JP5569548B2 - 同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置 - Google Patents

Description

本発明は、円環状をなすように形成された円環状コンタクトが、相手コネクタの嵌合時にスリットを介して弾性変位されるように構成された同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置に関する。

一般に、種々の電気機器において、互いに嵌合接続可能に構成された一対の電気コネクタを使用して、細線同軸ケーブルやフレキシブル配線基板等の各種信号伝送媒体を印刷配線基板に電気的に接続したり、一対の配線基板同士（基板対基板）を電気的に接続することが広く行われている。そのような一対の電気コネクタとしては、例えば下記の特許文献１に記載されているように信号伝送媒体や配線基板が連結されるプラグコネクタ（第１のコネクタ）と、配線基板上に実装されるリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）とが使用され、リセプタクルコネクタに対してプラグコネクタが嵌合されることによって電気的な接続が行われるようになっている。

ここで、上述した一対の配線基板同士（基板対基板）の接続に用いられる電気コネクタにおいて、信号コンタクトとグランドコンタクトとを同心状に配置した同軸型の電気コネクタが知られている。同軸型電気コネクタには、円周方向の一部にスリット（破断部）が設けられた円環状コンタクトが使用されており、その円環状コンタクトの円環状開口部を通して、相手コネクタが嵌合又は抜去される構成になされている。そのときの相手コネクタの嵌合又は抜去は、円環状開口部の軸方向に沿って行われるが、その際、円環状コンタクトのスリット（破断部）の間隔が広げられるように弾性変位し、それによって円環状コンタクトの外径が拡大されるとともに、嵌合操作又は抜去操作が完了した時点で、円環状コンタクトが元の位置に復元されることによって、コネクタ同士が嵌合状態又は解放状態に保持される。

このとき、円環状コンタクトには、相手コネクタが当該円環状コンタクトに当接してから嵌合又は抜去が完了するまでの間、相手コネクタを適正な姿勢に維持する嵌合ガイド機能を有している。しかしながら、従来の同軸型電気コネクタにおいては、上述したように円環状コンタクトにスリットが破断部として設けられているため、円環状コンタクトの全体的な剛性が低下する傾向にあって、例えば、円環状コンタクトの円環状開口部に対して、軸方向に傾斜した方向において相手コネクタが嵌合又は抜去された場合等において、円環状コンタクトに捻れるような変形が発生してしまうおそれがある。その結果、相手コネクタに対する円環状コンタクトの嵌合ガイド機能が低下し、円滑な嵌合又は抜去動作ができなくなったり、コネクタ損傷の原因になる場合がある。特に、電気コネクタにより基板と基板とを接続する場合には、嵌合の相手コネクタが基板で覆われて目視できなくなる場合があるため、円環状コンタクトの嵌合ガイド機能は重要なものとなっている。

特開２００４−０６３３７２号公報

そこで本発明は、簡易な構成で、相手コネクタとの嵌合・抜去時における円環状コンタクトのガイド機能を良好に維持することができるようにした同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため本発明にかかる電気コネクタでは、円環状をなすように形成された円環状コンタクトを有し、その円環状コンタクトのグランド本体部に形成された円環状開口部を通して、当該円環状開口部の軸方向に沿って相手コネクタが嵌合又は抜去されるように構成されているとともに、前記環状コンタクトのグランド本体部に、印刷配線基板上に半田接合される接続脚部が設けられた同軸型電気コネクタにおいて、前記円環状コンタクトのグランド本体部が、円周方向に一体的に連続する無破断の環状部材から形成されたものであって、前記グランド本体部は、前記円環状開口部と前記接続脚部との間部分が円周方向に一体的に連続しているとともに、前記グランド本体部における前記円環状開口部と前記接続脚部との間部分には、当該グランド本体部に発生する応力を分散させる複数の透孔が、円周方向に等間隔で形成され、かつ前記円環状開口部が、当該円環状開口部の径方向における内方側又は外方側に向かって湾曲状に延在するように形成された構成が採用されている。

