以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体の一形態は、アントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造と直接結合するか、又はフェニル基を介して結合することを特徴とするアントラセン誘導体である。該アントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。本発明の具体的な実施の形態を以下に詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の組成物及び組成物を用いた薄膜の作製方法の例について説明する。
本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、アントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造とフェニル基を介して結合することを特徴とするアントラセン誘導体である。
上記のような本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、具体的には下記一般式(G33−1)、(G33−2)に表されるアントラセン誘導体である。
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R21、R22は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R23〜R26は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換のフェニル基を表す。)
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R21、R22は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
なお、本明細書中で示すアリール基の炭素数は、主骨格の環を形成する炭素数を示しており、それに結合する置換基の炭素数を含むものではない。アリール基に結合する置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜13のアリール基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ナフチル基またはフルオレニル基等が挙げられる。また、アリール基が有する置換基は1つであっても複数であってもよく、アリール基が2つの置換基を有する場合、置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、アリール基がフルオレニル基である場合、9位の炭素が2つのフェニル基を有していてもよく、さらにその2つのフェニル基が互いに結合して、スピロ環構造を形成していてもよい。
一般式(G33−1)および一般式(G33−2)において、炭素数6〜13のアリール基は、置換基を有していても良く、複数の置換基を有する場合、置換基同士が違いに結合して環を形成していても良い。また、1つの炭素が2つの置換基を有している場合も置換基同士が互いに結合して、スピロ環を形成していても良い。例えば、構造式(11−1)〜構造式(11−16)で表される置換基が挙げられる。
また、一般式(G33−1)および一般式(G33−2)で表されるアントラセン誘導体において、合成および精製の容易さの点から、Ar1とAr2は同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
一般式(G33−1)および一般式(G33−2)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、構造式(201)〜構造式(220)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
また、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、アントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造の9位又は10位とフェニル基を介して結合するアントラセン誘導体であってもよい。該アントラセン誘導体の具体例としては、構造式(311)〜構造式(399)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。もちろん本発明はこれに限られることはない。なお、本明細書の構造式において、t−Buはtert−ブチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体の合成方法としては、種々の反応の適用が可能である。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体を合成することができる。なお、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
<一般式(G33−1)で表されるアントラセン誘導体の合成方法>
合成スキーム(A−1)に示すように、アントラセン誘導体(化合物1)と、カルバゾール誘導体のボロン酸または有機ホウ素化合物(化合物2)とを、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせることで、目的物である2位にフエニレン基を介してカルバゾール骨格を有するアントラセン誘導体(化合物3)を得ることができる。合成スキーム(A−1)において、X1はハロゲン、又は、トリフラート基を示し、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R21、R22は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R23〜R26は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換のフェニル基を表す。また、X1がハロゲンである場合は塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
合成スキーム(A−1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルトートリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができるパラジウム触媒の配位子はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−1)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム t−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−1)において、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。
以上のようにして、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体を合成することができる。
アルキル基は結晶性を抑制する効果が非常に高く、アルキル基を構造に導入することによって、その結晶性を抑制する効果がある。しかし本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体においては、アルキル基を有しない構造であっても、溶媒に溶解し、湿式法により均一な膜質の膜を形成することができる。アルキル基を有しない場合、キャリアが輸送されやすくなり、電子デバイス等に用いる際にはより好ましい。
以上のような構成を有する本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体はバンドギャップが非常に大きいことから青色の発光を色純度良く得ることが可能である。また、本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は電気化学的安定性及び熱的安定性の高いアントラセン誘導体である。
本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、単独で発光物質を含む層として用いることのできる他、ホストとして用いることもでき、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物に発光物質となるドーパントを分散させた構成とすることで、発光物質となるドーパントからの発光を得ることができる。ホストとして用いる場合は、青色の発光を色純度良く得ることが可能となる。
本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、発光素子の機能層としても用いることができる。例えば、キャリア輸送層又はキャリア注入層である正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、又は電子注入層として用いることができる。従って、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって、発光素子の機能層を形成することができる。
本発明のアントラセン誘導体、及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって形成する薄膜を、発光素子に用いることによって信頼性の高い発光素子とすることができる。
また、上述した組成物において、溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン(アニソール)、ドデシルベンゼン、あるいはドデシルベンゼンとテトラリンとの混合溶媒のような芳香環(例えばベンゼン環)を有する溶媒に溶解させることができる。また、上述したアントラセン誘導体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルムなど芳香環を有さない有機溶媒に対しても溶解することが可能である。
また、他の溶媒として、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒なども挙げられる。
また、本実施の形態で示す組成物に、さらに他の有機材料を含んでもよい。有機材料としては、常温で、固体状態である芳香族化合物、もしくはヘテロ芳香族化合物が挙げられる。有機材料としては、低分子化合物や高分子化合物を用いることができる。また、低分子化合物を用いる場合には、溶媒への溶解性を高める置換基を有している低分子化合物(中分子化合物と呼んでもよい)を用いることが好ましい。
また、成膜した膜の性質を向上させるために、さらにバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、電気的に不活性な高分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、ポリメチルメタクリレート(略称:PMMA)や、ポリイミドなどを用いることができる。
本発明のアントラセン誘導体が溶媒に溶解した液状の組成物を用いて、湿式法によって薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明の組成物を用いることができる。
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応でき、処理領域が拡大するので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、例えば組成物に複数のドーパントを添加することによって得られる発光色を制御することができる。また、被形成領域に対する被覆性もよい。
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コスト低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
本実施の形態のアントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。従ってそのような組成物及び薄膜を用いて信頼性の高い発光素子(デバイス)を作製することができる。
本実施の形態は湿式法を用いて薄膜及び発光素子を作製するため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の発光装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の組成物及び組成物を用いた薄膜の作製方法の他の例について説明する。
本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、アントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造と直接結合することを特徴とするアントラセン誘導体である。
上記のような本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、具体的には下記一般式(G31−1)、(G31−2)、(G31−3)、(G32−1)に表されるアントラセン誘導体である。
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Ar4は、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R12〜R16は、それぞれ、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。)
