JP2007284431A - 芳香族アミン化合物、および芳香族アミン化合物を用いた発光素子、発光装置、電子機器 - Google Patents

芳香族アミン化合物、および芳香族アミン化合物を用いた発光素子、発光装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】新規芳香族アミン化合物、発光効率の高い発光素子および発光装置、電子機器の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される芳香族アミン化合物および当該化合物を用いて形成された発光素子、発光装置、電子機器。
Figure 2007284431

(式中、R1およびR2はそれぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、A1は炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar1は炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは置換されていてもよいアリール置換基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン化合物を用いた発光素子、発光装置、電子機器に関する。
近年、発光性の化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
このような発光素子は、例えば0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間は1μ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
例えば、非特許文献1では、青色の発光材料を用いた発光素子について記載されている。
Meng−Huan Ho,Yao−Shan Wu and Chin H. Chen, 2005 SID International Symposium Digest of Technical Papers, Vol.XXXVI. p802−805
非特許文献1に記載の発光素子では、発光層と接する層として、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)が用いられている。しかしながら、NPBは一重項励起エネルギーが低く、励起状態の発光材料からエネルギーが移動してしまう可能性がある。特に、短波長である青色を発光する発光材料の場合には、励起状態のエネルギー準位が高いため、NPBへエネルギーが移動してしまう可能性がより高い。NPBへエネルギーが移動してしまうと、発光素子の発光効率が低下してしまうという問題があった。
よって、本発明は、新規芳香族アミン化合物を提供することを目的とする。
また、発光効率の高い発光素子および発光装置、電子機器を提供することを目的とする。
本発明の一は、一般式(1)で表される芳香族アミン化合物である。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(1−1)〜一般式(1−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−1)〜一般式(1−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(1)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(3)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−1)〜一般式(3−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
より好ましくは、一般式(5)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(5−1)〜一般式(5−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−1)〜一般式(5−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
さらに好ましくは、一般式(7)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(7−1)〜一般式(7−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−1)〜一般式(7−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
また、一般式(9)または一般式(10)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R30は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物である。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(2−1)〜一般式(2−2)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(2−1)〜一般式(2−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(2)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(4−1)〜一般式(4−2)のいずれかで表される置換基を表し、一般式(4−1)〜一般式(4−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
より好ましくは、一般式(6)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(6−1)〜一般式(6−2)のいずれかで表される置換基を表し、一般式(6−1)〜一般式(6−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
さらに好ましくは、一般式(8)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(8−1)〜一般式(8−2)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(8−1)〜一般式(8−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
また、一般式(11)または一般式(12)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一対の電極間に、上記の芳香族アミン化合物を有する発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に、発光層と、上記の芳香族アミン化合物を含む層を有し、芳香族アミン化合物を含む層は、前記発光層と接することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に、発光層と、上記の芳香族アミン化合物を有し、芳香族アミン化合物は、発光層に含まれていることを特徴とする発光素子である。
上記構成において、発光層は、燐光を発光する燐光材料を含むことを特徴とする。特に、緑色の発光をする燐光材料を含む場合、より本発明の効果を得ることができる。
また、上記構成において、発光層は、蛍光を発光する蛍光材料を含むことを特徴とする。特に、青色の発光をする蛍光材料を含む場合、より本発明の効果を得ることができる。
また、本発明の発光装置は、上記の芳香族アミン化合物を含む発光素子と、発光素子の発光を制御する制御手段を有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の芳香族アミン化合物は、バンドギャップが大きく、発光材料に接する層に用いることができる。また、発光材料を分散させるための材料として用いることができる。本発明の芳香族アミン化合物を発光材料に接するように設けることにより、発光材料の励起エネルギーの移動を防ぐことができ、発光効率を向上させることができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起されても、本発明の芳香族アミン化合物から発光材料にエネルギーが移動することができ、発光効率を向上させることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物を発光素子、発光装置、電子機器に用いることにより、発光効率の高い発光素子、発光装置、電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の芳香族アミン化合物について説明する。
本発明の芳香族アミン化合物は、一般式(1)で表される芳香族アミン化合物である。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(1−1)〜一般式(1−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−1)〜一般式(1−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(13−1)〜構造式(13−12)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(1)において、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造式(14−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(1)において、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。具体的には、構造式(15−1)〜構造式(15−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(1)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(3)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−1)〜一般式(3−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
より好ましくは、一般式(5)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(5−1)〜一般式(5−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−1)〜一般式(5−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
さらに好ましくは、一般式(7)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(7−1)〜一般式(7−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−1)〜一般式(7−4)において、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
また、一般式(9)または一般式(10)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R30は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
また、本発明の芳香族アミン化合物は、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物である。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(2−1)〜一般式(2−2)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(2−1)〜一般式(2−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(13−1)〜構造式(13−12)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(2)において、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造式(14−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(2)において、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。具体的には、構造式(15−1)〜構造式(15−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284431
一般式(2)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(4−1)〜一般式(4−2)のいずれかで表される置換基を表し、一般式(4−1)〜一般式(4−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
より好ましくは、一般式(6)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(6−1)〜一般式(6−2)のいずれかで表される置換基を表し、一般式(6−1)〜一般式(6−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
さらに好ましくは、一般式(8)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(8−1)〜一般式(8−2)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(8−1)〜一般式(8−2)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
また、一般式(11)または一般式(12)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
Figure 2007284431
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
本発明の芳香族アミン化合物の具体例としては、構造式(21)〜(119)に示される芳香族アミン化合物を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007284431
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一般式(1)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、合成スキーム(A−1)および合成スキーム(B−1)〜合成スキーム(B−4)で表される合成方法によって合成することができる。
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まず、カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物A)と芳香族化合物のジハロゲン化物とを金属触媒を用いたカップリング反応により反応させて、N−(ハロゲン化アリール)カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物B)を合成した後、さらにパラジウムなどの金属触媒を用いてアリールアミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Cを得る。合成スキーム(A−1)において、芳香族化合物のジハロゲン化物のハロゲン元素(X、X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、XとXとは、同じであっても異なっていてもよい。また、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、芳香族化合物は、炭素数6〜25の化合物であることが好ましい。また、アリールアミンは、炭素数6〜25のアリールアミンであることが好ましい。
パラジウム触媒を用いたカップリング反応または銅を用いたウルマン反応により、化合物Cと、フルオレン誘導体のハロゲン化物またはビフェニル誘導体のハロゲン化物とを反応させ、本発明の芳香族アミン化合物を合成することができる。
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合成スキーム(B−1)〜合成スキーム(B−4)において、X〜Xは、それぞれ、ハロゲン原子を表す。また、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R13〜R19およびR21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
また、合成スキーム(B−1)〜合成スキーム(B−4)において、一般式(1−1a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるαが一般式(1−1)である場合に対応し、一般式(1−2a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるαが一般式(1−2)である場合に対応し、一般式(1−3a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるαが一般式(1−3)である場合に対応し、一般式(1−4a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるαが一般式(1−4)である場合に対応する。
