JP5534231B2 - 硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその処理方法に用いるスポンジ銅触媒 - Google Patents

硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその処理方法に用いるスポンジ銅触媒 Download PDF

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Description

本発明は、硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその排水処理方法に用いるスポンジ銅触媒に関し、特に、事業所や工場等から排出される硝酸性窒素を含有した排水をスポンジ銅触媒を用いて効率的に処理する硝酸性窒素含有排水の処理方法及びそのスポンジ銅触媒に関する。
排水中に含まれる硝酸性窒素の処理方法としては、微生物の脱窒能を利用した生物学的処理方法、イオン交換法、逆浸透法、電気透析法等の物理化学的処理方法、水素ガスを被処理排水中に加圧溶解させて触媒の存在下に硝酸性窒素を還元する化学的処理方法等がある。
生物学的処理方法は、ランニングコストが安価で最も普及している方法であるが、反応速度が小さいため、大量の排水を処理するためには大型の処理装置を必要とする。また、この生物学的処理方法は、約1g/L以上の高濃度の硝酸性窒素を含有する排水に適用することは難しく、排水中の硝酸性窒素濃度の変化など処理装置に対する負荷の変動によって処理性能が不安定になり易い。
物理化学的処理方法は、処理装置が小型化でき、確実な処理が期待できる方法である。しかしながら、この方法は水中の硝酸性窒素を分離・濃縮する方法であるため、最終的に硝酸性窒素が濃縮された液の処理が別途必要となり、根本的に硝酸性窒素を処理していることにならない。
一方、化学的処理方法は、排水中の硝酸性窒素の還元にクリーンな水素ガスを使用すること、生物学的処理方法と比較して反応速度が大きいため装置が小型化できること等の特徴がある。
この化学的処理方法に関して、例えば特許文献1には、スポンジ銅触媒を使用して、硝酸性窒素を含有する排水を小型の装置で化学的に簡単に処理し、高濃度の硝酸性窒素を効果的に窒素ガスとする処理方法が提案されている。
ここで、スポンジ銅触媒は、従来よりラネー触媒と呼ばれている活性表面を有する金属からなる触媒のうち、触媒作用を有する金属(以下、「触媒成分」という。)である銅と溶出される金属(以下、「溶出成分」という。)であるアルミニウムとの合金から、アルカリ溶液よって溶出成分を溶出させて得ることができるスポンジ状形態の銅触媒である。
このスポンジ銅触媒は、スポンジ状形態となっているため比表面積が大きく反応活性(以下、「活性」という。)が高いという特徴がある。
しかしながら一方で、このスポンジ銅触媒は、スポンジ状形態となったことで機械的強度が小さくなり、固定床反応槽等での使用中に触媒の一部が破砕、粉化してしまうおそれがある。粉化したスポンジ銅触媒は、反応槽から流出してしまい、その流出した触媒を分離するための工程が必要となる等、効率的な排水処理を実現できないという問題もあった。
また、上述した特許文献1に記載の技術における、pH8以上、好ましくはpH12という高いpHの条件下では、溶出成分であるアルミニウムが排水処理中にさらに溶出してしまい、排水を処理するにつれて機械的強度の低下がますます大きくなり、破砕、粉化するという問題が顕在化してしまうこととなった。
特許第3496669号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、スポンジ銅触媒の破砕や粉化を効果的に防止して、効率的に硝酸性窒素を含有する排水を処理することができる硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその処理方法に用いるスポンジ銅触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、触媒成分である銅と溶出成分であるアルミニウムとの合金の各金属重量比を調整して生成させたスポンジ銅触媒を、硝酸性窒素含有排水に接触させることにより、スポンジ銅触媒の破砕や粉化を抑制して効率的な排水処理を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、排水に含まれる硝酸性窒素を還元処理する硝酸性窒素含有排水の処理方法であって、銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30であり、銅とアルミニウムとからなる合金を原料とし、該合金をアルカリ溶液で展開処理して生成されるスポンジ銅触媒を、前記排水に接触させて前記硝酸性窒素を還元することを特徴とする。
