JP2004073926A - 硝酸態窒素含有廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性が高く、触媒による硝酸イオンの還元を著しく促進し、高選択的、効率的に窒素ガスを生成することで、反応副生成物質である亜硝酸性窒素およびアンモニア性窒素、さらには亜酸化窒素の生成を抑制し、かつ、エネルギーロスの少ない硝酸態窒素含有廃水の処理方法を提供する。
【解決手段】電解膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽において、陰極室内で電解法により陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを電極から分離された触媒の存在下で接触させることにより、硝酸態窒素を窒素に還元処理する。この際、pHを3〜9の範囲に制御することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】電解膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽において、陰極室内で電解法により陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを電極から分離された触媒の存在下で接触させることにより、硝酸態窒素を窒素に還元処理する。この際、pHを3〜9の範囲に制御することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸態窒素含有廃水の処理方法に関する。詳細には、地下水や産業廃水などに含有する硝酸態窒素含有廃水を水素と触媒とに接触させることにより窒素に還元処理する硝酸態窒素含有廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
湖沼や閉鎖性海域の富栄養化防止対策として窒素規制が強化され、硝酸態窒素含有廃水を排出する事業所では、その対応が緊急の課題となっている。硝酸態窒素含有廃水の処理方法として、生物学的処理技術と物理化学的処理技術がある。
【0003】
このうち、生物学的処理技術はほぼ確立された技術であり、溶存酸素のない嫌気状態で脱窒素菌により硝酸態窒素を窒素ガスに還元する脱窒素法であるが、脱窒素菌はpHや水温の影響を受け易く反応速度が遅いという欠点がある。
【0004】
また、物理化学的処理技術としては、陰イオン交換樹脂に硝酸イオンを捕捉させる陰イオン交換法、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を設置した槽に直流電流を流してイオンを分離する電気透析法等がある。しかし、高濃度に硝酸イオンを含む廃液が生じるため、その処理を必要とする問題がある。
【0005】
さらに、触媒や金属を用いた処理技術として、触媒の存在下、200〜300℃の高温、2〜9MPaの高圧下、湿式反応条件で硝酸態窒素を還元処理し窒素ガスとする方法が、特開昭61−222587号公報に開示されている。しかし、高温・高圧下で反応を行うため、装置が高価となり、多大なエネルギーを要する問題がある。
【0006】
一方、常温常圧条件下で水素ガスを還元剤として触媒と硝酸態窒素を接触処理することにより還元する方法が特開2000−271575号公報に、160〜170℃の加温条件で水素ガスを還元剤として触媒と硝酸態窒素を接触処理することにより還元する方法が特開平6−226268号公報に、それぞれ開示されている。しかし、水素ガスの水に対する溶解度は常圧で温度10〜25℃の範囲で1.7mg/lと著しく少ないので、硝酸態窒素を還元するための化学量論的に必要な水素量より大過剰に使用する必要があり、エネルギーロスが大きく、窒素への選択性も不十分である。
【0007】
また、特開平2−111495号において、還元剤として水素ガスを用い、固体触媒としてPd系触媒やPd−Cu触媒を用いて廃水中の硝酸/亜硝酸を窒素ガスに還元除去する方法が開示されている。しかし、個々に使用される水素ガスは発生期のものではない。
【0008】
さらに、特開平8−192169号、特開平10−128347号公報に提案されている、140〜180℃の加温条件下、水中で発生期の水素を発生するデパルタ合金(Cu−Zu−A1組成)粉や金属亜鉛粉を用いて、金属粉末で起こる局部電池反応を利用した硝酸態窒素を窒素ガスに還元する方法もあるが、金属粉末から溶解した金属イオン、および副生成する亜硝酸態窒素の処理が必要となり、熱エネルギーも要するという問題がある。
【0009】
さらに、Journal of Moleculer Catalysis, 154〜203頁(2000年)には、電解法で得られる水素を用いて硝酸性窒素/亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元する方法が開示されている。この方法の特徴は、水素ガスを発生するカソード電極にPd−Cu合金を使用しているので、カソード電極が還元触媒としても働く。すなわち、水素発生反応と硝酸性窒素/亜硝酸性窒素の還元反応が電極上で起こる。しかし、電極中のPdは水素脆化しやすい材料であるため、電極材として使用すると劣化するおそれがあり、長期にわたって安定な運転を行うことが困難となる。また、PdやCuは水素過電圧が大きいため、エネルギー原単位も大きくなる。