JP2004261695A - 硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硝酸の接触還元処理に当たり、反応速度を著しく高め、装置のコンパクト化と処理効率の向上を図る。
【解決手段】ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒よりなる硝酸還元用触媒。硝酸含有水中の硝酸を、この硝酸還元用触媒の存在下に水素により接触還元する硝酸含有水の処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒よりなる硝酸還元用触媒。硝酸含有水中の硝酸を、この硝酸還元用触媒の存在下に水素により接触還元する硝酸含有水の処理方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法に係り、詳しくは、硝酸含有水中の硝酸を水素を還元剤として用いて効率的に還元除去するための触媒と、この触媒を用いた硝酸含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、飲料水中への有害な硝酸イオンの混入が問題となってきており、水中の低濃度硝酸イオンを効率良く無害化処理する技術の確立が望まれている。また、工業排水中の高濃度硝酸イオンについても効率的な無害化処理技術の確立が切望されている。
【0003】
従来、水中の硝酸の処理法としては、物理化学的な方法と生物学的な方法とがある。物理化学的な方法としては、イオン交換法、金属還元法が挙げられ、また、生物学的な方法としては、嫌気性硝酸還元菌を用いた脱窒法がある。
【0004】
イオン交換法はイオン交換樹脂を用いて水中の硝酸イオンを除去する方法である。この方法では、水中の硝酸イオンの除去はできるが、使用済のイオン交換樹脂の再生が必要であり、樹脂再生時に高濃度の硝酸を含む再生廃液が発生し、この再生廃液の処理が必要となるという問題がある。
【0005】
金属還元法は、亜鉛、鉄、アルミニウムなどの金属を用いて硝酸を窒素又はアンモニアに変換する方法である。この方法では、金属が溶出するため、溶出金属による二次汚染を防止するために金属を水酸化物として沈殿処理することから、汚泥が発生し、その処理が必要となる。
【0006】
また、生物脱窒法では、反応速度が遅いために、装置の設置面積が大きくなり、また、余剰汚泥の処理の問題もある。
【0007】
以上のように、従来の硝酸の処理法には課題が多く、新しい処理法が望まれていた。このような従来法の課題を解決するものとして、還元剤として水素を用いた触媒還元法が提案されている。硝酸の触媒還元法で用いられる触媒としては、パラジウムと銅を担持した触媒が有効であるとされている(特許第2780222号公報、特開2000−271575号公報)。
【0008】
【特許文献1】
特許第2780222号公報
【特許文献2】
特開2000−271575号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Pd−Cu系触媒を用いる従来の触媒還元法では、反応速度が遅く、このため、例えば触媒塔への原水の流通速度は一般にSV5hr−1以下の条件が設定されている。このような流通速度では、所定の処理量を得るための装置が大型化するため、実用化に当っては、反応速度の更なる向上が望まれている。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、水素を還元剤とする硝酸の接触還元処理に当たり、反応速度を高め装置のコンパクト化を図る硝酸還元用触媒と、この硝酸還元用触媒を用いた硝酸含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の硝酸還元用触媒は、ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒よりなることを特徴とする。
【0012】
白金を含むニッケル系複合触媒であれば、下記のような目的反応により硝酸を還元分解するに当たり、従来の硝酸還元用触媒に比べて、反応速度を10倍以上に高めることができ、処理効率の向上、装置のコンパクト化を図ることができる。
2NO3+5H2→N2+4H2O+2OH−
【0013】
本発明者らは、硝酸の接触還元処理について鋭意検討を重ねた結果、ニッケルが硝酸の接触還元に有効であり、ニッケルの触媒作用が白金により更に高められ、高い反応速度を得ることができることを知見した。白金を含むニッケル系複合触媒により、このような高い反応速度を得ることができる理由の詳細は明らかではないが、白金がニッケルの表面を還元雰囲気としてニッケルの酸化を防止し、ニッケルによる触媒機能を有効に発揮させるためと考えられる。