ここで、前記合金は、前記銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%有する。また、前記スポンジ銅触媒は、アルミニウムを13〜30重量%含有する。
また、本発明は、硝酸性窒素を含有した排水を接触させて、該硝酸性窒素を還元処理するための排水処理用スポンジ銅触媒であって、銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30であり、該銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%有し、銅とアルミニウムとからなる合金を原料とし、該合金をアルカリ溶液で展開処理して生成され、アルミニウムを13〜30重量%含有してなることを特徴とする。
本発明に係る硝酸性窒素含有排水の処理方法によれば、スポンジ銅触媒の金属溶出を効果的に抑制し、スポンジ銅触媒の破砕や粉化を防止して、効率的に硝酸性窒素含有排水の処理を行うことができる。
銅とアルミニウムとの2元系状態図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、以下の順序で詳細に説明する。
1.本発明の概要
2.スポンジ銅触媒について
3.硝酸性窒素含有排水の処理方法
4.実施例
<1.本発明の概要>
本発明に係る排水の処理方法は、工場等からの排水に含まれる硝酸性窒素を化学的に処理する方法であって、排水処理中に、金属の溶出や、破砕や粉化を生じないスポンジ銅触媒を用いて硝酸性窒素を還元処理するものである。
具体的には、本発明に係る排水の処理方法は、銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30である合金を原料として生成されるスポンジ銅触媒を、硝酸性窒素を含有した排水に接触させて硝酸性窒素を還元することを特徴とする。このように、本発明では、排水中の硝酸性窒素を還元処理するスポンジ銅触媒に関して、触媒成分である銅と溶出成分であるアルミニウムとの重量比を調整した合金を原料としている。
ここで、図1に、銅とアルミニウムの2元系状態図を示す。この2元系状態図に示されるように、原料とする銅の比率が52重量%よりも大きくなると、その銅とアルミニウムとの合金中における金属間化合物(η相)の割合が大きくなっていることが分かる。つまり、銅の重量比率を52重量%よりも大きくなるように調整して合金を生成することにより、その合金中におけるη相の割合を大きくできることが分かる。
上述のように、本発明においては、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30とした合金を原料とするが、これにより、銅とアルミニウムとの合金中において、η相が1〜99重量%含有されるようになる。
合金中のη相に存在するアルミニウムは、スポンジ銅触媒の生成時において水酸化ナトリウム溶液等によって展開処理を行っても、完全に溶解することなく触媒内に残留することとなる。したがって、このようにして製造されたスポンジ銅触媒では、残留したアルミニウムによって銅が強固に保持されることになり、スポンジ銅触媒の機械的強度を強くすることができる。
これにより、特に、水酸化ナトリウム溶液等の強いアルカリ溶液を添加した高いpH条件下で硝酸性窒素を含有する排水を還元処理する排水処理においては、このように機械的強度が向上したスポンジ銅触媒を用いることにより、スポンジ銅触媒の破砕、粉化を効果的に防止し、より効率的に排水処理を行うことができる。
以下、本発明において用いるスポンジ銅触媒、並びにそのスポンジ銅触媒を用いた硝酸性窒素を含有する排水の処理方法に関する実施形態(以下、「本実施の形態」という。)についてさらに詳細に説明する。
<2.スポンジ銅触媒について>
先ず、本実施の形態に係る排水の処理方法に用いるスポンジ銅触媒について説明する。本実施の形態におけるスポンジ銅触媒は、硝酸性窒素を含有する排水を接触させて、その硝酸性窒素を還元処理するための排水処理用スポンジ銅触媒である。
スポンジ銅触媒は、触媒成分である銅と溶出成分であるアルミニウムとの合金を原料として生成されるものであり、銅とアルミニウムとの合金粒をアルカリ溶液によって展開してアルミニウムを溶出し、スポンジ状の形態に形成したものである。
本実施の形態におけるスポンジ銅触媒は、その原料として、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整した合金を用いる。
従来のスポンジ銅触媒においては、銅とアルミニウムとの重量比を50:50とした合金を原料として生成されていた。これに対し、本実施の形態におけるスポンジ銅触媒では、上述のように、合金中の銅の比率を大きくし、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整した合金を原料として用いるようにしている。