さらに、電極触媒により還元反応を行った場合、窒素選択性が悪く、亜酸化窒素が発生しやすいという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の欠点を有さず、活性が高く、触媒による硝酸イオンの還元を著しく促進し、選択的、効率的に窒素ガスを生成することで、反応副生成物質である亜硝酸性窒素およびアンモニア性窒素の生成を抑制し、かつ、エネルギーロスの少ない硝酸態窒素含有廃水の処理方法を提供する。特に、窒素選択性が高く、亜酸化窒素を一切生じない方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による硝酸態窒素含有廃水の処理方法では、電解膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽において、陰極室内で電解法により陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを電極から分離された触媒の存在下で接触させることにより、硝酸態窒素を窒素に還元処理することにより、高い硝酸イオン転化率と窒素ガス選択率をもって、硝酸態窒素を分解除去できる。また、亜酸化窒素を一切生成しない。なお、pH3〜9の範囲で処理することが望ましい。
【0012】
電極と触媒を分けることによって、それぞれの持ち味が十分活かされる。ただし、電極と触媒との距離が離れすぎていると、電極表面上で生成する活性なラジカル水素が、活性の低い水素ガスに変換されてしまうので好ましくなく、電極と触媒との距離は可能な限り短い方がよい。そのためには、触媒は電極の近傍に設置することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者は、電解法により定電流で発生する水素と硝酸態窒素含有廃水とを触媒の存在下で接触させることによって、硝酸態窒素を効率よく分解できることを知見した。
【0014】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法は、陽極室と陰極室に区画され、陰極室に触媒床が設置されている電解槽を用い、陰極室において陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを触媒の存在下で接触せしめ、硝酸態窒素を窒素に化学的に還元処理を施すものである。
【0015】
本発明に用いる触媒組成物は特に限定されないが、窒素ガス選択率を高め、かつ、硝酸イオン転化率を高めるためには、活性炭に活性金属としてパラジウムと銅とを担持した触媒を用いることが好ましい。かかる触媒は公知の製法により調製することができる。例えば、比表面積が1000m2/g以上の顆粒状活性炭に、硝酸パラジウムと硝酸銅との一液溶液を含浸担持し、80〜120℃で乾燥後、水素ガスあるいは不活性ガスで希釈した水素ガスの流通下300〜500℃の温度で還元焼成することで得られる。パラジウムの担持量に特に制限はなく、金属換算で3〜10重量%の範囲が好ましく、4〜8重量%であることがより好ましい。また、銅の担持量にも特に制限はなく、金属換算で3〜10重量%の範囲が好ましく、4〜8重量%であることがより好ましい。活性炭にパラジウムと銅を担持させた触媒を用いることにより、硝酸態窒素の分解率を高めることができる。
【0016】
パラジウムと銅を担持させた触媒を用いた場合の、硝酸態窒素含有廃水中の硝酸イオンの水素還元反応は次のように進行する。すなわち、硝酸イオンは水素ガスにより還元されて、まず亜硝酸イオンを生成する。そして、亜硝酸イオンはさらに水素ガスによって還元されて、窒素ガスとアンモニウムイオンを生成する(式1参照)。
【0017】
【式1】
NO3 −がN2に還元される機構は、NO3 −が水素によって還元されてNO2 −となり、さらにN2Oを経てN2になる。還元剤として、水素ガスを使用すると、N2Oと水素の反応が進行しにくくなり、その結果、副生成物としてN2Oが生成することとなる。ラジカル水素は還元活性が高いので、完全にN2ガスまで還元される。
【0018】
環境保全上、硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオンはいずれも有害物質であり、規制物質でもあることから、窒素ガスを高選択的かつ効率的に生成するプロセスが好ましく、そのためには、かかる逐次反応において、窒素ガスの選択率を高め、かつ、硝酸イオン転化率を高めることが重要となる。
【0019】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、効率良く脱窒素反応が進行するのは、水の電気分解で陰極表面に発生する発生期の水素(ラジカル水素)が還元剤として有効で、その還元剤と触媒との相互作用により高効率に反応が進行するためではないかと推定している。すなわち、ラジカル水素は、通常の水素ガスと比較して還元性が高く、還元触媒との反応により硝酸態窒素含有廃水中の硝酸イオンの還元反応を著しく促進することにより、高選択的、効率的に窒素ガスを生成する。
【0020】
なお、通常、ラジカル水素同士はすぐに反応して、水素ガスを生成するが、本発明の構成により、水素ガスを用いた場合と比較して、活性、窒素ガス選択率が改善されていることから、ラジカル水素が還元剤として効果的に作用していると考えられる。
【0021】
また一般的には、硝酸イオンの還元により亜酸化窒素ガス(N2O)が発生する可能性があるが、触媒と電極を分離し、かつ、電極近傍に触媒を配置する構成をとることにより、ラジカル水素が効果的に作用して、亜酸化窒素の生成が抑えられ、窒素選択率が向上する。加えて、実用的な硝酸態窒素/亜硝酸態窒素の処理方法として、高い耐久性が得られる。
