JP5070799B2 - モータ駆動用インバータ制御装置とそれを備えた機器 - Google Patents

モータ駆動用インバータ制御装置とそれを備えた機器 Download PDF

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本発明は、小容量リアクタおよび小容量コンデンサを用いたモータ駆動用インバータ制御装置に関するものである。
汎用インバータなどで用いられている一般的なモータ駆動用インバータ制御装置として、図12に示すようなモータ駆動用インバータ制御装置がよく知られている(例えば、非特許文献1)。
図12において、主回路は直流電源装置113と、インバータ2とモータ3とから構成されており、直流電源装置113については、交流電源1と、整流回路7と、インバータ2の直流電圧源のために電気エネルギーを蓄積する平滑コンデンサ112と、交流電源1の力率改善用リアクタ111から構成されている。
一方、制御部では、外部から与えられたモータ3の速度指令に基づいてモータ3の各相電圧指令値を作成するPWM信号生成部9と、PWM信号生成部9で作成された各相電圧指令値に基づいてインバータ2をPWM制御するベースドライバ10から構成されている。
ここで、交流電源1が220V(電源周波数50Hz)、インバータ2の入力が1.5kW、平滑コンデンサ112が1500μFのとき、力率改善用リアクタ111が5mHおよび20mHの場合における電源電流の高調波成分と電源周波数に対する次数との関係を図13に示す。
図13はIEC(国際電気標準会議)規格と併せて示したもので、力率改善用リアクタ111が5mHの場合には特に第3高調波成分がIEC規格のそれを大きく上回っているが、20mHの場合には40次までの高調波成分においてIEC規格をクリアしていることがわかる。
そのため特に高負荷時においてもIEC規格をクリアするためには力率改善用リアクタ111のインダクタンス値をさらに大きくするなどの対策を取る必要があり、インバータ装置の大型化や重量増加、さらにはコストUPを招くという不都合があった。
そこで、力率改善用リアクタ111のインダクタンス値の増加を抑え、電源高調波成分の低減と高力率化を達成する直流電源装置として、例えば図14に示すような特許文献1に記載されている直流電源装置が提案されている(特許文献1参照)。
図14において、交流電源1の電源電圧を、ダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる全波整流回路の交流入力端子に印加し、リアクトルLinを介してその出力を中間コンデンサCに充電し、この中間コンデンサCの電荷を平滑コンデンサCDに放電して、負荷抵抗RLに直流電圧を供給する。
この場合、リアクトルLinの負荷側と中間コンデンサCを接続する正負の直流電流経路にトランジスタQ1を接続し、このトランジスタQ1をベース駆動回路G1で駆動する構成となっている。
また、ベース駆動回路G1にパルス電圧を印加するパルス発生回路I1、I2と、ダミ
ー抵抗Rdmとをさらに備えており、パルス発生回路I1、I2は、それぞれ電源電圧のゼロクロス点を検出する回路と、ゼロクロス点の検出から電源電圧の瞬時値が中間コンデンサCの両端電圧と等しくなるまでダミー抵抗Rdmにパルス電流を流すパルス電流回路とで構成されている。
ここで、パルス発生回路I1は電源電圧の半サイクルの前半にてパルス電圧を発生させ、パルス発生I2は電源電圧の半サイクルの後半にてパルス電圧を発生させるようになっている。
なお、トランジスタQ1をオン状態にしてリアクトルLinに強制的に電流を流す場合、中間コンデンサCの電荷がトランジスタQ1を通して放電することのないように逆流防止用ダイオードD5が接続され、さらに、中間コンデンサCの電荷を平滑コンデンサCDに放電する経路に、逆流防止用ダイオードD6と、平滑効果を高めるリアクトルLdcが直列に接続されている。
上記の構成によって、電源電圧の瞬時値が中間コンデンサCの両端電圧を超えない位相区間の一部または全部においてトランジスタQ1をオン状態にすることによって、装置の大型化を抑えたままで、高調波成分の低減と高力率化を達成することができるというものである。
特開平9−266674号公報 インバータドライブハンドブック編集委員会編「インバータドライブハンドブック」日刊工業新聞社出版、1995年初版
