JP5507318B2 - 金属イオン含有排水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鉄所や鋼鈑処理場から排出される金属イオンを含有している排水の処理方法に関し、さらに詳しくは、特に溶存鉄の分離を従来の方法に増して効率的に行うことができ、且つ生成するスラッジの含水率を低くできるのでスラッジの処理が容易であり、しかも、従来の方法に比べて酸化剤の使用量を低減できる経済的な金属イオン含有排水の処理方法の提供に関する。
従来より、製鉄所や鋼鈑処理場の如く鉄を大量に処理する際には、大量の冷却水、表面処理水等が発生するが、これらの排水中には、多量の第一鉄及び第二鉄の他に、亜鉛、カドミウム、錫、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属イオンが含有されているため、排水の放出或いは再使用に際しては、これらの溶存鉄を含む溶存金属を充分に除去することが要求される。上記溶存鉄を含む溶存金属の除去方法としては、従来より、アルカリ剤で中和して排水をアルカリ性の状態に保持しつつ、大量の空気を吹き込みながら撹拌処理(曝気処理)することにより、溶存金属を空気中の酸素で酸化し、生成した水酸化物を微粒子の状態で析出させ沈殿除去する方法が行われている。例えば、溶存鉄を酸化処理することで、FeO(OH)粒子を析出させて除去している。さらに、この場合には、沈殿槽で沈降分離したスラッジにアルカリ剤を添加した後、排水に返送混合することで、排水中の溶存鉄を空気中の酸素で酸化してδ−FeO(OH)結晶粒子を析出させ、該粒子を触媒(種晶)として機能させて、沈殿分離効率を高める方法が採用されることが多い。
上記従来方法では、いずれの場合も、曝気槽(反応槽)での溶存鉄を含む溶存金属の酸化及び金属水酸化物[例えば、FeO(OH)粒子]化の速度は、曝気空気からの溶存酸素に依存しており、その酸化速度は、反応槽に流入する溶存鉄等に対する曝気空気からの溶存酸素供給量に律速される。この際に、種々の理由から曝気空気量が不足した場合には、未反応の溶存鉄等が溶解したまま次の工程である沈殿槽に送られるため、凝集・沈殿処理工程(分離工程)において溶存鉄等の溶存金属が充分に除去されずに、処理済水中に鉄等の金属が残存するという問題がある。
また、反応槽での溶存鉄等の酸化及び金属酸化物の粒子化は曝気空気により行われるため、多量の酸化用の曝気空気が必要となり、吹き込み空気による過度の撹拌混合が行われる。そして、溶存鉄の除去を例に挙げれば、酸化によって生じたFeO(OH)が、前記した触媒(種晶)として添加されるFeO(OH)粒子表面への析出及び触媒粒子径の成長を阻害する。その結果、反応槽で得られるFeO(OH)触媒粒子の径は十分には成長せず、また、処理水中に懸濁して析出しているδ−FeO(OH)の微細な粒子との混合物として得られることになる。このため、凝集・沈殿処理工程でのスラッジの沈降性が劣るものとなり、且つ、スラッジの含水率が高いものとなるので、生成スラッジの濃縮性或いは脱水工程での脱水性の低下を来すという問題がある。
これに対して、本願出願人は、これまでに、反応槽に酸化剤として過酸化水素を添加することで、反応槽での溶存鉄の酸化及びFeO(OH)化の殆どを過酸化水素による酸化によって行うことで、曝気空気による酸化で過酸化水素による酸化を補完し、これによってδ−FeO(OH)結晶粒子の析出を促進させ、上記課題を解決することを提案している(特許文献1参照)。
また、上記した沈殿槽で沈降分離したスラッジを循環返送し、アルカリ剤を添加したアルカリスラッジとして排水中の金属類を水酸化物として沈殿析出させる処理方法において、第一鉄及び第二鉄イオンの他に、他の金属イオン、例えば、亜鉛、カドミウム、錫、ニッケル、アルミニウム、銅等を含有する排水を一括処理した場合には、別の問題が生じる。即ち、この場合には、第二鉄イオンと、第一鉄イオンを含む他の金属イオンとでは析出沈殿する最適なpH領域が異なるために、鉄イオンから生成する水酸化物は結晶性の緻密な粒子とはならず、微細粒子として分散して析出沈殿することが生じる。このため、得られるスラッジが、沈降性、濃縮性及び脱水性が低下したものとなり、処理水の水質劣化が生じる。この問題に対して、本願出願人は、反応槽を2槽構造とし、各槽での処理pHを異なるものとする方法を提案している。この方法によれば、鉄イオンの他に、種々の金属イオンを含有する金属含有排水中の金属の分離が効率的となり、スラッジの含水率も低く、スラッジの処理が容易になることが記載されている(特許文献2参照)。
特開平7−51684号公報 特開平7−214073号公報
