JP2005125316A - 重金属含有排水処理方法およびその装置 - Google Patents

重金属含有排水処理方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】処理原水からのフェライトを含む汚泥の発生量を削減できる重金属除去装置を提供する。
【解決手段】処理原水WのpHを第1の凝集槽11で3以上6以下に調整する。処理原水W中のフェライトの生成を妨げる重金属が不溶化する。処理原水W中の第一鉄イオンの一部が第二鉄イオンに酸化する。処理原水WのpHを第2の凝集槽21で7以上11以下に調整する。処理原水W中にフェライトを含む汚泥Mを生成させる。第1の沈殿槽31で処理原水Wから汚泥Mを固液分離する。汚泥Mの一部を第2の凝集槽21に返送する。処理原水Wからフェライトを含む汚泥Mを効率良く生成できる。汚泥Mの発生量を削減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水から、これら重金属を分別回収する重金属含有排水処理方法およびその装置に関する。
従来、第一鉄(Fe2+)などの鉄分を主体とし、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)などの多くの重金属成分を含有する重金属含有排水としての鉱山排水は、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH))を用いて中和し、これら重金属の水酸化物を凝集沈殿する方法が知られている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
そして、これら消石灰を用いて中和して重金属の水酸化物を凝集沈殿する方法では、消石灰を用いて中和槽で鉱山排水中の重金属成分を中和するとともに曝気して、これら重金属の水酸化物を沈殿分離槽で沈降分離させて清澄な処埋水を得るとともに、沈殿分離槽で沈殿分離させた沈殿物の一部を中和槽に返送することによって、沈殿物の濃度を高くして汚泥の脱水性を向上させている。
さらに、この種の鉱山排水の処理方法としては、鉱山排水に水酸化マグネシウム(Mg(OH))や酸化マグネシウム(MgO)などを過剰に添加して中和させて、この水酸化マグネシウムを沈降助剤として用いる方法も知られている(例えば、特許文献4参照。)。
米国特許第3738932号明細書(第1−3頁、図1) 特開平3−137987号公報(第3−5頁、第1−3図) 特開平4−176384号公報(第3−5頁、第1図) 特開昭60−22991号公報(第2−3頁)
しかしながら、鉱山排水のうち、酸性を呈する鉱山排水は、ほとんどが硫酸酸性である。したがって、この鉱山排水を、消石灰、炭酸カルシウム(CaCO)などのカルシウム系中和剤を用いて中和した場合には、この鉱山排水中に水酸化第二鉄(Fe(OH))やその他の重金属の水酸化物以外に、硫酸イオン(SO 2−)とカルシウムイオン(Ca2+)との反応によって石膏(CaSO)が生成されてしまう。このため、この鉱山排水中に生成された多量の汚泥が廃棄物として排出される。なお、このとき、鉱山排水中のヒ素や珪素も凝集されて沈殿される。
そして、この問題を解決する方法として、酸性を呈する鉱山排水を水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムなどのマグネシウム系中和剤を用いて中和した場合には、このマグネシウム系中和剤によって生成される重金属の水酸化物の大部分が水酸化第二鉄であるため沈降性および脱水性が悪い。このため、この水酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどを過剰に添加したり、高分子凝集剤などを添加して、汚泥の沈降性や脱水性を改善しなければならない。ところが、この場合には多量の汚泥が発生してしまうとともに、これら水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび高分子凝集剤などの薬品に係る維持費用が高くなってしまう。特に、この鉱山排水に有害物質であるヒ素、カドミウム、鉛、銅あるいは亜鉛が含有されている場合には、この鉱山排水から生成された汚泥を管理型の処理場などに埋め立てる必要がある。
さらに、上述した解決方法では、鉱山排水中に含有される鉄、マンガン、銅、亜鉛あるいはアルミニウムなどの重金属が分別されることなく、すべて汚泥中に沈殿除去される。したがって、この場合、廃棄物として排出する以外の方法がなく、金属資源として再利用することが容易ではないという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、汚泥の発生量を削減できるとともに、重金属を分別回収し、資源として再利用できる重金属含有排水処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の重金属含有排水処理方法は、少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化させるとともに、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部を第二鉄に酸化させる第1のpH調整工程と、この第1のpH調整工程にてpHが調整された前記重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる第2のpH調整工程と、この第2のpH調整工程にてpHが調整された前記重金属含有排水から前記フェライトを含む汚泥を固液分離する第1の固液分離工程と、この第1の固液分離工程にて固液分離した前記フェライトを含む汚泥の少なくとも一部を前記第2のpH調整工程の前記重金属含有排水へと返送する返送工程とを具備したものである。
そして、少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを第1のpH調整工程として調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化すると、この重金属含有排水中の重金属がフェライトの生成を妨げなくなる。このとき、この第1のpH調整工程による重金属含有排水のpHの調整によって、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部が第二鉄に酸化される。次いで、この重金属含有排水のpHを第2のpH調整工程として調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる。この後、この重金属含有排水から第1の固液分離工程としてフェライトを含む汚泥を固液分離するとともに、このフェライトを含む汚泥の少なくとも一部を返送工程として第2のpH調整工程の重金属含有排水へと返送する。この結果、第1のpH調整工程にて重金属含有排水中の重金属の不溶化させることにより、この重金属よるフェライトの生成の妨げを防止できるとともに、固液分離したフェライトを含む汚泥を返送工程にて第2のpH調整工程の重金属含有排水へと返送させたことにより、重金属含有排水からフェライトを含む汚泥が効率良く生成され、この重金属含有排水からのフェライトを含む汚泥の発生量を削減できる。
請求項2記載の重金属含有排水処理方法は、請求項1記載の重金属含有排水処理方法において、第1のpH調整工程は、重金属含有排水のpHを3以上6以下に調整し、第2のpH調整工程は、前記重金属含有排水のpHを7以上11以下に調整するものである。
そして、第1のpH調整工程で重金属含有排水のpHを3以上6以下に調整することにより、この第1のpH調整工程による重金属含有排水中の重金属の不溶化、およびこの重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部の第二鉄への酸化のそれぞれを簡単な構成で確実にできる。この後、この重金属含有排水のpHを第2のpH調整工程にて7以上11以下に調整することにより、この第2のpH調整工程による重金属含有排水中へのフェライトを含む汚泥の生成を簡単な構成で確実にできる。
請求項3記載の重金属含有排水処理方法は、請求項1または2記載の重金属含有排水処理方法において、第1のpH調整工程は、重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.1以上2.0以下にするものである。
そして、第1のpH調整工程にて重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.1以上2.0以下にする。この結果、この重金属含有排水中に重金属が効率良く不溶化するから、この重金属含有排水中に生成されるフェライトを含む汚泥の発生量をより削減できる。
請求項4記載の重金属含有排水処理方法は、請求項1ないし3いずれか記載の重金属含有排水処理方法において、第2のpH調整工程にてフェライトを含む汚泥が生成された重金属含有排水中のフェライトを熟成させる熟成工程を具備し、第1の固液分離工程は、前記熟成工程にて熟成された前記フェライトを含む汚泥を前記重金属含有排水から固液分離させるものである。
そして、第2のpH調整工程にて汚泥が生成された重金属含有排水中のフェライトを熟成工程にて熟成させた後、この重金属含有排水中のフェライトを含む汚泥を第1の固液分離工程にて固液分離させる。この結果、重金属含有排水中のフェライトを含む汚泥の濃縮性および脱水性を改善できるとともに、このフェライトを含む汚泥を第1の固液分離工程にて固液分離した後の重金属含有排水のpHが安定する。
請求項5記載の重金属含有排水処理方法は、請求項1ないし4いずれか記載の重金属含有排水処理方法において、第1のpH調整工程にてpHが調整された重金属含有排水から固形物を固液分離する第2の固液分離工程と、この第2の固液分離工程にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水を曝気して酸化する曝気工程とを具備し、前記第1のpH調整工程は、前記第2の固液分離工程にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、前記重金属含有排水のpHを調整し、第2のpH調整工程は、前記曝気工程にて曝気されて酸化された前記重金属含有排水のpHを調整するものである。