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R1、R2は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
一般式(G31−1)、(G31−2)、(G31−3)、(G32−1)において、炭素数6〜13のアリール基は、置換基を有していても良く、複数の置換基を有する場合、置換基同士が違いに結合して環を形成していても良い。また、1つの炭素が2つの置換基を有している場合も置換基同士が互いに結合して、スピロ環を形成していても良い。例えば、構造式(11−1)〜構造式(11−16)で表される置換基が挙げられる。
一般式(G31−2)において、炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、構造式(13−1)〜構造式(13−8)で表される置換基が挙げられる。
また、一般式(G31−1)、(G31−2)、(G31−3)、(G32−1)で表されるアントラセン誘導体において、合成および精製の容易さの点から、Ar1とAr2は同一の構造を有する置換基であることが好ましい。
一般式(G31−1)、(G31−2)、(G31−3)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、構造式(101)〜構造式(142)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。また、一般式(G32−1)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、構造式(1)〜構造式(37)で表されるアントラセン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
本実施の形態の組成物に含まれる発明のアントラセン誘導体の合成方法としては、種々の反応の適用が可能である。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体を合成することができる。なお、本実施の形態の組成物に含まれるアントラセン誘導体の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
<一般式(G31−1)で表されるアントラセン誘導体の合成方法>
合成スキーム(A−2)に示すように、アントラセン誘導体(化合物1)と、カルバゾール誘導体のボロン酸または有機ホウ素化合物(化合物4)とを、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせることで、目的物である2位にカルバゾール骨格を有するアントラセン誘導体(化合物5)を得ることができる。合成スキーム(A−2)において、X1はハロゲン、又は、トリフラート基を示し、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Ar4は、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R11は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。また、X1がハロゲンである場合は塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
合成スキーム(A−2)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルトートリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができるパラジウム触媒の配位子はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−2)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム t−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−1)において、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。
<一般式(G32−1)で表されるアントラセン誘導体の合成方法>
一般式(G32−1)で表される本実施の形態におけるアントラセン誘導体(化合物8)は、2−ハロゲン化−9,10−ジアリールアントラセン(化合物6)と、9H−カルバゾール誘導体(化合物7)とを、パラジウム触媒を用いたハートウィック・ブッフバルト反応、または、銅や銅化合物を用いたウルマン反応により塩基存在下にてカップリングすることで得ることができる。
合成スキーム(A−3)において、Ar1、Ar2は、それぞれ、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、R1、R2は、水素、もしくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、置換または無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。X1はハロゲン基を表し、ヨウ素、臭素、塩素のいずれか一を表す。
合成スキーム(A−3)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに限られるものでは無い。上記反応式において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)ホスフィンや、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位子はこれらに限られるものでは無い。
合成スキーム(A−3)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。
合成スキーム(A−3)において、用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
合成スキーム(A−3)においてウルマン反応を行う場合について説明する。合成スキーム(A−3)においてにおいてR3とR4は、ハロゲンやアセチル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R3がヨウ素であるヨウ化銅(I)、又はR4がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅を用いることができる。
合成スキーム(A−3)において、用いることができる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(A−3)において、用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレン、トルエンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上より高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いる。又、ウルマン反応においては溶媒を用いなくても良く、その場合、反応温度は基質の融点よりも高い温度が好ましい。
以上のようにして、本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体を合成することができる。
アルキル基は結晶性を抑制する効果が非常に高く、アルキル基を構造に導入することによって、その結晶性を抑制する効果がある。しかし本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体においては、アルキル基を有しない構造であっても、溶媒に溶解し、湿式法により均一な膜質の膜を形成することができる。アルキル基を有しない場合、キャリアが輸送されやすくなり、電子デバイス等に用いる際にはより好ましい。
以上のような構成を有する本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体はバンドギャップが非常に大きいことから青色の発光を色純度良く得ることが可能である。また、本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は電気化学的安定性及び熱的安定性の高いアントラセン誘導体である。
本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、単独で発光物質を含む層として用いることのできる他、ホストとして用いることもでき、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物に発光物質となるドーパントを分散させた構成とすることで、発光物質となるドーパントからの発光を得ることができる。ホストとして用いる場合は、青色の発光を色純度良く得ることが可能となる。
本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、発光素子の機能層としても用いることができる。例えば、キャリア輸送層又はキャリア注入層である正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、又は電子注入層として用いることができる。従って、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって、発光素子の機能層を形成することができる。
本発明のアントラセン誘導体、及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって形成する薄膜を、発光素子に用いることによって信頼性の高い発光素子とすることができる。
また、上述した組成物において、溶媒としては種々の溶媒を用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン(アニソール)、ドデシルベンゼン、あるいはドデシルベンゼンとテトラリンとの混合溶媒のような芳香環(例えばベンゼン環)を有する溶媒に溶解させることができる。また、上述したアントラセン誘導体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルムなど芳香環を有さない有機溶媒に対しても溶解することが可能である。
また、他の溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、或いはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、或いは炭酸ジエチルなどのエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、或いは2−エトキシエタノールなどのアルコール系溶媒なども挙げられる。
また、本実施の形態で示す組成物に、さらに他の有機材料を含んでもよい。有機材料としては、常温で、固体状態である芳香族化合物、もしくはヘテロ芳香族化合物が挙げられる。有機材料としては、低分子化合物や高分子化合物を用いることができる。また、低分子化合物を用いる場合には、溶媒への溶解性を高める置換基を有している低分子化合物(中分子化合物と呼んでもよい)を用いることが好ましい。
また、成膜した膜の性質を向上させるために、さらにバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、電気的に不活性な高分子化合物を用いることが好ましい。具体的には、ポリメチルメタクリレート(略称:PMMA)や、ポリイミドなどを用いることができる。
本発明のアントラセン誘導体が溶媒に溶解した液状の組成物を用いて、湿式法によって薄膜を形成することができる。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する。
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明の組成物を用いることができる。
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応でき、処理領域が拡大するので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、例えば組成物に複数のドーパントを添加することによって得られる発光色を制御することができる。また、被形成領域に対する被覆性もよい。
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コスト低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
本実施の形態のアントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。従ってそのような組成物及び薄膜を用いて信頼性の高い発光素子(デバイス)を作製することができる。
本実施の形態は湿式法を用いて薄膜及び発光素子を作製するため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の発光装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
(実施の形態3)