しかしながら、特許文献1に記載される従来の構成では、容量の大きな平滑用コンデンサCDとリアクトルLin(特許文献1では1500μF、6.2mH時のシミュレーション結果について記載されている)とを依然として有したままであり、さらに中間コンデンサCとトランジスタQ1とベース駆動回路G1とパルス発生回路I1、I2とダミー抵抗Rdmと逆流防止用ダイオードD5、D6と平滑効果を高めるリアクトルLdcとを具備することで、装置の小型化や部品点数の削減によるコストダウンを阻害するという課題を有していた。
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、電源電流の高調波成分を抑制しつつ、さらなる小型・軽量・低コスト化を実現するモータ駆動用インバータ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のモータ駆動用インバータ制御装置は、交流電力を入力し直流電力に変換する整流回路と、前記直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータの母線間に設けられた平滑コンデンサと、前記インバータの母線に流れる母線電流の値を検出する電流検出器と、前記インバータに入力される前記平滑コンデンサの印加電圧値を検出する電圧検出部と、前記インバータを制御する制御部であって、前記印加電圧値と前記母線電流の値とを入力し相電流を監視する相電流変換部と、前記相電流変換部の出力と前記印加電圧値に応じて前記インバータを制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部と、前記PWM信号を入力し前記相電流変換部の出力に基づいて前記PWM信号を変換し前記インバータに供給する過電流保護手段とを有する制御部とを備え、前記相電流変換部では前記インバータの印加電圧値が所定値以上のときにのみ前記電流検出器から得られる母線電流を基にブラシレスモータの各相の電流値を計算して再現し、印加電圧値が所定値未満のタイミングにおいては、前記電流検出器から得られる電流値を基にブラシレスモータの各相の電流値を再現することをキャンセルして、実際のU相電流との誤差発生を回避したものである。
本発明のモータ駆動用インバータ制御装置は、小型・軽量・低コストの小容量コンデン
サおよび小容量リアクタを用いても、モータ相電流を誤認識することなく制御しつつ、過大な電流をモータに流すことを防ぐことができ、部品破壊やモータ性能劣化のない信頼性の高いモータ駆動用インバータ制御装置を実現することができる。
第1の発明は、交流電力を入力し直流電力に変換する整流回路と、前記直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータの母線間に設けられた平滑コンデンサと、前記インバータの母線に流れる母線電流の値を検出する電流検出器と、前記インバータに入力される前記平滑コンデンサの印加電圧値を検出する電圧検出部と、前記インバータを制御する制御部であって、前記印加電圧値と前記母線電流の値とを入力し相電流を監視する相電流変換部と、前記相電流変換部の出力と前記印加電圧値に応じて前記インバータを制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部と、前記PWM信号を入力し前記相電流変換部の出力に基づいて前記PWM信号を変換し前記インバータに供給する過電流保護手段とを有する制御部とを備え、前記相電流変換部では前記インバータの印加電圧値が所定値以上のときにのみ前記電流検出器から得られる母線電流を基にブラシレスモータの各相の電流値を計算して再現し、印加電圧値が所定値未満のタイミングにおいては、前記電流検出器から得られる電流値を基にブラシレスモータの各相の電流値を再現することをキャンセルして、実際のU相電流との誤差発生を回避したものである。
これにより、小型・軽量・低コストでありながらモータ相電流を誤認識することなく制御しつつ、過大な電流をモータに流すことを防げるので部品破壊やモータ性能劣化のない信頼性の高いモータ駆動用インバータ制御装置を実現することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記過電流保護手段は、前記相電流変換部の出力に応じて、前記PWM信号のキャリア周波数を増加させるものである。これにより、モータの出力を低下させることなく駆動を維持することができる。