【0022】
電解槽は、耐酸性と耐アルカリ性を有し、かつ、電流を通じることによって生じる熱に耐えるものであればよく、ガラス製、プラスチック製など素材は任意である。
【0023】
なお、電解槽は、2室電解槽、あるいは3室以上の電解槽などの、電解法により発生期の水素(ラジカル水素)が発生する電解槽であれば、いずれを採用するかは任意である。
【0024】
2室電解槽の場合には、電解膜により陽極室と陰極室に区画し、かつ、陰極室に触媒床を設置する。この場合の電解膜には、電解用隔膜やイオン交換膜などがあるが、陰極室と陽極室との間に酸素を通過させずに水素イオンだけを透過する機能を有する陽イオン交換膜が好ましい。
【0025】
陰極用および陽極用の電極には、一般に用いられている電極材料を用いることができ、例えば、陰極側で水素を発生させるためにはステンレス、チタン、白金などが用いられ、陽極側は、アルカリ水溶液の場合にはニッケル、ニッケル合金、鉄など、塩素イオンを含む酸性溶液の場合には、黒鉛、炭素、マグネタイトなど、硫酸イオンを含む溶液の場合には、鉛、白金、白金を鍍金したチタンなどを用いる。形状は、板状より外表面積の大きい網状やスポンジ状が好適である。
【0026】
触媒床の材質には、耐酸性と耐アルカリ性を有する網製の素材を用いることが望ましいが、触媒床に充填してある触媒が硝酸態窒素含有廃水と接触できればよく、かかる触媒床を電解槽内に固定あるいは上部から吊るしてもよい。
【0027】
なお、電解処理時には電極表面から多量のガスが発生し、電極表面に蓄積すると硝酸態窒素含有廃水および触媒との有効接触面積が小さくなり、電気抵抗が増大し、電極間電圧が高くなってしまう。その防止のため、攪拌羽根などにより、電解槽内を攪拌することが好ましい。
【0028】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、ラジカル水素と触媒と硝酸態窒素含有廃水とを接触させる際のpHは3〜9の範囲が好ましく、pH4〜8の範囲がさらに好ましい。pHが3以下の強酸性領域になると、触媒の活性金属が処理水中への溶出が起こり好ましくない。逆に、pHが9以上の強アルカリ性領域になると還元反応の速度が低下する。硝酸態窒素の還元分解で反応の進行と共にpHが高くなるため、特に高濃度の硝酸態窒素含有廃水を処理する場合は、処理水のpHを所定の範囲に調節することが好ましい。pHの測定は、陰極室とpH電極を取り付けたボックス内とに処理水を循環させて、連続的にpHを測定し、適宜pH調節剤を陰極室に滴下できるようにするとよい。
【0029】
陰極と陽極間に通電する電流値が0.2〜0.6Aの定電流範囲であることが好ましい。電流値が0.2A以下では水素発生量が少ないため脱窒素反応に長時間を要し、電流値を0.6A以上にすることで脱窒素反応の速度は増すが、通電時に生じるジュール熱あるいは隔膜の抵抗により処理水の温度が高くなるため、排出する際に冷却工程を設ける必要があり、ひいては処理工程が増えるので経済的でない。
【0030】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、水素と触媒と硝酸態窒素含有廃水とを接触させる時間は特に制限はないが40分〜180分であることが好ましい。
【0031】
【実施例】
[実施例1]
(反応装置) 内容積1300mlのプラスチック製角型容器(1)の中央に陽イオン交換膜(2)(セレミオン、旭硝子(株)製)を取り付けることにより、陰極室(3)と陽極室(4)に区分された反応槽を用いた。陰極室(3)と陽極室(4)のそれぞれに、チタン表面を白金でコーティングした網製の電極(5)(6)を設置し、陰極室(3)の中央部に250μmの多孔性容器(7)を上部から吊り下げることができるようになっている。また、陰極室(3)と陽極室(4)の下部に攪拌羽根(9)を設置し、当該室内を攪拌できるようになっており、反応中の処理水のpHは、陰極室(3)とpH電極を取り付けたボックス内とに処理水をポンプで循環させて、連続的に測定できるようにした。
【0032】
(触媒の調製) 触媒(8)は、粒状活性炭(CL−H、味の素ファインテクノ(株)製)100gに濃度10重量%の硝酸パラジウム溶液(NE.ケムキャット(株)製)56.2gと硝酸銅(試薬、関東化学(株)製)32.9gと純水を加え100mlの一液溶液を調製し、含浸法により担持し、110℃の温度で16時間乾燥後、管状炉内で水素−窒素混合ガスを50ml/分の速度で流通させながら、400℃で3時間還元処理を施し、5重量%Pd−6重量%Cuを含有する粒状活性炭触媒を得た。
【0033】
(評価試験) 陰極室(3)にNO3 −濃度が1000mg/lの硝酸ナトリウム水溶液500mlを入れ、陽極室(4)には濃度5重量%の硫酸水溶液を入れた。次に、陰極中央部に5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒1.2gを充填した多孔性容器(7)を図1に示すように溶液中の陰極(5)の周りに配置させた。その後、電極に0.5Aの電流を通電し、60分間反応を行った。また、脱窒素反応の進行に応じて濃度1重量%の硫酸水溶液を滴定して、溶液のpHが5±1の範囲になるように調節した。
【0034】
反応処理後の処理水はNO3とNO2はイオンクロマト法、NH4はイオン電極にて定量し、次式(式2)に従って、硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を求めた。その結果を表1に示す。
