JP2008154431A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電源線間に設けたコンデンサを大型化することなく、コンデンサの温度上昇を抑える。
【解決手段】インバータ3により駆動されるモータ4の出力が所定のしきい値よりも小さい場合には、IGBT10up〜10wnに対し正弦波PWM信号G1up〜G1wnを出力し、モータ4の出力が所定のしきい値以上の場合には、IGBT10up〜10wnに対し矩形波PWM信号G2up〜G2wnを出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PWM駆動されるインバータを備えたモータ制御装置に関する。
例えば電気自動車(EV)の車両駆動用モータをインバータにより駆動するモータ制御装置においては、出力電圧に応じた振幅を持つ正弦波形の電圧指令信号と三角波形の搬送波信号とを比較して正弦波PWM信号を生成するようになっている(特許文献1、2参照)。インバータは、直流電源線間にスイッチング素子をブリッジ接続して構成されており、上記正弦波PWM信号に従って上アーム側のスイッチング素子と下アーム側のスイッチング素子とを相補的にオンオフ制御する。
特開2004−015892号公報 特開2004−229409号公報
上記電気自動車駆動システムでは、インバータに対しバッテリから直流電圧が供給されるので、交流全波(或いは半波)波形を持つ直流電圧を入力する場合とは異なり、大容量の平滑コンデンサは不要である。しかし、バッテリや直流電源線にはインダクタンス成分が存在するので、インバータのスイッチング素子のオンオフに伴い生じるサージ電圧を抑制するため、直流電源線間に高周波特性に優れたコンデンサ(例えばフィルムコンデンサ)を設ける必要がある。
このようなインバータを備えたモータ制御装置により実際に車両駆動用モータを駆動すると、上記コンデンサが発熱する現象が生じる。コンデンサは、温度が高くなるに従い急速に劣化が進むため、コンデンサの容量を増大したり、インバータの冷却ファンの能力を高める必要がある。しかしながら、こうした対策はコンデンサの大型化ひいてはインバータ、モータ制御装置の大型化を招く結果となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、直流電源線間に設けたコンデンサや装置自体を大型化することなく、当該コンデンサの温度上昇を抑えることができるモータ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載のモータ制御装置は、
直流電源線間に接続されたコンデンサと、
前記直流電源線間にスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータと、
このインバータにより駆動されるモータの出力が所定のしきい値よりも小さい場合には、前記スイッチング素子に対し正弦波PWM信号を出力し、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の場合には、前記スイッチング素子に対し矩形波PWM信号を出力する制御手段とを備えていることを特徴とする。
コンデンサが発熱する主な原因は、コンデンサに対し充放電されるリプル電流である。このリプル電流は、インバータのスイッチング素子のオンオフ状態が反転するのに伴い、直流電源線を介して流れる電流(直流電流)が変化する時に生じる。正弦波PWM信号による駆動時には、キャリア信号の1周期の間に各相のスイッチング素子がオンからオフ、オフからオンに切り替わり、さらに切り替わり時にはアーム短絡防止のため上下アームのスイッチング素子をともにオフするデッドタイムが設けられる。従って、正弦波PWM駆動時には、直流電流の変化頻度つまりリプル電流の実効値が大きくなる。
これに対し、矩形波PWM信号例えば120度通電信号による駆動時には、電気角で120度の期間、何れか1つの相の上アームまたは下アームのスイッチング素子のみのオンオフ状態が反転する(途中1回だけ下アームのスイッチング素子が切り替わる)。この間、当該アームの他方のアームのスイッチング素子はオフし続けているのでデッドタイムは必要ない。従って、矩形波PWM駆動時には、直流電流の変化頻度つまりリプル電流の実効値が小さくなる。