しかしながら、上記した酸化剤として過酸化水素を使用する方法では、大量の過酸化水素を使用する必要があり、ランニングコストが増大するという問題がある。また、反応槽を2槽にし、各槽で処理pHを変えて処理する方法では、反応槽を2槽にしなければならず、さらに、処理工程が増え、設備費やランニングコストが増大するという問題がある。また、本発明者らの検討によれば、いずれの場合も、沈殿槽で沈降分離したスラッジにアルカリ剤を添加した後、排水に返送混合することで、排水中の溶存鉄を空気中の酸素で酸化してFeO(OH)粒子を析出させているが、過酸化水素を使用したとしても立ち上げが遅く、処理の初期段階において、良好な処理ができないという問題があった。また、これらの方法では種晶となるδ−FeO(OH)が生成する割合が低く、また粒子径も小さいため汚泥濃縮性に関しても十分なものとはいえず、処理効率という点では解決すべき余地がある。
従って、本発明の目的は、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とする排水の処理において、処理系の立ち上げ当初より溶存鉄等の分離が極めて効率的に行うことができ、且つ、生成するスラッジの含水率が低いためスラッジの処理が容易で、しかも、設備費やランニングコストの増大を抑制した経済的な金属イオン含有排水の処理方法を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とし、該原水を処理する処理系と、該処理系で使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させるためのδ−FeO(OH)の調製系とを有する金属イオン含有排水の処理方法であって、上記処理系が、上記原水を、反応槽内で酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させる反応工程と、得られた水酸化鉄を含む金属水酸化物を、沈殿槽内で沈殿分離させる分離工程とを有し、少なくとも上記処理系の立ち上げ時に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに上記反応槽内に添加して酸化触媒として使用し、且つ、該反応工程における溶存鉄を含む溶存金属の酸化処理を空気酸化によって行うことを特徴とする金属イオン含有排水の処理方法である。
本発明の好ましい形態としては、さらに、前記分離工程で沈殿分離した水酸化鉄を含む金属水酸化物を含有するスラッジの一部をスラッジ反応槽に導入し、該スラッジ反応槽内にアルカリ剤を添加してスラッジを処理し、処理後のスラッジを反応槽内に戻すスラッジの返送処理工程を有する上記の金属イオン含有排水の処理方法が挙げられる。特に好ましくは、この場合に、前記スラッジの返送処理工程で反応槽内に戻すスラッジの量を、反応槽内で原水中から発生する金属水酸化物量に対して41倍量以上とすることが挙げられる。
本発明の好ましい別の形態としては、さらに、前記反応工程の前に、原水を導入したpH調整槽内で原水のpHを調整するpH調整工程を有する上記いずれかの金属イオン含有排水の処理方法が挙げられる。
本発明の好ましい形態としては、処理系の立ち上げ時に、前記δ−FeO(OH)の調製系で生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を、前記pH調整槽内にも速やかに添加する上記の金属イオン含有排水の処理方法が挙げられる。また、さらに、処理系の稼働中に、間欠的に若しくは連続的に、前記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成されたδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに、前記反応槽内、前記pH調整槽内及び前記スラッジ反応槽内から選ばれる少なくともいずれかの槽内に添加する上記いずれかの金属イオン含有排水の処理方法:δ−FeO(OH)の調製系で使用する酸化剤が、過酸化水素である上記いずれかの金属イオン含有排水の処理方法:前記反応工程で、処理対象の排水のpHを7.5〜9.0に調整する上記いずれかの金属イオン含有排水の処理方法が挙げられる。
本発明によれば、処理系の立ち上げ当初より溶存鉄等の分離を極めて効率よくすることができ、且つ、沈降分離した汚泥(スラッジ)は、従来方法に比べて、沈降性、濃縮性及び脱水性の何れもが優れており、その後の処理が容易にでき、この結果、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とする溶存鉄含有排水の処理を、経済的に良好な状態ですることができる金属イオン含有排水の処理方法が提供される。
