JP2011109797A - 圧縮機用モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気調和機における圧縮機モータの停止時の回生現象を抑制し、平滑コンデンサの高耐圧化によるコストアップを解消した圧縮機用モータ駆動装置を提供する。
【解決手段】インバータ回路5と平滑コンデンサ3との間に自在に挿抜可能な移相手段6を備え、インバータ制御手段10は、圧縮機モータ20を停止させる際、圧縮機モータ20の巻き線の電流と電圧の位相を検出し、電流と電圧との位相が異なる場合、移相手段6を挿入すると共に、電流と電圧との位相が一致した場合、電流検出手段4により検出する圧縮機モータ20の巻き線に流れる電流の方向に応じてインバータ回路5の素子をオン/オフする信号を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ駆動装置に関し、特に、空気調和機の室外機に備える圧縮機用モータ駆動装置におけるモータ停止時の制御に関する。
近年、環境への配慮が求められており、空気調和機の圧縮機用モータにおいても、最も実用的な回転数である中低速域における効率を重視した磁石モータが採用されている。前記モータのように、特に、中低速域を重視したモータは、中低速域において少ない電流でトルクを発生できるため、高効率ではあるが、一方、ステータの巻き数が多いことから、高い誘起電圧を発生する。そのため、例えば、モータが高速で回転している際にインバータ回路の素子を全てオフして停止させると、当該モータからの回生現象が発生し、その結果、インバータ回路に備えた平滑用コンデンサに過剰に電圧が充電されることとなる。この時、その耐圧を越える電圧が印加されると、当該平滑コンデンサは破壊に至ってしまい、そのため、当該平滑用コンデンサとして高耐圧のコンデンサを使用するなどの対策が考えられるが、しかしながら、コストアップにつながってしまう。
このような回生現象を防止する技術として、例えば、以下の特許文献に開示されているものが既に知られている。
即ち、この特許文献1には、ファンが外風により回転することで発生するモータの起電力からモータ駆動制御装置を保護する技術が開示されている。そして、この特許文献1によれば、モータ巻き線とインバータ回路のスイッチング素子との間に開閉手段を設け、もって、インバータ用直流電圧が所定値を越えた場合に前記開閉手段をOFFすることにより、電源側への回生を防ぐ。
特開昭63−103621号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、リレー等の開閉手段が必要であるため、最終製品である空気調和機のコストアップにつながること、更には、圧縮機モータを駆動中に接点をオフするためアークが発生し、これにより接点の溶着が生じることなどが考えられる。
そこで、本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑みて成されたものであり、リレー等の開閉手段の追加と共に、特に、コストアップの大きな要因となる平滑コンデンサの高耐圧化を必要とせず、そのため、製品のコストアップを生じることもなく、かつ、圧縮機モータの停止時における回生現象を抑制することが可能であり、これにより、速やかにモータを停止することが可能な圧縮機用モータ駆動装置を提供することをその目的とする。
上記目的は、本発明によれば、圧縮機モータと、インバータ回路を構成する素子にオン/オフ指令を生成するインバータ制御手段とを備えた空気調和機の室外機において圧縮機モータを停止する際に、前記インバータ制御手段から前記インバータ回路の素子に回生を発生させないオン/オフパターンを出力することで回生現象を防止し、平滑コンデンサの電圧が耐圧以上に上昇させないことにより達成できる。
より具体的には、本発明によれば、上述した目的を達成するため、交流の電源電圧を直流電圧に変換するための整流ダイオードと、前記整流ダイオードにより変換した直流電圧を入力として圧縮機用モータへ駆動電流を供給するインバータ回路と、前記整流ダイオードと前記インバータ回路との間に挿入された平滑コンデンサと、前記圧縮機モータの巻き線に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記インバータ回路を構成する素子にオン/オフ指令を生成するインバータ制御手段とを備えた圧縮機用モータ駆動装置において、更に、前記インバータ回路と前記平滑コンデンサとの間に自在に挿抜可能な移相手段を備え、そして、前記インバータ制御手段は、前記圧縮機モータを停止させる際、前記圧縮機モータの巻き線の電流と電圧の位相を検出し、当該電流と電圧との位相が異なる場合、前記移相手段を挿入すると共に、当該電流と電圧との位相が一致した場合、前記電流検出手段により検出する前記圧縮機モータの巻き線に流れる電流の方向に応じてインバータ回路の素子をオン/オフする信号を生成することを特徴とする圧縮機用モータ駆動装置が提供される。