そして、第2の固液分離工程にて固形物が固液分離された重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、第1のpH調整工程にて重金属含有排水のpHを調整した後、この重金属含有排水から第2の固液分離工程にて固形物を固液分離する。この後、この固形物が固液分離された重金属含有排水を曝気工程にて曝気して酸化してから、この重金属含有排水のpHを第2のpH調整工程にて調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる。この結果、重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる前に、この重金属含有排水中の重金属を固液物として除去できる。よって、第2のpH調整工程にて生成される汚泥に、フェライトをより効率良く含ませることができるとともに、この汚泥に重金属が含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
請求項6記載の重金属含有排水処理方法は、請求項1ないし5いずれか記載の重金属含有排水処理方法において、第1のpH調整工程の前に、この第1のpH調整工程にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として沈殿させる硫化物分離工程を具備したものである。
そして、第1のpH調整工程にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として硫化物分離工程にて沈殿させるため、単なる中和処理では分別できない重金属を前もって除去できる。このため、こうした重金属の再利用が可能になるとともに、第2のpH調整工程で生成される汚泥に重金属がほとんど含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
請求項7記載の重金属含有排水処理方法は、請求項6記載の重金属含有排水処理方法において、硫化物分離工程は、重金属含有排水のpHを2.0以上3.5以下に調整するものである。
そして、硫化物分離工程にて重金属含有排水のpHを2.0以上3.5以下に調整することにより、重金属含有排水中の重金属がより確実に硫化物として沈殿する。
請求項8記載の重金属含有排水処理装置は、少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化させるとともに、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部を第二鉄に酸化させる第1のpH調整手段と、この第1のpH調整手段にてpHが調整された前記重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる第2のpH調整手段と、この第2のpH調整手段にてpHが調整された前記重金属含有排水から前記フェライトを含む汚泥を固液分離する第1の固液分離手段と、この第1の固液分離手段にて固液分離した前記フェライトを含む汚泥の少なくとも一部を前記第2のpH調整手段にてpHが調整される前記重金属含有排水へと返送する返送手段とを具備したものである。
そして、少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを第1のpH調整手段で調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化させると、この重金属含有排水中の重金属がフェライトの生成を妨げなくなる。このとき、この第1のpH調整手段による重金属含有排水のpHの調整によって、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部が第二鉄に酸化される。次いで、この重金属含有排水のpHを第2のpH調整手段で調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる。この後、この重金属含有排水から第1の固液分離手段にてフェライトを含む汚泥を固液分離するとともに、このフェライトを含む汚泥の少なくとも一部を、第2のpH調整手段によりpHが調整される重金属含有排水へと返送手段にて返送する。この結果、第1のpH調整工程にて重金属含有排水中の重金属の不溶化させることにより、この重金属よるフェライトの生成の妨げを防止できるとともに、固液分離したフェライトを含む汚泥を第2のpH調整手段によりpHが調整される重金属含有排水へと返送手段にて返送させたことにより、重金属含有排水からフェライトを含む汚泥が効率良く生成され、この重金属含有排水からのフェライトを含む汚泥の発生量を削減できる。
請求項9記載の重金属含有排水処理装置は、請求項8記載の重金属含有排水処理装置において、第1のpH調整手段にてpHが調整された重金属含有排水から固形物を固液分離する第2の固液分離手段と、この第2の固液分離手段にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水を曝気して酸化する曝気手段とを具備し、前記第1のpH調整手段は、前記第2の固液分離手段にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、前記重金属含有排水のpHを調整し、第2のpH調整手段は、前記曝気手段にて曝気されて酸化された前記重金属含有排水のpHを調整するものである。
そして、第2の固液分離手段にて固形物が固液分離された重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、第1のpH調整手段にて重金属含有排水のpHを調整した後、この重金属含有排水から第2の固液分離手段にて固形物を固液分離する。この後、この固形物が固液分離された重金属含有排水を曝気手段にて曝気して酸化してから、この重金属含有排水のpHを第2のpH調整手段にて調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる。この結果、重金属含有排水中にフェライトを生成させる前に、この重金属含有排水中の重金属を固形物として除去できる。よって、第2のpH調整手段にて生成される汚泥に、フェライトをより効率良く含ませることができるとともに、この汚泥に重金属が含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
請求項10記載の重金属含有排水処理装置は、請求項8または9記載の重金属含有排水処理装置において、第1のpH調整手段の前に、この第1のpH調整手段にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として沈殿させる硫化物分離手段を具備したものである。
そして、第1のpH調整手段にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として硫化物分離手段にて沈殿させるため、単なる中和処理では分別できない重金属を前もって除去できる。このため、こうした重金属の再利用が可能になるとともに、第2のpH調整工程で生成される汚泥に重金属がほとんど含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
請求項1記載の重金属含有排水処理方法によれば、重金属含有排水中の重金属を不溶化させて、この重金属によるフェライトの生成の妨げを防止してから、この重金属含有排水から固液分離した汚泥を第2のpH調整工程の重金属含有排水へと返送させたことにより、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を効率良く生成でき、この重金属含有排水からのフェライトを含む汚泥の発生量を削減できる。
請求項2記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項1記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、第1のpH調整工程による重金属含有排水中の重金属の不溶化、およびこの重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部の第二鉄への酸化と、第2のpH調整工程による重金属含有排水中へのフェライトを含む汚泥の生成とのそれぞれを簡単な構成で確実にできる。
請求項3記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項1または2記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、重金属含有排水中に重金属が効率良く不溶化し、この重金属含有排水中に生成されるフェライトを含む汚泥の発生量をより削減できる。
請求項4記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項1ないし3いずれか記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、重金属含有排水中のフェライトを含む汚泥の濃縮性および脱水性を改善でき、このフェライトを含む汚泥を第1の固液分離工程にて固液分離した後の重金属含有排水のpHが安定する。
請求項5記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項1ないし4いずれか記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる前に、この重金属含有排水中の重金属を固液物として除去できるから、重金属含有排水中に生成される汚泥にフェライトをより効率良く含ませることができ、この汚泥に重金属が含まれなくなるため、この汚泥中のフェライトを再利用できる。