本発明の一態様の処理フローを模式的に示した図である。 本発明の別の態様の処理フローを模式的に示した図である。 本発明の実施例で使用したδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を析出させるための処理フローを模式的に示した図である。 比較例の処理フローを模式的に示した図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。図1及び図2に、模式的な処理フローを示した。本発明の金属イオン含有排水の処理方法は、通常の排水の処理系に加えて、該処理系で、溶存鉄等の金属の酸化触媒として機能するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を、少なくとも2価の鉄を含む鉄系試薬を用いて生成するための調製系が設けられていることを特徴とする。該調製系は、図1及び2中の点線で囲った部分である。本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、下記のことが、効率のよい金属イオン含有排水の処理の実現を達成できない原因であると結論した。即ち、前記した通り、従来の、沈殿槽で沈降分離したスラッジにアルカリ剤を添加した後、排水に返送混合することで排水中の溶存鉄を空気中の酸素或いは過酸化水素で酸化してFeO(OH)粒子を析出させる方法では、種晶となるδ−FeO(OH)が生成する割合は低く、また粒子径も小さく、このことが、汚泥濃縮性の促進に影響を及ぼしていることを見出した。そして、金属イオン含有排水の処理システム中に、酸化触媒として機能する良好な状態のδ−FeO(OH)の結晶微粒子を確実に添加することができれば、従来方法に比べて、沈降分離した汚泥(スラッジ)は、沈降性、濃縮性及び脱水性の何れもが著しく優れ、その後の処理も容易にできるものとなる。
これに対して、本発明では、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させたものを使用するが、特に排水の処理系の立ち上げ時に速やかに使用できるように構成する。より具体的には、反応工程で行う原水の酸化処理の開始に伴って或いは先立ち、δ−FeO(OH)の結晶微粒子の調製系を稼働させて、例えば、酸化剤として過酸化水素を使用してδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成し、生成した結晶微粒子を、反応工程を実施する反応槽内に酸化触媒として速やかに添加し、該反応槽で、原水を酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させるように構成する。本発明者らの検討によれば、上記のように構成することで、δ−FeO(OH)の結晶微粒子は、従来のものに比べて触媒機能をより有効に発揮するものとなるので、処理系の立ち上げ時より、原水の酸化処理を良好に行えるようになることを確認した。即ち、上記のようにして得たδ−FeO(OH)の結晶微粒子を、排水中の溶存鉄等を酸化処理して金属水酸化物を生成させる反応槽中に存在させると、酸化によって生じたFeO(OH)が、使用する直前に生成して酸化触媒として添加したδ−FeO(OH)の結晶粒子表面に析出して、該結晶粒子径を成長させることができる。この結果、凝集槽で得られるスラッジは、凝集性に優れ、沈降性に優れたものとなる。さらに、同時に、他の金属イオンに関しても酸化処理することが可能で、原水中の金属イオンを一括処理することができる。
さらに、本発明では、処理系の立ち上げ時に加えて、処理系の稼働中に間欠的に若しくは連続的に、δ−FeO(OH)の結晶微粒子の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに反応槽内に添加するように構成してもよい。特に、処理系の稼働中に、間欠的に添加するように構成することが好ましい。
上記したように、本発明の方法では、2価の鉄を含む鉄系試薬を使用することを要するため、この点では、排水中の溶存鉄を酸化してδ−FeO(OH)結晶粒子を析出させる従来の方法に比してコスト高になる。しかしながら、本発明者らの検討によれば、鉄系の試薬を使用して生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに処理系に用いる構成とした場合には、従来の方法で得たδ−FeO(OH)結晶粒子を用いた場合に比べて、その処理の立ち上がり、及びその後の処理効率に顕著な差があり、本発明によれば、処理の開始時から良好な処理を安定して行うことが可能になる。また、鉄系の試薬を使用して生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を用いることで、排水中の溶存鉄等を酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させる反応工程において、空気酸化でも、反応工程に過酸化水素による酸化を行った場合と同等或いはそれ以上の処理が可能である。本発明の方法は、これらの点でコスト削減が可能であり、処理システム全体を経済的なものとできる。