モータの出力が所定のしきい値よりも小さい場合には、リプル電流の実効値が小さくコンデンサの発熱も小さい。また、低出力ではモータの運転音が小さく磁気騒音のマスキング効果が小さい。そこで、高調波の少ない電圧を出力できる正弦波PWM信号で駆動し、モータを高効率で且つ低い磁気騒音で駆動する。これに対し、モータの出力が所定のしきい値以上の場合には、リプル電流の実効値が大きくコンデンサの発熱も大きくなる。そこで、矩形波PWM信号号で駆動し、インバータに設けられたコンデンサの発熱を抑える。
本発明によれば、直流電源線間に設けたコンデンサ、モータ制御装置を大型化することなく、当該コンデンサの温度上昇を抑えることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明のモータ制御装置によりDCブラシレスモータを駆動する第1の実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。
図1は、モータ制御装置の構成図であり、後述するシミュレーションを実施する際に用いるモデルでもある。このモータ制御装置1は、バッテリ2から直流電圧(例えば280V)を入力し、インバータ3により電気自動車(EV)の車両駆動用モータ4をPWM駆動するものである。バッテリ2が接続される直流電源線5、6間(図1に示すノードn1、n2間)にはフィルムコンデンサ7が接続されている。コンデンサ7は、等価的にリアクトル7aと抵抗7bと理想的なコンデンサ7cとの直列回路として表すことができる。また、バッテリ2からノードn1、n2に至る直流電源線5、6には等価的に配線抵抗8が存在し、ノードn1、n2からインバータ3に至る直流電源線5、6には等価的に配線抵抗9が存在している。
インバータ3は、直流電源線5、6間にIGBT10up、10un、10vp、10vn、10wp、10wn(スイッチング素子に相当)を三相ブリッジ接続して構成された電圧形インバータである。各IGBT10up、10un、10vp、10vn、10wp、10wnには、それぞれ還流用のダイオード11up、11un、11vp、11vn、11wp、11wnが接続されている。
インバータ3の出力端子にはモータ4の各相端子が接続されている。モータ4は、最大出力が40kW〜50kW程度の三相DCブラシレスモータである。モータ4の巻線4u、4v、4wは、等価的に抵抗4aとリアクトル4bとにより表すことができ、ロータの回転に伴い誘起電圧を発生する。なお、図示しないが、ロータに接近してホールIC、レゾルバなどからなる位置検出手段が配設されている。
PWM信号生成回路12は、位置検出手段から入力した信号に基づいてロータ位置を示す位置信号Du、Dv、Dwと回転速度を検出し、回転速度指令値と回転速度検出値とから電圧指令信号を演算し、それに基づいてIGBT10up〜10wnに対するPWM信号Gup〜Gwnを生成するものである。この場合、モータ電流検出手段を設け、電流フィードバックループを付加して電圧指令信号を演算してもよい。
PWM信号生成回路12は、電圧指令信号に基づいて正弦波180度PWM信号G1up〜G1wnおよび矩形波120度通電PWM信号G2up〜G2wnのうち何れか一方のPWM信号を選択的に生成し出力する。これらのPWM信号Gup〜Gwnは、フォトカプラ、ゲート駆動用電源等からなるゲート駆動回路13を介してIGBT10up〜10wnのゲートに与えられる。
次に、本実施形態の作用について図2ないし図5も参照しながら説明する。
PWM信号生成回路12は、モータ4の出力が所定のしきい値よりも小さい場合には、電圧指令信号に基づいて正弦波180度PWM信号G1up〜G1wnを生成して出力し、モータ出力が上記所定のしきい値以上の場合には、電圧指令信号に基づいて矩形波120度通電PWM信号G2up〜G2wnを生成して出力する。
PWM信号生成回路12は、回転速度とトルクとを乗算してモータ出力を求め、或いは検出したモータ電流とモータ相電圧とを乗算してモータ出力を求める。その他にも、回転速度、モータ電流、出力電圧、モータ4の出力特性などに基づいてモータ出力を推定演算してもよい。後述する実施形態では、これ以外の方法により間接的にモータ出力を求めている。
PWM信号生成回路12は、三角波などの搬送波信号と正弦波状の各相の電圧指令信号とを比較する正弦波三角波比較法により正弦波180度PWM信号G1up〜G1wnを生成する。この場合、アーム短絡を防止するために、各相について上アームと下アームのIGBTがともにオフ状態となるデッドタイムを設定している。