合成スキーム(B−1)において、フルオレン誘導体のハロゲン化物と、化合物Cとをパラジウム触媒を用いてカップリング反応を行う、または、銅を用いたウルマン反応によりカップリングさせることで、一般式(1−1a)で表される化合物を合成することができる。フルオレン誘導体のハロゲン化物のハロゲン元素は、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
同様に、合成スキーム(B−2)〜合成スキーム(B−4)において、ビフェニル誘導体のハロゲン化物と、化合物Cとをパラジウム触媒を用いてカップリング反応を行う、または、銅を用いたウルマン反応によりカップリングさせることで、一般式(1−2a)〜一般式(1−4a)で表される化合物を合成することができる。ビフェニル誘導体のハロゲン化物のハロゲン元素は、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
また、一般式(2)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、合成スキーム(B−5)〜合成スキーム(B−6)で表される合成方法によって合成することができる。
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合成スキーム(B−5)〜合成スキーム(B−6)において、X〜Xは、それぞれ、ハロゲン原子を表す。また、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58およびR61〜R68は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
また、(B−5)〜合成スキーム(B−6)において、一般式(2−1a)で表される化合物は、上述した一般式(2)におけるαが一般式(2−1)である場合に対応し、一般式(2−2a)で表される化合物は、上述した一般式(2)におけるαが一般式(2−2)である場合に対応する。
合成スキーム(B−5)において、フルオレン誘導体のハロゲン化物と、化合物Cとをパラジウム触媒を用いてカップリング反応を行う、または、銅を用いたウルマン反応によりカップリングさせることで、一般式(2−1a)で表される化合物を合成することができる。フルオレン誘導体のハロゲン化物のハロゲン元素は、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
同様に、合成スキーム(B−6)において、ビフェニル誘導体のハロゲン化物と、化合物Cとをパラジウム触媒を用いてカップリング反応を行う、または、銅を用いたウルマン反応によりカップリングさせることで、一般式(2−2a)で表される化合物を合成することができる。ビフェニル誘導体のハロゲン化物のハロゲン元素は、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
また、合成スキーム(B−5)〜(B−6)において、化合物Cをハロゲン化物に対して2等量反応させることにより、一般式(2)の本発明の芳香族アミン化合物を一段階の反応で得ることができる。
上述した合成スキームにおいて、パラジウム触媒を用いたカップリング反応は、トリ(tert−ブチル)ホスフィン((tert−Bu)P)を配位子として用いることができる。Pd触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(略称:Pd(dba))と(tert−Bu)Pを混合することにより、(tert−Bu)Pがビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)に配位した触媒を用いることができる。なお、パラジウム触媒を用いる場合の配位子として、(tert−Bu)P以外の配位子を用いても構わない。例えば、(tert−Bu)P以外にもDPPFを用いることができる。また、パラジウム触媒としては、Pd(dba)、パラジウム ジアセテート(Pd(OAc))等を用いることができる。好ましくは、Pd(dba)を用いると良い。反応温度は、室温から130℃が好ましい。より好ましくは、加熱温度を60℃から110℃とすることが好ましい。なお、dbaとはtrans,trans−dibenzylideneacetoneを示す。また、DPPFとは、1,1―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを示す。溶媒としては、トルエンやキシレン等を用いることができる。塩基としてはtert−BuONa等のアルカリ金属アルコキシドや、炭酸カリウム(KCO)等の塩基を用いることができる。
本発明の芳香族アミン化合物は、バンドギャップが大きいため、短波長の発光を示す発光材料のホスト材料として用いることができる。また、短波長の発光を示す発光材料と接する層に用いることができる。
より具体的には、本発明の芳香族アミン化合物は、青色などの短波長の蛍光を示す蛍光材料に対してホスト材料として用いることが有効である。また、短波長の蛍光を示す蛍光材料が含まれる層に接する層に用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位および一重項準位が高いため、励起された蛍光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、蛍光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位または一重項準位から蛍光材料へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。なお、本発明の芳香族アミン化合物を、蛍光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本発明の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す蛍光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
また、具体的には、本発明の芳香族アミン化合物は、緑色などの比較的短波長の燐光を示す燐光材料に対してホスト材料として用いることが有効である。また、比較的短波長の燐光を示す燐光材料が含まれる層に接する層に用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位が高いため、励起された燐光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、燐光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位から燐光材料の三重項準位へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。なお、本発明の芳香族アミン化合物を、燐光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本発明の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す燐光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
特に、本発明の芳香族アミン化合物のうち、非対称構造である一般式(1)で表される芳香族アミン化合物は、よりバンドギャップが大きいため好ましい。また、三重項準位も高いため好ましい。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れている。よって、発光素子の正孔輸送層として用いることができ、良好な特性を有する発光素子を得ることができる。
また、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物は耐熱性に優れている。よって、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物を用いることにより、耐熱性に優れたデバイスを得ることができる。
(実施の形態2)
本発明の芳香族アミン化合物を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
基板101上は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等が挙げられる。
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
また、第1の層103として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
また、第1の層103として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。実施の形態1で示した本発明の芳香族アミン化合物は正孔輸送性に優れているため、第2の層104に好適に用いることができる。本発明の芳香族アミン化合物を第2の層104に用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
第3の層105は、発光性の物質を含む層である。発光性の物質については、特に制限させることなく各種のものが使用できる。例えば、蛍光を発光する蛍光材料としては、クマリン6やクマリン545Tなどのクマリン誘導体、N,N’−ジメチルキナクリドンやN、N’−ジフェニルキナクリドンなどのキナクリドン誘導体、N−フェニルアクリドンやN−メチルアクリドンなどのアクリドン誘導体、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPhA)、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)などの縮合芳香族化合物、4−ジシアノメチレン−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピランなどのピラン誘導体、4−(2,2−ジフェニルビニル)トリフェニルアミン、9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)などのアミン誘導体などが挙げられる。燐光を発光する燐光材料としては、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac)),ビス{2−(p−トリル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(tpy)(acac))、ビス{2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス{2−(4、6−ジフルオロフェニル)ピリジナト}イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)などのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金錯体(pt(OEP))などの白金錯体、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリントリス(2−テノイルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)などの希土類錯体などが挙げられる。
本発明は、第3の層105に含まれる発光性の物質が青色の蛍光を発光する材料であるときに効果的である。具体的には、上述したt−BuDNA、DPhA、TBP、YGAPAなどの青色を発光する蛍光材料を用いることが好ましい。
また、本発明は、第3の層105に含まれる発光性の物質が緑色の燐光を発光する材料であるときに効果的である。具体的には、上述したIr(ppy)、Ir(ppy)(acac)、Ir(tpy)(acac)などの緑色を発光する燐光材料、FIrpicなどの青緑色を発光する燐光材料を用いることが好ましい
また、第3の層105は上述した発光性の物質を分散させて構成してもよい。発光性の物質を分散させるための材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりもLUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質を用いることが好ましい。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:YGAO11)等を用いることができる。また、発光性の物質を分散させるための材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極107からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法の他、例えばインクジェット法またはスピンコート法などの種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明の芳香族アミン化合物と自由に組み合わせて構成すればよい。
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本発明の芳香族アミン化合物は、バンドギャップが大きいため、発光素子に適用することにより、良好な特性を有する発光素子を得ることができる。
本発明の芳香族アミン化合物は、短波長の蛍光を示す蛍光材料が含まれる層に接する層に用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位および一重項準位が高いため、励起された蛍光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、蛍光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位または一重項準位から蛍光材料へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。なお、本発明の芳香族アミン化合物を、蛍光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本発明の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す蛍光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、比較的短波長の燐光を示す燐光材料が含まれる層に接する層に用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位が高いため、励起された燐光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、燐光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位から燐光材料の三重項準位へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。なお、本発明の芳香族アミン化合物を、燐光材料が含まれる層に接する層に用いる場合には、発光領域が本発明の芳香族アミン化合物を含む層と距離が近くなるようにするとより効果的である。また、より長波長の発光を示す燐光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
特に、本発明の芳香族アミン化合物のうち、非対称構造である一般式(1)で表される芳香族アミン化合物は、よりバンドギャップが大きいため好ましい。また、三重項準位も高いため好ましい。
また、本発明の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れている。よって、発光素子の正孔輸送層として用いることができ、良好な特性を有する発光素子を得ることができる。
また、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物は耐熱性に優れている。よって、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物を用いることにより、耐熱性に優れたデバイスを得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本発明の芳香族アミン化合物はバンドギャップが大きく、三重項準位および一重項準位が高いため、発光性の材料を分散させるためのホストとして用いることができる。つまり、実施の形態2で示した第3の層105に用いることができる。本発明の芳香族アミン化合物に分散する発光性の物質としては、種々の蛍光材料、燐光材料を用いることができる。
本発明の芳香族アミン化合物を第3の層105に用いた場合、第2の層104を形成する物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、種々の芳香族アミン化合物を用いることができる。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
本発明の芳香族アミン化合物は、バンドギャップが大きいため、短波長の発光を示す発光材料のホスト材料として用いることができる。