このような構成からなる同軸型電気コネクタによれば、円環状コンタクト全体が無破断の一体的な構造になされているため、円周方向に破断部を有する従来の円環状コンタクトに比して、必要な弾性を維持しつつ剛性が増大されることとなり、例えば、円環状の軸方向に対して軸方向に傾斜した方向に相手コネクタが嵌合又は抜去された場合であっても、円環状コンタクトにおいて従来の捻れるような変形が抑えられ、その結果、円環状コンタクトの嵌合ガイド機能が良好に維持されることにより、相手コネクタが円環状の軸方向に沿って安定的に案内される。

このような構成からなる同軸型電気コネクタによれば、相手コネクタの嵌合・抜去時に、円環状コンタクトの円環状開口部に設けられた湾曲面に沿って相手コネクタが円滑に移動することとなり、円環状コンタクトの嵌合ガイド機能が更に向上する。

このような構成からなる同軸型電気コネクタによれば、相手コネクタの嵌合・抜去時に円環状コンタクトに発生する応力が、透孔を介して円環状コンタクト全体に分散されることとなり、円環状コンタクトの使用耐久性が高められる。

また、本発明における同軸型電気コネクタ装置においては、上述した同軸型電気コネクタと、その同軸型電気コネクタが実装される印刷配線基板とからなり、前記同軸型電気コネクタの円環状コンタクトが、グランドコンタクトであるとともに、そのグランドコンタクトの径方向の内方側に信号コンタクトが配置され、かつ前記印刷配線基板には、前記グランドコンタクトが接続されるグランド導電路と、前記信号コンタクトが接続される信号導電路とが形成されたものであって、前記信号導電路が、前記グランドコンタクトの径方向の中心領域に形成された構成が採用されている。

このような構成からなる同軸型電気コネクタ装置によれば、信号コンタクトの電気的な接続がグランドコンタクトの中心部分で行われるため、当該信号コンタクトの接続に関する位置決めが、グランドコンタクトの円周方向において不要となる。その結果、配線基板への実装時に、グランドコンタクトの軸回りにコネクタ全体が回転した場合であっても、信号コンタクトの位置ズレがほとんどないために実装作業は継続して可能となり、実装エラーが低減されることによって、いわゆる生産歩留まりの向上が図られる。また、従来のような信号コンタクトの接続脚部の上方を絶縁する部材が不要となることから、コネクタの低背化が可能となるとともに、信号コンタクトを含む信号伝送経路の外周側部分がグランドコンタクトで覆われるため、信号伝送経路に対する電磁遮断性（ＥＭＩ特性）が向上される。

以上述べたように本発明にかかる同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置は、円周方向において破断部を有しない円周方向に連続した無破断の環状部材により円環状コンタクトを形成することによって、円周方向に破断部を有する従来の円環状コンタクトに比して、必要な弾性を維持しつつ剛性を増大させ、例えば、円環状の軸方向に対して軸方向に傾斜した方向に相手コネクタが嵌合又は抜去された場合であっても、円環状コンタクトにおいて捻れるような変形を抑え、相手コネクタを円環状の軸方向に沿って安定的に案内させることによって円環状コンタクトの嵌合ガイド機能を良好に維持するように構成したものであるから、簡易な構成で、相手コネクタとの嵌合・抜去時における円環状コンタクトのガイド機能を良好に維持することができ、同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置の信頼性を安価かつ大幅に高めることができる。