請求項6記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項1ないし5いずれか記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、単なる中和処理では分別できない重金属を第1のpH調整工程の前で除去できるので、この重金属の再利用が可能になるとともに、第2のpH調整工程にて生成される汚泥に重金属がほとんど含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
請求項7記載の重金属含有排水処理方法によれば、請求項6記載の重金属含有排水処理方法の効果に加え、硫化物分離工程にて重金属含有排水のpHを2.0以上3.5以下に調整することにより、重金属含有排水中の重金属をより確実に硫化物として沈殿できる。
請求項8記載の重金属含有排水処理装置によれば、重金属含有排水中の重金属を不溶化させて、この重金属によるフェライトの生成の妨げを防止してから、この重金属含有排水から固液分離した汚泥を第2のpH調整手段の重金属含有排水へと返送させたことにより、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を効率良く生成でき、この重金属含有排水からのフェライトを含む汚泥の発生量を削減できる。
請求項9記載の重金属含有排水処理装置によれば、請求項8記載の重金属含有排水処理装置の効果に加え、重金属含有排水中にフェライトを生成させる前に、この重金属含有排水中の重金属を固形物として除去できるから、重金属含有排水中に生成させる汚泥に、フェライトをより効率良く含ませることができ、この汚泥に重金属が含まれなくなるため、この汚泥中のフェライトを再利用できる。
請求項10記載の重金属含有排水処理装置によれば、請求項8または9記載の重金属含有排水処理装置の効果に加え、単なる中和処理では分別できない重金属を第1のpH調整手段の前で除去できるので、この重金属の再利用が可能になるとともに、第2のpH調整工程で生成される汚泥に重金属がほとんど含まれなくなるから、この汚泥中のフェライトの再利用が可能となる。
以下、本発明の重金属除去装置の第1の実施の形態の構成を図1を参照して説明する。
図1において、1は重金属含有排水処理装置としての重金属除去装置であり、この重金属除去装置1は、鉱山排水や工場廃水、抗廃水などの被処理水としての重金属含有排水である処理原水Wから重金属成分を除去する。ここで、この処理原水Wは、例えば少なくとも第一鉄、すなわち第一鉄イオン(Fe2+)などの鉄分を主体として含んだ重金属成分を含有し、かつ酸性を呈する排水である。また、この処理原水Wは、第一鉄および第二鉄、すなわち第二鉄イオン(Fe3+)以外に、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、ヒ素(As)および鉛(Pb)などの重金属成分が溶解している硫酸(HSO)酸性の排水である。
そして、この重金属除去装置1は、処理原水Wが所定量貯留される原水槽としての原水槽である有底円筒状の原水貯槽2を備えている。この原水貯槽2には、重金属除去装置1にて処理される処理原水Wが予め流入されて貯留される。また、この原水貯槽2の下流側には、圧送手段としての原水ポンプ3が取り付けられている。この原水ポンプ3は、原水貯槽2内に貯留された処理原水Wを、この原水貯槽2から所定の流速で引き抜いて排出させる。
さらに、この原水貯槽2の下流側には、酸化マグネシウム(MgO)凝集槽である有底円筒状の第1の凝集槽11が設置されている。この第1の凝集槽11には、原水貯槽2から原水ポンプ3にて引き抜かれた処理原水Wが流入されて、この処理原水Wが所定量貯留される。具体的に、この第1の凝集槽11は、この第1の凝集槽11内に流入されて貯留される処理原水WのpHを調整して、この処理原水Wの重金属を凝集させて不溶化させると同時に、この処理原水W中の第一鉄の少なくとも一部を第二鉄に酸化させる。
そして、この第1の凝集槽11には、この第1の凝集槽11内の処理原水Wにアルカリ剤として酸化マグネシウムの水溶液を供給して添加する第1のpH調整手段としての第1のpH調整装置12が取り付けられている。この第1のpH調整装置12は、第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを酸性、すなわち3以上6以下、より好ましくは3.5以上6.0以下に調整する。そして、この第1のpH調整装置12は、内部に所定量の酸化マグネシウムの水溶液が充填されて貯留される酸化マグネシウム貯槽としての有底円筒状の第1の貯槽13を備えている。この第1の貯槽13には、圧送手段としての第1の注入ポンプ14が取り付けられている。この第1の注入ポンプ14は、第1の貯槽13内の酸化マグネシウムの水溶液を引き抜いて、この酸化マグネシウムの水溶液を第1の凝集槽11内の処理原水Wに添加する。
さらに、この第1の注入ポンプ14には、この第1の注入ポンプ14の駆動を制御して第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを制御する第1のpH制御装置15が取り付けられている。この第1のpH制御装置15は、図示しないpH電極を備えており、第1の注入ポンプ14による第1の貯槽13内から第1の凝集槽11内の処理原水Wへの酸化マグネシウムの水溶液の添加量を調整する。
すなわち、この第1のpH制御装置15は、第1の凝集槽11内の処理原水WのpH値に基づいて、第1の注入ポンプ14の駆動を制御して、第1の凝集槽11内の処理原水Wへの酸化マグネシウムの水溶液の添加量を調整する。具体的に、この第1のpH制御装置15は、処理原水WのpHを所定の値、すなわち3以上6以下、好ましくは3.5以上6.0以下、より好ましく4.0以上5.5以下に調整する。
言い換えると、この第1のpH制御装置15は、第1の凝集槽11内の処理原水W中の第一鉄と第二鉄とのモル比率が0.1以上2.0以下となるように、この処理原水WのpHを調整する。ここで、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中のアルミニウムが50mg/lであり珪素が35mg/lである場合には、第一鉄と第二鉄とのモル比率(第二鉄イオン/第一鉄イオン)を0.1以上0.6以下に調整する。また、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中のアルミニウムが50mg/lである場合には、第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.1以上0.8以下に調整する。
さらに、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中の珪素が35mg/lである場合には、第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.1以上1.0以下にする。また、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中にアルミニウムおよび珪素のそれぞれが含まれていない場合には、第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.2以上2.0以下にする。
すなわち、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中にフェライトを含んだ汚泥Mの生成を妨げるイオン、すなわちアルミニウムイオン(Al3+)および珪素イオン(Si4+)が存在する量に応じて、第二鉄イオンの比率の上限値を低下させる。したがって、この第1のpH制御装置15は、処理原水W中のアルミニウムおよび珪素の濃度に応じて、第一鉄と第二鉄とのモル比率が0.1以上2.0以下となるように、空気またはその他の酸化剤を添加して第一鉄イオンの一部を第二鉄イオンに酸化させて、処理原水W中のフェライト化を安定させる。
さらに、第1の凝集槽11には、この第1の凝集槽11内の処理原水Wに空気を供給する第1の空気供給装置16が取り付けられている。この第1の空気供給装置16は、第1の凝集槽11内の処理原水Wを曝気しつつ、この処理原水Wを攪拌させる攪拌曝気装置である。また、この第1の空気供給装置16は、第1のpH調整装置12による第1の凝集槽11内の処理原水WのpH調整とともに並行して、この処理原水Wを空気曝気して酸化させる。
次いで、この第1の凝集槽11の下流側には、フェライト化槽である有底円筒状の第2の凝集槽21が配置されている。この第2の凝集槽21には、第1の凝集槽11から流出した流出水である処理原水Wが流入されて、この処理原水Wが所定量貯留される。具体的に、この第2の凝集槽21は、この第2の凝集槽21内の処理原水WのpHを調整することにより、この処理原水W中にフェライトを含む汚泥Mを生成させる。ここで、フェライトとは、アルカリ性溶液中で存在する、例えば亜鉄酸ナトリウム(NaFeO)などの強塩基と酸化鉄(Fe)との不安定な化合物である。
そして、第2の凝集槽21には、この第2の凝集槽21内の処理原水Wに強アルカリ剤である水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液を供給して添加する第2のpH調整手段としての第2のpH調整装置22が取り付けられている。この第2のpH調整装置22は、第2の凝集槽21内の処理原水WのpHをアルカリ性、すなわち7以上11以下に調整する。
また、この第2のpH調整装置22は、内部に所定量の水酸化ナトリウムの水溶液が充填されて貯留される水酸化ナトリウム貯槽としての有底円筒状の第2の貯槽23を備えている。そして、この第2の貯槽23には、圧送手段としての第2の注入ポンプ24が取り付けられている。この第2の注入ポンプ24は、第2の貯槽23内の水酸化ナトリウムの水溶液を引き抜いて、この水酸化ナトリウムの水溶液を第2の凝集槽21内の処理原水Wへと添加する。
