固体潤滑剤が無駄に消費されることを防止できる。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図4〜6に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、リング状の保持器4、および潤滑部品51,52で構成されている。この実施形態は上述の実施形態1−1とほとんど同じであるが、保持器4のポケット41をなす円穴の形状がテーパー状になっている点が異なる。
図4は、この保持器4の一部を示す斜視図であって、潤滑部品51,52が二点鎖線で示してある。図5は、この保持器4のリングを展開した状態の軸方向断面図であり、図4のD−D断面図に相当する。図6は、この保持器4の一部を幅方向中心で切断した断面図であり、図5のE−E断面図に相当する。
この実施形態では、保持器4の柱部分42に凹部43を形成する位置を、合力の作用線Lに沿った位置ではなく、軸受の幅方向中心位置にしている。これ以外の点は実施形態1−1と同じである。
図8−1〜図8−3で示す例では、保持器4の柱部分42の内輪1側にのみ凹部43を形成して、ここに固体潤滑剤からなる円柱状の潤滑部品5を配置している。図8−1は、この軸受の平断面図の一部を示す図である。図8−2は図8−1のA−A断面図である。図8−3は図8−1のB−B断面図である。
図8−5は、保持器4の柱部分42の内輪1側と外輪2側の両方に凹部43が設けてある例を示す。各凹部43に固体潤滑剤からなる円柱状の潤滑部品51,52を配置している。
したがって、この玉軸受は、回転時に、潤滑部品51、52をなす固体潤滑剤が、内輪軌道面11および外輪軌道面21とボール3の表面に効率的に移行するため、他の潤滑剤を充填しなくても良好な潤滑性能が得られる。
図9−1は、実施形態1−3の第1の変形例である玉軸受の平断面図の一部を示す図であり、図9−2は図9−1のA−A断面図である。図9−3は図9−1の保持器4を内周面側から見た図である。図9−4は、実施形態1−3の第2の変形例である玉軸受の平断面図の一部を示す図である。図9−5は図9−4のA−A断面図である。
これらの変形例では、図8−1〜図8−3で示す例および図8−4で示す例と同様に、保持器4の柱部分42に凹部43を形成する位置を、軸受の幅方向中心位置にしている。また、これらの例よりも円柱状の潤滑部品51,52の直径を大きく(ボール3の直径の1/2以上に)している。
また、柱部分42毎に1個または2個の潤滑部品を配置する別の例を図10〜13に示す。これらの図では、保持器4の柱部分42を省略することで、潤滑部品の配置を分かりやすくしている。内輪1側に配置された潤滑部品を符号51で、外輪2側に配置された潤滑部品を符号52で示す。
基本構造は図1および2に示すアンギュラ玉軸受であって、内輪1側の潤滑部品51と外輪2側の潤滑部品52が図10の配置である点のみが異なる軸受(No. 1−1とNo. 1−2)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品51,52としては、WS2 を含有する自己潤滑性焼結合金(WS2 焼結合金)製のものを用いた。
比較のために、保持器として、特許文献1に記載された、玉を一つ一つ入れるリング状部品(玉のセパレータとして機能するスペーサ)をWS2 焼結合金で形成したものを用意した。このリング部品を全ての玉に対して取り付けて、保持器以外の点は全て同じ構成の軸受(No. 1−3)を組み立てた。
その結果、No. 1−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 1−2の寿命は500万サイクルであり、No. 3−3の寿命は10万サイクルであった。
図14は、この実施形態のアンギュラ玉軸受の平断面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を幅方向中心面に沿って切断して上から見た図)の一部を示す図である。このアンギュラ玉軸受は、図14に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、およびリング状潤滑部品8で構成されている。図15は、リング状潤滑部品8が取り付けられた状態の保持器4を外輪側から見た図である。
リング状潤滑部品8の内径(内周面81の直径)はボール3の直径より僅かに大きく、外径は凹部45をなす周溝にぴったりと嵌まる寸法に形成されている。
この玉軸受は、回転時に、全てのボール3が各潤滑部品8と接触することにより、潤滑部品8をなす固体潤滑剤がボール3の表面に効率的に移行するため、他の潤滑剤を充填しなくても良好な潤滑性能が得られる。
また、ボール3、内輪1の軌道面、外輪2の軌道面、保持器4のポケット41の内周面の少なくともいずれかに、スプレー塗装またはスパッタリングによるMoS2 またはWS2 からなる被膜や、PTFE樹脂からなる被膜が形成されていることが好ましい。これにより、軸受を初めて使用する際にこれらの被膜が潤滑剤として作用するため、回転初期の潤滑性が確保される。
実施形態2−1の玉軸受では、全てのボール3がリング状潤滑部品8に内挿されて保持器4のポケット41に配置されているが、例えば図16に示すように、ボール3が一つ置きにリング状潤滑部品8に内挿されていてもよい。