【0035】
【式2】
硝酸転化率: (生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)/初期NO3 −
窒素ガス選択率: 生成N2/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
亜硝酸選択率: 生成NO2 −/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
アンモニア選択率:生成NH4 +/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
[実施例2] 実施例1と同様の装置、触媒を使用して、反応時間を40分としたこと以外は、実施例1同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0036】
[実施例3] 実施例1と同様の装置、触媒を使用して、反応時間を120分としたこと以外は、実施例1同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0037】
[実施例4] NO3 −濃度が500mg/lの硝酸ナトリウム水溶液と5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を0.6gを使用した以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0038】
[実施例5] NO3 −濃度が5000mg/lの硝酸ナトリウム水溶液と5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を6.0gを使用した以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0039】
[実施例6] 5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を0.6gとしたこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0040】
[比較例1] 脱窒素反応の進行において処理水のpHを制御しなかったこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0041】
[比較例2] 電極間に通電する電流値を0.1Aとしたこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0042】
[比較例3] 5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒をプラスチック製籠に充填しなかったこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0043】
【表1】
表1の結果より、本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法である実施例1〜6は、いずれも硝酸転化率が高いことが明らかで、窒素ガスへの選択率が著しく改善され、反応副生成物質である亜硝酸およびアンモニアへの選択率も著しく少ない。
【0044】
比較例1では、脱窒素反応の進行において処理水のpHを制御しなかったものであるが、硝酸転化率は高いものの、窒素ガスへの選択率は低く、亜硝酸およびアンモニアへの選択率は高くなり、反応副生成物質が多く生成する。また、処理液のpHが高アルカリ性になる。
【0045】
比較例2は、電極に通電する電流値を0.1Aと著しく低くして評価したものであるが、硝酸転化率は著しく低く、窒素ガスへの選択率も低く、反応副生成物質である亜硝酸の選択率は高い。
【0046】
比較例3は、陰極室に触媒を充填せずに評価したものであるが、硝酸転化率が低下し、窒素ガスへの選択率も低く、反応副生成物である亜硝酸およびアンモニアへの選択率が高い。
【0047】
一方、実施例1〜6のように、電極に通電する電流値を0.2〜0.6Aの範囲内として、また、処理水のpHを制御することで、窒素ガス選択率が著しく改善されるとともに、反応副生成物質である亜硝酸およびアンモニアへの選択率が著しく少なくなる。
【0048】
実施例1と実施例2および3の相違は、反応時間を変化させたことにあるが、反応時間を長くすることによって硝酸転化率が向上することがわかる。
【0049】
また、実施例6は5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒の充填量を実施例1の触媒充填量より減量したものであるが、触媒充填量を1/2に減量しても優れた硝酸転化率を示し、窒素ガスへの選択率が高く、反応副生成物質でる亜硝酸およびアンモニアへの選択率は低い。
【0050】
なお、これらの実施例および比較例においては、亜酸化窒素は一切生成されなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、極めて早い反応速度で硝酸態窒素含有廃水を還元分解でき、かつ、反応副生成物である亜硝酸およびアンモニアの副生成も低レベルで抑えることができ、従来技術に対してその工業的価値がきわめて高い。
【0052】
さらに、亜酸化窒素の生成が抑えられ、窒素選択率が向上するとともに、高い耐久性を有する実用的な硝酸態窒素/亜硝酸態窒素の処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による処理方法を実施するための処理装置の構成を示す概略断面図である