図2は、上から順に(a)搬送波信号と電圧指令信号、(b)U相PWM信号G1u、(c)V相PWM信号G1v、(d)W相PWM信号G1w、(e)モータ4に印加される線間電圧Vuvとその基本波成分を示している。U相PWM信号G1uは、U相上アームのIGBT10upに対するPWM信号G1upとU相下アームのIGBT10unに対するPWM信号G1unとを合わせて示したもので、Hレベルで上アームのIGBT10upがオン、Lレベルで下アームのIGBT10unがオンする。V相PWM信号G1vおよびW相PWM信号G1wも同様である。Edは、直流電源線5、6間の直流電圧である。
PWM信号生成回路12は、位置信号Du、Dv、Dwに基づく論理演算により120度通電波形を生成し、電圧指令信号に基づいて上アーム側の通電波形に対するPWMデューティを決定することにより矩形波120度通電PWM信号G2up〜G2wnを生成する。図3は、上から順に(a)位置信号Du、(b)位置信号Dv、(c)位置信号Dw、(d)U相上アームPWM信号G2up、(e)V相上アームPWM信号G2vp、(f)W相上アームPWM信号G2wp、(g)U相下アームPWM信号G2un、(h)V相下アームPWM信号G2vn、(i)W相下アームPWM信号G2wn、(j)W相電圧Vwを示している。
これら正弦波180度PWM信号G1up〜G1wnを用いた駆動(正弦波PWM駆動)および矩形波120度通電PWM信号G2up〜G2wnを用いた駆動(矩形波PWM駆動)をシミュレーションして得られた波形を図4および図5に示す。シミュレーション条件は、バッテリ電圧が280V、コンデンサ7の静電容量が1000μF、リアクトル7aが1nH、抵抗7bが5mΩ、配線抵抗8、9が5mΩ、PWM周波数が5kHz、デッドタイムが3.5μsec、回転速度が200Hz(電気角)である。
図4および図5は、コンデンサ7に流れる電流Icの瞬時値、実効値、平均値、抵抗9に流れる電流Idの瞬時値、実効値、平均値、U相電流の瞬時値Iu、V相電流の瞬時値Iv、W相電流の瞬時値Iwの各波形を示している。電流Ic、Idの向きは図1に示す矢印の通りである。電流Ic、Idの瞬時値は図中のスケール1に従い、電流Ic、Idの実効値と平均値は図中のスケール2に従う。
正弦波PWM駆動の場合、図2から分かるように搬送波信号の1周期の間にU相、V相、W相の各アームにおいて、上アームのIGBT10xpがオフ、下アームのIGBT10xnがオンの状態から上アームのIGBT10xpがオン、下アームのIGBT10xnがオフの状態となり、再び上アームのIGBT10xpがオフ、下アームのIGBT10xnがオンの状態になる(x:u,v,w)。
図4に示すように、この各相のスイッチングに伴い、抵抗9に流れる電流Idは、搬送波信号の1周期の間に正方向(力行方向)、逆方向(回生方向)、ゼロの間で複数回に亘り変化する。この変化時にコンデンサ7にリプル電流Icが流れる。また、U相、V相、W相の各アームでIGBT10xpと10xnのオンオフ状態が切り替わる際のデッドタイムにおいても、コンデンサ7にリプル電流Icが流れる。コンデンサ7に流れるこの急峻な波形を持つリプル電流によりコンデンサ7が発熱する。図1では、発熱要素を抵抗7bにより等価的に表している。
これに対し、矩形波PWM駆動の場合には、図3から分かるように何れか1つの相の上アームIGBT10xpだけが搬送波信号の周期でオンオフ状態を繰り返す。このため、図5に示すように、スイッチングに伴い抵抗9に流れる電流Idは、搬送波信号の1周期の間に1度だけ正方向とゼロの間で変化する。電流Idが負になる可能性があるのは、120度ごとの下アームIGBTxnの切り替え時だけである。また、矩形波PWM駆動の場合にはデッドタイムの設定も不要である。従って、コンデンサ7に流れるリプル電流Icの実効値は、正弦波PWM駆動の場合に比べて小さくなる。シミュレーションにおけるリプル電流Ic(実効値)は、正弦波PWM駆動の場合に70A、矩形波PWM駆動の場合に40Aであった。