図17は、図16の玉軸受を構成する、リング状潤滑部品8が取り付けられた状態の保持器4を外輪側から見た図である。この例では、保持器4のポケット41に形成する凹部46を、先端部が柱部分42を貫通するように形成している。そのため、保持器4のポケット41にリング状潤滑部品8を取り付けた状態で、リング状潤滑部品8の角部8aが隣のポケット41から突出する。
実施形態2−2の玉軸受では、リング状潤滑部品8の内径(内周面81の直径)がリング状潤滑部品8の厚さ方向に一定で、保持器4のポケット41の内径と同じであり、ボール3の直径より僅かに大きく形成されている。また、ポケット41の内径も保持器4の厚さ方向に一定である。これに対して、例えば図18に示すように、リング状潤滑部品8の内周面81および保持器4のポケット41に、それぞれテーパー部81A,41aを設けてもよい。
この実施形態の玉軸受によれば、保持器4の円穴41およびリング状潤滑部品8の内周面の内輪側が、テーパー部81A,41aおよび小径部81b,41bになっていることから、実施形態2−2の玉軸受が得られる効果に加えて、保持器4およびリング状潤滑部品8が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できるため、保持器4およびリング状潤滑部品8の摩耗が抑制されるという効果が得られる。
実施形態2−2の玉軸受では、リング状潤滑部品8の内径(内周面81の直径)がリング状潤滑部品8の厚さ方向に一定で、保持器4のポケット41の内径と同じであり、ボール3の直径より僅かに大きく形成されている。また、ポケット41の内径も保持器4の厚さ方向に一定である。これに対して、例えば図19に示すように、保持器4のポケット41にテーパー部41aを設けてもよい。
この実施形態の玉軸受によれば、保持器4の円穴41の内輪側が、テーパー部41aおよび小径部41bになっているため、実施形態2−2の玉軸受が得られる効果に加えて、保持器4が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できるため、保持器4摩耗が抑制されるという効果が得られる。
図19に示すアンギュラ玉軸受(No. 2−1)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品8としてはWS2 焼結合金製のものを用いた。
試験軸受は呼び番号7219のアンギュラ玉軸受であって、その寸法は、外輪外径Dが170mm、内輪内径dが95mm、軸受幅Bが32mmである。よって、B/((D−d)/2)=0.85であり、((D−d)/2)/d=0.394であるため、(1)式および(2)式を満たす。
その結果、No. 2−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 2−2の寿命は10万サイクルであった。
図21は、この実施形態のアンギュラ玉軸受の平面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を上から見た図)の一部を示す図であって、さらにその一部が破断されて、幅方向中心面に沿って切断された断面図となっている。図22は、このアンギュラ玉軸受を図21のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図である。
図23は、このアンギュラ玉軸受の内輪1、ボール3、セパレータ6、および潤滑部品7の関係を示す正面図である。図24(a)は潤滑部品7を示す斜視図であり、図24(b)はセパレータ6を示す斜視図である。図25は、セパレータ6に潤滑部品7を取り付けた状態を示す斜視図である。
図24(a)に示すように、潤滑部品7は、ほぼ円環状であって、内輪1の幅方向両端に配置される部分が、円環の軸方向に沿った平面で切り取られた形状になっている。すなわち、潤滑部品7の内周面71は円形であるが、外周面はそれぞれ1対の円周面部7aと平面部7bとからなる。
また、ボール3、内輪1の軌道面、外輪2の軌道面、セパレータ6の凹部64の少なくともいずれかに、スプレー塗装またはスパッタリングによるMoS2 またはWS2 からなる被膜や、PTFE樹脂からなる被膜が形成されていることが好ましい。これにより、軸受を初めて使用する際にこれらの被膜が潤滑剤として作用するため、回転初期の潤滑性が確保される。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図26〜28に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、セパレータ(セパレート保持器)6、およびリング状の潤滑部品7で構成されている。この実施形態の玉軸受は上述の実施形態3−1の玉軸受とほとんど同じに形成されているが、セパレータ6の円穴61Aの形状がテーパー状になっている点が異なる。
この実施形態の玉軸受では、セパレータ6の円穴61Aの形状がテーパー状になっているため、実施形態3−1の玉軸受が得られる効果に加えて、セパレータ6が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できるため、セパレータ6の摩耗が抑制されるという効果が得られる。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図29〜31に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、セパレータ(セパレート保持器)6、および丸棒状の潤滑部品7Aで構成されている。