本発明の芳香族アミン化合物は、青色などの短波長の蛍光を示す蛍光材料に対してホスト材料として用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位および一重項準位が高いため、励起された蛍光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、蛍光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位または一重項準位から蛍光材料へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、より長波長の発光を示す蛍光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、緑色などの比較的短波長の燐光を示す燐光材料に対してホスト材料として用いることが有効である。なぜならば、本発明の芳香族アミン化合物は三重項準位が高いため、励起された燐光材料からの本発明の芳香族アミン化合物へのエネルギー移動が起こりにくい。よって、燐光材料の励起エネルギーを効率よく発光として取り出すことができる。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合、励起された芳香族アミン化合物の三重項準位から燐光材料の三重項準位へエネルギー移動することが可能であり、発光素子の発光効率を向上させることができる。また、より長波長の発光を示す燐光材料であれば、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
特に、本発明の芳香族アミン化合物のうち、非対称構造である一般式(1)で表される芳香族アミン化合物は、よりバンドギャップが大きいため好ましい。また、三重項準位も高いため好ましい。
また、本発明の発光素子は、発光効率が高いため、消費電力を低減することができる。
また、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物は耐熱性に優れている。よって、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物を用いることにより、耐熱性に優れたデバイスを得ることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態2で示した第3の層105に本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、本発明の芳香族アミン化合物からの発光を得ることができる。本発明の芳香族アミン化合物は紫〜青色の発光を示すため、紫〜青色の発光を示す発光素子を得ることができる。
第3の層105は、本発明の芳香族アミン化合物のみで構成してもよいし、本発明の芳香族アミン化合物を他の物質に分散させて構成してもよい。本発明の芳香族アミン化合物を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)などが挙げられる。
本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高いため、発光素子に用いることで、耐熱性に優れた発光素子を得ることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返しても安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2〜実施の形態3に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態4で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
本発明の芳香族アミン化合物は正孔注入性を有するため、実施の形態2で示した第1の層103に用いることができる。また、本発明の芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合した複合材料を第1の層103に用いることができる。複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
本発明の芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。また、第1の層103として本発明の芳香族アミン化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
本発明の芳香族アミン化合物を第1の層103に用いた場合、第2の層104を形成する物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物を用いることができる。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
また、本発明の芳香族アミン化合物を、第1の層103および第2の層104として用いてもよい。
本発明の芳香族アミン化合物は、正孔注入性を有するため、発光素子の正孔注入層として用いることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高いため、発光素子に用いることで、耐熱性に優れた発光素子を得ることができる。
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返しても安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
なお、第1の層103以外は、実施の形態2〜実施の形態4に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図9を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとしては、実施の形態2で示した発光物質を含む層と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
図9において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2〜実施の形態5と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2で示した有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低くい発光装置を実現することができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置について説明する。
本実施の形態では、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面図、図3(B)は図3(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した本発明の芳香族アミン化合物を含んでいる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF等)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、発光効率の高い発光装置を得ることができる。
また、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物は耐熱性に優れている。よって、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物を用いることにより、耐熱性に優れた発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図4には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図4において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、発光効率の高い本発明の発光素子を含むことによって、発光効率の高い発光装置を得ることができる。また、耐熱性に優れた発光装置を得ることができる。また、発光効率が高いため、消費電力を低減することも可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示した本発明の芳香族アミン化合物を含み、耐熱性が高い表示部を有する。また、発光効率の高い表示部を有する。また、発光効率が高いため、消費電力を低減できるという効果もある。
本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図5に示す。
図5(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
図5(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
図5(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
図5(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高いという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、発光効率が高く、耐熱性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図6に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率の高いバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の発光装置は耐熱性に優れているため、本発明の発光装置を用いた液晶表示装置も耐熱性に優れている。
図7は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図7に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
図8は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図5(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
本実施例では、構造式(21)で表されるN−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミン(略称:YGAF)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
[ステップ1]
9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)の合成方法について説明する。
(i)N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成
N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成スキーム(C−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
まず、N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成方法について説明する。300mLの三口フラスコに、1,4−ジブロモベンゼンを56.3g(0.24mol)、カルバゾールを31.3g(0.18mol)、よう化銅を4.6g(0.024mol)、炭酸カリウムを66.3g(0.48mol)、18−クラウン−6−エーテルを2.1g(0.008mol)入れ、窒素置換し、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を8mL加え、180℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷ましてから、吸引ろ過により沈殿物を除去し、ろ液を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。乾燥後、反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して、得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製して得られた固体を、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物であるN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの淡褐色プレート状結晶を20.7g、収率35%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールであることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl):δ=8.14(d,J=7.8Hz,2H),δ=7.73(d,J=8.7Hz,2H),δ=7.46(d,J=8.4Hz,2H),δ=7.42−7.26(m,6H)。
(ii)9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)の合成
YGAの合成スキーム(C−2)を以下に示す。
Figure 2007284431
200mLの三口フラスコに、上記(i)で得たN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールを5.4g(17.0mmol)、アニリンを1.8mL(20.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を100mg(0.17mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを3.9g(40mmol)入れ、窒素置換し、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを50mL加えて、80℃、6時間撹拌した。反応混合物を、フロリジールおよびセライトおよびアルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製したところ目的物である9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)を4.1g、収率73%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d):δ=8.47(s,1H),δ=8.22(d,J=7.8Hz,2H),δ=7.44−7.16(m,14H),δ=6.92−6.87(m,1H)。また、H NMRチャートを図10(A)、(B)に示す。なお、図10(B)は、図10(A)における6.7ppm〜8.6ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ2]
構造式(21)で表されるN−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミン(略称:YGAF)の合成方法について説明する。合成スキームを(D−1)に示す。
Figure 2007284431
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン2.9g(10mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン3.34g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)115mg(0.2mmol)tert−ブトキシナトリウム3.0g(31.2mmol)を300mL三口フラスコへ入れ窒素置換し、トルエン100mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mLを加え、80℃で5時間撹拌した。反応後、反応溶液を、セライトおよびフロリジールおよびアルミナを通してろ過し、ろ液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出した。抽出溶液と有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄してから硫酸マグネシウムにより乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた個体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)により精製したところ目的物の白色固体を、3.6g収率64%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(21)で表されるN−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミン(略称:YGAF)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d):δ=1.40(s、6H)、7.09−7.53(m、20H)、7.75−7.77(m、1H)、7.81(d、J=8.4Hz,1H)、8.23(d、J=7.5Hz,2H)。また、H NMRチャートを図11(A)、(B)に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたYGAF635mgを、アルゴンガスを20.0mL/minで流しながら、200Pa、230℃、12時間昇華精製を行ったところ、YGAFの淡黄色固体485mgが得られ、回収率は76%であった。
なお、YGAFの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、313℃であった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで300℃まで加熱した後、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで300℃まで昇温し、10
℃/minで室温まで冷却することにより、図12のDSCチャートを得た。図12において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、YGAFのガラス転移点(Tg)は91℃であることがわかった。