また、本発明では、前記に記載した圧縮機用モータ駆動装置において、前記移相手段は、電流の位相を進める進相器からなることが好ましい。
本発明によれば、特に、平滑コンデンサの高耐圧化を必要とせず、そのため製品の大幅なコストアップを伴うことなく圧縮機モータ停止時の回生現象を防ぐことができる圧縮機用モータ駆動装置が提供されるという、実用的にも優れた効果を発揮する。
本発明の一実施の形態になる空気調和機の圧縮機モータ駆動装置を示す回路図である。 回生現象発生時におけるインバータブリッジ回路での電流経路を説明するための図である。 圧縮機モータの巻き線に印加するモータ電流と印加電圧の位相を説明するための図である。 本発明におけるモータ電流と印加電圧との同位相制御の具体例を示すフローチャート図である。 相補PWMにおけるスイッチング素子のオン/オフを説明するための図である。 上記図5における区間cの電流経路を説明するための図である。 上記図5における区間dの電流経路を説明するための図である。 上記図5における区間eの電流経路を説明するための図である。 上記図5における区間fの電流経路を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態になるモータ駆動装置、特に、空気調和機の室外機に備える圧縮機用モータ駆動装置を一例に、添付の図1を用いて詳細に説明する。
図1において、参照符号1は商用電源を示し、2は整流ダイオード、3は平滑コンデンサ、4は電流検出用抵抗、5はインバータブリッジ回路、10はマイクロコンピュータ、11はPWM生成タイマ、12はAD変換器、13はCPU、そして、20は圧縮機用モータ(直流ブラシレスモータ)をそれぞれ示している。
次に、上述した構成を備えた回路の動作について説明する。商用電源1からの交流電力は、整流ダイオード2によって脈流に変換され、平滑コンデンサ3によって平滑されることで直流電力に変換される。インバータブリッジ回路5には直流電力が供給され、インバータブリッジ回路5を構成する6個のスイッチング素子のオン/オフ動作によって圧縮機モータ20に回転磁界を与えることで、圧縮機モータ20を駆動する。また、このインバータブリッジ回路5がオン/オフ動作することで、電流検出用抵抗4に直流電流Idcが流れる。そこで、マイクロコンピュータ10は、この電流Idcを、AD変換器12を介してアナログ/デジタル変換されてデジタル化して読み込む。また、マイクロコンピュータ10を構成するCPU13は、検出したIdcより、モータに印加すべき振幅と位相の正弦波電圧Vu、Vv、Vwを算出する。更に、マイクロコンピュータ10を構成するPWM生成タイマ11は、相補PWMタイマを利用してVu、Vv、Vwがインバータブリッジ回路5から圧縮機モータ20に出力されるように、PWM信号を生成する。なお、この相補PWMタイマについては、基本的に周知の技術であることから、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、本発明では、上記インバータブリッジ回路5と平滑コンデンサ3との間に、切替スイッチ61を介して自在に挿抜可能な移相手段(例えば、コンデンサ等を含む進相器)6を設けと共に、当該切替スイッチ61の切替動作を、上記マイクロコンピュータ10を構成するCPU13からの制御出力により制御する。なお、以下の説明では、この切替スイッチ61が上側の状態の場合には、インバータブリッジ回路5と平滑コンデンサ3との間に移相手段6は電気的に挿入されず、他方、下側の状態の場合には、インバータブリッジ回路5と平滑コンデンサ3との間に移相手段6が電気的に挿入されるものとする。
次に、添付の図2を用いて、圧縮機モータの停止時に回生が発生する際の電流経路について説明する。