より具体的には、本発明では、触媒として使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子の生成の際のみに過酸化水素のような酸化剤を使用すればよいため、酸化剤の使用量を格段に低減できる。また、反応工程に過酸化水素を使用する従来の処理方法は、従来の方法の中でも処理効率はよいが、本発明の方法によれば、該方法と比べて、同じかそれ以上の溶存鉄除去の効果が得られる。この結果、本発明によれば、従来の方法に比べて経済的な処理が可能となる。さらに、本発明の方法によれば、溶存鉄イオンの他に、他の金属イオンを含有する排水であっても、良好な状態で一括処理することができるので、この点でも、経済的な処理が可能となる。
以下、本発明を特徴づける、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とする溶存鉄含有排水の処理に使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成するための調製系について説明する。図3に示したように、先ず、混合槽中で、鉄系試薬とアルカリ剤とを混合させる。この際に使用する鉄系試薬としては、例えば、塩化第1鉄、硫酸第1鉄等を使用することができる。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、消石灰、炭酸カルシウム等を使用することができる。これらの混合比率としては、鉄濃度:アルカリ剤濃度を、1:2〜1:30となるようにすることが好ましい。混合は、攪拌機で行う。次に、この混合物を酸化槽へと導入し、撹拌しながら過酸化水素を加える。添加する過酸化水素の量としては、鉄濃度:過酸化水素濃度(35%溶液として)が1:0.6以上となるようにすることが好ましい。この過程よりδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成する。その後に反応物を中和槽に導入して、中和剤として塩酸又は硫酸等を入れて中和する。
本発明では、上記のようにして生成したδ−FeO(OH)を速やかに使用して、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水(原水)の処理を行うが、特に、処理系の立ち上げ時に、原水を酸化処理する反応工程で使用する。図1及び図2に示したように、例えば、反応工程を実施する反応槽内に添加して、アルカリ剤の共存下、反応槽内に導入した原水を酸化処理することで金属酸化物を生じさせる際の酸化触媒として使用する。本発明では、この際に、反応槽に空気を曝気しながら酸化処理を行うが、これによって、過酸化水素等の酸化剤を用いて酸化処理を行う従来の方法と同等或いはそれ以上の処理を達成できる。反応槽では、空気曝気によって、酸化触媒として機能するδ−FeO(OH)の結晶微粒子と、原水中の溶存鉄との混合接触が効率的に行われるが、その際に、反応槽内の原水のpHを常時7.5〜9.0に維持することが望ましい。
ここで、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水(原水)は、pH2〜3の酸性である場合が多い。しかし、これに限らず、排水によっては、原水のpHが4よりも高く、既に水酸化物が析出している場合もある。このため、反応工程においては、反応槽内の原水のpHが常時7.5〜9.0に維持されるように、アルカリ剤或いは酸剤を反応槽内に添加しながら酸化処理をすることが好ましい。本発明の好ましい形態としては、反応工程の前に、原水のpHを調整するpH調整工程を設けることが好ましい。即ち、pH調整槽内に原水を導入し、原水のpHが、pH2〜3よりも酸性或いはpH4よりもアルカリ性であるような場合に、該槽内にアルカリ剤或いは酸剤を適宜に使用してpHを調整することが好ましい。例えば、原水のpHが高い場合には、pH調整槽内に酸を添加することで、原水中に析出している水酸化物を溶解する必要がある。一方、pHが2よりも低いような場合には、遊離の酸をなくすために、アルカリ剤による調整が必要である。原水のpHを調整すれば、反応槽内における原水のpHを最適な状態にするための調整が容易となり、反応工程で鉄を含む金属水酸化物を、より効率よく析出させることができるようになる。
しかし、処理する原水のpHによっては、pH調整を予めする必要がない場合もあり、この場合には、反応工程に先立って行うpH調整工程は省略できる。図1及び図2に示した例では、反応槽の前にpH調整槽を設け、ここに原水を導入するとともにアルカリ剤或いは酸剤を添加してpHを調整した後、原水を反応槽へと導入している。また、図1及び図2に示した例では、このpH調整槽中に、調製系で調製したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに添加しているが、このようにすることで、より効率のよい処理が可能となる。この場合に行うδ−FeO(OH)の結晶微粒子のpH調整槽内への添加のタイミングは、反応槽の場合と同様に、排水の処理系の立ち上げ時であってもよいし、或いは、処理系の稼働中に間欠的に若しくは連続的に行ってもよい。