第3の発明は、第1の発明において、前記過電流保護手段は、前記相電流変換部の出力に応じて、前記PWM信号を2相変調方式から3相変調方式に、または、3相変調方式から2相変調方式に切替えるものである。これにより、定常時はインバータ損失を抑えつつ、高速回転高出力が要求される場合においてはモータの出力を低下させることなく駆動を維持することができる。
第4の発明は、第1の発明において、さらにリアクタを有し、前記リアクタと前記平滑コンデンサとの共振周波数は、入力される前記交流電力の周波数の40倍よりも大きいものであり、電源電流の高調波成分を抑制し、IEC規格をクリアすることができる。
第5の発明は、モータを有する機器において、第1から第4の発明であるモータ駆動用インバータ制御装置によりモータを制御するものである。これにより、モータを有した機器に第1から第4の発明を適応することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態を示すモータ駆動用インバータ制御装置のシステム構成図を図1に示す。図1に示すように、モータ駆動用インバータ制御装置50は、交流電源1からの交流電力を直流電力に変換するダイオードブリッジ7、2mH以下の小容量リアクタ11、100μF以下の小容量コンデンサ12、ブラシレスモータ3に供給する駆動電圧を生成、出力するインバータ2及びインバータ2を制御する制御部6を有する。
ブラシレスモータ3は、中性点を中心にY結線された3相巻線4u,4v,4wが取付けられた固定子4と、磁石が装着された回転子5とからなる。U相巻線4uの非結線端に
U相端子8uが、V相巻線4vの非結線端にV相端子8vが、W相巻線4wの非結線端にW相端子8wが接続されている。
インバータ2は一対のスイッチング素子からなるハーフブリッジ回路をU相用,V相用,W相用として3相分有する。ハーフブリッジ回路の一対のスイッチング素子の各々は、小容量コンデンサ12の高圧側端と低圧側端の間にそれぞれ直列接続される。
U相用のハーフブリッジ回路は、高圧側(上アーム)のスイッチング素子13u及び低圧側(下アーム)のスイッチング素子13xよりなる。V相用のハーフブリッジ回路は、高圧側スイッチング素子13v及び低圧側スイッチング素子13yよりなる。W相用のハーフブリッジ回路は、高圧側スイッチング素子13w及び低圧側スイッチング素子13zよりなる。また、各スイッチング素子と並列にフリーホイールダイオード14u,14v,14w,14x,14y,14zが接続されている。
インバータ2におけるスイッチング素子13uとスイッチング素子13xの相互接続点、スイッチング素子13vとスイッチング素子13yの相互接続点、スイッチング素子13wとスイッチング素子13zの相互接続点にブラシレスモータ3の端子8u,8v,8wがそれぞれ接続される。
インバータ2に印加されている直流電圧は、上述したインバータ2内のスイッチング素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換され、それによりブラシレスモータ3が駆動される。また、インバータ2の母線には電流検出器15が配されている。
制御部6は、PWM信号生成部9と、ベースドライバ10と、相電流変換部20と、モータ位相推定部17と、回転子速度検出部18と、電流指令演算部19からなる。相電流変換部20は電流検出器15に流れるインバータ母線電流を監視し、そのインバータ母線電流をブラシレスモータ3の相電流に変換する。相電流変換部20は実際にはインバータ母線電流が変化した時から所定期間の間だけ電流を検出する。
モータ位相推定部17は、相電流変換部20により変換されたブラシレスモータ3の相電流と、PWM信号生成部9で演算される出力電圧と、電圧検出部16により検出されるインバータ2への印加電圧の情報により、ブラシレスモータ3の位相を推定する。さらに、回転子速度検出部18は、推定された位相からブラシレスモータ3の速度を推定する。
電流指令演算部19では推定された回転子5の速度と外部から与えられる目標速度との偏差情報に基づいて回転子速度が目標速度となるように通電すべき電流指令実行値をPI演算などを用いて導出し、PWM信号生成部9がブラシレスモータ3を駆動するためのPWM信号を生成する。