本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法により形成した薄膜を有する発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本発明の発光素子は、一対の電極間に少なくとも発光物質を含む層(発光層ともいう)を有するEL層を挟持して形成される。EL層は発光物質を含む層の他に複数の層を有してもよい。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。本明細書では、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層をキャリアの注入、輸送などに機能する、機能層ともよぶ。機能層としては、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層ともいう)、正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層ともいう)、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層ともいう)、電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層ともいう)などを用いることができる。
本発明では、発光物質を含む層を、発光物質が溶媒に溶解した液状の組成物(実施の形態1又は実施の形態2で示したアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物)を用いて、湿式法によって形成する。湿式法は、薄膜の形成材料を溶媒に溶解し、その液状の組成物を被形成領域に付着させ、溶媒を除去し固化させることによって薄膜として形成する方法である。本明細書において膜として記載する湿式法により形成される膜は、その形成条件によっては非常に薄膜である場合があり、一部非連続的な島状構造であるなど、膜として形態を保っていないものも含むものとする。
湿式法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、液滴吐出(噴出)法(インクジェット法)、ディスペンサ法、各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)などを用いることができる。なお、液状の組成物を用いる方法であれば上記に限定されず、本発明の組成物を用いることができる。
湿式法は、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法に比べ、材料がチャンバー内に飛散しないため、材料の利用効率が高い。また、大気圧下で行うことができるため、真空装置などにかかる設備を軽減することができる。さらに真空チャンバーの大きさに処理基板は制限されないために、基板の大型化にも対応でき、処理領域が拡大するので、低コストのうえ、生産性が向上する。組成物中の溶媒を除去する程度の温度の加熱処理が必要なだけであるので、いわゆる低温プロセスである。従って、高い加熱処理では分解や変質が生じてしまう基板、材料も用いることができる。
また、流動性を有する液状の組成物を用いて形成するために、材料の混合が容易であり、例えば組成物に複数のドーパントを添加することによって得られる発光色を制御することができる。また、被形成領域に対する被覆性もよい。
所望なパターンに組成物を吐出できる液滴吐出法や、組成物を所望のパターンに転写、または描写できる印刷法などは、選択的に薄膜を形成することができるので、さらに材料のロスを防ぎ有効利用することができるため、生産コストが低下する。さらに、フォトリソグラフィ工程による薄膜の形状加工が不要となるため、工程が簡略化し、生産性が向上すると言う効果がある。
発光素子を構成する第1の電極、第2の電極、及び機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層など)は、インクジェット法、スピンコート法、印刷法などの上記湿式法を用いて形成してもよいし、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの乾式法を用いて形成してもよい。上記のように湿式法を用いれば、大気圧下で形成することができるため、簡易な装置及び工程で形成することができ、工程が簡略化し、生産性が向上するという効果がある。一方乾式法は、材料を溶解させる必要がないために溶液に難溶の材料も用いることができ、材料の選択の幅が広い。
電極、及び機能層の形成方法は、用いる材料や積層する順番によって適宜設定すればよい。湿式法は、溶媒を用いるために、被形成面である下層の薄膜がその溶媒によって溶解しにくい材料の組み合わせを用いる必要がある。
図1に示す本実施の形態の発光素子において、第1の電極102及び第2の電極107の一対の電極間にEL層108が設けられている。EL層108は、第1の層103、第2の層104、第3の層105、及び第4の層106を有している。図1における発光素子は、基板101上に、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本実施の形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、石英、またはプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
また、第1の層103として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
また、第1の層103として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
第2の層104を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
また、PMMAのような電気的に不活性な高分子化合物に、正孔輸送性材料を添加してもよい。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いてもよく、さらに上記高分子化合物に上記正孔輸送性材料を適宜添加してもよい。
第3の層105は、発光物質を含む層である。本実施の形態では、第3の層105は実施の形態1又は実施の形態2で示した組成物を用いて形成する。具体的には、実施の形態1又は実施の形態2で示した組成物を、湿式法(液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、印刷法等)を用いて塗布し、その後、溶媒を除去すればよい。溶媒を除去する方法としては、加熱処理、減圧処理、または減圧下で加熱処理を行う方法などが挙げられる。湿式法を用いることにより、材料利用効率を向上させることができ、発光素子の製造コストを低減することができる。本発明の組成物を用いて形成する薄膜に含まれるアントラセン誘導体は、青色の発光を示すため、発光物質として発光素子に好適に用いることができる。
また、第3の層105を、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物はホストとして用いることもでき、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物に発光物質となるドーパントを分散させた構成とすることで、発光物質となるドーパントからの発光を得ることができる。
本発明の組成物のアントラセン誘導体を他の発光物質を分散させる材料として用いる場合、発光物質に起因した発光色を得ることができる。また、本発明の組成物のアントラセン誘導体に起因した発光色と、アントラセン誘導体中に分散されている発光物質に起因した発光色との混色の発光色を得ることもできる。
ここで、本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体に分散させる発光物質としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、9,10−ジフェニル−2−[N−フェニル−N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、ルブレン、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル) トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などの蛍光を発光する蛍光発光物質を用いることができる。また、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)などの燐光を発光する燐光発光物質を用いることができる。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、第4の層106と第2の電極107と間に電子注入を促す機能を有する層(電子注入層)を設けても良い。電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極107からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有したITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
また、本発明の組成物に含まれるアントラセン誘導体は、発光素子の機能層としても用いることができる。上記一般式(1)において、式中A1と又はA2の少なくともどちらか一方がジアリールアミノ基を表すアントラセン誘導体の場合は、正孔輸送層及び正孔注入層として機能するため、第1の層103及び第2の層104に用いることができる。また、上記一般式(1)において、式中A1と又はA2のどちらもジアリールアミノ基以外を表すアントラセン誘導体の場合は、電子輸送層及び電子注入層として機能するため、第4の層106に用いることができる。従って、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって、発光素子の機能層(第1の層103、第2の層104、第4の層106)を形成することができる。また、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて湿式法によって機能層を形成する場合、発光物質を含む層105を他の蛍光体を用いて蒸着法などの乾式法により形成してもよい。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法や、液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、印刷法などの種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が防ぐように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明の組成物より形成される発光層と自由に組み合わせて構成すればよい。
図2に示す発光素子は、基板301上に、第1の電極302及び第2の電極307の一対の電極間に、EL層308が設けられている。EL層308は、電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306を含んでいる。陰極として機能する第1の電極302、電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。
なお、本実施の形態で示した発光素子を表示装置に適用し、発光物質を含む層を塗り分ける場合には、発光物質を含む層は湿式法により選択的に形成することが好ましい。発光物質を含む層を液滴吐出法を用いて形成することにより、大型基板であっても発光物質を含む層の塗り分けが容易となり、生産性が向上する。
以下、具体的な発光素子の形成方法を示す。
本発明の発光素子は一対の電極間にEL層が挟持される構造となっている。EL層は少なくとも本発明の組成物を用いて湿式法により形成された発光物質を含む層(発光層ともいう)を含む。また、EL層には、発光物質を含む層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層など)を含んでもよい。電極(第1の電極及び第2の電極)及び機能層は液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、印刷法などの湿式法を用いて形成してもよく、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの乾式法を用いて形成してもよい。湿式法を用いれば、大気圧下で形成することができるため、簡易な装置及び工程で形成することができ、工程が簡略化し、生産性が向上するという効果がある。一方乾式法は、材料を溶解させる必要がないために溶液に難溶の材料も用いることができ、材料の選択の幅が広い。
発光物質を含む層は本発明の組成物を用いて湿式法により形成するので、発光素子を構成する薄膜すべての形成を湿式法で行ってもよい。この場合、湿式法で必要な設備のみで発光素子を作製することができる。また、発光物質を含む層を形成するまでの積層を湿式法で行い、発光物質を含む層上に積層する機能層や第2の電極などを乾式法により形成してもよい。さらに、発光物質を含む層を形成する前の第1の電極や機能層を乾式法により形成し、発光物質を含む層、及び発光物質を含む層上に積層する機能層や第2の電極を湿式法によって形成してもよい。もちろん、本発明はこれに限定されず、用いる材料や必要とされる膜厚、界面状態によって適宜湿式法と乾式法を選択し、組み合わせて発光素子を作製することができる。