さらに、この第2の注入ポンプ24には、この第2の注入ポンプ24の駆動を制御して第2の凝集槽21内の処理原水WのpHを制御する第2のpH制御装置25が取り付けられている。この第2のpH制御装置25は、図示しないpH電極を備えており、第2の注入ポンプ24による第2の貯槽23内から第2の凝集槽21内の処理原水Wへの水酸化ナトリウムの水溶液の添加量を調整する。
すなわち、この第2のpH制御装置25は、第2の凝集槽21内の処理原水WのpH値に基づいて、第2の注入ポンプ24の駆動を制御して、第2の凝集槽21内の処理原水Wへの水酸化ナトリウムの水溶液の添加量を調整する。具体的に、この第2のpH制御装置25は、処理原水WのpHを所定の値、すなわち7以上11以下、好ましくは10.5に調整する。
さらに、第2の凝集槽21には、この第2の凝集槽21内の処理原水Wを攪拌させる第1の攪拌装置26が取り付けられている。この第1の攪拌装置26は、第2の凝集槽21内の処理原水W内に浸漬された攪拌翼としてのプロペラ27を備えている。すなわち、この第1の攪拌装置26は、プロペラ27を処理原水W内に浸漬させて回転駆動させることによって、第2の凝集槽21内の処理原水Wを攪拌させる。
次いで、この第2の凝集槽21の下流側には、第1の固液分離手段としての固液分離槽である有底円筒状の第1の沈殿槽31が設置されている。この第1の沈殿槽31には、第2の凝集槽21から流出した流出水である処理原水Wが流入されて、この処理原水Wが所定量貯留される。そして、この第1の沈殿槽31の底部には、逆円錐面状であるロート状の底面部32が設けられている。ここで、この第1の沈殿槽31は、第2の凝集槽21にて処理原水W中に生成された汚泥Mを、この処理原水Wから固液分離する。
さらに、この底面部32の最も下側に向けて突出した中央部には、第1の沈殿槽31にて沈殿したフェライトを含む汚泥Mを処理原水Wから固液分離する汚泥引抜口33が開口されて設けられている。この汚泥引抜口33には、この汚泥引抜口33から引き抜いた汚泥Mの少なくとも一部を第2の凝集槽21への返送させるとともに、系外へと排出させる返送手段としての排出手段である汚泥返送排出装置34が取り付けられている。
この汚泥返送排出装置34は、上流端が汚泥引抜口33に接続された細長円筒状の汚泥返送管35を備えている。この汚泥返送管35の下流端は、第2の凝集槽21の上流側に設置されている。そして、この汚泥返送管35には、この汚泥返送管35を介して第1の沈殿槽31の汚泥引抜口33から引き抜いた汚泥Mを圧送する圧送手段としての返送ポンプ36が取り付けられている。
この返送ポンプ36は、第1の沈殿槽31から固液分離し、かつこの第1の沈殿槽31の汚泥引抜口33から汚泥返送管35を介して引き抜いた汚泥Mの少なくとも一部を、第2の凝集槽21内の処理原水Wへと返送させる。さらに、この返送ポンプ36よりも汚泥返送管35の上流側には、細長円筒状の汚泥排出管37の上流端が連通接続されている。この汚泥排出管37は、汚泥返送管35を介して第1の沈殿槽31から引き抜いた汚泥Mのうち、汚泥返送管35にて第2の凝集槽21へと返送されない残りの汚泥Mを系外へと引き抜いて排出させる。
そして、この汚泥排出管37を介して排出された汚泥Mは、図示しない汚泥処理装置にて汚泥処理されてから、この汚泥M中のフェライトが再利用される。さらに、第1の沈殿槽31にて汚泥Mが固液分離された後の処理原水Wは処理水とされ、この処理水は第1の沈殿槽31から流出して排出されて図示しない河川などへと放流される。
次に、上記第1実施の形態の重金属除去装置による排水処理方法について説明する。
まず、原水貯槽2に貯留された処理原水Wを原水ポンプにて第1の凝集槽11へと流出させて貯留させる。この状態で、第1のpH調整工程として、第1の凝集槽11内の処理原水Wに対して第1のpH調整装置12にて酸化マグネシウムの水溶液を所定量添加して、この処理原水WのpHを3以上6以下に中和する。
このとき、この第1の凝集槽11内の処理原水W中のアルミニウムのほとんどが水酸化物、すなわち水酸化アルミニウム(Al(OH))の固形物である汚泥Sとして凝集して不溶化するとともに、この処理原水W中の珪素の50%前後が沈殿物である汚泥Sとして凝集して不溶化する。
同時に、この処理原水W中の鉄分のほとんどは、第一鉄イオンとして存在するが、第1のpH調整装置12にてpHを調整したことにより、この処理原水W中の第一鉄イオンによる第二鉄イオンへの酸化が進行して、この処理原水W中の第一鉄イオンの一部が第二鉄イオンとして存在するようになる。
したがって、この第1のpH調整工程では、処理原水W中のフェライト化を妨げるアルミニウムおよび珪素が不溶化すると同時に、この処理原水W中の第一鉄イオンから第二鉄イオンへの酸化が一部進行する。
次いで、第1の凝集槽11から流出させた処理原水Wを第2の凝集槽21に流入させて貯留させる。この状態で、第2のpH調整工程として、この第2の凝集槽21内の処理原水Wに第2のpH調整装置22にて水酸化ナトリウムの水溶液を所定量添加して、この処理原水WのpHを7以上11以下にする。
このとき、この第2の凝集槽21内の処理原水W中の第一鉄イオンと第二鉄イオンとの反応によって、フェライトが生成される。具体的に、これら第一鉄イオンと第二鉄イオンとの存在下では、Fe2++2Fe3++8OH→Fe+4HOの反応式によって、フェライトが生成される。よって、この反応式に示すように、第二鉄イオンと第一鉄イオンとが2対1の比率でフェライトの生成が進行する。
ところが、第2の凝集槽21内の処理原水Wには、アルミニウムや珪素などのフェライト化を妨げる物質が存在する。この場合には、第二鉄イオンと第一鉄イオンとの比率が変化し、より効率良くフェライトを生成させる条件としては、処理原水W中の第二鉄イオンの量を少なくすればよい。
よって、第1のpH調整工程にて第1の凝集槽11内の処理原水WをpH3以上6以下に調整したことによって、この処理原水W中に存在する第二鉄イオンの量程度でも、第2のpH調整工程によって第2の凝集槽21内の処理原水W中にフェライトが生成されるフェライト化反応が生じる。
この後、この第2の凝集槽21から流出させた処理原水Wを第1の沈殿槽31に流入させる。この状態で、第1の固液分離工程として、この第1の沈殿槽31内の処理原水W中のフェライトを含んだ汚泥Mを沈殿させる。
そして、返送工程として、返送ポンプ36を駆動させて第1の沈殿槽31内に沈殿した汚泥Mを汚泥引抜口33から固液分離して引き抜くとともに、この汚泥Mの一部を汚泥返送管35を介して第2の凝集槽21内の処理原水Wへと返送する。
この結果、この第2の凝集槽21内には、最初からフェライト結晶が存在する。このため、この第2の凝集槽21内のフェライト結晶が核となって、この第2の凝集槽21内でのフェライトの生成がより効率良くなる。
さらに、返送工程による汚泥Mの返送を繰り返して、第2の凝集槽21内の汚泥Mを熟成させることによって、この第2の凝集槽21内で生成される汚泥Mの沈降性および脱水性のそれぞれが改善される。
この後、汚泥排出管37から排出される汚泥Mを、汚泥処理してから、この汚泥M中のフェライトを再利用する。
さらに、第1の沈殿槽31にて汚泥Mが固液分離された後の処理原水Wを、処理水として第1の沈殿槽31から流出させて河川などへと放流する。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、鉱山排水などの処理原水WのpHを第1の凝集槽11内において第1のpH調整装置12にて3以上6以下に調整する。この結果、この処理原水W中のフェライトの生成を妨げるアルミニウムや珪素などの重金属が水酸化物として不溶化されて汚泥Sとなる。すなわち、これら重金属を水酸化物として不溶化させることにより、これら重金属によるフェライト生成妨害の影響が小さくなるので、これら重金属によるフェライトの生成の妨げを防止できる。
同時に、この第1のpH調整装置12による処理原水WのpH調整によって、この処理原水W中の第一鉄イオンの一部が第二鉄イオンに酸化する。このため、この処理原水WのpHを第2の凝集槽21内において第2のpH調整装置22にて7以上11以下に調整する。この結果、この処理原水W中に従来のように重金属の水酸化物を生成させることなく、この処理原水W中の第一鉄イオンと第二鉄イオンとによって、この処理原水W中にフェライトを生成できる。
したがって、この処理原水W中のフェライトの生成を妨げる重金属を不溶化した上で、この処理原水W中にフェライトを生成させる。この結果、この処理原水W中でのフェライトの生成を効率良くでき、この処理原水W中でのフェライトを含んだ汚泥Mの生成量を大幅に削減できる。同時に、この処理原水W中に生成される汚泥Mの沈降性および脱水性が改善されるから、この処理原水Wからのフェライトを含んだ汚泥Mの第1の沈殿槽31での固液分離をより効率良くできる。
さらに、この処理原水W中のフェライトを含む汚泥Mを第1の沈殿槽31内で沈殿させて、この汚泥Mを第1の沈殿槽31の汚泥引抜口33から引き抜いて固液分離する。この結果、この処理原水Wから鉄分などを主体とした重金属を簡単な構成で確実に除去できるとともに、この汚泥Mに含まれているフェライトを有価物として回収できるから、この汚泥M中のフェライトの工業的な再利用が可能となる。
また、この第1の沈殿槽31にて処理原水Wから固液分離した汚泥Mを、汚泥返送管35を介して第2の凝集槽21内の処理原水Wに返送する。この結果、この第2の凝集槽21内に最初からフェライトの結晶を存在させることができる。このため、この第2の凝集槽21内のフェライト結晶によって、この第2の凝集槽21内の処理原水W中にフェライトがより効率良く生成される。
よって、この第2の凝集槽21内での処理原水Wのフェライト化を促進できるから、この第2の凝集槽21内での処理原水W中のフェライトの生成を簡単な構成でより効率良くできる。同時に、この第2の凝集槽21内でのフェライトの結晶を熟成できるので、このフェライトの沈降性および脱水性の改善を図ることができる。