本実施の形態においては、このように、原料合金中の銅の比率を大きくすることにより、合金中の金属間化合物(η相)の存在比率を大きくすることができる。具体的には、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整することにより、その合金中に、銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%含有させることができる。
ここで、上述のようにスポンジ銅触媒は、銅とアルミニウムとの合金から得られた合金粒を、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液によって展開することにより、溶出成分であるアルミニウムをアルカリ溶液中に溶出させることで生成される。このとき、原料合金中に銅とアルミニウムとからなるη相が含有されている場合、そのη相に存在するアルミニウムは水酸化ナトリウム溶液中には溶出しない。つまり、原料合金中にη相として存在するアルミニウムは、スポンジ銅触媒中に残留することとなる。
したがって、本実施の形態におけるスポンジ銅触媒は、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整し、銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%含有させた合金を原料としているので、η相に存在するアルミニウムは展開処理によってアルカリ溶液中に完全には溶出せず、スポンジ銅触媒中に銅と共に残留することとなる。
このようにして生成したスポンジ銅触媒は、残留したアルミニウムにより銅がボンディングされ、機械的強度が向上したものになっている。スポンジ銅触媒中に残留したアルミニウムは、硝酸性窒素を含有した排水の処理において水酸化ナトリウム等の強いアルカリ溶液を使用した場合でも、そのアルカリ溶液中に溶出することなく残留することとなる。したがって、スポンジ銅触媒中の銅は、そのアルミニウムによって常に強固にボンディングされた状態となる。これにより、このスポンジ銅触媒を、アルカリ溶液を使用する排水処理に用いた場合でも、アルミニウムの金属溶出を効果的に抑制することができ、またスポンジ銅触媒を構成する銅の破砕や粉化を防止することができる。
ここで、銅とアルミニウムとの重量比の調整において、銅の重量比率が52重量%よりも小さくなると、η相の存在比率が極めて小さくなり、機械的強度の改善効果を得ることができない。一方で、銅の重量比率が70重量%を超えると、η相の存在比率はそれ以上大きくならず、融点が高くなるので合金製造時の温度を高温にする必要が生じる。
上述した原料を用いてスポンジ銅触媒を生成する方法としては、特に限定されず、公知の方法により生成することができる。
スポンジ銅触媒は、粒状の形態で使用することが好ましいことから、銅とアルミニウムとの合金を粒状の合金粒として生成することが好ましい。排水処理において、スポンジ銅触媒を粉末状の形態で使用すると、固液分離工程が必要となってしまう。したがって、粒状の合金粒を用いて、粒状のスポンジ銅触媒を生成することにより、固液分離を行うことなく、効率的な排水処理を実現することができる。なお、粒状のスポンジ銅触媒の大きさとしては、特に限定されないが、例えば中心粒子径が3〜7mmである大きさとする。
スポンジ銅触媒の生成において、合金粒中のアルミニウムを溶出させる展開処理は、合金粒を水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液等のアルカリ溶液中に浸漬させることによって行う。または、合金粒を水に分散させて得たスラリーに、アルカリ溶液を滴下することによって行うようにしてもよい。
本実施の形態におけるスポンジ銅触媒では、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整し、銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%含有させた合金を原料として用いているので、展開処理により、スポンジ銅触媒中にアルミニウムが13〜30重量%含有されるようにすることができる。
以上のようにして生成したスポンジ銅触媒は、合金中の銅とアルミニウムとのη相に基づくアルミニウムが残留していることにより、そのアルミニウムによりスポンジ銅触媒を構成する銅がボンディングされ、排水処理等においてアルカリ溶液等に曝された場合においても、アルミニウムの溶出が起こらず、また銅の破砕や粉化を効果的に抑制することができる。
<3.硝酸性窒素含有排水の処理方法>
本実施の形態に係る排水の処理方法は、硝酸性窒素を含有する排水の処理方法であって、上述した、銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30である合金を原料として生成されるスポンジ銅触媒を、その硝酸性窒素含有排水に接触させるものである。この排水処理においては、排水に含まれる硝酸性窒素が、スポンジ銅触媒により還元されて亜硝酸性窒素となる。