一例を以下に示す。第1の電極上に、正孔注入層としてPEDOT/PSSを形成する。PEDOT/PSSは水溶性であるため、水溶液としてスピンコート法やインクジェット法などにより、成膜することができる。正孔輸送層は設けず、正孔注入層上に発光物質を含む層を設ける。発光物質を含む層は、すでに形成されている正孔注入層(PEDOT/PSS)が溶解しない溶媒(トルエン、キシレン、メトキシベンゼン(アニソール)、ドデシルベンゼン、若しくはドデシルベンゼンとテトラリンとの混合溶媒のような芳香環(例えばベンゼン環)を有する溶媒、又はジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルムなど芳香環を有さない有機溶媒など)を含む実施の形態1又は実施の形態2に示した組成物を用いてインクジェット法を用いて形成することができる。次に、発光物質を含む層上に電子輸送層を形成するが、電子輸送層を湿式法で形成する場合には、すでに形成されている正孔注入層および発光物質を含む層が溶解しない溶媒を用いて形成しなくてはならない。その場合、溶媒の選択肢が狭まるため、乾式法を用いて形成する方が容易である。よって、電子輸送層から第2の電極までを乾式法である真空蒸着法を用いて真空中で一貫で形成することにより、工程を簡略化することができる。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体、単結晶半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本実施の形態のアントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。従ってそのような組成物及び薄膜を用いて信頼性の高い発光素子(デバイス)を作製することができる。
本実施の形態は湿式法を用いて薄膜及び発光素子を作製するため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の発光装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する積層型発光素子である。
図3において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2または実施の形態5で示した複合材料であり、有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能であり、そのため長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512には、発光物質を含む層がそれぞれ設けられており、本実施の形態でも発光物質を含む層は実施の形態1又は実施の形態2で示したように、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物を用いて湿式法によって形成する。
本実施の形態のアントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。従ってそのような組成物及び薄膜を用いて信頼性の高い発光素子(デバイス)を作製することができる。
本実施の形態は湿式法を用いて薄膜及び発光素子を作製するため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の発光装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて作製された発光装置について説明する。
本実施の形態では、本発明の本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて作製された発光装置について図4を用いて説明する。なお、図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−BおよびC−Dで切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁層614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。第1の電極613は層間絶縁層である絶縁層619上に形成されている。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁層614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁層614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁層614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁層614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、発光物質を含む層616は、実施の形態1又は実施の形態2で示した本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物を用いて湿式法によって形成する。湿式法としては、インクジェット法などの液滴吐出法、印刷法、スピンコート法等の種々の方法を用いることができる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料として、低分子材料、オリゴマー、デンドリマー程度の分子量の分子材料、または高分子材料を含んでも良い。
本実施の形態では、湿式法として液滴吐出法を用いて発光物質を含む層616を形成する例を図10及び図11を用いて説明する。図10(A)乃至(D)は図4に示す発光装置の発光素子部分の作製工程を示す。
図10(A)において、絶縁層619上に第1の電極613が形成され、第1の電極613の一部を覆うように絶縁層614が形成されている。絶縁層614の開口である第1の電極613の露出部に、液滴吐出装置630より液滴631を吐出し、組成物を含む層632を形成する。液滴631は、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物であり、第1の電極613上に付着する(図10(B)参照。)。組成物を含む層632より溶媒を除去し、固化することによって発光物質を含む層616を形成する(図10(C)参照。)。溶媒の除去は、乾燥によって行ってもよいし、加熱工程を加えてもよい。また、組成物の吐出工程は減圧下で行ってもよい。発光物質を含む層616上に第2の電極617を形成し、発光素子618を作製する(図10(D)参照。)。このように発光物質を含む層616を液滴吐出法で行うと、選択的に形成領域に組成物を吐出することができるため、材料のロスを削減することができる。また、形状を加工するためのフォトリソグラフィ工程なども必要ないために工程も簡略化することができ、低コスト化が達成できる。
本実施の形態で行う液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。
液滴吐出法に用いる液滴吐出装置の一態様を図11に示す。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。描画するタイミングは、例えば、基板1400上に形成されたマーカー1411を基準に行えば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これを撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、複数種の発光材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。吐出時に基板を加熱しておいてもよい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミング、加熱処理の回数は特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、そのときの温度は、基板の材質及び組成物の性質に依存する。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF2等)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
以上のようにして、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物を用いて作製された発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、この他、パッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。図5には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図5(A)は、発光装置を示す斜視図、図5(B)は図5(A)における線X−Yの断面図である。図5において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。
パッシブマトリクス型の発光装置において、発光物質を含む層955は実施の形態1又は実施の形態2で示したように本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を含む組成物を用いて湿式法で形成する。本実施の形態において、発光物質を含む層955は塗布法(スピンコート法)によって形成する。図5の発光装置において、隔壁層954はいわゆる逆テーパー形状であるために、塗布法によって発光物質を含む組成物を塗布しても自己整合的に発光物質を含む層955は、隔壁層954によって分断され、電極952上に選択的に形成することができる。従ってエッチングにより形状を加工しなくても、隣接する発光素子間は分断されており発光素子間のショートなどの電気的不良を防止することができる。このように図5に示す発光装置はより簡略化された工程で作製することができる。
本実施の形態のアントラセン誘導体を溶媒に溶解した組成物を用いて湿式法により作製した薄膜は、膜に欠陥等のない良好な膜質とすることができる。従ってそのような組成物及び薄膜を用いて信頼性の高い発光素子(デバイス)を作製することができる。
本実施の形態は湿式法を用いて薄膜及び発光素子を作製するため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の発光装置および電子機器も低コストで生産性よく得ることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。
本発明の本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2又は実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いて作製されている。従って材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性のテレビ装置を低価格で提供することができる。また、本発明に係るテレビ装置は、表示部を湿式法により形成するために形状の自由度が高く、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
図6(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2、3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いて作製されている。従って材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性のコンピュータを低価格で提供することができる。また、本発明に係るコンピュータは、表示部を湿式法により形成するために形状の自由度が高く、それにより環境に適合した製品を提供することができる。
図6(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2、3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いて作製されている。従って材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の携帯電話を低価格で提供することができる。また、本発明に係る携帯電話は、表示部を湿式法により形成するために形状の自由度が高く、それにより携帯に適した製品を提供することができる。
図6(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2、3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いて作製されている。従って材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性のカメラを低価格で提供することができる。また、本発明に係るカメラは、表示部を湿式法により形成するために形状の自由度が高く、それにより携帯に適した製品を提供することができる。
図6(E)に示す本発明の係る電子ペーパーは、可撓性を有しており、本体9610、画像を表示する表示部9611、ドライバIC9612、受信装置9613、フィルムバッテリー9614などを含んでいる。ドライバICや受信装置などは半導体部品を用い実装しても良い。本発明の電子機器は本体9610を構成する材料をプラスチックやフィルムなど可撓性を有する材料で形成する。この電子ペーパーにおいて、表示部9611は、実施の形態2、3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いて作製されている。従って材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができるため、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の電子ペーパーを低価格で提供することができる。また、本発明に係る電子ペーパーは、表示部を湿式法により形成するために形状の自由度が高く、それにより携帯に適した製品を提供することができる。