本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタの構造を表した平面説明図である。 図１に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタを上方側から表した外観斜視説明図である。 図１及び図２に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタを下方側から表した外観斜視説明図である。 図１〜図３に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタを印刷配線基板上に実装する直前の状態を上方側から表した外観斜視説明図である。 図４に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ装置に、相手コネクタに嵌合させる直前の状態を上方側から表した外観斜視説明図である。 図４及び図５に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ装置を、相手コネクタに嵌合させた後の嵌合完了状態を上方側から表した外観斜視説明図である。 図１中の VII−VII 線に沿った縦断面説明図である。 図１中の VIII−VIII線に沿った縦断面説明図である。 図１〜図３に示された同軸型電気コネクタに用いられている信号コンタクトを上方側から表した外観斜視説明図である。

以下、本発明を、印刷配線基板同士を接続する同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置に適用した実施形態について図面に基づき詳細に説明する。

［全体構造について］
図１〜図９に示された本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ１０を用いた同軸型電気コネクタ装置は、例えば携帯電話等の電子機器内に配置された印刷配線基板Ｐ上に半田付けにより実装されたものであって、当該同軸型電気コネクタ１０の上方側に、相手コネクタとしての他の同軸型電気コネクタ２０が、例えば作業者の手で把持されながら同軸状に配置され（図５参照）、その同軸型電気コネクタ２０が、下方の同軸型電気コネクタ１０に向かって適宜の力で押し込まれることにより、両コネクタ１０，２０同士が嵌合された状態になされる。また、それら両コネクタ１０，２０の嵌合状態から、同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０を把持して上方側に適宜の力で引き上げることで、本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ１０から、相手側の同軸型電気コネクタ２０が上方側に離脱するようにして抜去が行われる。

なお、上述した同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０の挿抜操作は、作業者の手で行われることに限られることはなく、機械によって自動的に行うようにしても良い。以下においては、同軸型電気コネクタ２０の挿入方向及び抜出方向を、それぞれ「下方向」及び「上方向」とする。

［絶縁ハウジングの構成について］
その同軸型電気コネクタ１０の本体部を構成している絶縁ハウジング１１は、プラスチック等の樹脂材を用いて例えばモールド成形されたものであって、印刷配線基板Ｐ上に載置されるベース枠体１１ａと、そのベース枠体１１ａの中心側部分から上方に向かって突出する中空体からなる中央枠体１１ｂと、を一体的に有している。そのうちの中央枠体１１ｂは、ベース枠体１１ａの上面から上方に向かって外径が連続的に減じられる円錐形状の一部をなすように形成されているとともに、その中央枠体１１ｂの内方側部分には、平面略矩形状をなす中空状のコンタクト挿入通路１１ｃが上下方向に貫通するように形成されている。そして、そのコンタクト挿入通路１１ｃの内部には、後述する信号伝送用の信号コンタクト１２が下方側から挿入するようにして装着されている。

また、ベース枠体１１ａにおける外周側の端面には、固定片１１ｄ（図８参照）が外方に突出するように形成されており、その固定片１１ｄに対して、円環状コンタクトを構成する接地用のグランドコンタクト１３に設けられた後述の透孔１３ｃが係合することによって、グランドコンタクト１３全体の固定が行われている。この円環状コンタクトとしてのグランドコンタクト１３は、中央枠体１１ｂを径方向の外方側から取り囲むように装着されているが、グランドコンタクト１３の構造については、後段において詳細に説明することとする。

［信号コンタクトの構成について］
信号コンタクト１２は、所定の薄肉金属板の折り曲げ部材から形成されており、印刷配線基板Ｐ上に形成された信号導電路Ｐ１に半田接合される接続脚部１２ａを有している。このときの信号導電路Ｐ１は、特に図４に示されているように、同軸型電気コネクタ１０が実装される領域の略中心位置に円形状をなして露出するように形成されており、その円形状の信号導電路Ｐ１に対して、信号コンタクト１２の接続脚部１２ａが上方から接触する配置関係になされている。