また、YGAFのトルエン溶液の吸収スペクトルを図13に示す。また、YGAFの薄膜の吸収スペクトルを図14に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図13および図14に示した。図13および図14において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では326〜362nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では343nm付近に吸収が見られた。また、YGAFのトルエン溶液(励起波長340nm)の発光スペクトルを図15に示す。また、YGAFの薄膜(励起波長343nm)の発光スペクトルを図16に示す。図15および図16において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では384nm(励起波長340nm)、薄膜の場合で396nm(励起波長343nm)であった。
また、YGAFの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.39eVであった。さらに、図14のYGAFの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.25eVであった。したがって、LUMO準位は−2.14eVである。
また、YGAFの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
YGAFの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.12Vから0.8Vまで変化させた後、0.8Vから−0.12Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
YGAFの酸化反応特性について調べた結果を図17に示す。図17において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。
図17から、0.62V付近(vs.Ag/Ag電極)に酸化を示す電流が観測された。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の芳香族アミン化合物は酸化反応および引き続く還元反応(すなわち酸化の繰り返し)に対して極めて安定であることが分かった。
また、YGAFの基底状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により計算した。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。
また、DFTで構造最適化した分子構造において時間依存密度汎関数法(TDDFT)のB3LYP/6−311(d,p)を適用することにより、YGAFの三重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出したところ、三重項励起エネルギーは2.70eVと算出された。よって、計算結果から本発明の芳香族アミン化合物は、高い三重項励起エネルギーを有することがわかった。
本実施例では、構造式(52)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGA1BP)の合成方法について説明する。合成スキームを(D−2)に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
4−ブロモビフェニル2.33g(10mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン3.30g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)56mg(0.1mmol)tert−ブトキシナトリウム3.0g(31.2mmol)を300mL三口フラスコへ入れ窒素置換し、トルエン20mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加え、80℃で5時間撹拌した。反応後、反応溶液を、セライトおよびフロリジールおよびアルミナを通してろ過し、ろ液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出した。抽出溶液と有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄してから硫酸マグネシウムにより乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた個体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)により精製し、得られた固体をトルエン、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の粉末状白色固体4.2g収率86%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(52)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGA1BP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ=7.12−7.47(m、18H)、7.53(d、J=8.7Hz、2H)、7.68−7.64(m、4H)、8.23(d、J=7.8Hz、2H)。また、H NMRチャートを図18(A)、(B)に示す。なお、図18(B)は、図18(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたYGA1BP694mgを、アルゴンガスを20.0mL/minで流しながら、200Pa、280℃、5時間昇華精製を行ったところ、YGA1BPの無色固体544mgが得られ、回収率は78%であった。
また、YGA1BPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を、高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いて行った。常圧下で、10℃/minの昇温速度で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、398℃であった。
また、YGA1BPのトルエン溶液の吸収スペクトルを図19に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図19に示した。図19において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では324nm付近に吸収が見られた。また、YGA1BPのトルエン溶液(励起波長340nm)の発光スペクトルを図20に示す。図20において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では387nm(励起波長340nm)であった。
また、YGA1BPの基底状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により計算した。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。
また、DFTで構造最適化した分子構造において時間依存密度汎関数法(TDDFT)のB3LYP/6−311(d,p)を適用することにより、YGA1BPの三重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出したところ、三重項励起エネルギーは2.87eVと算出された。よって、計算結果から本発明の芳香族アミン化合物は、高い三重項励起エネルギーを有することがわかった。
本実施例では、構造式(71)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)の合成方法について説明する。合成スキームを(D−3)に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
2、7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン1.7g(3.8mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン2.5g(7.6mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)44mg(0.2mmol)、tert−ブトキシナトリウム2.0g(20mmol)を300mL三口フラスコへ入れ窒素置換し、トルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加え、80℃で12時間撹拌した。反応後、反応溶液を、セライトおよびフロリジールおよびアルミナを通してろ過し、ろ液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出した。抽出溶液と有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄してから有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた個体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=6:4)により精製した。得られた化合物をトルエン、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の淡黄色粉末状固体を2.9g収率89%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(71)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d):δ=1.37(s、6H)、7.06−7.51(m、34H)、7.76(d、J=8.4Hz,2H)、8.22(d、J=7.8Hz,4H)。また、H NMRチャートを図21(A)、(B)に示す。なお、図21(B)は、図21(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたYGA2F670mgを、アルゴンガスを3.0mL/minで流しながら、200Pa、420℃の条件で15時間昇華精製を行ったところ、YGA2Fの淡黄色固体511gが得られ、回収率は76%であった。
なお、YGA2Fの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、500℃以上であり、YGA2Fは高いTdを示すことが分かった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで400℃まで加熱した後、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで400℃まで昇温し、10℃/minで室温まで冷却することにより、図22のDSCチャートを得た。図22において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、YGA2Fのガラス転移点(Tg)は150℃であることがわかった。よって、本発明の芳香族アミン化合物は耐熱性に優れていることがわかった。
また、YGA2Fのトルエン溶液の吸収スペクトルを図23に示す。また、YGA2Fの薄膜の吸収スペクトルを図24に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図23および図24に示した。図23および図24において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では327nmおよび377nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では383nm付近に吸収が見られた。また、YGA2Fのトルエン溶液(励起波長340nm)の発光スペクトルを図25に示す。また、YGA2Fの薄膜(励起波長383nm)の発光スペクトルを図26に示す。図25および図26において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では400nmおよび422nm(励起波長340nm)、薄膜の場合で410nmおよび430nmおよび537nm(励起波長383nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、YGA2Fの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.27eVであった。さらに、図24のYGA2Fの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.05eVであった。したがって、LUMO準位は−2.22eVである。
また、YGA2Fの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
YGA2Fの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.31Vから1.0Vまで変化させた後、1.0Vから−0.31Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
YGA2Fの酸化反応特性について調べた結果を図27に示す。図27において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。
図27から、0.40V付近(vs.Ag/Ag電極)に酸化を示す電流が観測された。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の芳香族アミン化合物は酸化反応および引き続く還元反応(すなわち酸化の繰り返し)に対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、構造式(102)で表されるN,N’−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGABP)の合成方法について説明する。合成スキームを(D−4)に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
4,4’−ジヨード−1,1’−ビフェニル2.0g(5.0mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン3.3g (10.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)65mg(0.1mmol)、tert−ブトキシナトリウム2.0g(21.0mmol)を200mL三口フラスコへ入れ、窒素置換をしてからトルエン50mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mLを加えて80℃で6時間攪拌した。反応溶液を室温までさましてから、セライトおよびフロリジールおよびアルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水により洗浄した。混合物を自然ろ過して、硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を濃縮して得られた白色個体を、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の白色粉末状固体を1.8g収率45%で得た。この化合物が構造式(102)で表されるN,N’−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGABP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d):δ=7.12−7.17(m、2H)、7.20−7.30(m、16H)、7.38−7.47(m、12H)、7.52(d、J=8.7Hz,4H)、7.67(d、J=9.0Hz,4H)、8.22(d、J=7.8Hz,4H)。また、H NMRチャートを図28(A)、(B)に示す。なお、図28(B)は、図28(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたYGABP1.8gを、アルゴンガスを3.0mL/minで流しながら7.8Pa、300℃の条件で15時間昇華精製を行ったところ、YGABPの淡黄色固体1.6gが得られ、回収率は89%であった。
また、YGABPの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、500℃以上であり、YGABPは高いTdを示すことが分かった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで350℃まで加熱した後、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで350℃まで昇温し、10℃/minで室温まで冷却することにより、図29のDSCチャートを得た。図29において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、YGABPのガラス転移点(Tg)は144℃であることがわかった。よって、本発明の芳香族アミン化合物は耐熱性に優れていることがわかった。