また、このような電子ペーパーは非常に軽く、可撓性を有していることから筒状に丸めることも可能であり、持ち運びに非常に有利な表示装置である。本発明の電子機器により大画面の表示媒体を自由に持ち運びすることができる。
尚、図6(E)に示した電子ペーパーは、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)に加え、冷蔵庫装置、洗濯機、炊飯器、固定電話装置、真空掃除機、体温計など家庭電化製品から、電車内の吊し広告、鉄道駅や空港の発着案内版など大面積のインフォメーションディスプレイまで、主に静止画像を表示する手段として用いることができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の実施の形態1又は実施の形態2に示す組成物を用いるため、材料の利用効率がよく、大型の真空装置などの高価な設備を軽減することができ、低コスト化、高生産化を達成することができる。従って、本発明を用いることにより、高信頼性の電子機器を低価格で提供することができる。
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図7に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、低コスト化、高生産化を達成することができる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型であるため、表示装置の薄型化も可能となる。
図8は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図8(A)に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。図8(B)に示す電気スタンドは、筐体2011と、光源2012を有し、光源2012として、本発明の発光装置が用いられている。本発明は湿式法によって発光物質を有する薄膜を形成するので、発光物質を設ける被形成面が光源2012のように曲面でも形成することができる。従って、本発明を用いると作製できる発光装置の形状、デザインを自由に設定することができる。
図9は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型であるため、薄型化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図6(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。
本実施例では、本発明のアントラセン誘導体及び溶媒を有する組成物の溶解性評価及びその組成物を用いて湿式法により形成した薄膜の膜質評価を行った。
試料は、比較例として試料1−1〜1−4、作製例1として試料1−5〜1−14をそれぞれ溶媒に溶解させて組成物を作製し、試料1−5〜1−15のアントラセン誘導体の溶媒へ対する溶解性試験を行った。溶媒はジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、アニソール、アセトン、1,4−ジオキサンの6種類である。
比較例の試料1−1〜1−4に用いるアントラセン誘導体は、9、10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)を試料1−1、9,10−ビス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)アントラセン(略称:CzBPAII)を試料1−2、9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)を試料1−3、3,3’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzBPA)を試料1−4とした。
また、作製例1の試料1−5〜1−14に用いるアントラセン誘導体は、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)を試料1−5、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)を試料1−6、9−〔3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル〕−9H−カルバゾール(mCzPA)を試料1−7、9−(4−tert−ブチルフェニル)−10−[4−(カルバゾール−9−イル)]フェニルアントラセン(略称:PTBCzPA)を試料1−8、9−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−10−(2−ナフチル)アントラセン(略称:βNCzPA)を試料1−9、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)を試料1−10、9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2CzPPA)を試料1−11、9−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2CzPA)を試料12、3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:2PCzPA)を試料1−13、9−[9,10−ビス(2−ビフェニル)−2−アントリル]−9H−カルバゾール(略称:2CzBPhA)を試料1−14とした。
サンプル瓶に各試料1−1〜1−14のアントラセン誘導体を0.01gはかりとり、各溶媒を1mL添加し(溶液濃度10g/L)、超音波に10分間かけた。得られた試料1−1〜1−14の組成物において、アントラセン誘導体が完全に溶解したら丸印、溶け残りが若干ある、にごる、溶け残る(懸濁)の場合はバツ印と溶解性試験を行った結果を表1に示す。
比較例の試料1−2〜1−4(CzBPA2、PCCPA、PCzBPA)のようにカルバゾリル基を2つ有するアントラセン誘導体では溶媒への溶解性が低いが、作製例1の試料1−5〜1−14のようにアントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造と直接結合するか、又はフェニル基を介して結合するアントラセン誘導体では溶媒への溶解性が高い。さらに、作製例1の試料1−12〜1−14に示すようなアントラセン構造とカルバゾリル基を一つずつ含み、かつカルバゾリル基はアントラセン構造と直接結合するアントラセン誘導体では、より溶解する溶媒が多く、特に高い溶解性を示すことがわかる。
次に、溶解性試験で良好な溶解性を示した溶媒を選択し、膜質試験をおこなった。よって、溶解性試験においてすべての溶媒に良好な溶解性を示さなかった試料1−2〜1−4以外の試料1−1、1−5〜1−14に対して膜質試験を行った。各試料の組成物を溶解性試験と同じ濃度(10g/L)で調整し、スピンコーターで1000rpm(60秒間)の条件で5インチのガラス基板上に成膜した。ただし、結晶化もしくは白濁が見られない透明な膜である場合を丸印、結晶化もしくは白濁が見られる膜の場合をバツ印とした膜質試験の結果を表2に示す。
溶解性試験では溶解性を示した比較例である試料1−1(DPAnth)は、膜質試験では、得られた膜は結晶化した膜質の悪い膜であった。一方、作製例である試料1−5〜1−14においては膜質のよい良質な形状の膜を形成することができることが確認できた。
以上のことから、本発明のアントラセン誘導体、及び溶媒を有する組成物は溶解性の高い組成物である、かつその組成物を用いて湿式法により、均一で良好な膜質を有する薄膜が形成できることが確認できた。
本実施例では、本発明の発光素子A〜Eについて、図12を用いて説明する。
本実施例で作製した発光素子A〜Eの素子構成を表3に示す。表3では、混合比は全て重量比で表している。
以下に、本実施例の発光素子A〜Eの作製方法を示す。
発光素子A〜Eでは、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に第1の層2103を形成する。発光素子A〜Dを形成するための前処理として用いる溶液として、水と2−メトキシエタノールを3:2で混合した溶液Cと、PEDOT:PSS(BAYTRON P AI4083 LVW 142)原液と2−メトキシエタノールを3:2の割合で混合した溶液Dを作製した。第1の電極2102が形成された基板上に溶液Cを滴下し、2000rpm、20secでスピンコートした後、溶液Dを2000rpmの回転数で60秒間、2500rpmの回転数で10秒間スピンコートした。端子部上の溶液Dのスピンコート膜を、エタノールを用いて除去し、ロータリーポンプで減圧しながら110℃に設定した真空オーブン内で2時間加熱乾燥をすることで、第1の層2103として膜厚50nmのPEDOT:PSS膜を形成した。
発光素子Eは第1の層2103として酸化モリブデン(MoOx)を膜厚20nm真空蒸着した。
発光素子Aにおいて、発光物質を有する層となる第2の層2104に用いるものとして、アントラセン誘導体(発光素子AにおいてはCzPA、発光素子Bにおいては2CzPPA、発光素子Cにおいては2PCzPA、発光素子Dにおいては2CzPA)をそれぞれ0.15g、2PCAPAを0.031gはかりとったサンプル瓶に、低水分濃度(<0.1ppm)低酸素濃度(〜10ppm)の環境で脱水トルエン(関東化学製)15mLを加え、蓋をしめて終夜攪拌を行い、発光物質を有する層となる第2の層2104成膜用の各溶液を作製した。
発光素子Eにおいて発光物質を有する層となる第2の層2104に用いる溶液として、アントラセン誘導体は2PCzPAと2CzPAを0.085g、0.083g、発光物質としてクマリン6を0.004gはかり取り、溶媒は脱水酢酸エチル(関東化学製)17mLを使用した。
第1の層2103を作製した基板上に、低水分濃度(<0.1ppm)低酸素濃度(〜10ppm)の環境下で発光物質を有する層となる第2の層2104成膜用の各溶液を滴下し、300rpmの回転数で3秒間、1000rpmの回転数で60秒間、2500rpmの回転数で10秒間スピンコートを行った。端子部上の溶液のスピンコート膜を、トルエンを用いて除去し、ロータリーポンプで減圧しながら110℃に設定した真空オーブン内で1時間加熱乾燥をすることで、第2の層2104を形成した。その後減圧した真空蒸着装置内で膜形成面が下側に向くように基板を設置した。
第2の層2104上に、電子輸送層となる第3の層2105としてAlq膜を膜厚10nm形成した。
第3の層2105上に同じく電子輸送層となる第4の層2106としてBphen膜を膜厚20nm蒸着した。さらに第4の層2106上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚1nmで蒸着することにより第5の層2107を電子注入層として形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極2108としてアルミニウムを200nm成膜し、本実施例の発光素子A〜Eを得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。また、Alq、2PCAPA、及びBphen構造式を下記に示す。
以上により得られた発光素子A〜Eを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子A〜Eの輝度−電流効率特性を図13に、電流−電圧特性を図14に、電流密度−輝度特性を図15、電圧−輝度特性を図16に示す。また、1mAの電流を流したときの発光素子A〜Eの発光スペクトルをそれぞれ図17(A)〜(E)に示す。
また、作製した発光素子A及び発光素子Dの信頼性試験を行った。信頼性試験とは以下のようにして行った。初期状態において、1000cd/m2の輝度で発光させたときに発光素子A及び発光素子Dに流れている電流と同じ値の電流を流し続け、或る時間が経過する毎に輝度を測定した。発光素子Aの信頼性試験によって得られた結果を図18を、発光素子Dの信頼性試験によって得られた結果を図19に示す。図18(A)及び図19(A)に輝度の経時変化を、図18(B)及び図19(B)に電圧の経時変化を示す。なお、図18(A)及び図19(A)において横軸は通電時間(hour)、縦軸はそれぞれの時間における初期輝度に対する輝度の割合、すなわち規格化輝度(%)を表す。また、図18(B)及び図19(B)において横軸は通電時間(hour)、縦軸は電圧を表す。
本実施例により、本発明の発光素子が、発光素子として特性が得られ、十分機能することが確認できた。また信頼性試験の結果から、発光素子を連続点灯させた場合であっても、膜の欠陥等に由来する短絡が生じることがなく、信頼性の高い発光素子が得られたことがわかった。
実施例1で使用した9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)、3,3’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzBPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、9−〔3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル〕−9H−カルバゾール(mCzPA)、9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2CzPPA)、9−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2CzPA)、3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:2PCzPA)、9−[9,10−ビス(2−ビフェニル)−2−アントリル]−9H−カルバゾール(略称:2CzBPhA)は新規物質、あるいは合成方法が開示されていないため、以下に合成方法を記載する。
