JP2020118240A - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体潤滑剤の過剰摩耗や転がり面への過剰移着を抑制することが可能な固体潤滑転がり軸受を提供する。【解決手段】内輪3と、外輪2と、複数の転動体4と、隣接する転動体4の間に位置する少なくとも1つの固体潤滑剤7と、転動体4を周方向に離間するセパレータ5とを備える固体潤滑転がり軸受1において、前記固体潤滑剤7を前記セパレータ5の内周面側に配置した。【選択図】図1
Description
この発明は、固体潤滑剤を使用する固体潤滑転がり軸受に関する。
固体潤滑転がり軸受は、潤滑剤としてグリースや潤滑油を使用することができない高温雰囲気や真空雰囲気等で使用される。
この種の固体潤滑転がり軸受として、従来、保持器を使用せず、隣接する転動体の間に固体潤滑剤を配置し、固体潤滑剤が転動体や軌道輪と摺動することにより、潤滑剤が相手部品に移着または潤滑粉が生成されるようにして、軸受内部を潤滑するようにしたものが知られている(特許文献1、2)。
ところで、固体潤滑転がり軸受の固体潤滑剤は、主に転動体によって侵食され、転動体が球状の場合、その痕跡はクレーター状から部分円筒状に進展するが、摩耗速度が速過ぎると固体潤滑剤が短期間で摩滅し、軸受の寿命が短くなる恐れがある。
また、固体潤滑剤の公転速度は、転動体やセパレータと同等であるのに対し、軌道輪や密封板とは速度差を有するため、軌道輪や密封板との積極的な摺動は、固体潤滑剤の過剰摩耗に繋がり易い。特に、固体潤滑剤と外輪との摺動は、遠心力の影響で摩擦力が比較的大きいほか、固体潤滑剤が外輪軌道面と摺動すると転がり面への過剰移着が発生し、軸受の円滑な回転が阻害される恐れがある。
そこで、この発明は、固体潤滑剤を備えた転がり軸受において、固体潤滑剤の過剰摩耗や転がり面への過剰移着を抑制可能な構成を提供しようとするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、内輪と、外輪と、複数の転動体と、隣接する転動体の間に位置する少なくとも1つの固体潤滑剤と、転動体を周方向に離間するセパレータとを備える固体潤滑転がり軸受において、前記固体潤滑剤を前記セパレータの内周面側に配置した構成を採用した。
すなわち、固体潤滑剤をセパレータの内周面側に配置することにより、転動体と固体潤滑剤の干渉力は、質量の小さい固体潤滑剤の慣性力が支配的となり、固体潤滑剤の摩耗速度が緩和される。また、固体潤滑剤が外輪と接触しないため、遠心力による固体潤滑剤の過剰摩耗や転がり面への過剰移着を抑制することができる。
また、セパレータが固体潤滑剤の両端面の一部または全面を支持、案内する構成とすることで、固体潤滑剤の端面が密封板等の周辺部品に摺動せず、摩耗速度が一層緩和される。
また、セパレータが固体潤滑剤の両端面の一部または全面を支持、案内する構成とすることで、固体潤滑剤の端面が密封板等の周辺部品に摺動せず、摩耗速度が一層緩和される。
また、セパレータの周方向端部が転動体としてのボールを収容するポケットを備え、ポケットの開口寸法が転動体の直径よりも小さい構成とすることで、転動体をポケット内に保持することができ、前記慣性力が一層小さくなるほか、セパレータ自身の挙動が安定する。転動体がポケットから離脱すると、セパレータは転動体による径方向および軸方向の拘束を失うため、挙動が不安定となり、軸受の円滑な回転を阻害する恐れがある。
また、ポケットに収容された転動体がセパレータの周方向端面から突出しない構成とすることで、転動体同士の接触に伴う前記干渉力が抑制され、固体潤滑剤の摩耗速度が緩和される。
また、セパレータを周方向に直列したときの周方向角度の総和が180度を超える構成とすることで、固体潤滑剤が摩滅しても内輪と外輪が偏心せず、軸受が分解しない構成となる。
以上のように、この発明によれば、固体潤滑剤の過剰摩耗や転がり面への過剰移着が抑制され、固体潤滑剤の早期摩滅や軸受の回転不良が回避されるので、固体潤滑転がり軸受長寿命化を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、この発明を密封形深溝玉軸受に適用した実施形態を示している。
この実施形態の固体潤滑転がり軸受1は、内周面に外側軌道面2aを有する外輪2と、外周面に内側軌道面3aを有する内輪3と、外側軌道面2aと内側軌道面3aとの間に配置された複数(この実施形態では6個)のボール(転動体4)と、隣接する転動体4の間に配置された複数(この実施形態では3個)のセパレータ5と、外輪2と内輪3の間の空間を軸方向両側でシールする密封板6とを主要な構成要素としている。