その信号コンタクト１２の接続脚部１２ａは、特に図９に示されているように、印刷配線基板Ｐの表面に沿って延在する平板状部材から形成されており、当該接続脚部１２ａの直上位置には、側面略Ｕ字形状（図７参照）をなすように形成された嵌合接触部１２ｂが設けられている。この嵌合接触部１２ｂは、上方に向けて開口する縦断略台形状をなすように形成されており、上述した接続脚部１２ａの一端縁部から上方側に反転するように折れ曲がって延出する湾曲連結部１２ｃを介して両部材１２ａ，１２ｂ同士が一体的に連接されている。そして、この信号コンタクト１２の嵌合接触部１２ｂは、後述する相手コネクタとしての同軸型電気コネクタ２０に設けられた信号コンタクト２２の嵌合接触部２２ｂに対して、外方側から覆うように嵌め込まれて接触する構成になされている（図７及び図８参照）。

このとき、上述した湾曲連結部１２ｃにおける板幅方向の両側縁には、一対の固定片１２ｄ，１２ｄがそれぞれ外方に突出するように形成されており、それらの各固定片１２ｄが、絶縁ハウジング１１のベース枠体１１ａの一部に係合することによって、信号コンタクト１２全体の固定が行われている。

また、上述した嵌合接触部１２ｂの底面部分は、接続脚部１２ａの上方位置を略平行に延在するように形成されているが、その嵌合接触部１２ｂの底面部分には接続確認孔１２ｅが形成されている。この接続確認孔１２ｅは、嵌合接触部１２ｂの底面部分を上下方向に貫通するように形成されており、当該接続確認孔１２ｅの略半円部分を通して下方の接続脚部１２ａの端縁部が目視可能となっているとともに、残りの略半円部分を通して下方の印刷配線基板Ｐの上表面が目視可能となる構成になされている。従って、この接続確認孔１２ｅを使用して上方側から目視することによって、印刷配線基板Ｐの信号導電路Ｐ１に対して接続脚部１２ａが規定の位置に配置されているか否かが、作業者の目により直接確認されるようになっている。

［グランドコンタクトの構成について］
一方、本発明における円環状コンタクトであるグランドコンタクト１３は、所定の薄肉金属板のプレス絞り加工から形成されており、略円筒状の中空形状をなすように形成されたグランド本体部１３ａと、そのグランド本体部１３ａの外周下縁部から径方向の外方側に向かって一体的に延出する接続脚部１３ｂと、を有している。このうちの接続脚部１３ｂは、全周にわたって一定幅をなすように延在するフランジ板状をなしており、印刷配線基板Ｐ上に円弧状をなすように形成された複数（４体）のグランド導電路Ｐ２上に載置されて半田接合されるようになっている。なお、グランドコンタクト１３が金属プレス絞り加工により製作されていることで、製品間のピッチを小さくすることができ、製造コストを下げることが可能となる。

また、グランド本体部１３ａは、円周方向において一体的に連続する導電性部材からなり、従来のようなスリット（破断部）を有しない無破断の環状部材から形成されている。このグランド本体部１３ａは、上述した接続脚部１３ｂの内周縁部から上方に向かって略直角に折れ曲がって立ち上がるように形成されていて、当該グランド本体部１３ａの上端部分に形成された円環状開口部を通して、相手コネクタとしての同軸型電気コネクタ２０が嵌合又は抜去される構成になされている。

上述したようにグランドコンタクト１３は、連続した円環状をなすように形成されていて、従来のようにグランド本体部１３ａを円周方向に分割するスリット（破断部）は形成されていないが、グランドコンタクト１３の全体が一体となった状態で、円周方向及び径方向に弾性変位が行われる構成になされている。

このとき、グランド本体部１３ａの円環状開口部を形成している上縁環状部１３ａ１は、グランド本体部１３ａの上端部から径方向の内方側に向かって湾曲状に延在するように形成されている。より具体的には、その上縁環状部１３ａ１は、径方向の縦断面形状が略円弧状をなすように形成されていて、グランド本体部１３ａの上端部から径方向の内方側に向かって斜め上方に略円弧状に湾曲するように延出した後に、その略円弧状の頂点部から、さらに径方向内方側に向かって斜め下方に、連続した略円弧状の湾曲形状をなすように延出している。