【0014】
本発明の硝酸還元用触媒は特にラネー型ニッケル系複合触媒であることが好ましく、白金とニッケルの合計に対する白金の含有割合は0.05〜10重量%であることが好ましい。
【0015】
本発明の硝酸含有水の処理方法は、硝酸含有水中の硝酸を水素により接触還元する硝酸含有水の処理方法において、触媒として、このような本発明の硝酸還元用触媒を用いることを特徴とするものであり、硝酸含有水を効率的に処理することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の硝酸還元用触媒について説明する。
【0018】
本発明の硝酸還元用触媒は、ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒である。本発明の硝酸還元用触媒において、白金の含有量が少な過ぎるとニッケルに白金を複合化したことによる本発明の効果を十分に得ることができず、多過ぎてもそれ以上の効果は望めず、白金使用量が増えることにより触媒コストが高くなる上に、過度に白金含有量が多くなると、むしろ反応速度が低下する傾向にある。従って、本発明の硝酸還元用触媒において、白金とニッケルとの合計量に対する白金含有量は0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%、とりわけ0.5〜3重量%とすることが好ましい。
【0019】
本発明において、触媒に用いるニッケルは、ラネーニッケルであることが好ましい。ラネーニッケルは、ニッケルとアルミニウムの合金からアルミニウムを溶出することによって得られ、一般的には有機化合物の水素化用として使用されている。
【0020】
ラネー型ニッケル系複合触媒であれば、例えば、ニッケル/アルミニウム合金を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中に浸漬してアルミニウムを溶出させて得られたラネーニッケルを、白金化合物の水溶液に浸漬して白金化合物をニッケルのスポンジ状格子に析出担持させることにより容易に製造することができる。ラネーニッケルを浸漬させる白金化合物の水溶液としては、ヘキサクロロ白金酸(塩化白金酸)等の白金化合物の水溶液を用いることができ、濃度は担持させる白金量に応じて適宜決定される。
【0021】
このようにして製造される本発明の硝酸還元用触媒は、粒径0.05〜0.5mm程度のラネーニッケルに白金が担持されたものであることが、取り扱い性、触媒効果等の面で好ましい。
【0022】
このような本発明の硝酸還元用触媒は、硝酸含有水中の硝酸を水素を還元剤として接触還元除去するための触媒として特に有効である。なお、この還元剤としては、水素の他、ヒドラジンやヒドロキシルアミン等を用いることもできるが、水素ガスは、過剰に硝酸含有水に吹き込んでも、水質を悪化させることがなく、また、効率良く還元反応を行うことができる点で水素を用いるのが好ましい。
【0023】
以下に、本発明の硝酸還元用触媒の存在下に、還元剤として水素を用いて硝酸含有水中の硝酸を還元除去する本発明の硝酸含有水の処理方法について説明する。
【0024】
本発明により硝酸含有水を処理するには、硝酸含有水に水素ガスを吹き込んで、触媒充填塔に上向流通水する方法を採用することが好ましい。
【0025】
水素ガスの添加量は、前述の反応式から求められる化学量論量以上であれば良いが、気液接触効率等を考慮した場合、化学量論量の1.1〜11倍程度の水素ガスを添加することが好ましい。
【0026】
また、処理温度は過度に低いと反応が進行しないため、室温以上であることが好ましい。反応温度は過度に高いと加熱コストや、装置の保温及び耐熱設備が嵩むため、20〜100℃の範囲とすることが好ましい。
【0027】
pH条件としては、触媒充填塔への流入水のpHが3〜11程度であることが好ましい。このpHが3未満では触媒の性能低下が起こり、11を超えると硝酸の分解が進行し難くなる。
【0028】
本発明において処理する硝酸含有水の硝酸濃度については特に制限はなく、本発明によれば、10〜50mg/L程度の低濃度硝酸含有水から100〜10000mg/L程度の高濃度硝酸含有水まで、あらゆる濃度の硝酸含有水を処理することができる。
【0029】
このような硝酸含有水の処理に当たり、本発明によれば、反応速度を高めて、触媒充填塔への通液速度をVHSV1000hr−1程度、例えば500〜2000hr−1の高速処理を行うことが可能である。
【0030】
【実施例】
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0031】
