JP5530905B2 - モータ制御装置,空気調和機 - Google Patents

モータ制御装置,空気調和機 Download PDF

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Description

本発明は、抵抗による相電圧検出回路を備え180度通電制御を行うモータ制御装置の高効率制御に関する。
例えば、空気調和機の室外機に設けられる室外ファンを駆動する場合、インバータによってモータを起動する前に風によりファンが勝手に回転している(空転している)事がある。このとき、シャント抵抗1本を用いた回路によりセンサレスベクトル制御でモータの駆動を行うとすると、インバータのスイッチング素子がオンオフされていない状態では、モータの誘起電圧による電流が如何なる電流であるかを特定することができない。何故なら、この磁極位置の推定は、インバータがスイッチングするタイミングから、現在シャント抵抗に流れている電流が如何なる電流であるかを論理的に導き出す方法によるものだからである。
そこで特許文献1ではシャント抵抗1本で行うセンサレスベクトル制御に加え、モータの相電圧を検出する手段を設け、インバータのスイッチングによってモータを駆動する前にモータのロータの回転方向,回転速度,磁極位置を検出するモータの制御装置が提案されている。
特許文献1によると、風等の外乱によって勝手にファンが回っている場合、モータの誘起電圧を検出する回路を追加し、インバータがスイッチングする前にロータ磁極位置と回転速度と回転方向を検出することで、起動時に外乱が入っても所望の回転速度に制御する事を可能としている。
一般的な3相交流モータのPWM制御は3相変調であるが、モータ電流が相電圧ではなく相間電圧により決定されることを利用して、相間電圧を確保しつつ各相電圧を所定期間毎にインバータのスイッチング素子を常時オンすることにより、1相毎に高位電源レベル又は低位電源レベルに電気角π/3(60度)だけ順次固定してインバータのスイッチング損失を低減できる2相変調が、1987年3月の社団法人電気学会発行の書物「半導体電力変換回路」の第110,111,125頁等に解説が述べられている。以下、上記2相変調方式を固定相60度切り替え方式と呼ぶものとする。3相変調方式の電圧波形を図2に、固定相60度切り替え方式の電圧波形を図3に示す。
また、1相毎に高位電源レベル又は低位電源レベルに電気角2π/3(120度)だけ順次固定してインバータのスイッチング損失を低減し、相電圧の振幅が小さい場合にこの2相変調方式を停止してモータに3相電圧を印加することが、下記の特許文献2,3により提案されている。以下、上記2相変調方式を、固定相120度切り替え方式と呼び、特に固定相を直流電圧の高電位に固定するものを上固定相120度切り替え方式と呼び、固定相を直流電圧の低電位に固定するものを下固定相120度切り替え方式と呼ぶ。それぞれの変調方式の3相の電圧波形を図4,図5に示す。
特許文献2は漏れ電流の最大値を低減するために、回転速度に応じて低速域では漏れ電流の最大値を低減させる変調方式に、中,高速域では速度安定性を確保する変調方式に切り替えることを特徴とするインバータ制御方法である。
特許文献3は高効率運転を実現するために、トルクと回転数のマップまたはiq電流,id電流の2次元座標に従い、変調方式を切り替えることを特徴とする制御方法である。
特開2007−166695号公報 特開2006−217673号公報 特開2005−229676号公報
特許文献1のようにモータの相電圧を検出する手段として抵抗を用いた制御方式の場合、通常運転時に相電圧が発生すると、相電圧検出抵抗に電流が流れてしまい、損失が発生する。
相電圧検出抵抗による損失,インバータのスイッチング損失は、変調方式と変調率により変わる。
特許文献1の技術は相電圧検出回路の損失,スイッチング損失が変調方式に変化することを考慮していないため、高効率運転ができなかった。
特許文献2の技術は漏れ電流の最大値の低減が目的で変調方式を変えており、相電圧検出回路の損失,スイッチング損失が変調方式に変化することを考慮していないため、高効率運転ができなかった。さらに回転数で変調方式を変えていたため、インバータの直流電圧が変化した場合に高効率運転ができなかった。
特許文献3の技術は損失低減を目的に変調方式を変えていたが、相電圧検出回路の損失に考慮していなかったため、固定相120度切り替え方式を選択した場合、上固定相120度切り替え方式か下固定相120度切り替え方式かが明示されていなかった。さらに回転数とトルク、もしくはiq電流とid電流で変調方式を変えていたため、インバータの直流電圧が変化した場合に高効率運転ができなかった。さらに変調方式の切り替えるポイントを2次元座標で決めているために大きな記憶容量が必要であった。
特許文献2と3に共通する課題として変調方式を切り替えるポイントはモータの仕様により変化するということがあった。これはモータの仕様を変えるたびに切り替えポイントを換えることになり、設計の工数が必要となっていた。