このような上縁環状部１３ａ１における内方側の先端部分は、同軸型電気コネクタ１０の中心側に向かって斜め下方にフック状をなすように突出しているが、その上縁環状部１３ａ１の内方側先端部分は、円環状係止部１３ａ２になされている。この円環状係止部１３ａ２には、後述する相手コネクタとしての他の同軸型電気コネクタ２０に設けられた円環状係合部２３ｃが弾性的に係合される（図７及び図８参照）。

上述した構成を有するグランドコンタクト１３のグランド本体部１３ａには、複数の透孔１３ｃが、円周方向に略等間隔で形成されている。これらの各透孔１３ｃは、グランド本体部１３ａの下縁部分から上方に向かって細長状に延出する長穴形状をなすように形成されており、前述した上縁環状部１３ａ１の頂点部の近傍部分まで延びている。

このような構成を有する同軸型電気コネクタ１０に対して、後述する相手コネクタとしての他の同軸型電気コネクタ２０が嵌合・抜去されることとなるが、嵌合が行われるに際しては、上述したグランドコンタクト１３を構成しているグランド本体部１３ａの上縁環状部１３ａ１に対して、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０のグランド本体部２３ａが上方側から当接し、同軸型電気コネクタ１０の上縁環状部１３ａ１の湾曲面に沿って、同軸型電気コネクタ２０が内方側に挿入される。これによって、グランド本体部１３ａの内径部分が外方に押し広げられるように弾性変形し、当該グランド本体部１３ａが円周方向及び径方向に拡大する方向に変位する。さらに、他の同軸型電気コネクタ２０の嵌合操作が完了したときには、グランド本体部１３ａが円周方向及び径方向に縮小する方向に復元される。なお、他の同軸型電気コネクタ２０を同軸型電気コネクタ１０から抜去する操作時には、上述した弾性変位が逆方向に行われる。

［相手コネクタの全体構成について］
前述したように本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ１０に対しては、特に図７及び図８に示されているように、相手コネクタとしての他の同軸型電気コネクタ２０が上方側から嵌合され、又は上方側に向かって抜出される構成になされているが、そのときの他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０も、概略同様な構成になされているため、同様な構成を有する部材については十の位の「１」を「２」に代えて表し、異なる構成についての説明を以下行うこととする。

まず、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０に設けられた絶縁ハウジング２１は、平面略矩形状をなす平板状部材から形成されており、その絶縁ハウジング２１の中心部分に、信号伝送用の信号コンタクト２２が装着されている。また、その信号コンタクト２２を外方側から取り囲むようにして、接地用のグランドコンタクト２３が装着されている。

［信号コンタクトの構成について］
信号コンタクト２２は、所定の薄肉金属板のプレス絞り加工から形成されており、印刷配線基板Ｑ上に形成された信号導電路（図示省略）に半田接合される接続脚部２２ａを有している。その接続脚部２２ａは、絶縁ハウジング２１の中心側に延出しており、中心部分において略直角方向上方に立ち上がるように突出する中空のピン形状をなす嵌合接触部２２ｂが一体的に連接されている。この嵌合接触部２２ｂは、前述した本発明にかかる同軸型電気コネクタ１０に設けられた嵌合接触部１２ｂの内方側に対して嵌め込まれる構成（図７及び図８参照）になされている。

［グランドコンタクトの構成について］
また、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０に設けられたグランドコンタクト２３も、所定の薄肉金属板の折り曲げ部材から形成されており、略円筒状の中空形状をなすように形成されたグランド本体部２３ａの外周部から、半径外方側に向かって一体的に延出する複数の接続脚部２３ｂが、印刷配線基板Ｑ上に形成されたグランド導電路（図示省略）に半田接合されるようになっている。このグランド本体部２３ａの外周下縁部分には、環状溝からなる円環状係合部２３ｃが成形されている。当該円環状係合部２３ｃは、前述した本発明にかかる同軸型電気コネクタ１０の円環状係止部１３ａ２に対して、径方向の内方側に挿入されて弾性的な嵌合状態（図７及び図８参照）になされる。