製造例1
1.0wt%Pt−Niの調製
Ni−Al合金(Ni:50wt%,Al:50wt%)10gに25%NaOH40mLを添加し、アルミニウムを溶出させた。その後、デカンテーションでNaOH溶液を排出し、さらに、純水150mLで5回水洗した。
【0032】
この水洗後、5.7mmol/Lの塩化白金酸水溶液45mLを添加し、ニッケルのスポンジ状格子に白金を複合化した。
【0033】
複合化後、純水50mLで3回水洗し、ニッケルと白金との合計重量に対する白金の割合が1.0重量%(1.0wt%Pt−Ni)の触媒を得た。
【0034】
また、塩化白金酸濃度を0.57〜28.5mml/Lの間で変えることにより、ニッケルと白金との合計量に対する白金の割合が0.1重量%(0.1wt%Pt−Ni)、2.5重量%(2.5wt%Pt−Ni)、5重量%(5wt%Pt−Ni)の各触媒も製造した。
【0035】
また、白金を担持させなかったこと以外は上記と同様にしてラネー型ニッケル単独触媒(Ni)を製造した。
【0036】
実施例1〜3、比較例1,2
0.1wt%Pt−Ni(実施例1)、1.0wt%Pt−Ni(実施例2)及び2.5wt%Pt−Ni(実施例3)をそれぞれ用い、触媒充填塔に0.35g充填した。
【0037】
この触媒充填塔に硝酸濃度200mg/Lの原水に硝酸に対して2モル倍の水素ガス(0.65〜6.7mmol/h)を吹き込んで硝酸換算で0.13〜1.34mmol/hとなる各通液速度で通液(温度60℃、pH5.4)し、このときの流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を図1に示した。
【0038】
比較のため、Ni単独触媒(比較例1)及びPd/Cu合金を活性炭に担持させた触媒(5wt%Pd−0.6wt%Cu/Ac)についても同様に接触還元処理を行い、流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を図1に示した。
【0039】
図1より、白金を担持したニッケル系複合触媒よりなる本発明の硝酸還元用触媒は、反応速度が著しく大きく、VHSVとして1000hr−1の処理も可能であることがわかる。
【0040】
実施例4〜7、比較例3
0.1wt%Pt−Ni(実施例4)、1.0wt%Pt−Ni(実施例5)、2.5wt%Pt−Ni(実施例6)、5.0wt%Pt−Ni(実施例7)とNi単独触媒(比較例3)を用い、それぞれ触媒充填塔に0.35g充填した。
【0041】
この触媒充填塔に硝酸濃度200mg/Lの原水に硝酸に対して1.1モル倍の水素ガス(3.68mmol/h)を吹き込んで硝酸換算で1.34mmol/hとなる各通液速度で通液(温度60℃、pH5.4)し、このときの触媒中の白金含有率(%)と硝酸分解の反応速度(mmol/h/g−触媒)との関係を求め、結果を図2に示した。
【0042】
図2より、触媒中の白金含有率が1重量%までは反応速度が大きくなるが、白金含有率が1重量%を超えると反応速度は低下する傾向があり、白金含有率が10重量%を超えると白金添加による改善効果は期待できないことが予想された。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法によれば、硝酸の接触還元処理に当たり、反応速度を著しく高め、装置のコンパクト化と処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1,2における流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を示すグラフである。
【図2】実施例4〜7及び比較例3における、触媒中の白金含有率(%)と硝酸分解の反応速度(mmol/h/g−触媒)との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法に係り、詳しくは、硝酸含有水中の硝酸を水素を還元剤として用いて効率的に還元除去するための触媒と、この触媒を用いた硝酸含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、飲料水中への有害な硝酸イオンの混入が問題となってきており、水中の低濃度硝酸イオンを効率良く無害化処理する技術の確立が望まれている。また、工業排水中の高濃度硝酸イオンについても効率的な無害化処理技術の確立が切望されている。
【0003】
従来、水中の硝酸の処理法としては、物理化学的な方法と生物学的な方法とがある。物理化学的な方法としては、イオン交換法、金属還元法が挙げられ、また、生物学的な方法としては、嫌気性硝酸還元菌を用いた脱窒法がある。
【0004】