そこで、このシミュレーション結果に基づき、PWM信号生成回路12は、直流電源線5、6に流れる電流Idつまりはコンデンサ7に流れるリプル電流Icが増大してコンデンサ7の発熱が問題となるモータ出力の大きい場合に、矩形波PWM駆動を行いリプル電流Icを低減する。矩形波PWM駆動を用いると、リプル電流Icが低減するのみならず、インバータ3のスイッチング損失も低減する。
ただし、矩形波PWM駆動は、正弦波PWM駆動に比べて出力電圧に含まれる高調波成分が多いので、モータ4の損失、トルク変動および磁気騒音が大きくなる。従って、コンデンサ7の発熱が問題とならないモータ出力の小さい場合には、正弦波PWM駆動を行う。モータ出力の小さい場合は回転速度が低くモータ4の運転騒音も小さい(磁気騒音のマスキング効果が小さい)ので、正弦波PWM駆動を用いて磁気騒音を抑えることにより、車室内の環境性を高めることができる。
この正弦波PWM駆動と矩形波PWM駆動とを切り替えるモータ出力のしきい値は、コンデンサ7の特性(発熱特性、放熱特性など)、モータ制御装置1の冷却能力(冷却ファンの能力)、モータ5の特性、モータ効率などに応じて設定すればよい。また、しきい値は一定値でなくてもよく、駆動状態に応じて変更してもよい。本実施形態のモータ4は車両駆動用であるため、モータ出力は常時高い状態ではなく、加速走行時や上り坂走行時などに限り一時的に出力が上昇する。従って、このような高出力時に限って矩形波PWM駆動に切り替えるとよい。
以上説明したように、本実施形態によればインバータ3により駆動されるモータ4の出力が所定のしきい値よりも小さい場合には正弦波PWM駆動を行い、モータ4の出力がしきい値以上の場合には矩形波PWM駆動を行うので、バッテリ2からインバータ3に至る直流電源線5、6間に設けられたコンデンサ7に流れるリプル電流を低減でき、コンデンサ7の発熱、温度上昇を抑えることができる。
その結果、コンデンサ7の温度上昇を抑える目的でコンデンサ7を大型化したり、モータ制御装置1の冷却装置の能力を高めたり、放熱フィンを大型化する必要がないので、従来よりもモータ制御装置1を小型化できるとともに、コンデンサ7の寿命ひいてはモータ制御装置1の寿命を延ばすことができる。
(第2の実施形態)
図6はモータ制御装置の構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態のモータ制御装置14は、IGBT10up〜10wnの温度を検出する温度センサ15(温度検出手段に相当)を備えている。PWM信号生成回路12は、温度センサ15により検出された温度が所定値よりも低い場合には、モータ出力が上述した切り替えのためのしきい値よりも小さい状態であると判断して正弦波PWM駆動を行い、所定値以上の場合には、モータ出力が上記しきい値以上の状態であると判断して矩形波PWM駆動を行う。
モータ出力が増大するとモータ電流が増大し、IGBT10up〜10wnのスイッチング時の損失および通電時の損失が増大して素子温度が上昇する。つまり、IGBT10up〜10wnの温度によりモータ出力を概略推定することができる。従って、上述のようにPWM駆動を制御すれば、モータ出力が小さい場合に正弦波PWM駆動を行い、モータ出力が大きくなると矩形波PWM駆動を行うことになる。その結果、本実施形態によってもコンデンサ7に流れるリプル電流を低減でき、コンデンサ7の発熱、温度上昇を抑えることができる。
(第3の実施形態)
図7はモータ制御装置の構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態のモータ制御装置16は、モータ4の温度を検出する温度センサ17(温度検出手段に相当)を備えている。PWM信号生成回路12は、温度センサ17により検出された温度が所定値よりも低い場合には、モータ出力が上述した切り替えのためのしきい値よりも小さい状態であると判断して正弦波PWM駆動を行い、所定値以上の場合には、モータ出力が上記しきい値以上の状態であると判断して矩形波PWM駆動を行う。
モータ出力が増大するとモータ電流が増大し、巻線4u、4v、4wの抵抗4aによる銅損および鉄損が増大してモータ温度が上昇する。つまり、モータ4の温度によりモータ出力を概略推定することができる。従って、上述のようにPWM駆動を制御すれば、モータ出力が小さい場合に正弦波PWM駆動を行い、モータ出力が大きくなると矩形波PWM駆動を行うことになる。その結果、本実施形態によってもコンデンサ7に流れるリプル電流を低減でき、コンデンサ7の発熱、温度上昇を抑えることができる。