本発明は、インバータの直流電圧の変化やさまざまな仕様のモータに対応でき、記憶容量の小さい高効率なモータ制御装置を提供することを目的とする。
本発明のモータ制御装置は、直流電源から3相モータを駆動するインバータを備えたモータ制御装置において、前記直流電圧を検出する直流電圧検出手段と、前記モータの相電圧を検出することによりモータ位相を検出する相電圧検出手段とを備え、2種類以上の変調方式を有し、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が低いときは、下120°固定2相変調を選択し、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が高いときは、60°固定2相変調を選択する。
本発明のモータ制御装置は、直流電源から3相モータを駆動するインバータを備えたモータ制御装置において、前記直流電圧を検出する直流電圧検出手段と、前記モータの相電圧を検出することによりモータ位相を検出する相電圧検出手段とを備え、3種類以上の変調方式を有し、回転数が所定のしきい値より低いときは3相変調を選択し、回転数が所定のしきい値より高く、かつ、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が低いときは、下120°固定2相変調を選択し、回転数が所定のしきい値より高く、かつ、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が高いときは、60°固定2相変調を選択する。
本発明によれば、インバータの直流電圧の変化やさまざまな仕様のモータに対応でき、記憶容量が小さい高効率なモータ制御装置が実現できる。
実施例の装置の全体構成を表したブロック図。 3相変調の電圧波形。 固定相60°切り替え方式2相変調の電圧波形。 上固定相120°切り替え方式2相変調の電圧波形。 下固定相120°切り替え方式2相変調の電圧波形。 変調方式と変調率と相電圧検出回路の損失を示したグラフ。 変調方式と変調率と回路の損失を示したグラフ。 ブートストラップ回路を示すブロック図。 直流電圧を制御できるコンバータを表したブロック図。 直流電圧を制御でき直流部にリアクタをもつコンバータを表したブロック図。 全波倍電圧スイッチを備えたコンバータを表したブロック図。
以下、本発明にかかるモータ制御装置について、具体的に説明する。
図1は本発明によるモータ制御装置の実施例を示す回路構成図である。本実施例の制御装置は、直流電源1と、直流電源1から三相交流に変換するインバータ2と、インバータの制御対象である3相同期モータ3と、モータの交流印加電圧を演算しパルス幅変調波信号(PWM信号)に変換して出力する制御器4と、直流電源1がインバータ2へ供給する母線電流を検出する電流検出器5と、3相同期モータ3の相電圧を検出する相電圧検出器6と直流電源1の直流電圧を検出する直流電圧検出器7とからなる。
制御器4は、モータ電流再現器401,モータ印加電圧演算器402,変調率演算器403,変調方式選択器404,PWM信号発生器405,回転数・回転方向演算器406と、を有している。
電流検出器5は、直流電源1がインバータ2へ供給する母線電流I0を検出し、モータ電流再現器401は、I0から3相同期モータ3に流れる三相交流電流Iu,Iv,Iwを再現する。モータ印加電圧演算器402は、三相交流電流Iu,Iv,wとモータ指令回転数f*から3相同期モータ3に印加すべき三相交流指令電圧Vu*,Vv*,Vw*を演算する。変調率演算器403は直流電圧検出器7から検出した直流電圧Vdとモータ印加電圧演算器402から変調率khを演算する。変調方式選択器404はkhと記憶して或るしきい値とを比較して変調方式を選択する。PWM信号発生器405は、上記三相交流指令電圧Vu*,Vv*,Vw*を変調方式選択器404によって選択された変調方式で、パルス幅変調信号(PWM信号)u+,u-,v+,v-,w+,w-を発生する。回転数・回転方向演算器406は、相電圧検出器6により検出したVu′,Vv′,Vw′に基づいてインバータを起動する前の3相同期モータ3の回転数と回転方向を演算する。
電流検出手段としてシャント抵抗を例として挙げているが、シャント抵抗に代えて電流センサでも上記の起動方法を実現することができる。
通常の制御、特にモータ印加電圧の演算に関しては、例えば特開2002−272194号公報に記載されている手法と同様のもので行う。また上記手法以外でもモータ電流の3相、もしくは2相を用いて3相交流指令電圧を計算してもよい。
外乱等によってロータが勝手に回っている(空転している)場合に相電圧検出器6によって外乱時の回転方向および回転数の検出する方法について説明する。3相モータ3はインバータ2がスイッチングする前に外乱によりモータが回転することにより、各相に誘起電圧Vu,Vv,Vwが発生する。これを相電圧検出器6で検出し、線間電圧を計算すると正弦波となるのでモータの回転数,回転方向,位相を計算できる。