イオン交換法はイオン交換樹脂を用いて水中の硝酸イオンを除去する方法である。この方法では、水中の硝酸イオンの除去はできるが、使用済のイオン交換樹脂の再生が必要であり、樹脂再生時に高濃度の硝酸を含む再生廃液が発生し、この再生廃液の処理が必要となるという問題がある。
【0005】
金属還元法は、亜鉛、鉄、アルミニウムなどの金属を用いて硝酸を窒素又はアンモニアに変換する方法である。この方法では、金属が溶出するため、溶出金属による二次汚染を防止するために金属を水酸化物として沈殿処理することから、汚泥が発生し、その処理が必要となる。
【0006】
また、生物脱窒法では、反応速度が遅いために、装置の設置面積が大きくなり、また、余剰汚泥の処理の問題もある。
【0007】
以上のように、従来の硝酸の処理法には課題が多く、新しい処理法が望まれていた。このような従来法の課題を解決するものとして、還元剤として水素を用いた触媒還元法が提案されている。硝酸の触媒還元法で用いられる触媒としては、パラジウムと銅を担持した触媒が有効であるとされている(特許第2780222号公報、特開2000−271575号公報)。
【0008】
【特許文献1】
特許第2780222号公報
【特許文献2】
特開2000−271575号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Pd−Cu系触媒を用いる従来の触媒還元法では、反応速度が遅く、このため、例えば触媒塔への原水の流通速度は一般にSV5hr−1以下の条件が設定されている。このような流通速度では、所定の処理量を得るための装置が大型化するため、実用化に当っては、反応速度の更なる向上が望まれている。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、水素を還元剤とする硝酸の接触還元処理に当たり、反応速度を高め装置のコンパクト化を図る硝酸還元用触媒と、この硝酸還元用触媒を用いた硝酸含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の硝酸還元用触媒は、ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒よりなることを特徴とする。
【0012】
白金を含むニッケル系複合触媒であれば、下記のような目的反応により硝酸を還元分解するに当たり、従来の硝酸還元用触媒に比べて、反応速度を10倍以上に高めることができ、処理効率の向上、装置のコンパクト化を図ることができる。
2NO3+5H2→N2+4H2O+2OH−
【0013】
本発明者らは、硝酸の接触還元処理について鋭意検討を重ねた結果、ニッケルが硝酸の接触還元に有効であり、ニッケルの触媒作用が白金により更に高められ、高い反応速度を得ることができることを知見した。白金を含むニッケル系複合触媒により、このような高い反応速度を得ることができる理由の詳細は明らかではないが、白金がニッケルの表面を還元雰囲気としてニッケルの酸化を防止し、ニッケルによる触媒機能を有効に発揮させるためと考えられる。
【0014】
本発明の硝酸還元用触媒は特にラネー型ニッケル系複合触媒であることが好ましく、白金とニッケルの合計に対する白金の含有割合は0.05〜10重量%であることが好ましい。
【0015】
本発明の硝酸含有水の処理方法は、硝酸含有水中の硝酸を水素により接触還元する硝酸含有水の処理方法において、触媒として、このような本発明の硝酸還元用触媒を用いることを特徴とするものであり、硝酸含有水を効率的に処理することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の硝酸還元用触媒について説明する。
【0018】
本発明の硝酸還元用触媒は、ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒である。本発明の硝酸還元用触媒において、白金の含有量が少な過ぎるとニッケルに白金を複合化したことによる本発明の効果を十分に得ることができず、多過ぎてもそれ以上の効果は望めず、白金使用量が増えることにより触媒コストが高くなる上に、過度に白金含有量が多くなると、むしろ反応速度が低下する傾向にある。従って、本発明の硝酸還元用触媒において、白金とニッケルとの合計量に対する白金含有量は0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%、とりわけ0.5〜3重量%とすることが好ましい。
【0019】
本発明において、触媒に用いるニッケルは、ラネーニッケルであることが好ましい。ラネーニッケルは、ニッケルとアルミニウムの合金からアルミニウムを溶出することによって得られ、一般的には有機化合物の水素化用として使用されている。