(合成例1)
実施例1で使用した9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−フェニル−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCC)の合成
3−ブロモカルバゾール2.5g(10mmol)、N−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸2.9g(10mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン152mg(0.50mmol)を200mL三口フラスコへ入れた。フラスコ内を窒素で置換し、この混合物へエチレングリコールジメチルエーテル50mL、炭酸カリウム水溶液(2mol/L)10mLを加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気し、脱気後、酢酸パラジウム(II)50mg(0.2mmol)を加えた。この混合物を、窒素気流下で80℃3時間攪拌した。攪拌後、この混合物にトルエン約50mLを加え、30分ほど攪拌し、この混合物を水、飽和食塩水の順で洗浄した。洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮したところ油状物を得た。得られた油状物をトルエンに溶かし、この溶液をフロリジル(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過し、得られたろ液を濃縮したところ、目的物の白色固体を、3.3g収率80%で得た。ステップ1の合成スキームを下記(Z−1)に示す。
なお、上記ステップ1で得られた固体を核磁気共鳴分光法(NMR)により測定した。以下に測定データを示す。このことから、本実施例において、上述の構造式(Z−1)で表されるアントラセン誘導体の一部に用いられる有機化合物PCCが得られたことがわかった。
1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=7.16−7.21(m,1H),7.29−7.60(m,8H),7.67−7.74(m,4H),7.81−7.87(m、2H),8.24(d,J=7.8Hz、1H),8.83(d,J=7.8Hz、1H)、8.54(d,J=1.5Hz、1H),8.65(d,J=1.5Hz、1H)、11.30(s、1H)
[ステップ2]PCCPAの合成
9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン1.2g(3.0mmol)と、PCC1.2g(3.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)を100mL三口フラスコへ入れた。フラスコ内を窒素にて置換し、この混合物へトルエン20mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この混合物へ、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)96mg(0.17mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下で、110℃8時間還流した。還流後、この混合物にトルエン約50mLを加え、30分ほど攪拌し、この混合物を水、飽和食塩水の順で洗浄した。洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮したところ、油状物質を得た。得られた油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=1:1)により精製した。得られた淡黄色個体をクロロホルム/ヘキサンにより再結晶したことろ、目的物であるPCCPAの淡黄色粉末状固体を1.2g収率54%で得た。得られた淡黄色粉末状固体2.4gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力8.7Pa、アルゴンガスを流量3.0mL/minで流しながら、350℃でPCCPAを加熱した。昇華精製後、PCCPAの淡黄色固体を2.2g回収率94%で得た。また、ステップ2の合成スキームを下記(Z−2)に示す。
なお、上記ステップ2で得られた固体の1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。このことから、本実施例において、アントラセン誘導体PCCPAが得られたことがわかった。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.34−7.91(m,32H),8.27(d,J=7.2Hz、1H),8.31(d,J=7.5Hz、1H)、8.52(dd,J1=1.5Hz,J2=5.4Hz、2H)
(合成例2)
次に、実施例1で使用した3,3’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzBPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9,10−ジ(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:BPA)の合成
(1)9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンの合成。
1,4−ジブロモベンゼン(5.0g)の脱水エーテル溶液(200mL)に−78℃において1.6mol/Lのブチルリチウムヘキサン溶液(13mL)を窒素気流下にて滴下した。滴下終了後、同温度にて1時間攪拌した。ここに、−78℃にて2−tert−ブチルアントラキノン2.8g(11mmol)の脱水エーテル溶液(40mL)を滴下し、その後この溶液をゆっくり室温まで昇温した。24時間室温で攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン酢酸エチル)によって精製し、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンを5.5g、収率は90%で得た。(合成スキーム(Y−1))
なお、合成例2で記載の上記ステップ1(1)で得られた固体の1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=1.31(s、9H)、2.81(s、1H)、2.86(s、1H)、6.82−6.86(m、4H)、7.13−7.16(m、4H)、7.36−7.43(m、3H)、7.53−7.70(m、4H)。
(2)9,10−ジ(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:BPA)の合成。
合成例2で記載のステップ1(1)で得られた9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン987mg(1.6mmol)、ヨウ化カリウム664mg(4.0mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物を1.48g(14mmol)、氷酢酸12mLを混合し、この混合物を大気下にて2時間還流した。還流後混合物を室温まで冷ましたのち、生じた析出物を濾過し、得られた固体をメタノール約50mLで洗浄した。得られた固体を乾燥させて乳白色粉末の9,10−ジ(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:BPA)を700mg、収率は82%で得た。(合成スキーム(Y−2))
なお、合成例2で記載の上記ステップ1(2)で得られた固体の1H NMRと13C NMRとを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=1.28(s、9H)、7.25−7.37(m、6H)、7.44−7.48(m、1H)7.56−7.65(m、4H)、7.71−7.76(m、4H)。13C NMR(74MHz、CDCl3):δ(ppm)=30.8、35.0、120.8、121.7、121.7、124.9、125.0、125.2、126.4、126.6、126.6、128.3、129.4、129.7、129.9、131.6、131.6、133.0、133.0、135.5、135.7、138.0、138.1、147.8。
[ステップ2]3,3’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzBPA)の合成
200mL三口フラスコ中にて、合成例2で記載のステップ1(1)〜(2)で得られた9,10−ジ(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:BPA)を1.6g(3.0mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を1.7g(6.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(略称:Pd(OAc)2)を13mg(60μmol)、トリス(オルト−トリル)ホスフィン(略称:P(o−tolyl)3)を36mg(120μmol)、炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を5mL(10mmol)、トルエンを20mL、エタノールを5mL、窒素雰囲気下で90℃にて5.5時間加熱を行った。この混合物を室温まで冷ました後、トルエン200mLを加えてからフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、シリカゲル、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、シリカゲル、アルミナ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて精製した。得られた固体に酢酸エチル、メタノールを加えて超音波を照射したところ、淡黄色粉末の目的物である3,3’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzBPA)を1.8g、収率67%で得た。(合成スキーム(Y−3))
PCzBPAの1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=1.31(s、9H)、7.32−7.90(m、31H)、7.99(t、J=7.8、4H)、8.25−8.29(m、2H)、8.57(d、J=8.1、2H)。
(合成例3)
次に、実施例1で使用した9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:PA)の合成
(1)9−フェニルアントラセンの合成。
9−ブロモアントラセン5.4g(21mmol)、フェニルボロン酸2.6g(21mmol)、酢酸パラジウム(II)(略称:Pd(OAc)2)60mg(0.2mmol)、炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)10mL(20mmol)、トリス(オルト−トリル)ホスフィン(略称:P(o−tolyl)3)260mg(0.8mmol)、エチレングリコールジメチルエーテル20mLを200mL三口フラスコに入れ、窒素気流下にて80℃で、9時間撹拌した。攪拌後、析出した固体を吸引ろ過で回収してから、トルエンに溶かしフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通してろ過をした。得られたろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。この懸濁液を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮したところ目的物である9−フェニルアントラセンの淡褐色固体を22g、収率85%で得た。(合成スキーム(X−1))
(2)9−ブロモ−10−フェニルアントラセンの合成。
上記(合成例3)ステップ1(1)で得られた9−フェニルアントラセン6.0g(24mmol)を四塩化炭素80mLに溶かし、この溶液へ滴下ロートから臭素3.8g(21mmol)を四塩化炭素10mLで溶かした溶液を滴下撹拌した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。撹拌後、得られた溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてから、有機層を水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた固体をトルエンに溶かし、この溶液をフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通してろ過を行なった。得られたろ液を濃縮し、ジクロロメタン、ヘキサンの混合溶媒により再結晶を行なったところ、目的物である9−ブロモ−10−フェニルアントラセンの淡黄色固体を7.0g、収率89%で得た。(合成スキーム(X−2))
(3)9−ヨード−10−フェニルアントラセンの合成。