さらに、第1のpH調整装置12でpHを調整して、第1の凝集槽11内の処理原水W中の第一鉄イオンと第二鉄イオンとのモル比率が0.1以上2.0以下となるようにした。この結果、この処理原水W中にアルミニウムや珪素などの重金属成分が水酸化物として不溶化して、これら重金属成分が効率良く汚泥Sとなる。したがって、これら重金属成分が効率良く除去された処理原水W中にフェライトを含んだ汚泥Mを生成させることによって、この処理原水W中の鉄イオンの中和によるフェライトの生成を安定させて促進できるとともに、この処理原水W中の汚泥Mの発生量をより削減できる。
これらの結果、従来の消石灰を用いた中和法よりも50%以上の汚泥Mの発生量を削減でき、酸化マグネシウムを用いた中和法よりも30%以上の汚泥Mの発生量を削減できる。さらに、処理原水Wに高分子凝集剤などを添加することなく、この処理原水W中に生成される汚泥Mの沈降性および脱水性のそれぞれを改善できる。
このため、この処理原水Wから固液分離した汚泥Mを脱水する前の濃縮汚泥量の濃度を上昇でき、この汚泥Mの発生量を削減できる。したがって、この汚泥Mを脱水するための図示しない脱水機の台数およびこれら脱水機にて消費される電力を削減できる。このため、この汚泥Mを脱水するための作業量を大幅に削減できると同時に、汚泥Mの脱水設備の薬品などのランニングコストを大幅に削滅できる。
ここで、第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水Wへと添加するアルカリ剤としては、酸化マグネシウム以外に、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH))や、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化ナトリウム(NaOH)なども利用できる。ところが、このアルカリ剤として消石灰や炭酸カルシウムを用いた場合には、処理原水W中に石膏(CaSO)が生成されてしまうから、この処理原水W中に生成される汚泥Mの減少が図れない。一方、このアルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いた場合には、この水酸化ナトリウムは比較的高価であるから、薬品費が高くなり処理原水Wを処理する上でのコスト的な問題がある。
これに対し、このアルカリ剤として酸化マグネシウムを用いた場合には、この酸化マグネシウムは処理原水Wにゆっくり溶解し、この処理原水Wに中和をゆっくり進行させるとともに、この処理原水Wの中和に必要なアルカリの80%以上90%以下を第1のpH調整装置12で消費する。したがって、この第1のpH調整装置12にて処理原水Wに添加するアルカリ剤としては酸化マグネシウムが好ましい。
また、第2のpH調整装置22においても水酸化ナトリウム以外に、消石灰や、酸化マグネシウムなども利用できる。ところが、この第2のpH調整装置22にて消石灰を用いた場合には、第1のpH調整装置12と同様に処理原水W中に石膏が生じてしまうという問題があるとともに、消石灰の添加量が少なくなる結果、石膏の生成が遅れて、後段の第1の沈殿槽31で石膏スケールが発生してしまうおそれが増大する。一方、この第2のpH調整装置22にて酸化マグネシウムを用いた場合には、処理原水WのpHを十分に上昇させることが容易ではない。したがって、この第2のpH調整装置22としては水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態を図2を参照して説明する。
この図2に示す重金属除去装置1は、基本的には図1に示す重金属除去装置1と同様であるが、第1の凝集槽11と第2の凝集槽21との間に第2の固液分離手段としての第2の沈殿槽41を設けたものである。この第2の沈殿槽41は、第1の沈殿槽31と略同様に構成されており、第1の凝集槽11から流出した流出水である処理原水Wが流入して貯留される。
そして、この第2の沈殿槽41は、第1の凝集槽11内にて処理原水W中に不溶化した重金属成分の水酸化物である固形物を含んだ汚泥Sを沈殿させて固液分離する。言い換えると、この第2の沈殿槽41は、この第2の沈殿槽41内に沈殿した汚泥Sを、この第2の沈殿槽41の底面部42に設けた汚泥引抜口43から引き抜くことによって、この第2の沈殿槽41内の処理原水Wから汚泥Sを固液分離する。
ここで、第1のpH調整装置12は、第2の沈殿槽41内に貯留され、この第2の沈殿槽41内にて汚泥Sが固液分離された後の処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを調整して、この処理原水W中の第一鉄イオンの少なくとも一部を酸化させる。また、この第1の凝集槽11には、第1の攪拌装置26と同様に構成された第2の攪拌装置44が取り付けられている。この第2の攪拌装置44は、この第2の攪拌装置44のプロペラ45を回転駆動させることによって、第1の凝集槽11内に貯留された処理原水Wを攪拌させる。
次いで、第2のpH調整装置22は、第2の沈殿槽41にて汚泥Sが固液分離された後の処理原水Wが流入されて貯留された第2の凝集槽21内の処理原水WのpHを調整する。そして、この第2の凝集槽21には、第1の空気供給装置16と同様に構成された第2の空気供給装置46が取り付けられている。この第2の空気供給装置46は、第2の凝集槽21内の処理原水Wに空気を供給することによって、この第2の凝集槽21内の処理原水Wを曝気しつつ、この処理原水Wを攪拌させる攪拌曝気装置である。
さらに、汚泥返送排出装置34の汚泥返送管35の下流端は、第2の沈殿槽41と第2の凝集槽21との間へと配管されて配設されている。すなわち、この汚泥返送管35は、第1の沈殿槽31から引き抜いた汚泥Mを第2の沈殿槽41の下流側である第2の凝集槽21の上流側へと返送させて、この汚泥Mを第2の凝集槽21内に流入させる。
この結果、上記第2の実施の形態によれば、鉄以外に各種の重金属を含有する酸性の鉱山排水である処理原水Wを中和する際に、この処理原水W中に安定してフェライトを生成させることによって、このフェライトを含んだ汚泥Mの発生量を削減できるとともに、この汚泥Mの沈降性および脱水性を改善でき、この汚泥Mの脱水作業を軽減できるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、この処理原水W中にヒ素などの有害物質が含有されている場合には、この処理原水W中に生成された汚泥Mにヒ素が含有されるおそれがある。このため、この汚泥Mの処埋および処分などに問題が生じるおそれがあるとともに、この汚泥M中のフェライトの有効利用などにも問題が生じるおそれがある。
そこで、第1の凝集槽11と第2の凝集槽21との間に第2の沈殿槽41を設け、この第2の沈殿槽41から流出する処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率が0.2以上2.0以下となるように第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを調整するとともに、第2の空気供給装置46にて第2の凝集槽21内の処理原水Wに空気を供給しつつ攪拌する。
この結果、第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを3以上6以下に調整することによって、この処理原水W中のアルミニウムのほとんど、珪素の50%程度、および他の有害物質を、第1の凝集槽11で凝集させて不溶化できる。このため、この汚泥Sが生成された処理原水Wを第2の沈殿槽41へと流入させて貯留させることにより、この処理原水W中の汚泥Sを第2の沈殿槽41内に沈殿させることができる。
よって、この第2の沈殿槽41の汚泥引抜口43から、この第2の沈殿槽41内に沈殿した汚泥Sを引き抜いて固液分離することによって、この処理原水Wからフェライト化を妨げる物質や、ヒ酸などの有害物質を予め除去できる。この結果、この第2の沈殿槽41にて汚泥Sを分離した後の処理原水Wには、フェライト化を妨げる物質や有害物質が含まれなくなるから、この処理原水Wを第2の凝集槽21へと流入させることによって、この第2の凝集槽21でのフェライトの生成をより効率良くできる。
さらに、処理原水W中の第二鉄イオンは、pH3以上6以下の範囲で汚泥Sとして沈殿してしまう。したがって、第1のpH調整装置12にてpHを3以上6以下に調整してから第2の沈殿槽41にて汚泥Sを分離した後の処理原水Wを第2の凝集槽21へと流入させると、この第2の凝集槽21でのフェライトの生成において第二鉄イオンが不足する。
そこで、第2の凝集槽21内の処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、酸化工程として、第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを調整するとともに、第2の空気供給装置46にて第2の凝集槽21内の処理原水Wに空気を供給する。ここで、この酸化工程を独立に設けたり、第2の凝集槽21の第2の空気供給装置46にて、この第2の凝集槽21内の処理原水W中の第一鉄イオンの一部を第二鉄イオンに酸化させることもできる。
この結果、この第2の凝集槽21での処理原水W中の第一鉄イオンおよび第二鉄イオンからのフェライトの生成をより効率良くかつより容易に実現できる。同時に、この第2の凝集槽21にて生成されるフェライトの純度を高くできるとともに、このフェライトの磁化率を大きくできる。したがって、この第2の凝集槽21にてフェライトが生成された処理原水Wを第1の沈殿槽31へと流入させることによって、この第1の沈殿槽31にて有害物質を含まない純度の高いフェライトを回収できる。よって、このフェライトを廃棄物として排出させるのではなく、工業用として再利用が可能となる。
次に、本発明の第3の実施の形態を図3を参照して説明する。