(第4の実施形態)
図8はモータ制御装置の構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。本実施形態のモータ制御装置18は、インバータ3のIGBT10un、10vn、10wnと直流電源線6との各間にそれぞれモータ電流検出用の抵抗19u、19v、19w(電流検出手段)を備えている。
PWM信号生成回路12は、抵抗19u、19v、19wの端子間電圧に基づいて各相のモータ電流を検出し、その検出した電流値を2乗した値に所定の単位時間を乗算する。そして、この乗算値が所定値よりも小さい場合には、モータ出力が上述した切り替えのためのしきい値よりも小さい状態であると判断して正弦波PWM駆動を行い、所定値以上の場合には、モータ出力が上記しきい値以上の状態であると判断して矩形波PWM駆動を行う。
上記乗算値は、電流の2乗の項が存在するためIGBT10up〜10wnの温度に応じた値となり、この乗算値によりモータ出力を概略推定することができる。従って、上述のようにPWM駆動を制御すれば、モータ出力が小さい場合に正弦波PWM駆動を行い、モータ出力が大きくなると矩形波PWM駆動を行うことになる。その結果、本実施形態によってもコンデンサ7に流れるリプル電流を低減でき、コンデンサ7の発熱、温度上昇を抑えることができる。
(第5の実施形態)
本実施形態のモータ制御装置は、上述した各実施形態のモータ制御装置において、モータ出力を高めるために矩形波PWM駆動の通電幅を120度から180度の範囲で制御するものである。PWM信号生成回路12は、モータ出力(第2、第3、第4の実施形態のように素子温度、モータ温度、電流乗算値などによる推定値を含む)が上述した切り替えのためのしきい値以上となったとき、切り替えにより出力電圧が変化しないように正弦波PWM駆動から矩形波PWM駆動に切り替える。
このとき、120度通電のままで電圧指令値に等しい電圧を出力可能である場合には、上アーム側のIGBT10up、10vp、10wpのデューティ比を0%〜100%の間で制御する。これに対し、矩形波120度通電PWM駆動のデューティ比を100%に設定しても出力電圧が不足する場合には、デューティ比を100%に保持したまま通電角を120度から180度の範囲で制御する。図9(a)は120度通電のU相電圧Vuの波形を示しており、図9(b)は(120+α)度の通電幅を持つU相電圧Vuの波形を示している。図中に示すαとβはα+β=60度の関係にあり、0≦α≦60度の範囲で制御可能である。
本実施形態によれば、モータ出力がしきい値以上の場合において、矩形波120度通電PWM駆動では出力電圧が不足する場合、正弦波PWM駆動を過変調域で用いるのではなく、デューティ比を100%に保持したまま矩形波PWM駆動の通電角を制御して電圧追従制御を行う。その結果、コンデンサ7に流れるリプル電流を低減してコンデンサ7の温度上昇を抑えることができるとともに、上アーム側のIGBT10up、10vp、10wpのスイッチング損失を大幅に低減することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
矩形波PWM駆動において下アーム側のIGBT10un、10vn、10wnをPWM制御(デューティ制御)してもよい。
第4の実施形態において、検出した電流値を2乗した値にモータ4の巻線抵抗4aを乗算して上記乗算値を求めてもよい。
電流検出手段は、抵抗19u、19v、19wに限られない。例えば、インバータ3の出力端子とモータ4の端子との間に直列に設けた抵抗や電流センサであってもよい。
コンデンサ7は、フィルムコンデンサに限らず、急峻な波形を持つリプル電流を充放電可能な高周波特性に優れたコンデンサであればよい。
モータ4は、車両駆動用モータに限られない。
スイッチング素子は、IGBTに限らず、FETやバイポーラトランジスタであってもよい。
本発明の第1の実施形態を示すモータ制御装置の構成図 正弦波180度PWM駆動の波形図 矩形波120度通電PWM駆動の波形図 正弦波180度PWM駆動のシミュレーション波形図 矩形波120度通電PWM駆動のシミュレーション波形図 本発明の第2の実施形態を示す図1相当図 本発明の第3の実施形態を示す図1相当図 本発明の第4の実施形態を示す図1相当図 本発明の第5の実施形態を示す相電圧の波形図