【0020】
ラネー型ニッケル系複合触媒であれば、例えば、ニッケル/アルミニウム合金を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中に浸漬してアルミニウムを溶出させて得られたラネーニッケルを、白金化合物の水溶液に浸漬して白金化合物をニッケルのスポンジ状格子に析出担持させることにより容易に製造することができる。ラネーニッケルを浸漬させる白金化合物の水溶液としては、ヘキサクロロ白金酸(塩化白金酸)等の白金化合物の水溶液を用いることができ、濃度は担持させる白金量に応じて適宜決定される。
【0021】
このようにして製造される本発明の硝酸還元用触媒は、粒径0.05〜0.5mm程度のラネーニッケルに白金が担持されたものであることが、取り扱い性、触媒効果等の面で好ましい。
【0022】
このような本発明の硝酸還元用触媒は、硝酸含有水中の硝酸を水素を還元剤として接触還元除去するための触媒として特に有効である。なお、この還元剤としては、水素の他、ヒドラジンやヒドロキシルアミン等を用いることもできるが、水素ガスは、過剰に硝酸含有水に吹き込んでも、水質を悪化させることがなく、また、効率良く還元反応を行うことができる点で水素を用いるのが好ましい。
【0023】
以下に、本発明の硝酸還元用触媒の存在下に、還元剤として水素を用いて硝酸含有水中の硝酸を還元除去する本発明の硝酸含有水の処理方法について説明する。
【0024】
本発明により硝酸含有水を処理するには、硝酸含有水に水素ガスを吹き込んで、触媒充填塔に上向流通水する方法を採用することが好ましい。
【0025】
水素ガスの添加量は、前述の反応式から求められる化学量論量以上であれば良いが、気液接触効率等を考慮した場合、化学量論量の1.1〜11倍程度の水素ガスを添加することが好ましい。
【0026】
また、処理温度は過度に低いと反応が進行しないため、室温以上であることが好ましい。反応温度は過度に高いと加熱コストや、装置の保温及び耐熱設備が嵩むため、20〜100℃の範囲とすることが好ましい。
【0027】
pH条件としては、触媒充填塔への流入水のpHが3〜11程度であることが好ましい。このpHが3未満では触媒の性能低下が起こり、11を超えると硝酸の分解が進行し難くなる。
【0028】
本発明において処理する硝酸含有水の硝酸濃度については特に制限はなく、本発明によれば、10〜50mg/L程度の低濃度硝酸含有水から100〜10000mg/L程度の高濃度硝酸含有水まで、あらゆる濃度の硝酸含有水を処理することができる。
【0029】
このような硝酸含有水の処理に当たり、本発明によれば、反応速度を高めて、触媒充填塔への通液速度をVHSV1000hr−1程度、例えば500〜2000hr−1の高速処理を行うことが可能である。
【0030】
【実施例】
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0031】
製造例1
1.0wt%Pt−Niの調製
Ni−Al合金(Ni:50wt%,Al:50wt%)10gに25%NaOH40mLを添加し、アルミニウムを溶出させた。その後、デカンテーションでNaOH溶液を排出し、さらに、純水150mLで5回水洗した。
【0032】
この水洗後、5.7mmol/Lの塩化白金酸水溶液45mLを添加し、ニッケルのスポンジ状格子に白金を複合化した。
【0033】
複合化後、純水50mLで3回水洗し、ニッケルと白金との合計重量に対する白金の割合が1.0重量%(1.0wt%Pt−Ni)の触媒を得た。
【0034】
また、塩化白金酸濃度を0.57〜28.5mml/Lの間で変えることにより、ニッケルと白金との合計量に対する白金の割合が0.1重量%(0.1wt%Pt−Ni)、2.5重量%(2.5wt%Pt−Ni)、5重量%(5wt%Pt−Ni)の各触媒も製造した。
【0035】
また、白金を担持させなかったこと以外は上記と同様にしてラネー型ニッケル単独触媒(Ni)を製造した。
【0036】
実施例1〜3、比較例1,2
0.1wt%Pt−Ni(実施例1)、1.0wt%Pt−Ni(実施例2)及び2.5wt%Pt−Ni(実施例3)をそれぞれ用い、触媒充填塔に0.35g充填した。
【0037】
この触媒充填塔に硝酸濃度200mg/Lの原水に硝酸に対して2モル倍の水素ガス(0.65〜6.7mmol/h)を吹き込んで硝酸換算で0.13〜1.34mmol/hとなる各通液速度で通液(温度60℃、pH5.4)し、このときの流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を図1に示した。
【0038】