この図3に示す重金属除去装置1は、基本的には図2に示す重金属除去装置1と同様であるが、第2の沈殿槽41と第2の凝集槽21との間に曝気手段としての酸化手段である酸化槽51を設けたものである。この酸化槽51は、酸化工程である曝気工程として、第2の沈殿槽41にて汚泥Sが固液分離された後の処理原水Wが流入されて貯留される。また、この酸化槽51には、第1の空気供給装置16と同様に構成された第3の空気供給装置52が取り付けられている。この第3の空気供給装置52は、酸化槽51内の処理原水Wに空気を供給することによって、この酸化槽51内の処理原水Wを曝気して酸化させる酸化曝気装置である。
さらに、第2の凝集槽21には、酸化槽51にて酸化された処理原水Wが流入されて貯留される。また、汚泥返送管35の下流端は、酸化槽51と第2の凝集槽21との間に配管されており、第1の沈殿槽31から引き抜いた汚泥Mを酸化槽51の下流側である第2の凝集槽21の上流側へと返送して、この汚泥Mを第2の凝集槽21内に流入させる。
この結果、上記第3の実施の形態によれば、処理原水Wを中和する際に、この処理原水W中に安定してフェライトを生成できるから、このフェライトを含んだ汚泥Mの発生量を削減できるとともに、この汚泥Mの沈降性および脱水性を改善でき、この汚泥Mの脱水作業を軽減できるため、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、第1のpH調整装置12による第1の凝集槽11内の処理原水WのpH調整では、この処理原水W中の第二鉄のほとんどが固形物である汚泥Mに取り込まれた形として存在する。また、第2の沈殿槽41で固液分離した後の処理原水W中には、第一鉄しか存在しない。そこで、この第2の沈殿槽41よりも上流側に酸化槽51を設け、この酸化槽51内の処理原水Wを第3の空気供給装置52にて曝気して酸化して、第2の凝集槽21内へと流入される処理原水W中の第1鉄と第2鉄とのモル比率をフェライト生成のために必要な比率にする。この結果、この第2の凝集槽21内でより効率良くフェライトを含んだ汚泥Mを生成できる。
なお、上記第3の実施の形態では、第2の凝集槽21の上流側に酸化槽51を設け、この第2の凝集槽21へと流入される処理原水Wを酸化槽51の第3の空気供給装置52にて空気曝気して酸化させたが、この第3の空気供給装置52を第2の凝集槽21内に設けても、この第2の凝集槽21内に流入して貯留される処理原水W中の第1鉄と第2鉄とのモル比率をフェライト生成のために必要な比率にできるので、上記第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態を図4および図5を参照して説明する。
この図4および図5に示す重金属除去装置1は、硫化物分離手段としての硫化物除去装置61を備えている。この硫化物除去装置61は、図1ないし図3に示す重金属除去装置1の第1の凝集槽11の前段に設けられる設備である。すなわち、この硫化物除去装置61は、原水貯槽2と第1の凝集槽11との間に設置されている。言い換えると、この硫化物除去装置61は、原水ポンプ3より下流側であるとともに第1の凝集槽11より上流側に設置されている。よって、この硫化物除去装置61は、原水貯槽2から原水ポンプ3にて供給される処理原水Wが第1の凝集槽11へと供給されて第1のpH調整装置12にてpH調整される前に供給される。
そして、この硫化物除去装置61は、処理原水Wが所定の流量で流入される硫化物生成槽62を備えている。この硫化物生成槽62では、硫化ソーダ(NaSO)あるいは硫化水素(HS)などの硫化剤Vを処理原水Wに添加することによって、この処理原水W中のある種の重金属のみを硫化物として不溶化させる。
具体的に、この硫化物生成槽62には、内部に所定量の液状の硫化ソーダ溶液などの硫化剤Vが充填されて貯留される硫化剤貯槽としての有底円筒状の第3の貯槽63を備えている。この第3の貯槽63には、圧送手段としての第3の注入ポンプ64が取り付けられている。この第3の注入ポンプ64は、第3の貯槽63内の硫化剤Vを引き抜いて、この硫化剤Vを硫化物生成槽62内の処理原水Wへと添加する。
さらに、この第3の注入ポンプ64には、この第3の注入ポンプ64の駆動を制御して硫化物生成槽62内の処理原水Wの酸化還元電位(Oxidation Reduction Potential:ORP)を計測するORP計65が制御ライン66を介して取り付けられている。このORP計65は、硫化物生成槽62内の処理原水Wの酸化還元電位が指示値として、例えば−100mVとなるように、第3の貯槽63内の硫化剤Vを硫化物生成槽62内に供給して注入制御して、この硫化物生成槽62内の処理原水W中の銅(Cu)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)あるいは亜鉛(Zn)などの単なる中和処理では鉄から分別できない重金属を不溶化させる。すなわち、このORP計65は、硫化剤Vの適切な添加量を調節させる。
ここで、硫化物生成槽62内の処理原水Wは、図示しない第3のpH制御装置にて所定の値、すなわち2.0以上3.5以下、より好ましくは2.0以上3.0以下に調整されている。ここで、この硫化物生成槽62内の処理原水WのpHを2.0以上3.5以下とすると、銅、カドミウム、鉛および亜鉛のいずれもが硫化物として不溶化して、これら銅、カドミウム、鉛および亜鉛のそれぞれを処理原水W中からほとんど除去でき、汚泥Tとして分別回収できるようになる。
また、硫化物生成槽62には、この硫化物生成槽62内の処理原水Wを攪拌させる第3の攪拌装置67が取り付けられている。この第3の攪拌装置67は、硫化物生成槽62内の処理原水W内に浸漬された攪拌翼としてのプロペラ68を備えている。すなわち、この第3の攪拌装置67は、プロペラ68を処理原水W内に浸漬させて回転駆動させることによって、硫化物生成槽62内の処理原水Wを攪拌させる。
さらに、硫化物生成槽62の下流側には、第3の固液分離手段としての固液分離槽である有底円筒状の第3の沈殿槽71が設置されている。この第3の沈殿槽71には、硫化物生成槽62から流出した処理原水Wが流入されて、この処理原水Wが所定量貯留される。また、この第3の沈殿槽71の底部には、逆円錐面状であるロート状の底面部72が設けられている。
ここで、この第3の沈殿槽71は、硫化物生成槽62にて処理原水W中から不溶化された硫化物の汚泥Tを、この処理原水Wから固液分離して回収する。さらに、この第3の沈殿槽71の底面部72の最も下側に向けて突出した中央部には、この第3の沈殿槽71内にて沈殿した汚泥Tを処理原水Wから固液分離して系外へと排出させる汚泥引抜口73が開口されて設けられている。また、この第3の沈殿槽71にて汚泥Tが回収された処理原水Wは、硫化物分離工程処理水として、重金属除去装置1の第1の凝集槽11へと流入される。
この結果、上記第4の実施の形態によれば、重金属除去装置1の第1のpH調整装置12による第1のpH調整工程の前段で、硫化物分離工程として、処理原水Wを硫化物生成槽62に流入させる。そして、この硫化物生成槽62内に貯留された処理原水W中に硫化剤Vを添加して、この処理原水W中の銅、カドミウム、鉛および亜鉛などの重金属を硫化物として不溶化させる。この後、これら重金属が硫化物として不溶化された処理原水Wを第3の沈殿槽71へと流入させて、この第3の沈殿槽71にて処理原水W中に不溶化した硫化物を沈殿させて固液分離させる。
この結果、単なる中和処理では鉄から分別できない銅、カドミウム、鉛および亜鉛などの重金属類を前もって除去できる。よって、これら重金属類のリサイクルが可能になるとともに、重金属除去装置1の第2のpH調整装置22にて生成される汚泥Mに重金属がほとんど含まれなくなるから、この汚泥M中のフェライトの再利用が可能となる。さらに、第2の沈殿槽41にてアルミニウムやヒ素などを除去できるから、第2のpH調整装置にて生成される汚泥Mに、フェライトをより効率良く含有できるとともに、この汚泥Mに重金属がより含まれなくなる。このため、この汚泥M中のフェライトの再利用がより効率良くできる。
さらに、硫化物生成槽62内の処理原水Wに硫化剤Vを第3の貯槽63から第3の注入ポンプ64にて添加して、この処理原水W中の重金属を硫化物として不溶化させる際に、この処理原水WのpHを、2.0以上3.5以下にする。すなわち、この処理原水WのpHが3.5以上の場合には、この処理原水W中の第一鉄が硫化物として不溶化してしまい、フェライトとしての回収量が減少するため好ましくない。一方、この処理原水WのpHが2.0以下の場合には、亜鉛の硫化物生成による不溶化が不十分となってしまうので好ましくない。
したがって、この処理原水WのpHを2.0以上3.5以下にすることによって、この処理原水W中の、単なる中和処理では鉄との分離ができない銅、カドミウム、鉛および亜鉛などの重金属類をより確実に不溶化できる。したがって、これら重金属の再利用がより効率良くできるとともに、フェライトを含む汚泥Mに重金属がより含まれなくなるため、この汚泥M中のフェライトをより効率良く再利用できる。
また、ORP計65の指示値として酸化還元電位が−100mVとなるように、硫化物生成槽62内の処理原水Wを調整することによって、この処理原水W中の単なる中和処理では鉄から分離できないほとんどの重金属を不溶化できる。
これらの結果、処理原水W中に含有されている重金属類は、銅、カドミウム、鉛および亜鉛などについては硫化物生成槽62にて不溶化されて第3の沈殿槽71にて汚泥Tとして回収でき、アルミニウムおよびヒ素などについては第1の凝集槽11にて不溶化されて第2の沈澱槽41にて汚泥Sとして回収でき、鉄については第2の凝集槽21でフェライトとして可溶化されて第1の沈澱槽31にて汚泥Mとして回収できる。
したがって、重金属除去装置1の前段に硫化物除去装置61を設けることによって、第1の沈澱層31で回収できるフェライトに不純物として含まれる他の重金属類を除去できるとともに、3種の汚泥M,S,Tとして回収できるから、これら3種の汚泥M,S,Tのそれぞれを資源として再利用しやすくできる。
なお、上記第4の実施の形態において、処理原水W中に銅、カドミウム、鉛あるいは亜鉛などの単なる中和処理でな鉄から分離できない重金属が含まれていない場合には、重金属除去装置1の前段に硫化物除去装置61を設置せずに、上述した図1ないし図3に示す重金属除去装置1のみで処理原水Wを処理するだけでよい。