【符号の説明】
1 電解槽
3 陰極室
4 陽極室
5,6 電極
8 触媒
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸態窒素含有廃水の処理方法に関する。詳細には、地下水や産業廃水などに含有する硝酸態窒素含有廃水を水素と触媒とに接触させることにより窒素に還元処理する硝酸態窒素含有廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
湖沼や閉鎖性海域の富栄養化防止対策として窒素規制が強化され、硝酸態窒素含有廃水を排出する事業所では、その対応が緊急の課題となっている。硝酸態窒素含有廃水の処理方法として、生物学的処理技術と物理化学的処理技術がある。
【0003】
このうち、生物学的処理技術はほぼ確立された技術であり、溶存酸素のない嫌気状態で脱窒素菌により硝酸態窒素を窒素ガスに還元する脱窒素法であるが、脱窒素菌はpHや水温の影響を受け易く反応速度が遅いという欠点がある。
【0004】
また、物理化学的処理技術としては、陰イオン交換樹脂に硝酸イオンを捕捉させる陰イオン交換法、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を設置した槽に直流電流を流してイオンを分離する電気透析法等がある。しかし、高濃度に硝酸イオンを含む廃液が生じるため、その処理を必要とする問題がある。
【0005】
さらに、触媒や金属を用いた処理技術として、触媒の存在下、200〜300℃の高温、2〜9MPaの高圧下、湿式反応条件で硝酸態窒素を還元処理し窒素ガスとする方法が、特開昭61−222587号公報に開示されている。しかし、高温・高圧下で反応を行うため、装置が高価となり、多大なエネルギーを要する問題がある。
【0006】
一方、常温常圧条件下で水素ガスを還元剤として触媒と硝酸態窒素を接触処理することにより還元する方法が特開2000−271575号公報に、160〜170℃の加温条件で水素ガスを還元剤として触媒と硝酸態窒素を接触処理することにより還元する方法が特開平6−226268号公報に、それぞれ開示されている。しかし、水素ガスの水に対する溶解度は常圧で温度10〜25℃の範囲で1.7mg/lと著しく少ないので、硝酸態窒素を還元するための化学量論的に必要な水素量より大過剰に使用する必要があり、エネルギーロスが大きく、窒素への選択性も不十分である。
【0007】
また、特開平2−111495号において、還元剤として水素ガスを用い、固体触媒としてPd系触媒やPd−Cu触媒を用いて廃水中の硝酸/亜硝酸を窒素ガスに還元除去する方法が開示されている。しかし、個々に使用される水素ガスは発生期のものではない。
【0008】
さらに、特開平8−192169号、特開平10−128347号公報に提案されている、140〜180℃の加温条件下、水中で発生期の水素を発生するデパルタ合金(Cu−Zu−A1組成)粉や金属亜鉛粉を用いて、金属粉末で起こる局部電池反応を利用した硝酸態窒素を窒素ガスに還元する方法もあるが、金属粉末から溶解した金属イオン、および副生成する亜硝酸態窒素の処理が必要となり、熱エネルギーも要するという問題がある。
【0009】
さらに、Journal of Moleculer Catalysis, 154〜203頁(2000年)には、電解法で得られる水素を用いて硝酸性窒素/亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元する方法が開示されている。この方法の特徴は、水素ガスを発生するカソード電極にPd−Cu合金を使用しているので、カソード電極が還元触媒としても働く。すなわち、水素発生反応と硝酸性窒素/亜硝酸性窒素の還元反応が電極上で起こる。しかし、電極中のPdは水素脆化しやすい材料であるため、電極材として使用すると劣化するおそれがあり、長期にわたって安定な運転を行うことが困難となる。また、PdやCuは水素過電圧が大きいため、エネルギー原単位も大きくなる。さらに、電極触媒により還元反応を行った場合、窒素選択性が悪く、亜酸化窒素が発生しやすいという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の欠点を有さず、活性が高く、触媒による硝酸イオンの還元を著しく促進し、選択的、効率的に窒素ガスを生成することで、反応副生成物質である亜硝酸性窒素およびアンモニア性窒素の生成を抑制し、かつ、エネルギーロスの少ない硝酸態窒素含有廃水の処理方法を提供する。特に、窒素選択性が高く、亜酸化窒素を一切生じない方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による硝酸態窒素含有廃水の処理方法では、電解膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽において、陰極室内で電解法により陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを電極から分離された触媒の存在下で接触させることにより、硝酸態窒素を窒素に還元処理することにより、高い硝酸イオン転化率と窒素ガス選択率をもって、硝酸態窒素を分解除去できる。また、亜酸化窒素を一切生成しない。なお、pH3〜9の範囲で処理することが望ましい。
【0012】