窒素気流下にて、上記(合成例3)ステップ1(2)で得られた9−ブロモ−10−フェニルアントラセン3.3g(10mmol)をテトラヒドロフラン(略称:THF)80mLに溶かし、この溶液を−78℃にした。この溶液へ滴下ロートから、n−ブチルリチウム(略称:n−BuLi)(1.6mol/L ヘキサン溶液)7.5mL(12mmol)を滴下し、滴下後同温度で1時間撹拌した。攪拌後ヨウ素5.0g(20mmol)をTHF20mLに溶かした溶液を加え、−78℃でさらに2時間撹拌した。攪拌後、室温に戻してからこの溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてから、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を濾過し、ろ液を濃縮し、得られた固体をエタノールにより再結晶したところ目的物である9−ヨード−10−フェニルアントラセンの淡黄色固体を3.1g、収率83%で得た。(合成スキーム(X−3))
(4)9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:PA)の合成。
上記(合成例3)ステップ1(3)で得られた9−ヨード−10−フェニルアントラセン1.0g(2.6mmol)、p−ブロモフェニルボロン酸540mg(2.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(略称:Pd(PPh3)4)46mg(30μmol)、(2.0mol/L 炭酸カリウム水溶液)3.0mL(6.0mmol)、トルエン10mLの混合物を窒素気流下80℃にて、9時間撹拌した。攪拌後、この混合物にトルエンを加えてからフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通してろ過をした。得られたろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮し、得られた固体をクロロホルム、ヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ目的物である9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(略称;PA)の淡褐色固体を560mg、収率45%で得た。(合成スキーム(X−4))
[ステップ2]4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニルボロン酸の合成
500mL三口フラスコに、上記(合成例3)ステップ1(1)〜(4)で得られた9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン20g(49mmol)、テトラヒドロフラン(略称:THF)300mLを加え、窒素気流下、−78℃にて撹拌した。ここに、n−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)34mL(54mmol)を滴下し、同温度で2時間攪拌した。攪拌後、この溶液にホウ酸トリメチル13mL(110mmol)を加え、室温にて24時間撹拌した。攪拌後、この混合物を室温に戻してから1.0mol/L塩酸200mLを加え、1時間撹拌した。この混合物の有機層を水で洗浄して、有機層と水層とに分け、得られた水層を酢酸エチルで抽出した。この抽出溶液を有機層と合わせて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過し、得られたろ液を濃縮して固体を得た。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒により再結晶したところ、目的物である4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニルボロン酸の白色粉末状固体を15g、収率84%で得た。(合成スキーム(X−5))
[ステップ3]3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成
1000mL三角フラスコに、9−フェニル−9H−カルバゾールを24g(100mmol)、N−ブロモこはく酸イミドを18g(100mmol)、トルエンを450mL、酢酸エチルを200mL加えて、この溶液を室温にて45時間撹拌した。攪拌後得られた混合物を、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をろ過し、得られたろ液を濃縮、乾燥したところ、目的物の褐色油状物である3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを32g、収率99%で得た。(合成スキーム(X−6))
[ステップ4]9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)の合成
100mL三口フラスコに、上記(合成例3)ステップ2で得られた4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニルボロン酸を2.6g(7.0mmol)、上記(合成例3)ステップ3で得られた3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを2.3g(7.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(略称:Pd(OAc)2)を2.0mg(10μmol)、トリス(オルト−トリル)ホスフィン(略称:P(o−tolyl)3)を6.0mg(20μmol)、炭酸カリウム水溶液(2mol/L)を5mL(10mmol)、エチレングリコールジメチルエーテル(略称:DME)を20mL、窒素気流下で90℃にて6.5時間加熱を行った。この混合物を室温まで冷ました後、トルエン200mLを加えてからフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過を行った。得られたろ液を濃縮し、得られた物質にアセトンとメタノールを加えこの溶液に超音波を照射したところ淡黄色粉末の目的物である9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)を3.8g、収率95%で得た。(合成スキーム(X−7))
なお、PCzPAの1H NMRを測定した。以下に測定データを示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)=7.32−7.98(m、27H)、8.25(d、J=7.8Hz、1H)、8.55(d、J=1.5Hz、1H)。
(合成例4)
次に、実施例1で使用した9−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(mCzPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−(3−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(mPAユニット)の合成
9−(3−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(mPAユニット)の合成スキームを(J−3)に示す。
300mL三口フラスコに2.5g(6.6mmol)の(合成例3)[ステップ1](1)〜(3)で得られた9−ヨード−10−フェニルアントラセンと、1.3g(6.6mmol)の3−ブロモフェニルボロン酸を入れた。このフラスコ内を窒素置換してから、5.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)と、40mLのトルエンを加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。脱気後、この混合物に0.38g(0.33mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を入れ、この混合物を窒素気流下、100℃で15時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層とを合わせて飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮した後、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引濾過し得られたろ液を濃縮したところ、淡褐色油状物を得た。得られた油状物をトルエン/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の淡黄色粉末を1.3g、収率50%で得た。
[ステップ2]9−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(mCzPA)の合成
9−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(mCzPA)の合成スキームを(J−4)に示す。
200mL三口フラスコに、1.3g(3.3mmol)の9−(3−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(mPA)と、0.55g(3.3mmol)の9H−カルバゾールと、0.63g(6.6mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ40mLのトルエンと、0.40mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この混合物へ95mg(0.17mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で8時間攪拌した。攪拌後、この混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して、淡黄色油状物を得た。得られた油状物をトルエン/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の淡黄色固体を1.2g、収率71%で得た。
得られた化合物の質量分析結果を下記に示す。
ESI MS:m/z=496[M+H]+
得られた物質の1H NMRを測定したところ、この化合物が9−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(mCzPA)であることを確認した。以下に測定データを示す。1H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ=7.30(t,J=4.5Hz,2H),7.43−7.69(m,17H),7.80(d,J=8.7Hz,2H),7.89(d,J=7.8Hz,1H),7.98,(t,J=7.5Hz,1H),8.26(d,J=10.2Hz,2H)。また、1H NMRチャートを図20(A)、図20(B)に示す。なお、図20(B)は、図20(A)における7.0ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、mCzPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図21に示す。また、mCzPAの薄膜の吸収スペクトルを図22に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、溶液のスペクトルは石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを、薄膜のスペクトルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図21および図22に示した。図21および図22において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では396、375、357、341nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では402、381、361、344、331、294nm付近に吸収が見られた。また、mCzPAのトルエン溶液(励起波長375nm)の発光スペクトルを図23に示す。また、mCzPAの薄膜(励起波長400nm)の発光スペクトルを図24に示す。図23および図24において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では411nm(励起波長375nm)、薄膜の場合で443nm(励起波長400nm)であった。
また、薄膜状態のmCzPAを大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、HOMO準位が−5.82eVであるとわかった。さらに、図22のmCzPAの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.96eVであった。HOMO準位の値と、エネルギーギャップから、LUMO準位を見積もったところ−2.86eVであった。
(合成例5)
次に、実施例1で使用した9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2CzPPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2CzPPA)の合成
2CzPPAの合成スキームを(E−1)に示す。