さらに、上記各実施の形態では、第2のpH調整装置22にて第2の凝集槽21内の処理原水WのpHを7以上11以下に調整させたため、この処理原水Wが流入される第1の沈殿槽31にて汚泥Mが固液分離された後の処理水のpHが高くなる場合も考えられる。ところが、実際には第1の沈殿槽31内で処理原水WのpHの低下が生じるから、この第1の沈殿槽31から流出する処理水のpHはそれ程高くない。ここで、第1の沈殿槽31内の処理原水WのpHが低下が生じる原因としては、この処理原水W中でのフェライトの生成反応が急に進行せず、徐々に水酸基を消費するためであると考えられる。
したがって、第2の凝集槽21と第1の沈殿槽31との間に図示しない熟成手段としてのフェライト熟成槽を設け、このフェライト熟成槽にて熟成工程として第2の凝集槽21内で生成された汚泥Mを処理水に接触させて、この汚泥M中のフェライトを熟成させる。この結果、第1の沈殿槽31から流出される処理水のpHの低下が進行するから、この処理水のpHの安定化ができるとともに、この第1の沈殿槽31内に沈殿するフェライトの結晶をさらに成長させることができる。よって、このフェライトの結晶をより熟成でき、このフェライトを含む汚泥Mの濃縮性および脱水性をより改善できる。このとき、この処理水と汚泥Mとが接触するフェライト熟成槽を、第1の沈殿槽31内に設けることもできる。
また、第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水W中に酸化マグネシウムを添加させたが、この酸化マグネシウム以外の空気や、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、塩素ガス(Cl)、二酸化塩素(ClO)、オゾン(O)、過酸化水素(H)などの酸化剤を第1のpH調整装置12にて第1の凝集槽11内の処理原水W中に添加して、この処理原水W中の第一鉄イオンの一部を第二鉄イオンに酸化させてもよい。
次に、上記第1の実施の形態の重金属除去装置の実施例について説明する。
まず、表1に示す組成の処理原水Wを用いた。
Figure 2005125316
そして、この処理原水Wを原水貯槽2に流入させて貯留させた後、この原水貯槽2内の処理原水Wを原水ポンプ3にて容積が1lの第1の凝集槽11内に流量2l/hで流入させて定量供給させる。
ここで、この第1の凝集槽11内の処理原水Wに第1の空気供給装置16にて空気を供給して、この処理原水Wを攪拌させる。
このとき、この第1の空気供給装置16による第1の凝集槽11内の処理原水Wへの空気の供給量を調整して、この処理原水Wが第2の凝集槽21内に供給された際の、この処理原水W中の第一鉄イオンと第二鉄イオンとのモル比率を調整する。
同時に、第1の凝集槽11内の処理原水WのpHが5になるように、この第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを第1のpH制御装置15にて調整する。
このとき、この第1のpH制御装置15による処理原水WのpH調整は、第1の貯槽13内に溶解させた酸化マグネシウム水溶液を、第1の注入ポンプ14の駆動にて第1の凝集槽11内に供給させる。
次いで、この第1のpH制御装置15にてpH5に調整した第1の凝集槽11内の処理原水Wを流出させて、この処理原水Wを容積が2lの第2の凝集槽21に供給して貯留させる。
ここで、この第2の凝集槽21内の処理原水Wを、第1の攪拌装置26のプロペラ27で攪拌するとともに、この処理原水WのpHを第2のpH制御装置25で10.5に調整する。
このとき、この第2のpH制御装置25による処理原水WのpH調整は、第2の貯槽23内に溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を、第2の注入ポンプ24の駆動にて第2の凝集槽21内に供給させる。
この後、この第2のpH制御装置25にてpHが10.5に中和された第2の凝集槽21内の処理原水Wを流出させて、この処理原水Wを容積が10lの第1の沈殿槽31に供給して貯留させる。
このとき、この第1の沈殿槽31内の処理原水W中にフェライトを含んだ汚泥Mが沈殿する。そして、この汚泥Mを処理原水Wから固液分離して、この汚泥Mの一部を返送ポンプ36にて第2の凝集槽21へと流量0.2l/hで返送させて、この第2の凝集槽21内でのフェライト生成のための種晶として利用する。また、第1の沈殿槽31内にて汚泥Mが固液分離された後の処理原水Wは、この第1の沈殿槽31から流出させて処理水Fとする。
この結果、第2の凝集槽21内の処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率(第二鉄/第一鉄の濃度比率)が0.1以上0.6以下の範囲で、この第2の凝集槽21内で磁石への汚泥Mの移動が生じたから、この第2の凝集槽21内でのフェライトの生成を確認できた。
さらに、表1に示す組成の処理原水W中のアルミニウムおよび珪素の濃度を変化させて、この処理原水Wのフェライト化を実験した。
Figure 2005125316
この結果、表2に示すように、処理原水W中のアルミニウムおよび珪素の濃度が低下すると、この処理原水W中にフェライトを生成させるための第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率が2.0に近づいた。この状態で、この処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率を2.0以上にすると、この処理原水W中にフェライトが生成されなくなった。
さらに、この処理原水Wから得られた汚泥MのSVI(汚泥容量指標:Sludge Volume Index)は、49%と非常に良好な値を示し、また、この汚泥Mの脱水性も非常に良かった。
すなわち、この汚泥Mを第1の沈殿槽31から第2の凝集槽21へと返送したことによって、この第2の凝集槽21で生成されるフェライトの結晶の熟成が進み、このフェライトの結晶粒径が大きくなったこと、および一般的にフェライトは重金属の水酸化物と違い、水分子を結晶の周りに取り込まないためと考えられる。
Figure 2005125316
また、この処理原水Wを処理した後の処理水Fの平均的な水質は、表3に示すように、鉄、アルミニウム、珪素およびヒ素などの重金属がほとんど除去されていた。したがって、これら重金属は、処理原水Wから分離した汚泥M中のフェライトに不純物として含有されていることとなる。
次に、上記第2の実施の形態の重金属除去装置の実施例について説明する。
まず、上記実施例1と同様に、表1に示す組成の処理原水Wを用いた。
そして、この処理原水Wを原水貯槽2に流入させて貯留させた後、この原水貯槽2内の処理原水Wを原水ポンプ3にて容積が1lの第1の凝集槽11内に流量2l/hで流入させて定量供給させる。
ここで、この第1の凝集槽11内の処理原水Wを、第2の攪拌装置44のプロペラ45にて攪拌する。同時に、第1の凝集槽11内の処理原水WのpHが5になるように、この第1の凝集槽11内の処理原水WのpHを第1のpH制御装置15にて調整する。
このとき、この第1のpH制御装置15による処理原水WのpH調整は、第1の貯槽13内に溶解させた酸化マグネシウム水溶液を、第1の注入ポンプ14の駆動にて第1の凝集槽11内に供給させる。
次いで、この第1のpH制御装置15にてpH5に調整された第1の凝集槽11内の処理原水Wを流出させて、この処理原水Wを第2の沈殿槽41に供給して貯留させる。
このとき、第1の凝集槽11内で生成された汚泥Sが第2の沈殿槽41内で沈殿する。このため、この汚泥Sを第2の沈殿槽41内の処理原水Wから固液分離して除去する。この後、この第2の沈殿槽41にて汚泥Sが除去された処理原水Wを、容積が2lの第2の凝集槽21に供給させて貯留させる。
ここで、この第2の凝集槽21内の処理原水Wに、第2の空気供給装置46にて空気を供給して、この処理原水Wを攪拌させる。同時に、この第2の凝集槽21内の処理原水WのpHが10.5になるように、この第2の凝集槽21内の処理原水WのpHを第2のpH制御装置25にて調整する。
このとき、この第2のpH制御装置25による処理原水WのpH調整は、第2の貯槽23内に溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を、第2の注入ポンプ24の駆動にて第2の凝集槽21内に供給させる。
この後、この第2のpH制御装置25にてpHが10.5に中和された第2の凝集槽21内の処理原水Wを流出させて、この処理原水Wを容積が10lの第1の沈殿槽31に供給して貯留させる。
このとき、この第1の沈殿槽31内の処理原水W中にフェライトを含んだ汚泥Mが沈殿する。そして、この汚泥Mを処理原水Wから固液分離して、この汚泥Mの一部を返送ポンプ36にて第2の凝集槽21へと流量0.2l/hで返送させて、この第2の凝集槽21内でのフェライト生成のための種晶として利用する。また、第1の沈殿槽31内にて汚泥Mが固液分離された後の処理原水Wは、この第1の沈殿槽31から流出させて処理水Fとする。
この結果、この実施例2では、上記実施例1の重金属除去装置1の第1の凝集槽11と第2の凝集槽21との間に第2の沈殿槽41を設けて、第1の凝集槽11で発生する重金属成分の水酸化物である汚泥Sを第2の沈殿槽41で別途分離回収するものである。このため、第2の凝集槽21での処理原水W中のフェライト化を妨げるアルミニウムおよび珪素などを除去できるとともに、有害物であるヒ素などの重金属を除去して、生成するフェライトの品質を向上できる。よって、このフェライトを含む汚泥Sが有害物質を含まないため、この汚泥S中のフェライトを再利用できる。
ところが、この実施例2では、第1の凝集槽11での処理原水WのpH調整によって、この処理原水W中の第二鉄イオンが第2の沈殿槽41で除去されてしまう。このため、この第1の凝集槽11では可能な限り第二鉄イオンを除去させないために、第1の凝集槽11での第1の空気供給装置16による空気の供給および攪拌をやめて、プロペラ45を用いた第2の攪拌装置44にて第1の凝集槽11内の処理原水Wを攪拌するとともに、この第1の凝集槽11を密閉構造として、この第1の凝集槽11内の処理原水Wへの酸素の溶解も可能な限り防止する構造とした。