過電流保護手段21では、相電流変換部20で得られるブラシレスモータ3の相電流情報が所定値以上のときに相電流が低減されるよう、PWM信号のデューティ(インバータスイッチング素子のオン比)を下げるなどの補正が行われる。
この補正は、過電流によるインバータ2の破壊やブラシレスモータ3の減磁などを防ぐものであり、また、過電流であると判断する所定値は、システムに用いられるインバータ2やブラシレスモータ3の仕様によって決定されるものである。
最終的にPWM信号はベースドライバ10に出力され、各スイッチング素子13u,13v,13w,13x,13y,13zはPWM信号に従い駆動され、正弦波状の交流を生成する。このように本実施例では、正弦波状の相電流を流すことによりブラシレスモー
タ3の正弦波駆動を実現している。
次に、図2〜図6を用いてインバータ母線に流れる電流においてブラシレスモータ3の相電流が現れる様子を説明する。図2は、ブラシレスモータ3の各相巻線に流る相電流の状態と、60°毎の電気角の各区間における各相巻線に流れる電流の方向とを示した図である。
図2を参照すると、電気角0〜60°の区間においては、U相巻線4uとW相巻線4wには非結線端から中性点に向けて、V相巻線4vには中性点から非結線端に向けて電流が流れている。また、電気角60〜120°の区間においては、U相巻線4uには非結線端から中性点に向けて、V相巻線4vとW相巻線4wには中性点から非結線端に向けて電流が流れている。以降、電気角60°毎に各相の巻線に流れる相電流の状態が変化していく様子が示されている。
例えば、図2において電気角30°の時にPWM信号生成部9で生成された半キャリア周期分のPWM信号が図3のように変化する場合を考える。図3において、信号「U」は上アームスイッチング素子13uを、信号「V」は上アームスイッチング素子13vを、信号「W」は上アームスイッチング素子13wを、信号「X」は下アームスイッチング素子13xを、信号「Y」は下アームスイッチング素子13yを、信号「Z」は下アームスイッチング素子13zを、それぞれ動作させる信号を示す。これらの信号はアクティブ・ハイで動作する。
この場合、インバータ母線には、タイミング(1)では、図4(a)に示すように電流が現れず、タイミング(2)では図4(b)に示すようにW相巻線4wに流れる電流(W相電流)が現れ、タイミング(3)では図4(c)に示すようにV相巻線4vに流れる電流(V相電流)が現れる。
別の例として、図2において電気角30°の時にPWM信号生成部9で生成された半キャリア周期のPWM信号が図5のように変化する場合を考える。この場合は、図6(a)に示すようにインバータ母線にはタイミング(1)では電流が現れず、図6(b)に示すようにタイミング(2)ではU相巻線4uに流れる電流(U相電流)が現れ、図6(c)に示すようにタイミング(3)ではV相巻線4vに流れる電流が現れる。
以上のように、インバータ母線上にインバータ2のスイッチング素子13u,13v,13w,13x,13y,13zの状態に応じてブラシレスモータ3の相電流が現れる。
要するに、上アームスイッチング素子13u,13v,13wのいずれか一つがオンしている状態のときにそのオンした相のモータ電流がインバータ母線上に現れ、また、下アームスイッチング素子13x,13y,13zのいずれか一つがオンしている状態のときにそのオンした相のモータ電流がインバータ母線上に現れるという関係性が成り立つ。
上述のようにキャリア周期内の近接したタイミングで二相分の電流を判断することができれば、次式の関係から三相それぞれの電流iu、iv、iwが求められることは明らかである。
iu+iv+iw=0 …(1)
なお、タイミング(4)とタイミング(5)は、スイッチング素子の動作遅れによりインバータ上下アームが短絡するのを防止するためのデッドタイム期間であり、この期間におけるインバータ母線に流れる電流は、各相電流の流れる向きによって不定である。
図7は、本発明のモータ駆動用インバータ制御装置の第1の動作結果であり、ブラシレスモータ3の駆動時におけるインバータ印加電圧と実際のU相電流と相電流変換部20により変換されたU相電流、さらに電流検出器15に流れるインバータ母線電流の波形を示している。