前記密封板6は、その外径端が外輪2の内周面に形成された周溝に圧入固定され、その内径端が内輪3の外周面に近接して非接触シールを形成している。なお、高温環境で使用されない軸受等では、密封板6として、その内径端を内輪3の外周面に摺接させる接触シールタイプを使用することもできる
外輪2、内輪3、および転動体4は、鋼材料、例えばSUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼で形成される。転動体はセラミックスで形成してもよく、その場合、セラミックスとしては例えば窒化ケイ素を使用することができる。転動体4をセラミックスで形成しない場合には、その表面にグラファイト等の固体潤滑材料からなる被膜を形成するのが好ましい。密封板6は、鋼材料で形成し、例えば耐食性に優れるSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼で形成するのが好ましい。
転動体4を周方向に離間するセパレータ5は、軌道輪の形状に沿って湾曲し、断面がコの字形のトンネル形状を成し、周方向両端部に転動体4を収容するポケット5aを備える。セパレータ5はポケット5aに収容された一対の転動体4とユニットを成し、外輪軌道面2aと内輪軌道面3aの間で円周上に略3等配されている。ポケット5aの開口寸法Wは転動体4の直径Dよりも小さく(図4参照)、転動体4はセパレータ5のポケット5a内に保持される。この構成では、転動体4をポケット5a内に圧入を伴いながら周方向に収容することで、転動体4がセパレータ5から離脱しない構成となる。
固体潤滑剤7は、例えば、グラファイト系、二硫化タングステン系や二硫化モリブデン系の固体潤滑剤からなり、軌道輪の形状に沿って湾曲した板状を呈し、前記セパレータ5の内周面側かつポケット5aに収容された一対の転動体4の間に配置されている。
図2に示すとおり、ポケット5aに収容された転動体4は、セパレータ5の周方向端面から突出せず、転動体4同士が接触しない構成となっている。また、セパレータを周方向に直列したときの周方向角度の総和は180度を超える313.5度であり、固体潤滑剤7が摩滅しても内輪3と外輪2が偏心しないようにしている。
セパレータ5は、転動体4と外輪2のみと摺動し、軸方向は転動体4によって、径方向は外輪2の内径面によって案内される。セパレータ5のポケット5a面が摩耗した場合、セパレータ5と密封板6の内壁が接触する可能性もあるが、密封板6の回転速度は外輪2と同一であるため、セパレータ5の挙動が著しく不安定になることはない。
なお、この発明は、玉軸受に限定されるものではなく、ころ軸受にも適用することができる。また、構成部品の材質や形状も上記に限定されるものではなく、ステンレス鋼や軸受鋼製の鋼球、二硫化タングステン系や二硫化モリブデン系の固体潤滑剤のほか、湾曲した略直方体の旋削セパレータを採用することもできる。
1 :固体潤滑転がり軸受
2 :外輪
2a :外側軌道面
3 :内輪
3a :内側軌道面
4 :転動体
5 :セパレータ
5a :ポケット
6 :密封板
7 :固体潤滑剤
2 :外輪
2a :外側軌道面
3 :内輪
3a :内側軌道面
4 :転動体
5 :セパレータ
5a :ポケット
6 :密封板
7 :固体潤滑剤
Claims (5)
- 内輪と、外輪と、複数の転動体と、隣接する転動体の間に位置する少なくとも1つの固体潤滑剤と、転動体を周方向に離間するセパレータとを備える固体潤滑転がり軸受において、前記固体潤滑剤を前記セパレータの内周面側に配置したことを特徴とする固体潤滑転がり軸受
- 前記セパレータが固体潤滑剤の両端面の一部または全面を支持、案内することを特徴とする請求項1記載の固体潤滑転がり軸受。
- 前記セパレータの周方向端部が転動体としてのボールを収容するポケットを備え、ポケットの開口寸法が転動体としてのボールの直径よりも小さい請求項1または2に記載の固体潤滑転がり軸受。
- ポケットに収容された転動体がセパレータの周方向端面から突出しない請求項3に記載の固体潤滑転がり軸受。
- セパレータを周方向に直列したときの周方向角度の総和が180度を超える請求項1ないし4のいずれかの項に記載の固体潤滑転がり軸受。
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JP2019010801A JP2020118240A (ja) | 2019-01-25 | 2019-01-25 | 固体潤滑転がり軸受 |
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2019
- 2019-01-25 JP JP2019010801A patent/JP2020118240A/ja active Pending
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