また、図2に示した例では、本発明の方法の処理で得られるスラッジの一部に、アルカリ剤と、先に説明したようにして調製して得たδ−FeO(OH)の結晶微粒子とを加え、混合して反応処理し、処理したものを反応槽へと返送し、再度の処理を行い、より完全な処理が行われるように構成している。しかし、本発明は、これに限定されず、図1に示したように、スラッジの一部を処理することなく反応槽に返送し、反応槽に直接アルカリ剤を添加してpH調整してもよい。また、図2に示したように、調製したδ−FeO(OH)をスラッジ反応槽に限定して加える場合には、δ−FeO(OH)の調製系の中和槽における中和処理を省略することができる。即ち、δ−FeO(OH)の調製系における酸化槽より出る高アルカリのスラッジは、スラッジ反応槽へ添加するアルカリ剤に代替して利用できる。いずれにしても、返送するスラッジ量は、反応槽にて原水中から発生する金属水酸化物量に対して41倍量以上、特に80倍量〜120倍量とすることが好ましい。
図1及び図2に示した本発明の例では、上記のようにして反応させて金属の水酸化物を析出させた後、これを凝集槽へと導入し、凝集剤を加えて混合撹拌する。すると、δ−FeO(OH)の結晶微粒子を核としてFeO(OH)粒子が凝集し、より大きなフロックとなり、粒子成長したδ−FeO(OH)の沈降速度を大きくできる。この際の凝集剤としては、従来より知られている高分子凝集剤等を使用することができる。また、凝集槽では、原水中に含まれる懸濁物質成分や、処理槽においてδ−FeO(OH)の結晶微粒子表面に析出せず、被処理排水中に析出して浮遊するδ−FeO(OH)の微粒子を、粒子径が大きくなっているδ−FeO(OH)の結晶微粒子を核として凝集成長させる。
図1及び図2に示したように、上記したような凝集処理の完了した処理水は、次いで沈殿槽へと送られる。沈殿槽では、δ−FeO(OH)の結晶微粒子を核として成長したδ−FeO(OH)粒子及びδ−FeO(OH)微粒子のフロックを沈殿させて、上澄水とスラッジに分離する。そして、上澄水は、処理済水として沈殿槽から放流するか、或いは、必要に応じて、濾過処理、活性炭吸着処理等の高度処理を施すことで、再使用することもできる。
沈殿したスラッジは、沈殿槽底部から引き抜き、前記したように、必要に応じて、その一部を反応槽へ返送する。先に述べたように、返送するスラッジを反応槽へ返送する前に、スラッジ反応槽でアルカリ処理することが有効である。また、反応槽へ返送されなかった余剰スラッジは、不図示の汚泥濃縮槽或いは汚泥貯留槽に送り、そこで汚泥濃縮或いは汚泥脱水等の汚泥処理を行い最終的に処分する。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
図2に示した試験プラントを用いて模擬試験を行った。塩化第一鉄を用い、Fe2+=400mg/Lの模擬排水を作製し、これを原水として使用した。原水のpHは、本発明が目的とする製鉄所や鋼板処理場等からの排水の一つとして、大量の鉄イオン等の金属イオンを含む酸洗処理排水を模して2以下とした。
本実施例では、上記の原水をpH調整槽へと導入してpH調整した後、図2に示した排水の処理系に、上記の模擬排水を1L/minの速さで導入して処理した。本実施例では、アルカリ剤として、水酸化ナトリウム(NaOH)の25%溶液を用いた。具体的な処理は、下記に述べるようにして調製したδ−FeO(OH)を触媒として用い、後述するようにして行った。
排水の処理系の立ち上げ時(処理系の運転開始時)に、図3に示すδ−FeO(OH)の調製系により、δ−FeO(OH)を調製した。具体的には、容量が1Lの混合槽内に、2価の鉄を含む試薬塩化第1鉄(広島和光(株)製)を水に溶解して得た31%水溶液を60ml入れ、これに、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を940ml入れてよく混合した。次に、得られた混合物を、酸化槽へと導き、該酸化槽に35%過酸化水素を、8,000mg/L添加して十分に撹拌しながら酸化処理を行った。次に、これを中和槽へと導き、中和剤として塩酸溶液を用いてpHが8付近となるように中和した。この結果、中和槽内に沈殿物が生じたが、この沈殿物は、1〜20μm程度のδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子であることを確認した。