比較のため、Ni単独触媒(比較例1)及びPd/Cu合金を活性炭に担持させた触媒(5wt%Pd−0.6wt%Cu/Ac)についても同様に接触還元処理を行い、流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を図1に示した。
【0039】
図1より、白金を担持したニッケル系複合触媒よりなる本発明の硝酸還元用触媒は、反応速度が著しく大きく、VHSVとして1000hr−1の処理も可能であることがわかる。
【0040】
実施例4〜7、比較例3
0.1wt%Pt−Ni(実施例4)、1.0wt%Pt−Ni(実施例5)、2.5wt%Pt−Ni(実施例6)、5.0wt%Pt−Ni(実施例7)とNi単独触媒(比較例3)を用い、それぞれ触媒充填塔に0.35g充填した。
【0041】
この触媒充填塔に硝酸濃度200mg/Lの原水に硝酸に対して1.1モル倍の水素ガス(3.68mmol/h)を吹き込んで硝酸換算で1.34mmol/hとなる各通液速度で通液(温度60℃、pH5.4)し、このときの触媒中の白金含有率(%)と硝酸分解の反応速度(mmol/h/g−触媒)との関係を求め、結果を図2に示した。
【0042】
図2より、触媒中の白金含有率が1重量%までは反応速度が大きくなるが、白金含有率が1重量%を超えると反応速度は低下する傾向があり、白金含有率が10重量%を超えると白金添加による改善効果は期待できないことが予想された。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法によれば、硝酸の接触還元処理に当たり、反応速度を著しく高め、装置のコンパクト化と処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1,2における流速VHSV(hr−1)と硝酸の変換率(%)との関係を示すグラフである。
【図2】実施例4〜7及び比較例3における、触媒中の白金含有率(%)と硝酸分解の反応速度(mmol/h/g−触媒)との関係を示すグラフである。
Claims (6)
- ニッケルと白金とを含むニッケル系複合触媒よりなることを特徴とする硝酸還元用触媒。
- 請求項1において、ラネー型ニッケル系複合触媒であることを特徴とする硝酸還元用触媒。
- 請求項1又は2において、白金とニッケルの合計に対する白金の含有割合が0.05〜10重量%であることを特徴とする硝酸還元用触媒。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、硝酸含有水中の硝酸を還元剤により分解除去するための触媒であることを特徴とする硝酸還元用触媒。
- 請求項3において、還元剤が水素であることを特徴とする硝酸還元用触媒。
- 硝酸含有水中の硝酸を水素により接触還元する硝酸含有水の処理方法において、
触媒として、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の硝酸還元用触媒を用いることを特徴とする硝酸含有水の処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2003053636A JP2004261695A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 硝酸還元用触媒及び硝酸含有水の処理方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012148219A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Sumitomo Metal Mining Engineering Co Ltd | 硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその処理方法に用いるスポンジ銅触媒 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003053636A patent/JP2004261695A/ja active Pending
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JP2012148219A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Sumitomo Metal Mining Engineering Co Ltd | 硝酸性窒素含有排水の処理方法及びその処理方法に用いるスポンジ銅触媒 |
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