また、YGABPのトルエン溶液の吸収スペクトルを図30に示す。また、YGABPの薄膜の吸収スペクトルを図31に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図30および図31に示した。図30および図31において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では328nmおよび346nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では349nm付近に吸収が見られた。また、YGABPのトルエン溶液(励起波長350nm)の発光スペクトルを図32に示す。また、YGABPの薄膜(励起波長350nm)の発光スペクトルを図33に示す。図32および図33において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では400nm(励起波長350nm)、薄膜の場合で410nm(励起波長350nm)であった。
また、YGABPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.41eVであった。さらに、図31のYGABPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.13eVであった。したがって、LUMO準位は−2.28eVである。
また、YGABPの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
YGABPの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.2Vから1.0Vまで変化させた後、1.0Vから−0.2Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
YGABPの酸化反応特性について調べた結果を図34に示す。図34において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。
図34から、0.66V付近(vs.Ag/Ag電極)に酸化を示す電流が観測された。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の芳香族アミン化合物は酸化反応および引き続く還元反応(すなわち酸化の繰り返し)に対して極めて安定であることが分かった。
本実施例では、本発明の発光素子について、図35を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
Figure 2007284431
(発光素子1)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に構造式(21)で表されるN−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミン(略称:YGAF)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)と9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、CzPAとYGAPAとの重量比は、1:0.04(=CzPA:YGAPA)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、Alqとリチウムを共蒸着することにより、20nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子1を作製した。
(発光素子2)
正孔輸送層2104として、構造式(71)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子1と同様に形成した。
(発光素子3)
正孔輸送層2104として、構造式(102)で表されるN,N’−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGABP)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子1と同様に形成した。
(比較発光素子4)
正孔輸送層2104として、NPBを10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子1と同様に形成した。
発光素子1〜発光素子3および比較発光素子4の電流密度―輝度特性を図36に示す。また、電圧―輝度特性を図37に示す。また、輝度―電流効率特性を図38に示す。図38からわかるように、本発明の芳香族アミン化合物を用いた発光素子は、高い電流効率を示している。また、図37から、本発明の発光素子は、ある輝度を得るために必要な電圧を低減することができる。つまり、駆動電圧を低減することができる。よって、発光素子の消費電力を低減することができる。
このように、本発明の芳香族アミン化合物と正孔輸送層として用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図35を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
Figure 2007284431
(発光素子5)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に構造式(21)で表されるN−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミン(略称:YGAF)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:YGAO11)とビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、YGAO11とIr(ppy)(acac)との重量比は、1:0.05(=YGAO11:Ir(ppy)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、Alqとリチウムを共蒸着することにより、20nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子5を作製した。
(比較発光素子6)
正孔輸送層2104として、NPBを10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子5と同様に形成した。
発光素子5および比較発光素子6の電流密度―輝度特性を図39に示す。また、電圧―輝度特性を図40に示す。また、輝度―電流効率特性を図41に示す。図41からわかるように、本発明の芳香族アミン化合物を用いた発光素子は、高い電流効率を示している。また、図40から、本発明の発光素子は、比較発光素子6とほぼ同じ駆動電圧を示すことがわかる。
また、本発明の芳香族アミン化合物であるYGAFおよびYGA1BP、比較発光素子6で用いたNPBの三重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出した。計算方法としては、基底状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により計算した。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。その後、DFTで構造最適化した分子構造において時間依存密度汎関数法(TDDFT)のB3LYP/6−311(d,p)を適用することにより、これらの化合物の三重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出した。また、三重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)から、対応する波長を計算した。その結果を表1および図42に示す。
Figure 2007284431
表1および図42からわかるように、本発明の芳香族アミン化合物であるYGAFおよびYGA1BPは、比較発光素子6で用いたNPBよりも高い三重項励起エネルギーを有することがわかる。特に、YGA1BPは、高い三重項励起エネルギーを有することがわかる。また、本発明の芳香族アミン化合物の三重項励起エネルギーに対応する波長は、450nm前後であり、青色に対応する。また、比較発光素子6で用いたNPBの三重項励起エネルギーに対応する波長は500nmであり、緑色に対応する。そのため、緑色の燐光材料に接する層にNPBを用いた場合、緑色の燐光材料が励起されても、NPBにエネルギー移動してしまう可能性がある。そのため、燐光材料からの発光が起こらず、発光効率が低下してしまう。それに対して、本発明の芳香族アミン化合物を緑色の燐光を発光する燐光材料に接する層に用いた場合は、励起された緑色の燐光材料から本発明の芳香族アミン化合物にエネルギー移動は生じない。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合には、緑色の燐光材料にエネルギー移動することが可能である。そのため、高い発光効率を実現することができる。
また、一重項励起エネルギーは三重項励起エネルギーよりも高い。そのため、燐光材料に限らず、蛍光材料についても同様な効果を有する。具体的には、本発明の芳香族アミン化合物の三重項励起エネルギーに対応する波長は青色に対応するため、一重項励起エネルギーに対応する波長は青色よりも短波長となる。よって、青色の蛍光材料に接する層に芳香族アミン化合物を用いた場合、励起された青色の蛍光材料から本発明の芳香族アミン化合物にエネルギー移動は生じない。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合には、蛍光材料にエネルギー移動することが可能である。そのため、高い発光効率を実現することができる。
このように、本発明の芳香族アミン化合物と正孔輸送層として用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
本実施例では、構造式(69)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)の合成方法について説明する。mYGA1BPの合成スキームを(J−1)に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
4−(N−カルバゾリル)ジフェニルアミン1.9g(5.8mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g(21mmol)を200mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mL、3−ブロモビフェニル1.4g(5.8mmol)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)33mg(0.06mmol)を加えた。この混合物を、80℃で5時間攪拌した。反応後、反応混合物をフロリジールおよびセライトおよびアルミナを通して吸引濾過し、ろ液を濃縮して白色固体を得た。この固体をジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の白色粉末状固体2.1g、収率98%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(69)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl):δ=7.07−7.12(m、1H)、7.17−7.20(m、1H)、7.27−7.47(m、20H)、7.53−7.56(m、2H)、8.14(d、J=7.8Hz,2H) 。また、H NMRチャートを図46(A)、(B)に示す。なお、図46(B)は、図46(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたmYGA1BP1.9gを、圧力5.9Pa、アルゴン流量3.0mL/min、加熱温度225℃で15時間昇華精製したところ、目的物の白色(無色)針状結晶1.7gを得て、回収率90%であった。
mYGA1BPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、224℃であった。また、常圧で測定したところ、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、391℃であった。なお、昇温速度はいずれの測定においても10℃/minとした。
また、mYGA1BPのトルエン溶液の吸収スペクトルを図47に示す。また、mYGA1BPの薄膜の吸収スペクトルを図48に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図47および図48に示した。図47および図48において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では294nmおよび313nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では317nm付近に吸収が見られた。また、mYGA1BPのトルエン溶液(励起波長350nm)の発光スペクトルを図49に示す。また、mYGA1BPの薄膜(励起波長317nm)の発光スペクトルを図50に示す。図49および図50において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では392nm(励起波長350nm)、薄膜の場合で402nm(励起波長317nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、mYGA1BPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.57eVであった。さらに、図48のmYGA1BPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.45eVであった。したがって、LUMO準位は−2.12eVである。
本実施例では、構造式(70)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)の合成方法について説明する。合成スキームを(K−1)に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
4−(N−カルバゾリル)ジフェニルアミン1.9g(5.8mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g(21mmol)を200mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mL、2−ブロモビフェニル1.4g(5.8mmol)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)33mg(0.06mmol)を加えた。この混合物を、80℃で5時間攪拌した。反応後、反応混合物をフロリジールおよびセライトおよびアルミナを通して吸引濾過し、ろ液を濃縮して白色固体を得た。この固体をジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の白色粉末状固体2.3g、収率82%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(70)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl):δ=6.91−6.96(m、3H)、7.06−7.09(m、2H)、7.12(d、8.7Hz、2H)、7.18−7.44(m、17H)、8.10−8.13(m、2H)。また、H NMRチャートを図51(A)、(B)に示す。なお、図51(B)は、図51(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
得られたoYGA1BP2.0gを、圧力5.9Pa、アルゴン流量3.0mL/min、加熱温度210℃で15時間昇華精製したところ、目的物の白色(無色)針状結晶1.9gを得て、回収率87%であった。
oYGA1BPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、208℃であった。また、常圧で測定したところ、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、370℃であった。なお、昇温速度はいずれの測定においても10℃/minとした。
また、oYGA1BPのトルエン溶液の吸収スペクトルを図52に示す。また、oYGA1BPの薄膜の吸収スペクトルを図53に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図52および図53に示した。図52および図53において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では294nmおよび311nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では317nm付近に吸収が見られた。また、oYGA1BPのトルエン溶液(励起波長350nm)の発光スペクトルを図54に示す。また、oYGA1BPの薄膜(励起波長317nm)の発光スペクトルを図55に示す。図54および図55において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では404nm(励起波長350nm)、薄膜の場合で407nm(励起波長317nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、oYGA1BPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.56eVであった。さらに、図53のoYGA1BPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.46eVであった。したがって、LUMO準位は−2.10eVである。