Figure 2005125316
この結果、表4に示すように、第2の沈殿槽41内の処理原水W中では、第一鉄イオンが酸化されずにほとんど残存し、この第一鉄イオンのほとんどを第2の凝集槽21へと流出させることができた。
また、この第2の沈殿槽41内にて処理原水W中のアルミニウムおよびヒ素を90%以上除去できたため、この第2の沈殿槽41内に沈殿した汚泥S中に、これらアルミニウムおよびヒ素を移行できたが、この処理原水W中の珪素は約50%程度の除去率に留まった。
ところが、第2の凝集槽21での処理原水W中の第二鉄イオンと第一鉄イオンとのモル比率を、上記実施例1よりも広い範囲、すなわち0.2以上1.5以下の範囲で、この第2の凝集槽21での処理原水W中のフェライト化が可能であったから、この範囲内では効率良く処理原水W中でのフェライト化を進行できる。
次に、上記第4の実施の形態の硫化物除去装置の実施例について説明する。
この実施例3では、上記実施例1および実施例2にて用いた処理原水Wに含有させた重金属以外に、銅、鉛および亜鉛のそれぞれを含有させた表5に示す処理原水Wを用いた。
Figure 2005125316
そして、この表5に示す組成の処理原水Wを原水貯槽2に流入させて貯留させた後、この原水貯槽2内の処理原水Wを原水ポンプ3にて容積が1lの硫化物生成槽62内に流速2l/hで流入させて定量供給させる。
ここで、この硫化物生成槽62内の処理原水Wを、第3の攪拌装置67のプロペラ68で攪拌する。同時に、この硫化物生成槽62内の処理原水Wの酸化還元電位がORP計65の指示値で−100mVとなるように、第3の貯槽63内に硫化剤Vとして貯留させた硫化ソーダ溶液を第3の注入ポンプ64にて硫化物生成槽62内に供給して注入制御する。
さらに、この硫化物生成槽62内の処理原水Wを容積が3lの第3の沈澱槽71へと流出させて貯留させる。このとき、硫化物生成槽62内で生成された汚泥Tが第3の沈澱槽71内で沈澱する。
そして、この第3の沈澱槽71内に沈澱した汚泥Tを、この第3の沈澱槽71内の処理原水Wから固液分離し、この第3の沈澱槽71の汚泥引抜口73により系外へと排出させる。この後、この第3の沈澱槽71にて汚泥Tが固液分離された後の処理原水Wは、この第3の沈澱槽71から流出させて、硫化物分離工程処理水とされる。
ここで、上述の実施例1では、処理原水W中の鉄をフェライト化できたが、この処理原水W中に含有されている他の重金属がフェライト中に不純物として含有されてしまう。また、上述の実施例2では、処理原水W中のアルミニウムおよびヒ素の大部分や珪素の一部を第2の沈澱槽41から引き抜いて汚泥Sとして分別回収できるから、これらアルミニウムおよびヒ素を余り含有せずフェライトを含有した汚泥Mを得ることができた。
しかしながら、処理原水W中に銅、カドミウム、鉛、亜鉛などの単なる中和処理では鉄から分離できない重金属が含有されている場合には、これら重金属の溶解度とpHとの関係から、上述の実施例1および実施例2のそれぞれにおいて第1の沈澱槽31から引き抜いた汚泥M中に重金属が含有されてしまう。
そこで、上述のように、上述の実施例1および実施例2にて処理原水Wを処理する前に、実施例3に示す硫化物除去装置61にて処理することにより、この硫化物除去装置61にて処理した硫化物分離工程処理水である処理原水が、表6に示す組成となる。
Figure 2005125316
この結果、表6に示すように、硫化物除去装置61にて処理した処理原水W中では、銅、鉛、亜鉛などが硫化物として除去され、この硫化物除去装置61の第3の沈澱槽71にて汚泥T中に含有させて回収できる。
本発明の第1の実施の形態の重金属除去装置を示す説明図である。 本発明の重金属除去装置の第2の実施の形態を示す説明図である。 本発明の重金属除去装置の第3の実施の形態を示す説明図である。 本発明の重金属除去装置の第4の実施の形態の一部を示す説明図である。 同上重金属除去装置を示す説明図である。
符号の説明
1 重金属含有排水処理装置としての重金属除去装置
12 第1のpH調整手段としての第1のpH調整装置
22 第2のpH調整手段としての第2のpH調整装置
31 第1の固液分離手段としての第1の沈殿槽
34 返送手段としての汚泥返送排出装置
61 硫化物分離手段としての硫化物除去装置
M 汚泥
S 固形物としての汚泥
W 重金属含有排水としての処理原水

Claims (10)

  1. 少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化させるとともに、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部を第二鉄に酸化させる第1のpH調整工程と、
    この第1のpH調整工程にてpHが調整された前記重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる第2のpH調整工程と、
    この第2のpH調整工程にてpHが調整された前記重金属含有排水から前記フェライトを含む汚泥を固液分離する第1の固液分離工程と、
    この第1の固液分離工程にて固液分離した前記フェライトを含む汚泥の少なくとも一部を前記第2のpH調整工程の前記重金属含有排水へと返送する返送工程と
    を具備したことを特徴とする重金属含有排水処理方法。
  2. 第1のpH調整工程は、重金属含有排水のpHを3以上6以下に調整し、
    第2のpH調整工程は、前記重金属含有排水のpHを7以上11以下に調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の重金属含有排水処理方法。
  3. 第1のpH調整工程は、重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の第一鉄と第二鉄とのモル比率を0.1以上2.0以下にする
    ことを特徴とする請求項1または2記載の重金属含有排水処理方法。
  4. 第2のpH調整工程にてフェライトを含む汚泥が生成された重金属含有排水中のフェライトを熟成させる熟成工程を具備し、
    第1の固液分離工程は、前記熟成工程にて熟成された前記フェライトを含む汚泥を前記重金属含有排水から固液分離させる
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の重金属含有排水処理方法。
  5. 第1のpH調整工程にてpHが調整された重金属含有排水から固形物を固液分離する第2の固液分離工程と、
    この第2の固液分離工程にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水を曝気して酸化する曝気工程とを具備し、
    前記第1のpH調整工程は、前記第2の固液分離工程にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、前記重金属含有排水のpHを調整し、
    第2のpH調整工程は、前記曝気工程にて曝気されて酸化された前記重金属含有排水のpHを調整する
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の重金属含有排水処理方法。
  6. 第1のpH調整工程の前に、この第1のpH調整工程にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として沈殿させる硫化物分離工程を具備した
    ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか記載の重金属含有排水処理方法。
  7. 硫化物分離工程は、重金属含有排水のpHを2.0以上3.5以下に調整する
    ことを特徴とした請求項6記載の重金属含有排水処理方法。
  8. 少なくとも第一鉄を含む重金属を含有した重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中の重金属を不溶化させるとともに、この重金属含有排水中の第一鉄の少なくとも一部を第二鉄に酸化させる第1のpH調整手段と、
    この第1のpH調整手段にてpHが調整された前記重金属含有排水のpHを調整して、この重金属含有排水中にフェライトを含む汚泥を生成させる第2のpH調整手段と、
    この第2のpH調整手段にてpHが調整された前記重金属含有排水から前記フェライトを含む汚泥を固液分離する第1の固液分離手段と、
    この第1の固液分離手段にて固液分離した前記フェライトを含む汚泥の少なくとも一部を前記第2のpH調整手段にてpHが調整される前記重金属含有排水へと返送する返送手段と
    を具備したことを特徴とした重金属含有排水処理装置。
  9. 第1のpH調整手段にてpHが調整された重金属含有排水から固形物を固液分離する第2の固液分離手段と、
    この第2の固液分離手段にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水を曝気して酸化する曝気手段とを具備し、
    前記第1のpH調整手段は、前記第2の固液分離手段にて前記固形物が固液分離された前記重金属含有排水中の第二鉄と第一鉄とのモル比率が0.2以上2.0以下となるように、前記重金属含有排水のpHを調整し、
    第2のpH調整手段は、前記曝気手段にて曝気されて酸化された前記重金属含有排水のpHを調整する
    ことを特徴とした請求項8記載の重金属含有排水処理装置。
  10. 第1のpH調整手段の前に、この第1のpH調整手段にてpHを調整する前の重金属含有排水中の重金属を硫化物として沈殿させる硫化物分離手段を具備した
    ことを特徴とした請求項8または9記載の重金属含有排水処理装置。
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