次に変調率演算器403の計算方法について説明する。変調率とは信号波の振幅と搬送波の振幅の比であるから、インバータのPWM制御において信号波はモータに印加する正弦波,搬送波は直流電圧の1/2を振幅とする方形波となる。したがってモータに印加する正弦波の振幅をVs*、直流電圧をVdとすると変調率khは次式で計算される。
kh=Vs*/(Vd/2) ・・・(数式1)
相電圧検出抵抗による損失,インバータのスイッチング損失は、変調方式と変調率により変わる。直流電圧280Vのとき、各変調方式における変調率と損失の関係を図6に示す。損失の関係は上120°固定2相変調>上下60°固定2相変調>3相変調>下120°固定2相変調の順になる。また上下60°固定2相変調,3相変調を行った場合、損失は変調率の影響は少ない。下120°固定2相変調を行った場合、低変調率のとき損失は小で変調率が高くなるほど3相変調時の損失に近づく。上120°固定2相変調を行った場合、低変調率のとき損失は大、変調率が高くなるほど3相変調時の損失に近づく。
スイッチング損失も変調方式により変わる。これは電流が大きいときにスイッチングが行われるかどうかによる。3相変調と2相変調を比べると3相変調はスイッチング数が2相変調の3/2になり、かつ電流大のところでのスイッチングが多いため、3相変調の損失が大きい。次に2相変調でも120°固定2相変調と上下60°固定2相変調は比較すると変調率小のときはほぼ同じで変調率大のとき、電流大でスイッチングが入るため下120°固定2相変調が上下60°固定2相変調より損失が大きくなる。
相電圧検出抵抗とSW損失を含めた回路損失と変調率の関係を図7に示す。変調率が高いところ、図7の例では変調率0.8で下120°固定2相変調から上下60°固定2相変調に切り替えると常に高効率運転が実現できる。
切り替える変調率はインバータ回路の損失の大きさと相電圧検出抵抗の損失の大きさの関係で決まり、0.6〜0.9の間で切り替えるのが望ましい。
一般にインバータのパワーデバイスにはIGBTやMOS−FETが使用されているが、そのゲート駆動には図8に示すようなブートストラップ回路と呼ばれる回路方式が使用される。これは下アームスイッチング素子208がオンもしくは下アーム還流ダイオード210がオンして相電圧が直流電圧低電位側に電気的に接続されブートストラップダイオード202を経由してゲート駆動用電源201からブートストラップコンデンサ203に充電する回路である。ブートストラップコンデンサ203に充電された電圧でドライバ205が動作し上アームスイッチング素子207をオンすることができる。上アームスイッチング素子207がオンまたは上アーム還流ダイオード209がオンした場合、相電圧は直流電圧高電位側に電気的に接続されるが、ゲート駆動用電源201とブートストラップコンデンサ203はブートストラップダイオード202で切り離される。先に述べたようにこのコンデンサが充電されるのは下アームスイッチング素子207がオンするときか下アーム還流ダイオード210がオンするとき(モータ電流正でスイッチング)であるが、2相変調を選択した場合、下アームスイッチング素子207も下アーム還流ダイオード210もオンされない期間が発生しブートストラップコンデンサの電圧が下がるという問題があった。ブートストラップコンデンサの電圧が低下すると、スイッチング素子のゲート電位が下がり、スイッチング素子の順方向電圧が大きくなり、導通損が多くなり、効率が低下し、最悪の場合スイッチング素子の熱破壊に達する。これはモータが低回転のときほど、下アームスイッチング素子も下アーム還流ダイオードもオンされない期間が長くなり、問題が顕著になる。そこでモータが低回転のときは常に下アームスイッチング素子のスイッチングを行う3相変調を行い、高回転数のときは効率を優先して2相変調を行う。2相変調のときは実施例1のように変調率に従い下120°固定2相変調と上下60°2相変調を選択する。
この実施例により、低回転から安定した回路駆動を行い、高効率運転を実現できる。
3相変調から下120°固定2相変調へ切り替える回転数の最適値はブートストラップコンデンサの容量,ドライバの消費電力,モータの極数でも変わるが、ブートストラップコンデンサが数十μFで消費電力が数mA、4極モータを考えた場合、100min-1から400min-1で切り替えるのが望ましい。