電極と触媒を分けることによって、それぞれの持ち味が十分活かされる。ただし、電極と触媒との距離が離れすぎていると、電極表面上で生成する活性なラジカル水素が、活性の低い水素ガスに変換されてしまうので好ましくなく、電極と触媒との距離は可能な限り短い方がよい。そのためには、触媒は電極の近傍に設置することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者は、電解法により定電流で発生する水素と硝酸態窒素含有廃水とを触媒の存在下で接触させることによって、硝酸態窒素を効率よく分解できることを知見した。
【0014】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法は、陽極室と陰極室に区画され、陰極室に触媒床が設置されている電解槽を用い、陰極室において陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを触媒の存在下で接触せしめ、硝酸態窒素を窒素に化学的に還元処理を施すものである。
【0015】
本発明に用いる触媒組成物は特に限定されないが、窒素ガス選択率を高め、かつ、硝酸イオン転化率を高めるためには、活性炭に活性金属としてパラジウムと銅とを担持した触媒を用いることが好ましい。かかる触媒は公知の製法により調製することができる。例えば、比表面積が1000m2/g以上の顆粒状活性炭に、硝酸パラジウムと硝酸銅との一液溶液を含浸担持し、80〜120℃で乾燥後、水素ガスあるいは不活性ガスで希釈した水素ガスの流通下300〜500℃の温度で還元焼成することで得られる。パラジウムの担持量に特に制限はなく、金属換算で3〜10重量%の範囲が好ましく、4〜8重量%であることがより好ましい。また、銅の担持量にも特に制限はなく、金属換算で3〜10重量%の範囲が好ましく、4〜8重量%であることがより好ましい。活性炭にパラジウムと銅を担持させた触媒を用いることにより、硝酸態窒素の分解率を高めることができる。
【0016】
パラジウムと銅を担持させた触媒を用いた場合の、硝酸態窒素含有廃水中の硝酸イオンの水素還元反応は次のように進行する。すなわち、硝酸イオンは水素ガスにより還元されて、まず亜硝酸イオンを生成する。そして、亜硝酸イオンはさらに水素ガスによって還元されて、窒素ガスとアンモニウムイオンを生成する(式1参照)。
【0017】
【式1】
NO3 −がN2に還元される機構は、NO3 −が水素によって還元されてNO2 −となり、さらにN2Oを経てN2になる。還元剤として、水素ガスを使用すると、N2Oと水素の反応が進行しにくくなり、その結果、副生成物としてN2Oが生成することとなる。ラジカル水素は還元活性が高いので、完全にN2ガスまで還元される。
【0018】
環境保全上、硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオンはいずれも有害物質であり、規制物質でもあることから、窒素ガスを高選択的かつ効率的に生成するプロセスが好ましく、そのためには、かかる逐次反応において、窒素ガスの選択率を高め、かつ、硝酸イオン転化率を高めることが重要となる。
【0019】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、効率良く脱窒素反応が進行するのは、水の電気分解で陰極表面に発生する発生期の水素(ラジカル水素)が還元剤として有効で、その還元剤と触媒との相互作用により高効率に反応が進行するためではないかと推定している。すなわち、ラジカル水素は、通常の水素ガスと比較して還元性が高く、還元触媒との反応により硝酸態窒素含有廃水中の硝酸イオンの還元反応を著しく促進することにより、高選択的、効率的に窒素ガスを生成する。
【0020】
なお、通常、ラジカル水素同士はすぐに反応して、水素ガスを生成するが、本発明の構成により、水素ガスを用いた場合と比較して、活性、窒素ガス選択率が改善されていることから、ラジカル水素が還元剤として効果的に作用していると考えられる。
【0021】
また一般的には、硝酸イオンの還元により亜酸化窒素ガス(N2O)が発生する可能性があるが、触媒と電極を分離し、かつ、電極近傍に触媒を配置する構成をとることにより、ラジカル水素が効果的に作用して、亜酸化窒素の生成が抑えられ、窒素選択率が向上する。加えて、実用的な硝酸態窒素/亜硝酸態窒素の処理方法として、高い耐久性が得られる。
【0022】
電解槽は、耐酸性と耐アルカリ性を有し、かつ、電流を通じることによって生じる熱に耐えるものであればよく、ガラス製、プラスチック製など素材は任意である。
【0023】
なお、電解槽は、2室電解槽、あるいは3室以上の電解槽などの、電解法により発生期の水素(ラジカル水素)が発生する電解槽であれば、いずれを採用するかは任意である。
【0024】
2室電解槽の場合には、電解膜により陽極室と陰極室に区画し、かつ、陰極室に触媒床を設置する。この場合の電解膜には、電解用隔膜やイオン交換膜などがあるが、陰極室と陽極室との間に酸素を通過させずに水素イオンだけを透過する機能を有する陽イオン交換膜が好ましい。
【0025】
陰極用および陽極用の電極には、一般に用いられている電極材料を用いることができ、例えば、陰極側で水素を発生させるためにはステンレス、チタン、白金などが用いられ、陽極側は、アルカリ水溶液の場合にはニッケル、ニッケル合金、鉄など、塩素イオンを含む酸性溶液の場合には、黒鉛、炭素、マグネタイトなど、硫酸イオンを含む溶液の場合には、鉛、白金、白金を鍍金したチタンなどを用いる。形状は、板状より外表面積の大きい網状やスポンジ状が好適である。
【0026】