本実施例では、図2に示したように、上記のようにして調製したδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を、反応槽に投入して処理を行った。その際、δ−FeO(OH)の添加量が原水に対して10,000mg/Lになるように投入した。δ−FeO(OH)の微細な結晶粒子の添加は、処理系の立ち上げ時から15分間、連続して行い、その後は添加するのを停止して処理した。具体的な処理は、下記のようにして行った。
先に調製した模擬排水を原水として、先ず、容量15リットルのpH調整槽に、1L/minの速さで連続的に供給して、下記の手順で処理を行った。pH調整槽では、アルカリ剤を入れて中和処理して原水のpHが2.4−2.6となるように調整した。なお、中和処理に用いたアルカリ剤には、水酸化ナトリウムの25%溶液を用いた。
次に、上記のようにして中和処理した原水を、容量15リットルの反応槽へと導入し、空気曝気しながら溶存鉄の酸化処理を行い、鉄イオンを鉄水酸化物として晶析させた。この際、先に調製したδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を原水に対して10,000mg/Lの量となるように反応槽へと添加した。δ−FeO(OH)の微細な結晶粒子の添加は、処理系の立ち上げ時から15分間、連続して行い、また、反応槽内の液がpH値を7.5−8.5に保持するようにアルカリ剤を添加しながら空気酸化を行った。本実施例では、アルカリ剤としてアルカリスラッジを用いた。処理に使用したアルカリスラッジは、図2に示したように、後述する反応物を分離するための沈殿槽で沈殿分離したスラッジの一部を、スラッジ反応槽へと抜き出して、アルカリ剤として水酸化ナトリウムで処理したアルカリスラッジを用いた。このようにして循環返送したスラッジの量は、SS量として、反応槽で析出する鉄水酸化物量の100倍とした。
最後に、反応槽での上記したような処理が完了した析出した鉄水酸化物を含む混合液を凝集槽に送り、凝集槽で高分子凝集剤を5mg/Lの濃度となるように添加して凝集処理を行った。高分子凝集剤には、高分子凝集剤(商品名:KEA−641、日鉄環境エンジニアリング(株)製)を用いた。次に、凝集槽での処理後に処理した原水を沈殿槽へと導入し、該沈殿槽で凝集したフロックを沈降分離した。また、上澄水は処理水として排出した。沈殿分離した汚泥(スラッジ)は、沈殿槽内で滞留濃縮させた。本実施例では、スラッジの一部を先に述べたようにスラッジ反応槽で処理して、アルカリスラッジとして反応槽へと戻し循環返送させた。凝集槽内の余剰スラッジは引抜いて処理を完結させた。模擬排水を1L/minの速さで導入しながら、上記の処理を連続して200時間行った。
上記の処理をして得た処理水を0.5−12時間毎にサンプリングして、処理水中の鉄イオンを測定したところ、0.1mg/L以下であり、溶存鉄の分離が極めて効率的にできたことが確認された。さらに、処理水中のSSを測定したところ、3mg/L以下であり、沈降分離が効率的にできたことが確認された。また、余剰汚泥として排出したスラッジの性状について1−12時間毎にサンプリングして調べた結果、比較例に比べて優れたものであることを確認した。この点については、後述する。特に、立ち上げ時から30分後の処理水中の鉄イオンの濃度を測定したところ、後述する比較例の場合と比べて、0.8mg/Lから0.1mg/L以下に低減されたことが確認された。
[実施例2]
本実施例では、図2に示した試験プラントを用いて模擬試験を行った。本実施例では、実施例1で使用したと同様の原水を用い、立ち上げ時に加えて、24時間毎に、調製系で調製したδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を反応槽へ間欠的に、原水に対して10,000mg/Lの量を15分間逐次添加したこと以外、実施例1と同様にして処理を行った。このようにして処理をして得た処理水中の鉄イオンを実施例1と同様に測定したところ、溶存鉄の分離が極めて効率的にできたことが確認された。特に、実施例1と比較して、処理の初期から終期にわたって高いレベルで安定した処理が実現されることがわかった。また、余剰汚泥として排出したスラッジの性状について1−12時間毎にサンプリングして調べた結果、後述の比較例と比べて、優れたものであることを確認した。さらに、実施例1と比較してスラッジの性状が安定することがわかった。
[実施例3〜5]
原水として、表1に示した、鉄イオン以外に、亜鉛、ニッケル、スズ及び銅の各イオンを含有する下記の模擬排水を使用したこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。その結果、処理をして得た処理水中の各金属イオンを測定したところ、表1に示したようであり、溶存鉄を含む金属イオンの分離が極めて効率的にできたことが確認された。また、余剰汚泥として排出したスラッジの性状について実施例1と同様に調べた結果、後述した比較例と比べて、優れたものであることを確認した。