図1の直流電源1に置き換えて図9のコンバータ回路を用いた場合の実施例について説明する。図10のコンバータ回路は商用電源101と、交流電源に直列に接続されたリアクタ102と、交流を整流するダイオードブリッジ103と、直流電源に含まれる脈動成分を抑制する平滑キャパシタ104と双方向性スイッチ105を有している。双方向性スイッチは各種構成が提案されているのでここでは説明を省略する。双方向性スイッチをゼロクロス検出器106で検出した交流電圧波形に同期させてコンバータ制御手段407により短絡動作させることで交流電流を制御し、力率改善,高調波抑制,直流電圧の制御を行う。この制御法については特開平7−7946号や特開2006−180700号やその他提案されている各種方法で行えばよい。本実施例によれば、直流電圧が任意に変化するので変調率に従って変調方式を選択する本発明の利点がよりよく発揮される。また図9のコンバータ回路はリアクタが交流電源に接続されているが、図10のような直流部にリアクタをもつコンバータ回路を用いてもよい。
図1の直流電源1に置き換えて図11のコンバータ回路を用いた場合の実施例について説明する。図11のコンバータ回路は倍電圧コンデンサ104a,104bと全波倍電圧切り替えスイッチ110を備える。このコンバータ回路は特開平11−206130号,特開2000−188867号のように制御を行えばよい。本実施例によれば、直流電圧が大きく変化するので変調率に従って変調方式を選択する本発明の利点がよりよく発揮される。
実施例1〜4をファンモータの制御装置に使用すると、風等の外乱によってモータが勝手に回ってしまう可能性がある用途に使用するモータに関しても高効率な制御装置を実現できる。
実施例1〜4を空気調和機の室外ファンモータの制御装置に使用すると、高効率な空気調和機を実現できる。
1 直流電源
2 インバータ
3 同期モータ
4 制御器
5 電流検出器
6 相電圧検出器
101 商用電源
102 リアクタ
103 ダイオードブリッジ
104 平滑キャパシタ
105 双方向性スイッチ
106 ゼロクロス検出器
107 直流電圧検出器
108 短絡スイッチ
109 電流検出器
110 全波倍電圧切り替えスイッチ
201 ゲート駆動用電源
202 ブートストラップダイオード
203 ブートストラップコンデンサ
204 下アームドライバ用コンデンサ
205 上アームドライバ
206 下アームドライバ
207 上アームスイッチング素子
208 下アームスイッチング素子
209 上アーム還流ダイオード
210 下アーム還流ダイオード
401 モータ電流再現器
402 モータ印加電圧演算器
403 変調率演算器
404 変調方式選択器
405 PWM信号発生器
406 回転数・回転方向演算器
407 コンバータ制御手段

Claims (6)

  1. 直流電源から3相モータを駆動するインバータを備えたモータ制御装置において、
    前記直流電圧を検出する直流電圧検出手段と、
    前記モータの相電圧を検出することによりモータ位相を検出する相電圧検出手段とを備え、
    2種類以上の変調方式を有し、
    前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が低いときは、下120°固定2相変調を選択し、
    前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が高いときは、60°固定2相変調を選択する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 直流電源から3相モータを駆動するインバータを備えたモータ制御装置において、
    前記直流電圧を検出する直流電圧検出手段と、
    前記モータの相電圧を検出することによりモータ位相を検出する相電圧検出手段とを備え、
    3種類以上の変調方式を有し、
    回転数が所定のしきい値より低いときは3相変調を選択し、
    回転数が所定のしきい値より高く、かつ、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が低いときは、下120°固定2相変調を選択し、
    回転数が所定のしきい値より高く、かつ、前記インバータにおける損失と前記相電圧検出手段における損失の大きさの関係で決まる所定値に対して変調率が高いときは、60°固定2相変調を選択する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1又は2のモータ制御装置において、
    前記直流電源として直流電圧を制御するコンバータを備えたモータ制御装置。
  4. 請求項1又は2のモータ制御装置において、
    前記直流電源として全波倍電圧切り替え回路を有するコンバータを備えたモータ制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかのモータ制御装置において、
    前記3相モータはファンモータであるモータ制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかのモータ制御装置を搭載したことを特徴とする空気調和機。
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