触媒床の材質には、耐酸性と耐アルカリ性を有する網製の素材を用いることが望ましいが、触媒床に充填してある触媒が硝酸態窒素含有廃水と接触できればよく、かかる触媒床を電解槽内に固定あるいは上部から吊るしてもよい。
【0027】
なお、電解処理時には電極表面から多量のガスが発生し、電極表面に蓄積すると硝酸態窒素含有廃水および触媒との有効接触面積が小さくなり、電気抵抗が増大し、電極間電圧が高くなってしまう。その防止のため、攪拌羽根などにより、電解槽内を攪拌することが好ましい。
【0028】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、ラジカル水素と触媒と硝酸態窒素含有廃水とを接触させる際のpHは3〜9の範囲が好ましく、pH4〜8の範囲がさらに好ましい。pHが3以下の強酸性領域になると、触媒の活性金属が処理水中への溶出が起こり好ましくない。逆に、pHが9以上の強アルカリ性領域になると還元反応の速度が低下する。硝酸態窒素の還元分解で反応の進行と共にpHが高くなるため、特に高濃度の硝酸態窒素含有廃水を処理する場合は、処理水のpHを所定の範囲に調節することが好ましい。pHの測定は、陰極室とpH電極を取り付けたボックス内とに処理水を循環させて、連続的にpHを測定し、適宜pH調節剤を陰極室に滴下できるようにするとよい。
【0029】
陰極と陽極間に通電する電流値が0.2〜0.6Aの定電流範囲であることが好ましい。電流値が0.2A以下では水素発生量が少ないため脱窒素反応に長時間を要し、電流値を0.6A以上にすることで脱窒素反応の速度は増すが、通電時に生じるジュール熱あるいは隔膜の抵抗により処理水の温度が高くなるため、排出する際に冷却工程を設ける必要があり、ひいては処理工程が増えるので経済的でない。
【0030】
本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法において、水素と触媒と硝酸態窒素含有廃水とを接触させる時間は特に制限はないが40分〜180分であることが好ましい。
【0031】
【実施例】
[実施例1]
(反応装置) 内容積1300mlのプラスチック製角型容器(1)の中央に陽イオン交換膜(2)(セレミオン、旭硝子(株)製)を取り付けることにより、陰極室(3)と陽極室(4)に区分された反応槽を用いた。陰極室(3)と陽極室(4)のそれぞれに、チタン表面を白金でコーティングした網製の電極(5)(6)を設置し、陰極室(3)の中央部に250μmの多孔性容器(7)を上部から吊り下げることができるようになっている。また、陰極室(3)と陽極室(4)の下部に攪拌羽根(9)を設置し、当該室内を攪拌できるようになっており、反応中の処理水のpHは、陰極室(3)とpH電極を取り付けたボックス内とに処理水をポンプで循環させて、連続的に測定できるようにした。
【0032】
(触媒の調製) 触媒(8)は、粒状活性炭(CL−H、味の素ファインテクノ(株)製)100gに濃度10重量%の硝酸パラジウム溶液(NE.ケムキャット(株)製)56.2gと硝酸銅(試薬、関東化学(株)製)32.9gと純水を加え100mlの一液溶液を調製し、含浸法により担持し、110℃の温度で16時間乾燥後、管状炉内で水素−窒素混合ガスを50ml/分の速度で流通させながら、400℃で3時間還元処理を施し、5重量%Pd−6重量%Cuを含有する粒状活性炭触媒を得た。
【0033】
(評価試験) 陰極室(3)にNO3 −濃度が1000mg/lの硝酸ナトリウム水溶液500mlを入れ、陽極室(4)には濃度5重量%の硫酸水溶液を入れた。次に、陰極中央部に5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒1.2gを充填した多孔性容器(7)を図1に示すように溶液中の陰極(5)の周りに配置させた。その後、電極に0.5Aの電流を通電し、60分間反応を行った。また、脱窒素反応の進行に応じて濃度1重量%の硫酸水溶液を滴定して、溶液のpHが5±1の範囲になるように調節した。
【0034】
反応処理後の処理水はNO3とNO2はイオンクロマト法、NH4はイオン電極にて定量し、次式(式2)に従って、硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を求めた。その結果を表1に示す。
【0035】
【式2】
硝酸転化率: (生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)/初期NO3 −
窒素ガス選択率: 生成N2/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
亜硝酸選択率: 生成NO2 −/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
アンモニア選択率:生成NH4 +/(生成N2+生成NO2 −+生成NH4 +)
[実施例2] 実施例1と同様の装置、触媒を使用して、反応時間を40分としたこと以外は、実施例1同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0036】
[実施例3] 実施例1と同様の装置、触媒を使用して、反応時間を120分としたこと以外は、実施例1同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0037】
[実施例4] NO3 −濃度が500mg/lの硝酸ナトリウム水溶液と5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を0.6gを使用した以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0038】