図29は、このアンギュラ玉軸受の平面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を上から見た図)の一部を示す図であって、さらにその一部が破断されて、幅方向中心面に沿って切断された断面図となっている。図30(a)は、このアンギュラ玉軸受を図29のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図であり、図30(b)は、このアンギュラ玉軸受を図29のB−B位置で径方向に沿って切断した断面図である。
また、ボール3、内輪1の軌道面、外輪2の軌道面、セパレータ6の凹部64の少なくともいずれかに、スプレー塗装またはスパッタリングによるMoS2 またはWS2 からなる被膜や、PTFE樹脂からなる被膜が形成されていることが好ましい。これにより、軸受を初めて使用する際にこれらの被膜が潤滑剤として作用するため、回転初期の潤滑性が確保される。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図32〜35に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、セパレータ(セパレート保持器)6、および円柱状の潤滑部品7Bで構成されている。
また、ボール3、内輪1の軌道面、外輪2の軌道面、セパレータ6の凹部64の少なくともいずれかに、スプレー塗装またはスパッタリングによるMoS2 またはWS2 からなる被膜や、PTFE樹脂からなる被膜が形成されていることが好ましい。これにより、軸受を初めて使用する際にこれらの被膜が潤滑剤として作用するため、回転初期の潤滑性が確保される。
図32〜35に示すアンギュラ玉軸受(No. 3−1)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品7BとしてはWS2 焼結合金製のものを用いた。
試験軸受は呼び番号7219のアンギュラ玉軸受であって、その寸法は、外輪外径Dが170mm、内輪内径dが95mm、軸受幅Bが32mmである。よって、B/((D−d)/2)=0.85であり、((D−d)/2)/d=0.394であるため、(1)式および(2)式を満たす。
その結果、No. 3−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 3−2の寿命は10万サイクルであった。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図36〜38に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、および円板状の潤滑部品91で構成されている。
図36は、このアンギュラ玉軸受の平断面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を幅方向と交差する平面で切断して上から見た図)の一部を示す図である。図37は、このアンギュラ玉軸受を図36のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図である。図38は、このアンギュラ玉軸受を図36のB−B位置で径方向に沿って切断した断面図である。
この玉軸受を真空環境で使用する場合には、保持器4をSUS304やSUS316等のステンレス鋼、PEEK樹脂やポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製の「ベスペル(登録商標)」)で形成する。潤滑部品91は、PTFE樹脂、グラファイト、MoS2 、WS2 、MoS2 合金、WS2 合金のいずれかで形成する。
また、この実施形態の玉軸受によれば、ポケット41にボール3より小径の内輪側部分41bが形成されているため、保持器4が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できることから、前述の効果に加えて、保持器4の摩耗が抑制されるという効果も得られる。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図39および40に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、および潤滑部品92で構成されている。
図39は、このアンギュラ玉軸受の平断面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を、幅方向と交差する平面で切断して上から見た図)の一部を示す図である。図40は、このアンギュラ玉軸受を図39のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図である。
潤滑部品92は大径部92aと小径部92bからなる円柱体であって、小径部92bの端面は軸方向に垂直な面であるが、大径部92aの端面は軸方向に傾斜した面である。
また、この貫通穴42bは、潤滑部品92の大径部92aと小径部92bに対応させた形状であり、両者の境界部分が配置される段部42cを有する。各貫通穴42bは、隣り合う柱部分42で、潤滑部品92の大径部92aと小径部92bが反対向きに配置されるように形成されている。