本発明におけるコンデンサ12は極めて容量の小さいものを用いているため、ブラシレスモータ3に電流が流れるとインバータ印加電圧は電源周波数fs(=50Hz)の2倍の周波数で大きく脈動している。
相電流変換部20により変換されたU相電流は、上述したインバータ2のスイッチング素子の状態とインバータ母線上に現れる相電流の関係性に基づいて求めたものであるが、インバータ印加電圧が大きく落ち込んだタイミング(図中T1)において実際のU相電流とは異なった値で誤認識してしまっているのがわかる。
この時のインバータ2のスイッチング素子13u,13v,13wの動作状態と電流検出器15に流れるインバータ母線電流の波形を示したのが図8である。
図8において、「U」は上アームスイッチング素子13uが、「V」は上アームスイッチング素子13vが、「W」は上アームスイッチング素子13wが、それぞれアクティブ・ハイとして動作していることを示している。
通常「U」のみがオンしているタイミング(図中T2)においては、電流検出器15にはU相電流が現れているが、インバータ印加電圧が大きく落ち込むタイミング(図中T1)においては「U」のみがオンしていても、電流検出器15にU相電流が現れない。
これは、本来であれば図6(b)に示すような状態であり、電流検出器15にはU相電流が現れるべきところであるが、インバータ印加電圧がゼロ付近まで落ち込むとインバータ2のスイッチング素子にオン信号を与えても実際には導通しないため、電流検出器15に流れるインバータ母線電流がどの相の電流であるか特定できない状態となっているためである。
このため、インバータ印加電圧が大きく落ち込むタイミングにおいて実際の相電流とは異なる値で誤認識し、過大電流がインバータ2やブラシレスモータ3に流れていなくても過電流保護手段21で保護動作を行い、正常な駆動状態を維持できない場合がある。
そこで、相電流変換部20では上述したモータ相電流の誤認識を解消するために、インバータ2の印加電圧値が所定値以上のときにのみ電流検出器15から得られる母線電流を基にブラシレスモータ3の各相の電流値を計算し再現する。
具体的に所定値を20Vに設定したときの動作結果を図9に示す。インバータ2の印加電圧値が20V未満のタイミング(図中T1)においては、電流検出器15から得られる電流値を基にブラシレスモータ3の各相の電流値を再現することをキャンセルするため、図7に示すような実際のU相電流との大きな誤差発生を回避することができる。
これによって、本発明の小容量コンデンサおよび小容量リアクタを用いたモータ駆動用インバータ制御装置において、高価な電流センサを用いないセンサレス正弦波駆動を適用し、また、過電流保護においても誤動作することなくモータ駆動を能力最大限に維持することが可能である。
また、上述の過電流保護手段21においては相電流変換部20で得られるブラシレスモ
ータ3の相電流情報が所定値以上のときに相電流が低減されるよう、PWM信号のデューティを下げるなどの補正が行われるようにしたが、目標速度を一時的に下げるようなPWM信号に補正しても同様にモータ駆動の維持が可能である。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、実施の形態1のモータ駆動用インバータ制御装置において、過電流保護手段21で行われる動作を、PWM信号生成部9で生成されたPWM信号においてキャリア周波数を増加させたPWM信号に補正する。
図10(a)、(b)はキャリア周波数違いによるブラシレスモータ3の相電流の波形比較を模式的に示したものである。図10(b)は、図10(a)よりキャリア周波数が高い場合の相電流波形を示している。
相電流には、インバータ2のスイッチング素子13u〜13zのオン動作とオフ動作の繰り返しによって生じるリップル成分が含まれるが、キャリア周波数が低く、スイッチング素子13u〜13zのオン動作とオフ動作の時間的な間隔が広がればこのリップル成分は大きくなり、逆に、キャリア周波数が高ければオン動作とオフ動作の時間的な間隔が狭まり、リップル成分を小さく抑えられる。
すなわち、同じ実効値の相電流がブラシレスモータ3に流れても、キャリア周波数が高いほど瞬時のピーク電流は抑制され、過電流保護手段21での保護動作がかかるまでのモータ駆動範囲を拡大させることができる。