[実施例5] NO3 −濃度が5000mg/lの硝酸ナトリウム水溶液と5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を6.0gを使用した以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0039】
[実施例6] 5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒量を0.6gとしたこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0040】
[比較例1] 脱窒素反応の進行において処理水のpHを制御しなかったこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0041】
[比較例2] 電極間に通電する電流値を0.1Aとしたこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0042】
[比較例3] 5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒をプラスチック製籠に充填しなかったこと以外、実施例1と同様に評価試験を行い、その評価を行った。反応処理後の処理水の硝酸転化率、窒素ガス選択率、亜硝酸選択率、アンモニア選択率を表1に示す。
【0043】
【表1】
表1の結果より、本発明の硝酸態窒素含有廃水の処理方法である実施例1〜6は、いずれも硝酸転化率が高いことが明らかで、窒素ガスへの選択率が著しく改善され、反応副生成物質である亜硝酸およびアンモニアへの選択率も著しく少ない。
【0044】
比較例1では、脱窒素反応の進行において処理水のpHを制御しなかったものであるが、硝酸転化率は高いものの、窒素ガスへの選択率は低く、亜硝酸およびアンモニアへの選択率は高くなり、反応副生成物質が多く生成する。また、処理液のpHが高アルカリ性になる。
【0045】
比較例2は、電極に通電する電流値を0.1Aと著しく低くして評価したものであるが、硝酸転化率は著しく低く、窒素ガスへの選択率も低く、反応副生成物質である亜硝酸の選択率は高い。
【0046】
比較例3は、陰極室に触媒を充填せずに評価したものであるが、硝酸転化率が低下し、窒素ガスへの選択率も低く、反応副生成物である亜硝酸およびアンモニアへの選択率が高い。
【0047】
一方、実施例1〜6のように、電極に通電する電流値を0.2〜0.6Aの範囲内として、また、処理水のpHを制御することで、窒素ガス選択率が著しく改善されるとともに、反応副生成物質である亜硝酸およびアンモニアへの選択率が著しく少なくなる。
【0048】
実施例1と実施例2および3の相違は、反応時間を変化させたことにあるが、反応時間を長くすることによって硝酸転化率が向上することがわかる。
【0049】
また、実施例6は5重量%Pd−6重量%Cu担持粒状活性炭触媒の充填量を実施例1の触媒充填量より減量したものであるが、触媒充填量を1/2に減量しても優れた硝酸転化率を示し、窒素ガスへの選択率が高く、反応副生成物質でる亜硝酸およびアンモニアへの選択率は低い。
【0050】
なお、これらの実施例および比較例においては、亜酸化窒素は一切生成されなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、極めて早い反応速度で硝酸態窒素含有廃水を還元分解でき、かつ、反応副生成物である亜硝酸およびアンモニアの副生成も低レベルで抑えることができ、従来技術に対してその工業的価値がきわめて高い。
【0052】
さらに、亜酸化窒素の生成が抑えられ、窒素選択率が向上するとともに、高い耐久性を有する実用的な硝酸態窒素/亜硝酸態窒素の処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による処理方法を実施するための処理装置の構成を示す概略断面図である
【符号の説明】
1 電解槽
3 陰極室
4 陽極室
5,6 電極
8 触媒
Claims (2)
- 電解膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽において、陰極室内で電解法により陰極で発生するラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを電極から分離された触媒の存在下で接触させることにより、硝酸態窒素を窒素に還元処理することを特徴とする硝酸態窒素含有廃水の処理方法。
- pH3〜9の範囲でラジカル水素と硝酸態窒素含有廃水とを触媒の存在下で接触させる請求項1に記載の方法。
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KR101263719B1 (ko) | 2011-05-17 | 2013-05-13 | 한밭대학교 산학협력단 | 수중 질산성 이온 제거용 촉매가 장착된 수중 펌프를 포함하는 수처리 장치 |
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2002
- 2002-08-12 JP JP2002234662A patent/JP2004073926A/ja active Pending
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