そして、この相手コネクタとしての他の同軸型電気コネクタ２０が、前述した本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ１０に対して上方側から、図７及び図８に示されているように下向きに反転した状態で対向するように配置された後、下方に押し込むようにして嵌合が行われる。その嵌合操作においては、他の同軸型電気コネクタ２０のグランド本体部２３ａの先端縁部（下端縁部）が、同軸型電気コネクタ１０の上縁環状部１３ａ１に当接し、その上縁環状部１３ａ１が有する湾曲面の案内作用によって、同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０のグランド本体部２３ａが、同軸型電気コネクタ１０の内方側に挿入されていき、その際に、同軸型電気コネクタ１０のグランド本体部１３ａが円周方向に拡大する方向に弾性変形する。このときのグランド本体部１３ａの弾性変形は、当該グランド本体部１３ａ全体が有する弾性に基づいた略均一な円周応力の下で行われ、他の同軸型電気コネクタ２０に対する嵌合が行われる。

また、両コネクタ１０，２０同士の嵌合操作が完了したときには、同軸型電気コネクタ１０に設けられた円環状係止部１３ｃに対して、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０の円環状係合部２３ｃが嵌り込み、同軸型電気コネクタ１０に設けられたグランド本体部１３ａが円周方向に縮小する方向に復元される。なお、同軸型電気コネクタ１０の抜去時には、上述した工程と逆方向の弾性変位が行われる。

このように本実施形態においては、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０との嵌合操作又は抜去操作が行われるにあたって、同軸型電気コネクタ１０における円環状コンタクトとしてのグランドコンタクト１３が、当該グランドコンタクト１３の全体が有する弾性力の下での弾性変位が行われる。すなわち、同軸型電気コネクタ１０に設けられたグランドコンタクト１３は、その全体が一体的な構造になされていることから、円周方向にスリット（破断部）を有する従来の円環状コンタクトに比して、嵌合・抜去に必要な弾性を維持しつつ剛性が増大されている。従って、例えば円環状の軸方向に対して傾斜した方向に他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０が嵌合又は抜去された場合であっても、同軸型電気コネクタ１０のグランドコンタクト１３において、従来の捻れるような変形は抑えられ、その結果、グランドコンタクト１３の嵌合ガイド機能が良好に維持され、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０が円環状の軸方向に沿って安定的に案内されるようになっている。

特に、本実施形態においては、グランドコンタクト１３の円環状開口部を形成している上縁環状部１３ａ１が、円環状の径方向における内方側に向かって湾曲面をなすように延在していることから、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０の嵌合・抜去時に、グランドコンタクト１３の上縁環状部１３ａ１の湾曲面に沿って他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０が円滑に移動することとなり、グランドコンタクト１３の嵌合ガイド機能が更に高められている。

また、本実施形態におけるグランドコンタクト１３には、複数の透孔１３ｃが、円周方向に略等間隔で形成されていることから、他の同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）２０の嵌合・抜去時にグランドコンタクト１３に発生する応力が、透孔１３ｃを介してグランドコンタクト１３の全体に分散され、グランドコンタクト１３の使用耐久性が向上されている。

さらに、本実施形態においては、印刷配線基板Ｐに形成された信号導電路Ｐ１が、グランドコンタクト１３の径方向の中心領域に形成されていることから、信号コンタクト１２の電気的な接続が、グランドコンタクト１３の中心部分で行われるため、当該信号コンタクト１２の接続に関する位置決めが、グランドコンタクト１３の円周方向において不要となる。その結果、印刷配線基板Ｐへの実装時に、グランドコンタクト１３の軸回りにコネクタ全体がある程度回転した場合であっても、信号コンタクト１２の位置ズレがほとんどないために実装作業は継続して可能となり、実装エラーが低減されることによって、いわゆる生産歩留まりの向上が図られる。