通常駆動範囲はシステムの効率等を加味したキャリア周波数を選定し、過電流保護手段21での保護動作がかかった場合にのみキャリア周波数を増加させたPWM信号に補正することで、高効率と高出力を両立できるセンサレス正弦波駆動が可能となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2のモータ駆動用インバータ制御装置において、PWM信号生成部9で生成されたPWM信号において、定常時は2相変調方式で生成され、過電流保護手段21で行われる補正動作時は3相変調方式に切替える。
図11(a)はPWM信号が2相変調時における上アームスイッチング素子13u,13v,13wの動作状態とブラシレスモータ3の相電流の波形を、図11(b)は3相変調時における上アームスイッチング素子13u,13v,13wの動作状態とブラシレスモータ3の相電流の波形を、それぞれ模式的に示したものである。
図11(a)に示す2相変調時には、1キャリア周期中に上アームスイッチング素子13u,13v,13wの全てがオフ状態であるタイミングがあり、インバータ2の母線からは電流が流れこまず、ブラシレスモータ3の相電流は減少、それ以外のタイミングでは相電流が上昇しキャリア周波数成分のリップルが現れる。
一方、図11(b)に示す3相変調時には、1キャリア周期中に上アームスイッチング素子13u,13v,13wの全てがオフ状態であるタイミングと、全てがオン状態であるタイミングが存在する。上アームスイッチング素子13u,13v,13wの全てがオン状態においても、下アームスイッチング素子13x,13y,13zの全てがオフ状態となるためインバータ2の母線からは電流が流れこまず、ブラシレスモータ3の相電流は減少する。
よって、インバータ2のスイッチング素子13u〜13zのオン動作とオフ動作の繰り返しによって生じるリップル成分は、図11(b)に示す3相変調時の方が図11(a)に示す2相変調時に比べて小さく抑えられる。
すなわち、同じ実効値の相電流がブラシレスモータ3に流れても、3相変調時の方がピーク電流は抑制され、過電流保護手段21での保護動作がかかるまでのモータ駆動範囲を拡大させることができる。
通常駆動範囲はインバータ2のスイッチング損失が少ない2相変調で動作させ、過電流保護手段21での保護動作がかかった場合にのみ3相変調に切替えることで、高効率と高出力を両立できるセンサレス正弦波駆動が可能となる。
(実施の形態4)
本発明に係る小容量コンデンサおよび小容量リアクタの仕様決定に関する具体的な方法について以下に説明する。
本発明のモータ駆動用インバータ制御装置では、電源電流の高調波成分を抑制してIEC規格をクリアするために、小容量コンデンサと小容量リアクタとの共振周波数fLC(LC共振周波数)を電源周波数fsの40倍よりも大きくなるように小容量コンデンサと小容量リアクタの組み合わせを決定する。
ここで、小容量コンデンサの容量をC[F]、小容量リアクタのインダクタンス値をL[H]とすると、LC共振周波数fLCは次式のように表される。
Figure 0005070799
即ち、fLC>40fsを満たすように小容量コンデンサと小容量リアクタの組み合わせを決定するものである(IEC規格では電源電流の高調波成分において第40次高調波まで規定されているため)。
以上により、小容量コンデンサおよび小容量リアクタの組み合わせを決定することで、電源電流の高調波成分を抑制して、IEC規格をクリアすることが可能となる。
なお、実施の形態1から実施の形態4で説明した本発明は、インバータ回路を利用してモータを駆動するモータ駆動用インバータ制御装置に適用できる。例えば、インバータ回路を搭載した空気調和機、冷蔵庫、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機、送風機、ヒートポンプ給湯器等に備えられるものである。
いずれの製品についても、モータ駆動用インバータ装置を小型化、軽量化することで、製品の設計の自由度が向上し、安価な製品を提供することができる。
以上のように、本発明にかかるモータ駆動用インバータ制御装置は、小容量リアクタおよび小容量コンデンサを用いることで小型・軽量・低コストなモータ駆動用インバータ制