この図2に示すように、インバータブリッジ回路5を構成する6個のスイッチング素子9a、9b、9c、9d、9e、9fの各素子には、並列に環流ダイオードが接続されている。一方、図中の符号20a、20b、20cは、上記圧縮機用モータ20の巻き線を示している。
この図2において、巻き線20a、20b、20cに対して実線の矢印方向に電流が流れているとする。この時、圧縮機モータ20を停止させるために前記スイッチング素子9a、9b、9c、9d、9e、9fを全てオフすると、流れる電流の経路は、上述した実線の矢印方向を維持するように環流ダイオードを通って、破線の矢印で示すように流れ、回生電力となって平滑コンデンサ3に充電される。
次に、添付の図3は、圧縮機モータ20の巻き線に印加するモータ印加電圧Vu、Vv、Vwと、そこに流れるモータ電流Iu、Iv、Iwを示した図である。そして、本発明では、前記圧縮機モータ20を停止させる際、図3に示すように、モータ印加電圧VuとIu、VvとIv、VwとIwが同位相となるように制御して、前記VuとIu、Vvを減少させることにより前記圧縮機モータ20を停止させる。
即ち、上記マイクロコンピュータ10を構成するCPU13は、例えば、その内部に備えたメモリ等に予め格納されたソフトウェアなどにより、添付の図4に示す処理を行う。まず、上記電流検出用抵抗4とAD変換器12により、電流を検出する(ステップS41)。次に、検出した電流を、例えば、CPU13により算出されたモータに正弦波電圧(例えば、Vu、Vv、Vw)と比較して、その位相差を検出する(ステップS42)。その結果、電流と電圧の位相が一致している(図の「同相」)と判定された場合には、圧縮機モータ20に供給される電流を「0」にして、その回転を停止させ(ステップS43)、その処理を終了する。
一方、電流と電圧の位相が異なっている場合(図の「異相」)には、例えば、上記スイッチ61を開状態から閉状態にする制御信号を出力し、もって、インバータブリッジ回路5と平滑コンデンサ3との間に上記移相手段6を電気的に挿入する(切替スイッチ61を上側の状態とする)。即ち、電流の位相を移相手段6の働きにより進相させることにより、電圧と電流とを同位相となるように制御する(ステップS44)。その後、上述した処理(ステップS41〜S43)を繰り返し、もって、電流と電圧の位相を一致させて圧縮機モータ20の回転を停止させてその処理を終了する。
次に、上記のようにしてそれらの位相を一致させた電流と電圧について、特に、上記図3における時点(a)でのインバータブリッジ回路5動作について説明する。図5は、上記図3における時点(a)における相補PWMの動作について示した図である。相補PWMを用いたPWM生成タイマ11は、図5のように、モータ印加電圧Vu、Vv、Vwをタイマカウンタ値に置き換えて近似したTu、Tv、Twとキャリア信号30と比較してPWM信号を生成しインバータブリッジ回路5のスイッチング素子をオン/オフすることでモータ印加電圧が正弦波になるように制御している。スイッチング素子のオン/オフパターンはキャリア信号の1周期中でc〜iまでの7つの区間に分けられる。
更に、添付の図6〜9により、上記図5に示した7つの区間のうち、区間c〜fにおける電流経路について説明する。なお、残りの区間g〜iについては、区間c〜eと同様であるので、ここではその説明は省略する。具体的には、区間gは区間e、区間hは区間d、区間iは区間cと同じ動作となる。
まず、図6は、区間cにおけるインバータブリッジ回路5の動作と電流の流れを示している。上記図3における時点(a)での電流の流れる方向は、実線の矢印で示す方向であり、即ち、巻き線20aについては流れ込む方向、巻き線20b、20cについては流れ出す方向である。インバータブリッジ回路5は、その上側のスイッチング素子9a、9b、9cの素子がオンし、その他の素子はオフした状態である。この時、巻き線20a、20b、20cに流れる電流は実線の矢印方向を維持しようとして流れるため、スイッチング素子9a、9bでは、電流はスイッチング素子を流れ、スイッチング素子9cでは、電流は環流ダイオードに流れる。スイッチング素子9cに流れる電流はスイッチング素子9a、9bに流れ込むため、電源側に戻る電流は零であり、平滑コンデンサ3に充電されない。
同様に、図7は、区間dのインバータブリッジ回路5の各素子の動作と電流経路を示している。区間dにおいては上側の素子の9a、9b、下側の素子の9fがオンし、その他の素子はオフしている。この時の電流経路は破線の矢印のようになり、オンしているスイッチング素子9a、9b、9cの素子を通りグランド側に流れるため、これも平滑コンデンサ3に充電されない。