また、従来のような信号コンタクトの接続脚部の上方を絶縁する部材が不要となることから、コネクタの低背化が可能となるとともに、信号コンタクト１２を含む信号伝送経路の外周側部分が、グランドコンタクト１３で覆われるため、信号伝送経路に対する電磁遮断性（ＥＭＩ特性）が向上される。

以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。

例えば、上述した実施形態では、グランド本体部１３ａの円環状開口部を形成している上縁環状部１３ａ１が、円環状の径方向における内方側に向かって湾曲状に折れ曲がるように延在しているが、外方側に延出するように形成した構成も採用可能である。

以上のように本発明は、各種電子・電気機器に使用される多種多様な同軸型電気コネクタ及び同軸型電気コネクタ装置に対して広く適用することが可能である。

１０ 同軸型電気コネクタ
１１ 絶縁ハウジング
１１ａ ベース枠体
１１ｂ 中央枠体
１１ｃ コンタクト挿入通路
１１ｄ 固定片
１２ 信号コンタクト
１２ａ 接続脚部
１２ｂ 嵌合接触部
１２ｃ 湾曲連結部
１２ｄ 固定片
１２ｅ 接続確認孔
１３ グランドコンタクト（円環状コンタクト）
１３ａ グランド本体部
１３ａ１ 上縁環状部（円環状開口部）
１３ａ２ 円環状係止部
１３ｂ 接続脚部
１３ｃ 透孔
Ｐ 印刷配線基板
Ｐ１ 信号導電路
Ｐ２ グランド導電路
２０ 同軸型電気コネクタ（相手コネクタ）
２１ 絶縁ハウジング
２２ 信号コンタクト
２２ａ 接続脚部
２２ｂ 嵌合接触部
２３ グランドコンタクト
２３ａ グランド本体部
２３ｂ 接続脚部
２３ｃ 円環状係合部
Ｑ 印刷配線基板

Claims (2)

1. 円環状をなすように形成された円環状コンタクトを有し、その円環状コンタクトのグランド本体部に形成された円環状開口部を通して、当該円環状開口部の軸方向に沿って相手コネクタが嵌合又は抜去されるように構成されているとともに、
   前記環状コンタクトのグランド本体部に、印刷配線基板上に半田接合される接続脚部が設けられた同軸型電気コネクタにおいて、
   前記円環状コンタクトのグランド本体部が、円周方向に一体的に連続する無破断の環状部材から形成されたものであって、
   前記グランド本体部は、前記円環状開口部と前記接続脚部との間部分が円周方向に一体的に連続しているとともに、
   前記グランド本体部における前記円環状開口部と前記接続脚部との間部分には、当該グランド本体部に発生する応力を分散させる複数の透孔が、円周方向に等間隔で形成され、かつ
   前記円環状開口部が、当該円環状開口部の径方向における内方側又は外方側に向かって湾曲状に延在するように形成されていることを特徴とする同軸型電気コネクタ。
2. 請求項１記載の同軸型電気コネクタと、その同軸型電気コネクタが実装される印刷配線基板と、からなり、
   前記同軸型電気コネクタの円環状コンタクトが、グランドコンタクトであるとともに、そのグランドコンタクトの径方向の内方側に信号コンタクトが配置され、かつ
   前記印刷配線基板には、前記グランドコンタクトが接続されるグランド導電路と、前記信号コンタクトが接続される信号導電路と、が形成されたものであって、
   前記信号導電路が、前記グランドコンタクトの径方向の中心領域に形成されていることを特徴とする同軸型電気コネクタ装置。

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