Figure 0005507318
[実施例6]
本実施例では、図1に示した、返送スラッジを処理せずに反応槽に返送する試験プラントを用いて模擬試験を行った。本実施例では、実施例1で使用したと同様の原水を用い、返送するスラッジを処理せずに反応槽に返送した以外は実施例1と同様にして処理を行った。このようにして処理をして得た処理水中の鉄イオンを実施例1と同様に測定したところ、後述する比較例と比べて溶存鉄の分離が効率的にできることが確認された。しかし、後述するように、実施例1の場合と比較して、処理して得られるスラッジの沈降性、濃縮性及び脱水性はほぼ同じであったものの、処理水中のSSが高く、処理水の水質の点では若干効率が劣ることがわかった。
[比較例1]
特許第3434325号公報の方法に基づいて、図4に示す実験装置によって、実施例で使用したと同様の原水について処理を行った。この場合は、沈殿槽より取り出したスラッジの一部をスラッジ反応槽へと導入し、該反応槽にアルカリ剤を添加し、槽のpHを8に調節して過酸化水素を送りながら反応させてδ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を析出させた。そして、この反応処理したアルカリスラッジを、pH調整槽及び反応槽へと添加した。また、反応槽では、過酸化水素を添加して酸化処理を行った。使用した過酸化水素の量は、実施例1と比較して6倍であった。使用したアルカリ剤の量と種類、循環返送するスラッジ量、及び、凝集槽で添加する高分子凝集剤量は、実施例1と同様にした。上記の処理をして得た処理水中の鉄イオンを実施例1と同様に測定したところ、0.1mg/L以下−1mg/Lであり、溶存鉄の分離が実施例と比べて十分ではないことを確認した。また、余剰汚泥として排出したスラッジの性状について実施例と同様にして調べた。
[評価]
実施例及び比較例で沈降分離した各スラッジの性状について、下記の方法で、濃縮性、沈降性及び脱水性を調べた。その結果、比較例で沈降分離したスラッジに比べて、実施例で沈降分離したスラッジは、沈降性、濃縮性及び脱水性の何れもが著しく優れたものであることが確認された。このことは、本発明の方法で処理して得られるスラッジは、その後の処理が容易にできることを意味し、本発明の方法によれば、溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とする溶存鉄含有排水の処理を、経済的に良好な状態で行うことができることを意味する。
(1)スラッジの濃縮性
実施例及び比較例における沈殿槽中の液中の排泥濃度を、1−12時間毎にサンプリングして測定し、得られた結果を表2に示した。
Figure 0005507318
(2)スラッジの沈降性
実施例及び比較例における凝集槽中の液を、1−12時間毎にサンプリングして7Lのメスシリンダーに分取し、静置して、液中のスラッジの沈降性を目視観察によって測定した。具体的には、静置させて沈降した場合の沈殿開始から1分間の沈降速度を測定した。そして、得られた結果を表3に示した。
Figure 0005507318
(3)汚泥の脱水性
実施例及び比較例における沈殿槽より排泥したスラッジを、1−12時間毎にサンプリングして、その脱水性を下記のようにして調べた。具体的には、排泥したスラッジのSS濃度を20%に調整し、圧力0.3MPaにて、通気量15cm3/cm2/秒のろ布を用いた条件で加圧脱水した場合の脱水ケーキの含水率を測定した。そして、得られた結果を表4に示した。
Figure 0005507318
以上に示すように、本発明によれば、本発明の方法で得られる沈殿槽で沈降分離した汚泥(スラッジ)は、従来方法である比較例に比べて、沈降性、濃縮性及び脱水性が何れも著しく優れていた。また、過酸化水素の使用量は、実施例においては、δ−FeO(OH)の微細な結晶粒子を析出させる際に使用したのみであり、比較例の場合に比べて、その使用量は格段に低減させることができた。

Claims (7)

  1. 溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とし、該原水を処理する処理系と、該処理系で使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させるためのδ−FeO(OH)の調製系とを有する金属イオン含有排水の処理方法であって、
    上記処理系が、上記原水を、反応槽内で酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させる反応工程と、得られた水酸化鉄を含む金属水酸化物を、沈殿槽内で沈殿分離させる分離工程とを有し、