御装置を実現でき、インバータ印加電圧に大きなリプルがある場合でも、位置検出センサを用いずに駆動でき、高効率を維持しつつ安定した電流供給が可能となるもので、小型のモータ起動装置を必要とするAV機器(特に小型機器)等にも広く用いることができる。
実施の形態1を示すモータ駆動用インバータ制御装置のシステム構成図 モータの相電流状態の時間的変化の一例、及び、電気角の各区間におけるモータの各相巻線での電流の状態を表す図 半キャリア周期におけるPWM信号の一例を表す波形図 図3に示されるPWM信号による駆動時にモータ及びインバータに流れる電流状態を表す図 半キャリア周期におけるPWM信号の一例を表す波形図 図5に示されるPWM信号による駆動時にモータ及びインバータに流れる電流状態を表す図 実施の形態1における第1の動作結果を示す波形図 実施の形態1におけるインバータのスイッチング素子の動作状態を表す波形図 実施の形態1における第2の動作結果を示す波形図 実施の形態2における動作結果を示す波形図 実施の形態3における動作結果を示す波形図 一般的なモータ駆動用インバータ制御装置のシステム構成図 一般的なモータ駆動用インバータ装置における電源電流の高調波成分と電源周波数に対する次数との関係を示した線図 特許文献1に記載の従来の直流電源装置のシステム構成図
符号の説明
1 交流電源
2 インバータ
3 ブラシレスモータ
4 固定子
4u〜4w 巻線
5 回転子
6 制御部
7 ダイオードブリッジ
8u〜8w 端子
9 PWM信号生成部
10 ベースドライバ
11 小容量リアクタ
12 小容量コンデンサ
13u、13v、13w 上アームスイッチング素子
13x、13y、13z 下アームスイッチング素子
14u、14v、14w、14x、14y、14z フリーホイールダイオード
15 電流検出器
16 電圧検出部
17 モータ位相推定部
18 回転子速度検出部
19 電流指令演算部
20 相電流変換部
21 過電流保護手段
50 モータ駆動用インバータ制御装置
111 リアクタ
112 平滑コンデンサ
113 直流電源装置

Claims (5)

  1. 交流電力を入力し直流電力に変換する整流回路と、前記直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータの母線間に設けられた平滑コンデンサと、前記インバータの母線に流れる母線電流の値を検出する電流検出器と、前記インバータに入力される前記平滑コンデンサの印加電圧値を検出する電圧検出部と、前記インバータを制御する制御部であって、前記印加電圧値と前記母線電流の値とを入力し相電流を監視する相電流変換部と、前記相電流変換部の出力と前記印加電圧値に応じて前記インバータを制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部と、前記PWM信号を入力し前記相電流変換部の出力に基づいて前記PWM信号を変換し前記インバータに供給する過電流保護手段とを有する制御部とを備え、前記相電流変換部では前記インバータの印加電圧値が所定値以上のときにのみ前記電流検出器から得られる母線電流を基にブラシレスモータの各相の電流値を計算して再現し、印加電圧値が所定値未満のタイミングにおいては、前記電流検出器から得られる電流値を基にブラシレスモータの各相の電流値を再現することをキャンセルして、実際のU相電流との誤差発生を回避したモータ駆動用インバータ制御装置。
  2. 前記過電流保護手段は、前記相電流変換部の出力に応じて、前記PWM信号のキャリア周波数を増加させる請求項1に記載のモータ駆動用インバータ制御装置。
  3. 前記過電流保護手段は、前記相電流変換部の出力に応じて、前記PWM信号を2相変調方式から3相変調方式に、または、3相変調方式から2相変調方式に切替える請求項1に記載のモータ駆動用インバータ制御装置。
  4. さらにリアクタを有し、前記リアクタと前記平滑コンデンサとの共振周波数は、入力される前記交流電力の周波数の40倍よりも大きい請求項1に記載のモータ駆動用インバータ制御装置。
  5. モータと、前記モータを制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ駆動用インバータ制御装置とを備えた機器。
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