本実施例では、構造式(107)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
[ステップ1]
N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジンの合成方法について説明する。N,N`−ジ(1−ナフチル)ベンジジンの合成スキーム(L−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
500mL三口フラスコに4,4’−ジヨードビフェニルを20g(50mmol)、1−ナフチルアミンを14g(100mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)580mg(1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを12g(12mmol)加え、脱水トルエン100mLを加えて3分間三口フラスコ内を減圧して気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。この混合物へ、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)6.0mL(3.0mmol)を加えて窒素雰囲気下にて100℃で加熱撹拌を行った。3時間後加熱を止め、この反応懸濁液に温トルエンと酢酸エチルの混合溶液約700mLを加えて、この懸濁液をフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。この懸濁液をろ過し、得られた濾液を濃縮し、濃縮液にヘキサンを加えた後、超音波を照射して再結晶を行った。生じた固体を濾取し、乾燥させた。白色粉末の目的物13gを収率57%で得た。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=2:1)は、目的物は0.53、1−ナフチルアミンは0.36だった。
[ステップ2]
N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)の合成方法について説明する。YGNBPの合成スキーム(L−2)を以下に示す。
Figure 2007284431
100mL三口フラスコに4−ブロモフェニルカルバゾールを3.5g(11mmol)、N,N`−ジ(1−ナフチル)ベンジジンを2.2g(5.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)30mg(0.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.5g(15mmol)加え、脱水キシレン20mLを加えて3分間三口フラスコ内を減圧して気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.6mL(0.3mmol)を加えて窒素雰囲気下にて130℃加熱撹拌を行った。4時間後加熱を止め、この反応懸濁液にトルエン約200mLを加えてフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。この懸濁液をさらにフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通してろ過し、得られた濾液を濃縮し、濃縮液にアセトンとヘキサンを加えた後、超音波を照射して再結晶を行った。生じた固体を濾取し、乾燥させたところ、淡黄色粉末の目的物2.0gを収率43%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(107)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.19−7.58(m, 36H), 7.84(d, J=7.8, 2H), 7.93(d, J=7.8, 2H), 8.05(d, J=8.1, 2H), 8.12(d, J=7.2, 4H)。また、H NMRチャートを図56(A)、(B)に示す。なお、図56(B)は、図56(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、この化合物の13C NMRデータを以下に示す。13C NMR(75.5MHz、CDCl):δ(ppm)=109.82, 119.65, 120.23, 122.06, 122.47, 123.15, 124.10, 125.78, 126.34, 126.45, 126.69, 126.99, 127.36, 127.47, 127.86, 128.55, 130.69, 131.26, 134.41, 135.40, 141.12, 143.02, 146.85, 147.53。また、13C NMRチャートを図57(A)、(B)に示す。なお、図57(B)は、図57(A)における100ppm〜160ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
YGNBPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、390℃であった。また、常圧で測定したところ、500℃において、測定開始時における重量に対し99%の重量を示し、優れた耐熱性を示した。なお、昇温速度はいずれの測定においても10℃/minとした。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてYGNBPのガラス転移点を測定した。10℃/minで500℃まで昇温することにより、図72のDSCチャートを得た。図72において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、YGNBPのガラス転移点(Tg)は171℃であり、高いガラス転移点を示すことがわかった。
また、YGNBPのトルエン溶液の吸収スペクトルおよびYGNBPの薄膜の吸収スペクトルを図58に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図58に示した。図58において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では345nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では349nm付近に吸収が見られた。また、YGNBPのトルエン溶液(励起波長350nm)の発光スペクトルおよびYGNBPの薄膜(励起波長349nm)の発光スペクトルを図59に示す。図59において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では435nm(励起波長350nm)、薄膜の場合で526nm(励起波長349nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、YGNBPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.34eVであった。さらに、図58のYGNBPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.19eVであった。したがって、LUMO準位は−2.15eVである。
本実施例では、構造式(115)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
[ステップ1]
9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールの合成方法について説明する。9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールの合成スキーム(M−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
300mLの三口フラスコに、1,4−ジブロモナフタレンを14g(50mmol)、カルバゾールを6.7g(40mmol)、よう化銅(I)を1.9g(10mmol)、18−クラウン−6−エーテルを1.3g(5.0mmol)、炭酸カリウムを10g(72mmol)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を8mL加え、窒素雰囲気下170℃で約30時間加熱撹拌した。この反応懸濁液を室温まで冷ましてから、温トルエン300mLを加えた後セライトを通してろ過を行った。得られたろ液を水、希塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過し、得られたろ液を濃縮した。濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取し、白色粉末の目的物を7.5g収率50%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールであることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=6.93−6.96(m, 2H), 7.25−7.33(m,6H), 7.45(d, J=7.8, 1H), 7.60(t, J=6.9, 1H), 7.94(d, J=7.8, 1H), 8.16−8.19(m, 2H), 8.38(d, J=8.7, 1H)。また、H NMRチャートを図60(A)、(B)に示す。なお、図60(B)は、図60(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ2]
N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)の合成方法について説明する。CNABPの合成スキーム(M−2)を以下に示す。
Figure 2007284431
100mL三口フラスコに9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールを3.4g(9mmol)、N,N`−ジフェニルベンジジンを1.4g(4mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)60mg(0.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.5g(15mmol)加え、脱水キシレン20mLを加えて3分間三口フラスコ内を減圧して気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.6mL(0.3mmol)を加えて窒素雰囲気下にて120℃加熱撹拌を行った。4時間後加熱を止め、この反応懸濁液にトルエン約200mLを加えてフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。この懸濁液をさらにフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通してろ過し、得られた濾液を濃縮し、アセトンとヘキサンを加えた後、超音波を照射して再結晶を行った。生じた固体を濾取し、乾燥させた。淡黄色の粉末の目的物2.7gを収率73%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(115)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=7.03(t, J=7.2, 2H), 7.09(d, J=7.8, 4H), 7.15−7.19(m,8H), 7.25−7.43(m, 18H), 7.48−7.53(m, 6H), 7.63(d, J=7.8, 2H), 8.12(d, J=8.4, 2H), 8.22(d, J=6.9, 4H)。また、H NMRチャートを図61(A)、(B)に示す。なお、図61(B)は、図61(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
CNABPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、380℃であった。また、常圧で測定したところ、500℃において、測定開始時における重量に対し94%の重量を示し、優れた耐熱性を示した。なお、昇温速度はいずれの測定においても10℃/minとした。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてCNABPのガラス転移点を測定した。10℃/minで500℃まで昇温することにより、図73のDSCチャートを得た。図73において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、CNABPのガラス転移点(Tg)は183℃であり、高いガラス転移点を示すことがわかった。
また、CNABPのトルエン溶液の吸収スペクトルおよびCNABPの薄膜の吸収スペクトルを図62に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図62に示した。図62において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では338nmおよび380nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では340nmおよび383nm付近に吸収が見られた。また、CNABPのトルエン溶液(励起波長340nm)の発光スペクトルおよびCNABPの薄膜(励起波長383nm)の発光スペクトルを図63に示す。図63において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では455nm(励起波長340nm)、薄膜の場合で499nmおよび522nm(励起波長383nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、CNABPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.43eVであった。さらに、図62のCNABPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.90eVであった。したがって、LUMO準位は−2.53eVである。
本実施例では、構造式(120)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)の合成方法について説明する。CNNBPの合成スキーム(N−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
Figure 2007284431
100mL三口フラスコに9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールを3.4g(9mmol)、N,N`−ジ(1−ナフチル)ベンジジンを1.8g(4mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)60mg(0.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.5g(15mmol)加え、脱水キシレン20mLを加えて3分間三口フラスコ内を減圧して気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.6mL(0.3mmol)を加えて窒素雰囲気下にて130℃加熱撹拌を行った。4時間後加熱を止め、この反応懸濁液にトルエン約200mLを加えてフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。この懸濁液をさらにフロリジールおよびアルミナおよびセライトを通してろ過し、得られた濾液を濃縮し、アセトンとヘキサンを加えた後、超音波を照射して再結晶を行った。生じた固体を濾取し、乾燥させたところ、淡黄色粉末の目的物0.8gを収率20%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が構造式(120)で表されるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)=6.88(d, J=8.1, 4H), 7.05(d, J=7.8, 4H), 7.26−7.53(m, 30H), 7.76(d, J=7.8, 2H), 7.92(d, J=8.4, 2H), 8.14(d, J=7.8, 2H), 8.19−8.23(m, 6H)。また、H NMRチャートを図64(A)、(B)に示す。なお、図64(B)は、図64(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
CNNBPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、DTA2410SA)を用いた。10Paの減圧下で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、400℃であった。また、常圧で測定したところ、500℃において、測定開始時における重量に対し98%の重量を示し、優れた耐熱性を示した。なお、昇温速度はいずれの測定においても10℃/minとした。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてCNNBPのガラス転移点を測定した。10℃/minで500℃まで昇温することにより、図74のDSCチャートを得た。図74において、X軸に温度、Y軸に熱流が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、CNNBPのガラス転移点(Tg)は213℃であり、高いガラス転移点を示すことがわかった。