    少なくとも上記処理系の立ち上げ時に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに上記反応槽内に添加して酸化触媒として使用し、且つ、該反応工程における溶存鉄を含む溶存金属の酸化処理を空気酸化によって行い、
    さらに、上記処理系の稼働中に、間欠的に若しくは連続的に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成されたδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに、上記反応槽内に添加するように構成したことを特徴とする金属イオン含有排水の処理方法。
  2. 溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とし、該原水を処理する処理系と、該処理系で使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させるためのδ−FeO(OH)の調製系とを有する金属イオン含有排水の処理方法であって、
    上記処理系が、上記原水を、反応槽内で酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させる反応工程と、得られた水酸化鉄を含む金属水酸化物を、沈殿槽内で沈殿分離させる分離工程とを有し、
    さらに、分離工程で沈殿分離した水酸化鉄を含む金属水酸化物を含有するスラッジの一部をスラッジ反応槽に導入し、該スラッジ反応槽内にアルカリ剤を添加してスラッジを処理し、処理後のスラッジを反応槽内に戻すスラッジの返送処理工程が設けられており、
    少なくとも上記処理系の立ち上げ時に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに上記反応槽内に添加して酸化触媒として使用し、且つ、該反応工程における溶存鉄を含む溶存金属の酸化処理を空気酸化によって行い、
    さらに、上記処理系の稼働中に、間欠的に若しくは連続的に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成されたδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに、上記反応槽内又は上記スラッジ反応槽内の少なくともいずれかに添加するように構成したことを特徴とする金属イオン含有排水の処理方法。
  3. 前記スラッジの返送処理工程で反応槽内に戻すスラッジの量を、反応槽内で原水中から発生する金属水酸化物量に対して41倍量以上とする請求項2に記載の金属イオン含有排水の処理方法。
  4. 溶存鉄を主に含む金属イオン含有排水を原水とし、該原水を処理する処理系と、該処理系で使用するδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させるためのδ−FeO(OH)の調製系とを有する金属イオン含有排水の処理方法であって、
    上記処理系が、上記原水を、反応槽内で酸化処理して水酸化鉄を含む金属水酸化物を生成させる反応工程と、得られた水酸化鉄を含む金属水酸化物を、沈殿槽内で沈殿分離させる分離工程とを有し、
    さらに、記反応工程の前に、原水を導入したpH調整槽内で原水のpHを調整するpH調整工程が設けられており、
    少なくとも上記処理系の立ち上げ時に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに上記反応槽内に添加して酸化触媒として使用し、且つ、該反応工程における溶存鉄を含む溶存金属の酸化処理を空気酸化によって行い、
    さらに、上記処理系の稼働中に、間欠的に若しくは連続的に、上記δ−FeO(OH)の調製系で、2価の鉄を含む鉄系試薬に、アルカリ剤と酸化剤とを添加して混合・反応させてδ−FeO(OH)の結晶微粒子を生成させ、生成されたδ−FeO(OH)の結晶微粒子を速やかに、上記反応槽内又は上記pH調整槽内の少なくともいずれかに添加するように構成したことを特徴とする金属イオン含有排水の処理方法。
  5. 処理系の立ち上げ時に、前記δ−FeO(OH)の調製系で生成したδ−FeO(OH)の結晶微粒子を、前記pH調整槽内にも速やかに添加する請求項4に記載の金属イオン含有排水の処理方法。
  6. δ−FeO(OH)の調製系で使用する酸化剤が、過酸化水素である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属イオン含有排水の処理方法。
  7. 前記反応工程で、処理対象の排水のpHを7.5〜9.0に調整する請求項1〜のいずれか1項に記載の金属イオン含有排水の処理方法。
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