次に、区間eについて、図8により説明する。区間eでは上側の素子9a、下側の素子9e、9fがオンし、その他の素子はオフしている。この時の電流経路は、9a、9fのスイッチング素子を通り、9eの還流ダイオードとグランド側に流れるため、平滑コンデンサ3に充電されない。
最後に、図8により、区間fのインバータブリッジ回路5の各素子の動作と電流経路を示す。区間fでは、下側の素子9d、9e、9fがオンし、その他の素子はオフしている。この時の電流経路はスイッチング素子9fを通ってスイッチング素子9d、9eの環流ダイオードに流れる点線の矢印の経路となり、これもまた平滑コンデンサ3に充電されない。
以上のように、流れる電流と同位相にすることによれば、電源側への回生現象を防ぎ、平滑コンデンサへの過剰な充電を抑制することが可能となる。なお、流れるモータ電流とモータ印加電圧を同位相にする方法としては、上述したように、流れるモータ電流を検出すると共に、上記の移相手段6を利用することにより可能である。あるいは、これに代えて、上記インバータブリッジ回路5の制御によっても(即ち、ソフト的に)実現することも可能であろう。また、上記図1に示すように、電流検出用抵抗4より、各巻き線に流れるモータ電流を検出して流れる方向を推定する方法の他に、各々の相に対して電流検出用抵抗を設け、これにより巻き線に流れる電流の方向を判別しても良い。
加えて、モータを停止させる際の方法としては、モータ電流と印加電圧との位相を同位相としたまま、印加電圧のみを減少させればよく、そのための方法としては、180度通電のベクトル演算に用いられる永久磁石同期モータの以下の電圧方程式(数1)と(数2)の指令周波数ω1*、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を減少させるなどの方法がある。
Vdc* = r・Id*−ω1*・Lq・Iq* …(数1)
Vqc* = ω1*・Ld・Id*+r・Iq*+ω1*・kE …(数2)
ここで、Vdc*:d軸電圧指令値、Vqc*:q軸電圧指令値、Id*:d軸電流指令値、Iq*:q軸電流指令値、ω1*:指令周波数、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、r:巻線抵抗、kE:発電定数である。
以上の本発明によれば、圧縮機モータを停止させる際に発生する電源側への回生現象を防止し、平滑コンデンサへの過剰な充電による破壊を防ぐことができる。
1…商用電源、2…整流ダイオード、3…平滑コンデンサ、4…電流検出用抵抗、5…インバータブリッジ回路、6…移相手段(進相器)、61…切替スイッチ、9a〜9f…スイッチング素子、10…マイクロコンピュータ、11…PWM生成タイマ、12…AD変換器、13…CPU、20…圧縮機モータ、20a〜20c…モータ巻き線。

Claims (2)

  1. 交流の電源電圧を直流電圧に変換するための整流ダイオードと、
    前記整流ダイオードにより変換した直流電圧を入力として圧縮機用モータへ駆動電流を供給するインバータ回路と、
    前記整流ダイオードと前記インバータ回路との間に挿入された平滑コンデンサと、
    前記圧縮機モータの巻き線に流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記インバータ回路を構成する素子にオン/オフ指令を生成するインバータ制御手段とを備えた圧縮機用モータ駆動装置において、更に、
    前記インバータ回路と前記平滑コンデンサとの間に自在に挿抜可能な移相手段を備え、そして、
    前記インバータ制御手段は、前記圧縮機モータを停止させる際、前記圧縮機モータの巻き線の電流と電圧の位相を検出し、当該電流と電圧との位相が異なる場合、前記移相手段を挿入すると共に、当該電流と電圧との位相が一致した場合、前記電流検出手段により検出する前記圧縮機モータの巻き線に流れる電流の方向に応じてインバータ回路の素子をオン/オフする信号を生成することを特徴とする圧縮機用モータ駆動装置。
  2. 前記請求項1に記載した圧縮機用モータ駆動装置において、前記移相手段は、電流の位相を進める進相器からなることを特徴とする圧縮機用モータ駆動装置。
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