具体的には、この排水の処理方法は、硝酸性窒素を含有した排水に、還元剤としてヒドラジン又はその塩を添加し、スポンジ銅触媒を用いて硝酸性窒素を亜硝酸性窒素に還元する工程を含む。このようにして生成した亜硝酸性窒素は、例えば特許文献1に記載されているように、その排水にパラジウム触媒を用いて接触させることにより、さらに窒素ガスに還元することができる。また、この排水の処理方法では、硝酸性窒素を含有した排水に、還元剤としてヒドラジン又はその塩を添加し、スポンジ銅触媒とパラジウム触媒とを同時に接触させるようにしてよい。
これらの排水の処理方法において、スポンジ銅触媒と排水との接触方法は、バッチ式でも連続式でもよい。
また、還元剤として使用するヒドラジン又はその塩としては、ヒドラジンの一水和物や硫酸ヒドラジン等を好適に用いることができる。その添加量としては、排水中の硝酸性窒素に対して1.25〜3倍当量とすることが好ましい。このようなヒドラジン又はその塩は、水への溶解度が極めて大きいことから、高濃度の硝酸性窒素を含む排水の処理に極めて有効に作用する。
また、この排水の処理方法においては、排水処理の全工程において、排水のpHを8以上、好ましくは12以上に調整する。排水のpHが低下すると硝酸性窒素等を還元する反応速度が低下する傾向となることから、pHを8以上に維持させることにより、硝酸性窒素の還元処理を効率的に進行させることができる。なお、排水のpH調整は、例えば水酸化ナトリウム、硫酸等を添加して行う。
ここで、従来の、銅とアルミニウムとの重量比が50:50である合金を原料として生成させたスポンジ銅触媒を用いて、排水のpHを8以上、好ましくはpH12以上に調整して還元処理を行った場合、そのアルカリ性の環境下により、スポンジ銅触媒を構成するアルミニウムがアルカリ溶液に溶出し、また短期間の使用でスポンジ銅触媒の一部が破砕、粉化してしまうことがあった。このようにして破砕、粉化したスポンジ銅触媒は、排水処理の反応槽から流出してしまうため、流出したスポンジ銅触媒を分離するための工程を別途設けることが必要となっていた。また、スポンジ銅触媒が粉化することにより、所定の還元処理能力を維持することができなくなり、新たなスポンジ銅触媒を補充添加する必要も生じ、迅速かつ効率的な排水処理を行うことができなかった。
これに対して、本実施の形態に係る排水の処理方法では、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整した合金を原料として生成されるスポンジ銅触媒を用い、これを排水に接触させるようにしている。上述したように、銅とアルミニウムとの重量比を52:48〜70:30に調整した合金を原料とした場合、その合金中に銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%含有させることができる。その結果、η相に存在するアルミニウムは展開処理によってもスポンジ銅触媒に残留するようになるので、そのスポンジ銅触媒は、アルミニウムにより銅がボンディングされるようにして形成される。具体的には、このスポンジ銅触媒中においては、アルミニウムが13〜30重量%含有されるようになり、これらアルミニウムが銅をボンディングする。
このようなスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った場合、アルカリ溶液等によって排水のpHを8以上、好ましくはpH12以上に調整した場合においても、スポンジ銅触媒を構成する銅がアルミニウムによって保持されているので、スポンジ銅触媒の一部において破砕や粉化が生じることを効果的に抑制することができる。
これにより、破砕や粉化したスポンジ銅触媒を分離除去する操作等を行う必要がなくなり、効率的な排水処理を行うことができる。また、スポンジ銅触媒の粉化を効果的に抑制できるので、所定の還元処理能力を維持させることができ、新たなスポンジ銅触媒を添加しなくても、長期間に亘って効率的な排水処理を行うことができる。
<4.実施例>
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、下記のいずれかの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。
〔実施例1〕
(粒状スポンジ銅触媒の調整)
銅とアルミニウムの重量比を70:30に調整した合金からなる合金粒を作成し、その合金粒を水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して展開させ、粒状スポンジ銅触媒を得た。なお、重量を調整した合金中におけるη相は99重量%であった。また、得られたスポンジ銅触媒中には、アルミニウムが30重量%含まれていた。
(硝酸性窒素の還元処理試験)
上述のようにして得られたスポンジ銅触媒を用いて、以下に示す硝酸性窒素の還元処理試験を実施した。