また、CNNBPのトルエン溶液の吸収スペクトルおよびCNNBPの薄膜の吸収スペクトルを図65に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図65に示した。図65において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では370nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では374nm付近に吸収が見られた。また、CNNBPのトルエン溶液(励起波長370nm)の発光スペクトルおよびCNNBPの薄膜(励起波長374nm)の発光スペクトルを図66に示す。図66において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では450nm(励起波長370nm)、薄膜の場合で545nm(励起波長374nm)に発光スペクトルのピークが観察された。
また、CNNBPの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、−5.45eVであった。さらに、図65のCNNBPの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは3.00eVであった。したがって、LUMO準位は−2.45eVである。
本実施例では、本発明の発光素子について、図67を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
Figure 2007284431
(発光素子7)
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2203を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2203上に構造式(52)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2204を形成した。
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)とN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2204上に30nmの膜厚の発光層2205を形成した。ここで、CzPAとYGA2Sとの重量比は、1:0.04(=CzPA:YGA2S)となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2205上にAlqを20nmの膜厚となるように成膜し、第1の電子輸送層2206aを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第1の電子輸送層2206a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を10nmの膜厚となるように成膜し、第2の電子輸送層2206bを形成した。
さらに、抵抗加熱による蒸着法を用い、第2の電子輸送層2206b上に、フッ化リチウムを蒸着することにより、1nmの膜厚で電子注入層2207を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2207上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2208を形成することで、発光素子7を作製した。
(発光素子8)
正孔輸送層2204として、構造式(70)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子7と同様に形成した。
(発光素子9)
正孔輸送層2204として、構造式(69)で表される4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)を10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子7と同様に形成した。
(比較発光素子10)
正孔輸送層2204として、NPBを10nmの膜厚となるように成膜した。正孔輸送層以外は、発光素子7と同様に形成した。
発光素子7〜発光素子9および比較発光素子10の電流密度―輝度特性を図68に示す。また、電圧―輝度特性を図69に示す。また、輝度―電流効率特性を図70に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図71に示す。
図69からわかるように、本発明の芳香族アミン化合物を用いた発光素子は、比較発光素子10と同様な色度座標であるにもかかわらず、高い電流効率を示している。また、図68から、本発明の発光素子は、比較発光素子10とほぼ同じ駆動電圧を示すことがわかる。よって、本発明の芳香族アミン化合物を用いることにより、パワー効率が高く、消費電力の小さい発光素子を得ることができる。
具体的には、比較発光素子10は、輝度930cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.16、y=0.17)であり、青色の発光を示した。また、輝度930cd/mのときの電流効率は3.9cd/Aであった。また、輝度930cd/mのときの電圧は4.8V、電流密度は24mA/cm、パワー効率は2.6lm/Wであった。
一方、発光素子7は、輝度1090cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.16、y=0.17)であり、青色の発光を示した。また、輝度1090cd/mのときの電流効率は7.2cd/Aであり、高い効率を示した。また、輝度1090cd/mのときの電圧は4.6V、電流密度は15mA/cm、パワー効率は4.9lm/Wであり、高いパワー効率を示した。
また、発光素子8は、輝度930cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.16、y=0.17)であり青色の発光を示した。また、輝度930cd/mのときの電流効率は7.6cd/Aであり、高い効率を示した。また、輝度930cd/mのときの電圧は4.6V、電流密度は12mA/cm、パワー効率は5.2lm/Wであり、高いパワー効率を示した。
また、発光素子9は、青色の発光を示した。また、輝度930cd/mのときの電流効率は7.4cd/Aであり、高い効率を示した。また、輝度930cd/mのときの電圧は4.8V、電流密度は13mA/cm、パワー効率は4.8lm/Wであり、高いパワー効率を示した。
また、上述したように、本発明の芳香族アミン化合物であるYGA1BPは、比較発光素子10で用いたNPBよりも高い三重項励起エネルギーを有する。特に、YGA1BPは、非対称構造である高い三重項励起エネルギーを有する。また、本発明の芳香族アミン化合物の三重項励起エネルギーに対応する波長は、450nm前後であり、青色に対応する。また、比較発光素子10で用いたNPBの三重項励起エネルギーに対応する波長は500nmであり、緑色に対応する。また、一重項励起エネルギーは三重項励起エネルギーよりも高い。つまり、本発明の芳香族アミン化合物の三重項励起エネルギーに対応する波長は青色に対応するため、一重項励起エネルギーに対応する波長は青色よりも短波長となる。よって、青色の蛍光材料に接する層に芳香族アミン化合物を用いた場合、励起された青色の蛍光材料から本発明の芳香族アミン化合物にエネルギー移動は生じない。また、本発明の芳香族アミン化合物が励起された場合には、蛍光材料にエネルギー移動することが可能である。そのため、高い発光効率を実現することができる。
このように、本発明の芳香族アミン化合物を正孔輸送層として用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
本実施例では、他の実施例で用いた材料について説明する。
≪YGAO11の合成例≫
以下では、構造式(201)で表される2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:YGAO11)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
[ステップ1]
2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:O11Br)の合成について説明する。本ステップ1では、以下のような手順(i)〜(iii)に従って、O11Brを合成した。
(i)4−ブロモベンゾヒドラジドの合成
まず、メチル−4−ブロモベンゾエート3.0g(13.9mmol)を100mL三口フラスコに入れ、エタノール10mLを加えて撹拌した後、ヒドラジン一水和物4.0mLを加え,78℃で5時間加熱撹拌した。得られた固体を水で洗浄し、吸引ろ過により回収し、目的物である4−ブロモベンゾヒドラジドの白色固体を2.0g得た(収率67%)。
(ii)1−ベンゾイル−2−(4−ブロモベンゾイル)ヒドラジンの合成
次に、上記(i)で得た4−ブロモベンゾヒドラジド2.0g(13.9mmol)を300mL三口フラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン(略称:NMP)7mLを加えて撹拌した後、N−メチル−2−ピロリドン2.5mLとベンゾイルクロライド2.5mL(21.5mmol)の混合物を50mL滴下ロートにより滴下し、80℃で3時間撹拌した。得られた固体を水、炭酸ナトリウム水溶液の順に洗浄し、吸引ろ過により回収した。アセトンで再結晶を行ったところ、目的物である1−ベンゾイル−2−(4−ブロモベンゾイル)ヒドラジンの白色固体を3.6g得た(収率80%)。
(iii)O11Brの合成
さらに、上記(ii)で示した方法により得られた1−ベンゾイル−2−(4−ブロモベンゾイル)ヒドラジン15g(47mmol)を200mL三口フラスコに入れ、塩化ホスホリル100mLを加え、5時間100℃で加熱撹拌した。反応後、塩化ホスホリルを完全に留去して得られた固体を水、炭酸ナトリウム水溶液の順に洗浄し、吸引ろ過により回収した。メタノールで再結晶を行ったところ、本ステップ1の目的物であるO11Brの白色固体を13g得た(収率89%)。以上で述べた本ステップ1の合成スキームを下記スキーム(E−1)に示す。
Figure 2007284431
[ステップ2]
<2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(略称:YGAO11)の合成>
ステップ1で得たO11Br3.0g(10.0mmol)、実施例1のステップ1で得たYGA3.4g(10.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.9g(19.9mmol)を100mL三口フラスコに入れて窒素置換し、トルエン45mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.3mL、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.3g(0.6mmol)を加え、120℃で5時間加熱攪拌した。反応後、セライトを通してろ過し、ろ液を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムにより乾燥した。乾燥後、溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた固体をトルエンに溶解し、シリカカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラム精製はまずトルエンを展開溶媒として用い、次いでトルエン:酢酸エチル=1:1の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。クロロホルムとヘキサンで再結晶をしたところ、本合成例の目的物であるYGAO11の淡黄色固体が4.7g得られた(収率85%)。以上で述べた本ステップ3の合成スキームを下記スキーム(E−2)に示す。
Figure 2007284431
なお、得られたYGAO11の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果を下記に示す。また、H NMRチャートを図43(a)に、その拡大図を図43(b)に示す。
H NMR(300MHz, CDCl):δ=7.14−7.53(m,19H),δ=8.03(d,J=8.7,2H),δ=8.11−8.15(m,4H)。
≪YGAPAの合成例≫
以下では、構造式(202)で表される9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
[ステップ1]
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合成方法について説明する。
(i)9−フェニルアントラセンの合成
9−フェニルアントラセンの合成スキーム(F−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−ブロモアントラセンを5.4g(21.1mmol)、フェニルボロン酸を2.6g(21.1mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))を60mg(0.21mmol)、炭酸カリウム(KCO)水溶液(2mol/L)を10mL(20mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(P(o−tolyl))を263mg(0.84mmol)、1,2−ジメトキシエタン(略称:DME)を20mL混合し、80℃、9時間撹拌した。反応後、析出した固体を吸引ろ過で回収してから、トルエンに溶かしフロリジールおよびセライトおよびアルミナを通してろ過をした。ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過後、ろ液を濃縮したところ目的物である9−フェニルアントラセンの淡褐色固体を21.5g収率85%で得た。
(ii) 10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの合成
10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの合成スキーム(F−2)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−フェニルアントラセン6.0g(23.7mmol)を四塩化炭素80mLに溶かし、その反応溶液へ、滴下ロートにより、臭素3.80g(21.1mmol)を四塩化炭素10mLに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後室温で1時間攪拌した。反応後チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応をストップさせた。有機層を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過後、濃縮しトルエンに溶かしフロリジールおよびセライトおよびアルミナを通してろ過を行なった。ろ液を濃縮し、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶を行なったところ、目的物である10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの淡黄色固体を7.0g、収率89%で得た。
(iii)9−ヨード−10−フェニルアントラセンの合成
9−ヨード−10−フェニルアントラセンの合成スキーム(F−3)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−ブロモ−10−フェニルアントラセン3.33g(10mmol)をテトラヒドロフラン(略称:THF)80mLに溶かし、−78℃にしてから、その反応溶液へ滴下ロートより、n−BuLi(1.6mol/L)7.5mL(12.0mmol)を滴下し1時間攪拌した。ヨウ素5g(20.0mmol)をTHF20mLに溶かした溶液を滴下し−78℃でさらに2時間攪拌した。反応後チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応をストップした。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥した。自然濾過後ろ液を濃縮し、エタノールにより再結晶したところ目的物である9−ヨード−10−フェニルアントラセンの淡黄色固体を3.1g、収率83%で得た。
(iv)9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合成
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合成スキーム(F−4)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−ヨード−10−フェニルアントラセンを1.0g(2.63mmol)、p−ブロモフェニルボロン酸を542mg(2.70mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)を46mg(0.03mmol)、2mol/Lの炭酸カルシウム(KCO)水溶液を3mL(6mmol)、トルエンを10mL採取して混合し、80℃、9時間撹拌した。反応後、トルエンを加えてからフロリジールおよびセライトおよびアルミナを通してろ過をした。ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶したところ目的物である9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセンの淡褐色固体を562mg、収率45%で得た。