符号の説明
1、14、16、18はモータ制御装置、3はインバータ、4はモータ(車両駆動用モータ)、5、6は直流電源線、7はコンデンサ、10up、10un、10vp、10vn、10wp、10wnはIGBT(スイッチング素子)、12はPWM信号生成回路(制御手段)、15、17は温度センサ(温度検出手段)、19u、19v、19wは抵抗(電流検出手段)である。

Claims (7)

  1. 直流電源線間に接続されたコンデンサと、
    前記直流電源線間にスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータと、
    このインバータにより駆動されるモータの出力が所定のしきい値よりも小さい場合には、前記スイッチング素子に対し正弦波PWM信号を出力し、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の場合には、前記スイッチング素子に対し矩形波PWM信号を出力する制御手段とを備えていることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定値よりも低い場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値よりも小さい状態であるとして前記スイッチング素子に対し正弦波PWM信号を出力し、前記温度検出手段により検出された温度が所定値以上の場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の状態であるとして前記スイッチング素子に対し矩形波PWM信号を出力することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記モータの温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定値よりも低い場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値よりも小さい状態であるとして前記スイッチング素子に対し正弦波PWM信号を出力し、前記温度検出手段により検出された温度が所定値以上の場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の状態であるとして前記スイッチング素子に対し矩形波PWM信号を出力することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記電流検出手段により検出された電流値を2乗した値に所定の単位時間を乗算して得た値が所定値よりも小さい場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値よりも小さい状態であるとして前記スイッチング素子に対し正弦波PWM信号を出力し、前記乗算値が所定値以上の場合には、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の状態であるとして前記スイッチング素子に対し矩形波PWM信号を出力することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  5. 前記制御装置は、前記モータの出力が前記所定のしきい値以上の場合、前記スイッチング素子に対し120度通電の矩形波PWM信号を出力することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のモータ制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が所定値以上の場合において、前記矩形波PWM信号のデューティ比を100%に設定しても出力電圧が不足する場合、デューティ比を100%に保持したまま通電角を120度から180度の範囲で制御することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
  7. 前記インバータにより駆動されるモータは、車両駆動用モータであることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のモータ制御装置。
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