すなわち、1mol/L硝酸ナトリウム溶液200mlに、25%水酸化ナトリウム溶液2mlと60%ヒドラジン一水和物を8.3ml添加し、約50℃に加温した。そして、この加温した溶液内に、スポンジ銅触媒40gを充填したバスケットを入れ、硝酸性窒素の還元処理を行った。
還元処理後、溶液中からバスケットを取り出し、溶液をろ過してバスケットから溶液中に流出したスポンジ銅触媒の重量と反応に使用したスポンジ銅触媒の重量から粉化率を算定した。また、スポンジ銅触媒の活性の指標として、還元処理後の硝酸性窒素濃度と反応時間を測定した。
〔実施例2〕
(粒状スポンジ銅触媒の調整)
銅とアルミニウムの重量比を55:45に調整した合金からなる合金粒を作成し、その合金粒を水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して展開させ、粒状スポンジ銅触媒を得た。なお、重量を調整した合金中におけるη相は6重量%であった。また、得られたスポンジ銅触媒中には、アルミニウムが15重量%含まれていた。
(硝酸性窒素の還元処理)
使用するスポンジ銅触媒以外は、実施例1と同じ条件で硝酸性窒素を含有した溶液を用いて還元処理を行い、スポンジ銅触媒の粉化率、スポンジ銅触媒の活性を測定した。
〔実施例3〕
(粒状スポンジ銅触媒の調整)
銅とアルミニウムの重量比を52:48に調整した合金からなる合金粒を作成し、その合金粒を水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して展開させ、粒状スポンジ銅触媒を得た。なお、重量を調整した合金中におけるη相は1重量%であった。また、得られたスポンジ銅触媒中には、アルミニウムが13重量%含まれていた。
(硝酸性窒素の還元処理)
使用するスポンジ銅触媒以外は、実施例1と同じ条件で硝酸性窒素を含有した溶液を用いて還元処理を行い、スポンジ銅触媒の粉化率、スポンジ銅触媒の活性を測定した。
〔比較例1〕
(粒状スポンジ銅触媒の調整)
銅とアルミニウムの重量比を50:50に調整した合金からなる合金粒を作成し、その合金粒を水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して展開させ、粒状スポンジ銅触媒を得た。なお、スポンジ銅触媒の原料とした合金中にη相は含まれていなかった。また、得られたスポンジ銅触媒中において、アルミニウムが含有率は10重量%であった。
(硝酸性窒素の還元処理)
使用するスポンジ銅触媒以外は、実施例1と同じ条件で硝酸性窒素を含有した溶液を用いて還元処理を行い、スポンジ銅触媒の粉化率、スポンジ銅触媒の活性を測定した。
表1に、上述した実施例1〜3及び比較例1における各測定結果を示す。
Figure 0005534231
表1に示されるように、銅とアルミニウムとの重量比を、70:30(実施例1)、52:48(実施例2)、52:48(実施例3)に調整した合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて硝酸性窒素の還元処理を行った実施例1〜3では、いずれも、スポンジ銅触媒の粉化率が測定下限の0.025%以下となり、ほとんど粉化することなく硝酸性窒素を還元できた。また、還元処理後の硝酸性窒素の濃度も、60分の反応時間で、0.02mol/Lとなり、効果的に硝酸性窒素を還元することができた。
このように、銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30である合金を原料として生成されるスポンジ銅触媒を用いて、硝酸性窒素を含有した溶液(排水)を処理することにより、スポンジ銅触媒の粉化を効果的に抑制して、効率的な還元処理を行うことができることが分かった。
一方、銅とアルミニウムとの重量比を50:50とした合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて硝酸性窒素の還元処理を行った比較例1では、スポンジ銅触媒の粉化率が0.25%であり、実施例1〜3に比べて10倍以上も粉化してしまったことが分かる。また、還元処理後の硝酸性窒素の濃度は、60分の反応時間で、0.08mol/Lであり、実施例に比べると十分に硝酸性窒素を還元することができなかった。このことは、処理過程においてスポンジ銅触媒が粉化したことにより触媒量が低下し、所定の還元処理能力を維持できなくなったためであることが分かる。
このような比較例1の方法により硝酸性窒素含有排水の処理を行った場合、粉化したスポンジ銅触媒を分離除去する操作が必要となり、硝酸性窒素の還元能力の低下も併せて、効率的な排水処理を行うことができないと考えられる。
〔実施例5〕
次に、硝酸性窒素の還元処理に用いたスポンジ銅触媒の耐久性について調べた。具体的には、上述の実施例2と同様の方法にて調整したスポンジ銅触媒を、実機の排水処理設備に充填し、耐久性の試験を行った。