この玉軸受を真空環境で使用する場合には、保持器4をSUS304やSUS316等のステンレス鋼、PEEK樹脂やポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製の「ベスペル(登録商標)」)で形成する。潤滑部品92は、PTFE樹脂、グラファイト、MoS2 、WS2 、MoS2 合金、WS2 合金のいずれかで形成する。
また、この実施形態の玉軸受によれば、ポケット41にボール3より小径の内輪側部分41bが形成されているため、保持器4が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できることから、前述の効果に加えて、保持器4の摩耗が抑制されるという効果も得られる。
図36〜38に示すアンギュラ玉軸受(No. 4−1)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品92としてはWS2 焼結合金製のものを用いた。
試験軸受は呼び番号7219のアンギュラ玉軸受であって、その寸法は、外輪外径Dが170mm、内輪内径dが95mm、軸受幅Bが32mmである。よって、B/((D−d)/2)=0.85であり、((D−d)/2)/d=0.394であるため、(1)式および(2)式を満たす。
その結果、No. 4−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 4−2の寿命は10万サイクルであった。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図41、42に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、および円柱状の潤滑部品93で構成されている。
図41は、このアンギュラ玉軸受の平断面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を幅方向と交差する平面で切断して上から見た図)の一部を示す図である。図42は、このアンギュラ玉軸受を図41のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図である。
潤滑部品93をなす円柱体の直径に対する軸方向寸法の比は、貫通穴42dの中で倒れにくいように、0.6以上であることが好ましい。
図43(a)は、軸受端面を水平にした配置での、この玉軸受の静止状態を示す部分断面図であり、図43(b)は、この配置で玉軸受を回転させた状態を示す部分断面図である。
図44に、貫通穴42dがボールピッチ円方向でピッチ円の接線と平行に形成されていて、貫通穴42dのピッチ円の接線に沿った寸法が、最も小さい位置で、潤滑部品93をなす円柱体の軸方向寸法と同じ場合を示す。図44(a)は、軸受端面を水平にした配置での、この玉軸受の静止状態を示す部分断面図であり、図44(b)は、この配置で玉軸受を回転させた状態を示す部分断面図である。
この実施形態の玉軸受を真空環境で使用する場合には、保持器4をSUS304やSUS316等のステンレス鋼、PEEK樹脂やポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製の「ベスペル(登録商標)」)で形成する。潤滑部品93は、PTFE樹脂、グラファイト、MoS2 、WS2 、MoS2 合金、WS2 合金のいずれかで形成する。
この例では、図42に示す例の倍の潤滑部品93を有するため、潤滑性能が更に向上する。
図41〜42に示すアンギュラ玉軸受(No. 5−1)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品92としてはWS2 焼結合金製のものを用いた。
試験軸受は呼び番号7219のアンギュラ玉軸受であって、その寸法は、外輪外径Dが170mm、内輪内径dが95mm、軸受幅Bが32mmである。よって、B/((D−d)/2)=0.85であり、((D−d)/2)/d=0.394であるため、(1)式および(2)式を満たす。
その結果、No. 5−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 5−2の寿命は10万サイクルであった。
この実施形態の玉軸受はアンギュラ玉軸受であり、図48、49に示すように、内輪1、外輪2、ボール3、保持器4、および円柱状の潤滑部品94で構成されている。
図48は、このアンギュラ玉軸受の平断面図(軸受端面を水平にして台上に置いた軸受を幅方向と交差する平面で切断して上から見た図)の一部を示す図である。図49は、このアンギュラ玉軸受を図48のA−A位置で径方向に沿って切断した断面図である。
これにより、潤滑部品94が、凹部42fに配置された状態で凹部42f内で回転できる。また、潤滑部品94の回転時に、潤滑部品94の一部がポケット面41cに開口部42gから突出できる。
よって、この玉軸受は、回転時に、ボール3の表面に潤滑部品94が接触し、潤滑部品94をなす固体潤滑剤がボール3の表面に効率的に移行するため、他の潤滑剤を充填しなくても良好な潤滑性能が得られる。また、潤滑部品94が凹部42f内で回転することで潤滑部品94のボール3に接触する面が変化するため、潤滑部品94が回転しない場合と比較して潤滑部品94に摩耗が生じにくい。
この実施形態の玉軸受を真空環境で使用する場合には、保持器4をSUS304やSUS316等のステンレス鋼、PEEK樹脂やポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製の「ベスペル(登録商標)」)で形成する。潤滑部品94は、PTFE樹脂、グラファイト、MoS2 、WS2 、MoS2 合金、WS2 合金のいずれかで形成する。