2.0g(4.9mmol)の2−ブロモ−9、10−ジフェニルアントラセンと、1.4g(4.9mmol)の4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニルボロン酸と、0.15g(0.50mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンを100mLの三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、15mLのトルエンと、15mLのエタノールと、10mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、23mg(0.10mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた。この混合物を、100℃で20時間還流した。還流後、この混合物を室温までさました後、約50mLのトルエンを加えてから、濾紙を通してろ過した。得られた混合物を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出した。抽出溶液と、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然ろ過して、得られたろ液を濃縮したところ、淡黄色固体を得た。この固体を、トルエンにより洗浄したところ、目的物の淡黄色粉末状固体を1.5g、収率54%で得た。
得られた、淡黄色粉末状固体1.5gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、アルゴンガスを流量3.0mL/minで流しながら、260℃で2CzPPAを加熱した。昇華精製後、2CzPPAの淡黄色固体を1.4g、回収率94%で得た。
核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2CzPPA)であることを確認した。
2CzPPAの1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3、300MHz):δ=7.30(d、J=6.3Hz、2H)、7.33−7.75(m、21H)、7.77(d、J=8.1Hz、2H)、7.85(d、J=9.0Hz、1H)、8.01(d、J=2.1Hz、1H)、8.15(d、J=7.8Hz、2H)。
(合成例6)
次に、実施例1で使用した9−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2CzPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2CzPA)の合成
合成例5のステップ1で使用した、1.5g(3.7mmol)の2−ブロモ−9、10−ジフェニルアントラセンと、610mg(3.7mmol)の9H−カルバゾールと、1.5g(16mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを100mLの三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、20mLのトルエンと、0.10mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、58mg(0.10mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合物を、110℃で5時間還流した。還流後、この混合物を室温までさまして、約20mLのトルエンを加えてから、アルミナ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通してろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、淡褐色油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒は、ヘキサン:トルエン=6:4の混合溶媒)により精製し、得られた淡黄色固体をエタノールにより再結晶したところ、淡黄色粉末状固体を1.7g、収率93%で得た。得られた淡黄色粉末状固体1.6gを圧力8.7Pa、アルゴンガスを流量3.0mL/minで流しながら、230℃で加熱し昇華精製を行った(トレインサブリメーション法)。昇華精製後、淡黄色固体を1.5g回収率93%で得た。ステップ3の合成スキームを(F−3)に示す。
得られた淡黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)によって1H NMRを測定し、この淡黄色固体が目的物である9−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2CzPA)であることを確認した。以下に測定データを示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.37−7.44(m、8H)、7.51−7.66(m、11H)、7.73−7.76(m、2H)、7.88(d、J=1.8Hz、1H)、7.91(d、J=9.3Hz、1H)、8.11(d、J=7.8Hz、2H)
(合成例7)
次に、実施例1で使用した3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:2PCzPA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]2PCzPAの合成
2PCzPAの合成スキームを(G−4)に示す。
1.5g(3.7mmol)の2−ブロモ−9、10−ジフェニルアントラセンと、1.1g(3.7mmol)の4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニルボロン酸と、0.16g(0.50mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンを100mLの三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、20mLのトルエンと、10mLのエタノールと、13mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、28mg(0.10mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた。この混合物を、110℃で12時間還流した。還流後、この混合物を室温までさました後、約20mLのトルエンを加えてから、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過した。得られた混合物の有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然ろ過して、得られたろ液を濃縮したところ、褐色油状物を得た。この油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=7:3)により精製し、得られた淡黄色固体をエタノールにより再結晶したところ、淡黄色粉末状固体を1.2g、収率58%で得た。
得られた、淡黄色粉末状固体1.2gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力8.7Pa、アルゴンガスを流量3.0mL/minでながしながら、280℃で2PCzPAを加熱した。昇華精製後、2PCzPAの淡黄色固体を0.83g回収率74%で得た。
核磁気共鳴測定(NMR)によって、得られた淡黄色固体が3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:2PCzPA)であることを確認した。
2PCzPAの1H NMRデータを以下に示す。1H NMR(CDCl3、300MHz):δ=7.30−7.34(m、3H)、7.41−7.49(m、4H)、7.53−7.65(m、15H)、7.70−7.74(m、2H)、7.79−7.84(m、2H)、7.98(s、1H)、8.15(d、J=7.8Hz、1H)、8.31(d、J=2.1Hz、1H)。
(合成例8)
次に、実施例1で使用した9−[9,10−ビス(2−ビフェニル)−2−アントリル]−9H−カルバゾール(略称:2CzBPhA)の合成方法を記載する。
[ステップ1]9−[9,10−ビス(2−ビフェニル)−2−アントリル]−9H−カルバゾール(略称:2CzBPhA)の合成
2CzBPhAの合成スキームを(H−1)に示す。
2.0g(3.5mmol)の国際公開第2007/125934号パンフレットに従って合成した2−ブロモ−9,10−ビス(2−ビフェニル)アントラセンと、0.60g(3.5mmol)の9H−カルバゾールと、2.0g(21mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ30mLのトルエンと0.1mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン10%ヘキサン溶液を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。脱気後、混合物へ20mg(0.035mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えてから、この混合物を100℃で3時間撹拌した。攪拌後、析出した固体を吸引濾過により回収した。得られた固体をトルエンにとかしてからこの溶液を、水、飽和食塩水の順に洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然濾過し、得られたろ液を濃縮したところ固体を得た。この固体をトルエンに溶かしてから、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引ろ過し、得られたろ液を濃縮した。得られた固体をジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の淡黄色粉末状固体を2.0g、収率83%で得た。
2CzBPhA500mgをトレインサブリメーション法により昇華精製をした。昇華精製は、圧力200Paにおいて、アルゴンガスを15.0mL/minで流しながら、材料を350℃で加熱して行った。昇華精製後、2CzBPhAを450mg回収し、回収率は90%であった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いて、2CzBPhAの熱物性を測定し、結晶化温度(Tg)102℃を得た。
また、2CzBPhAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図25に示す。また、2CzBPhAの薄膜の吸収スペクトルを図26に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、溶液のスペクトルは石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを、薄膜のスペクトルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図25および図26に示した。図25および図26において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では341、379、406nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では411nm付近に吸収が見られた。また、2CzBPhAのトルエン溶液(励起波長330nm)の発光スペクトルを図27に示す。また、2CzBPhAの薄膜(励起波長411nm)の発光スペクトルを図28に示す。図27および図28において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では441、460nm(励起波長330nm)、薄膜の場合で451nm(励起波長411nm)であった。
また、薄膜状態の2CzBPhAを大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、HOMO準位は−5.57eVであった。さらに、図26の2CzBPhAの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.82eVであった。HOMO準位の値と、エネルギーギャップから、LUMO準位を見積もったところ−2.75eVであった。
また、2CzBPhAの酸化還元反応特性を測定した。酸化還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−Bu4NClO4)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
2CzBPhAの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.03Vから1.20Vまで変化させた後、1.20Vから−0.03Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
2CzBPhAの還元反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.41Vから−2.30Vまで変化させた後、−2.30Vから−0.41Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図29に2CzBPhAの酸化側のCV測定結果を、図30に還元側のCV測定結果を示す。図29及び図30において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図29から、+0.96V付近(vs.Ag/Ag+電極)に酸化を示す電流が観測された。図30から、−2.08V付近(vs.Ag/Ag+電極)に還元を示す電流が観測された。