この排水処理設備は、概ね0.3〜1mol/L硝酸ナトリウム溶液1000Lを、実施例1〜3における硝酸性窒素の還元処理と同様にして処理することができる設備である。排水処理が進行していく過程において、スポンジ銅触媒の粉化が生じると、排水処理設備内の反応槽から粉化したスポンジ銅触媒が流出し、その結果、硝酸性窒素を還元するための触媒量が低下する。そしてまた、流出したスポンジ銅触媒は、排水処理設備の配管やポンプ等に詰まってしまい、システム上の障害を引き起こす。
実施例2の同様に、銅とアルミニウムの重量比を55:45に調整した合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った実施例5において、硝酸性窒素処理能力が維持されてシステム障害が発生しない期間、すなわちスポンジ銅触媒がシステム中においてその機能を維持している期間を測定した。
〔比較例2〕
比較例2では、比較例1と同様に、銅とアルミニウムの重量比を50:50とした合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った場合において、実施例5と同様に、スポンジ銅触媒がシステム中においてその機能を維持している期間を測定し、そのスポンジ銅触媒の耐久性を調べた。
表2に、上述した実施例5及び比較例2における耐久性試験の結果を示す。
Figure 0005534231
表2に示されるように、銅とアルミニウムの重量比を55:45に調整した合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った実施例5では、5年以上に亘って、システム上の障害を引き起こすことなく、硝酸性窒素を還元処理する能力が維持された。すわなち、スポンジ銅触媒は、粉化することなく、その機能を維持した。
このように、銅の比率が大きくなるように調整した合金を原料として生成したスポンジ銅触媒では、排水処理において粉化されることを効果的に抑制でき、高い耐久性を維持することができることが分かる。また、このスポンジ銅触媒を用いることにより、効率的な排水処理を行うことができることが分かる。
一方、銅とアルミニウムの重量比を50:50に調整した合金を原料として生成したスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った比較例2では、約6ヶ月という短期間で、硝酸性窒素を還元処理する能力が低下してしまい、またシステム上の障害が起こった。このことは、スポンジ銅触媒が粉化したことにより、所定の還元処理能力を維持することができず、また粉化したスポンジ銅触媒が配管等に詰まったためにシステム障害を引き起こしたと考えられる。
このように、比較例2において用いたスポンジ銅触媒では、排水処理において粉化が生じ、耐久性を長期間維持することができなかった。そして、このスポンジ銅触媒を用いて排水処理を行った場合では、配管等に詰まったスポンジ銅触媒を分離除去する操作が必要になるとともに、新たにスポンジ銅触媒を補充する必要が生じ、効率的な排水処理を行うことができないことが分かる。

Claims (6)

  1. 排水に含まれる硝酸性窒素を還元処理する硝酸性窒素含有排水の処理方法であって、
    銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30であり、銅とアルミニウムとからなる合金を原料とし、該合金をアルカリ溶液で展開処理して生成されるスポンジ銅触媒を、前記排水に接触させて前記硝酸性窒素を還元することを特徴とする硝酸性窒素含有排水の処理方法。
  2. 前記合金は、前記銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%有することを特徴とする請求項1記載の硝酸性窒素含有排水の処理方法。
  3. 前記スポンジ銅触媒は、アルミニウムを13〜30重量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硝酸性窒素含有排水の処理方法。
  4. 前記排水にアルカリ溶液を添加してpH8以上とし、前記スポンジ銅触媒を接触させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の硝酸性窒素含有排水の処理方法。
  5. 前記排水に、還元剤としてヒドラジン又はその塩を添加し、前記スポンジ銅触媒を接触させることを特徴とする請求項4記載の硝酸性窒素含有排水の処理方法。
  6. 硝酸性窒素を含有した排水を接触させて、該硝酸性窒素を還元処理するための排水処理用スポンジ銅触媒であって、
    銅とアルミニウムとの重量比が52:48〜70:30であり、該銅とアルミニウムとからなるη相を1〜99重量%有し、銅とアルミニウムとからなる合金を原料とし、該合金をアルカリ溶液で展開処理して生成され、アルミニウムを13〜30重量%含有してなることを特徴とする排水処理用スポンジ銅触媒。
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