また、この実施形態の玉軸受によれば、ポケット41にボール3より小径の内輪側部分41bが形成されているため、保持器4が必要以上に外輪2側に移動することが抑制できることから、前述の効果に加えて、保持器4の摩耗が抑制されるという効果も得られる。
また、円筒状の凹部42f内に配置される潤滑部品94の形状は、凹部42f内で回転できる形状であれば円柱状に限定されず、例えば、球状や楕円球状であってもよい。図51は、球状の潤滑部品95を2個配置した例である。
図48〜49に示すアンギュラ玉軸受(No. 6−1)を用いて、真空環境での耐久試験を行った。潤滑部品92としてはWS2 焼結合金製のものを用いた。
試験軸受は呼び番号7219のアンギュラ玉軸受であって、その寸法は、外輪外径Dが170mm、内輪内径dが95mm、軸受幅Bが32mmである。よって、B/((D−d)/2)=0.85であり、((D−d)/2)/d=0.394であるため、(1)式および(2)式を満たす。
その結果、No. 6−1の寿命は300万サイクル以上であり、No. 6−2の寿命は10万サイクルであった。
11 内輪軌道面
2 外輪
21 外輪軌道面
22 外輪の肩部
3 ボール
4 保持器
41 保持器のポケット
41a ポケットのテーパー部
41b ポケットの小径部
41c ポケット面
42 保持器の柱部分
42a 柱部分の凹部
42b 柱部分の貫通穴
42c 貫通穴の段部
42d 貫通穴
42e 貫通穴
42f 円筒状の凹部
42g 円筒の周面の開口部
43 保持器の凹部
43a バックアップ部(凹部を取り囲む部分)
45 保持器の凹部
46 保持器の凹部
5 円柱状の潤滑部品
51 円柱状の潤滑部品(内輪側)
52 円柱状の潤滑部品(外輪側)
6 セパレータ(セパレート保持器)
61 セパレータの受け部
61A セパレータのテーパー状の円穴
61a セパレータの受け部の内周面
61b セパレータの円穴
62 セパレータの円周面
63 セパレータの切欠き部
64 セパレータの凹部
64a セパレータの切欠き部
65 潤滑部品7Aの取り付け穴
66 潤滑部品7Bの取り付け穴
7 潤滑部品
7A 丸棒状の潤滑部品
8 リング状潤滑部品
81 リング状潤滑部品の内周面
81a リング状潤滑部品の内周面のテーパー部
81b リング状潤滑部品の内周面の小径部
91 円板状の潤滑部品
92 大径部と小径部からなる円柱状の潤滑部品
93 円柱状の潤滑部品
94 円柱状の潤滑部品
95 球状の潤滑部品
L 合力の作用線
P ボールピッチ円
Claims (7)
- ボールと、前記ボールの軌道面を有する軌道輪と、保持器と、固体潤滑剤からなる潤滑部品とを備えたアンギュラ玉軸受であって、
前記保持器は、前記ボールを入れるポケットとして、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器であり、
前記潤滑部品が、前記保持器の前記ポケット間の柱部分の、前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれかに設けた凹部に、この軸受の回転時に前記ボールの表面および前記軌道面に対して摺動するように配置され、
前記凹部は、前記軌道輪からボールへ伝えられる力の合力の作用線に沿った位置に形成されていることを特徴とするアンギュラ玉軸受。 - 前記潤滑部品は円柱状であり、前記凹部は前記潤滑部品をなす円柱に対応させた円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンギュラ玉軸受。
- 前記凹部は、前記作用線に沿った位置に対をなして形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンギュラ玉軸受。
- ボールと、前記ボールの軌道面を有する軌道輪と、保持器と、固体潤滑剤からなる潤滑部品とを備えたアンギュラ玉軸受であって、
前記保持器は、前記ボールを入れるポケットとして、リングの周面を貫通する円穴が形成されているリング状保持器であり、
前記潤滑部品が、前記保持器の前記ポケット間の柱部分の、前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれかに設けた凹部に、この軸受の回転時に前記ボールの表面および前記軌道面に対して摺動するように配置され、
前記潤滑部品は円柱状であり、前記保持器の凹部は前記円柱に対応させた円弧状に形成され、
前記円柱の径は、前記円弧状の凹部の径を100とした時に60〜95であり、前記円柱の軸方向寸法は、軸受の回転前の状態で両側のボールと接触する長さを100とした時に60〜95であることを特徴とするアンギュラ玉軸受。 - 前記円柱状の潤滑部品の直径が前記ボールの直径の1/2以上である請求項4記載のアンギュラ玉軸受。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンギュラ玉軸受を備えた搬送装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンギュラ玉軸受を備えた真空処理装置。
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