[ステップ2]
9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)の合成方法について説明する。YGAPAの合成スキーム(F−5)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセンを409mg(1.0mmol)、実施例1のステップ1で得たYGAを339mg(1.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を6mg(0.01mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを500mg(5.2mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを10mLを加えて混合し、80℃で4時間攪拌した。反応後、反応溶液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出し、有機層と併せて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過、濃縮し得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)により精製し、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶したところ目的物であるYGAPAの黄色粉末状固体を534mg収率81%で得た。この化合物を核磁気共鳴法(NMR)によって測定したところ、9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)であることが確認できた。YGAPAのH NMRを図44(A)、(B)に示す。
≪CzPAの合成例≫
以下では、構造式(203)で表される9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)の合成方法について説明する。
Figure 2007284431
9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)の合成スキーム(H−1)を以下に示す。
Figure 2007284431
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセンを1.3g(3.2mmol)、カルバゾールを578mg(3.5mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を50mg(0.10mmol)、tert−ブトキシナトリウムを1.0g(10mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを30mLを加えて混合し、110℃で10時間加熱還流した。反応後、反応溶液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出し、有機層と併せて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過し、ろ液を濃縮し得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)により精製し、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)を1.5g、収率93%で得た。
得られたCzPAのNMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl):δ=8.22(d、J=7.8Hz、2H),7.86−7.82(m、3H)、7.61−7.36(m、20H)。また、H NMRのチャートを図45に示す。
なお、得られたCzPA5.50gを270℃、アルゴン気流下(流速3.0mL/min)、圧力6.7Paの条件下で20時間昇華精製を行ったところ、3.98gを回収し回収率は72%であった。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾールのH NMRチャートを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンのH NMRチャートを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンのDSCチャートを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンのトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンの薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンのトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンの薄膜の発光スペクトルを示す図。 N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレニル−2−アミンのCV測定結果を示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミンH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミンのDSCチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−4’−フェニルトリフェニルアミンのトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンのH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンのDSCチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンのトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンの薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンのトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンの薄膜の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミンのCV測定結果を示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンのH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンのDSCチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンのトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンの薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンのトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンの薄膜の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−4,4’−ビフェニル−ジアミンのCV測定結果を示す図。 実施例5の発光素子を説明する図。 実施例5で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 本発明の芳香族アミン化合物の三重項励起エネルギーを示す図。 2−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールのH NMRチャートを示す図。 9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセンのH NMRチャートを示す図。 9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセンのH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)のH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−3’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mYGA1BP)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)のH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)フェニル−2’−フェニルトリフェニルアミン(略称:oYGA1BP)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)のH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)の13C NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)の発光スペクトルを示す図。 9−(4−ブロモ−1−ナフチル)カルバゾールのH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)のH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)のH NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)の発光スペクトルを示す図。 実施例12の発光素子を説明する図。 実施例12で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例12で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例12で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例12で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ−(1−ナフチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:YGNBP)のDSCチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNABP)のDSCチャートを示す図。 N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−1−ナフチル]−N,N’− ジ−1−ナフチルビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:CNNBP)のDSCチャートを示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
2001 筐体
2002 光源
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
2201 ガラス基板
2202 第1の電極
2203 複合材料を含む層
2204 正孔輸送層
2205 発光層
2206a 第1の電子輸送層
2206b 第2の電子輸送層
2207 電子注入層
2208 第2の電極
3001 照明装置
3002 テレビ装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (19)

  1. 一般式(1)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(1−2)〜一般式(1−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−2)〜一般式(1−4)において、R21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  2. 一般式(2)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Aは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(2−1)で表される置換基を表し、一般式(2−1)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  3. 一般式(3)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(3−2)〜一般式(3−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−2)〜一般式(3−4)において、R21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  4. 一般式(4)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、αは、一般式(4−1)で表される置換基を表し、一般式(4−1)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  5. 一般式(5)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(5−2)〜一般式(5−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−2)〜一般式(5−4)において、R21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  6. 一般式(6)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基のいずれかを表す。また、αは、一般式(6−1)で表される置換基を表し、一般式(6−1)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  7. 一般式(7)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(7−2)〜一般式(7−4)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−2)〜一般式(7−4)において、R21〜R29およびR31〜R39およびR41〜R49は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  8. 一般式(8)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、αは、一般式(8−1)で表される置換基を表し、一般式(8−1)において、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R53〜R58は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  9. 一般式(10)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R30は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
  10. 一般式(11)で表される芳香族アミン化合物。
    Figure 2007284431
    (式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R51およびR52は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  11. 一対の電極間に、
    請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を有する発光素子。
  12. 一対の電極間に、
    発光層と、
    請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を含む層を有し、
    前記芳香族アミン化合物を含む層は、前記発光層と接することを特徴とする発光素子。
  13. 一対の電極間に、
    発光層と、
    請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を有し、
    前記芳香族アミン化合物は、発光層に含まれていることを特徴とする発光素子。
  14. 請求項12または請求項13において、前記発光層は、燐光を発光する燐光材料を含むことを特徴とする発光素子。
  15. 請求項14において、前記燐光材料は、緑色の発光をすることを特徴とする発光素子。
  16. 請求項12または請求項13において、前記発光層は、蛍光を発光する蛍光材料を含むことを特徴とする発光素子。
  17. 請求項16において、前記蛍光材料は、青色の発光をすることを特徴とする発光素子。
  18. 請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
  19. 表示部を有し、
    前記表示部は、請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
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